JP3659915B2 - 混合装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、混合装置に関し、さらに詳しくは円筒状混合容器内に回転駆動可能に設けられている回転軸に取り付けられている第1、2のフライトと、前記円筒状混合容器の壁部から内部へ臨むように設けられ、前記回転軸よりも比較的高速で回転駆動されるチョッパーとからなる混合装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
混合羽根すなわち両翼型のショベル羽根とチョッパーとからなる混合装置は、本出願人も色々提案しているが、従来の混合装置は、基本的には図2の(イ)および(ロ)に示されているように、横型の混合容器50、この混合容器50内に設けられている回転軸51、回転軸51に取り付けられている鋤型羽根あるいは両翼型のショベル羽根53、53、…、混合容器50の壁部から内部へ突き出るようにして設けられているチョッパー55等から構成されている。
【0003】
回転軸51には、軸方向に所定の間隔をおいて半径外方へ片持梁的に複数本のアーム52、52、…が設けられている。そして、これらのアーム52、52、…の、それぞれの先端部に従来周知の形態をした両翼型のショベル羽根53、53、…が取り付けられている。一方、チョッパー55は、そのチョッパー羽根56、56、…が両翼型のショベル羽根53、53の間において、これらの両翼型のショベル羽根53、53、…と干渉しない位置に設けられている。
【0004】
したがって、回転軸51を回転駆動すると共に、チョッパー羽根56、56、…をモータ57により回転軸51の回転速度よりも高速で回転駆動し、そして矢印Kで示されているように、被処理物を混合容器50内に供給すると、被処理物は両翼型のショベル羽根53、53、…により掬い上げられ、そして重力により落下しながら混合作用を受ける。混合作用を受ける被処理物は、両翼型のショベル羽根53、53、…によりチョッパー羽根56、56、…の方へ移送され、そして高速回転駆動されるチョッパー羽根56、56、…により強力な剪断、分散作用を受ける。これにより、被処理物は比較的短時間に分散、混合される。
【0005】
また、図には示されていないが、混合容器が側断面形状が略U字状あるいは樋状を呈し、このU字状混合容器内に攪拌翼としてスクリュの形状をしたリボン状ブレードが設けられている混合装置も知られている。したがって、U字状混合容器内に被処理物を供給すると共に、リボン状ブレードを回転駆動すると、被処理物はリボン状ブレードにより軸方向に送られながらブレンドすなわち混合処理される。さらには、U字状混合容器内にリボン状ブレードとチョッパとが設けられている混合装置も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の混合装置によると、両翼型のショベル羽根53、53、…の他にチョッパー55を備えているので、粉体粒子内に含まれる凝集塊あるいは塊状物の粉砕混合作用、少量の液を添加するときに生じるダマ、ママコの解砕混合作用、繊維材料の混合時の繊維解繊混合作用等に優れた効果が得られる。しかしながら、分散あるいは剪断作用に重きをおいた処理をしようとすると、効率の点で問題がある。以下その理由を詳しく説明すると、分散あるいは剪断作用を向上させようとして、チョッパー55へ被処理物を移送、衝突させる機会を増やすために、回転軸51の回転速度を上げると、両翼型のショベル羽根53、53、…により掬い上げられる被処理物は、浮遊、拡散される。その結果、両翼型のショベル羽根53、53、…は、被処理物の密度の低い空隙中を通過することになり、チョッパー55へ密度の高い被処理物を移送、衝突させることが困難になる。一方、回転速度を落とすと、両翼型のショベル羽根53、53、…による掬い上げ効果が弱くなり、チョッパー55へ被処理物を移送、衝突させる作用が減少する。このように、両翼型のショベル羽根53、53、…には、おのずから適正な回転速度があり、このような回転速度および構造により、両翼型のショベル羽根53、53、…とチョッパー55とを備えた混合装置は、バランスのとれた分散、混合の両作用が得られるようになっている。
【0007】
ところで、上記従来の混合装置の分散、剪断作用は、被処理物を高速で回転駆動されているチョッパー羽根56、56、…に衝突させることにより得れるが、チョッパー羽根56、56、…の方へ移送する両翼型のショベル羽根53、53、…は、各々が単独に、しかも回転軸51の円周上に一カ所、片持梁的に設けられているアーム52、52、…に取り付けられているので、ショベル羽根53、53、…では被処理物を連続的にチョッパー羽根56、56、…の方へ移送することはできない。したがって、チョッパー羽根56、56、…の方へ移送される量は比較的少なく、しかも非連続的であるので、時間あたりの分散、剪断作用を受ける被処理物の量は少ないことになる。さらには、ショベル羽根53、53、…は両翼型となっているので、被処理物を両側へ分ける作用を奏し、混合容器50の両端部に位置する被処理物は中心部に集まり難い。また、ショベル羽根53、53、…は、個々に独立的に設けられているので、中心部には集まりにくくなっている。したがって、非処理物の分散度に不均一性が生じる。これを解決しようと回転軸51の回転速度を上げると、段落0005で述べたような問題が生じる。また、従来の混合装置は、ショベル羽根53、53、…とチョッパーとを備えているので、構造が複雑で高価にもなっている。
【0008】
リボン状ブレードを備えた混合装置によると、リボンは軸方向に連続しているので、滑らかな混ぜ合わせは可能と認められるが、この混合装置では混合に必要な分散作用、剪断作用は得られない。均一な混合に必要な剪断作用、分散作用を得るために、リボン状ブレードの回転速度を上げることが考えられるが、回転数を上げても、混合容器がU字状を呈しているので、被処理物はリボン状ブレードの上方の遊び空間に飛散するだけで、充分な剪断作用等は得られない。結局、この混合装置は、比較的低速で回転駆動される「混ぜ合わせ用」あるいは「対流混ぜ合わせ用」と考えられる。一方、チョッパが設けられている混合装置によると、このチョッパにより分散、剪断作用は得られる。しかしながら、被処理物はチョッパに衝突して剪断作用等を受けるが、チョッパに当たる被処理物の量が少ないので、大量の被処理物の混合には適していない。リボン状ブレードの回転速度を上げ、衝突する量を増やすことも考えられるが、回転数を上げても、混合容器がU字状を呈しているので、上述したように被処理物はリボン状ブレードの上方の遊び空間に飛散するだけで、衝突する量は必ずしも増えない。混合翼としてリボン状ブレードを備えた混合装置は、高速で回転駆動されているチョッパが充分に生かされているとは考えられない。また、回転速度を上げると、被処理物が上方の遊び空間に飛散し、そして天板に付着し、格別の保守が必要になる恐れもある。
本発明は、上記したような従来の問題点を解決した混合装置を提供することを目的とし、具体的には混合羽根としてスクリュを備え、必要な混合作用が得られると共に、均一な分散、剪断作用が得られる混合装置を提供することを目的としている。また、多量の被処理物を処理できると共に、構造が簡単で安価に製作することのできる混合装置を提供することも目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、両翼型のショベル羽根に代えて、連続的な送り作用のあるスクリュ、望ましくは2重フライトを採用することにより達成される。このとき、混合容器に円筒状の容器を適用し、そしてフライトの外周部が容器の内周壁に近接して回転駆動されるように構成される。これにより、フライトの回転速度を上げても、被処理物は従来の混合装置に見られたような遊び空間に飛散するようなことはない。また、円筒状混合容器の内周壁に被処理物が付着するようなこともない。フライトは、第1のフライトと、この第1のフライトとの間に分散・剪断位置が確保されるように配置されている第2のフライトとから構成し、前記第1、2のフライトを、被処理物を分散・剪断位置の方へ移送するように互いに逆方向に捻るように構成する。捻っていると、被処理物は分散・剪断位置の方へ搬送される。そこで、この分散・剪断位置にチョッパーを配置すると、チョッパーにより強力な分散、剪断作用を受ける。
かくして、請求項1に記載の発明は、円筒状混合容器内に回転駆動可能に設けられている回転軸に取り付けられている第1、2のフライトと、前記円筒状混合容器の壁部から内部へ臨むように設けられ、前記回転軸よりも比較的高速で回転駆動されるチョッパーとから構成され、前記第2のフライトは、前記第1のフライトと軸方向に所定の間隔をおいて、前記第1のフライトとの間に分散・剪断位置が確保されるように配置され、これらの第1、2のフライトの外周部は、前記円筒状混合容器の内周壁に近接して駆動されるようになっていると共に、前記第1、2のフライトは、被処理物を前記分散・剪断位置の方へ移送するように互いに逆方向に捻られ、前記チョッパーは、前記第1、2のフライトの間の分散・剪断位置に配置されている。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の混合装置において、第1、2のフライトが、多重フライト構造になっている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1により本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態に係る混合装置を示す図で、その(イ)は全体の、そしてその(ロ)は(イ)において矢印ローロ方向に見た図に相当する断面図であるが、これらの図に示されているように、本実施の形態に係わる混合装置は、軸芯が水平方向になるように配置される円筒状の混合容器1を備えている。そして、この円筒状混合容器1内に、回転軸8が回転駆動可能に設けられている。また、円筒状混合容器1の壁部の斜め下方にチョッパー30が設けられている。なお、本実施の形態によると、円筒状混合容器1の外周部にはジャケットが設けられているので、ジャケット内に加熱蒸気を供給すると、乾燥装置としても使用できる。
【0011】
円筒状混合容器1は、その断面形状はリング状を呈し、両側部は側板2、2で閉鎖されている。本実施の形態によると、円筒状混合容器1の軸方向の略中心部において、その上方部に化学品例えば顔料・染料、薬品、食品、鉱工業品例えば建材、セメント等の被処理物の供給口4が設けられ、下方部に分散、混合された被処理物の排出口5が設けられている。このように構成されている円筒状混合容器1の側板2、2に取り付けられている軸受3、3に、回転軸8が回転可能に軸受されている。なお、この回転軸8を回転駆動するモータ等からなる駆動装置は、図1には示されていない。
【0012】
本実施の形態によると、混合羽根は第1、2のスクリュ部10、20から構成されている。すなわち、図1の(イ)において左方の部分が第1のスクリュ部10となり、右方が第2のスクリュ部20となり、これらの第1、2のスクリュ部10、20の間が分散・剪断位置25となっている。そして、この分散・剪断位置25にチョッパー30が配置されている。
【0013】
回転軸8の、第1のスクリュ部10に位置する部分からは半径外方へ延びた複数本のアーム11、11、…が設けられている。そして、これらのアーム11、11、…の先端部に、本実施の形態では2条スクリュの形をした第1のフライト12、12が取り付けられている。これらの第1のフライト12、12は、円筒状混合容器1の内周壁に近接して設けられ、被処理物を軸方向に移送すると共に持ち上げる作用も奏するように所定幅の板状体から構成されている。すなわち、回転軸8が矢印Aで示される方向に駆動されるとき、被処理物を分散・剪断位置25の方へ移送するように捻られている。このように構成されている第1のフライト12、12の分散・剪断位置25側の終端部は、円周方向に180度ずれて終わっている。
【0014】
第2のスクリュ部20に位置する部分からも半径外方へ延びた複数本のアーム21、21、…が設けられている。そして、これらのアーム21、21、…の先端部にも、2条スクリュの形をした第2のフライト22、22が取り付けられている。なお、第2のフライト22、22は、第1のフライト12、12とは逆方向に捻られている。第2のフライト22、22の分散・剪断位置25側の終端部も、円周方向に180度ずれて終わっている。そして、第1のフライト12、12の終端部とは、90度ずれている。したがって、第1、2のフライト12、12、22、22の終端部は、円周方向に90度宛互いにずれていることになる。これにより、被処理物はチョッパー30の方へ略連続的に移送されることになる。
【0015】
チョッパー30は、従来周知であるので詳しい説明はしないが、図1の(ロ)に示されているように複数段に設けられているチョッパー羽根31、31、…からなっている。そして、チョッパー羽根31、31、…が円筒状混合容器1の内部に位置し、モータ32が外部に位置するようにして円筒状混合容器1の斜め下方に取り付けられている。すなわち、チョッパー30は、第1、2のフライト12、12、22、22の終端部の間で、これらの第1、2のフライト12、12、22、22と干渉しない位置に設けられ、外部に設けられているモータ32により、回転軸8の回転とは関係なく独立して比較的高速で回転駆動されるようになっている。
【0016】
次に、上記実施の形態の分散、混合作用について説明する。図示されない駆動装置により回転軸8を比較的低速で駆動する。また、チョッパー羽根31、31、…をモータ32により高速で回転駆動する。連続運転も可能であるが、排出口5を閉鎖してバッチ運転する。供給口4から所定量の被処理物を供給する。供給された被処理物は、矢印A方向に回転駆動される第1のフライト12、12により連続的に掬い上げられ、そして所定高さから落下する。これにより、連続的に混合される。このように混合されながら分散・混合位置25の方へ移送される。第2のフライト22、22によっても同様に連続的に混合される。そして、分散・混合位置25の方へ移送される。
【0017】
このように、第1のフライト12、12により移送される被処理物と、第2のフライト22、22により移送される被処理物は、分散・混合位置25内で衝突し混合が促進され、混合・分散作用を受ける。分散・剪断位置25へ移送される多量の被処理物は、チョッパー羽根31、31、…に衝突し強力な混合・分散作用を受け、短時間に混合される。本実施の形態によると、混合羽根が第1、2のスクリュ部10、20からなっているので、特にフライトが2条構造になっているので連続的に分散混合される。
【0018】
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。例えば、図1に示されている実施の形態では、スクリュのフライトは2重フライト構造になっているが、1条あるいは多重フライトでも実施できることは明らかである。また、被処理物は、第1のフライト12、12により移送される被処理物と、第2のフライト22、22により移送される被処理物は、分散・混合位置25内で衝突するので分散・剪断作用も受ける。したがって、チョッパーがなくても実施できる。チョッパーを設けないときは、分散・混合位置25がないように、すなわち、図には示されていないが、第1、2のスクリュ部10、20の境界部における第1、2のフライト12、12、22、22の終端部が互いに軸方向に所定量オーバーラップするように実施するのが望ましい。このように実施すると、分散・剪断作用が強化される。上記したようにチョッパーを設けないと、構造は一層簡単になり、混合装置を安価に提供できるようになる。
【0019】
また、図には示されていないが、円筒状混合容器が軸方向に長いときは、図1の(イ)に示されている第1、2のスクリュ部10、20とチョッパ30とをユニットとして、複数個のユニット例えば2個のユニットを設けることもできる。しかしながら、特許請求の範囲ではユニットの数については限定されていない。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、回転軸に取り付けられている第1のフライトと、前記第1のフライトと軸方向に所定の間隔をおいて、前記第1のフライトとの間に分散・剪断位置が確保されるように配置されている第2のフライトとからなり、前記第1、2のフライトは、被処理物を前記分散・剪断位置の方へ移送するように互いに逆方向に捻られ、前記チョッパーは、前記分散・剪断位置に配置されているので、多量の被処理物がチョッパーの方へ略連続的に移送され、チョッパーにより強力な分散・剪断作用を受け短時間に、しかも均一に混合される効果が得られる。また、第1、2のフライトは互いに逆方向に捻られているので、これらのフライトで移送される被処理物は分散・剪断位置で互いに衝突する。これによっても、被処理物の混合が促進される。特に、本発明によると、混合容器が円筒状を呈し、フライトの外周部は円筒状混合容器の内周壁に近接して回転駆動されるようになっているので、フライトが取り付けられている回転軸の回転速度を上げても、従来の混合装置に見られたような、被処理物の飛散はない。したがって、回転速度を上げて小さな混合装置により大量の被処理物を混合処理できるという、効果が得られる。
請求項2に記載の発明によると、第1、2のフライトが多重フライト構造になっているので、すなわち回転軸の1回の回転に対してフライトが複数回くるので、上記のような効果に加えて、チョッパーへの送り量あるいは処理量が倍増するという効果がさらに得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を模式的に示す図で、その(イ)は全体の、そしてその(ロ)は、給排口を除いて(イ)において矢印ローロ方向に見た図に相当する断面図である。
【図2】従来例を示す図で、その(イ)は全体の、その(ロ)は、(イ)において矢印ローロ方向に見た図に相当する断面図である。
【符号の説明】
1 円筒状混合容器 8 回転軸
10 第1のスクリュ部 20 第2のスクリュ部
12 第1のフライト 22 第2のフライト
25 分散・混合位置 30 チョッパー
Claims (2)
- 円筒状混合容器内に回転駆動可能に設けられている回転軸に取り付けられている第1、2のフライトと、前記円筒状混合容器の壁部から内部へ臨むように設けられ、前記回転軸よりも比較的高速で回転駆動されるチョッパーとから構成され、
前記第2のフライトは、前記第1のフライトと軸方向に所定の間隔をおいて、前記第1のフライトとの間に分散・剪断位置が確保されるように配置され、これらの第1、2のフライトの外周部は、前記円筒状混合容器の内周壁に近接して駆動されるようになっていると共に、前記第1、2のフライトは、被処理物を前記分散・剪断位置の方へ移送するように互いに逆方向に捻られ、
前記チョッパーは、前記第1、2のフライトの間の分散・剪断位置に配置されていることを特徴とする混合装置。 - 請求項1に記載の混合装置において、第1、2のフライトが、多重フライト構造になっている混合装置。
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