JP3665870B2 - ゴムの乾燥方法と乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムの乾燥方法と乾燥装置に係り、さらに詳しくは、ゴムを劣化させることなく、しかも均一に且つ効率的に乾燥させることができるゴムの乾燥方法と乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴムの製造過程において、重合して凝固されたゴムを含むスラリーは、水分を多量に含んでいる。ゴムを製品として出荷するためには、これを脱水して乾燥する必要がある。
【0003】
従来、ゴムの乾燥は、ゴムをスクリュによりダイスから押し出して乾燥を行う押出型乾燥機により行っている。しかしながら、このような押出型乾燥機でゴムを十分に乾燥する(含水率を低くする)ためには、押出型乾燥機の出口温度を180°C以上程度に高温にする必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを乾燥する場合には、乾燥機の出口温度が高温であると、熱硬化劣化を引き起こしてしまう。これらのゴムでは、出口温度が高いと、含水率は低下するが、ゲル化が進み、ゴムが劣化し、逆に出口温度が低いと、ゲル化は起こらないが、乾燥が十分でなくなる。
【0005】
そこで、押出型乾燥機の出口温度を低くし、押出型乾燥機から吐出されたゴムを、他の乾燥手段で乾燥させることも考えられるが、処理能力を低下させることなく、しかもゴムを劣化させることなく、均一に含水率を低下させるためのゴムの乾燥方法は知られていなかった。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、ゴムを劣化させることなく、しかも均一に且つ効率的に乾燥させることができるゴムの乾燥方法と乾燥装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るゴムの乾燥方法は、押出型乾燥手段でゴムの含水率を4〜7重量%とした後、ゴムを移動可能なバンド上に載せ、乾燥用空気を吹き付けることによりゴムの含水率を(ゴムと水とを合わせた全体の重量に対して)0.5重量%以下、好ましくは0.4重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下に乾燥させることを特徴とする。本発明において、押出型乾燥手段によりゴムの含水率を4〜7重量%とするのは、次の理由による。すなわち、4重量%より小さいと、押出型乾燥手段の出口温度を高く設定しなければ成らず、ゴムの劣化が生じるおそれがあり、7重量%より大きいと、その後のバンド式乾燥手段での乾燥に時間がかかり過ぎるおそれがあると共に、乾燥が不十分になるおそれがあるからである。
【0008】
本発明に係るゴムの乾燥装置は、ゴムをスクリュで押し出し、ゴムの乾燥を行う押出型乾燥手段と、押出型乾燥手段から押し出されて乾燥されたゴムを、移動可能な多孔バンド上に載せ、下から乾燥用空気を吹き上げて、さらにゴムを乾燥させるバンド式乾燥手段とを有する。
【0009】
本発明に係るゴムの乾燥装置は、押出型乾燥手段の前工程に配置される脱水手段をさらに有することが好ましい。脱水手段では、ゴムの含水率を8〜12重量%程度に脱水可能になっていることが好ましい。脱水されたゴムは、次に押出型乾燥手段により乾燥される。脱水手段には、重合後にクラム状にされたゴムのスラリーが供給され、その含水率は、約50重量%程度である。
【0010】
前記押出型乾燥手段の吐出口には、ダイスが装着してあり、ダイスの孔形状が十字形であることが好ましい。ダイスの孔形状を十字形などの所定形状にすることで、ダイスから吐出するクラム状ゴムをポーラスなものとすることができ、芯が残らず、均一に乾燥したものが得られる。
【0011】
前記押出型乾燥手段の吐出口には、ダイスとオリエンタが装着してあり、オリエンタから吐出されたゴムが、分散部材に衝突して前記バンド式乾燥手段の多孔バンドの上に、均一に散らばるようになっていることが好ましい。オリエンタは、ダイスの先に付けられるノズルのようなものである。このオリエンタにより、ダイスから弾き出されるクラム状ゴムを分散部材方向に向かわせることができる。
【0012】
分散部材としては、特に限定されないが、陣笠状(あるいは円錐状)の部材であることが好ましい。この陣笠状の部材の軸心と、オリエンタの軸心との交差角度は、特に限定されないが、5〜30度程度が好ましい。オリエンタから吐出されたクラム状ゴムが、陣笠状の部材に衝突して、バンド式乾燥手段の多孔バンドの上に、均一に散らばるようにするためである。オリエンタと陣笠状部材との距離(オリエンタから吐出されたゴムが陣笠部材に衝突するまでの距離)は、500〜1500mm程度が好ましい。バンド式乾燥手段の多孔バンドの上に均一にクラム状ゴムが散らばり、堆積することが重要である。これが不均一になると、バンド状に堆積するクラム状ゴムの厚みが不均一となり、乾燥が不均一になる。なぜなら、バンド上で、部分的にゴムが堆積していない部分が存在すると、そこから乾燥用空気が逃げて、乾燥を良好に行えない。また、バンド上にゴムが厚すぎて堆積すると、乾燥用空気が通過せず、乾燥が不十分となる。このような観点からは、バンド上に堆積するクラム状ゴムの厚みは、6〜8cm程度になるように設定することが好ましい。このような厚みとなるように、センサを付けて、バンドの送り速度などを制御するようにしても良い。
【0013】
本発明では、押出型乾燥手段の吐出口の温度は、ゴムの種類、分子量、ムーニー粘度などに依存するが、たとえばブタジエンゴム(BR)の場合には、110〜150°Cであり、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)の場合には、130〜170°C程度である。これらの温度は、押出型乾燥機から吐出されるゴムの含水率が4〜7重量%となるように決定され、得ようとするゴムの種類などにより異なるが、いずれにしても、従来に比べて低く設定してある。
【0014】
また、押出型乾燥手段内の圧力は、特に限定されないが、たとえば40〜70kg/cm2 である。スクリュの回転速度も特に限定されないが、たとえば150〜300rpm程度である。
【0015】
本発明では、バンド式乾燥手段の多孔バンドの下から吹き上げられる乾燥用空気の温度は、特に限定されないが、60〜110°C程度が好ましい。この温度が低すぎると、乾燥が十分でなくなる傾向にあり、高すぎると、ゴムが劣化することから好ましくない。この乾燥用空気は、多少の水分が含まれていることが好ましい。乾燥用空気の湿度は、空気1kgに対して、水0.003〜0.02kgの範囲の湿度であることが好ましい。湿度が低すぎると、ゴムの表面だけ過乾燥になる傾向にあり、湿度が高すぎると、乾燥し難くなる傾向にある。乾燥用空気の供給量は、特に限定されないが、バンド式乾燥手段の1m2 当たり20〜30m3 /分程度であることが好ましい。
【0016】
本発明の方法および装置により乾燥されるゴムの種類は、特に限定されないが、たとえばスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−イソプレンブロックポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエンブロックポリマー(SBS)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などのジエン系ゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーゴム(EPDM)、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴムなどのオレフィン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどを例示することができる。これらの中でも、本発明では、SBR、BR、NBRなどのゴムに用いて好適である。
【0017】
【作用】
ゴムの製造工程において、重合後にクラム状にされたゴムの含水率は、約50重量%である。このゴムは、次に脱水手段などで脱水される。その結果、ゴムの含水率は、約8〜12重量%となる。このゴムが押出型乾燥手段内に供給され、内部でスクリュにより送り込まれることにより、水を含むゴムは、水蒸気圧以上に圧縮される。このため、水を含むゴムは、ダイスの孔から大気中に放出されるときに、膨張および破裂し、水分は蒸気となり、ゴムは、ポーラスなクラム状ゴムとなる。その時に、ダイスの孔形状を特定の形状にすることで、芯のない均一に乾燥した良好なポーラスなクラム状ゴムとなる。本発明では、出口温度を従来に比較して低温にしてあるので、ダイスから吐出された後のゴムの含水率は、約4〜7重量%である。
【0018】
ダイスから吐出されたクラム状ゴムは、オリエンタにより吐出方向が調節されて、陣笠状の分散部材に衝突する。分散部材に衝突したクラム状のゴムは、バンド式乾燥手段の多孔バンドの上に、均一に散らばる。多孔バンドが移動することにより、その上に散らばって所定厚みとなったクラム状ゴムは、搬送方向に移動し、その途中で、下から吹き上げられる乾燥用空気に曝される。乾燥用空気は、バンドの多孔から所定厚みのクラム状ゴムを通過し、ゴムを乾燥させる。このバンド式乾燥手段により、ゴムは、0.5重量%以下、好ましくは0.4重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下に乾燥させられる。
【0019】
本発明では、押出型乾燥手段の出口温度を、従来に比較して低温に設定してあるので、ゴムの劣化を有効に防止することができる。また、本発明では、押出型乾燥手段の後に、バンド式乾燥手段で乾燥するため、0.5重量%以下程度に十分に乾燥することができる。バンド式乾燥手段では、ゴムを搬送しながら、連続的に乾燥することができるので、ゴムの乾燥処理能力が低下することがなく、不良品が少なくなることから、逆にゴムの乾燥処理能力は、従来に比較して増加させることができる。
【0020】
また、本発明では、ダイスの孔形状を特定形状にすることで、ダイスから吐出されるゴムの乾燥を均一なものとすることができる。さらに、押出型乾燥手段の吐出口に、ダイスとオリエンタを装着し、オリエンタから吐出されたゴムが、分散部材に衝突してバンド式乾燥手段の多孔バンドの上に、均一に散らばるように構成することで、バンド式乾燥手段での乾燥も均一なものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施形態に係るゴムの乾燥装置の全体構成図、図2はオリエンタと分散部材との関係を示す概略図、図3はダイスとオリエンタとの関係を示す概略図、図4はダイスの縦断面図と正面図、図5(A)〜(E)はダイスの孔形状の例を示す概略図、図6(A),(B)はオリエンタの正面図と縦断面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係るゴムの乾燥装置2は、脱水手段としての脱水機4と、押出型乾燥手段としての押出乾燥機6と、バンド式乾燥手段としてのバンドドライヤー8とを有する。
【0024】
脱水機4は、特に限定されないが、水分を含むゴムスラリーをスクリュで軸方向に送り込みながら、水分をバレル外部に絞り出すタイプの脱水機などが用いられる。
【0025】
重合槽から供給された水分を多量に含むゴムは、振動スクリーンで水分が除去された後、脱水機へと供給される。スクリーンで分離された水分は、温水として戻される。
【0026】
第2振動スクリーンで水分が分離される結果、脱水機4へ供給される前のゴムの含水率は、約50重量%程度である。脱水機4では、水分を約8〜12重量%程度まで乾燥させることができる。脱水機4で脱水されたゴムは、押出型乾燥機6のホッパ部へと供給される。
【0027】
押出型乾燥機6のホッパ部には、ドレーンホールがあり、ゴムに含まれる水の一部は、ここから排出されるが、その他の水分は、ゴムと共にバレル35内部をスクリュ36によりダイ部38の出口まで搬送され、途中で排出されることはない。ダイ部38には、図3に示すように、ダイス40とオリエンタ42とが対になって配置してある。ダイス40およびオリエンタ42の配置数は、特に限定されないが、本実施形態では、約5対前後である。ダイ部38までスクリュ36により送り込まれたゴムは、ダイス40の孔を通して、オリエンタから吐出される。バレル35の途中およびダイ部38には、ダイス40以外の吐出口はないので、ダイ部38でのゴムの圧力は、数十kg/cm2 となる。
【0028】
そして、この押出型乾燥機6では、スクリュ36の回転によるゴムの粘性発熱と、バレルジャケットによる加温により、ゴムの温度を上昇させている。ゴムの温度調節は、バレルジャケットの内部に流す加熱流体の温度制御により行う。ダイ部38での温度(出口温度)は、ゴムの種類、分子量、ムーニー粘度などに依存するが、たとえばブタジエンゴム(BR)の場合には、一般に110〜150°Cとなるように、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)の場合には、一般に130〜170°Cとなるように制御される。なお、これらの温度は、押出型乾燥機6から吐出されるゴムの含水率が4〜7重量%となるように決定され、得ようとするゴムの種類などにより異なるが、いずれにしても、従来に比べて低く設定してある。
【0029】
このようにダイ部38では、高温高圧となっており、ダイ部38の圧力は常にゴム中の水の水蒸気圧より高い。ダイ部中のゴムと水がダイス40から放出されると、水分は蒸気となり、ゴムはポーラスな状態でダイス40から弾き出される。
【0030】
本実施形態では、ダイス40は、たとえばステンレスなどの金属で構成してあり、図4に示すように、押出型乾燥機のバレル内に連通する吐出孔44を有する。また、ダイス40の外周には、雄ネジ46が形成してある。ダイス40の雄ネジ46は、図6に示すオリエンタ42の雌ネジ48に螺合するようになっている。本実施形態では、ダイス40に形成された吐出孔44の形状は、図4および図5(A)に示すように、十字形であり、十字の孔幅bが約2mm、孔高さhが約8mmである。
【0031】
図6に示すように、オリエンタ42は、長さ約90mm前後の方向付け用通路50を有し、図4に示すダイス40の吐出孔44から吐出されたクラム状ゴムの飛び出し方向を方向付けるようになっている。
【0032】
図1,2に示すように、押出型乾燥機6の出口側に装着してあるオリエンタ42の前方には、分散部材としての陣笠部材52が配置してある。陣笠部材52は、本実施形態では、円錐形状であり、円錐の底面の直径が約450mmであり、円錐の高さが約600mmである。この陣笠部材52は、その軸線が、押出型乾燥機の軸線と略平行な水平軸に対して、θ=約5〜30度の角度で傾斜して配置してある。その角度θの調節は、陣笠部材52を天井から吊り下げている2本以上の調整棒の長さや取付位置を調節することにより行う。オリエンタ42と陣笠状部材52との距離(オリエンタ52から吐出されたゴムが陣笠部材52に衝突するまでの距離)は、500〜1500mm程度が好ましい。オリエンタ42から吐出されたクラム状ゴムは、陣笠部材52の周面に衝突して、バンドドライヤー8の多孔バンド54へと向かい、その上に、均一に分散して堆積するようになっている。
【0033】
バンドドライヤー8は、ローラ53,55により搬送方向Aに移動させられる多孔バンド54を有する。多孔バンド54は、たとえば開口率が30〜40%程度に孔が形成されたステンレス製板材で構成してある。孔の大きさは、バンド54の上に堆積されるゴム58が落下しない程度の大きさである。バンド54の下方には、図示省略してあるノズルが配置してあり、そのノズルから乾燥用空気を、ゴム58が堆積されたバンド54の裏面から吹き付けるようになっている。
【0034】
乾燥用空気の温度は、本実施形態では、90°C程度である。乾燥用空気の湿度は、本実施形態では、空気1kgに対して、水0.005kgの湿度である。乾燥用空気の供給量は、本実施形態では、バンドドライヤーの1m2 当たり20〜30m3 /分程度である。
【0035】
本実施形態では、図1,2に示す多孔バンド54の上には、クラム状のゴム58が、厚みt=6〜8cmで堆積されるように、図示省略してあるセンサにより厚みtを検知し、バンド54の移動速度などを制御するようになっている。バンド54上で、部分的にゴム58の薄い層が存在すると、そこから乾燥用空気が逃げて、乾燥を良好に行えない。また、バンド54上にゴム58が厚すぎて堆積すると、乾燥用空気が通過せず、乾燥が不十分となる。
【0036】
本実施形態では、図1に示すように、ゴム58が堆積されたバンド54と、陣笠部材52と、オリエンタ42とを、ハウジング56で覆うように構成してあり、ハウジング56の内部の温度を一定とし、バンドドライヤー8での乾燥効率を向上させている。
【0037】
バンド54上に堆積された乾燥後のゴム58は、バンド54の面から剥離され、粉砕され、計量部へと排出される。乾燥後のゴムは、計量部で計量された後、成形され、外観検査が成された後、包装され出荷される。
【0038】
前述したように、図1に示す脱水機4へ供給されるゴムの含水率は、約50重量%である。このゴムは、脱水機4で脱水され、ゴムの含水率は、約8〜12重量%となる。このゴムが押出型乾燥機6内に供給され、内部でスクリュ36により送り込まれることにより、水を含むゴムは、水蒸気圧以上に圧縮される。このため、水を含むゴムは、図4に示すダイス40の吐出孔44から大気中に放出されるときに、膨張および破裂し、水分は蒸気となり、ゴムは、ポーラスなクラム状ゴムとなる。本実施形態では、ダイス40の孔形状を十字形状にしてあるため、ここから吐出されたゴムは、芯のない均一に乾燥した良好なポーラスなクラム状ゴムとなる。十字形状の吐出孔44とすることで、ゴムの中心部に含まれる水分も良好に膨張して蒸気となるためと考えられる。
【0039】
なお、本実施形態では、押出型乾燥機6の出口温度(ダイ部38付近のバレル温度)を従来に比較して低温にしてあるので、ダイス40から吐出された後のゴムの含水率は、約4〜7重量%である。
【0040】
ダイス40から吐出されたクラム状ゴムは、オリエンタ42により吐出方向が調節されて、図2に示すように、陣笠部材52に衝突する。陣笠部材52の周面に衝突したクラム状のゴムは、バンドドライヤー8の多孔バンド54の上に、均一に散らばる。多孔バンド54が移動することにより、その上に散らばって所定厚みtとなったクラム状ゴム58は、搬送方向Aに移動し、その途中で、下から吹き上げられる乾燥用空気に曝される。乾燥用空気は、バンドの多孔から所定厚みtのクラム状ゴム58を通過し、ゴムを乾燥させる。バンドドライヤー8での乾燥時間は、特に限定されないが、本実施形態では、8〜12分である。このバンドドライヤー8により、ゴム58は、0.5重量%以下、好ましくは0.4重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下に乾燥させられる。
【0041】
本実施形態では、押出型乾燥機6の出口温度を、従来に比較して低温に設定してあるので、ゴムの劣化を有効に防止することができる。また、本実施形態では、押出型乾燥機6の後に、バンドドライヤー8で乾燥するため、0.5重量%以下程度に十分に乾燥することができる。バンドドライヤー8では、ゴム58を搬送しながら、連続的に乾燥することができるので、ゴムの乾燥処理能力が低下することがなく、また、不良品が少なくなることから、逆にゴムの乾燥処理能力は、従来に比較して、約1.5倍程度(4.5t/時間)に増加させることができる。
【0042】
また、本実施形態では、ダイス40の孔形状を十字形状にすることで、ダイス40から吐出されるゴムの乾燥を均一なものとすることができる。さらに、押出型乾燥機6の吐出口に、ダイス40とオリエンタ42を装着し、オリエンタ42から吐出されたゴムが、陣笠部材52に衝突して多孔バンド54の上に、均一に散らばるように構成することで、バンドドライヤー8での乾燥も均一なものとなる。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0044】
たとえば、図4に示すダイス40に形成された吐出孔44は、図5(A)に示す形状に限らず、図5(B)に示す細十字形状の吐出孔44a、図5(C)に示す円形の吐出孔44b、図5(D)に示す三孔形状の吐出孔44c、スロット形状の吐出孔44cであっても良い。図5(B)に示す細十字形状の場合には、孔幅bが約1.5mmであり、孔高さhが約5mmである。図5(C)に示す円形の場合には、孔径は約4mmである。図5(D)に示す三孔形状の場合には、一つの孔の内径が約1.3mmであり、図5(E)に示すスロット形状の場合には、孔の短辺幅b1が約2mmであり、長辺幅b2が約8mmである。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0046】
実施例1
ゴムとして、溶液重合により製造されたSBRであり、平均分子量が20.0×104 であり、そのムーニー粘度(JIS K6300)が50であるSBRを用いた。このSBRを、図1に示す装置を用いて乾燥させた。脱水機4へ供給されたゴムの含水率は、50重量%であった。
【0047】
脱水機4で脱水した後のゴムの含水率は、10重量%であった。この10重量%の含水率のゴムを押出型乾燥機6で乾燥した。押出型乾燥機6の出口温度は130°Cに設定した。また、図4に示すダイス40としては、図5(A)に示す十字形の吐出孔44が形成してあるものを用いた。吐出孔44の孔幅bは、2mm、孔高さhは約8mmであった。このようなダイス40の先端には、図6に示すオリエンタ42を取り付けた。これらダイス40およびオリエンタ42は、5対準備し、図1に示す押出型乾燥機6のダイ部38に取り付けた。
【0048】
ダイス40から吐出されたゴムの含水率を調べたところ、5重量%であった。この5重量%の含水率のゴムを、図1に示す陣笠部材52に衝突させて、バンドドライヤー8の多孔バンド54上に均一に分散して堆積させた。バンド54上のゴム58の厚みtが7cmとなるように、バンド54の送り速度を調節した。バンド54としては、2mm×11.5mmの長孔が開口率31%で形成されたステンレス板材(厚み1.5mm)を用いた。
【0049】
所定厚みのゴム58が堆積されたバンド54の下方から吹き付けられる乾燥用空気の温度は、90°Cであり、その湿度は、空気1kgに対して、水分0.005kgの湿度である。この乾燥用空気の供給量は、バンドドライヤーの1m2 当たり20〜30m3/分であった。バンドドライヤー8で乾燥された後のゴムの含水率は、0.2重量%であった。なお、ゴムの含水率の測定は、JIS−K−6383に準じ、クラムを105℃±5℃で1時間乾燥した後デシケーター中で放冷し、乾燥前後の重量差を含水量とし、(含水量)/(含水量+乾燥前後の重合体)を百分率で算出した。
【0050】
このようにして乾燥されたゴムを目視により観察したところ、熱劣化が観察されず、また、粉化しないポーラスなゴムであることが確認された。
【0051】
比較例1
図1に示す押出型乾燥機6のダイ部38での温度を170°Cとなるように制御し、バンドドライヤー8を用いない以外は、前記実施例1と同様にして、ゴムを乾燥した。押出型乾燥機6から得られたゴムの含水率は、1〜2重量%であり、実施例1の押出型乾燥機のみで得られたゴムの含水率よりも低くなったが、ゴムの熱劣化が観察された。また、粉化したメリケン粉のようなゴムとなることが確認された。
【0052】
参考例1
図1に示すオリエンタ42および陣笠部材52を装着しなかった以外は、実施例1と同様にして、ゴムを乾燥した。乾燥されたゴムを観察したところ、熱劣化が観察されず、粉化しないポーラスなゴムであることが確認された。
【0053】
参考例2
図4に示すダイス40として、図5(C)に示す内径4mmの円形の吐出孔44bを持つものを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴムを乾燥させた。ゴムの熱劣化は観察されなかった。
【0054】
実施例2
ゴムとして、溶液重合により製造されたSBRであり、平均分子量が17.5×104 であり、そのムーニー粘度(JIS K6300)が45.0であるSBRを用い、押出型乾燥機6の出口温度を170°Cに設定した以外は、前記実施例1と同様にしてゴムの乾燥を行った。
【0055】
押出型乾燥機6のダイス40から吐出されたゴムの含水率を調べたところ、4重量%であった。また、バンドドライヤー8で乾燥された後のゴムの含水率は、0.2重量%であった。
【0056】
このようにして乾燥されたゴムを目視により観察したところ、熱劣化が観察されず、また、粉化しないポーラスなゴムであることが確認された。
【0057】
比較例2
図1に示す押出型乾燥機6のダイ部38での温度を260°Cとなるように制御し、バンドドライヤー8を用いない以外は、前記実施例2と同様にして、ゴムを乾燥した。押出型乾燥機6から得られたゴムの含水率は、1重量%であり、実施例2の押出型乾燥機のみで得られたゴムの含水率よりも低くなったが、ゴムの熱劣化が観察された。また、粉化したメリケン粉のようなゴムとなることが確認された。
【0058】
実施例3
ゴムとして、溶液重合により製造されたBRであり、平均分子量が46×104 であり、そのムーニー粘度(JIS K6300)が55.0であるBRを用い、押出型乾燥機6の出口温度を、BRの場合の好ましい温度(110〜150°C)である140°Cに設定した以外は、前記実施例1と同様にして、ゴムの乾燥を行った。
【0059】
押出型乾燥機6のダイス40から吐出されたゴムの含水率を調べたところ、4重量%であった。また、バンドドライヤー8で乾燥された後のゴムの含水率は、0.2重量%であった。
【0060】
このようにして乾燥されたゴムを目視により観察したところ、熱劣化が観察されず、また、粉化しないポーラスなゴムであることが確認された。
【0061】
比較例3
図1に示す押出型乾燥機6のダイ部38での温度を180°Cとなるように制御し、バンドドライヤー8を用いない以外は、前記実施例3と同様にして、ゴムを乾燥した。押出型乾燥機6から得られたゴムの含水率は、1〜2重量%であり、実施例3の押出型乾燥機のみで得られたゴムの含水率よりも低くなったが、ゴムの熱劣化が観察された。また、粉化したメリケン粉のようなゴムとなることが確認された。
【0062】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、押出型乾燥手段の出口温度を、従来に比較して低温に設定してあるので、ゴムの劣化を有効に防止することができる。また、本発明では、押出型乾燥手段の後に、バンド式乾燥手段で乾燥するため、0.5重量%以下程度に十分に乾燥することができる。バンド式乾燥手段では、ゴムを搬送しながら、連続的に乾燥することができるので、ゴムの乾燥処理能力が低下することがなく、不良品が少なくなることから、逆にゴムの乾燥処理能力は、従来に比較して増加させることができる。
【0063】
また、本発明では、ダイスの孔形状を特定形状にすることで、ダイスから吐出されるゴムの乾燥を均一なものとすることができる。さらに、押出型乾燥手段の吐出口に、ダイスとオリエンタを装着し、オリエンタから吐出されたゴムが、分散部材に衝突してバンド式乾燥手段の多孔バンドの上に、均一に散らばるように構成することで、バンド式乾燥手段での乾燥も均一なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係るゴムの乾燥装置の全体構成図である。
【図2】図2はオリエンタと分散部材との関係を示す概略図である。
【図3】図3はダイスとオリエンタとの関係を示す概略図である。
【図4】図4はダイスの縦断面図と正面図である。
【図5】図5(A)〜(E)はダイスの孔形状の例を示す概略図である。
【図6】図6(A),(B)はオリエンタの正面図と縦断面図である。
【符号の説明】
2… ゴムの乾燥装置
4… 脱水機
6… 押出型乾燥機
8… バンドドライヤー
35… バレル
36… スクリュ
38… ダイ部
40… ダイス
42… オリエンタ
44… 吐出孔
52… 陣笠部材
54… 多孔ベルト
58… ゴム
Claims (2)
- 押出型乾燥手段でゴムの含水率を4〜7重量%とした後、当該ゴムを分散部材に衝突させながら、移動可能なバンド上に載せ、1m 2 当たり20〜30m 3 /分の供給量の乾燥用空気を吹き付けることによりゴムの含水率を0.5重量%以下に乾燥させるゴムの乾燥方法。
- ゴムをスクリュで押し出し、ゴムの乾燥を行う押出型乾燥手段と、
押出型乾燥手段の吐出口近傍に設けられ、当該押出型乾燥手段から押し出されたゴムが衝突する分散部材と、
押出型乾燥手段から押し出されて乾燥され分散部材に衝突したゴムを、移動可能な多孔バンド上に載せ、1m 2 当たり20〜30m 3 /分の供給量の乾燥用空気を下から吹き上げて、さらにゴムを乾燥させるバンド式乾燥手段とを有するゴムの乾燥装置。
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