JP3658993B2 - 冷媒圧縮機および冷凍装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒圧縮機および冷凍装置に係り、特に冷媒として弗化炭素水素系冷媒群のうち少なくとも一種の冷媒あるいは2種以上を混合した混合冷媒、つまり従来の塩素を含むCFCあるいはHCFC系冷媒に替るHFC系冷媒を使用する冷媒圧縮機および冷凍装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の冷凍装置を構成する冷媒圧縮機では、圧縮機の駆動軸を回転自在に支持する制止部材との係合部には、通常摺動特性を改善するため、転がり軸受が用いられている。また、圧縮機の駆動軸と係合する摺動部、あるいは駆動軸を回転自在に支持する静止部材との係合部には、通常摺動性を改善するため、鉛青銅や、PTFEなどの樹脂と鉛成分を含む表面層で構成された材料を用いた滑り軸受が併用されている。
【0003】
一方、冷媒には、塩素を含むCFC系冷媒のR12や、HCFC系冷媒であるR22が用いられてきた。これらはそれ以前の冷媒である二酸化硫黄やメチルクロライドと比べ化学的に安定で毒性が少なく、燃焼性も無いことから理想的な冷媒として広く利用されてきた。ところが近年、CFC系やHCFC系冷媒に含まれる塩素が成層圏のオゾン層を破壊することが判明し、これに替る新しい冷媒の開発、使用が急がれている。これらCFC系やHCFC系冷媒に替る実用性の高い冷媒として、塩素を含まない一弗化炭素水素(HFC)系冷媒が挙げられている。
【0004】
また、冷凍機油は圧縮機から排出され、冷凍装置内を冷媒の流れによって持ち運ばれ圧縮機に環油される為、冷媒との相溶性が必要である。従来のCFC系やHCFC系冷媒には鉱油やアルギルベンゼン油が用いられていたが、これらの冷凍機油は前記HFC系の代替冷媒との相溶性が極めて悪い。このため代替冷媒と相溶性のあるエステル油を用いることが考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、代替冷媒であるHFC系冷媒と冷凍機油であるエステル油とを組合せて使用し、かつ圧縮機が転がり軸受を有するものの組み合わせとなった場合、転がり軸受は非常に高い荷重を限られた小さな負荷面で受けるため、転がり軸受の負荷面に供される潤滑油は局部的に非常に高い圧力を受けるが、エステル油は高圧下で鉱油に比べて粘度が著しく小さく、負荷面の油膜形成能力が低いものであった。このため、摺動部の摩耗・焼付などを生じさせて信頼性が低下することがわかった。
【0006】
本発明は、転がり軸受を備えた圧縮機と、冷媒とし塩素を含まない弗化炭素水素系冷媒を組み合わせて用いても、転がり軸受の負荷面における冷凍機油の粘度を高いものとすることができる信頼性に優れた冷媒圧縮機および冷凍装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の第1の特徴は、弗化炭素水素系冷媒群のうちの一種の冷媒または前記冷媒群のうちの2種以上の冷媒を混合した混合冷媒を吸入圧縮する圧縮部と、この圧縮部を駆動するための駆動軸を摺動支持する軸受と、前記駆動軸が結合される電動機とを有する冷媒圧縮機において、前記冷媒を吸入圧縮する圧縮部は一対の渦巻状のスクロール部材により構成されたスクロ−ル形の圧縮機構部で構成され、このスクロ−ル形圧縮機構部を駆動する前記駆動軸を支持する前記軸受として、前記スクロール部材と前記電動機との間に配置された主軸受部材を少なくとも有し、かつこの主軸受部材を転がり軸受で構成し、更に前記主軸受部材を構成する転がり軸受のための潤滑油として前記吸入圧縮される冷媒と相溶性のあるエーテル油を用いたことにある。
【0010】
本発明の第2の特徴は、弗化炭素水素系冷媒群のうちの一種の冷媒または前記冷媒群のうちの2種以上の冷媒を混合した混合冷媒を吸入圧縮する圧縮部を有する圧縮機、及び凝縮器を備えた冷凍装置において、前記圧縮機は、その圧縮部が一対の渦巻状のスクロール部材により構成されたスクロ−ル形の圧縮機構部で構成されると共に、このスクロ−ル形圧縮機構部を駆動する駆動軸と、この駆動軸を支持する軸受と、前記駆動軸が結合される電動機とを有し、かつ前記軸受として、前記スクロール部材と前記電動機との間に配置された主軸受部材を少なくとも有すると共に、この主軸受部材を転がり軸受で構成し、更に前記主軸受部材を構成する転がり軸受を潤滑するための潤滑油として前記冷媒回路に使用される冷媒と相溶性のあるエーテル油を用いることにある。
【0012】
本発明の第3の特徴は、一対の渦巻状のスクロール部材により構成されたスクロ−ル形の圧縮機構をもつスクロ−ル圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を配管接続して冷媒回路を構成した冷凍装置において、前記冷媒回路には、弗化炭素水素系冷媒群のうちの一種の冷媒、または前記冷媒群のうちの2種以上の冷媒を混合した混合冷媒を封入し、前記スクロ−ル圧縮機は、前記スクロ−ル形圧縮機構部を駆動する駆動軸と、この駆動軸を支持する軸受と、前記駆動軸が結合される電動機とを有し、前記軸受は、前記スクロール部材と前記電動機との間に配置された主軸受部材を少なくとも有し、かつこの主軸受部材を転がり軸受で構成し、前記冷媒回路に使用される冷媒と相溶性のあるエーテル油を、前記主軸受部材を構成する転がり軸受を潤滑するための潤滑油として用いたことにある。
【0013】
なお、冷媒と相溶性のある前記エーテル油の主成分はポリビニルエーテル系化合物、あるいは環状エーテル系化学物が好適であり、特にポリビニルエーテル系化合物を主成分とするエーテル油が好適である。
【0014】
また、前記転がり軸受の具体例としては、ラジアル型転がり軸受がある。
【0015】
上記において、駆動軸の回転により圧縮機構部を作動させると、圧縮機は冷媒を吸入して圧縮することを繰返し、冷凍サイクルを実行する。冷媒は塩素を含まない弗化炭素水素系冷媒群のうち少なくとも一種の冷媒または二種以上を混合した混合冷媒であるため、オゾン層を破壊するなどの問題を生じない。
【0016】
冷凍機油として弗化炭素水素系冷媒と相溶性があるエーテル油は、圧縮機から冷凍装置内へ排出されても冷媒と相溶し、冷媒と共に冷凍装置を構成している冷媒回路内を流れて圧縮機に環油され、圧縮機各部の摺動部の潤滑に供される。
【0017】
この際、冷凍機油であるエーテル油は前記弗化炭素系冷媒と相溶性はあるが、従来用いられていたエステル油に比べ、高圧下においても粘度が高い。したがって、転がり軸受の負荷面における局部的な高圧下でも油膜形成能力を保持できる。この結果、軸受などの摺動部の摩耗や焼付を生じることがなく、信頼性に優れた冷媒圧縮機や冷凍装置が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、信頼性の高い冷媒圧縮機あるいは冷凍装置を得るための本発明の実施例を以下図面に従い説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施例を示す密閉形スクロ−ル圧縮機(冷媒圧縮機)の全体構造を示す図である。密閉容器1の内部の上部には圧縮機構部2が、下部には圧縮機構部を駆動する電動機3が収められている。電動機3の回転子4には該圧縮機構部の駆動軸5が結合され、この駆動軸5はフレーム部材8に設けられた主軸受部材9a,9bにより回転自在に支承されている。主軸受部材9aは摺動特性の優れたラジアル型の転り軸受であり、主軸受部材9bは、摺動特性に優れた鉛を含有する材料からなる滑り軸受が採用されている。
【0020】
圧縮機構部2は、一対の渦巻状のスクロ−ル部材6,7、すなわち渦巻状のラップを有する固定スクロール7と旋回スクロール6を備え、旋回スクロール6はその背面(反ラップ側の面)で旋回軸受部材10を介して前記駆動軸5と係合している。また、旋回スクロールの背面には自転防止部材11が配置されている。旋回軸受部材10は鉛を含有する材料から構成されている。
【0021】
駆動軸5の回転により、旋回スクロール6が自転を防止されつつ旋回運動することにより、両スクロール部材6,7により形成される圧縮室が順次外周部から中心部に移動し、容積が次第に縮少されて気体(ガス)を圧縮し、固定スクロール7の中央部に設けられた吐出口12から密閉容器1内の上部に吐出される。吐出された冷媒気体圧縮機構部2と電動機3との間の密閉容器1に設けられた吐出管13を通り圧縮機の外へ送り出される。
【0022】
冷媒回路内に設けられた上記圧縮機が、駆動軸5の回転により圧縮機構部2が働くと、冷媒気体(冷媒ガス)を吸入し圧縮することを繰返し、冷凍サイクルが稼動される。
【0023】
上記冷媒回路で用いられる冷媒は、弗化炭素水素系冷媒群のうち少なくとも一種の冷媒あるいは2種以上の冷媒を混合した混合冷媒を採用しており、塩素を含まないのでオゾン層破壊などの問題を生じない。このような冷媒の具体例としては、単一冷媒のものとしては、HFC134a,HFC32,HFC125,HFC143a等がある。また、弗化炭素水素系冷媒群のうちの2種以上の冷媒を混合した混合冷媒の例としては、HFC407C,HFC407E,HFC410A,HFC404A,HFC507Aなどの冷媒がある。
【0024】
なお、図1において、13は密閉容器1の下部に溜られた冷凍機油(潤滑油)であり、前記弗化炭素水素系冷媒と相溶性のあるエーテル油が用いられている。駆動軸5の中心部には給油通路(図示せず)が設けられており、この給油通路を介して前記冷凍機油は主軸受部材9a,9bおよび旋回軸受部10へ送られ、軸受部を潤滑する。また、この冷凍機油の一部は、自転防止部材11やスクロール部材6,7の摺動部の潤滑にも供される。これら潤滑等に供された冷凍機油は冷媒気体と共に吐出口12から密閉容器1内の上部に吐出された後、密閉容器内で冷媒気体から適度に分離されて密閉容器の底部に溜る。
【0025】
前記冷凍機油としては、ポリビニルエーテル系化合物あるいは環状エーテル系化合物主成分とするエーテル油が好適である。すなわち、冷凍機油としてのエ−テル結合をもつ油は種々あるが、本発明におけるエ−テル油としては側鎖エ−テル油や環状エ−テル油が好適であり、特に側鎖エ−テル油としてはアルキルビニルエ−テルの単独重合物又は共重合物からなるポリビニルエ−テル化合物が好適である。
【0026】
一般に、冷凍装置に用いられる冷凍機油は、冷媒回路内の冷媒雰囲気中で使用される。また、冷媒回路内に設けられた冷媒圧縮機は、一般に、密閉容器1内に電動機部3と圧縮機構部2を収容した全密閉形圧縮機の構成となっており、冷凍機油はその下部に溜められ、圧縮機の各摺動部の潤滑に供され、その一部は冷媒ガスと共に冷媒回路内を循環することになる。したがって、冷凍機油は冷媒との相溶性、潤滑性、電気絶縁性、化学的安定性・安全性、金属材料及び有機材料との適合性に優れることが求められる。
【0027】
このため、従来弗化炭素水素系冷媒と相溶性のある冷凍機としてエステル油が用いられてきたが、エステル油は、上述したように、冷媒雰囲気下で高負荷で運転された場合、転がり軸受が損傷する等の問題があった。転がり軸受では、非常に高い荷重を限られた小さな負荷面で受ける。この為、転がり軸受の負荷面に供される潤滑油は高い圧力を受け、この高い圧力を受ける際の潤滑油の粘度が負荷面の油膜形成に大きく関与する。すなわち、高い圧力を受ける際の粘度が高いほど転がり軸受の油膜形成に有利で有り、転がり軸受の信頼性が高くなる。図4に潤滑油の種類と圧力に対する粘度の関係を示す。一般にエーテル系潤滑油は、従来の鉱油に近い圧力―粘度特性を示すのに対し、エステル系潤滑油は、高圧下での粘度が鉱油やエーテル油に比べて小さい。この為、高負荷で圧縮運転をした場合、転がり軸受の油膜形成能力が足りず、損傷に至る。表1は高負荷での圧縮機の信頼性評価試験の結果を示すものである。
【0028】
【表1】
【0029】
これによれば、エステル系潤滑油を用いた場合には、3台中2台の転がり軸受が損傷したのに対し、エーテル系潤滑油を用いた場合には、3台中1台も転がり軸受の損傷が発生せず、エーテル系潤滑油は高負荷下での潤滑性に優れていることがわかる。
【0030】
したがって前述のごとく、転がり軸受を備えた圧縮機を用い、冷凍装置を構成するものにおいては、冷媒として弗化炭素水素系冷媒を、冷凍機油としてエステル油を用いると、転がり軸受が損傷し、摩耗や焼付等を生じる恐れが大きいことがわかった。本実施例のように冷凍機油としてエーテル油を用いた場合、油膜形成に優れるため転がり軸受の損傷を抑えることができる。この結果、エーテル油を用いることにより、圧縮機の摺動部、例えば圧縮機構で冷媒を圧縮する際に駆動軸の回転により発生する力を支持する摺動部に、摺動特性に優れた転がり軸受を用いることができるようになった。
【0031】
一方、従来弗化炭素水素系冷媒と相溶性のある冷凍機としてエステル油が用いられると、エステル油は、冷媒雰囲気下で高温に保った場合、軸受材料の一部として使われている鉛を油中に析出し、油の劣化をもたらす。
【0032】
弗化炭素水素系冷媒下で冷凍機油中に、鉛単体あるいは鉛を含む軸受材料を浸し、一定時間高温に保った後の油中に析出した鉛の量、及び油の劣化により生成される酸の度合を全酸化(生成された酸をKOHで中和させ求める。数値が大きいほど酸性である)で表した結果、すなわち沸化炭素水素系冷媒と冷凍機油と鉛単体および鉛を含有する軸受材料との適合性試験結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
これによれば、エステル油の場合、鉛単体あるいは鉛を含む軸受材料との組合せではいずれも油中に鉛が析出し、全酸価も高くなり油の劣化が見られる。これに対し、エーテル油の場合は、鉛単体および鉛を含む軸受材料との組合せでも、油中への鉛の析出量は極めて少く、全酸価も小さく、油の劣化が見られず安定性に優れている。
【0035】
したがって前述のごとく、鉛を含有する材料からなる軸受を備えた圧縮機を用い、冷凍装置を構成するものにおいては、冷媒として弗化炭素水素系冷媒を、冷凍機油としてエステル油を用いると、軸受材料から鉛が冷凍機中に析出し、油の劣化をもたらし、圧縮機摺動部の摩耗や焼付等を生じる恐れが大きいことがわかった。本実施例のように冷凍機油としてエーテル油を用いた場合、軸受材料からの鉛の析出が極めて少く、油の劣化を抑えることができる。この結果、エーテル油を用いることにより、圧縮機の摺動部、例えば圧縮機構で冷媒を圧縮する際に駆動軸の回転により発生する力を支持する摺動部、に摺動特性に優れた鉛を含有する材料からなる滑り軸受を用いることができるようになった。鉛を含有する軸受材料としては、銅鉛合金や鉛青銅等が好適であり、また滑り軸受としては、鋼裏金に多孔質の青銅を含む中間層と、PTFEなどの樹脂と鉛成分を含む表面層から構成したものが好適である。特に、滑り軸受の表面におけるPTFEなどの樹脂材料の割合を30%以上に構成することにより、摺動特性を向上しつつ鉛の析出を少なくすることができる。
【0036】
図2は、旋回スクロール6の背面で駆動軸5と係合する旋回軸受10を示したものであり、この旋回軸受10も鉛を含有する材料からなる滑り軸受で構成されている。なお、鉛を含有する材料からなる滑り軸受を備える箇所は、旋回軸受10に限られるものではない。
【0037】
図3は、転がり軸受及び鉛を含有する材料からなる軸受を備えた冷媒圧縮機101と、凝縮器102、減圧装置(電子膨張弁やキャピラリ−チュ−ブ等で構成される)103、蒸発器104などから構成され、冷媒として塩素を含まない沸化炭素水素系冷媒を用い、該冷媒と相溶性に優れたエーテル油を冷凍機油として用いた冷凍装置を示す。このような構成とすることにより、転がり軸受の負荷面における油膜形成能力が高く、摺動部の摩耗、焼付などを生ずることがなく、信頼性を高めることができる。なお、滑り軸受部材から冷凍機油中に析出される鉛の量は極めて少く、冷凍機油の劣化が抑えられ、かつ冷媒と冷凍機油が相溶するため冷凍装置内に溜り込むことがなく、冷媒とともに冷凍装置内を流れ冷媒圧縮機に環油されるため、信頼性を高めることができる。
【0038】
本発明においては、使用する冷媒は沸化炭素水素系冷媒群のうち少なくとも一種の冷媒、またはそれらの二種以上を混合した混合冷媒を使用するので、冷媒には塩素を含んでおらず、オゾン層を破壊するなどの問題を生じない。
【0039】
また、冷凍装置を構成する冷媒回路中に置かれた冷媒圧縮機の冷凍機油としてエーテル油を用いているので、冷凍機油は前記沸化炭素水素系冷媒と相溶性があり、圧縮機内から冷媒回路内へ排出されても冷媒と相溶し、冷媒とともに冷媒回路内を流れて圧縮機に環油され、各部の摺動部に供給され再度圧縮機各摺動部の潤滑に供される。この際、エーテル油は、高圧下においてエステル油と比較して粘度が高く、転がり軸受の負荷面における局部的な高圧下でも十分な油膜形成能力を保持できる。なお、エーテル油は、冷媒圧縮機の滑り軸受部材に含有する鉛を析出する割合がエステル油などと比較して極めて少なく、長期間高温下におかれても劣化が生じ難く安定である。この結果、冷媒圧縮機の軸受など摺動部の摩耗や焼付を生じることがなく、信頼性に優れた冷媒圧縮機および冷凍装置が得られる。
【0040】
図5は、圧縮機構部を駆動する駆動軸を複数個の転がり軸受9a、9cにより回転自在に支持する構成を示したものである。なお、転がり軸受を備える個所は、これらに限られるものではない。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、スクロール部材と電動機との間に配置された主軸受部材を少なくとも有し、かつこの主軸受部材を転がり軸受で構成し、更に前記主軸受部材を構成する転がり軸受のための潤滑油として吸入圧縮される冷媒と相溶性のあるエーテル油を用いているので、摺動特性に優れた転がり軸受を用い、かつ冷媒とし塩素を含まない弗化炭素水素系冷媒を組み合わせて用いても、転がり軸受の負荷面における局部的な高圧下でも十分な油膜形成能力を有することができ、信頼性に優れた冷媒圧縮機および冷凍装置を得ることができる。
【0042】
また、冷媒として沸化炭素水素系冷媒を使用しているので、冷媒には塩素を含んでおらず、オゾン層破壊の問題がない。さらに、冷凍機油としてエーテル油を用いているので、沸化炭素水素系冷媒と相溶性があり、冷媒と共に冷媒回路内を流れて圧縮機に安定して環油させ、摺動部の潤滑に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷媒圧縮機の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1の圧縮機に用いられている旋回スクロ−ルとそれに用いられている滑り軸受の部分の縦断面図である。
【図3】本発明が適用される冷媒圧縮機を含む冷凍装置の一例を示す冷媒回路図である。
【図4】従来及び本発明の冷媒圧縮機に用いられる潤滑油の圧力と粘度特性図である。
【図5】本発明の冷媒圧縮機の他の実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…密閉容器、2…圧縮機構部、3…電動機、4…回転子、5…駆動軸,6…旋回スクロール、7…固定スクロール、8…フレ−ム部材、9a…主軸受部材(転がり軸受)、9b…主軸受部材、10…旋回軸受、101…冷媒圧縮機、102…凝縮器、103…減圧装置、104…蒸発器。
Claims (6)
- 弗化炭素水素系冷媒群のうちの一種の冷媒または前記冷媒群のうちの2種以上の冷媒を混合した混合冷媒を吸入圧縮する圧縮部と、この圧縮部を駆動するための駆動軸を摺動支持する軸受と、前記駆動軸が結合される電動機とを有する冷媒圧縮機において、
前記冷媒を吸入圧縮する圧縮部は一対の渦巻状のスクロール部材により構成されたスクロ−ル形の圧縮機構部で構成され、このスクロ−ル形圧縮機構部を駆動する前記駆動軸を支持する前記軸受として、前記スクロール部材と前記電動機との間に配置された主軸受部材を少なくとも有し、かつこの主軸受部材を転がり軸受で構成し、
更に前記主軸受部材を構成する転がり軸受のための潤滑油として前記吸入圧縮される冷媒と相溶性のあるエーテル油を用いることを特徴とする冷媒圧縮機。 - 冷媒と相溶性のある前記エーテル油の主成分はポリビニルエーテル系化合物である請求項1記載の冷媒圧縮機。
- 冷媒と相溶性のある前記エーテル油の主成分は環状エーテル系化合物である請求項1記載の冷媒圧縮機。
- 弗化炭素水素系冷媒群のうちの一種の冷媒または前記冷媒群のうちの2種以上の冷媒を混合した混合冷媒を吸入圧縮する圧縮部を有する圧縮機、及び凝縮器を備えた冷凍装置において、
前記圧縮機は、その圧縮部が一対の渦巻状のスクロール部材により構成されたスクロ−ル形の圧縮機構部で構成されると共に、このスクロ−ル形圧縮機構部を駆動する駆動軸と、この駆動軸を支持する軸受と、前記駆動軸が結合される電動機とを有し、
かつ前記軸受として、前記スクロール部材と前記電動機との間に配置された主軸受部材を少なくとも有すると共に、この主軸受部材を転がり軸受で構成し、
更に前記主軸受部材を構成する転がり軸受を潤滑するための潤滑油として前記冷媒回路に使用される冷媒と相溶性のあるエーテル油を用いることを特徴とする冷凍装置。 - 一対の渦巻状のスクロール部材により構成されたスクロ−ル形の圧縮機構部をもつスクロ−ル圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を配管接続して冷媒回路を構成した冷凍装置において、
前記冷媒回路には、弗化炭素水素系冷媒群のうちの一種の冷媒、または前記冷媒群のうちの2種以上の冷媒を混合した混合冷媒を封入し、
前記スクロ−ル圧縮機は、前記スクロ−ル形圧縮機構部を駆動する駆動軸と、この駆動軸を支持する軸受と、前記駆動軸が結合される電動機とを有し、
前記軸受は、前記スクロール部材と前記電動機との間に配置された主軸受部材を少なくとも有し、かつこの主軸受部材を転がり軸受で構成し、
前記冷媒回路に使用される冷媒と相溶性のあるエーテル油を、前記主軸受部材を構成する転がり軸受を潤滑するための潤滑油として用いたことを特徴とする冷凍装置。 - 前記潤滑油は、ポリビニルエーテル系化合物あるいは環状エーテル系化合物を主成分とするエーテル油である請求項4または5に記載の冷凍装置。
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- 1998-05-13 JP JP12992398A patent/JP3658993B2/ja not_active Expired - Lifetime
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