JP3659686B2 - 薬品の微視的特性の空洞内検知のための装置および方法 - Google Patents
薬品の微視的特性の空洞内検知のための装置および方法Info
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、センサ近傍の微量薬品を光学的に検知するための方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医学、化学、及び生物学の多くの分野では、化学的、生化学的、若しくは生物学的試料を検定し、又は前述の試料の化学組成の変化を判定する技術に依存している。例えば、多くの疾病の診断では、血液中における抗体の存在を検出する技術に依存することが多い。
【0003】
別の例としては、蛍光分析を使用して、試料中に存在する蛍光材料の量を、その材料から放出される蛍光の強度を測定することにより決定する。このような蛍光測定技術は、蛍光体の存在を試験する生化学的検定において特に有用なものである。
【0004】
従って、バルク試料中の薬品の存在を検出し、若しくはその量を測定する方法および装置には、非常に多くの種類のものがある。これらの装置は周知のものであり、広く使用されてきた。これらの装置の例としては、著作「Laser Spectroscopy」(Demtroder, W., Springer-Verlag, Berlin, 1982)および「Fluorescence and Phosphorescence」(Rendell, D., John Wiley, Chichester, 1987)に記載されているものがある。
【0005】
その他既知の化学センサには光吸収分光がある。これら分光分析は典型的には、2つの技術、即ち、1)「Internal Reflection Spectroscopy」(Harrick, N.J., Wiley, New York, 1967)に記載されているような多数の反射間の干渉の検出と、2)「Intracavity adsorption spectroscopy of surface-active substances, adsorbed gases, and aerosols」(Godlevskii, A.P., and Kopytin, Yu.D., J. Appl. Spect., 29, 1301 (1978))に記載されているようなレーザ空洞内部の全内反射(TIR)吸収分光学との一方を利用したものである。
【0006】
Harrickは、薄膜「空洞」内の構造性干渉(constructive interference)を利用して光吸収分光の感度を高めることについて説明している。光は、薄膜内へと結合され、そこで多数の(全内)反射を受ける。幅の広い光線を使用した場合には、多数の反射ビームが直接反射ビームと構造的に干渉する可能性がある。しかし、Harrickは、この構造には多くの問題が存在することを指摘している。即ち、精確な入射角を維持しなければならず、実際のビームサイズによって効果的な改善が制限され、最適な向上のために表面反射率の臨界の整合が不可欠となる。
【0007】
最近の研究により、後者の限界が軽減し得るものであることが示された。例えば、米国特許第4,857,273号(「Biosensors」Stewart, 15 August 1989)には、Harrickのシステムの改良版が例示されている。しかし、それ以外の問題によってこの構造の感度が制限されるので、その構造は、小さな検出領域についての高感度変換器としては実際上使用できないものとなる。これらの問題の多くは、Stewartのセンサが共振導波管の形態を採用しており、このため光が導波管内部で十分な回数だけバウンドするように長い相互作用長(interaction length)が必要となる、という事実に起因するものである。装置を一層小さくするためには、その相互作用長を短くしなければならない。しかし、そうした場合には、光がバウンドできる長さが短くなり、センサがその感度をより多く損失することになる。
【0008】
GodlevskiiおよびKopytinは、全内反射セルがレーザ共振器内部に配設されたシステムを説明している。この場合には、分子が全内反射面に吸収される際にレーザ出力が測定される。その分子は、レーザ周波数又はその近辺で光吸収するものと仮定され、これは、分子が付加的な空洞内損失機構として作用することを意味している。HarrickおよびGodlevskiiのシステムは共に「光学的空洞」を利用したものであるが、その後者だけが、Harrickの問題の多くを解決するのに十分安定した光共振器を提供するものである。
【0009】
一方、Godlevskii/Kopytinのシステムは、単純な分子の吸収分光に限定したものである。従って、Godlevskii/Kopytinのシステムが適切に動作するためには、そのシステムは検出可能な吸収を提供するのに十分な分析物(analyte)の分子を有していなければならない。このため、Godlevskii/Kopytinのシステムの感度は、空洞内フィールドが著しく乱される濃度よりも大きい表面濃度の検出に制限される。このシステムは、全内反射境界における電場を乱すのに十分な分析物の吸収分子を有していることに依存するものであるので、その限度よりもはるかに低い濃度又は分子を検出することはできない。
【0010】
別の既知の技法によれば、微量薬品は蛍光を用いて検出される。全内反射面で蛍光を用いて生体分子を検出する方法としては、例えば、論文「A new immunoassay based on fluorescence excitation by internal reflection spectro-scopy」(by Kronick, M.L., and Little, W.A., J. Immunological. Meth., 8, 235 (1975))に記載されたものがある。この技術によれば、共振空洞内部ではなく自由空間中にプリズムが配置される。この構造のため、光は故意に「廃棄され」、即ち、そのエネルギーは、全内反射面から反射して外れた後はそれ以上蛍光に寄与するよう使用されることはない。これはまた、Kronickのシステムは、高感度化のために十分な蛍光励起を達成するためには大きくて強力な光源を必要とする、ということを意味している。
【0011】
蛍光励起を用いる他の検出システム及び技法については、下記参考文献に記載されている。
【0012】
1) Sloper, A.N., Deacon, J.K.,およびFlanagan, M.T.著の「A planar indium phosphate monomode waveguide evanescent field immunosensor」(Sensors and Actuators, B1, 589 (1990))(導波管の使用について説明されている)
2) Choquette, S.J., Locascio-Brown, L.,およびDurst, R.A.著の「Planar waveguide immunosensor with fluorescent liposome amplification」(Anal. Chem., 64, 55 (1992))(同じく導波管を使用している)
3) Kooyman, R.P.H, de Bruijn, H.E.およびGreve, J.著の「A fiber-optic fluorescence immunosensor」(Proc. Soc. Photo-Opt. Instrum. Eng., 798, 290 (1987))(光ファイバの使用について説明されている)
Kronickによる方法の場合のように、これら3つの技法は、空洞内で光を再利用せず、従って、上記と同様に、不必要に大型の光源を要するもの若しくは感度の低いものに限定される。
【0013】
定義によれば、検出器が検出のために必要とする物質が少なければ少ないほど、検出器は一層高感度のものとなる。従って、検出器の感度を上げることが永続的な目標である。
【0014】
必要性が十分認められている技術として、放射性標識付け(radioactive labeling)または(ポリメラーゼの連鎖反応等の)化学的な増幅を行うことなく微量の生体分子(例えば105個未満の分子)を迅速に検出することができる技術がある。単一分子は、下記文献に記載の方法を用いて光学的に検出された。
【0015】
1)Peck, K., Stryer, L., Glazer, A.N.およびMathies, R.A.著の「Single molecule fluorescence detection: Autocorrelation criterion and experimental realization with phycoerythrin」(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 4087 (1989))
2)Soper, S.A., Brooks Shera, E., Martin, J.C., Jett, J.H., Hahn, J.H., Nutter, H.L.およびKeller, R.A.著の「Single-molecule detection of rhodamine 6G in ethanolic solutions using continuous wave laser excitation」( Anal. Chem., 63, 432 (1991))
しかし、これらの方法に関する問題として、十分に強力な電場を発生させるために大型レーザが必要となる(それに伴って大型電源が必要となり、場合によっては冷却システムも必要となる)ために製品化が非常に困難になる、ということがある。
【0016】
感度に関する問題を別にしても、多くの既存の検出システムは、大型で扱い難かったり電子的に制御するのが困難であるという問題を抱えている。これは、検出システムを購入して据え付けるスペースも資金も持っていないであろう小さな研究室ではほとんど入手できないばかりか、検出システムを据え付けたとしても適切に使用し制御することが困難なものとなる、ということを意味している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
必要なことは、空洞内フィールドが乱される濃度よりもはるかに小さい試料の分子濃度を検出可能にする(バルクだけではなく)表面検出のための方法である。また、検出システム自体は、安定しており、コンパクトで、容易に較正され、および容易に制御されるものであるべきである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(分析物の屈折率の変化等の)巨視的特性と(蛍光標識の存在等の)微視的特性とを用いて、上述のようなシステムの感度よりも少なくとも高いオーダーの感度で試料中の目標となる物質の存在を検出するための方法及びそれに対応する検出装置を提供するものである。
【0019】
本発明によれば、検出システムには、レーザ等の光源と、光源により生成された光のための共振空洞を有する光共振器が含まれる。その光源は、空洞内部若しくは空洞外部の何れに配置することも可能であり、この場合には半導体レーザまたは超発光(superluminescent)ダイオード等の利得媒体とすることが可能である。本発明による検出器はまた、少なくとも1つの反射素子又は部材を備えている。プリズム、導波管、ファイバ等の受動デバイスまたはドープした光ファイバ等の能動利得素子とすることが可能な反射素子又は部材は、全内反射面を有し、それ自体は空洞内に配置される。代替的には、全内反射面は、反射素子から取外し可能であってその反射素子に光学的に結合される別個の素子で形成することが可能である。
【0020】
光源からの光は、反射素子に入射し、全内反射面により(好適には単一の反射点で)反射され、これにより減衰(evanescent)フィールド領域が全内反射面で形成される。被験試料は、減衰フィールド領域内へと延びるように配置される。試料の導入、収容、及び配置には、従来のあらゆる構成を用いることが可能である。
【0021】
本発明はさらに、典型的には全内反射面から光源の約1光学波長を越えて離れることのない、減衰フィールド領域内で生ずる所定の光学的変化を検出する検出器を提供する。これらの変化には、試料内部での光励起周波数の変化(蛍光等)、その屈折率の変化、及び光共振器の共振周波数の変化が含まれる。これらの変化が検知されて、全内反射面に配置された分析物の量若しくは少なくともその存在が決定される。
【0022】
【実施例】
先ず、本発明の基礎をなすいくつかの理論について説明する。次いで、本発明の種々の実施例について説明する。それら実施例は、試料の、より詳しくは試料内に含まれる(化学的)目標物質の、微視的及び巨視的特性の化学的検出のために本発明の方法を利用している。本発明による検出に非常によく適した目標物質の例としては、抗体、薬物、ポリヌクレオチド、細胞膜受容体、砂糖、核酸、又は合成分子さえあり、この目標物質をガスとすることも可能である。
【0023】
発明の理論的基礎
本発明の利点を理解するために、先ず光共振器の構造と機能、並びに或る種の光学原理を理解することが有益である。従ってこれらの概念を簡単に考察する。
【0024】
光が媒体中を進行する場合、その光は、その媒体よりも低い屈折率を有する別の媒体との境界面に当たった際に全て反射されることがある。この現象は、全内反射(全内反射)と呼ばれ、臨界角θcよりも大きな入射角で生じる。その全内反射後は、もはやその電磁場が第2の媒体中を伝播することはなく、境界面から指数関数的に減衰する。
【0025】
その最も簡単な形態では、光共振器又は空洞が数個の鏡面から構成され、それら鏡面は、それらの間で入射光が捕捉され前後にバウンドされるよう配置される。一例として、それらミラーの1つが、共振器空洞内部で光ビーム(空洞内ビーム)を全て反射させる面(全内反射面)を有するプリズムである場合を考える。プリズム表面上の反射点では、典型的には1光学波長の特性減衰深さ(characteristic decay depth)を有する減衰波(evanescent wave)が生成される。全内反射面において、光は、その表面に拘束され、その表面の減衰深さ内の薬品とだけ相互作用する。
【0026】
光学分野で周知であるように、電磁波は、特定方向で減衰し、その特定方向では一定の位相を維持するが指数関数的に減少する振幅を有する。全内反射の場合、無限平面波という形態の光は、無限の平坦な全内反射面境界を越える指数関数的に減少する減衰電磁場を形成する。その電場は、全内反射境界平面内に速度成分を有するが、その境界に垂直な速度成分及びその境界を越える速度成分は存在しない。換言すれば、理想的な場合には、全内反射境界を越えて電位の傾き(potential gradient)だけが形成され、境界を越えてエネルギーが実際に搬送されることはない。
【0027】
勿論、実際の用途では、入射電磁場も全内反射面も無限ではない。そうした有限構成の場合には、その境界内で回折する光も存在し、即ち、いくらかのエネルギーはまさに境界を越えて流れるが、その境界に向かって「曲がって戻り」、最初の媒体に再び入り、次いでその入口点から少し離れて外に出ることが知られており、これは、Goos-Hanchen効果として公知である。本発明のように、全内反射面を採用するほとんどの装置では、この偏移は無視可能なものである。しかし、境界を越える大きな電磁的な電位の傾きは残る。
【0028】
図1は、本発明に従って使用される定在波光共振器を簡略化して示す概略図である。同図に示す本発明の簡略化した実施例では、共振器空洞外に光源が配置されるものと想定している(その他のシステムの例については以降で例示及び説明することとする)。同図に示すように、この簡略化された光共振器は、入口ミラー20と、出口ミラー22と、全内反射面26を有する反射素子24とを備えている。ミラー20,22は、平坦でも湾曲していてもよく、安定した空洞フィールドを生成するのに適したものとなるように従来の基準を用いて選択され、このことは当業者に公知である。適切な安定した空洞フィールドは、3個以上のミラーを有する構成を用いて生成することも可能である。
【0029】
光は、好ましくはコヒーレントな利得媒体である従来の光源25によって生成される。この光源25は、図1に示すように共振器空洞の外にあってよく、又は以下で説明するように空洞内部に組み込まれてもよい。外部光源を用いる本発明の実施例の場合、空洞に入る光は入射強度Iincを有する。この場合、光源はまた、安定した空洞フィールドの生成を可能にする既知の他の光学要素を含んでいてもよい。全ての実施例では、入口ミラー20の丁度内側の循環フィールドの強度はIcircである。
【0030】
入射角は、全内反射面上への入射光路と入射点における全内反射面に対する法線(面26に垂直な破線28で示す)との間の角θとして定義される。説明および分析を簡素化するためにのみ、全内反射面26を平面として示す。これは本発明にとって必要なことではなく、非平面又は部分的平面についての入射角の定義は光学分野では公知である。全内反射面26での化学的変化は共振器の光学特性に影響を与えるものである。以下で説明するこれら特性は、本発明の少なくとも幾つかの実施例の根底を成し、本発明が提供する変換器の基礎となるものである。
【0031】
以下で説明する本発明の種々の実施例について感度を決定する基礎を提供するためには、共振器内部の電磁場及び共振器により送られた電磁場の両者の強度を決定することが有用である。単に説明の簡素化のため、以下の分析では、共振器空洞内の1つの全内反射面のみについて考察することとする。しかし、当業者であれば、既知の数学的手法を用いて多くの全内反射面を包含するよう分析を容易に拡張させることができよう。例えば、図1に示す構造の場合、反射素子24を導波管若しくはファイバとすることができ、この場合には、数個の全内反射面があってもよい。本発明は、任意数の空洞内全内反射面を有する検出システムに関するものである。
【0032】
図1は、共振器空洞内に単一の全内反射面を有する本発明の実施例の概略図である。この実施例では、反射素子又は部材24はプリズムとして示されており、全内反射面26はそのプリズムの1つの面となっている。反射素子としてプリズムを選択する場合には、それは直角プリズムである必要はない、ということに留意されたい。さらに、本発明にとって全内反射面は平面である必要はなく、上記で指摘したように、全内反射面は湾曲していてよく(例えば光ファイバの場合)、又は部分的に平坦でも又はそれらの両方であってもよい。
【0033】
下記でより詳しく議論するように、プリズムは、適した全内反射素子のほんの一例に過ぎず、その他の例として導波管若しくはファイバがある。加えて、全内反射面26は、スライドガラス、光学フィルム、又は導波管等の光透過性基板の表面上としてもよく、それは、例えば、可圧縮光学ポリマー又は屈折率整合オイルを用いて従来の方法で全内反射素子と光学的に結合される。その基板表面は、全内反射素子から取り外し可能なもの、また使い捨て式のものとさえすることができる。試験試料をプリズム等の全内反射素子に直接取り付ける場合には、別の物質の試験を行う前にそのプリズムを洗浄若しくは交換する必要があり、その後にプリズムの位置合わせを点検し、おそらくはその再調整をすることになる。取り外し可能な基板を設けることにより、清浄で且つ位置合わせされたプリズムを確保するのに要する費用と労苦が排除され、又は少なくとも大幅に低減される。
【0034】
さらに分析を簡素化するために、共振器内の全ての電磁場が平面波であると仮定する。これもまた、光学分野における当業者であれば、この仮定が有効とはならない本発明の実施例までその分析を拡張させることができよう。i番目のミラー(i個のミラーを用いる一般的な場合)の出力反射係数Riは、Ri=ri 2で与えられる(図1に示す2つのミラーによる実施例ではi=1,2)。ここで、反射素子24(図示の実施例ではプリズム)は、低損失の入口および出口の表面を有しているものと仮定する。従って、プリズムの反射係数は、Rp=|rp|2となり、全内反射面26だけで決定される。
【0035】
本発明によれば、被分析試料30は、全内反射面26に直ぐ隣接して配置される。以下で説明するように、試料は好適には全内反射面の約1光学波長内に配置される。
【0036】
全内反射面26上の試料30の光学特性は、その試料の屈折率nsにより記述される。rpという値は、nsと、プリズム(又は他の反射素子)の屈折率npと、入射角θとによって決まる。TM又は平行偏光については、次のように示すことができる(例えば、Lorrain, P.およびCorson, D.著の「Electromagnetic Fields and Waves」(W.H.Freeman, San Francisco, 1970)を参照のこと)。
【0037】
【数1】
【0038】
ここで、n=ns/npである。sinθ>n(即ちθ>θc、全内反射)の場合、rpは複素数となり、平方根の前に負符号が付く。rpという値は、フェーザー表記 (phasor notation)で一層有用に表現することができ、即ち、
【0039】
【数2】
【0040】
となる。全内反射が生じる場合、r=1となり、反射光は、位相シフトφを有し、Rp=1となる。図2(a),(b)は、融解石英(np=1.457)と水(ns=1.33)との境界面についてr(θ)とφ(θ)をそれぞれ示したものである。波長の単位で表現した侵入(penetration)深さd(θ)(その深さにわたって減衰フィールドの強度がその1/eの点に降下する)は、d=λ/F(θ)という式で与えられる。ここで、F(θ)=4πnp(sin2θ-n2)1/2であり、λは入射光の波長である。図2(c)は、1/F(θ)のグラフを示すものである。侵入深さは、大きな入射角では約1波長となり、一方、臨界角では(この近似では)無限となる。
【0041】
一連のp個の反射素子のi番目の出力伝達係数Tiは、Ti=1−Ri(i=1,2,…,p)となる(図1では、p=1となるように1つのみ(プリズム24)が示されている)。共振器上に入射する所与の光強度Iincについて、入口ミラー20(図1)の丁度内側の循環フィールドの強度Icircは、次式の比で決定される。
【0042】
【数3】
【0043】
ここで、αは共振器の電圧吸収係数、Lは一周の光路長、ωは光の角周波数である(例えば、Siegman, A.E.著の「Lasers」(University Science Books, Mill Valley, California, 1986)を参照のこと)。数3は、入口ミラー20のまさに内側にのみ厳密に適用されるが、図1に示したような低損失の定在波共振器の場合には、共振器のどこにおいても平均強度はほぼ2・Icircとなる。
【0044】
数3から出発して、rp 2=1(即ちミラーからの単一反射)である場合には、Icircは、次式を満たす周波数ω=ωmについて最大値をとることになることは容易に示すことができる。
【0045】
【数4】
【0046】
数4は、共振器の共振モード周波数ωmを定義するものである。これら周波数は、モード間隔と通常呼ばれる値2πc/Lだけ互いに分離される。
【0047】
【数5】
【0048】
であることに注目し、数3のrpにこれを代入すると次式が得られる。
【0049】
【数6】
【0050】
ここで、Ω=ω−(2φc)/Lである。
【0051】
同様に、共振器中を伝搬した光の強度Itransは次式の比で与えられる。
【0052】
【数7】
【0053】
図1に示すように、空洞内に存在する光のItransその他の特性に基づいて薬品の存在を検出する本発明の実施例では、従来の検出器29、並びにそれに付随する従来の信号変換及び処理回路(図示せず)が、出口ミラー22に隣接して配設される。伝搬光の強度Itransを測定する実施例の場合には、検出器29は適切な強度測定装置となろう。以下で議論するように、その他の形式の検出器は、その他の特性を測定する場合に設けられることになる。
【0054】
全内反射による位相シフトφの効果は、共振器の共振周波数ωmを高くするものとなり、次のように表わすことができる:
【0055】
【数8】
【0056】
図2(b)に示すように、ブルースター角(42.4゜)では位相シフトπが生ずる。さらに、全内反射が生じると位相が増大し始める。最大位相シフトは2πであり、それ故、共振周波数は多くとも2つのモード間隔だけ変化する。この分析は、実際のミラーからの反射の際に生じ得る極めて僅少の位相シフトを含んでいないことに留意されたい。ミラーにより生じる位相シフトは、πよりもはるかに小さく、一般に一定であり、それ故、全ての実際的な場合に無視することが可能である。
【0057】
上記議論で説明されているように、また実験から確認されるように、全内反射点で生じる減衰フィールドは、その周囲の化学的環境の光学特性に極めて敏感なものである。本発明は、この理論を適用して、少なくとも1桁は従来のシステムよりも感度が高く、且つ(バルクと対照的に)表面試料のみを用いて検出を行うことができる検出器を提供するものである。
【0058】
文献全体にわたり、多くの異なる構造(例えばHarrickのもの)が共振光学空洞と呼ばれてきたが、これは、それらが光の波の構造性干渉を何らかの形で用いているという事実だけに基づくものである。しかし、構成的干渉だけでは、高感度を有する実際の光変換器を作り出すには不十分である。
【0059】
図面には、例示のためにのみ線形共振器が示されている。しかし、非線形共振器(リング共振器等)の場合であっても本発明の方法は同じものとなり、分析物即ち被分析試料は、光共振器の空洞内部に配置された反射素子の表面である全内反射面の減衰フィールド領域内に置かれる。
【0060】
本発明の特定用途に使用する光共振器の選択は、設計上の自由選択であり、その用途の必要性と性質によって決まる。多くの用途では、Siegmanが説明したような一層複雑な共振器の方が、本図面に概略的に示した単純な共振器よりも一層適したものとなろう。
【0061】
適当な共振器の例としては、Fabry-Perotの「V」字型のMichaelsonミラーや、Fox-Smith、Sagnacのミラーがある。これらの構造の大きな利点は、安定且つ低損失の光学モードを生成するということである。これは、利用可能な光のより多くを検知用途に利用することができる、ということを意味している。さらに、殆どの有用な共振器はガウスビーム特性を有しているが、上記で用いる分析は平面波を想定したものである。しかし、上述のように、その仮定は、単に明瞭化および簡素化のためにのみなされたものであり、非平面波の実施態様に拡張することができる。換言すれば、平面波という仮定を用いて得られる結果は、本質的には一層複雑な構成の場合と同一であるが、その分析は大幅に簡素化される。
【0062】
ダイオードレーザを光源として用いて、本発明での使用に適した全体的に集積化された固体変換器を構築することもできる。本発明はまた、1つの波長で光が送り込まれる共振器であって空洞内に別の波長を生成する共振器を組み入れることも可能なものである(例えば、Kozlovsky, W.J., Nabors, C.D.およびByer, R.L.著の「Efficient second harmonic generation of diode-laser-pumped cw Nd:YAG laser using monolithic MgO:LiNbO3 external resonant cavities」(IEEE J. Quant. Elec., 24, 913 (1988))を参照のこと)。これは、種々の波長での高出力光源の使用を可能にする。
【0063】
本発明に従って光共振器内に組み込むことが可能な適当な全内反射面を有する反射素子は多数ある。その例としては、1)プリズム(例えばダブ(Dove)プリズム)、2)ファイバ((ファイバレーザ等の)光学利得を有するものまたは有さないもの)、3)導波管がある。モノリシック共振器もまた、単体の適当な材料から製造することができ、またはファイバ若しくは導波管の端面上に適当な鏡面を被覆することにより製造することができる。例えば、化学的検知法とは無関係な分野で、Kane, T.J.およびByer, R.L.は「Monolithic, unidirectional single-mode Nd:YAG ring laser」(Opt. Lett., 10, 65(1985))においてモノリシック非平面式リング共振器を説明している。同様に、5100という細密さを有する小型モノリシックリング共振器が、論文「Fused-silica monolithic total-internal-reflection resonator」(Schiller, S., Yu, I.I., Fejer, M.M., and Byer, R.L., Opt. Lett., 17, 378 (1992))、及び米国特許第5,038,352号(Lenth and Risk, 1991年8月6日)に記載されている。
【0064】
実施例
微視的・巨視的な試料の化学的特性の検出に関する発明の実施例
本発明の種々の構成は、システムに用いられる光共振器の特性に一部依存するが、種々の方式の表面薬品検知に使用することができる。特に、本発明による方法は、共振器内の光が分析物の微視的および巨視的特性と相互作用するのを検知する検出器の実施例で用いることができる。被分析試料の微視的特性には、光と単一原子又は分子との相互作用(蛍光等)が含まれる。また、巨視的特性には、光と原子又は分子の集団との相互作用(分析物の屈折率等)が含まれる。
【0065】
微視的特性に基づく変換技術の感度は、巨視的特性に基づく変換技術の感度よりもはるかに高い。これは単に、巨視的現象を生成するために極めて多くの粒子が必要になるからである。換言すれば、検出法は、その方法が結果を生成するために多くの分子を必要とするものである場合には、ほんの少しの分子を検出することは不可能となる。しかし、いずれの場合にも、蛍光体等の適当なタグ分子又は複合体を分析物に付着させれば、本発明の感度は改善される。
【0066】
強度依存型減衰検知法(微視的検知特性)
微視的特性についての光に基づく変換方法の場合、信号(例えば蛍光)は、電磁場の強度に左右される。その感度は、検出器のノイズ等価電力(noise equivalent power)により制限されることが非常に多い。強度を高めれば、ノイズ等価信号を生成するのに必要な分析物の量が少なくなり、これにより感度が増すことになる。簡単に言えば、システムが利用できる出力が大きければ大きいほど、検出に必要な分析物は少なくなる。これは、出力が増大し、飽和若しくは消光効果が発生するまでは、真であり続ける。
【0067】
出力を増大させる1つの方法は、より強力な光源を用いることであるが、これは、電力消費量を増大させ、検出器の物理的寸法を大きくするものとなる。しかし、本発明は、光共振器の空洞内の電磁場の強度は入射強度よりもはるかに大きいという特性を利用している。この強度の増大は、空洞内損失が無く(α=0)、ミラーの反射率が等しく(R=R1=R2), θ>θcであり(即ち全内反射)、入射光の周波数が空洞共振周波数に同調している、という仮定のもとに数3の数値を求めることにより論証することができる。これらの条件のもとでは、数3は、Icirc/Iinc=1/(1−R)となる。
【0068】
20 ppm (R=0.99998)程度の低い損失を有するミラーは容易に入手可能であり、空洞内増幅係数(理論値)は、Icirc/Iinc=1/(1−R)=50,000となる。他の空洞内損失によってその数値が下がるとは言え、本発明と市販のミラーとを使用して103を越える増幅係数(実験値)を容易に達成することが可能である。
【0069】
図3は、外部光源を使用する本発明の実施例の概要を示す説明図である。機能的には図1に示したものと同一であるこの実施例の特徴は、その符号が図1と同じになっていることである。光源25は、当業界で周知の技法を用いて空洞の共振周波数に周波数ロックされている。
【0070】
本発明は、外部にはあるが空洞に周波数ロックされている光源を用いて動作させることが可能であり、好適には動作するので、その光源は、ダイオードレーザ又は超発光ダイオード等の半導体とすることができる。これは、Godlevskii/Kopytinにより説明されている(この場合にはレーザ利得媒体は光共振器内部にある)ような従来のシステムを凌ぐ大きな利点を本発明に与えるものとなる。ダイオードレーザその他の半導体光生成デバイスは、典型的には内部利得媒体よりも1/10〜1/100の小さな電流しか必要としない小型デバイスであり、また、本発明の場合のように外部共振光学空洞に結合された場合には、同一か若しくは一層高い空洞内出力でさえ動作することができる。Godlevskii/Kopytinにより説明されているような内部利得媒体を有するシステムは、その光源として上述のような小型の半導体デバイスを使用することができない。これは、それらのデバイスが、典型的には、空洞内部で生成される強電磁場に耐えることができないからである。従って、Godlevskii/Kopytinのようなシステムは、ダイオードレーザを使用して大きな空洞内出力で高感度を維持するための方法を提供するものではないという点で制限されたものとなる。ダイオードレーザ等の半導体光源はまた、小さな光学空洞を採用することも可能とする。これは、検出システムの全体寸法を縮小させることができるという更なる利点を有するものである。
【0071】
図示の実施例では、プリズムは反射素子24として用いられている。プリズム24は、検知が実行される全内反射表面又は面26を有しており、その入口及び出口表面は、損失を最小限にするために好適にはブルースター角をなす。上述のように、プリズムの代わりに他の部材又は素子を用いて全内反射面を提供することも可能である。空洞内の双方向光路は、双方向の矢印を示すライン27で示されている。分析物30は、全内反射面26により反射された光の減衰フィールド領域内に入るように従来の任意の方法で全内反射面26に付着させられる。適当な付着方法としては、直接的な更新可能又は更新不可能な化学的付着、及び、磁場により表面に対して保持される磁気粒子を用いるといった他の更新可能な方法がある。
【0072】
図3に示した実施例では、ミラー20はこの場合も入り口ミラーを形成しており、光源25からの光はそれを通って共振空洞に至るが、それ以降にミラー22を通過することはない。後述する本発明の別の実施例では、光源25はミラー20,22の間の光路中に入れられる。実施例によっては、光の一部を通すのは、ミラー20,22のいずれか一方、又は両方となり、またはそのいずれも通さないものとなり、又は、光の一部を反射し若しくは全反射するのは、ミラー20,22のいずれか一方、又は両方となり、またはそのいずれも反射しないものとなる。
【0073】
この実施例では、分析物が、電磁励起の存在により自然に蛍光を発するか、又は発蛍光団(fluorophore)等の蛍光を発するタグを備えているものと想定されている。上述のように、減衰強度Icircは、入射強度Iincよりもはるかに大きいオーダーを有するものである。このため、全内反射面における減衰フィールド領域内での電磁励起の程度も、入射光から得ることのできる励起の程度よりもはるかに大きいものとなる。それ故、減衰フィールドは、従来のシステムで必要とされる分析物の量よりもはるかに少ない量で検出可能な蛍光を発生させ、又は、はるかに小さな光源出力で前記と等しい検出可能な蛍光を発生させるものとなる。
【0074】
分析物30からの蛍光は、図3では外方に放射する3本の矢印で示されており、従来の蛍光検出器34により検出される。蛍光検出器34は、その検出面又は素子に当たる蛍光からの光強度に対応する電気出力信号を生成する既知の装置であれば何れでもよい。蛍光検出器34は、好適にはプロセッサ36に接続され、このプロセッサ36が、既知の方法を適用して、検出器34からの信号を別のシステムへの伝送および/または従来の表示装置38上への表示に適した形に変換する。
【0075】
蛍光は、非コヒーレントな線形周波数変換が施された光である。蛍光の強度は、全内反射面26のほぼ1光学波長以内にある試料の量に正比例することが理解されよう。非線形でコヒーレントな光の生成等の、試料内での他の種類の光の生成もまた、本発明を用いて検出することが可能であり、この場合にも、適当な従来の光検出器を検出器34として使用することができる。本発明による方法の主要な利点は、試料内で生成される光の種類にかかわらず、利用可能なレーザエネルギーを高効率で使用することにあり、これにより、最小の検出可能表面濃度が大きさにして数桁分小さくなる。
【0076】
本発明によれば、利得媒体又は光源25(その他の従来の光学系を含む)、共振器、及び蛍光検出器34は、単一のコンパクトなモノリシックデバイスとして製造することもできる。このようなデバイスは、消費電力が極めて小さく、しかも、既存の装置と同じかそれを上回る感度を有するものとなる。本発明の別の実施例の場合のように、導波管又はファイバを図3に示すプリズムの代わりに反射素子24として用いることも可能である。
【0077】
図4は、光学利得(α<0)を有する反射素子を包含させることにより共振器のエンハンスメント因子(enhancement factor)を増大させる本発明の一実施例を示すものである。この実施例では、共振器は、利得媒体としてのファイバレーザ44から構成され(明瞭化のためこの別の既知の装置のファイバ部分のみを示す)、この場合には、全内反射面46は、実際の光ファイバ50を一般に取り囲む被覆48の一部を除去することにより作成される。光源、ミラー、及び検出・処理回路は、単に簡素化のために示してない。これらの要素は、図3に示した実施例に関して上述したものと物理的および/または機能的に同じものとすることができる。
【0078】
ファイバレーザは、典型的には光学利得を有しているので、全内反射面を形成する非被覆領域中の減衰フィールドは非常に大きなものとなる。蛍光の検知(蛍光を発する分析物を用いる用途の場合)は好適には、被覆の「窓」に隣接して即ち全内反射面46に隣接して配置された分析物30について、図3に関して図示及び説明したように検出・処理回路を使用して行われる。
【0079】
本発明によれば、図3の共振空洞内で光源25を移動することも可能である。図5は、それを行った本発明の実施例を示すものである。この実施例では、光源は別の従来の光学系を必要とすることも可能であるが、そのために必要な変更は、当業者には明らかであろう。この実施例に適した光源は、ヘリウムネオンレーザ管である。ヘリウムネオンレーザは、市販されており、100Wを越える循環出力を有しつつも極めてコンパクトなものである。適当なレーザ管は、例えばParticle Measurement System(粒子測定システム)(Boulder, Colorado, USA)により製造される。しかし、他の方式のレーザも勿論使用することができる。蛍光の検知は、図3に示した実施例について実行される。
【0080】
図3ないし図5に示す実施例では、空洞内減衰フィールドの高い強度を用いて全内反射面の近傍の分子の蛍光を励起する。本発明の検出器が表面試料から微量の分析物を検出することができるということは、それ自体の価値に大きな利点を与えるものであり、これらの利点については既に上述の通りである。しかし、さらに別の利点として、微量の蛍光性分析物でさえも検出することができるので、蛍光は、共振器にとって大きな損失メカニズムとして働くことがなく、何れにせよ、Godlevskii等のシステムに必要とされる試料よりもはるかに小さい損失を生成するものとなる、ということがある。
【0081】
微量の蛍光性分析物を検出するための本発明による方法の一例として、真正の(true-positive)結果により減衰フィールド中に発蛍光団が存在することになる生化学的検定を考察する。200,000 M-1cm-1という(大きな)モル吸収定数を有する染料(CY5等)を使用する場合には、300ppmという分散損失と等価の表面濃度は、約0.5pmol(ピコモル)cm-2(約6×109粒子/mm2に相当)である。この分散損失は、実際の共振器の循環強度を50%だけ減じるのに十分なものである。この染料の濃度は、適当な表面と共有結合できる理論上の最大値に近接している。例えば、未増幅式のDNA検出では、3桁低い濃度までを使用する。吸収定数の値が小さくなるにつれ、空洞内フィールドを乱すのに必要な粒子の密度が増大する、ということに留意されたい。これは、吸収に依存するGodlevskii等の技法の感度の限界を決定するものである。
【0082】
Godlevskii/Kopytinの装置は、光をレーザ空洞から故意に外に出すことを意味する「漏れ(frustrated)」全内反射(FTIR)を利用したものである。その検出方法は、損失の検知に基づくものであるので、損失機構を作成する必要がある。Godlevskiiの装置は、故意に損失を導入するので、光は全内反射面上の異なる点に対してできる限り多くの回数だけ「バウンド」しなければならない。この場合、その各バウンドは検知点として作用する。これは、できる限り多くの光を全内反射面を通過させて吸収させ、これにより検出可能な損失を生成するために必要である。多数のバウンドは、検出されるべき各分析物毎に必要となる。
【0083】
従って、Godlevskiiのような装置では、吸収による強度の減少は、許容可能なものであるだけでなく、システムが適切に動作するために必要なものでもある。Godlevskiiの装置は、吸収損失の検知に基づくものであるので、空洞内フィールドを乱すのに十分なエネルギーを吸収する十分な材料(例えば染料)がなければならない。そのフィールドが乱される点を下回るまで染料の量を減らそうとした場合には、吸収損失が小さくなりすぎてGodlevskiiのシステムによる検出が不可能となる。さらに、Godlevskiiのシステムは、液体又は生化学物質のためではなく、ガス又はエアロゾルのために特に設計されたものである。従って、構造および方法の両方の理由により、Godlevskiiのシステムは、例えば未増幅式DNA検出に使用するには不適当である。
【0084】
上記とは対照的に、本発明は、フィールドが乱される点を十分に下回る(ほとんどの場合、何桁も低い)濃度を検出し、未増幅式DNA検出を可能にするものである。Godlevskii/Kopytinのようなシステムとは異なり、本発明は、吸収損失に依存して蛍光を検出するものではないので、全内反射を無効にすることはない。さらに、本発明は、損失を実際に最小限にするので、蛍光の感度検出のために、又は、検出されて全内反射面にある試料内部に含まれる目標物質の存在およびその量についての表示を与える後述の他の光学特性のために、全内反射面上での1回のバウンドしか必要としない。換言すれば、光は、全内反射面上の一点(光ビームの断面に相当する小さな領域)で反射するだけでよい。
【0085】
蛍光は、光強度と光周波数の変化又は変換とに依存する光学式探査技術であって本発明を利用可能である一連の光学探査技術の1つに過ぎない。その他の線形現象の例としては、表面検知技術で広く用いられているラマン散乱又は表面強化型(surface-enhanced)ラマン散乱がある。この種の他の非線形技術も有利に用いることが可能であり、それらには、第二高調波生成及び擬似ラマン散乱が含まれる。非線形光学効果は、光の強度の二乗又は三乗に依存するものであり、従って、蛍光よりも本発明が提供する空洞内強度の増大から更に利益を得ることになる。
【0086】
本発明を蛍光に基づく検出器として用いる場合には、先ず、試験したいと思う物質を結合することが知られている薬品又はその他の物質で全内反射面(空洞外部)を前処理する。典型的な結合剤には、核酸、DNA、及びタンパク質がある。次いで、試験試料中の1つ又は複数の(既知の化学構造を有する)検出すべき物質に蛍光性タグを付ける。但し、その物質は自然には蛍光を発しないものと仮定する。これら形態での前処理により、検出すべき目標物質、蛍光性タグ、及びおそらくは結合剤も含んでいる目標複合体が作成される。前処理が不必要な場合、例えば目標物質自体が蛍光を発するものである場合には、目標複合体は目標物質だけで構成されることになる。表面の前処理及び蛍光性のタグ付けは、検出技術における周知の技法であり、それらステップにはあらゆる既知の方法を用いることが可能である。
【0087】
次いで、試料が既知の任意の態様で前処理後の全内反射面に導入される。蛍光によりタグ付けされた被検出物質が試料中に全く存在しない場合には、どれも結合剤に付着せず、全内反射面に蛍光は存在しないことになる。目標物質が多くあればあるほど、より多く結合剤に結合して、蛍光もより大きなものとなる。蛍光検出器34は、その蛍光を検知し、その検知した蛍光の強度に対応する出力信号を生成し、その出力信号が、試料中にあって全内反射検出面に結合されている目標物質の量に対応するものとなる。
【0088】
本発明は、全内反射面に非常に近接して生成された、即ち、結合剤の1つの分子および目標物質の1つの分子の厚さ以内のところで生成された蛍光を励起して検出することが可能なものであることに留意されたい。勿論、目標物質の層がより厚ければ十分多くの蛍光が発生することになるが、本発明は、減衰フィールド中の大幅に増大された強度を用いるので、Godlevskii/Kopytinのような損失に基づくシステムを用いた検出で存在しなければならない量よりもはるかに少ない目標物質を検出することが可能である。
【0089】
上述で明らかなように、本発明で用いるような光共振器は、既知の方法及び装置と比べて、強度依存型の検知法(蛍光の検出等)に関して数桁分高い感度を提供するものとなる。更に、その光共振器は、一層コンパクトで使用電力も数桁少ないものとなる。
【0090】
空洞内で全内反射面への光の入射角が変わると、減衰フィールドの1/e減衰深さ(1/e decay depth)が変化する。これにより、目標物質の存在に関して試料が探査されることになる全内反射面の上方の深さが変わる。それ故、本発明のどのような特定用途の場合であっても、入射角を最適化することが有益である。その最適化の方法は、背景光の強度と比べて利用可能である蛍光の強度に依存して選択する。実際の検知に使用されるのと同じ検出器34または別個の従来の検出器を用いることにより、較正中に強度を測定することができる。
【0091】
最も単純な場合には、蛍光はバックグランドよりはるかに大きいものとなる。この場合には、入射角を任意の初期角に設定し、次いでその角度を(例えばプリズムを回転させることにより)最大強度が検知されるまで変化させる。次いで、その最大強度が達成された角度に入射角を設定する。
【0092】
しかし、もっと一般的な場合には、蛍光の強度はバックグランドよりもはるかに小さくなる。このような場合には、従来の光学フィルタを検出器の前に使用することが可能である。そのフィルタは、蛍光は通すが、バックグランド光は厳密に遮蔽するものである。フィルタリングされたバックグランド光が蛍光信号の一部を構成することになるので、フィルタリングされた蛍光信号を最大限にすると共にフィルタリングされない蛍光を最小限にするために、初期角を選択し、フィルタリングされた強度とフィルタリングされていない強度とを測定し、次いでその角度を変え、最適角が達成されるまでその測定を繰り返す、ということが可能である。この方法は、バックグランド光が蛍光よりも百万倍以上強い場合であっても良好に機能する、ということが幾つもの実験で示されている。
【0093】
フィルタリングされるバックグランドの強度が大きいため、フィルタリング後も依然として非常に大きな成分となる場合には、全内反射面上に(発蛍光団のない)制御部を設けてもよい。この場合には、フィルタは、測定中はそのままにしておく。制御部からの蛍光と発蛍光団のある部分からの蛍光とを、入射角の関数として測定する。次いで、制御部と蛍光部分との間の信号の差が最大となる角度になるように最適角を選択する。この較正方法は、2つの部分を有する全内反射面を必要とするものであるが、これは通常は重大な不利益にはならない。なぜなら、入射角の設定は、所与の用途について1回だけしか行う必要がないからである。
【0094】
試料の巨視的特性の検知
本発明はまた、試料の巨視的特性の検知にも非常に効果的なものであり、その巨視的特性は、蛍光性物質の存在に基づくものではなく、表面試料の屈折率の変化又は光共振器の共振周波数の変化に基づくものである。そのような具体例を以下に示す。
【0095】
屈折率の検知
全内反射面で化学変化があると、試料の屈折率nsも変化する。この現象の一例として抗体の検定がある。この検定では、抗原が全内反射面に結合され、その抗原に抗体が結合した際のnsの変化量△nsを測定することにより、抗体濃度が決定される。それに続くものとしては、図1及び図3ないし図5に示した共振器と類似の共振器を用いて前述のnsの変化を測定する実施例が幾つかある。
【0096】
数1は、臨界角よりも大きい入射角についてはRp=1 であることを示している(図2(a)も参照のこと)。臨界角に近接した一定の入射角については、nsが増大するにつれてRpの値が急激に低下する。換言すれば、入射角が臨界角近くに(但し上方)に設定されている場合には、nsの小さな変化によりRpが大きく相対変化することになる。代替的には、本発明によれば、Rpの急激な低下を利用して感度のしきい値を確立する。
【0097】
図6は、水と融解石英との間の全内反射面に関する入射強度に対する反射強度の比Rpを分析物の存在による水の屈折率の増分△nsの関数としてプロットしたものである。同図に示す仮想的な従来のシステムでは、全内反射面は共振空洞内部にはなく、このためミラーは存在しない。入射角は70゜に固定され、感度τは、反射信号を50%低減させるのに必要な屈折率の増分として定義される(他のしきい値も勿論使用可能である)。Rpがその最大値の50%まで低下する点も示されている。
【0098】
期待されるように、△nsの或る値よりも下では全反射となり、Rp=1 となる。分析物の量が増えるにつれて△nsが増え続け、約△ns=0.037となった時点で反射強度(及びRp)が急速に低下し始める。△nsがさらに約0.01だけ変化した後に、Rpが50%だけ降下したことになる。図6に示すように、△nsが約0.1を越えるとRpの曲線が平坦になり、分析物が増えてもRpに顕著な変化は来さない。従って、図6は、全内反射面が共振空洞内部になく且つ50%という感度しきい値が用いられる場合には、そのシステムが分析物の存在を検知する前に屈折率が約0.01だけ変化しなければならない、ということを示している。
【0099】
ミラーが存在しない場合とは対照的に、図6および図7の非共振システムは、やはり水と融解石英との間の全内反射面に関して、入射強度Iincに対する共振器を通過した強度Itransの比を、分析物の存在による水の屈折率の増分△nsの関数としてプロットしたものを示している。しかし、この場合には、全内反射面は本発明に従って共振器内部に配置されており、この本発明の一般的な構成が図1に概略的に示されている。図7の結果は、図6の結果との比較により、本発明が提供する感度の増大を示し得るものである。
【0100】
図7において、比Itrans/Iincは、両方のミラーが同一のものであるという仮定のもとに幾つかの鏡面反射係数Rに関して求められたものである(その仮定は、本発明に必要なものではなく、単に本発明の原理の説明を簡素化および明瞭化する目的でなされたものである)。上述と同様に、空洞内全内反射面上の入射角は70゜に固定される(他の角度も選択可能)。本発明によれば共振器から送られた強度は、△nsの関数として測定され、数7を用いて計算することができる。
【0101】
R=0.995の場合にτ=1.8×10-8となることに留意されたい。換言すれば、容易に入手可能な中間反射率のミラー(R=0.995)のみを用いた場合であっても、本発明によるシステムは、理論上の結果が図6にプロットされている非共振システムと比較して、5桁を越える大きさ(0.01/1.8×10-8≒5.5×105)の理論上の感度の増大を立証するものとなる。R=0.99998のミラーが市場で容易に入手できるので、その感度の増大をさらに大きくすることができ、これは、例えば僅かに10-7というオーダーである既知の導波管干渉計の分解能を越える大幅な改良となる。
【0102】
図7に示すように、選択したミラーの値Rが高いほど、Itrans/Iincの曲線の降下が「急峻」になり、即ち、帯域τが狭くなる(この場合も、量nsは、Rpを50%に減少させるだけ変化しなければならない)。しかし、用途によっては、Rが高いほど「良い」ということが必ずしも真とはならない。例えば、特定の分析物により通常は約3.0×10-7というnsの変化(図7の△ns軸上の3単位分の変化に相当する)が生じる、ということが経験上分かっているものと仮定する。さらに、分析物の存在についての「all-or-nothing(全てか無か)」という表示は、その特定用途には望ましくないものと仮定する。
【0103】
分析物が存在するとたちまちItrans/Iincが1.0から殆ど0.0まで降下することになるので、反射率R=0.999を有するミラーは劣った選択となる。代わって、R=0.990若しくはR=0.980又はそれらの間の値を有するミラーは、ノイズに対して敏感過ぎずに分析物の存在に対して良好な感度をもたらす点で上手な選択と言えよう。本発明の所与のいかなる用途においても、適切なミラーの反射率は、標準的な実験方法によって選択することが可能である。
【0104】
図7の場合、入力光の周波数は、数8を満たすように共振器の共振周波数に同調される。これは、当業者に周知のように、光源を共振器に周波数ロックさせることにより、実際に容易に達成することができる。
【0105】
空洞外全内反射と比べて感度が劇的に上ることは、図6及び図7の比較から明白であり、同一スポットを多数回にわたり「サンプリングする」共振器中に捕捉された光に起因するものである。ミラーの反射率が高ければ高いほど、より多くの光が捕捉され、これにより検出器の感度が一層上がることになる。等しい鏡面反射係数R=R1=R2=0.995(これは容易に入手可能でかなり安価なミラーを意味している)に関しては、伝搬強度は、約2×10-8の屈折率変化に感応するものとなる。
【0106】
図8は、分析物の存在を(例えば図7で示した効果を用いて)検出するために伝搬光の強度の変化を求める本発明によるシステムを示すブロック図である。他の図に示したものと同様の要素には同じ符号が付されている。図8に示すシステムでは、ミラー22を通って送られた光の強度Itransを測定するために従来のセンサ90が配設されている。前述と同様に、従来の変換・処理回路94を用いて、Itrans/Iincを決定するのに適した形へとセンサ90からの信号が変換され、その結果が表示装置96上に適当なフォーマットで表示される。
【0107】
選択した光源25の特性からIincが分からない場合には、Iincを測定するための別の従来のセンサ(図示せず)を、処理回路94に接続すると共に、図8に示したシステムの光源25のところ若しくはその光源25と入口ミラー20との間に追加することも可能である。必要とあらば、例えば、このシステムが別の用途のために別のミラーを使うことになる場合に、ミラー20,22の1つ以上の反射率係数を従来のあらゆる方法で処理回路94に入力することができる。
【0108】
本発明はまた、一定の鏡面反射係数を有する共振器の感度を高めるものであり、これは、空洞内光学利得αの関数としてその感度を調べることにより知ることができよう。図9は、図5に示したような利得素子を有する共振器内部に配置された水と融解石英との間の全内反射面に関して、入射強度Iincに対する共振器を伝搬した強度Itransの比を、分析物の存在による水の屈折率の増分△nsの関数としてプロットしたものである。その比は、両方のミラーが同一でR=0.99を有するものと仮定して、幾つかの空洞内利得αに関して求めたものである。空洞内全内反射面上の入射角は再度70゜に固定する。α=−0.06の場合にはτ=1.3×10-8となることに留意されたい。
【0109】
図9の場合には、共振器内部の増幅(α<0)に起因してItransがIincよりも大きくなることに留意されたい。上述と同様に、入射光の周波数は数8を満たすものと仮定する。図9に示すように、利得が増えるにつれて共振器の感度も高まる。
【0110】
図5に示した本発明の実施例では、分析物の蛍光ではなく、個々のミラーから漏出する光の強度Itrans1、Itrans2を測定するために、好適には各ミラー20,22毎に、従来のセンサ60,62を設けることにより、図9に示した原理を適用している。光学利得αの電流値、検出しきい値(例えば強度の50%減)、及び1つ以上のミラー(並びに予め分かっている場合にはIinc)の反射率が、処理回路系64に従来のあらゆる適当な方法で入力される。
【0111】
共振器は、(図3に示すように)独立した態様で動作するか、又は再生増幅器(即ちα<0となるよう利得媒体が付加されたもの)として動作することができる。さらに、図5に示した実施例を図3の蛍光を検出する実施例と(図3に示すような蛍光検出器34およびそれに付随する処理回路を単に包含させて)組み合わせることにより、単一の組み合わせ実施例で、低感度が要求される際には伝搬強度を測定し、また高感度が要求される際には蛍光を測定することが可能となる。
【0112】
上述のように、Itrans/Iincを決定するのに適した形へのセンサ60,62からの信号の変換は従来の変換・処理回路64を用いて実施され、その結果はあらゆる適当なフォーマットで表示装置66上に表示される。また、システムの両端からの光の伝搬を測定せずに1つのミラーのみを通る光(例えばミラー20を通したItrans1)を測定することも可能である。しかし、そのような構成は、図5に示す「両頭(double-ended)」センサほどは空洞内光源25に対して正確なものとはならない。
【0113】
図5は、2つのミラーと2つのセンサとを備え、光源25が共振空洞内部に配置されたシステムを示している。しかし、このシステムは、共振経路外に配置された光源(例えば以下の図8を参照)と、光源からみて反射素子の向こう側のミラーを伝搬する光を検知するための単一のセンサとで構成することもできる。
【0114】
ここで再度、図5、図7及び図8を考察する。較正を行うための方法及び図7に示した本発明の実施例は次の通りである。先ず、特定用途にどのような感度τが求められているかを決定し、適当な反射率を有するミラーを選択する(例えば、図7に示すような理論上又は実験上のデータに基づいて行う)。
【0115】
全内反射面で中性試料(即ち、被検出分子を含まない試料であり、従ってそれら被検出分子が含まれている場合よりも小さい屈折率nsを有する試料)を用いて、全内反射面26における入射角が臨界角と同じになるか若しくはそれよりも僅かに大きくなるように、反射素子24、1つ以上のミラー、光源、及び(所与の用途に含まれている場合には)何らかの中間反射素子又は屈折素子の何れか又は全てを調整する。
【0116】
ここで図7を再度参照する。検出器の好適な較正方法は、システムが全内反射「プラトー(plateau)」(ここではItrans/Iinc=1)となるように入射角を調整することである。次いで、Itrans/Iincが丁度降下し始めたことが(出力表示装置の目視検査によるか又は処理回路64,94等の自動手段によって)確認されるまで、入射角を(臨界角に近づく方向に)減少させる。次いで、Itrans/Iincが再び所定の初期設定値(好適には1.0又はそれを僅かに下回る値、例えば、≧0.95、≧0.99、又はその他の選択された初期値)になるまで角度を増やしていく。Itrans/Iincが再び所定の初期設定値になった時点で、システムが較正されて、入射角と全内反射面に隣接して付着された試料の屈折特性とが、システムが既選択近似値τまたはその近傍(例えば0.1%〜1.0%)にあるようにするものとなる。
【0117】
次いで、実際の試験試料が、光の減衰フィールド内で、全内反射面26に隣接して導入される。試験試料が十分な分析物を含んでいる場合には、システムによって検知されるItrans/Iincの値が既選択しきい値(例えば0.5)未満に降下し、そのシステムは、プロセッサ64,94及び表示装置66,96(含まれる場合)を介して、その試験試料中に分析物が存在することを示すことになる。
【0118】
しきい値を固定する必要はなく、また、システムが「yes/no」式の結果を出力する必要もないが、Itrans/Iincの実測値若しくはその値の何らかの近似値をユーザに表示してもよい。そのような「連続的」又は「非自動的」な場合には、ユーザは、分析物が存在するという十分な指示があるか否かは自分自身で決めることができる。
【0119】
上記で提案した実施例の感度は、屈折率の変化に基づく他の技法の理論上の限界と比較することができる。例えば、「Principles and sensitivities of integrated optical and surface plasmon sensors for direct affinity sensing and immunosensing」(Biosensors and Bioelectronics, 6, 215 (1991))においてLukosz, W.は、干渉計の導波管が1×10-6というnsの変化に感応することを示し、同様に、「An integrated optical sensor for measuring glucose concentration」(Appl. Phys., B54, 18 (1992))においてLiu, Y., Hering, P.およびScully, M.O.は、6×10-6というnsの変化に対する感度について報告している。図7に示すように、本発明による達成可能な感度は、それら既知の装置の理論上の限界さえも1桁越える大きさとなる。
【0120】
共振周波数の検知
上記のアプローチにより影響を受ける変数は、プリズムの反射率Rpである。しかし、全内反射面に分析物を付加することにより光共振器の共振周波数ωmも変化する(数8を参照のこと)。本発明の別の実施例によれば、この変化が決定されて、存在する分析物の量の尺度にも用いられる。ωmの変化が大きいほど、より多くの分析物が存在するものと推定される。
【0121】
図10は、水と融解石英との間の全内反射面(ここでは全内反射界面上への空洞内ビームの入射角θは70゜である)に関するωmと△nsとの関係を示すものである。△nsが増えるにつれて、ωmが減少し若しくは一定のままとなるが、全内反射に対する臨界角は増大し、△ns≒0.04になったところで、その臨界角が入射角即ち70゜と等しくなる。この点を越えて全内反射が起こることはなく、故にωmの変化はない。曲線の勾配が△ns≒0.04の近くで最大となっていることに留意されたい。
【0122】
図8もまた、センサ90として従来の走査型ファブリー・ペロー干渉計(FPI)を用いてωmの変化を直接測定する本発明の一実施例を示すものである。この実施例の感度は、FPI90の分解能あるいは細密性fによって決まり、この分解能fは、f≒π/T(ここでTはFPIのミラーの出力伝搬(power transmission)である)によって与えられる周知の特性である。20 ppm程度の低いTを有するミラーの入手はかなり容易であり、これにより、f≒1.5×105が得られる。3GHzの自由スペクトル範囲に関し、FPIは20kHzの分解能を有する。この技法の感度もまた、全内反射面上の入射角θの関数である∂ωm/∂ns(図10の曲線の「勾配」)によって決まる。
【0123】
本発明のこの実施例を用いることにより、θ=80゜の場合にτ=5×10-6という感度を達成することができ、θ=67゜という初期臨界角に近接して操作した場合にはτ=7×10-7が得られる、ということが数値計算により示されている。
【0124】
センサ90としての走査型FPIの使用は、小型のモノリシックデバイスとしての本発明の構成を許容しないものではない。例えば、Jerman等は、精密機械加工(micromacining)技術を用いて僅かに5mm四方の走査型FPIを製作しており、FPI技術における他の設計上の改良により、モノリシックデバイスとして実施される際の本発明での使用に適したFPI装置が提供されるものと期待される。
【0125】
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施態様を示す。
【0126】
1.試料中の目標物質を検出するための装置であって、この装置が、
光源と、
その光源により生成された光のための共振空洞を有する光共振器と、
前記共振空洞の内部に配置され、全内反射面を有する、全内反射部材と
を備えており、この場合、
光は、臨界角よりも大きな入射角θで前記全内反射部材に入射して、実質的に無損失でその全内反射面により反射され、
試料は、前記全内反射面における減衰フィールド領域内に延びるように位置決めされ、及び、本装置が更に、
前記減衰フィールド領域内の試料中に存在する目標物質の量に対応してその試料の所定の光学特性の実質的に非吸収的な変化を検出する検出装置を備えている、
ということを特徴とする、試料中の目標物質を検出するための装置。
【0127】
2.前記全内反射面における光の反射点が単一である、前項1記載の装置。
【0128】
3.前記光学特性が、前記目標物質を含む目標複合体による光の周波数変換である、前項1又は前項2記載の装置。
【0129】
4.前記光学特性が蛍光である、前項3記載の装置。
【0130】
5.前記光学特性が光の非線形生成である、前項3記載の装置。
【0131】
6.前記光学特性が前記全内反射面における前記試料の屈折率である、前項1又は前項2記載の装置。
【0132】
7.前記光学特性が前記共振空洞の共振周波数である、前項1又は前項2記載の装置。
【0133】
8.前記光源が利得媒体であって前記共振空洞の外部に配置されている、前項1ないし前項7の何れかに記載の装置。
【0134】
9.前記光源が半導体である、前項1ないし前項8の何れかに記載の装置。
【0135】
10.前記光源が超発光ダイオードである、前項9記載の装置。
【0136】
11.前記光源が半導体レーザである、前項9記載の装置。
【0137】
12.前記半導体の光源を前記共振空洞に周波数ロックさせる光学的ロック手段を更に備えている、前項9記載の装置。
【0138】
13.前記目標物質に固有である結合剤が前記全内反射面に塗布されている、前項1ないし前項12の何れかに記載の装置。
【0139】
14.前記全内反射面が、前記全内反射部材から取り外し可能であると共にその全内反射部材に光学的に結合される除去可能素子により形成されている、前項1ないし前項13の何れかに記載の装置。
【0140】
15.前記目標物質が微量の試料である、前項1ないし前項14の何れかに記載の装置。
【0141】
16.前記全内反射面が、光ファイバの非被覆領域として形成されている、前項1ないし前項15の何れかに記載の装置。
【0142】
17.前記全内反射面が導波管として形成されている、前項1ないし前項15の何れかに記載の装置。
【0143】
18.前記光源が1つの光学波長を有し、
前記全内反射面における光の反射点が単一であり、
前記目標物質に固有である結合剤が前記全内反射面に塗布されており、
前記目標物質が蛍光性タグが付されたものであり、
前記光学特性が、前記蛍光性タグが付された前記目標物質の蛍光であり、
前記全内反射面から1光学波長の位置またはそれ以内の位置で、前記蛍光性タグが付された前記目標物質の蛍光を検出するように、前記検出装置が前記試料に隣接して配設されている、
前項1記載の装置。
【0144】
19.前記目標物質がDNAである、前項1ないし前項18の何れかに記載の装置。
【0145】
20.試料中の目標物質を検出するための方法であって、この方法が、
A. 光共振器の共振空洞の内部に全内反射部材を配設し、
B. 前記全内反射部材の全内反射面により光が実質的に無損失で反射されるように臨界角よりも大きな角度で光を光源から前記全内反射面上へと向けることによりその全内反射面に減衰フィールド領域を生成し、
C. その減衰フィールド領域内に延びるように試料を位置決めし、
D. 前記減衰フィールド領域内の試料中にある目標物質の量に対応してその試料の所定の光学特性の実質的に非吸収的な変化を検出する、
という各ステップを含むことを特徴とする、試料中の目標物質を検出するための方法。
【0146】
21.前記光源からの光を前記全内反射面上の単一の反射点上に集束させるステップを更に含む、前項20記載の方法。
【0147】
22.前記光学特性が、前記目標物質を含む目標複合体による光の周波数変換である、前項20又は前項21記載の方法。
【0148】
23.前記光学特性が蛍光である、前項22記載の方法。
【0149】
24.前記光学特性が、光の非線形生成、全内反射面での試料の屈折率、又は、共振空洞の共振周波数である、前項22記載の方法。
【0150】
25.利得媒体を用いて光を生成し、その利得媒体を前記共振空洞の外部に位置決めする、というステップを更に含む、前項20ないし前項24の何れかに記載の方法。
【0151】
26.前記光源が半導体である、前項20ないし前項25の何れかに記載の方法。
【0152】
27.前記光源が超発光ダイオード若しくは半導体レーザである、前項26記載の方法。
【0153】
28.前記半導体の光源を前記共振空洞に光学的に対して周波数ロックさせるステップを更に含む、前項26又は前項27記載の方法。
【0154】
29.前記目標物質に固有である結合剤を前記全内反射面に塗布し、
前記目標物質に蛍光性タグを付し、
前記光源からの光を前記全内反射面上の単一の反射点に集束させ、
前記全内反射面の1光学波長以内で、前記蛍光性タグが付された前記目標物質からの蛍光を検出する、
という各ステップを更に含む、前項20記載の方法。
【0155】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したので、従来の検出システムの感度よりも少なくとも高いオーダーの感度で試料中の目標物質の存在を検出するための方法及びそれに対応する検出手段を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定在波光共振器および単一の全内反射面を有する本発明による検出器の主要構成部品を示す概略図である。
【図2】 (a),(b),(c)は、全内反射面上の光の入射に関する大きさ、位相及び侵入深さのそれぞれの間の関係を示すグラフである。
【図3】減衰フィールドに置かれた蛍光性分析物から蛍光を発生させる本発明の一実施例を示す概略図であり、この場合、減衰フィールドは、共振器の空洞自体の内部にない光源により送り込まれた共振器中の空洞内ビームの全内反射により生成される。
【図4】光学利得を有する反射素子上に生成される全内反射面を示す説明図である。
【図5】図3の実施例と類似した本発明の別の実施例を示す概略図であるが、この場合には光源が共振空洞内部に配置される。
【図6】分析物を検出するための本発明による1つの方法を支持する原理を示すグラフであり、本発明による検出器中の全内反射面に関する入射強度に対する反射光の強度の比を分析物の存在に起因する屈折率の増加の関数としてプロットした一例である。
【図7】鏡面反射の変化が本発明による検出器の感度に及ぼす影響を示すグラフであり、全内反射面に関して入射光の強度(Iinc)に対する伝搬光の強度(Itrans)の比を、一群の異なる鏡面反射係数について、屈折率の変化(△ns)の関数としてプロットしたものである。
【図8】分析物の存在を、例えば図7に示した影響を用いて検出するために伝搬光の強度の変化を決定する本発明によるシステムを示すブロック図である。
【図9】本発明による検出器において異なる空洞内利得因子について△nsの関数としてItrans/Iincをプロットした一例である。
【図10】本発明による全内反射面を組み込んだ光共振器について△nsの関数として共振周波数(ωm)をプロットした一例である。
【符号の説明】
20 入口ミラー
22 出口ミラー
24 反射素子
25 光源
26 全内反射面
29 検出器
30 被分析試料
θ 入射角
Iinc 入射光の強度
Icirc 循環光の強度
Itrans 伝搬光の強度
Claims (4)
- 試料中の目標物質を検出するための装置であって、この装置が、
光源と、
その光源により生成された光のための共振空洞を有する光共振器と、
前記共振空洞とは別個であり、前記共振空洞の内部に配置され、全内反射面を有する、全内反射部材と、
前記目標物質に固有であり前記全内反射面上に設けられた結合剤と
を備えており、この場合、
光は、臨界角よりも大きな入射角で前記全内反射部材に入射して、実質的に無損失でその全内反射面により反射され、
試料は、前記全内反射面における減衰フィールド領域内に延びるように位置決めされ、及び、本装置が更に、
前記減衰フィールド領域内の試料中に存在する前記目標物質の量に対応する、該目標物質と前記結合剤とを含む目標複合体による光の周波数変換を、実質的に非吸収的に検出する検出装置を備えている、試料中の目標物質を検出するための装置。 - 前記光源が1つの光学波長を有し、
前記全内反射面における光の反射点が単一であり、
前記目標物質が蛍光性タグが付されたものであり、
前記周波数変換が、前記蛍光性タグが付された前記目標物質の蛍光であり、
前記全内反射面から1光学波長の位置またはそれ以内の位置で、前記蛍光性タグが付された前記目標物質の蛍光を検出するように、前記検出装置が前記試料に隣接して配設されている、
請求項1に記載の装置。 - 試料中の目標物質を検出するための方法であって、この方法が、
A. 光共振器の共振空洞の内部に全内反射部材を配設し、該全内反射部材が、前記目標物質に固有の結合剤を支持する全内反射面を有し、かつ前記共振空洞の反射面から分離されており、
B. 該全内反射面により光が実質的に無損失で反射されるように臨界角よりも大きな角度で光を光源から該全内反射面上へと向けることにより該全内反射面に減衰フィールド領域を生成し、
C. その減衰フィールド領域内に延びるように試料を位置決めし、
D. 前記減衰フィールド領域内の試料中に存在する目標物質の量に対応する、該目標物質及び前記結合剤を含む目標複合体による光の周波数変換を、実質的に非吸収的に検出する、
という各ステップを含む、試料中の目標物質を検出するための方法。 - 前記目標物質に蛍光性タグを付し、
前記光源からの光を前記全内反射面上の単一の反射点に集束させ、
前記全内反射面の1光学波長以内で、前記蛍光性タグが付された前記目標物質からの蛍光を検出する、
という各ステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
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