JP3663161B2 - 金属製バーナの製造方法及び金属製フィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温雰囲気や腐食性ガス雰囲気等で使用される輻射面燃焼式等の金属製バーナや金属製フィルタ係り、特に、高性能の金属製バーナ及び金属製フィルタとこれを安価に製造する製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、市販されている輻射面燃焼バーナは、粒状化セラミック材料またはセラミック繊維で形成された多孔質部材を備えたものが提供されている。この多孔質部材は、高温度の表面燃焼現境において熱衝撃および酸化に耐える能力を持ち、良好な酸化耐性を有する。しかし、極めて高い熱的や機械的応力に耐えることに限界がある。更に、セラミック材は脆く、且つ室温でさえ容易に破壊することが知られている。
【0003】
そこで、高温雰囲気や腐食性ガスの雰囲気等で使用される金属多孔質部材を備えた輻射面燃焼バーナとなる金属製バーナ(焼結バーナ)が提供されている。上記焼結バーナの製造方法としては、まず、クロムとアルミニウム及び希土類元素等を含有する耐熱鋼材料を伸線法で糸状に押出したり、棒状又は板状の金属材料を糸状に切削したりして糸状素材を形成し、この糸状素材を均等厚さに分散してフェルト状の耐熱鋼繊維を形成する。そして、上記耐熱鋼繊維をバッチ式の真空加熱炉で1200℃程度の温度に加熱して焼結処理を行なう。これにより、適度に収縮して所定の厚さを有する金属製バーナ(焼結バーナ)を製造する。上記金属製バーナ(焼結バーナ)は、高温度において高い酸化耐性を有し、且つ輻射面燃焼バーナ部材で生じる熱サイクルに対して耐性を発揮できる。
【0004】
しかし、バッチ式の真空加熱炉で長時間にわたり加熱して焼結処理を行なうことから、生産量が少なく製造コストが高くなるという問題がある。更に、焼結処理後の金属製バーナ(焼結バーナ)は、硬くて脆いため任意な形状(例えば、筒型)に成形し難く、筒型の燃焼体を成形する場合に曲げ力に対して容易に欠損してしまい、平面型に使用用途が限定されるという問題がある。
【0005】
一方、多孔質性を備えた金属製フィルタが市販されている。この金属製フィルタの製造方法としては、まず、耐熱鋼材を伸線法で糸状に押出したり、棒状又は板状の耐熱鋼材を糸状に切削したりして糸状素材を形成し、この糸状素材を均等厚さに分散してフェルト状とした耐熱鋼繊維を形成し、これを金属製フィルタとして使用している。しかし、この耐熱鋼繊維を使用した金属製フィルタは、使用するにつれて繊維の飛散が生じ、繊維落ちにより性能が低下したりするという欠点を有する。
【0006】
そこで、金属製フィルタとして、上記耐熱鋼繊維をバッチ式の真空加熱炉で1200℃程度の焼結処理を行い、繊維落ちを防止した金属製フィルタ(焼結フィルタ)を使用することが考えられる。
【0007】
しかしながら、上記耐熱鋼繊維を焼結処理して繊維落ちを防止した金属製フィルタ(焼結フィルタ)では、バッチ式の真空加熱炉で長時間にわたり加熱して焼結処理を行なうことから、上記金属製バーナ(焼結バーナ)と同様に、生産量が少なく製造コストが高くなるという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題に基づいてなされたもので、その目的とするところは、従来の焼結バーナや焼結フィルタと同等性能が得られるとともに、成形性に優れた金属製バーナや繊維落ちしない金属製フィルタを安価に製造する製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明の請求項1記載の金属製バーナの製造方法は、クロムとアルミニウム及び少量の希土類元素を含有する耐熱鋼繊維を均一厚さに分散させフェルト状としたバーナ素材を、加熱炉にて300〜700℃で加熱・焼鈍させ、その後に機械的圧力により圧縮成形したことを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4記載の金属製フィルタの製造方法は、クロムとアルミニウム及び少量の希土類元素を含有する耐熱鋼繊維又は一般耐熱鋼繊維を均一厚さに分散させフェルト状としたフィルタ素材を、加熱炉にて300〜700℃で加熱・焼鈍させ、その後に機械的圧力により圧縮成形したことを特徴とするものである。
【0011】
【作用】
本発明の請求項1記載の金属製バーナの製造方法は、クロムとアルミニウム及び少量の希土類元素を含有する耐熱鋼繊維を均一厚さに分散させフェルト状としたバーナ素材を、加熱炉にて溶融しない300〜700℃程度の比較的低い温度で加熱・焼鈍して金属製バーナが形成される。これで、耐熱鋼繊維の焼鈍圧縮壁部は柔らかくなり、薄い所定寸法に容易に圧縮加工できる。これにより、焼結バーナと同等の性能を有する金属製バーナを安価に製造することができる。
【0012】
また、請求項2記載の金属製フィルタの製造方法は、クロムとアルミニウム及び少量の希土類元素を含有する耐熱鋼繊維又は一般耐熱鋼繊維を均一厚さに分散させフェルト状としたフィルタ素材を、加熱炉にて300〜700℃程度の比較的低い温度で加熱して焼鈍される。これで、多孔質部材の耐熱鋼繊維の焼鈍圧縮壁部は、繊維同士が絡み合って結合され、繊維落ちがなくなる。従って、耐熱鋼繊維の焼鈍圧縮壁部の繊維落ちのない金属製フィルタを安価に製造することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の金属製バーナと金属製フィルタ及びそれらの製造方法の実施形態について説明する。図1は金属製バーナ及び金属製フィルタを製造する連続式製造装置を示し、図2は金属製バーナ及び金属製フィルタを製造するバッチ式製造装置を示す。図3は金属製バーナ及び金属製フィルタを製造する製造工程のフローチャートを示し、図4は金属製バーナ及び金属製フィルタの製造工程を示す。
【0014】
図1において、本発明の金属製バーナ又は金属製フィルタを製造する連続式製造装置100を説明する。まず、バーナ素材1は、クロムとアルミニウム及び少量の希土類元素(ランタンやイットリウム)を含有する耐熱鋼の棒状材または板材を細かく切削し、この切削物を整綿機によりエアで飛ばして積層させウェブ状とする。このウェブ状物をニードルマシンで絡ませてフェルト状にする。このフェルト状耐熱鋼繊維を均一厚さに分散させたロール状としてローラに巻付けたものである。(図4で後記する。)
【0015】
また、フィルタ素材1´は、クロムとアルミニウム及び少量の希土類元素を含有する耐熱鋼又は一般耐熱鋼の棒状材または板材を細かく切削し、この切削物を整綿機によりエアで飛ばしてウェブ状とする。このウェブ状物をニードルマシンで絡ませて耐熱鋼繊維とする。この耐熱鋼繊維を均一厚さに分散させたロール状としてローラに巻付けたものである。(図4で後記する。)
【0016】
上記ロール状に巻かれたバーナ素材1又はフィルタ素材1´は、ローラコンベア式の搬送機2により引き出して大気解放状態の汎用加熱炉3に供給される。上記加熱炉3は連続炉であって、各々電気ヒータH1,H2,H3等で加熱される予熱部4と、加熱部5と、保温部6から構成されている。上記保温部6には、高温状態のバーナ素材1又はフィルタ素材1´を圧縮加工し、その圧縮度合いを調節可能なロール圧縮装置7を配設している。上記ロール圧縮装置7は、高温状態のバーナ素材1又はフィルタ素材1´に対して、所定の厚さに機械的圧力を付与して圧縮成形する。上記ロール圧縮装置7の第2段で厚さ整形され、巻取機9により巻き取られる。
【0017】
上記ロール圧縮装置7の後段には、強制空冷装置8を配設し、高温状態のバーナ素材1又はフィルタ素材1´の温度を急冷させる。この強制空冷装置8の目的は、バーナ素材1又はフィルタ素材1´を焼入れ硬化するためのものである。この効用として、比較的広い面積の金属製フィルタにおいて、フィルタ自体に剛性を持たせられる。尚、上記強制空冷装置8は、各素材に剛性を必要としなければ省略することも可能である。
【0018】
上記連続式製造装置100における搬送機2には、速度制御手段SCを備えて移送速度を制御し、バーナ素材1又はフィルタ素材1´が連続炉3内で所定時間を経過して通過するようになっている。また、加熱部5には、熱源温度を調整する温度制御手段Hを備えている。この温度制御手段Hには、炉内温度の設定器Sと、炉内温度を計測する温度センサhと、温度表示器Tとを備え、バーナ素材1又はフィルタ素材1´の温度を設定した所定温度に加熱する。これにより、バーナ素材1又はフィルタ素材1´は、加熱温度と加熱時間とを制御され、素材の厚さを加熱温度とロール圧縮程度により均一化させることを可能としている尚、M1,M3は送り出し軸9A及び巻き取り軸9Bの駆動モータであり、M2は搬送機2の駆動モータである。
【0019】
次に、図2において、本発明の金属製バーナ又は金属製フィルタを製造するバッチ式製造装置200を説明する。まず、バーナ素材10又はフィルタ素材10´は上記の製造方法により製造したものを所定寸法のシート状としたものである。上記シート状のバーナ素材10又はフィルタ素材10´は、適当枚数に積重ねて大気解放状態となっているバッチ式の加熱炉(電気炉)30に供給される。上記加熱炉30は、シート状のバーナ素材10又はフィルタ素材10´を加熱して焼鈍させる。上記のように加熱・焼鈍された高温状態のバーナ素材10又はフィルタ素材10´は、加熱炉30から取り出され、クランク式プレス機40や油圧式プレス機40´等で所定の厚さに機械的圧力を付与して圧縮成形される。
【0020】
続いて、上記連続式製造装置100を使用した金属製バーナMB又は金属製フィルタMFの製造方法の実施例を説明する。図3のフローチャートと図4の製造工程において、まず、バーナ素材1又はフィルタ素材1´を「耐熱鋼の棒状材・板材の切削」101により形成する。この切削方法は、図4の(a)に示すように、ロール状に巻いた棒状材Bを旋盤のバイト刃B1により、線径20μm前後の糸状体Fに切削するものである。これを図4の(b)に示すように、整綿機によりエアで飛ばして積層させ均等厚さに分散したウェブ状の「ファイバーの生成」102をする。
【0021】
尚、上記バーナ素材1は、その各成分比率を図8の「鋼材検査成績証明書」に示す。この鋼材検査結果によると、耐熱鋼は、クロム19.62%(15〜22%)とアルミニウム5.00%(4〜5.2%)及び少量の希土類元素(ランタンやイットリウム)を含有するものである。また、フィルタ素材1´は、上記バーナ素材1と同じものか、又は一般耐熱鋼(フェライト系、オーステナイト系)等が使用される。
【0022】
続いて、上記ウェブ状物のファイバーFを、図4の(c)に示すように、ニードルマシンの針群N1,N2により「ニードルパンチでフェルトに生成」103して絡ませ、均一な厚さの耐熱鋼繊維SFとする。この耐熱鋼繊維SFが、図4の(d)に示すように、バーナ素材1又はフィルタ素材1´となり、これをロール状として「ロール状に加工した素材」104を形成する。
【0023】
上記バーナ素材1又はフィルタ素材1´は、加熱炉30に投入され「加熱」105される。上記加熱炉での加熱時間は約1時間程度で、その加熱温度は300℃〜700℃の範囲内に設定される。その最適温度は、600℃〜700℃である。この加熱により、図4の(e)に示すように、バーナ素材1には、耐熱鋼繊維の表面にアルミナ層Aが生成される。このアルミナ層Aは高温度において高い酸化耐性を与えるとともに、アルミナ層Aの中に生じた全ての亀裂が酸素の存在下で自己治癒するという効用を発揮する。この後に、図4の(f)に示すように、「焼鈍」106されて、バーナ素材1又はフィルタ素材1´の耐熱鋼繊維SFは、切削歪みが除去されるとともに、硬度も柔らかくなる。
【0024】
尚、更なる「空冷」107、即ち図1に示す強制空冷装置8により、バーナ素材1又はフィルタ素材1´の温度を急冷して焼入れ硬化することもある。この効用は、比較的広い面積の金属製フィルタMFにおいて、フィルタ自体に剛性を持たせることである。
【0025】
最後に、耐熱鋼繊維SFは、図1のロール圧縮装置7により「機械的手段で圧縮加工」108され、スプリングバックすることなく「所定厚さ寸法に仕上げ」109され、正確な厚さ寸法に圧縮形成される。以上の製造工程を経て、「金属製バーナMB又は金属製フィルタMFの完成」110となる。
【0026】
本発明の連続式製造装置100とこの製造方法によると、焼鈍処理で5mm程度の薄さとなる。金属製バーナMBにおいては、圧縮成形で1mm前後に成形可能になる。
【0027】
しかして、上記連続式製造装置100を使用しての金属製バーナMBの製造方法によると、バーナ素材1は、加熱炉にて300℃〜700℃程度の低い温度により加熱されアルミナ層が形成される。これで、高温度において高い酸化耐性を与えるとともに、アルミナ層の中に生じた全ての亀裂が酸素の存在下で自己治癒するという効用を発揮する。尚、300℃以下では加熱が不足して焼鈍ができず、繊維の飛散が生じる。また、700℃以上では、加熱炉では対応できず焼結炉が必要となり、焼結と同じになる。そして、その後焼鈍されることにより耐熱鋼繊維SFは切削歪みが除去されるとともに軟化し、薄い所定寸法に容易に圧縮加工される。この結果、焼結バーナと同等の性能を有する金属製バーナMBを安価に製造することができる。また、この金属製バーナMBは機械的圧力により二次成形したとき、脆さがないから欠損することなく任意形状に成形できる。
【0028】
また、上記連続式製造装置100を使用しての金属製フィルタMFの製造方法によると、フィルタ素材1´は加熱炉にて300℃〜700℃程度の低い温度により加熱した後、焼鈍されるから、切削歪みが除去されるとともに軟化し、薄い所定寸法に容易に圧縮加工される。これにより繊維が絡み合って結合し、繊維の飛散(繊維落ち)が防止される。従って、優れた耐食性、耐熱性を有し、且つ繊維の飛散の問題が生じない金属製フィルタMFを安価に製造することができる。
【0029】
上記バーナ素材1又はフィルタ素材1´の「加熱温度の焼鈍と圧縮性」の試験結果を、図9に示す。この試験結果によると、加熱前の厚さ3.8mmに対して、加熱温度300℃の加熱処理プレス圧縮後の厚さが1.73mmとなり、加熱前の厚さ4.05mmに対して、加熱温度400℃の加熱処理プレス圧縮後の厚さが1.8mmとなり、加熱前の厚さ4.37mmに対して、加熱温度500℃の加熱処理プレス圧縮後の厚さが1.72mmとなり、加熱前の厚さ4.03mmに対して、加熱温度600℃の加熱処理プレス圧縮後の厚さが1.2mmとなり、加熱前の厚さ4.37mmに対して、加熱温度700℃の加熱処理プレス圧縮後の厚さが0.925mmとなる。このデータから、その適用範囲は300℃〜700℃となり、特に600℃〜700℃の温度が最適値であることが確認できる。
【0030】
上記連続式製造装置100によって製造された金属製バーナMBは、図5に示す輻射面燃焼バーナ体300として使用できる。その構成は、前面により燃焼面を画成する多孔質部材からなる耐熱鋼繊維SFと、燃焼性ガス混合物Gをガス分配空間Kから多孔質部材の後面まで移送し、この多孔質部材の耐熱鋼繊維SFを通してその燃焼面まで移送する手段とを備えている。また、図6に示す輻射筒型燃焼バーナ体400として使用される。その構成は、前面より筒型燃焼面を画成する多孔質部材の耐熱鋼繊維SF´と、燃焼性ガス混合物Gをガス分配空間Kから多孔質部材の後面まで移送し、この多孔質部材の耐熱鋼繊維SF´を通してその燃焼面まで移送する手段とを備えている。
【0031】
上記輻射面燃焼バーナ体300と輻射筒型燃焼バーナ体400とにより、耐熱鋼繊維SF,SF´の焼鈍圧縮壁部は、その厚さ寸法が薄く形成されているとともに、その多孔質部材の孔密度が緻密で高く、燃焼ガスの透過率もその燃焼面全体にわたって均一となる。従って、輻射面燃焼バーナ体300や輻射筒型燃焼バーナ体400として高い燃焼効率が得られる。
【0032】
以下、本発明の金属製バーナMBをバーナ燃焼体として使用した場合の従来のバーナ燃焼体との比較について説明する。このようなバーナとしては、
1.ブンゼン式燃焼(家庭用のコンロバーナ)の主に真鍮の熱間鍛造バーナキャップをしたバーナが代表例である。
2.また、全一次式燃焼(ガスストーブの赤熱燃焼)でセラミックの多孔板を使用したものがある。
【0033】
上記ブンゼン式燃焼の場合は、青火燃焼で、最大燃焼量と最小燃焼量の比(TDR)が10倍程度(4000Kcal/h−400Kcal/h)にすることが可能である。しかし、炎の長さは火力に応じて長くなり、炎が五徳の筐体に触れると不完全燃焼となってCOが発生する。このため、炎から離して鍋などの被加熱体を置く必要があり、高効率の金属製バーナを作製する上での要点となる。
【0034】
また、全一次式燃焼の場合は、赤熱燃焼して燃焼するため炎は短く、鍋との距離もブンセン式に比較して、25mmが10mm〜15mmと短くすることが可能で熱効率が高くなる。しかし、コンロとして必要なTDRは20%程度しか取れず、コンロとして使用するには、例えば、4000Kcal/h−4000×80%=3200Kcal/hの火力調節範囲しか取れないので、吹きこぼれそうになって火力を絞っても絞れない器具になり、実用化できない。
【0035】
その理由は、従来品はセラミックであるため、燃焼面と裏面との温度差は、燃焼面温度900℃になった時、裏面温度が800〜850℃となり、逆火域に達することで最大燃焼量が規制され、最小燃焼量は、バーナの赤熱温度が700℃以上になる火力を必要とし、これ以下の温度で燃焼させると、未燃焼有毒ガスを発生させることとなるからである。
【0036】
しかし、本発明の金属製バーナMBをバーナ燃焼体として使用すると、(1)ブンゼン式燃焼と全一次式燃焼との利点を持ち合わせたものとなる。その利点とは、TDRが大きくとれること。ブンゼン式燃焼のTDRを10倍とすると、本発明の金属製バーナMBはTDRが30倍となる。(2)全一次式燃焼であるため、従来のセラミックバーナや焼結バーナと同様に燃焼時の炎が短い。しかし、セラミックバーナと比較して、バーナ燃焼温度と裏面温度の温度差が大きく、逆火燃焼が適切な空気抵抗率を有している範囲内において発生しないことである。この利点を生かして、燃焼ガスと一次空気とを適正燃焼範囲に供給することで、外炎が短く、赤熱燃焼で高TDRの金属製バーナMBとして提供できる。
【0037】
更に、上記連続式製造装置100によって製造された金属製フィルタMFは、図7に示す金属製フィルタ体500として使用できる。上記金属製フィルタ体は、金属製フィルタMFとこの両面に配置した網体AMとを、四隅のビスBとナットNとにより固定されている。この金属製フィルタ体500の金属製フィルタMFに、流体Rを通過させることにより不純物を取り除くことができる。
【0038】
即ち、多孔質部材からなる金属製フィルタMFは、多孔質部材に、クロムとアルミニウム及び少量の希土類元素を含有する耐熱鋼繊維又は一般耐熱鋼の焼鈍圧縮壁部を含ませたものであるから、その厚さ寸法が薄く形成されるとともに、その多孔質部材の孔密度が緻密で高く、浄化すべき気体・流体の透過率もその浄化面全体にわたり均一となる。従って、金属製フィルタを使用して浄化すべき気体・流体を通過させると所定の浄化作用が得られ、更に、汚れた金属製フィルタMFを洗浄することで、再利用ができる。また、圧縮加工することにより、繊維同士が絡み合って飛散が防止され、厚み密度による性能の維持ができる。
【0039】
本発明の金属製バーナMB又は金属製フィルタMFは、上記連続式製造装置100によるほか、バッチ式製造装置200においても実施可能である。このバッチ式製造装置200では、高生産性は望めないが、その他の作用効果は連続式製造装置100と同様であり、その説明を省略する。
【0040】
更に、本発明の製造装置は、上記連続式製造装置100やバッチ式製造装置200の実施装置に限定されず、その各部の構成手段を一部変更しても本発明の金属製バーナMB又は金属製フィルタMFやこの製造方法が実行できる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明の請求項1記載の金属製バーナの製造方法によると、焼結バーナと同等の性能を有する金属製バーナを安価に製造することができる。
【0042】
また、請求項2記載の金属製フィルタの製造方法によると、繊維落ちのない金属製フィルタを安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金属製バーナ及び金属製フィルタを製造する第1実施形態の連続式製造装置のシステム図である。
【図2】 本発明の金属製バーナ及び金属製フィルタを製造する第2実施形態のバッチ式製造装置のシステム図である。
【図3】 金属製バーナ及び金属製フィルタの製法を示すフローチャート図である。
【図4】 金属製バーナ及び金属製フィルタの製法を示す製造工程図である。
【図5】 本発明の金属製バーナを平面型とした断面図である。
【図6】 本発明の金属製バーナを筒型とした断面図である。
【図7】 本発明の金属製フィルタを展開して示す斜視図である。
【図8】 鋼材検査成績を示す説明図である。
【図9】 耐熱鋼繊維の焼鈍と圧縮性を示す説明図である。
【符号の説明】
1 バーナ素材
1´ フィルタ素材
2 搬送機
3 連続炉
4 予熱部
5 加熱部
6 保温部
7 ロール圧縮装置
8 強制空冷装置
9 巻取機
9A 送り出し軸
9B 巻き取り軸
10 バーナ素材
10´ フィルタ素材
30 電気炉(加熱炉)
40 クランク式プレス機
40´ 油圧式プレス機
100 連続式製造装置
200 バッチ式製造装置
300 輻射面燃焼バーナ
400 輻射筒型燃焼バーナ
500 金属製フィルタ体
H 温度制御手段
h 温度センサ
M1,M2,M3 駆動モータ
MB 金属製バーナ
MF 金属製フィルタ
S 設定器
SC 速度制御手段
SF,SF´ 耐熱鋼繊維
T 温度表示器
Claims (2)
- クロムとアルミニウム及び少量の希土類元素を含有する耐熱鋼繊維を均一厚さに分散させフェルト状としたバーナ素材を、加熱炉にて300〜700℃で加熱・焼鈍させ、その後に機械的圧力により圧縮成形したことを特徴とする金属製バーナの製造方法。
- クロムとアルミニウム及び少量の希土類元素を含有する耐熱鋼繊維又は一般耐熱鋼繊維を均一厚さに分散させフェルト状としたフィルタ素材を、加熱炉にて300〜700℃で加熱・焼鈍させ、その後に機械的圧力により圧縮成形したことを特徴とする金属製フィルタの製造方法。
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