JP3662483B2 - フェージング補償装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、移動体通信、特にディジタル移動通信において、受信信号が受けるフェージング変動を補償するフェージング補償装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は、例えば「奥村善久、進士昌明監修、移動通信の基礎、第6章、『ディジタル変復調』、電子情報通信学会(1986)」に掲載されている、従来の高速フェージング補償が行われる差動符号化位相変調の遅延検波受信装置を示すブロック図である。図において、101は差動符号化位相変調信号を準同期検波した信号(以下受信信号とする)s101を1シンボル時間だけ遅延させる1シンボル遅延部、102は1シンボル遅延部101によって遅延を受けた信号s102の複素共役化を行う複素共役化部、103は複素共役化部102の出力する信号s103と受信信号s101の複素乗算を行う複素乗算部、104は複素乗算部103の出力する信号s104を判定して復調信号s105を生成する判定部である。
【0003】
次に動作について説明する。
受信信号s101は1シンボル遅延部101に入力され、ディジタル変調信号の1シンボル時間の遅延を受け、信号s102として複素共役化部102に入力される。複素共役化部102ではこの信号s102の複素共役化を行い、当該信号s102と複素共役の関係にある信号s103を生成して出力する。受信信号s101はまた、複素共役化部102の出力する信号s103とともに複素乗算部103にも入力され、複素乗算部103にてそれら両信号の複素乗算が行われる。この複素乗算部103より出力される信号s104の位相は、1シンボル前の信号と現在のシンボルの信号との間の位相差である。この信号s104は判定部104に入力され、判定部104はそれより変調信号の信号点配置に基づいてデータを復号し、復号信号s105を出力する。
【0004】
このように、伝搬路により信号が受ける位相回転が、現在のシンボルと1シンボル前の2シンボル区間の間で一定とみなせる場合には、復号信号s105は差動符号化された位相変調方式により送信された送信信号を正しく復調することができる。しかしながら、遅延検波方式は直交振幅変調方式などの高能率変調方式の復号には適用することができず、また、移動体が高速で移動した場合には、マルチパスフェージング変動による位相変動が高速となるため、現在のシンボルと1シンボル前の2シンボル区間内で一様とみなすことができなくなって、伝送特性の劣化が避けられないものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の差動符号化位相変調の遅延検波受信装置におけるフェージング補償は以上のように行われているため、マルチパスフェージング変動による位相変動が高速なフェージング通信路では、伝送特性の劣化を保証することが困難であるという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、高速に変動するフェージング通信路における伝送特性の劣化を改善することができるフェージング補償装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るフェージング補償装置は、移動体の速度と受信信号のシンボル同期信号を入力とし、前記移動体のシンボルタイミングにおける位置からの当該移動体の移動距離を推定する移動距離推定部と、複数のアンテナが前記移動体の進行方向と同一方向に直線状に配置されたアンテナ列の前記各アンテナからの各受信信号と、前記移動距離推定部の推定した前記移動体の移動距離を入力とし、移動体外部からの相対位置が固定された地点における受信信号を算出することでフェージング変動を補償した補償受信信号を生成する補償受信信号生成部と、前記補償受信信号生成部が生成した補償受信信号を入力とし、前記移動体のシンボルタイミングを推定してシンボル同期信号を生成するシンボル同期推定部とを備えたものである。
【0008】
この発明に係るフェージング補償装置は、補償受信信号生成部を内挿演算部で形成し、アンテナ列の各アンテナからの各受信信号と移動距離推定部からの移動距離信号を入力として内挿処理を行うことにより、フェージング変動を補償した補償受信信号を推定するようにしたものである。
【0009】
この発明に係るフェージング補償装置は、補償受信信号生成部を受信信号選択部で形成し、移動距離推定部からの移動距離信号に応じてアンテナ列の各アンテナの受信信号を選択することによって、フェージング変動を補償した補償受信信号を生成するようにしたものである。
【0010】
この発明に係るフェージング補償装置は、補償受信信号生成部を、重み付け合成部と重み係数生成部とによって形成し、その重み係数生成部が移動体の移動距離に応じて生成した重み係数を用いて、アンテナ列の各アンテナからの受信信号に対する重み付け処理を重み付け合成部で行った後、それらの合成を行うことによって、フェージング変動を補償した補償受信信号を生成するようにしたものである。
【0011】
この発明に係るフェージング補償装置は、補償受信信号生成部として、アンテナ列の各アンテナからの受信信号に重み付け処理を行って合成し、移動体の移動距離に対応した地点におけるフェージング変動を補償した補償受信信号を生成する重み付け合成部と、前記重み付け合成部における重み付け処理のための、前記移動体の移動距離に応じた重み係数を生成する重み係数生成部とを用い、前記重み係数生成部として、移動体距離推定部で推定された移動体の移動距離に基づいて、重み付け合成部における重み付け処理のための重み係数を推定する重み係数推定部を用いたものである。
【0012】
この発明に係るフェージング補償装置は、補償受信信号生成部として、アンテナ列の各アンテナからの受信信号に重み付け処理を行って合成し、移動体の移動距離に対応した地点におけるフェージング変動を補償した補償受信信号を生成する重み付け合成部と、前記重み付け合成部における重み付け処理のための、前記移動体の移動距離に応じた重み係数を生成する重み係数生成部とを用い、前記重み係数生成部として、移動体距離推定部で推定された移動体の移動距離における、重み付け合成部による重み付け処理のための重み係数をあらかじめ記憶しておく重み係数記憶部を用いたものである。
【0013】
この発明に係るフェージング補償装置は、偶数シンボルタイミングの時点における移動体の移動距離に対応した地点の高速フェージング変動を第1の補償受信信号生成部によって、奇数シンボルタイミングの時点における移動体の移動距離に対応した地点の高速フェージング変動を第2の補償受信信号生成部によってそれぞれ補償するとともに、その第1の補償受信信号生成部より出力される補償受信信号を第1のディジタル復調部において、第2の補償受信信号生成部より出力される補償受信信号を第2のディジタル復調部においてそれぞれ復調し、これら第1のディジタル復調部で復調された復調出力と第2のディジタル復調部で復調された復調出力を切り替え部に入力してその一方を選択し、復調信号として出力するようにしたものである。
【0014】
この発明に係るフェージング補償装置は、シンボル同期信号からずれたシンボルタイミング時点を開始点とする、異なる位置における移動体の移動距離に対応した地点の高速フェージング変動を、第1〜第mの補償受信信号生成部において補償し、それら各補償受信信号生成部より出力されるm個の補償受信信号を、それぞれ各補償受信信号生成部に対応付けられた第1〜第mのディジタル復調部において復調した後、これら各ディジタル復調部の復調出力を合成部に入力して合成し、復調信号として出力するようにしたものである。
【0015】
この発明に係るフェージング補償装置は、第1〜第mの補償受信信号生成部より出力されるm個の補償受信信号を、合成部に入力して合成した後、その合成部より出力される合成信号をディジタル復調部で復調し、復調信号として出力するようにしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるフェージング補償装置の構成を示すブロック図である。また、図2はそのアンテナ列の配置を示す配置図で、同図(a)には上面図が、(b)には側面図がそれぞれ示されている。
【0017】
図1において、11は移動体(図示省略)の移動速度信号s11と、後述するシンボル同期推定部からのシンボル同期信号を入力として、シンボルタイミング時点における位置からの移動体の移動距離を推定し、その移動距離信号s12を出力する移動距離推定部である。12はこの移動距離推定部11の出力する移動距離信号s12と、図2に示すように移動体の進行方向と同一方向に直線状に配置された、K個のアンテナ31〜3Kで形成されるアンテナ列にて受信された受信信号(具体的には受信信号の準同期検波出力)s31〜s3Kを入力として、移動体の移動距離に対応した地点における高速フェージング変動を補償し、補償受信信号s13を生成・出力する補償受信信号生成部であり、この実施の形態1においては、アンテナ列からの受信信号s31〜s3Kを内挿処理して補償受信信号s13を推定する内挿演算部が用いられている。
【0018】
13は内挿演算部12からの補償受信信号s13を入力としてシンボルタイミングを推定し、シンボル同期信号s14を生成して前述の移動距離推定部11に入力するとともに、それを後述するディジタル復調部にも送るシンボル同期推定部である。14はこのシンボル同期推定部13からのシンボル同期信号s14と内挿演算部12からの補償受信信号s13とを入力とし、シンボル同期信号s14に従って補償受信信号s13のディジタル復調を行って復調信号s15を出力する、前述のディジタル復調部である。
【0019】
また、図2において、30はアンテナ列を構成するK個のアンテナ31〜3Kが配列された移動体の筐体であり、s31〜s3Kはそれぞれ対応する各アンテナ31〜3Kにより受信された準同期検波後の受信信号である。図2に示すように、この筐体30上には、各アンテナ31〜3Kが移動体の移動方向に平行した直線上に、間隔d(m)で配列されている。
【0020】
次に動作について説明する。
ここで、この実施の形態1によるフェージング変動補償装置においては、移動体により測定された移動速度信号s11をv(m/s)とする。まず、移動距離推定部11において、シンボル同期信号s14を基準とする時刻における移動体の移動距離が計算される。そのときこの移動距離推定部11より出力される移動距離信号s12をx、シンボルタイミング時点からの経過時間をtとすると、時間tにおける移動距離xは次の式(1)のように表される。
【0021】
【数1】
【0022】
次に、アンテナ列の(k+1)番目のアンテナ3(k+1)によって受信された受信信号s3(k+1)をrk (t)とする。各アンテナ31〜3Kの受信信号s31〜s3Kは内挿演算部12に入力され、アンテナ31からx(m)離れた点における受信信号r(t)が求められる。この地点の受信信号r(t)は次に示す式(2)で示される内挿処理によって推定される。
【0023】
【数2】
【0024】
ここで、この式(2)におけるf(x)は内挿処理を表す関数である。内挿演算として一次内挿を適用する場合、このf(x)は次の式(3)となる。
【0025】
【数3】
【0026】
また、より高精度な内挿処理を行う場合、f(x)として次の式(4)に示す関数を用いることも可能である。
【0027】
【数4】
【0028】
ここで、図2におけるアンテナ31から距離xだけ離れた点Pは、移動体から見て進行方向とは逆方向に移動体の移動速度と等しい速度で移動している。この点Pについて移動体の外部を基準として見ると、内挿処理を行っている期間、相対的にはこの点Pは移動していない。そのため、上記式(2)に基づいて内挿演算部12により求められた補償受信信号s13は、内挿処理を行っている期間、アンテナ31を停止して受信した場合の受信信号の補償受信信号とみなすことができる。このことから、この発明の実施の形態1によるフェージング補償装置を用いることにより、高速フェージング変動による伝送特性の劣化を改善することが可能となる。
【0029】
ここで、計算機シミュレーションによって求めた、この発明の実施の形態1によるフェージング補償装置で補償を行った場合の誤り率特性と、その補償を行わなかった場合の誤り率特性との比較結果を図3に示す。なお、ここでは、変調方式として48キャリア直交周波数多重伝送方式を仮定し、各副搬送波の変調方式として4相差動符号化位相変調方式を、復調方式として遅延検波方式をそれぞれ仮定している。また、直交周波数多重伝送時の離散フーリエ変換窓幅を64、ガード区間長を12とし、アンテナ列のアンテナ数は2、アンテナ間隔は0.1波長としている。また、内挿処理は次に示した式(5)で表される直線内挿を用いており、この式(5)は式(1)と式(2)から直ちに導き出すことができるものである。
【0030】
【数5】
【0031】
図3において、横軸は変調信号の1シンボル当たりで正規化した最大ドップラー周波数(fdTs)であり、縦軸は誤り率(Bit Error Rate)である。なお、“□”によるグラフはビット当たりのエネルギーコントラスト比(Eb/N0)が30dBの場合に、フェージングの補償を行わなかったときのビット誤り率を示し、“■”によるグラフはビット当たりのエネルギーコントラスト比(Eb/N0)が30dBの場合に、この実施の形態1による高速フェージング補償を行ったときのビット誤り率を示している。また、“○”によるグラフはビット当たりのエネルギーコントラスト比(Eb/N0)が40dBの場合に、フェージングの補償を行わなかったときのビット誤り率を示し、“●”によるグラフはビット当たりのエネルギーコントラスト比(Eb/N0)が40dBの場合に、この実施の形態1による高速フェージング補償を行ったときのビット誤り率を示している。
【0032】
この図3に示すように、フェージングの補償を行わなかった場合には、最大ドップラー周波数(fdTs)の増加とともにビット誤り率特性が急速に劣化している。一方、この実施の形態1によるフェージング補償装置を用いて高速フェージング変動の補償を行った場合には、ビット誤り率特性の劣化を改善することができることがわかる。
【0033】
以上のように、この実施の形態1によれば、移動体の移動にかかわらず、受信を行う間、アンテナ位置を等価的に周囲に対して固定することができるので、高速フェージング変動の影響を補償することが可能になるという効果が得られる。
【0034】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、アンテナ列の各アンテナ31〜3Kからの受信信号を内挿演算処理することによって、高速フェージング変動を補償するものについて説明したが、内挿演算処理の代わりにアンテナ列からの各受信信号を切り換え・選択することによって、高速フェージング変動を補償することも可能である。図4はそのようなこの発明の実施の形態2による高速フェージング変動補償装置の構成を示すブロック図である。
【0035】
図4において、11は移動体の移動速度信号s11とシンボル同期信号s14を入力として移動体の移動距離を推定する移動距離推定部、13は補償受信信号s13を入力としてシンボル同期信号を生成するシンボル同期推定部、14は補償受信信号s13とシンボル同期信号s14を入力とし、補償受信信号s13のディジタル復調を行って復調信号s15を出力するディジタル復調部であり、これらは図1に同一符号を付して示した実施の形態1におけるそれらと同等の部分である。また、15は移動距離推定部11からの移動距離信号s12と、アンテナ列の各アンテナ31〜3Kからの受信信号s31〜s3Kとを入力として、移動距離信号s12に応じて受信信号s31〜s3Kの切り替えを行ってその中の1つを選択し、それを補償受信信号s13としてシンボル同期推定部13およびディジタル復調部14に出力する補償受信信号生成部としての受信信号選択部である。
【0036】
次に動作について説明する。
このフェージング変動補償装置において、まず移動距離推定部11が実施の形態1の場合と同様に、移動体の移動速度信号s11とシンボル同期推定部13からのシンボル同期信号s14より、移動距離信号s12を推定して受信信号選択部15に送出する。受信信号選択部15はこの移動距離信号s12と各アンテナ31〜3Kの受信信号s31〜s3Kとを入力とし、次に示す式(6)に基づいて、k番目のアンテナ3kからの受信信号s3kを選択し、それを補償受信信号s13として出力する。ただし、この式(6)中の[x]はxを超える最小の整数である。
【0037】
【数6】
【0038】
このようにして、受信信号選択部15により選択されたアンテナ3kの移動体外部から見た相対的な位置は、選択を行っている期間は移動していないとみなせる。この補償受信信号s13はシンボル同期推定部13とディジタル復調部14に送られ、これらシンボル同期推定部13とディジタル復調部14は実施の形態1の場合と同様に動作して、シンボル同期推定部13からはシンボル同期信号s14が移動距離推定部11とディジタル復調部14に対して出力され、ディジタル復調部14からは復調信号s15が出力される。
【0039】
以上のように、この実施の形態2によれば、移動体の移動にかかわらず、移動体外部からの相対位置が固定された地点における受信信号を得ることができ、高速フェージング変動による伝送特性の劣化を改善することができる。また、補償受信信号s13を各アンテナ31〜3Kの受信信号s31〜s3Kの切り換え選択処理によって生成しているので、装置構成をより簡単にすることが可能になるという効果が得られる。
【0040】
実施の形態3.
また、上記各実施の形態では、アンテナ列の各アンテナ31〜3Kからの受信信号の内挿演算処理、もしくは各アンテナ31〜3Kからの受信信号を切り換え処理により、高速フェージング変動を補償するものについて説明したが、それらの代わりに各アンテナ31〜3Kからの各受信信号に重み付けを行って合成することによって、高速フェージング変動の補償を行うことも可能である。図5はそのようなこの発明の実施の形態3によるフェージング補償装置の構成を示すブロック図であり、実施の形態1あるいは実施の形態2の各部に相当する部分には、図1もしくは図4と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図5において、16は移動体の移動速度信号s11とシンボル同期信号s14を入力とする移動距離推定部11が推定した移動体の移動距離信号s12を入力として、アンテナ列の各アンテナ31〜3Kからの受信信号s31〜s3Kの重み付け合成を行うための重み係数を推定・生成する、重み係数生成部としての重み係数推定部である。17はアンテナ列の各アンテナ31〜3Kによる受信信号s31〜s3Kと、重み係数推定部16からの重み係数出力s161〜s16Kを入力とし、各受信信号s31〜s3Kに対して重み付けを行い、重み付けが行われた各受信信号を加算処理して合成し、生成した補償受信信号s13をシンボル同期推定部13とディジタル復調部14に出力する、補償受信信号生成部としての重み付け合成部である。なお、この実施の形態3のフェージング補償装置においては、補償受信信号生成部として、重み係数推定部16と重み付け合成部17を用いている点で、上記実施の形態1および実施の形態2のフェージング補償装置とは異なっている。
【0042】
次に動作について説明する。
このフェージング補償装置において、まず移動距離推定部11が実施の形態1の場合と同様にして、移動体からの移動速度信号s11とシンボル同期推定部13からのシンボル同期信号s14より移動距離信号s12を推定し、それを重み係数推定部16に出力する。重み係数推定部16はこの移動距離信号s12を入力として、重み係数を推定・演算する。1次内挿に従う場合、(k+1)番目のアンテナ3(k+1)に対応する重み係数ak は、例えば次に示す式(7)で表される。
【0043】
【数7】
【0044】
また、より高精度な推定を行う場合、重み係数ak として、次の式(8)で表される係数を用いることも可能である。
【0045】
【数8】
【0046】
重み係数推定部16によって計算された各重み係数は、重み係数出力s161〜s16Kとして重み付け合成部17に送られる。重み付け合成部17ではこの重み係数推定部16から重み係数出力s161〜s16Kとして送られてくる各重み係数に応じて、アンテナ列の各アンテナ31〜3Kからの受信信号s31〜s3Kに対して重み付け処理を行った後、それらを加算・合成する。なお、この重み付け加算は次の式(9)で表される。
【0047】
【数9】
【0048】
このように処理されて重み付け合成部17より出力される補償受信信号s13は、実施の形態1の場合と同様に、高速フェージング変動が補償された受信信号である。その補償受信信号s13はシンボル同期推定部13とディジタル復調部14に送られ、実施の形態1の場合と同様に、シンボル同期推定部13からは移動距離推定部11とディジタル復調部14に対してシンボル同期信号s14が出力され、ディジタル復調部14からは復調信号が出力される。
【0049】
以上のように、この実施の形態3によれば、実施の形態1、実施の形態2の場合と同様に、移動体の移動による高速フェージング変動を補償することが可能になるとともに、この高速フェージング変動を補償するときの演算として、単純な重み付け加算を用いることができるため、フェージング補償装置を簡単化できるなどの効果が得られる。
【0050】
実施の形態4.
また、上記実施の形態3では、重み付け合成部17で用いる重み係数を重み係数推定部16にて推定する場合について説明したが、重み係数をあらかじめ表の形で記憶しておき、移動距離に応じて読み出した重み係数を用いて重み付け加算を行うようにしてもよい。図6はそのようなこの発明の実施の形態4によるフェージング補償装置の構成を示すブロック図であり、相当部分には図5と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図6において、18は採りうる移動距離に対応した重み係数を、実施の形態3で説明した式(7)あるいは式(8)を用いてあらかじめ計算して、それを表の形で記憶しておき、移動体の移動速度信号s11とシンボル同期信号s14を入力とする移動距離推定部11で推定された移動体の移動距離信号s12が入力されるとその重み係数が読み出され、それらを重み係数出力s161〜16Kとして重み付け合成部17に出力する、重み係数生成部としての重み係数記憶部である。なお、この実施の形態4のフェージング補償装置は、補償受信信号生成部をこの重み係数記憶部18と重み付け合成部17とで形成している点で、実施の形態3のそれとは異なっている。
【0052】
次に動作について説明する。
このフェージング補償装置において、まず移動距離推定部11が実施の形態3の場合と同様にして、移動体からの移動速度信号s11とシンボル同期推定部13からのシンボル同期信号s14より移動距離信号s12を推定し、それを重み係数記憶部18に送出する。この移動距離信号s12が入力された重み係数記憶部18からは、それに対応して各重み係数が重み係数出力s161〜s16Kとして読み出され、重み付け合成部17に送られる。以下、実施の形態3の場合と同様に、重み付け合成部17ではこの重み係数を用いることで高速フェージング変動補償を行って補償受信信号s13を生成し、シンボル同期推定部13からはシンボル同期信号s14が、ディジタル復調部14からは復調信号がそれぞれ出力される。
【0053】
以上のように、この実施の形態4によれば、重み係数を実時間で演算する必要がないため、フェージング補償装置の構成をさらに簡単にすることが可能になるという効果が得られる。
【0054】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態1では、1つの内挿演算部12を用いて高速フェージング変動を補償するものについて説明したが、第1の内挿演算部と第2の内挿演算部を用いることによって、高速フェージング変動の補償を連続的に行うことも可能である。図7はそのようなこの発明の実施の形態5によるフェージング補償装置の構成を示すブロック図である。
【0055】
図7において、11は移動体の移動速度信号s11とシンボル同期推定部13からのシンボル同期信号s14を入力とし、移動体の移動距離を推定する移動距離推定部であるが、偶数シンボルタイミング時点からの距離と奇数シンボルタイミング時点からの距離とをそれぞれ個別に推定し、移動距離信号s121およびs122として出力している点で、上記各実施の形態のそれとは異なっている。121はこの移動距離推定部11からの移動距離信号s121とアンテナ列の各アンテナ31〜3Kによる受信信号s31〜s3Kとを入力として、移動体の移動距離に対応した地点における高速フェージング変動を補償し、補償受信信号s131を出力する第1の補償受信信号生成部としての第1の内挿演算部である。122は移動距離推定部11からの移動距離信号s122と各アンテナ列31〜3Kによる受信信号s31〜s3Kとを入力として、移動体の移動距離に対応した地点における高速フェージング変動を補償し、補償受信信号s132を出力する第2の補償受信信号生成部としての第2の内挿演算部である。
【0056】
13は第1の内挿演算部121からの補償受信信号s131と、第2の内挿演算部122からの補償受信信号s132を入力として、前述のシンボル同期信号s14を生成している点で、上記各実施の形態のそれとは異なったシンボル同期推定部である。141は第1の内挿演算部121からの補償受信信号s131を入力とし、そのディジタル復調を行って復調出力s171を生成する第1のディジタル復調部であり、142は第2の内挿演算部122からの補償受信信号s132を入力とし、そのディジタル復調を行って復調出力s172を生成する第2のディジタル復調部である。19は第1のディジタル復調部141からの復調出力s171および第2のディジタル復調部142からの復調出力s172と、シンボル同期推定部13からのシンボル同期信号s14とを入力とし、このシンボル同期信号s14で復調出力s171、s172の一方を選択し、それを復調信号s15として出力する切り替え部である。
【0057】
また、図8は、実施の形態5によるフェージング補償装置における各部の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【0058】
次に動作について説明する。
このフェージング補償装置では、まず、移動距離推定部11においてシンボル同期推定部13からのシンボル同期信号s14により、偶数シンボルタイミング時点からの移動距離信号s121、ならびに奇数シンボルタイミング時点からの移動距離信号s122が計算される。なお、この移動距離信号s121はシンボル同期信号s14の偶数番目のタイミング毎にリセットされ、移動距離信号s122はシンボル同期信号s14の奇数番目のタイミング毎にリセットされる、それぞれが図8に示されている通りの鋸歯状の波形となる。この移動距離推定部11からの移動距離信号s121は第1の内挿演算部121に入力され、移動距離信号s122は第2の内挿演算部122に入力される。
【0059】
移動距離信号s121が入力された第1の内挿演算部121では、偶数シンボルタイミング時点から2シンボル区間にわたって高速フェージング変動の補償を行って補償受信信号s131を出力する。また、移動距離信号s122が入力された第2の内挿演算部122では、奇数シンボルタイミング時点から2シンボル区間にわたって高速フェージング変動の補償を行って補償受信信号s132を出力する。この第1の内挿演算部121からの補償受信信号s131はシンボル同期推定部13と第1のディジタル復調部141に入力され、第2の内挿演算部122からの補償受信信号s132はシンボル同期推定部13と第2のディジタル復調部142に入力される。
【0060】
第1のディジタル復調部141では第1の内挿演算部121の出力する補償受信信号s131を用いて、図8に第1のディジタル復調部の動作としてハッチングで示されている期間にわたり、ディジタル復調処理を行って偶数シンボルを復調する。一方、第2のディジタル復調部142では第2の内挿演算部122の出力を用いて、図8に第2のディジタル復調部の動作としてハッチングで示されている期間にわたり、ディジタル復調処理を行って奇数シンボルを復調する。この第1のディジタル復調部141より出力された偶数シンボルの復調出力s171と、第2のディジタル復調部142より出力された奇数シンボルの復調出力s172は切り替え部19に送られる。切り替え部19では、偶数シンボルタイミング時には第1のディジタル復調部141の復調出力s171を、奇数シンボルタイミング時には第2のディジタル復調部142の復調出力s172をそれぞれ選択し、復調信号s15として出力する。
【0061】
以上のように、この実施の形態5によれば、第1の内挿演算部121と第1のディジタル復調部141を用いて偶数シンボルの復調を、第2の内挿演算部122と第2のディジタル復調部142を用いて奇数シンボルの復調をそれぞれ行っているため、連続したディジタル変調信号であっても高速フェージング変動の補償を行うことができるという効果が得られる。
【0062】
なお、上記説明では、補償受信信号生成部として2つの内挿演算部を用い、それらの出力する補償受信信号を対応するディジタル復調器で復調するものを示したが、補償受信信号生成部としては、2つの受信信号選択部、もしくは2系統の重み係数生成部と重み付け合成部を用いるようにしてもよく、上記2つの内挿演算部を用いた場合と同等の効果を奏する。
【0063】
実施の形態6.
また、上記実施の形態5では、第1の内挿演算部121と第2の内挿演算部122を用いて内挿演算を行うことにより、連続して高速フェージング変動の補償を行うものについて説明したが、m個の内挿演算部とm個のディジタル復調部によって、それぞれ異なった位置における高速フェージング変動を行った後、信号の合成を行うようにすることも可能である。図9はそのようなこの発明の実施の形態6によるフェージング補償装置の構成を示すブロック図である。
【0064】
図9において、11は移動体の移動速度s11とシンボル同期推定部からのシンボル同期信号s14を入力とし、移動体の移動距離を推定する移動距離推定部であるが、シンボル同期信号s14からそれぞれわずかづつ異なったシンボルタイミング時点を開始点とする、m個の異なる位置における移動体の移動距離を推定し、それぞれの移動距離信号s121〜s12mを出力する点で上記実施の形態5のそれとは異なっている。121〜12mはアンテナ列の各アンテナ31〜3Kによる受信信号s31〜s3Kと、上記移動距離推定部11より出力される移動距離信号s121〜s12m中の対応するものとを入力とし、移動体の移動距離に対応した地点における高速フェージング変動を補償して、補償受信信号s131〜s13mをそれぞれ出力する、第1〜第mの補償受信信号生成部としての第1〜第mの内挿演算部である。
【0065】
13は第1の内挿演算部121、第2の内挿演算部122、…、第mの内挿演算部12mからのm個の補償受信信号s131〜13mを入力として、前述のシンボル同期信号s14を生成している点で、上記実施の形態5のそれとは異なったシンボル同期推定部である。141〜14mは第1の内挿演算部121〜第mの内挿演算部12mよりそれぞれ出力される補償受信信号s131〜s13mを入力として、そのディジタル復調を行って復調出力s171〜s17mをそれぞれ生成する第1〜第mのディジタル復調部である。20はこれら第1のディジタル復調部141〜第mのディジタル復調部14mより出力される復調出力s171〜s17m、およびシンボル同期推定部13からのシンボル同期信号s14を入力としてm個の復調出力s171〜s17mの合成を行い、合成結果を復調信号s15として出力する合成部である。
【0066】
次に動作について説明する。
このフェージング補償装置では、まず、移動距離推定部11において、シンボル同期推定部13からのシンボル同期信号s14よりそれぞれわずかづつ異なったシンボルタイミング時点を開始点とする、m個の移動距離を推定し、それらを移動距離信号s121〜s12mとして出力する。この移動距離信号s121〜s12mは、それぞれにアンテナ列の各アンテナ31〜3Kによる受信信号s31〜s3Kが入力されている第1の内挿演算部121〜第mの内挿演算部12m中の対応するものに入力され、それぞれの移動距離における補償受信信号s131〜s13mが、上記実施の形態5の場合と同様の動作により推定される。この補償受信信号s131〜s13mはシンボル同期推定部13と第1のディジタル復調部141〜第mのディジタル復調部14mにそれぞれ入力される。
【0067】
第1のディジタル復調部141〜第mのディジタル復調部14mにおいてはそれぞれ、入力された対応する補償受信信号s131〜s13mのディジタル復調処理を行い、復調出力s171〜s17mを生成する。これら第1のディジタル復調部141〜第mのディジタル復調部14mで復調された復調出力s171〜s17mは合成部20に入力され、合成部20では、入力されたそれら復調出力s171〜s17mを、最大比合成、等利得合成、あるいは選択合成等によって合成し、復調信号s15として出力する。
【0068】
以上のように、実施の形態6によれば、異なった移動距離に対応する地点における補償受信信号をディジタル復調した復調出力を合成しているので、高速フェージング変動による信号レベルの低下まで補償することができ、伝送特性を改善することが可能になるという効果が得られる。
【0069】
なお、上記説明では、補償受信信号生成部としてm個の内挿演算部を用い、それらの出力する補償受信信号を対応するディジタル復調器で復調するものを示したが、この場合も補償受信信号生成部としては、m個の受信信号選択部、もしくはm系統の重み係数生成部と重み付け合成部を用いるようにしてもよく、上記m個の内挿演算部を用いた場合と同等の効果を奏する。
【0070】
実施の形態7.
また、上記実施の形態6では、m個の内挿演算部121〜12mからの補償受信信号をm個のディジタル復調部141〜14mで復調し、そのそれぞれが異なる地点における受信信号を合成部20で合成することにより、高速フェージング変動の時間変動に加えて振幅変動の補償を可能としたものについて説明したが、m個の内挿演算部121〜12mからの補償受信信号を合成してから、1個のディジタル復調部によってディジタル復調を行うようにすることも可能である。図10はそのようなこの発明の実施の形態7によるフェージング補償装置の構成を示すブロック図である。なお、相当部分には図9と同一符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図10において、21はアンテナ列の各アンテナ31〜3Kによる受信信号s31〜s3Kと、移動距離推定部11が出力する移動距離信号s121〜s12mの対応するものとが入力された、第1の内挿演算部121〜第mの内挿演算部12mより出力される補償受信信号s131〜s13mを合成し、合成信号s18として出力する合成部である。14はこの合成部21にて合成された合成信号s18が入力され、そのディジタル復調を行って復調信号s15として出力している点で、実施の形態1〜実施の形態4におけるそれとは異なったディジタル復調部である。
【0072】
次に動作について説明する。
このフェージング補償装置においても実施の形態6の場合と同様に、まず、移動距離推定部11においてシンボル同期推定部13からのシンボル同期信号s14よりそれぞれわずかづつ異なった時点を開始点とする、m個の移動距離信号s121〜s12mを移動距離信号s121〜s12mとして出力する。この移動距離信号s121〜s12mはそれぞれ、第1の内挿演算部121〜第mの内挿演算部12m中の対応するものに入力されて、各移動距離における補償受信信号s131〜s13mが推定される。
【0073】
これら第1の内挿演算部121〜第mの内挿演算部12mからの補償受信信号s131〜s13mは合成部21に入力され、最大比合成、等利得合成、選択合成、あるいは固有値フィルタ等による合成が行われる。合成部21はその合成結果を合成信号s18としてディジタル復調部14に出力する。ディジタル復調部14ではこの入力された合成信号s18をディジタル復調処理し、復調信号s15を出力する。
【0074】
以上のように、この実施の形態7によれば、実施の形態6と同様に、高速フェージング変動による時間変動ならびに振幅変動を補償することができ、伝送特性を改善することが可能になるとともに、ディジタル復調部は1個あれば十分であるため、装置構成を簡単化することができるという効果が得られる。
【0075】
なお、上記説明では、補償受信信号生成部としてm個の内挿演算部を用い、それらの出力する補償受信信号を合成部で合成するものを示したが、この場合においても補償受信信号生成部としては、m個の受信信号選択部、もしくはm系統の重み係数生成部と重み付け合成部を用いるようにしてもよく、上記m個の内挿演算部を用いた場合と同等の効果を奏する。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、移動体の速度と受信信号のシンボル同期信号を入力とし、前記移動体のシンボルタイミングにおける位置からの当該移動体の移動距離を推定する移動距離推定部と、複数のアンテナが前記移動体の進行方向と同一方向に直線状に配置されたアンテナ列の前記各アンテナからの各受信信号と、前記移動距離推定部の推定した前記移動体の移動距離を入力とし、移動体外部からの相対位置が固定された地点における受信信号を算出することでフェージング変動を補償した補償受信信号を生成する補償受信信号生成部と、前記補償受信信号生成部が生成した補償受信信号を入力とし、前記移動体のシンボルタイミングを推定してシンボル同期信号を生成するシンボル同期推定部とを備えるように構成したので、高速フェージング変動の影響を補償することができ、伝送特性の劣化を防止することが可能なフェージング補償装置が得られるという効果がある。
【0077】
この発明によれば、補償受信信号生成部に内挿演算部を用い、アンテナ列の各受信信号と移動体の移動距離を入力として内挿処理を行うように構成したので、移動体の周囲に対して固定した地点における受信信号を内挿演算によって推定することができるため、高速フェージング変動による影響を補償することが可能になるという効果がある。
【0078】
この発明によれば、補償受信信号生成部に受信信号選択部を用い、移動距離に応じてアンテナ列の受信信号を選択するように構成したので、移動体の周囲に対して固定した地点の受信信号を切り替えることで、移動体の周囲に対して固定した地点における受信信号を推定することが可能となって、高速フェージング変動の影響を補償することができ、さらに内挿演算を省略することが可能となって、装置構成をより簡単化することができるという効果がある。
【0079】
この発明によれば、補償受信信号生成部に重み付け合成部と重み係数生成部とを用い、重み係数生成部にて移動体の移動距離に応じた重み係数を生成し、重み付け合成部においてその重み係数で重み付けを行った各アンテナ列からの受信信号を合成するように構成したので、単純な重み付け合成の演算によって高速フェージング補償を行うことが可能となり、装置構成の簡単化がはかれるという効果が得られる。
【0080】
この発明によれば、重み係数生成部に重み係数推定部を用い、重み付け合成部で使用する重み係数を、移動体の移動距離に基づいて推定するように構成したので、重み係数を移動体の移動距離から単純な計算で求めることが可能になるという効果が得られる。
【0081】
この発明によれば、重み係数生成部に重み係数記憶部を用いて、重み付け合成部で使用する重み係数をあらかじめ計算して記憶しておき、移動体の移動距離に応じて読み出すように構成したので、その都度移動体の移動距離に応じて重み係数推定のための演算をする必要がなくなり、装置構成をより簡単にできるという効果が得られる。
【0082】
この発明によれば、第1および第2の2つの補償受信信号生成部によって、偶数シンボルの復調および奇数シンボルの高速フェージング変動を補償し、それぞれに対応した第1および第2のディジタル復調部でそれらの復調を行うように構成したので、連続したディジタル変調信号の受ける高速フェージング変動についても補償が可能になるという効果が得られる。
【0083】
この発明によれば、第1〜第mのm個の補償受信信号生成部を用いて複数の地点の受信信号を推定し、推定した信号をそれぞれ第1〜第mのm個のディジタル復調部で復調した後、合成部で合成するように構成したので、高速フェージングによる時間変動だけではなく、振幅変動の補償も行うことが可能になるという効果が得られる。
【0084】
この発明によれば、第1〜第mのm個の内挿演算部を用いて推定した複数地点の受信信号を合成部で合成した後、1つのディジタル復調部で復調するように構成したので、ディジタル復調部の個数を1つに削減することが可能になり、装置構成を簡単化することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるフェージング補償装置を示すブロック図である。
【図2】 この発明のフェージング補償装置におけるアンテナ列のアンテナ配置を示す配置図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による補償を行った場合と、行わなかった場合の誤り率特性の比較を示す説明図である。
【図4】 この発明の実施の形態2によるフェージング補償装置を示すブロック図である。
【図5】 この発明の実施の形態3によるフェージング補償装置を示すブロック図である。
【図6】 この発明の実施の形態4によるフェージング補償装置を示すブロック図である。
【図7】 この発明の実施の形態5によるフェージング補償装置を示すブロック図である。
【図8】 この発明の実施の形態5における各部の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【図9】 この発明の実施の形態6によるフェージング補償装置を示すブロック図である。
【図10】 この発明の実施の形態7によるフェージング補償装置を示すブロック図である。
【図11】 従来の差動符号化位相変調方式の遅延検波受信装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 移動距離推定部、12 内挿演算部(補償受信信号生成部)、13 シンボル同期推定部、14 ディジタル復調部、15 受信信号選択部(補償受信信号生成部)、16 重み係数推定部(重み係数生成部、補償受信信号生成部)、17 重み付け合成部(補償受信信号生成部)、18 重み係数記憶部(重み係数生成部、補償受信信号生成部)、19 切り替え部、20,21 合成部、30 移動体の筐体、31〜3K アンテナ、121 第1の内挿演算部(第1の補償受信信号生成部)、122 第2の内挿演算部(第2の補償受信信号生成部)、…、12m 第mの内挿演算部(第mの補償受信信号生成部)、141 第1のディジタル復調部、142 第2のディジタル復調部、…、14m 第mのディジタル復調部。
Claims (9)
- 移動体の速度と受信信号のシンボル同期信号を入力とし、前記移動体のシンボルタイミングにおける位置からの当該移動体の移動距離を推定する移動距離推定部と、
複数のアンテナが前記移動体の進行方向と同一方向に直線状に配置されたアンテナ列の前記各アンテナからの各受信信号と、前記移動距離推定部の推定した前記移動体の移動距離を入力とし、移動体外部からの相対位置が固定された地点における受信信号を算出することでフェージング変動を補償した補償受信信号を生成する補償受信信号生成部と、
前記補償受信信号生成部が生成した補償受信信号を入力とし、前記移動体のシンボルタイミングを推定してシンボル同期信号を生成するシンボル同期推定部とを備えたフェージング補償装置。 - 補償受信信号生成部は、移動体の速度とシンボルタイミング時点からの経過時間により算出される移動体の移動距離およびアンテナ間隔をもとに、
- 補償受信信号生成部として、
アンテナ列の各アンテナからの受信信号に重み付け処理を行って合成し、移動体の移動距離に対応した地点におけるフェージング変動を補償した補償受信信号を生成する重み付け合成部と、
前記重み付け合成部における重み付け処理のための、前記移動体の移動距離に応じた重み係数を生成する重み係数生成部とを用い、
前記重み係数生成部として、移動体距離推定部で推定された移動体の移動距離に基づいて、重み付け合成部における重み付け処理のための重み係数を推定する重み係数推定部を用いたことを特徴とする請求項1記載のフェージング補償装置。 - 補償受信信号生成部として、
アンテナ列の各アンテナからの受信信号に重み付け処理を行って合成し、移動体の移動距離に対応した地点におけるフェージング変動を補償した補償受信信号を生成する重み付け合成部と、
前記重み付け合成部における重み付け処理のための、前記移動体の移動距離に応じた重み係数を生成する重み係数生成部とを用い、
前記重み係数生成部として、移動体距離推定部で推定された移動体の移動距離における、重み付け合成部による重み付け処理のための重み係数をあらかじめ記憶しておく重み係数記憶部を用いたことを特徴とする請求項1記載のフェージング補償装置。 - 補償受信信号生成部を、
偶数シンボルタイミング時点の移動体の移動距離に対応した地点における高速フェージング変動を補償する第1の補償受信信号生成部、
および、奇数シンボルタイミング時点の前記移動体の移動距離に対応した地点における高速フェージング変動を補償する第2の補償受信信号生成部によって形成し、
前記第1の補償受信信号生成部の出力する補償受信信号を復調する第1のディジタル復調 部と、
前記第2の補償受信信号生成部の出力する補償受信信号を復調する第2のディジタル復調部と、
前記第1のディジタル復調部および第2のディジタル復調部からの復調出力が入力され、それら復調出力のいずれか一方を選択して出力する切り替え部とを設けたことを特徴とする請求項1記載のフェージング補償装置。 - 補償受信信号生成部を、シンボル同期信号からずれたシンボルタイミング時点を開始点とする、m個の互いに異なる位置における移動体の移動距離に対応した地点の高速フェージング変動を補償する第1〜第mの補償受信信号生成部によって形成し、
前記第1〜第mの補償受信信号生成部のそれぞれに対応して用意され、それら第1〜第mの補償受信信号生成部の出力する補償受信信号を復調する第1〜第mのディジタル復調部と、
前記第1〜第mのディジタル復調部のそれぞれから出力される復調出力が入力され、それらを合成して出力する合成部とを設けたことを特徴とする請求項1記載のフェージング補償装置。 - 補償受信信号生成部を、シンボル同期信号からずれたシンボルタイミング時点を開始点とする、m個の互いに異なる位置における移動体の移動距離に対応した地点の高速フェージング変動を補償する第1〜第mの補償受信信号生成部によって形成し、
前記第1〜第mの補償受信信号生成部のそれぞれから出力される補償受信信号が入力され、それらを合成して合成信号を出力する合成部と、
前記合成部より出力された合成信号の復調を行うディジタル復調部を設けたことを特徴とする請求項1記載のフェージング補償装置。
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