JP3664434B2 - 樹脂劣化検知材料 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な樹脂劣化検知材料に関し、より詳しくは、樹脂の劣化を特性変化が顕著となる前に、検知し得る樹脂劣化検知材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂製品は、エンジニアリングプラスチック等、金属材料に匹敵する強度を獲得したものもあり、現在あらゆる分野において、種々の形状に成形され、有用に用いられている。一方、近年、製品の安全性や、信頼性、製造物責任(PL)、環境問題が、大きく取り上げられており、ガス管や、水道管等の管材やその被覆においても、阪神大震災の際に破損した鋼管に代わって、破損しない実績を証明した樹脂製品が構造材料として大幅に需要を伸ばしている。また、ダイオキシンなどの環境汚染問題から、包装・化粧品業界において、従来の塩化ビニルに代わって、有害物質を廃棄処理の際に発生しない、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系材料への全面的な代替移行が進行しつつある。
【0003】
また、IT技術の革新により、より高速の通信網が期待されており、その一つとして光ファイバーによる情報通信基盤の確保が実現しつつある。このような、光ファイバーを被覆する被覆管材料においても上記ポリオレフィン系樹脂が、注目されている。
【0004】
しかし、高分子材料は、空気、水、環境汚染、微生物などの環境因子、また、熱、光、電気、放射線等のエネルギー因子により、劣化が避けられない。このような劣化は、具体的には、分子構造、化学構造、高次構造の変化をきたし、物理特性、化学特性、外観、力学特性、電気的特性等の特性変化をおこす。
【0005】
一般に、ポリオレフィン系樹脂は、熱または紫外線等の光線への暴露による、樹脂の熱劣化、光劣化は避けられない。より詳しくは、ポリエチレン樹脂を例として説明すると、熱または紫外線によって、ポリエチレンの炭素−炭素結合にフリーラジカルが生じ、これと酸素分子が反応すると、ペルオキシラジカルが生成される。ペルオキシラジカルが自動酸化反応の主役となり、さらにポリエチレンを攻撃し、不安定なハイドロパーオキサイドと共に再度ラジカルを生じる。この過程が連鎖反応となり、主鎖切断による分子量の低下や、架橋反応によるゲル化が進行する。進行の停止は、種々の形態のラジカルが衝突し、安定生成物となる。上記反応により樹脂の端部に生成するカルボニル基は、赤外線吸収における、カルボニル基の吸光度により検出され、樹脂劣化の指標となる。図1は、上記メカニズムを図にしたものである。
【0006】
樹脂劣化が進行すると、炭素−炭素結合が切断され、さらに切断された分子同士の架橋反応のため、高分子中のモルフォロジーが変化する。この変化は、樹脂の機械的強度の低下を引き起こす。この劣化はマクロ的には、ガス管や、水道管、さらには光ファイバーの被覆管等の樹脂製品の表面、内部の亀裂の原因となり、影響は多大である。
【0007】
従って、高分子材料の大幅な需要増大に対応し、高分子材料の種々の使用環境における寿命を予測することは重要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、現在において、このような高分子材料の正確な寿命予測は困難であり、信頼性をできる限り高めた劣化促進試験により,寿命予測を行っているのが、実情である。また、需要が高まっているポリエチレンの光や熱の暴露による劣化については多くの研究がなされているが、いずれも反応機構を中心としたものにすぎず、積極的に寿命予測できる研究はなされていない。従って、樹脂の劣化を未然に検知し、劣化部分を交換することを可能とするために、劣化時期を正確に知る手段の開発が必要とされている。そこで本発明の目的は、劣化時期を予測し得る樹脂劣化検知材料を提供することにある。
【0009】
本発明者は、上記に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、樹脂劣化時期を事前に知ることのできる、樹脂劣化検知材料に想到した。すなわち、
本発明に係る樹脂劣化検知材料は、少なくとも、被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、色彩が変化する顔料とマトリックスの劣化を調整する樹脂劣化調整剤とを含有する層を含み、マトリックスの劣化を調整する樹脂劣化調整剤とを含有する層を含み、
被検知樹脂成形体の劣化に連動するように樹脂劣化調整剤により調整されたマトリックスの劣化時期と、色彩が変化する顔料の光や酸素による色変化時期とを合わせることにより、色の変化により被検知樹脂の劣化時期を検知しうる。
【0010】
また、本発明の樹脂劣化検知材料の他の要旨としては、少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(B層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、色彩が変化する顔料および被検知樹脂成形体のマトリックスの劣化を調整する樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
で構成され、
(A)層が、層の厚さにより前記色彩変化層の色変化時期を調整し、(B)層の色彩が変化する顔料の光や酸素による色変化速度と、樹脂劣化調整剤により調整されたマトリックスの劣化時期とが連動されることにより、色の変化により前記被検知樹脂の劣化時期を検知しうる。
【0011】
また、前記色彩が変化する顔料が、退色する顔料でありうる。
【0012】
本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の要旨としては、少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、色彩が退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(D層)標識顔料を含有する標識層、
の順に構成され、
(A)層の、層の厚さにより調整される前記マトリックスの劣化時期と、(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期とを合わせ、(C)層の顔料が退色して(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめることにより、前記被検知樹脂の劣化時期を検知しうる。
【0013】
本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の要旨としては、少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(E層)安定剤を含む標識層保護層
(D層)標識顔料を含有する標識層、
の順に構成され、
(A)層の層の厚さにより調整されるマトリックスの劣化時期と、
(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期とを合わせ、(C)層の顔料が退色して、(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめ、(E)層が(D)層の劣化を防止しうることにより、被検知樹脂の劣化時期を検知しうる。
【0014】
本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の要旨としては、少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(D層)標識顔料を含有する標識層、
(F層)色彩調整層(I)
の順に構成され、
(A)層の層の厚さにより調整されるマトリックスの劣化時期と、
(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期とを合わせ、(C)層の顔料が退色して、(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめ、(F)層が(D)層の色と被検知樹脂成形体の色との混色を防止しうることにより、被検知樹脂の劣化時期を検知しうる。
【0015】
本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の要旨としては、少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(G層)色彩調整層(II)
(D層)標識顔料を含有する標識層、
の順に構成され、
(A)層の層の厚さにより調整される前記マトリックスの劣化時期と、
(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期とを合わせ、(C)層の顔料が退色して、(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめ、(G)層の有する色が(D)層の色を緩和しうることにより、被検知樹脂の劣化時期を検知しうる。
【0016】
本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の要旨としては、少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(G層)色彩調整層(II)、
(D層)標識顔料を含有する標識層、
(F層)色彩調整層(I)
の順に構成され、
(A)層の層の厚さにより調整されるマトリックスの劣化時期と、
(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期と合わせ、(C)層の顔料が退色して、(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめ、(G)層の有する色が(D)層の色を緩和することができ、(F)層が(D)層の色と被検知樹脂成形体の色との混色を防止し得ることにより、被検知樹脂の劣化時期を検知しうる。
【0017】
本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の要旨としては、少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(G層)色彩調整層(II)、
(E層)安定剤を含む標識層保護層
(D層)標識顔料を含有する標識層、
(F層)色彩調整層(I)
の順に構成され、
(A)層の層の厚さにより調整される前記マトリックスの劣化時期と、
(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期とを合わせ、(C)層の顔料が退色して、(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめ、(G)層の有する色が(D)層の色を緩和することができ、(E)層が、(D)層の劣化を防止することができ、(F)層の色が前記(D)層の色と被検知樹脂成形体の色との混色を防止し得ることにより、前記被検知樹脂の劣化時期を検知しうる。
【0018】
また、前記劣化調整層が、被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に樹脂劣化調整剤を含みうる。
【0019】
また、前記色彩が変化する顔料または退色する顔料が、有機系顔料であり、さらに、アゾ系顔料またはフタロシアニン系顔料でありうる。特には、C.I.ピグメントレッドでありうる。
【0020】
また、前記標識顔料が、蛍光顔料またはフォトクロミック材料でありうる。
【0021】
また、前記樹脂劣化調整剤は、安定剤でありうる。
【0022】
前記標識層保護層が安定剤を含みうる。
【0023】
さらに、本発明の樹脂劣化検知材料は、厚さが、少なくとも10μm以上のフィルムでありうる。
【0024】
さらに、前記被検知樹脂成形体が、熱可塑性樹脂からなり、さらには、オレフィン系樹脂でありうる。特には、オレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂でありうる。
【0025】
【実施の形態】
本発明の樹脂劣化検知材料の実施の形態について、詳しく説明する。
【0026】
本発明の樹脂劣化検知材料は、樹脂成形体の劣化を検知し、適切な交換時期を知らせしめる目的で、樹脂成形体に付設させて用いられる。本発明の樹脂劣化検知材料を適用しうる樹脂成形体の材料である被検知樹脂としては、熱可塑性樹脂であれば適用可能であり、例えば、オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。特に、上記のように需要増大しているポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン等に好適に用いることができる。ポリオレフィン系樹脂の劣化は熱、光によるラジカル発生及び酸素による酸化が原因であり、高分子材料が劣化し表面に亀裂が発生すると、表面から酸素が侵入し劣化が進行する。
【0027】
本発明の樹脂劣化検知材料10は、基本的には、図2に示すような、劣化調整層(A層)12と色彩変化層(B層)14との組合せにより構成される積層体である。劣化調整層(A層)12は、被検知樹脂成形体16の劣化に連動して劣化する層であり、被検知樹脂成形体16の劣化検知時期に、急激に劣化し、酸素や、紫外線が透過することにより、下層の色彩変化層(B層)14に酸素や紫外線を導入する目的を有する。また、色彩変化層(B層)14は、顔料と樹脂劣化促進剤を含み、酸素、紫外線が到達すると、劣化が促進され顔料と紫外線および酸素が反応して急激に色彩に変化がもたらされ、検知時期を視覚により識別させる目的を有する。
【0028】
劣化調整層(A層)12について、説明する。劣化調整層(A層)12は、色彩変化層を被覆して本発明の樹脂劣化検知材料10の最上層にあり、被検知樹脂成形体16が使用される環境の影響を直接受け、外部環境の影響による被検知樹脂成形体16の劣化の指標となるよう、被検知樹脂成形体16の劣化に連動して劣化する。劣化調整層(A層)12は、劣化により、酸素や紫外線を外部環境から導入させ、色彩変化層(B層)14に酸素や紫外線が到達する時期を被検知樹脂成形体16の劣化時期の合わせて調整する目的を有する。被検知樹脂成形体16の交換時期は、被検知樹脂成形体16の材質による劣化の速度の相違、また、同様の材質であっても被検知樹脂成形体16の使用目的により相違する。従って、劣化検知時期は、これらの種々の要求に適合させて、劣化調整層(A層)12の厚さや、添加物質の種類、添加量により調節され得る。
【0029】
劣化調整層(A層)12のマトリックスとしての樹脂は、基本的には被検知樹脂成形体16と同一の材料である。従って、被検知樹脂成形体16が、高分子材料に種々のフィラーが添加されている場合は、そのフィラーを添加した同一の材料がマトリックスとなる。被検知樹脂成形体16が用途に耐え得る物性を保持している範囲でできるだけ寿命を長く使用させたいという要求から、被検知樹脂成形体16の劣化による物性低下時期より少し早く劣化するように調整される。
【0030】
膜厚と、劣化の程度の関係の知見より、劣化調整層の膜厚を決定することができる。図3は、12日間劣化させた空冷LDPE(低密度ポリエチレン)フィルムの厚み方向に対するカルボニル基の吸光度を示す。なお、光照射は、300サンシャインロングライフウェザーメータWEL−300LH(スガ試験機株式会社製)を使用し、カーボンは、東芝株式会社サンシャインウルトラロングライフカーボンSLEM−V,SLE−Lを使用し、ブラックパネル温度63℃、湿度60%、照射時間12日間の条件で行った。なお、この光照射の条件は、1000時間照射は、日本における1年分の紫外線照射量に相当する。カルボニル基の吸光度の測定は、12日間光照射した厚さ108μmのLDPEフィルムをミクロトームを用いて一定の幅に切断し、顕微FTIRを使用し、フィルム表面から厚み方向25μmおきに、50μm×21μm×108μmの範囲について順次測定した。
【0031】
この結果、表面部と内部ではカルボニル基の生成量に著しい差異が現れることがわかる。特に、中心部ほど急激にカルボニル基の生成量は減少している。つまり表面層での酸素が大量に消費されるため、酸素の試料内部への拡散が小さいことを示し、中心部(表面から約0.5mm)では、表面の約3分の1程度の酸素透過量であることが示唆される。
【0032】
従って、上記のように、高分子材料の膜厚と、被検知樹脂成形体に用いる樹脂の劣化の程度を定性的に知見し、そのデータをもとに、厚さにより劣化速度を調整することができる。この厚さを調整した層を、本発明の樹脂劣化検知材料10の劣化調整層(A層)12として、その下層である色彩変化層(B層)14に酸素が到達する時期を調整することができ、樹脂劣化の検知時期調整が可能である。
【0033】
また、劣化調整は、劣化調整層(A層)12のマトリックス中に、樹脂劣化調整剤を添加することによっても、行われ得る。樹脂劣化調整剤としては、熱や光に対する劣化を抑制するために、安定剤が用いられる。安定剤は、劣化反応のいずれかの段階で関与し、その進行を抑制する。
【0034】
劣化は、熱、紫外線や金属イオンなどの影響でラジカルが生成し、空気中の酸素による連鎖反応(自動酸化反応)によって、急激に進行する。このラジカル発生要因を除去する安定剤として、金属不活性化剤、紫外線吸収剤、クエンチャー等のラジカル連鎖開始阻止剤、HALS(ヒンダートアミン光安定剤)や、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等のラジカル捕捉剤、イオウ系酸化防止剤、リン系等酸化防止剤等のハイドローパーオキサイドのラジカル開裂を防止するハイドロパーオキサイド分解剤が効果を発揮する。
【0035】
クエンチャーは、励起されたエネルギーを消光する機能があり、有機ニッケル系化合物が挙げられる。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する機能を有し、例えば、ベンゾトリアゾールやベンゾフェノンがある。フェノール系酸化防止剤は、水素を供与し自らは安定なフェノキシラジカルとなることでラジカル連鎖反応を停止する機能を有し、ヒンダードフェノール系、セミ・ヒンダードフェノール系化合物が挙げられる。HALSは、紫外線を吸収せずに光により生成したラジカルを捕捉する働きがあり、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。イオウ系酸化防止剤は、ハイドロパーオキサイドを無害化する機能を有し、チオエーテル系化合物が挙げられる。リン系酸化防止剤は、3価のリン原子がROOHから酸素原子を引き抜き安定化し、自身は安定する機能があり、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物がある。これらは、単独であっても、2以上の併用であってもよく、それらの効果の程度により選択され得る。
【0036】
これらの安定剤の劣化調整層(A層)12への添加量は、被検知樹脂成形体のマトリックスに予め添加されている安定剤の添加量との関連および、膜厚との関連で、調整する。被検知樹脂成形体のマトリックス中に添加されている安定剤の量より、少なく添加すれば、被検知樹脂成形体より早く、劣化する。また、安定剤の添加量と紫外線吸収量とは相関するので、添加量により、劣化時期を調整することができる。図4は、マトリックスをHDPE(高密度ポリエチレン)として、HALSの添加量をHDPEの量に対し、1.0重量%、および0.5重量%とした場合の、フロリダ暴露による引張伸び残率の変化の比較を示したグラフである(出典:株式会社シーエムシー発行 大澤善次郎監修「高分子材料の長寿命化と環境対策」第25ページ 図2.6HDPEのフロリダ暴露による引張伸び残率の変化)。これは、安定剤の含量が多い程、機械的強度がより保持し得ることを示す。なお、安定剤無添加の比較例を示す。測定は、JIS K7113に準拠した。
【0037】
次に、色彩変化層(B層)14は、マトリックス中に、劣化促進剤および、色彩が変化する顔料を含む。マトリックスとしては、基本的には、被検知樹脂成形体16と同様の材料が好ましい。被検知樹脂成形体16以外の他の高分子材料が用いられる場合は、上層の劣化調整層(A層)の材料と反応を起こさない材料であり、また酸素、紫外線の到達により、紫外線、酸素と反応し、劣化促進剤の作用と相乗して、急激に劣化される材料である限度において、種々選択され得る。
【0038】
劣化調整層(A層)12の劣化が進行して亀裂が生じ、この微細な亀裂から、色彩変化層(B層)14にまで酸素が透過した際、この酸素透過によって、色彩変化層が急激に劣化し、含有されている顔料が紫外線、酸素に反応して色彩が急激に変化することが必要である。このため、色彩変化層(B層)14のマトリックスに劣化促進剤を添加する。色彩が変化する顔料との関連で、劣化促進剤の選択が重要である。色彩が変化する顔料の紫外線、酸素による反応が急激でない場合は、劣化促進剤を多く添加する等の調節が必要である。
【0039】
劣化促進剤としては、ラジカル発生剤、金属化合物、光増感剤等が挙げられる。これらは、マトリックスを構成する高分子の主鎖を切断し、酸素透過速度を急激に増加させる作用を示すため、劇的な色変化を惹起し劣化検知機能を付加する役割を有する。
【0040】
詳しくは、ラジカル発生剤は、高分子の重合時にラジカル重合開始剤として使用されるものがある。例えば、AMVN(2,2’-azobis(2,4-dimethylvaleronitrile)), AAPH(2,2’-azobis(2,4-aminopropane)dihydrochloride), AIBN(2,2’-azobis(4-methoxy-2,4-dimethyl valeronitrile),
AMBN(2,2’-azobis-2-methylbutyronitrile),
ADVN(2,2’-azobis-2,4-dimethyl valeronitrile),
ACHN(1,1’-azobis-1-cyclohexane carbonitrile),
MAIB(dimethyl-2,2’-azobis-4-cyanovaleric acid)等のアゾ系化合物や、BPO(ベンゾイルパーオキシド)等の有機過酸化物が挙げられる。また、マトリックスを構成する高分子内に共重合によりカルボニル基を導入することにより、自動酸化反応を促進させる働きをする。
【0041】
金属化合物は、金属錯体が光分解してラジカルを発生し、高分子の光劣化を促進する働きがあり、また、金属イオンの存在によって光が継続的にあたらなくても劣化は進行する。例えば、ジチオカルバメート錯体(Fe)、サリチルアルデヒド錯体(Co,Cu,Mn,Fe)、アセチルアセトン錯体(Fe,Co)等があり、また、TiやZr錯体と置換ベンゾフェノンを併用すると劣化促進されうる。
【0042】
光増感剤は、高分子の光分解に効果的であり、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン等の芳香族ケトン誘導体が例示される。光励起したベンゾフェノン類が、高分子から水素を引き抜き光酸化を開始するため劣化を促進する働きがある。
【0043】
このような劣化促進剤として、具体的には、Iron(III)Acetylacetatonate1級(Fe(CH3COCHCOCH3)3 ;FW=353.17) (片山化学工業株式会社製)、Cobalt(III)Acetylacetatonate1級(Co(CH3COCHCOCH3)3 ;
FW=356.26) (片山化学工業株式会社製)が例示される。劣化促進剤の含量は、色彩変化層のマトリックス全量に対し、例えば、Iron(III)Acetylacetatonateの場合、0.3重量%〜1重量%、Cobalt(III)Acetylacetatonateの場合、0.04量%〜1重量%が好ましい。
【0044】
次に、色彩変化層(B層)14に含まれる顔料としては、紫外線と酸素の導入により、分子構造が変化するもの、または、立体配置の異性化により色彩が明確に変化、または退色する範囲内で種々のものが用いられる。このような、顔料は、有機系顔料が好ましい。詳しくは、紫外線により顔料の構造に含まれる2重結合が壊れてラジカルが生じ、このラジカルと酸素が結合し結合が開裂し、分子構造が変化する顔料、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料の中で選択され得る。例えば、大日精化工業株式会社製のプラスチック用有機顔料である、シアニンブルー4920(青)、シアニングリーン2G0(緑)、A110レッド(赤)、セイカファーストエロー2200(黄)が例示される。また、立体配置の異性化により色彩が変化する顔料としては、アゾベンゼン系染料が例示される。色彩の変化する顔料の含量は、色彩変化層のマトリックス全量に対し、0.5重量%〜2重量%が好ましい。
【0045】
上記色彩変化層(B層)14に含まれる顔料は、明確な変色により、変化した後の色により、被検知樹脂成形体16の劣化時期を検知せしめる。または、退色することにより、被検知樹脂成形体16自体の有する色が、退色した色彩変化層(B層)14を通して現れることにより、樹脂の劣化を検知せしめる。
【0046】
本発明の樹脂劣化検知材料の他の実施態様としては、図5に示すように、上記色彩変化層と、劣化調整層を同一層とした態様18も可能である。詳しくは、被検知樹脂と同一材質のマトリックス中に、色彩が変化する顔料と樹脂劣化調整剤とを含有する一層構造としてマトリックスの劣化を防止することができる。ラジカル安定剤のラジカルを捕捉する能力がなくなったときに、マトリックスの劣化は急速に進行し、亀裂が生じて酸素を透過し、同時に紫外線も透過するようになる。紫外線、酸素が透過されるようになると、顔料は紫外線、酸素と反応し、色彩を変化させることとなる。従って、マトリックス中の樹脂劣化調整剤によりマトリックスの劣化時期を被検知樹脂成形体の劣化時期に対応して調整することが可能である。
【0047】
さらに、本発明の樹脂劣化検知材料の他の実施態様20としては、図6に示すように、退色する顔料を用いた色彩変化層(C層とする。)22の下層に、標識層(D層)24を設ける態様がある。退色する顔料を用いる色彩変化層(C層)22を含むこの実施例20は、被検知樹脂成形体16の色と相違する色が発現する方が視覚的に検知し易いので、好ましい。標識層(D層)24は、上層である色彩変化層(C層)22の顔料が、酸素との反応により退色する顔料であるために退色に伴い、色彩変化層(C層)22を通して表れる標識層(D層)24の有する顔料の色により、被検知樹脂成形体16の劣化時期を検知させる役割を有する。
【0048】
標識層(D層)24に含有され得る顔料としては、基本的には、検知時期まで光照射により変色せず安定な顔料であれば特に限定されず、種々の無機顔料、有機顔料が選択され得る。特には、蛍光顔料、またはフォトクロミック材料が挙げられる。蛍光顔料としては、ZnS:Ag,Al、Zn2SiO4:Mn2+ 、またはY2O2:Eu3+等のエレクトロルミネッセンスを発する蛍光体粉末を含む顔料が例示され、フォトクロミック材料としては、アゾ系材料、液晶材料、偏光材料、光誘起して色変化を惹起する金属アモルファス材料等がある。例えば、フルギドやジアリールエテン、ノルボルナジエン、スピロピラン、トリアリルメタン、スチルベン、アゾベンゼン、チオインディゴ、サリチリデンアニリン、ジヒドロキシアントラキノン等が挙げられる。このような材料を用いると、製品への適用過程において、標識層(D層)24の色を近くで観察することが困難な場合、遠方から光(例えば懐中電灯等)を照射して蛍光を発色することが可能であれば、明確に劣化箇所を発見することができる。
【0049】
標識層(D層)24のマトリックスは、基本的には被検知樹脂成形体と同一の材料であるが、光照射に安定な他の高分子材料であってもよい。マトリックスが、被検知樹脂成形体を含む光照射に不安定な高分子材料である場合、標識層(D層)24に安定剤を含有させ、光照射により標識層(D層)24が劣化することを防止することが好ましい。あるいは、図7に示す態様26のように、標識層(D層)24と色彩変化層(C層)22の間に、標識層(D層)24の保護層28として安定剤を含有する層(E層)を積層してもよい。安定剤としては、上記記載の物質を用い得る。
【0050】
本発明の樹脂劣化検知材料の、実施の態様のさらに他の例としては、図8に示すように、被検知樹脂成形体の有する色に左右されることを防止するために、標識層(D層)24の下層であって、被検知樹脂成形体16に使用した場合に被検知樹脂成形体16の表面に隣接させて色彩調整層(I)(F層)32を積層する態様30がある。色彩調整層(I)(F層)32には、被検知樹脂成形体16の色を相殺して標識層(D層)24の色と被検知樹脂成形体16の色が混色することを防止する顔料が含まれる。この顔料としては、光照射に対し変色せず安定な材料であれば特に限定されず、種々の無機顔料、有機顔料が選択され得る。その目的より、白色系顔料を含む不透明層であることが好ましい。また、色彩調整層(I)(F層)32のマトリックスは、基本的には被検知樹脂成形体16と同一の材料であるが、他の光照射に安定な高分子材料であってもよい。被検知樹脂成形体16を含む光照射に不安定な高分子材料である場合、標識層(D層)24に安定剤を含有させ、光照射により色彩変化層(C層)22が劣化することを防止することが好ましい。
【0051】
また、本発明の樹脂劣化検知材料の、実施の態様のさらに他の例34としては、図9に示すように、色彩変化層(C層)22の層の発色を明確にするため、標識層(D層)24の色が色彩変化層(C層)22に影響しないように、標識層(D層)24と色彩変化層(C層)22との間に、色彩調整層(II)(G層)36を積層し、標識層(D層)24の色を緩和してもよい。この色彩調整層(II)(G層)36には退色しやすい不透明な顔料を添加すると好ましく、淡色有機顔料または希薄な白色無機顔料を用いて、マトリックスには劣化促進剤を添加して層を構成する。この層に好ましい顔料としては、具体的には、大日精化工業株式会社製のプラスチック用有機顔料である、セイカファーストエロー2200(黄)、セイカファーストエロー2600(黄)や、デュポンジャパンリミテッド製の2酸化チタン(白)が挙げられる。
【0052】
本発明の樹脂劣化検知材料は、図10に示すように、劣化調整層(A層)12、色彩変化層(C層)22、標識層(D層)24の他、標識層(D層)24の下層に色彩調整層(I)(F層)32、標識層(D層)24と色彩変化層(C層)22との間に、色彩調整層(II)(G層)36を積層した態様38もある。
【0053】
さらには、本発明の樹脂劣化防止材料は、図11に示すように、劣化調整層(A層)12、色彩変化層(C層)22、標識層(D層)24の他、標識層(D層)24の下層に色彩調整層(I)(F層)32、標識層(D層)24の上に標識層保護層(E層)28、色彩変化層(C層)の下層に色彩調整層(II)(G層)36を積層した態様40もある。
【0054】
以上示した本発明の樹脂劣化検知材料の種々の態様は、選択する顔料等との関係で選択し得る。
【0055】
以上説明したような、本発明の樹脂劣化検知材料は、フィルム状の形状が好ましく、その厚さは、本発明の樹脂劣化検知材料が適用される、パイプ、線材、箱やケース等の一般成形品等、種々の被検知樹脂成形体の有する厚みや要求されている強度(例えば、ガス用ポリエチレン管では、JIS K6774により、引張強度180kg/cm2 以上、水道配水用ポリエチレン管では、PWA 001により引張降伏強さが20.0MPa(204kgf/cm2 以上)が要求されている。)との関係により種々選択し得るが、10μm以上であることが好ましい。
【0056】
本発明の樹脂劣化検知材料の使用方法としては、被検知樹脂成形体に付着させて用いられる。この場合、上記各層の積層体である本発明の樹脂劣化検知材料の劣化調整層(A層)を被検知樹脂成形体の設置される環境に直接接触する側にして、最下層を被検知樹脂成形体側として付着させる。付着の方法としては、接着、圧着等宿の公知の技術により実施されうる。接着の場合は、接着剤により接着または、接着層をさらに被検知樹脂成形体側の最下層として積層した積層体として、接着させ得る。
【0057】
例えば、被検知樹脂成形体の成形段階において、被検知樹脂成形体の表面層の1部として付加させうる。例えば、ガスや水道配管用等の管状物を成形する際、材料を溶融混練した後、管状に押出し成形する。別途製造した、本発明の樹脂劣化検知材料を一定幅のフィルム状としたものを、巻き出しつつ、この押出し成形されて吐出された管状物とともに、熱圧着ロールを通過させ、管状物の表面に本発明の樹脂劣化検知材料を設置させ得る。
【0058】
または、本発明の樹脂劣化検知材料に接着剤層を下層に付設したものを所望の幅のフィルム状として製品化し、被検知樹脂成形体の必要箇所に要する長さ分切り出して接着させる態様、あるいは、種々の形状のシール状とし、剥離紙に添付した製品とし、必要に応じて被検知樹脂成形体に貼付する態様もある。
【0059】
さらに、本発明の樹脂劣化検知材料は、被検知樹脂成形体に埋め込む使用方法もある。埋め込みは、被検知樹脂成形体に予め設置位置を凹部に形成してもよく、成形体の成形工程に埋め込み工程を付加してもよい。埋め込みの深さは、被検知樹脂成形体の要求される機械的強度により、選択されうる。
【0060】
以上説明したように、本発明の樹脂劣化検知材料は、被検知樹脂成形体の劣化を未然に検知することを可能とする。以上、本発明にかかる樹脂劣化検知材料の実施の形態の1例について説明したが、本発明は、これら実施の形態のみに限定されるものでなく、例えば、検知時期の異なるフィルムを複数種組み合わせたフィルムとすると、被検知体である樹脂製品に設置しておくと、検知時期により、被検知体の劣化の度合いを、段階的に知ることも可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施し得るものである。
【0061】
【実施例】
以下の本発明にかかる樹脂検知材料を用いた実施例を示す。本発明は、これらの実施例に限定されない。
【0062】
【予備試験1】
シアニンブルー4920、シアニングリーン2G0、A110レッド、セイカファーストエロー2200の4種類の有機性顔料を用い、これらがどの程度耐光性があるかを確認した。
【0063】
LDPEペレット(SCIENTIFIC POLYMER PRODUCTS.INC製 Mw=50,000)100gに対し、1wt%の上記顔料を添加し、混練用ミキサーR100H(株式会社東洋精機製作所製)で、170℃、10分間混練し、自然冷却後、粉砕器UGC−280KGS(株式会社ホーライ製)により粉砕した。上記LDPEのみのフィルム成形条件と同様の条件で、顔料を添加したLDPE粉末を厚さ0.5mmと50μmの2種類のフィルムに成形した。成形は、ホットプレス(テクノサプライ株式会社製;最高出力:700kgf/cm2)を用い、0.485mmのアルミニウム板および15μmのアルミニウム箔を型に使用し、表面をエタノールで充分洗浄したPETフィルム(東レ株式会社製;75μm厚)でLDPEペレットを挟み込んで、圧力100kgf/cm2 ,温度150℃で、余熱2分、プレス3分の条件で加圧し、フィルム状に成形した。その後、氷水中で急冷した。これらのフィルムを、シアニンブルー4920を添加したものをフィルム(B)、シアニングリーン2G0を使用したものをフィルム(G)、A110レッドを使用したものをフィルム(R)、シアニンブルー4920を添加したものをフィルム(B)、セイカファーストエロー2200を使用したものをフィルム(Y)とする。
【0064】
得られた、顔料を含有したLDPEフィルムに、キセノンロングライフウエザーメータSC250−W(スガ試験機株式会社製)を使用し、2.5kWのXeランプで、ブラックパネル温度63℃、湿度50%の条件で照射した。照射時間および照射エネルギーは、下表の通りである。
【0065】
【表1】
【0066】
35日間Xeランプ照射した予備試験を行い、退色度合いを検討した。図12にXeランプ照射した各種フィルムのカルボニル基の吸光度変化を示す。
【0067】
劣化による、退色程度を数値化するため、色差変化率を測定した結果を図13
に示す。それぞれの顔料によって、特徴的な退色傾向を示した。
【0068】
フィルム(R)は、光照射後まもなく急速に色差が生じ、20日以降は、ほぼ透明な状態で一定の値となった。一方フィルム(Y)は、光照射とともに徐々に退色する傾向を示し、フィルム(B),(G)は、14日までほとんど変化しない。この時期は、退色誘導期間とする。20日にかけて急激に変化を起こし、その後退色が停止する傾向を示した。
【0069】
上記予備実験1は、顔料の種類により、退色誘導期間が相違することを示した。従って、顔料の選択は、劣化促進剤との併用により、劣化時期を調整することができることを示唆する。
【0070】
【予備実験2】
無添加LDPEフィルムに、Xe光照射し、劣化程度を測定した。劣化指標としては、カルボニル基の吸光度変化、引張試験による破断応力、破断歪みの変化を測定した。
【0071】
カルボニル基の吸光度測定は、顕微フーリエ変換赤外分光分析装置FTIR−8300(株式会社島津製作所製;測定波数範囲:350〜7800cm−1)を用いて透過法により測定し、1715〜1720cm−1 付近に現れるカルボニル基の伸縮振動の吸光度により評価した。吸光度Aoは、試料の厚みをd(mm),ベースラインの透過度をIo ,1715cm−1 における透過度をI1715 としたとき、式(1)により求めた。単位は、mm−1 である。
【0072】
【数1】
【0073】
色差変化率は、標準白板色差変化率を、光スペクトロアナライザSZ−Σ80比色計(日本電色工業株式会社製)を使用し、表面色の色差を測定した。
【0074】
機械的強度の測定は、万能抗張力試験機5569型(インストン・ジャパン株式会社製)を使用し、JIS K7113(プラスチックの引張試験方法)、およびJIS K 7127(プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法)に準拠して、応力―ひずみ試験(破断応力、破断歪み)を行った。湿度23±2℃、相対湿度50±2%の恒温恒湿室で試験速度20mm/minで実施した。試料は、図14に示すミクロダンベル型試験片とした。結果を図15に示す。光照射は28日間行った。
【0075】
この結果より、約6日間までのXe光照射時間が劣化誘導期間であり、これを過ぎてから急速にカルボニル基吸光度が上昇している。これに伴い、破断応力と破断歪みが大きく低下している。従って、劣化検知が必要な物性低下基準は、約6日〜9日であることがわかった。
【0076】
【実施例】
ホットプレス(テクノサプライ株式会社製;最高出力:700kgf/cm2)を用い、0.485mmのアルミニウム板および15μmのアルミニウム箔を型に使用し、表面をエタノールで充分洗浄したPETフィルム(東レ株式会社製;75μm厚)でLDPEペレットを挟み込んで、圧力100kgf/cm2 ,温度150℃で、余熱2分、プレス3分の条件で、フィルム状に成形し加圧した。その後、氷水中で急冷し、厚さ50μmのLDPEのみのフィルムを製造した。
【0077】
LDPEペレット100gに対し、1wt%のA110レッド(商品名;大日精化工業株式会社製)を添加し、混練用ミキサーR100H(株式会社東洋精機製作所製)で、170℃、10分間混練し、自然冷却後、粉砕機UGC−280KGS(株式会社ホーライ製)により粉砕した。上記LDPEのみのフィルム成形条件と同様の条件で、顔料を添加したLDPE粉末を厚さ50μmのフィルム状に成形した。
【0078】
LDPEのみのフィルムを顔料を添加したフィルムにラミネートし、フィルム状の本発明の樹脂劣化検知材料を得た。ラミネートの条件は、ホットプレス(テクノサプライ株式会社製:最高出力:700kgf/cm2 )を用い、0.485mmのアルミニウム板を型に使用した。表面をエタノールで充分洗浄したPETフィルムの上に構成する各層の50μmのフィルムを重ね合わせた。
圧力50kgf/cm2 、温度140℃で、余熱1分、プレス1分の条件で、フィルム状に成形し、加圧した。その後、氷水中で急冷し、厚さ0.5mmの積層フィルム状に成形した。
【0079】
得られたフィルム状の樹脂劣化検知材料を、キセノンロングライフウエザーメータSC250−W(スガ試験機株式会社製)を使用し、2.5kWのXeランプで、ブラックパネル温度63℃、湿度50%の条件で9日間照射し、色変化を観察した。照射時間および照射エネルギーは、下表の通りである。
【0080】
【表2】
【0081】
上記積層フィルムは、Xe光照射6日から赤色が退色を始め、9日後に赤色から完全に無色となった。
【0082】
図15により、本実施例で想定する被検知樹脂成形体の材料であるLDPEは、10日を過ぎると急激に劣化が進行するため、上記のように、A110レッド を用いて9日に完全退色する樹脂劣化検知材料であるフィルムは、劣化直前の時期を確実に示した検知が実証された。
【0083】
【発明の効果】
本発明の樹脂劣化検知材料により、樹脂成形体の劣化時期が判断可能であり、構造材料に使用した場合、劣化による交換時期を明確にでき、劣化事故を未然に防止することができる。従って、機能的に問題がなければ、できるだけ長く材料を使用でき材料の長寿命化が可能となり、省資源化が図れる。本発明の樹脂劣化検知材料を用いることにより、環境負荷の少ないポリオレフィン系プラスチックの信頼性が向上し、環境に優しく、安全かつ長寿命に用いることができ、汎用プラスチックに付加価値を高めることができる。ひいては、情報通信基盤の信頼性を向上することができ、情報通信社会の推進が可能であり、安心して暮らせる社会の構築が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ポリオレフィンの樹脂劣化のメカニズムを図にしたものである。
【図2】 図2は、本発明の樹脂劣化検知材料の実施例10である。
【図3】 図3は、12日間劣化させた空冷LDPE(低密度ポリエチレン)フィルムの厚み方向に対するカルボニル基の吸光度を示すグラフである。
【図4】 図4は、HDPEのフロリダ暴露による引張伸び残率の変化を示したグラフである。
【図5】 図5は、本発明の樹脂劣化検知材料の他の実施例18である。
【図6】 図6は、本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の実施例20である。
【図7】 図7は、本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の実施例26である。
【図8】 図8は、本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の実施例30である。
【図9】 図9は、本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の実施例34である。
【図10】 図10は、本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の実施例38である。
【図11】 図11は、本発明の樹脂劣化検知材料のさらに他の実施例40である。
【図12】 図12は、Xeランプ照射した各種フィルムのカルボニル基の吸光度変化表すグラフである。
【図13】 図13は、光照射時間に対する顔料を含むLDPEフィルムの標準白板色差変化率を示したグラフである。
【図14】 図14は、ミクロダンベル型試験片の模式図である。
【図15】 図15は、無添加LDPEフィルムへのXe照射時間と劣化指標の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10、18、20、26、30、34、38、40;本発明の樹脂劣化検知材料の実施例
12;劣化調整層(A層)
14;色彩変化層(B層)
16;被検知樹脂成形体
22;退色する顔料を用いる色彩変化層(C層)
24;標識層(D層)
28;標識層(D層)の保護層(E層)
32;色彩調整層(I)(F層)
36;色彩調整層(II)(G層)
Claims (20)
- 少なくとも、被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、色彩が変化する顔料とマトリックスの劣化を調整する樹脂劣化調整剤とを含有する層を含み、
前記被検知樹脂成形体の劣化に連動するように前記樹脂劣化調整剤により調整されたマトリックスの劣化時期と、前記色彩が変化する顔料の光や酸素による色変化時期とを合わせることにより、色の変化により前記被検知樹脂の劣化時期を検知しうる、樹脂劣化検知材料。 - 少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(B層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、色彩が変化する顔料および前記被検知樹脂成形体のマトリックスの劣化を調整する樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
で構成され、
前記(A)層の層の厚さにより調整される前記マトリックスの劣化時期と、前記(B)層の色彩が変化する顔料の光や酸素による色変化時期とを合わせることにより、色の変化により前記被検知樹脂の劣化時期を検知しうる、樹脂劣化検知材料。 - 前記色彩が変化する顔料が、退色する顔料である、請求項1または請求項2記載の、樹脂劣化検知材料。
- 少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、色彩が退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(D層)標識顔料を含有する標識層、
の順に構成され、
前記(A)層の、層の厚さにより調整される前記マトリックスの劣化時期と、前記(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期とを合わせ、かつ(C)層の顔料が退色して前記(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめることにより、前記被検知樹脂の劣化時期を検知しうる、樹脂劣化検知材料。 - 少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(E層)安定剤を含む標識層保護層
(D層)標識顔料を含有する標識層、
の順に構成され、
前記(A)層の層の厚さにより調整される前記マトリックスの劣化時期と、
前記(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期とを合わせ、(C)層の顔料が退色して、前記(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめ、前記(E)層が前記(D)層の劣化を防止しうることにより、前記被検知樹脂の劣化時期を検知しうる、樹脂劣化検知材料。 - 少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(D層)標識顔料を含有する標識層、
(F層)色彩調整層(I)
の順に構成され、
前記(A)層の層の厚さにより調整される前記マトリックスの劣化時期と、
前記(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期とを合わせ、(C)層の顔料が退色して、前記(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめ、前記(F)層が前記(D)層の 色と被検知樹脂成形体の色との混色を防止しうることにより、前記被検知樹脂の劣化時期を検知しうる、樹脂劣化検知材料。 - 少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(G層)色彩調整層(II)
(D層)標識顔料を含有する標識層、
の順に構成され、
前記(A)層の層の厚さにより調整される前記マトリックスの劣化時期と、
前記(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期とを合わせ、(C)層の顔料が退色して、前記(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめ、前記(G)層の有する色が前記(D)層の色を緩和しうることにより、前記被検知樹脂の劣化時期を検知しうる、樹脂劣化検知材料。 - 少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(G層)色彩調整層(II)、
(D層)標識顔料を含有する標識層、
(F層)色彩調整層(I)
の順に構成され、
前記(A)層の層の厚さにより調整される前記マトリックスの劣化時期と、
前記(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期と合わせ、(C)層の顔料が退色して、前記(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめ、前記(G)層の有する色が前記(D)層の色を緩和することができ、前記(F)層が前記(D)層の色と被検知樹脂成形体の色との混色を防止し得ることにより、前記被検知樹脂の劣化時期を検知しうる、樹脂劣化検知材料。 - 少なくとも、
(A層)被検知樹脂成形体の劣化に連動して劣化する劣化調整層、
(C層)被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に、退色する顔料および樹脂劣化促進剤を含有する色彩変化層、
(G層)色彩調整層(II)、
(E層)安定剤を含む標識層保護層
(D層)標識顔料を含有する標識層、
(F層)色彩調整層(I)
の順に構成され、
前記(A)層の層の厚さにより調整される前記マトリックスの劣化時期と、
前記(C)層の退色する顔料の光や酸素による退色時期とを合わせ、(C)層の顔料が退色して、前記(D)層の標識顔料を視覚的に知見せしめ、前記(G)層の有する色が前記(D)層の色を緩和することができ、前記(E)層が、前記(D)層の劣化を防止することができ、前記(F)層の色が前記(D)層の色と被検知樹脂成形体の色との混色を防止し得ることにより、前記被検知樹脂の劣化時期を検知しうる、樹脂劣化検知材料。 - 前記劣化調整層が、被検知樹脂成形体と同一材質のマトリックス中に樹脂劣化調整剤を含む、請求項2乃至請求項9のいずれかに記載の樹脂劣化検知材料。
- 前記色彩が変化する顔料または退色する顔料が、有機系顔料である、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の樹脂劣化検知材料。
- 前記有機系顔料が、アゾ系顔料またはフタロシアニン系顔料である、請求項11記載の樹脂劣化検知材料。
- 前記有機系顔料が、C.I.ピグメントレッドを含む、請求項12記載の樹脂劣化検知材料。
- 前記標識顔料が、蛍光顔料またはフォトクロミック材料である、請求項4乃至請求項13のいずれかに記載の、樹脂劣化検知材料。
- 前記樹脂劣化調整剤が、安定剤である、請求項10記載の樹脂劣化検知材料。
- 前記標識層保護層が安定剤を含む、請求項5または請求項9記載の樹脂劣化検知材料。
- 厚さが、少なくとも10μm以上のフィルムである、請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の樹脂劣化検知材料。
- 前記被検知樹脂成形体が、熱可塑性樹脂からなる、請求項1乃至請求項17のいずれかに記載の樹脂劣化検知材料。
- 前記熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂である、請求項18記載の樹脂劣化検知材料。
- 前記熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂である、請求項19記載の樹脂劣化検知材料。
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