JP3659562B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、4線巻きヘリカルを使用したアンテナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図19は例えば米国特許第5572227号公報に示された従来の4線巻きヘリカルアンテナの構成図である。
図19において、1はLバンドで動作するヘリカル素子、2はSバンドで動作するヘリカル素子、3はUHFバンドで動作するヘリカル素子、4はヘリカル素子1、2、3をその表面に構成したフィルムシート、5はLバンド給電用のコネクタとケーブル、6はSバンド給電用のコネクタとケーブル、7はUHFバンド給電用のコネクタとケーブル、8はその表面にLバンド給電用の4分配回路を構成した基板、9はその表面にSバンド給電用の4分配回路を構成した基板、10はUHFバンド給電用のケーブル7と接続するスリットバラン、11はレドームである。
【0003】
また、図20は図19のフィルムシート4の展開図である。
また、図21は基板8上に構成されたLバンド給電用4分配器の構成図、
図22は基板9上に構成されたSバンド給電用4分配器の構成図である。
図21及び図22において、12はLバンド給電用4分配器、13はSバンド給電用4分配器であり、14は1/4波長変成器である。
【0004】
これらの図において、ヘリカル素子1、2、3はそれぞれ4本ずつ等間隔でフィルムシート4上に構成されている。Lバンド給電用4分配器12は変成器14を介してヘリカル素子1へ、Sバンド給電用4分配器13は変成器14を介してヘリカル素子2へ接続している。また、ケーブル5はLバンド給電用4分配器12へ、ケーブル6はSバンド給電用4分配器12へ接続している。ケーブル7はスリットバラン10を介してヘリカル素子3へ接続する。
【0005】
次に動作について説明する。
送信時に、ケーブル5より入力したLバンド信号は、4分配器12を介して4本のヘリカル素子1を励振する。この際、各ヘリカル素子は、4分配器により、それぞれ90°ずつずれた位相で励振され、空間に円偏波を放射する。同様に、ケーブル6より入力したSバンド信号は、4分配器13を介して4本のヘリカル素子2をそれぞれ90°ずらした位相で励振し、空間に円偏波が放射される。受信時においても、これらは可逆の動作で円偏波を受信する。なお、これらのヘリカルアンテナでは、アンテナが所望の周波数で共振するように、各ヘリカル素子長が選ばれている。変成器14は、各ヘリカル素子1、2の入力インピーダンスと4分配器12,13の接続端のインピーダンスを整合するために設けられている。また、UHFバンド信号はケーブル7、スリットバラン10を介してヘリカル素子3を励振するが、本特許との関連はないので説明を割愛する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のヘリカルアンテナは以上のように構成されているので、基板上に設けた4分配器によって給電されるため、アンテナの構成が簡単であるという利点を有する。しかし、共振するヘリカル素子1、2の入力インピーダンスは通常数Ω程度と極めて低く、4分配器12、13とのインピーダンス整合を行うには、図21及び図22のように、変成器14の線路幅を大きくして特性インピーダンスを低くするか、変成器14を多段で構成する等、変成器の大型化が伴うという問題があった。例えば高い周波数で使用する場合には、変成器14の線路長より線路幅の方が大きくなり、変成器として動作しなくなる。また、ヘリカルアンテナを複数並べてアレー化して用いる場合には、4分配器の設置面積が限られるので、変成器が大型化すると、4分配器を設置できなくなる等の問題が発生する。
【0007】
この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、ヘリカル素子の入力インピーダンスを高くすることで4分配器とのインピーダンス整合を容易にし、変成器を小型化もしくは不要とすることができるアンテナ装置を得ることを目的とする。
【0008】
また、4分配器等の給電回路からの放射を抑制して、所望の放射特性を得られるアンテナ装置を得ることを目的とする。
【0009】
また、ヘリカル素子の高さを低くしたアンテナ装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るアンテナ装置は、円筒側面に螺旋状に概ね等間隔で設置された4本の導体線を有し、上記円筒下部の上記4本の導体線端と、裏面に地導体を有する誘電体基板の表面に設けられた4分配回路の分配端とを接続した構造よりなるアンテナ装置において、上記4本の導体線の長さを、所望の周波数で共振する長さより短くし、相対向する4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線を設け、かつ、上記2本の導体線を上記円筒の概ね軸上で交差させたことを特徴とするものである。
【0011】
また、上記4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線を迂回させて長さを長くしたことを特徴とするものである。
【0012】
また、上記4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線に誘導性素子を付加したことを特徴とするものである。
【0013】
また、他の発明に係るアンテナ装置は、円筒側面に螺旋状に概ね等間隔で設置された4本の導体線を有し、上記円筒下部の上記4本の導体線端と、裏面に地導体を有する誘電体基板の表面に設けられた4分配回路の分配端とを接続した構造よりなるアンテナ装置において、上記4本の導体線の長さを、所望の周波数で共振する長さより長くし、先端を開放した導体線を上記4分配回路の各分配端に接続したことを特徴とするものである。
【0014】
また、上記先端を開放した導体線に容量性素子を付加したことを特徴とするものである。
【0015】
また、上記誘電体基板の表面を地導体とし、裏面に4分配回路を設置し、上記4本の螺旋状導体線以外の構造を上記基板の裏面に構成したことを特徴とするものである。
【0016】
また、上記誘電体基板の地導体で上記円筒底面に対応する部分を除去し、上記4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線を基板の裏面もしくは表面に設けたことを特徴とするものである。
【0017】
さらに、上記基板の表面を地導体とし、裏面に4分配回路を設置したことを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示す構造図であり、図2は上記アンテナ装置の等価回路図、図3は上記アンテナ装置の電源における入力インピーダンスを表すスミスチャートである。
図1において、20は導体線で構成されたヘリカル素子、21はヘリカル素子20を巻いた円筒支持体であり、通常誘電体で構成されている。22はマイクロストリップ線路から成る4分配器、23は4分配器22を表面に設置した誘電体基板であり、裏面は導体膜になっている。24は4分配器22の対向する端子間を接続する接続導体線である。
【0019】
また、図2において、25a、25bは等価回路における振幅Vの電源、26は誘電体基板23の表面、すなわちヘリカル素子20と4分配器22の接続境界B−B’であり、27は誘電体基板23裏面の導体膜を表す。28は円筒支持体21の軸、29は電源25と接続導体線24の境界A−A’である。
【0020】
さらに、図3において、30はスミスチャートの中心、31は短絡点、32は開放点を表す。33はヘリカル素子20の長さを変えた場合におけるヘリカル素子20の入力インピーダンスの軌跡を表す。なお、図1〜図3において、共通の番号は同じものを表している。
【0021】
次に、このアンテナ装置の構造の詳細を説明する。
図1に示すように、円筒支持体21の周囲には、4本のヘリカル素子20が等間隔に螺旋状に設置されている。円筒支持体21の上面で、各ヘリカル素子20は、各々対向するもの同士が接続し、その接続部分は円筒支持体21の軸上で交差している。
【0022】
4分配器22は、その分配端が円筒支持体21の底面周囲に等間隔で設置されており、上記底面周を右回りまたは左回りにたどったとき、隣り合う端子間に90°ずつ給電位相差が設けられている。円筒支持体21の底面周囲において、4分配器22の4分配端と4本のヘリカル素子20は、それぞれ対応するものが接続している。また、4分配器22の4分配端は、それぞれ対向する2端が接続導体線24で接続され、2本の接続導体線24は、概ね円筒支持体21の軸上で交差する。
【0023】
次に、このアンテナ装置の動作を説明する。
送信時には、4本のヘリカル素子20は、4分配器22により、それぞれ90°の位相差で励振され、円偏波を空間に放射する。受信時も可逆の動作で円偏波を受信する。
【0024】
まず、2本の接続導体線24がない場合、すなわち、従来のヘリカルアンテナの場合を考える。
相対向する2本のヘリカル素子20は、4分配器22の相対向する分配端により、互いの位相差が180°の状態で励振される。すなわち、この2本のヘリカル素子20は、平行2線線路のような動作をし、接続する2個の分配端は、互いに逆相で同振幅の電源と見なされる。
【0025】
したがって、送信時におけるこの等価回路は、図2(a)のように表される。このとき、ヘリカル素子20の長さが所望の周波数で共振するように調整されていれば、電源25a、25bから見たヘリカル素子20の入力インピーダンスは、リアクタンス分が0、抵抗分が極めて低い値となり、図3のP0点に位置する。
【0026】
ここで、ヘリカル素子20の長さを若干短くし、2本の接続導体線24を設けた場合を考える。
このときの等価回路は図2(b)となる。ヘリカル素子20の長さを短くしたことにより、電源25a、25bから見たヘリカル素子20の入力インピーダンスは、まず、図3のP1点に移動する。ところで、相対向する2本のヘリカル素子20は、円筒支持体21の軸28に対して対称であり、かつ逆相で励振されているため、軸28は0電位線になっている。
【0027】
したがって、等価回路図である図2(b)は図2(c)のように表される。すなわち、境界29から右側を見たとき接続導体線24は軸28を短絡点とするショートスタブになる。このため、電源25a、25bには並列にインダクタンスが付加され、入力インピーダンスは図3のP2に移動する。このように、ヘリカル素子20の入力インピーダンスは、リアクタンス分は0のまま、抵抗分は接続導体線24を設ける前より高い値に変換される。
【0028】
以上のように、実施の形態1に係るアンテナ装置の構造により、ヘリカル素子20の入力抵抗は従来のものより高い値になる。このため、4分配器22端とヘリカル素子20の間に挿入する変成器は、多段構成にする必要がなくなり、線路幅が狭くて特性インピーダンスの高い線路で構成することが可能になる。すなわち、変成器が小型化されるという効果がある。
【0029】
また、4分配器22端のインピーダンスによっては、変成器なしで直接整合を取ることも可能である。さらに、アンテナの対称性から生じる0電位線を利用してショートスタブを構成しているので、従来から用いられているショートスタブのようにスルーホールによる短絡点を設けなくても良いという利点がある。また、従来のアンテナ装置よりヘリカル素子長を短くするので、アンテナ高が低くなるという利点がある。
【0030】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の誘電体基板上における4分配器とその端子を接続する接続導体線の形状を示す図である。
図4において、34は迂回させて長さを長くした接続導体線であり、他の符号は前述した実施の形態1のものと同じである。
【0031】
本実施の形態2では、接続導体線34を迂回させることで、ショートスタブの線路長を、実施の形態1より長くすることができる。すなわち、図2(c)の電源25aに並列に付加されるインダクタンスを増加することができ、ヘリカル素子の入力インピーダンスの調整幅が広がる利点を有する。例えば実施の形態1では、図1の接続導体線24の長さが固定であるため、インダクタンス値も一定であり、ヘリカル素子20の長さも一定値に定まってしまうが、本実施の形態2では、インダクタンス値を調整できるので、ヘリカル素子20の長さをある程度任意に選択することが可能になる。
【0032】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の誘電体基板上における4分配器とその端子を接続する接続導体線の構造を示す図である。
図5において、35は接続導体線24の途中に設置した誘導性素子である。他の符号は前述した実施の形態2のものと同じである。
【0033】
本実施の形態3では、接続導体線24に誘導性素子を設置することで、インダクタンス値を調整している。本実施の形態3の効果は、実施の形態2と同様で、ヘリカル素子の入力インピーダンスの調整幅が広がることである。
【0034】
なお、以上に述べた実施の形態1〜3において、2本の接続導体線24または34が交差する点(0電位点)にスルーホールを設けて、短絡を確実にする手法を用いてもかまわないことは言うまでもない。
【0035】
実施の形態4.
図6はこの発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の誘電体基板上における4分配器とその端子に接続した導体線を示す図である。
また、図7は上記アンテナ装置の電源における入力インピーダンスを表すスミスチャートである。
図6において、36は4分配器22の分配端に接続する導体線であり、その先端は開放されている。他の符号は前述のものと同じである。
【0036】
この実施の形態4は、4分配器22の分配端に、先端開放導体線36を接続することで、図2(c)の電源25aに並列にキャパシタンスを付加するものである。先端開放導体線36を付加する前のヘリカル素子20の共振時の入力インピーダンスを図7のP0点とする。若干ヘリカル素子20を長くすると、入力インピーダンスはP3点に移動する。ここで、電源25aに並列にキャパシタンスを付加することで、入力インピーダンスはP4に移動し、より高い入力抵抗を得ることができる。
【0037】
この実施の形態4の効果は、実施の形態1と同じく、ヘリカル素子の入力抵抗を高くすることによる変成器の小型化、不要化である。また、実施の形態1〜3に比べてヘリカル素子の高さが高くなるが、この場合、広角方向の放射レベルが高くなるので、天頂から広角まで広い範囲でアンテナを使用する場合には、この実施の形態4が有利になる。先端開放導体線36の長さを調整することで、ヘリカル素子の入力インピーダンスの調整幅が広がることは、実施の形態2、3と同様である。
【0038】
実施の形態5.
図8はこの発明の実施の形態5に係るアンテナ装置の誘電体基板上における4分配器とその端子に接続した導体線の構造を示す図である。
図8において、37は先端開放導体線36に付加した容量性素子である。他の符号は前述のものと同じである。
【0039】
本実施の形態5では、先端開放導体線36に容量性素子37を設置することで、キャパシタンス値を調整している。本実施の形態5の効果は、実施の形態2と同様で、ヘリカル素子の入力インピーダンスの調整幅が広がることである。
【0040】
実施の形態6.
図9はこの発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の構成図であり、図10は誘電体基板23の裏面に設けた4分配器とその端子に接続した導体線の構造を示す図である。
これら図において、38はヘリカル素子20と4分配器22の分配端を接続するスルーホールである。他の符号は前述のものと同じである。
【0041】
この実施の形態6のアンテナ装置の構成は、実施の形態1における4分配器22と接続導体線24を誘電体基板23の裏面に設置し、誘電体基板23の表面には導体膜27を設けたものである。ヘリカル素子20と4分配器22の分配端は、誘電体基板23に設けたスルーホール38によって接続されている。誘電体基板23の表面において、スルーホール38の周囲は導体が除去されており、導体膜27とスルーホール38は電気的に接続しないようになっている。
【0042】
この実施の形態6のアンテナ装置の動作は、実施の形態1の動作と同じである。しかし、4分配器22や接続導体線24を誘電体基板23の裏面に設けることで、これらからの不要な放射がなくなり、ヘリカル素子20からの放射のみとなるので、所望の放射パターンが得られるという効果がある。
【0043】
また、実施の形態2〜5で述べた構成でも、本実施の形態6のように、誘電体基板23の表面を導体膜27とし、裏面にヘリカル素子20以外の構成物を配置できることは言うまでもない。
【0044】
実施の形態7.
図11はこの発明の実施の形態7に係るアンテナ装置の構成図、図12はこの発明の実施の形態7における誘電体基板23の裏面を示した図である。
図12において、39は、導体膜27で円筒支持体21の底面に対応する部分の導体を除去した導体除去部である。他の符号は前述のものと同じである。
【0045】
この実施の形態7は、実施の形態1において、円筒支持体21の底面に対応する部分の導体膜を除去したものである。この場合、接続導体線24は、地導体部を失うのでショートスタブとしては動作せず、放射機能を生じてヘリカル素子20の一部として動作する。すなわち、ヘリカル素子20は等価的に長くなる。
【0046】
したがって、所望の周波数で共振させるためには、ヘリカル素子20をより短くすることになるので、ヘリカル素子20の高さがより低くなるという効果を得ることができる。
【0047】
実施の形態8.
図13はこの発明の実施の形態8に係るアンテナ装置の構成図、図14はこの発明における誘電体基板23の裏面を示した図である。
各符号は前述のものと同じである。
【0048】
この実施の形態8は、実施の形態7において、接続導体線24を誘電体基板23の裏面に設けたもので、接続導体線24は導体膜27と接続している。この場合も動作は、実施の形態7とほぼ同様であり、ヘリカル素子20の高さがより低くなるという効果を得ることができる。
【0049】
実施の形態9.
図15はこの発明の実施の形態9に係るアンテナ装置の構成図、図16はこの発明における誘電体基板23の裏面を示した図である。
各符号は前述のものと同じである。
【0050】
この実施の形態9は、実施の形態7において、誘電体基板23の表面に導体膜27と導体除去部39を設け、誘電体基板23の裏面に4分配器22を設置したものである。ヘリカル素子20と4分配器23の分配端は、誘電体基板23に設けたスルーホール38で接続されている。誘電体基板23の表面において、スルーホール38の周囲は導体が除去されており、導体膜27とスルーホール38は電気的に接続しないようになっている。また、接続導体線24は誘電体基板23の表面に設置されており、スルーホール38と接続している。
【0051】
この実施の形態9のアンテナ装置の動作は、実施の形態7とほぼ同様で、ヘリカル素子20の高さがより低くなるという効果を得る。さらに、4分配器22が誘電体基板23の裏面に設置されているので、これからの不要な放射がなくなり、所望の放射パターンが得られるという効果がある。
【0052】
実施の形態10.
図17はこの発明の実施の形態10に係るアンテナ装置の構成図、図18はこの発明における誘電体基板23の裏面を示した図である。
各符号は前述のものと同じである。
【0053】
この実施の形態10は、実施の形態9において、接続導体線24を誘電体基板23の裏面に設置したものである。接続導体線24はスルーホール38、4分配器22の分配端と接続している。
【0054】
この実施の形態10のアンテナ装置の動作は、実施の形態9とほぼ同様であり、効果も同様である。すなわち、ヘリカル素子20の高さがより低くなるという効果と、4分配器22の不要な放射がなくなり、所望の放射パターンが得られるという効果がある。
【0055】
なお、今まで述べた実施の形態1〜10では、円筒支持体21の上面で各ヘリカル素子20を接続した先端短絡形ヘリカルアンテナを用いて説明してきたが、円筒支持体21の上面で各ヘリカル素子20を接続しない先端開放形ヘリカルアンテナに対しても、以上の発明が適用できることは言うまでもない。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、円筒側面に螺旋状に概ね等間隔で設置された4本の導体線を有し、上記円筒下部の上記4本の導体線端と、裏面に地導体を有する誘電体基板の表面に設けられた4分配回路の分配端とを接続した構造よりなるアンテナ装置において、上記4本の導体線の長さを、所望の周波数で共振する長さより短くし、相対向する4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線を設け、かつ、上記2本の導体線を上記円筒の概ね軸上で交差させたので、ヘリカル素子の入力インピーダンスを高くすることで4分配器とのインピーダンス整合を容易にし、変成器を小型化もしくは不要にすることができるという効果がある。
【0057】
また、上記4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線を迂回させて長さを長くしたので、電源に並列に付加されるインダクタンスを増加させることができ、ヘリカル素子の入力インピーダンスの調整幅を広げることができる。
【0058】
また、上記4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線に誘導性素子を付加したので、ヘリカル素子の入力インピーダンスの調整幅を広げることができる。
【0059】
また、他の発明によれば、円筒側面に螺旋状に概ね等間隔で設置された4本の導体線を有し、上記円筒下部の上記4本の導体線端と、裏面に地導体を有する誘電体基板の表面に設けられた4分配回路の分配端とを接続した構造よりなるアンテナ装置において、上記4本の導体線の長さを、所望の周波数で共振する長さより長くし、先端を開放した導体線を上記4分配回路の各分配端に接続したので、電源にキャパシタンスを付加してヘリカル素子の入力インピーダンスを移動させてより高い入力抵抗を得ることができる。
【0060】
また、上記先端を開放した導体線に容量性素子を付加したので、キャパシタンス値を調整してヘリカル素子の入力インピーダンスの調整幅を広げることができる。
【0061】
また、上記誘電体基板の表面を地導体とし、裏面に4分配回路を設置し、上記4本の螺旋状導体線以外の構造を上記基板の裏面に構成したので、不要な放射を無くし、ヘリカル素子からの放射のみとして所望の放射パターンを得ることができる。
【0062】
また、上記誘電体基板の地導体で上記円筒底面に対応する部分を除去し、上記4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線を基板の裏面もしくは表面に設けたので、ヘリカル素子をより短くすることができ、ヘリカル素子の高さをより低くなるという効果がある。
【0063】
さらに、上記基板の表面を地導体とし、裏面に4分配回路を設置したので、ヘリカル素子の高さがより低くなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示す構造図である。
【図2】 図1のアンテナ装置の等価回路図である。
【図3】 図1のアンテナ装置の電源における入力インピーダンスを表すスミスチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の誘電体基板上における4分配器とその端子を接続する接続導体線の形状を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の誘電体基板上における4分配器とその端子を接続する接続導体線の構造を示す図である。
【図6】 この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の誘電体基板上における4分配器とその端子に接続した導体線を示す図である。
【図7】 図6のアンテナ装置の電源における入力インピーダンスを表すスミスチャートである。
【図8】 この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置の誘電体基板上における4分配器とその端子に接続した導体線の構造を示す図である。
【図9】 この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の構成図である。
【図10】 図9の誘電体基板23の裏面に設けた4分配器とその端子に接続した導体線の構造を示す図である。
【図11】 この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置の構成図である。
【図12】 この発明における誘電体基板23の裏面を示した図である。
【図13】 この発明の実施の形態8に係るアンテナ装置の構成図である。
【図14】 この発明における誘電体基板23の裏面を示した図である。
【図15】 この発明の実施の形態9に係るアンテナ装置の構成図である。
【図16】 この発明における誘電体基板23の裏面を示した図である。
【図17】 この発明の実施の形態10に係るアンテナ装置の構成図である。
【図18】 この発明における誘電体基板23の裏面を示した図である。
【図19】 従来の4線巻きヘリカルアンテナの構成図である。
【図20】 図19のフィルムシート4の展開図である。
【図21】 基板8上に構成されたLバンド給電用4分配器の構成図である。
【図22】 基板9上に構成されたSバンド給電用4分配器の構成図である。
【符号の説明】
20 ヘリカル素子、21 円筒支持体、22 4分配器、23 誘電体基板、24 接続導体線、25a,25b 電源、26 誘電体基板23の表面、27 誘電体基板23裏面の導体膜、34 接続導体線、35 誘導性素子、36 先端開放導体線、37 容量性素子、38 スルーホール、39 導体除去部。
Claims (8)
- 円筒側面に螺旋状に概ね等間隔で設置された4本の導体線を有し、上記円筒下部の上記4本の導体線端と、裏面に地導体を有する誘電体基板の表面に設けられた4分配回路の分配端とを接続した構造よりなるアンテナ装置において、
上記4本の導体線の長さを、所望の周波数で共振する長さより短くし、
相対向する4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線を設け、かつ、上記2本の導体線を上記円筒の概ね軸上で交差させたことを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項1に記載のアンテナ装置において、上記4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線を迂回させて長さを長くしたことを特徴とするアンテナ装置。
- 請求項1または2に記載のアンテナ装置において、上記4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線に誘導性素子を付加したことを特徴とするアンテナ装置。
- 円筒側面に螺旋状に概ね等間隔で設置された4本の導体線を有し、上記円筒下部の上記4本の導体線端と、裏面に地導体を有する誘電体基板の表面に設けられた4分配回路の分配端とを接続した構造よりなるアンテナ装置において、
上記4本の導体線の長さを、所望の周波数で共振する長さより長くし、
先端を開放した導体線を上記4分配回路の各分配端に接続したことを特徴とするアンテナ装置。 - 請求項4に記載のアンテナ装置において、上記先端を開放した導体線に容量性素子を付加したことを特徴とするアンテナ装置。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のアンテナ装置において、上記誘電体基板の表面を地導体とし、裏面に4分配回路を設置し、上記4本の螺旋状導体線以外の構造を上記基板の裏面に構成したことを特徴とするアンテナ装置。
- 請求項1に記載のアンテナ装置において、上記誘電体基板の地導体で上記円筒底面に対応する部分を除去し、上記4分配回路の分配端同士を接続する2本の導体線を基板の裏面もしくは表面に設けたことを特徴とするアンテナ装置。
- 請求項7に記載のアンテナ装置において、上記基板の表面を地導体とし、裏面に4分配回路を設置したことを特徴とするアンテナ装置。
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