JP3664761B2 - 排気ターボ過給機の可変容量タービン - Google Patents

排気ターボ過給機の可変容量タービン Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は排気ターボ過給機の可変容量タービンに関する。
技術の共通性から半径流形のガスタービンにも適用可能である。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関は過給により、シリンダ容積や機関回転数を増すことなく、出力を増大させることが可能であり、中型ないし大型のディーゼル機関では、排気ガスのエネルギによって空気圧縮機の駆動仕事をまかなう排気タービン過給機が用いられている。
排気タービン過給機は圧縮機とタービンによって構成され、タービンには小型のものには半径流形、大型のものには軸流形が用いられ、排気ガスエネルギの有効利用のため、圧縮機のディフューザ、タービンのノズル/入口ガイドベーンの両者またはいずれか一方を可動にした可変容量過給機が使用されている。
【0003】
図3に可変容量タービンの第1従来例の部分縦断面図を示す。図3において、1は排気ガスの通路、2はベーン支持体、5は入口ガイドベーン、6はタービンケーシング、7はタービン翼車、8はリンクである。
図を参照してその構成と作用について説明する。可変容量タービンには、タービン翼車7外側の排気ガス入口部に複数枚の回動可能なガイドベーン5が配設されている。リンク8により該ガイドベーン5をその軸線を中心として回動させ、その開き角度を制御することによって、タービンの容量を変化させることができる。
【0004】
排気管路(図示されていない)を介して導入された排気ガスはタービンケーシング6の通路1を通って、ガイドベーン5により加速されタービン翼車7を駆動する。
なお、前記ガイドベーン5の自由端側端部とタービンケーシング6の間には、両者の熱膨張の差を見込んだ隙間Cを設けておく必要があり、ガイドベーン5の開度はリンク8を介して外部から遠隔制御される。
【0005】
図4に可変容量タービンの第2従来例の部分縦断面図を示す。図4において符号1,2および5〜8で示した要素の名称と作用は、図3に示した第1従来例の場合と同様である。符号4,9,10で示されている要素が第2従来例で新規に適用された要素で、4はプレート、9は段付きピン、10は板ばねである。
【0006】
構成と作用の概要は第1従来例と同様であるが、第1従来例での問題点であるガイドベーン5の自由端側端部とケーシング6内面との間の隙間Cの調整機構が設けられている。
ケーシング6内面のガイドベーン5の自由端側と対向する部位にはプレート4と板ばね10を嵌設させる穴が作成され、その穴径はプレート4の外径より大きく両者の間には許容嵌合隙間が設けられている。
図4に見られるように、前記嵌設穴に緩く嵌め込まれたプレート4は、段付きピン9を介してベーン支持体2との間に支持され、プレート4は板ばね10のばね力により、ガイドベーン5側に向かって押しつけられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
第1従来例の構成と作用は前記のとおりであるが次のようなことが解決を要する問題点として指摘されている。
エンジンの負荷に変動があると排気ガス温度は急激に変化する。排気ガスの温度が上昇したとき、ガイドベーン5は熱容量が小さいのですぐに昇温し膨張するが、タービンケーシング6は熱容量が大きいので、ガイドベーン5に較べて温度上昇も膨張も遅れる。従って、ガイドベーン5の自由端側端部とケーシング6の内壁面との間に、必要にして且つ充分な隙間Cが確保されていないと、排気ガス温度が上昇したときガイドベーン5の先端がケーシング6の内壁面に接触し、ガイドベーン5の回動が不可能になる。
【0008】
エンジンの負荷が減少して排気温度が低下するときは、ガイドベーン5の温度がケーシング6の温度より先に低くなり、該ガイドベーンの自由端側端部の隙間Cは定常状態のときより過大となる。
過大な隙間Cの発生はタービン効率の低下を招くため何らかの隙間調整機構を必要とする。なお、ガイドベーン5の素材として、耐熱性が優れていても熱膨張率の高いオーステナイト系の鋼材は使用できない。
【0009】
図4に示した第2従来例では、ガイドベーン5と段付きピン9の熱容量はほぼ同レベルであり、前記の隙間調整機構の作用により、温度が上昇する際も低下する際も隙間Cはほぼ設定幅で保たれる。
しかしながら、エンジンの排気ガスは高温であり、燃焼残滓物も含まれている。このため、使用中にクリープによって板ばね10のプレート4に対する押し付け力が弱くなる。また、プレート4と板ばね10を緩く嵌設させた穴とプレート4の嵌合隙間に燃焼残滓物が付着してプレート4の作動を妨げるようになり、ついには段付きピン9が熱膨張によりプレート4を前記嵌設穴に押し込んだ位置で固着する。このため、温度が定常の状態時にはガイドベーン5の自由端側端部の隙間Cが過大となり、タービン効率が低下する。
【0010】
本発明の目的は、前記問題点を解決し、簡潔な構成でタービンケーシングとタービン入口ガイドベーンの自由端側端部の隙間を一定に保持することにより、排気ガスエネルギーを有効に利用するタービン効率の高い排気ターボ過給機の可変容量タービンを提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の排気ターボ過給機の可変容量タービンは、排気ターボ過給機の可変容量タービンであって、タービン翼車(7)への排気ガスの入口部に配設されるとともにタービンケーシング(6)のベーン支持体(2)に片持ち状に支持されて支持軸の軸線を中心とする回動が可能な入口ガイドベーン(5)と、該ガイドベーンの自由端側端部との間に微小な隙間を形成してタービンケーシング(6)の軸受箱側内面に凹設された嵌設穴に摺動可能に嵌め込まれたプレート(4)と、前記入口ガイドベーンより上流の排気ガス通路(1)に配設され一端側を前記ベーン支持体(2)に設けた雌ねじ部に螺入して締結され他端側に前記プレートが固着され前記ベーン支持体(2)とは別体のプレート支持ボルト(3)とを有してなり、該プレート支持ボルト(3)と前記入口ガイドベーン(5)とは熱膨張係数が同一の素材で作成されていることを特徴とする。
【0012】
【作用】
エンジンから排出されたガスは排気管路を経てタービンケーシング6内に導入される。導入された排気ガスはガス通路1からタービン入口ガイドベーン5を経てタービン翼車7に流入し、該翼車を駆動する。
ガイドベーン5は自身の軸線を中心として回動するが、その開き角度は外部から遠隔制御され、タービンの容量を変化させることができる。
プレート支持ボルト3とガイドベーン5の素材は熱膨張係数が同じで、両者の熱容量もほぼ同一であるから、温度が上昇するときも低下するときもガイドベーンの自由端側端部とプレート4の外側面の間の隙間は一定に保たれる。
【0013】
【実施例】
図1に本発明の実施例に係る排気ターボ過給機の可変容量タービンの部分断面図を示す。図1において1,2,4〜8で示した要素の名称は図3、図4の従来例の場合と同様で、符号3で示した要素が新規の要素である。1は排気ガスの通路、2はベーン支持体、3はプレート支持ボルト、4はプレート、5は入口ガイドベーン、6はタービンケーシング、7はタービン翼車、8はリンク、11は軸受箱である。図を参照して実施例の構成と作用について説明する。
【0014】
エンジンから排出されたガスは図示されていない排気管路を介してタービンケーシング6内に導入される。導入された排気ガスはガス通路1からタービン入口ガイドベーン5を経てタービン翼車7へ流入し、該翼車を駆動する。
図1に示すように、ガイドベーン5の自由端側端部とプレート4の外表面の間の隙間調整要素として、プレート支持ボルト3がガイドベーン5の上流側に配設され、タービンケーシング6の前記軸受箱11側内面のガイドベーン5自由端側と対向する部位にはプレート4を嵌設させる穴4a凹設されている。
【0015】
図1に示すように、前記ベーン支持体2とは別体の前記プレート支持ボルト3は排気ガスの通路のガイドベーン5より上流側に配設され、その一端はベーン支持体2にねじで締結され、他端はケーシング6に凹設された穴4aに緩く嵌設されるプレート4にねじ/溶接によって固着される。なお、プレート支持ボルトの長さは、ガイドベーン5の自由端側端部とプレート4の外側面との間に、適正な隙間を形成し得るように設定して作成される。
【0016】
なお、前記プレート支持ボルト3とガイドベーン5は熱膨張係数が同一の材料で作成する。プレート支持ボルト3とガイドベーン5の熱容量差は小さいので同じ熱膨張となり、温度が上昇する場合も低下する場合もガイドベーン5の自由端側端部とプレート4の外側面との間の隙間は一定に保たれる。
【0017】
ガイドベーン5は、リンク8を介して自身の軸線を中心として図2に示すように回動するが、その開き角度は外部から遠隔制御され、タービンの容量を変化させることができる。
また、タービンケーシング6に形成されたプレート4を嵌設する穴の内周面はプレート4の外周面をガイドする機能を負担しないので、前記両周面の間には適正寸法の隙間を設けることができる。このため、燃焼残滓物によってプレート4がケーシング6の嵌設穴に固着するようなことはない。
【0018】
【発明の効果】
本発明によって次のような効果が得られた。
1.入口ガイドベーンの自由端側端部と、タービンケーシングに形成した嵌設穴に嵌め込んだプレートの外側面との間に設けた隙間が、経常的に一定に保たれるのでタービン効率が高い。
2.タービンケーシングに形成したプレートを嵌設する穴の内周面と、プレートの外周面との間には適正寸法の隙間を設けることができるので、燃焼残滓物によってプレートがケーシングの嵌設穴に固着されるようなことはない。
3.入口ガイドベーン及びプレート支持ボルトの素材として、耐熱性が高く、熱膨張係数の高い、例えばハステロイX等のオーステナイト系の耐熱鋼を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る排気ターボ過給機の可変容量タービンの部分断面図。
【図2】図1における入口ガイドベーン5とタービン翼車7の斜視図。
【図3】可変容量タービンの第1従来例の部分縦断面図。
【図4】可変容量タービンの第2従来例の部分縦断面図。
【符号の説明】
1…排気ガス通路、2…ベーン支持体、3…プレート支持ボルト、4…プレート、5…入口ガイドベーン、6…タービンケーシング、7…タービン翼車、8…リンク、9…段付きピン、10…板ばね、C…隙間。

Claims (1)

  1. 排気ターボ過給機の可変容量タービンであって、タービン翼車(7)への排気ガスの入口部に配設されるとともにタービンケーシング(6)のベーン支持体(2)に片持ち状に支持されて支持軸の軸線を中心とする回動が可能な入口ガイドベーン(5)と、該ガイドベーンの自由端側端部との間に微小な隙間を形成してタービンケーシング(6)の軸受箱側内面に凹設された嵌設穴に摺動可能に嵌め込まれたプレート(4)と、前記入口ガイドベーンより上流の排気ガス通路(1)に配設され一端側を前記ベーン支持体(2)に設けた雌ねじ部に螺入して締結され他端側に前記プレートが固着され前記ベーン支持体(2)とは別体のプレート支持ボルト(3)とを有してなり、該プレート支持ボルト(3)と前記入口ガイドベーン(5)とは熱膨張係数が同一の素材で作成されていることを特徴とする排気ターボ過給機の可変容量タービン。
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