JP3665963B2 - トラッカー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トラッカーに関し、特に、操作者に装着して装着部の動きの内の方位を検出出力するトラッカーの検出誤差を小さくするトラッカーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来例を図7を参照して説明する。
図7において、1はジャイロの如き角速度センサ、2は第1の減算器、3は積分器、4は第2の減算器、5は補正ゲイン部、6は磁気センサである。
角速度センサ1は入力される角速度を検出し、得られた角速度信号を第1の減算器2の+端子に入力する。第1の減算器2は入力される角速度信号に減算処理を施し、減算結果を積分器3に入力する。積分器3は第1の減算器2から入力される角速度信号に積分処理を施し、角度信号を方位信号として出力する。一方において、磁気センサ6は地磁気成分を検出し、絶対方位信号として出力する。磁気センサ6により得られる絶対方位信号はこれを第2の減算器4の−端子に入力すると共に、積分器3の出力する先の方位信号はこれを第2の減算器4の+端子に入力する。第2の減算器4は+端子に入力される方位信号から−端子に入力される絶対方位信号を減算し、減算結果を方位差信号として出力する。第2の減算器4から出力される方位差信号は補正ゲイン部5を介して適正にゲインを補正して第1の減算器2の−端子に帰還される。第1の減算器2は、角速度センサ1により得られた先の角速度信号から適正にゲイン補正された方位差信号を減算して補正された角速度信号を出力する。補正された角速度信号は、積分器3に入力され、積分処理を施されて補正された方位信号として出力される。
【0003】
上述した通り、トラッカー10の従来例は、ジャイロの如き角速度センサ1および絶対方位を示す地磁気成分を検出出力する磁気センサ6より成る。ここで、操作者のトラッカー10装着部の動きを示す方位は、単に、ジャイロの角速度信号出力を積分することにより得られるが、実際は角速度センサ1の角速度信号出力は温度その他の外的要因によりドリフトするところから、出力誤差、即ち、方位誤差が発生する。この方位誤差は、磁気センサ6により検出した地磁気成分を基準方位として、これにより角速度センサ1の角速度信号出力を積分した値を補正することにより補正している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のトラッカー10出力誤差補正方法は、磁気センサ6により検出した地磁気成分を基準方位としているところから、この基準方位は、特に、屋内環境において鉄その他の着磁磁性体の生成する磁界、電子機器が発生する磁界の如き磁気外乱の影響を蒙ることにより変化することとなる。この変化は時間的に発生すると共に、トラッカー10の存在する場所如何によっても発生する。結果として、方位の出力誤差が発生する。操作者は方位の出力誤差が発生、蓄積する度び毎にトラッカー10に内蔵され、或いは別に設置されるリセットスイッチを操作して積分器をリセットし、この誤差を補正している。
【0005】
この発明は、外乱を受けず、リセットスイッチを操作する煩わしさの無い、安定した出力誤差低減効果を有する上述の問題を解消したトラッカーを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1:角速度センサ1を具備し、角速度センサ1の検出出力を積分して方位信号を求める積分器3を具備し、角速度センサ1と一体構造でTVモニタ9の表示器から放射される光信号を受光する光検出装置71を具備し、光検出装置71で受光した光信号に基づいて同期信号を検出する同期信号検出回路81を具備し、同期信号検出回路81の検出した同期信号に基づいて積分器3の出力をリセットするリセット信号を出力する積分器リセット回路82を具備して角速度センサ1のドリフトをリセットするトラッカーを構成した。
【0007】
そして、請求項2:請求項1に記載されるトラッカーにおいて、同期信号検出回路81は帯域通過フィルタ811、検波回路812、低域通過フィルタ813を具備してTV同期信号の強度に比例した出力を発生し、積分器リセット回路82は、同期信号検出回路81から供給される検出出力と設定値生成回路821の出力する設定値とを比較し、検出出力が設定値を超えると出力を発生する比較回路822、比較回路822の出力を単位時間遅延させる遅延回路823、比較回路822の出力と遅延回路823の出力を入力する排他的論理和回路824、比較回路822の出力と排他的論理和回路824の出力を入力とする論理積回路825、論理積回路825の出力を入力とし、この入力に対応してON/OFFするスイッチ826より成り、スイッチ826は積分器3に接続しているトラッカーを構成した。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明のトラッカーは、TVモニタの表示器の画面の輝度変化を検出する光検出装置、光検出装置で検出した光信号からTV同期信号を検出する同期信号検出回路、同期信号検出回路の出力がある時に角速度センサの出力を積分する積分器をリセットする積分器リセット回路を具備することを特徴としている。以下、この発明の実施の形態を図1の実施例を参照して説明する。
光検出装置71は、操作者前方で発生しているTVモニタ9の光を輝度に比例した電気信号に変換する。操作者が前面を向いてTVモニタ9に対向している時は、TVモニタ9の画面の光が光検出装置71に入射する。TVモニタ9の画面はTV同期信号に従って更新される。即ち、NTSC方式の場合は映像信号における垂直同期周波数:60Hzで更新される。従って、光検出装置71の光検出出力も、同期信号と同一周波数およびその高調波周波数で変動する。
【0009】
一方、操作者がTVモニタ9の正面以外を向いている場合も、光検出装置71には照明器具その他の光源から光が入射するが、これらの光は時間的に強度の変化しない定常的な光、或いはTV同期信号とは異なる周波数の光強度変動をする光である。
図2をも参照して更に詳細に説明するに、光検出装置71の出力信号は同期信号検出回路81に入力する。同期信号検出回路81は帯域通過フィルタ811、検波回路812、低域通過フィルタ813により構成され、TV同期信号の強度に比例した出力を発生する。従って、操作者がTVモニタ9の正面に向いて対向している場合は、同期信号検出回路81に出力が発生するが、操作者がTVモニタ9の正面以外を向いている場合は出力を発生しない。
【0010】
同期信号検出回路81の出力は積分器リセット回路82に供給される。積分器リセット回路82は、同期信号検出回路81から供給される検出出力と設定値生成回路821の出力する設定値とを比較し、検出出力が設定値を超えると出力を発生する比較回路822、比較回路822の出力を単位時間遅延させる遅延回路823、比較回路822の出力と遅延回路823の出力を入力する排他的論理和回路824、比較回路822の出力と排他的論理和回路824の出力を入力とする論理積回路825、論理積回路825の出力を入力とし、この入力に対応してON/OFFするスイッチ826より成る。スイッチ826は角速度信号に積分処理を施す積分器3に接続しており、ON状態において積分器3をゼロリセットする。
【0011】
操作者がTVモニタ9の正面に向いて対向すると、同期信号検出回路81は光検出信号を発生出力する。比較回路822はこの同期信号検出回路81の光検出信号出力のレベルが設定値生成回路821の出力する設定値を超えると、出力を発生する。排他的論理和回路824には、比較回路822の出力とこれより単位時間遅延した遅延回路823の出力の出力が入力されるので、比較回路822の出力の立ち上がり或いは立ち下がり時に単位時間だけ出力を発生する。論理積回路825には排他的論理和回路824の出力と比較回路622の出力が入力し、比較回路822の出力の立ち上がり時に単位時間だけ出力を発生する。従って、操作者がTVモニタ9の表示器の画面を向いて同期信号検出回路81に出力が発生した瞬間に単位時間だけスイッチ826がON状態になり、積分器3がリセットされる。即ち、角速度センサ1のドリフトによる誤差が発生してもこの積分器3のリセットによりTVモニタ9の方向を基準方位として自動的に補正されることになる。TVモニタ9の表示器の画面の方向を基準方位とすることができることを図3を参照して説明する。TVモニタ9を17型とした場合、これを3m離隔したところから視た場合、見かけの角度は図3(c)の場合6. 6゜となり、図3(d)の如くにTVモニタ9がα=30゜傾斜している場合は2. 8゜となる。これは、ドリフト補正しなければ数10゜の誤差角が発生して、トラッカーで発生した視野が全く別の視野となることと比較すると、充分に基準方位として取り扱って差し支えない。
【0012】
以上の通り、この発明は、単なる光強度をみているのではなく、TV同期信号によるTVモニタ9の画面の輝度変化を検出しているので、それ以外の光の外乱に影響されることはなく、そして、誤差を補正するにリセットスイッチを手動により操作する煩わしさから操作者を解放する。
図3を参照するに、これは操作者が頭部にトラッカー10を装着してTVモニタ9のに対応しているところを示している。操作者が前面であるTVモニタ9の正面に向いて対向している図3(a)の場合、TVモニタ9の画面の光は光検出装置71に入力する。光検出装置71としては、一般に、フォトダイオード、フォトトランジスタを使用する。ここで、図4をも参照するに、これは光検出装置71の出力波形を示す図である。TVモニタ9の画面はTV同期信号に従って垂直同期周波数:60Hzで更新されるので、光検出装置71の出力も同期信号と同一の周波数およびその高調波周波数で変動する。一方において、操作者がTVモニタ9の画面に対向せず画面から逸れた方向を向いている図3(b)の場合、光検出装置71にTVモニタ9の画面の光は入射しないが、照明光その他の外光は入射する。これら外光はドリフトのない定常的な光であり、或いはTV同期信号とは異なる周波数のドリフトをする光である。以上の光が光検出装置71に入射した場合の信号処理を、再び、図2をも参照して説明する。
【0013】
操作者が前面であるTVモニタ9の正面に向いて対向している図3(a)の場合の光検出装置71の出力信号は、図4に示される高レベルの信号として同期信号検出回路81に入力する。同期信号検出回路81は帯域通過フィルタ811、検波回路812、低域通過フィルタ813より構成されており、TV同期信号の強度に比例した出力を発生する。即ち、光検出装置71の出力信号の内の帯域通過フィルタ811の通過帯域に対応する信号は、図5(a)に示される如く帯域通過フィルタ811を通過して出力される。帯域通過フィルタ811を通過した信号は検波回路812において全波整流され、検波回路812の全波整流出力は低域通過フィルタ813において平滑化されて高レベルの信号がここから出力される。従って、操作者がTVモニタ9の画面に向いている場合は同期信号検出回路81は出力を発生する。一方、操作者がTVモニタ9の画面に対向せず画面から逸れた方向を向いている図3(b)の場合も、光検出装置71の出力信号は同期信号検出回路81に入力するが、これは図4に示される低レベルの信号として同期信号検出回路81に入力する。従って、帯域通過フィルタ811、検波回路812を経由して低域通過フィルタ813から出力される信号は極く低レベルの信号であるに過ぎず、操作者がTVモニタ9の正面以外を向いている場合は出力は発生しないに等しい。
【0014】
次いで、図6をも参照するに、同期信号検出回路81の出力は積分器リセット回路82に入力する。操作者がTVモニタ9の正面に対向すると同期信号検出回路81は出力を発生するが、この出力が設定値生成回路821の出力する設定値を超えると比較回路822は出力を発生する。設定値としては、同期信号検出回路81の最大出力の50%に固定する。
排他的論理和回路824には比較回路822の出力と、これより単位時間遅延した遅延回路823の出力が入力されるので、比較回路822の出力の立ち上がり或いは立ち下がり時に単位時間だけ出力を発生する。単位時間としては、スイッチ826が動作して積分器3がリセットされる時間だけあればよく、10ms程度とする。
【0015】
論理積回路825には排他的論理和回路824の出力と比較回路822の出力が入力し、比較回路822出力の立ち上がり時に単位時間だけ出力を発生する。従って、操作者がTVモニタ9の正面に向いて同期信号検出回路81の出力が発生した瞬間に単位時間だけスイッチ826がON状態になり、積分器3がリセットされることになる。角速度センサ1にドリフトによる誤差が発生してもこの誤差は操作者がTVモニタ9の正面を向く度び毎にTVモニタ9の方向を基準方位として補正されることになる。即ち、このトラッカー10は頭部に装着して操作者がTVモニタ9の表示器に対向した方位を基準方位とするものであり、対向した瞬間に発生した同期信号検出回路81の出力が単位時間だけスイッチ826をON状態にして積分器3をリセットする。
【0016】
【発明の効果】
以上の通りであって、この発明によるトラッカーの出力誤差の補正は、TVモニタの表示器の輝度変化を検出する光検出装置、光検出装置で受光した光信号に基づいてTV同期信号を検出する同期信号検出回路、同期信号検出回路の出力がある時に角速度センサの出力を積分する積分器をリセットする積分器リセット回路を有しており、TVモニタから発生する同期信号を基準にしてトラッカーの出力誤差を補正するので、従来の磁気センサによる出力誤差補正の欠点である外乱の影響は無く、そして、出力誤差補正を操作者がTVモニタの正面を向く度び毎に自動的に実施してリセットスイッチ操作する煩わしさから操作者を解放する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例を説明する図。
【図2】 図1の一部の詳細を説明する図。
【図3】 トラッカーとTVモニタの位置関係を説明する図。
【図4】 光検出装置の出力波形を示す図。
【図5】 同期信号検出回路の出力を説明する図。
【図6】 積分器リセット回路を説明する図。
【図7】 従来例を説明する図。
【符号の説明】
1 角速度センサ
10 トラッカー
2 第1の減算器
3 積分器
4 第2の減算器
5 補正ゲイン部
6 磁気センサ
71 光検出装置
81 同期信号検出回路
811 帯域通過フィルタ
812 検波回路
813 低域通過フィルタ
82 積分器リセット回路
821 設定値生成回路
822 比較回路
823 遅延回路
824 排他的論理和回路
825 論理積回路
826 スイッチ
9 TVモニタ

Claims (2)

  1. 角速度センサを具備し、
    角速度センサの検出出力を積分して方位信号を求める積分器を具備し、
    角速度センサと一体構造でTVモニタの表示器から放射される光信号を受光する光検出装置を具備し、
    光検出装置で受光した光信号に基づいて同期信号を検出する同期信号検出回路を具備し、
    同期信号検出回路の検出した同期信号に基づいて積分器の出力をリセットするリセット信号を出力する積分器リセット回路を具備して角速度センサのドリフトをリセットすることを特徴とするトラッカー。
  2. 請求項1に記載されるトラッカーにおいて、
    同期信号検出回路は帯域通過フィルタ、検波回路、低域通過フィルタを具備して同期信号の強度に比例した出力を発生し、
    積分器リセット回路は、同期信号検出回路から供給される検出出力と設定値生成回路の出力する設定値とを比較し、検出出力が設定値を超えると出力を発生する比較回路、比較回路の出力を単位時間遅延させる遅延回路、比較回路の出力と遅延回路の出力を入力する排他的論理和回路、比較回路の出力と排他的論理和回路の出力を入力とする論理積回路、論理積回路の出力を入力とし、この入力に対応してON/OFFするスイッチより成り、スイッチは積分器に接続していることを特徴とするトラッカー。
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