JP3664886B2 - 無機質板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、無機質板の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、プレス成形後においても表面地合の良好な、改善された環流式抄造法による無機質板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、瓦や外壁材等の無機質建材の製造法としては、セメント系原料の水性スラリーを抄造し、次いで脱水プレス成形と養生とを行って無機質板を製造する抄造法が知られている。また、この方法では、セメントや珪砂、フライアッシュ等からなるセメント系原料に、パルプやロックウール等の補強繊維材を配合して水性スラリーとするとともに、この水性スラリーに、抄造やプレス工程において発生した端屑や切断屑、あるいは養生後の製品屑等をリサイクル材として混入して抄造に再利用することが試みられている。
【0003】
このようなリサイクル材の利用は、原料コストの低減化や廃棄物の増大を回避する等の点において望ましいものと考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リサイクル材を混入する環流式抄造法による無機質板の製造においては、抄造後の原板シートの表面は凹凸が激しく、脱水プレス成形後の表面のできばえに影響を及ぼし、表面地合が実際上好ましくないという問題があった。
【0005】
抄造法以外の無機質板の製造については、リサイクル材を粉砕して利用することや、あるいはパルプ等の繊維を解繊する際の工夫等が各種提案されているが、抄造法による無機質板の製造においてのリサイクル材の扱いや、表面地合の改善方策についてはこれまでのところ望ましい提案はなく、依然として未解決の問題としてある。
【0006】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの問題点を解消し、リサイクル材を再利用する環流式抄造法による無機質板の製造に際して、抄造および脱水プレス成形後の表面地合の改善を図ることのできる新しい方法を提供することを特徴としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、セメント系原料と繊維材とにリサイクル材を混入して抄造する環流式抄造法による無機質板の製造方法であって、パルパー解繊した繊維材を、繊維材に対する水量を少くとも5倍重量となるようにして、その送液経路途中において湿式離解処理するとともに、リサイクル材を最大粒度が0.2〜0.5mmの粉体に粉砕した後に、粉体の全固形分重量に占める割合を15重量%以下として、この湿式離解された繊維材のスラリーとリサイクル材の粉体とをセメント系原料と混合し、次いで混合スラリーを2〜3mmメッシュのスラリースクリーンに通過させて異物除去した後に混合スラリーより抄造することを特徴とする無機質板の製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、以上のとおりの特徴を有するものであるが、以下に詳しくその実施の形態について説明する。
この発明の製造法においては、水性スラリーからの抄造による原反シート(グリーンシート)の作製とその後の脱水プレス成形、そしてオートクレーブ等による養生というプロセスそのものは従来と同様に考えることができる。そして水性スラリーを構成するための固形原料成分については、従来と同様のポルトランドセメント等のセメントと、珪砂、フライアッシュ等のケイ酸塩質材をはじめとする無機配合材とからなるセメント系原料、並びにパルプやロックウール等の天然または合成の補強短繊維からなる繊維材が考慮される。
【0009】
そして、この発明の製造方法においては、これら従来同様の固形成分に加えて、リサイクル材が用いられる。このリサイクル材は、抄造工程において発生した端屑や脱水プレス工程において発生した切断屑、あるいは養生後の製品屑等である。
これらのリサイクル材を水性スラリーに混合して抄造する際に、地合を改善するためにこの発明では前記のとおりの要件が採用される。すなわち以下のとおりである。
<A> パルパー解繊した繊維材をその送液経路途中において湿式離解処理し、その後セメント系原料並びにリサイクル材と混合する。
<B> リサイクル材を最大粒度が0.2〜0.5mmである粉体に粉砕し、その後、セメント系原料並びに繊維材と混合する。
<C> セメント系原料、繊維材並びにリサイクル材の粉体とを混合した水性スラリーは、2〜3mmメッシュのスラリースクリーンに通して異物を除去し、その後、水性スラリーより抄造する。
【0010】
送液途中での湿式解繊<A>は、水性スラリーを形成する水分を液相として繊維をセメント系原料とリサイクル材との混合域に送液する途中で行うこと、従って、離解は湿式で、押出しスクリュー型等の離解機をもって行われる。乾式パルパ解繊、あるいは湿式であっても解繊後にセメント系原料と混合する以前に貯溜させる場合には、この発明の処理は欠かせないものとなる。その理由は次のとおりである。パルプ等の短繊維の解繊能力はパルパー(解繊機)によって決まってしまい、ある能力以上は解繊が不可能となる。また、たとえ湿式解繊を行ったとしても、抄造のための水性スラリーに混合する前に貯溜すると二次凝集によって繊維集塊が生成してしまう。このため、パルプダマ等の繊維の集塊が解消されないことになり、これが原因となって抄造時には地合不良が生じていた。そこで、この発明においては、抄造用の水性スラリーへの混合のための送液途中でのさらなる湿式離解(離解リファイナー)処理することで繊維をほぐし、繊維集塊を解消し、表面地合を平滑とする。
【0011】
そして、この発明の湿式離解処理が行われた後は、貯溜することなしにセメント系原料およびリサイクル材との混合による水性スラリーの形成域に送られることになる。
リサイクル材の粉砕<B>については、前記のとおりその最大粒度が0.2〜0.5mmの範囲となるようにすることが欠かせない。この範囲とすることで、抄造後の原反シートの表面に目につく程の点在はなくなり、脱水プレス成形においては、表面に存在する粉体は板内部にもぐり込むことから表面平滑性が改善されることになる。
【0012】
最大粒度を0.2mm未満とすることは粉砕工程の負担が大きくなり、また表面地合の改善効果の向上にもさほど寄与しないことから、経済的ではない。一方、0.5mmを超えると目視による表面地合は悪くなる。しかも、スラリースクリーンの通過<C>では目詰りを生じることになる。
そして、リサイクル粉体には、繊維材はもとより、無機配合材、あるいはセメント集塊もからまりやすく、これらが表面地合を損うことになるとの観点からも、前記の0.2〜0.5mmの最大粒度の範囲は欠かせないのである。
【0013】
さらにまた、この発明のスラリースクリーンの通過<C>は、表面地合改善のための異物除去のために欠かせないものである。メッシュ(開口)は2〜3mmが最適である。これ以下の大きさではひんぱんに目詰りが発生し、また抄造後の原反シートの特性にとって必ずしも好ましくない。また3mmを超えると地合改善の効果は減少することになる。
【0014】
そして重要なことは、環流式抄造法による無機質板の製造においては、以上のとおりの
<A> 送液途中での湿式離解処理
<B> 最大粒度0.2〜0.5mmへのリサイクル材の粉砕
<C> 2〜3mmメッシュスラリースクリーンの通過
の要件はいずれか一つを欠いても表面地合の改善には実際的に寄与しないことである。ここで「実際的」としていることは、「実用商品としての評価において」という意味である。
【0015】
なお、抄造のための配合割合については、前記のリサイクル材の粉体は、全固形分重量に占める割合としては15重量%以下とするのが望ましい。より好ましくは12重量%以下である。
そして、セメントは、30〜70重量%、珪砂等のその他無機配合材は5〜20重量%、繊維材は10重量%以下の割合を目安とすることができる。
【0016】
固形分をもって水性スラリーとする場合には、全スラリー重量の30〜80%を水分量として考慮することができる。
抄造は丸網、長網等のいずれの方式でもよいし、また脱水プレス成形、養生も従来と同様の態様とすることもできる。特に限定されることはない。
【0017】
【実施例】
たとえば添付した図面の図1は、この発明の方法を実施するプロセスの構成を例示したものである。
たとえばこの図1に示したように、パルプ等の繊維材(1)は、パルパー(11)により解繊された後にポンプにより貯溜チェスト(12)に送られる。水と混合された繊維材は、混合槽(41)において抄造用水性混合スラリー(4)の形成のために供給される送液経路の途中において、離解機(13)により湿式離解処理される。
【0018】
この際に、送液のための水量は、水性混合スラリー(4)の形成のための水量の全量に相当するものであってもよいし、あるいはその一部でもよい。ただ、湿式離解処理を効果あるものとするためには、離解機(13)における繊維材に対する水量は、少くとも5倍重量、より好ましくは10倍重量となるようにする。
一方、リサイクル材(2)は、粉砕機(21)において最大粒度が0.2〜0.5mmの粉体となるように粉砕される。次いで粉砕されたリサイクル粉末は、タンク(22)および計量ホッパー(23)を経由して前記の混合槽(41)に投入される。
【0019】
また、セメント系原料(3)は、あらかじめ混合されて、もしくは別々に、計量ホッパー(31)により計量された後に所定量が混合槽(41)に投入される。
混合槽(41)において混合された水性混合スラリー(4)は、セメント系原料とともに、繊維材およびリサイクル材を含有している。
【0020】
生成された水性混合スラリー(4)は、次に貯溜チェスト(42)を経由して、この発明のスラリースクリーン(43)に送られ、これを通される時に異物が除去される。
その後、水性混合スラリー(4)は、ヘッドボックス(44)から、抄造機(5)のインレットボックス(51)に送られて、抄造が行われることになる。
【0021】
抄造された原反シートは、図示することは省略しているが、脱水プレスされ、オートクレーブ等により養生されて製品無機質板となる。
たとえば以上のプロセス構成によるこの発明の方法による表面地面の改善を評価した結果は、たとえば次のとおりである。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、環流式抄造法において、リサイクル材が活用されるとともに、プレス成形後において表面地合が良好で、平滑性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のプロセス構成を例示した図である。
【符号の説明】
1 繊維材
2 リサイクル材
3 セメント系原料
4 水性混合スラリー
5 抄造機
11 パルパー
12 貯溜チェスト
13 離解機
21 粉砕機
22 タンク
23 計量ホッパー
41 混合槽
42 貯溜チェスト
43 スラリースクリーン
44 ヘッドボックス
51 インレットボックス
Claims (1)
- セメント系原料と繊維材とにリサイクル材を混入して抄造する環流式抄造法による無機質板の製造方法であって、パルパー解繊した繊維材を、繊維材に対する水量を少くとも5倍重量となるようにして、その送液経路途中において湿式離解処理するとともに、リサイクル材を最大粒度が0.2〜0.5mmの粉体に粉砕した後に、粉体の全固形分重量に占める割合を15重量%以下として、この湿式離解された繊維材のスラリーとリサイクル材の粉体とをセメント系原料と混合し、次いで混合スラリーを2〜3mmメッシュのスラリースクリーンに通過させて異物除去した後に混合スラリーより抄造することを特徴とする無機質板の製造方法。
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JP23885198A JP3664886B2 (ja) | 1998-08-25 | 1998-08-25 | 無機質板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP23885198A JP3664886B2 (ja) | 1998-08-25 | 1998-08-25 | 無機質板の製造方法 |
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JP23885198A Expired - Fee Related JP3664886B2 (ja) | 1998-08-25 | 1998-08-25 | 無機質板の製造方法 |
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1998
- 1998-08-25 JP JP23885198A patent/JP3664886B2/ja not_active Expired - Fee Related
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