JP7320661B1 - 冷媒圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮機の摺動部の信頼性を維持できる冷媒圧縮機を提供する。【解決手段】本発明に係る冷媒圧縮機1は、冷媒を圧縮する圧縮機構部720と、前記圧縮機構部720を駆動する回転軸300と、前記回転軸300と前記圧縮機構部720との係合部および前記回転軸の回転支承部のうちの少なくとも一方にすべり軸受10(主軸受401、旋回軸受210)を備え、前記冷媒は、R1234yf、R1234ze、R290およびR1270のうちの少なくとも一種を用い、またはこれらのうちの少なくとも一種と他の冷媒とを混合して用いられており、前記冷凍機油は、分子量が500以上、密度が0.9g/cm3以上および化学構造の末端に水酸基を有するという条件を満たし、または前記条件を満たすものと他の冷凍機油と混合されており、前記すべり軸受10の摺動面に、表面エネルギーが20℃において40mN/m以上500mN/m以下の被膜を備えている。【選択図】図3

Description

本発明は、冷媒圧縮機に関する。
現在の空調機器、冷凍機器において、地球温暖化防止の観点から低地球温暖化係数冷媒(低GWP(Global Warming Potential)冷媒)への転換が求められている。低GWP冷媒としては、プロパン(R290)やCOなどの自然系冷媒や、化学構造に二重結合を有するHFO系冷媒などがある。これらの低GWP冷媒は極性が低いので、冷凍機油が溶解し易く、摺動部への油膜形成が行われ難い。そのため、摺動部の信頼性維持が問題となっている。
摺動部の信頼性維持を図る試みが多数なされている。
例えば、特許文献1には、分子構造中に二重結合を有する冷媒と、前記冷媒と共に使用され、油性剤を有する冷凍機油と、前記冷媒を圧縮する圧縮機構部とを備え、前記冷媒は、ハイドロフルオロオレフィンであり、前記油性剤は、前記ハイドロフルオロオレフィンよりも高い極性で、分子構造中の炭素原子の数が10~25である1価のOH基を有するアルコールであり、前記冷凍機油は、40℃において32cSt以下の動粘度を有するアルキルベンゼンを主成分とする圧縮機が開示されている。特許文献1では、これにより、圧縮機の信頼性を向上させている。
また、特許文献2には、二重結合を有する不安定な冷媒に対し、摺動部に設けられる摺動部材をポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイドまたはポリアミド樹脂で構成し、加えて、冷凍機油の表面張力を20℃において0.02N/m以上0.04N/m以下、すなわち、20mN/m以上40mN/m以下とすることが記載されている。特許文献2では、これにより、油滴の大きさを最適化し、圧縮機から吐出された油の返油性を向上させている。
また、特許文献3には、自動車用内燃機関のチェーンシステムに用いられる摺動部材において、母材樹脂とフッ素樹脂とを含有し、このフッ素樹脂の含有率が樹脂組成物の全量を基準として5~40%であり、フッ素樹脂の表面エネルギーが200~400μN/cm、すなわち、20~40mN/mとすることが記載されている。特許文献3では、これにより、油膜生成および油中添加剤の吸着等が阻害されることがなくなり、油膜と固体潤滑剤の相乗効果を得ている。
特許第5339788号公報 特開2011-43276号公報 特開2007-177037号公報
相溶性が高い冷媒と油の組合せでは運転中に油粘度が低下するため、圧縮機内の摺動面とりわけすべり軸受を備えた箇所において損傷し易いという問題がある。冷凍機油と冷媒が混合した状態では、冷凍機油の表面張力は溶解する冷媒の極性によって変化する。極性が高い冷媒と極性が高い冷凍機油、もしくは極性が低い冷媒と極性が低い冷凍機油の組合せであると相溶性が高くなる。それに対し、特許文献1~3に記載された発明のように、冷凍機油の油性剤を含む添加剤の調整や冷凍機油の表面張力の調整だけでは、実機運転中の油粘度低下を抑えられず、圧縮機の摺動部の信頼性を維持することはできない。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものである。本発明は、圧縮機の摺動部の信頼性を維持できる冷媒圧縮機を提供することを課題とする。
前記課題を解決した本発明に係る冷媒圧縮機は、冷凍サイクルに用いられ、密閉容器内に潤滑油となる冷凍機油を貯溜して、少なくとも冷媒を圧縮する冷媒圧縮機であり、前記冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部を駆動する回転軸と、前記回転軸と前記圧縮機構部との係合部および前記回転軸の回転支承部のうちの少なくとも一方にすべり軸受を備え、前記冷媒は、R1234yf、R1234ze、R290およびR1270のうちの少なくとも一種を用い、またはこれらのうちの少なくとも一種と他の冷媒とを混合して用いられており、前記冷凍機油は、分子量が500以上、密度が0.9g/cm以上および化学構造の末端に水酸基を有するという条件を満たすもののみを用い、または前記条件を満たすものと他の冷凍機油と混合して用いられており、前記すべり軸受の摺動面に、表面エネルギーが20℃において40mN/m以上500mN/m以下の被膜を備え、前記被膜は、前記すべり軸受の金属表面が多孔質化されてなる空隙に無鉛樹脂が固化した状態で充填されている金属多孔質層と、前記金属多孔質層の上に前記無鉛樹脂が固化してなる無鉛樹脂層と、を含む無鉛樹脂含浸層を有し、前記無鉛樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリイミドの群から選択される少なくとも1種からなることを特徴とする。
本発明に係る冷媒圧縮機は、圧縮機の摺動部の信頼性を維持できる。
本発明の一実施形態に係る冷媒圧縮機を示す縦断面図である。 冷凍機油として用いられ得るポリアルキレングリコール油、ポリエチレングリコール油、ポリオールエステル油および鉱物油における分子量[MW]に対する液冷媒(R290)の溶解度[a.u.]の関係を示すグラフである。 冷凍機油として用いられ得るポリアルキレングリコール油、ポリエチレングリコール油、ポリオールエステル油および鉱物油における密度(1.4MPa,60℃)[g/cm]に対する液冷媒(R290)の溶解度[a.u.]の関係を示すグラフである。 被膜の表面エネルギー[mN/m]と比摩耗量との関係を示すグラフである。 被膜の構成と(左図)、被膜の深さ方向[μm]における金属露出率[%]の関係(右図)とを示す説明図である。 金属露出率[%]と表面エネルギー[mN/m]との関係を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照して、本発明の一実施形態に係る冷媒圧縮機について詳細に説明する。参照する図面において、図1は、本発明の一実施形態に係る冷媒圧縮機1を示す縦断面図である。図1は、冷媒圧縮機1としてスクロール圧縮機に本発明を適用した例を示している。つまり、冷媒圧縮機1は、冷凍サイクルに用いられ、密閉容器700内に潤滑油となる冷凍機油を貯溜して、少なくとも冷媒を圧縮する。
図1に示すように、冷媒圧縮機1は、密閉容器700を備えている。密閉容器700内には、上方に圧縮機構部720、中央に電動機600、下方に油溜り730が配設されている。密閉容器700内では、鉄系材料で構成された回転軸300を介して圧縮機構部720と電動機600とが接続されている。つまり、回転軸300は、圧縮機構部720を駆動する。
圧縮機構部720は、台板101に渦巻き状のラップ102を直立した固定スクロール100と、台板201に渦巻き状のラップ202を直立した旋回スクロール200とを有し、ラップ102、202を互いに噛み合わせて形成されている。圧縮機構部720は、この構成により、少なくとも(ガス状の)冷媒を圧縮することができる。
固定スクロール100には、吸入口103および吐出口104も設けられている。
回転軸300は、電動機600の上部の上フレーム400に設けられた主軸受401と、電動機600の下部の下フレーム800に設けられた副軸受801により支持されている。主軸受401は、回転軸300と圧縮機構部720との係合部に相当する。
上フレーム400および下フレーム800は、密閉容器700に固定されている。
回転軸300の先端には、鉄系材料で構成されたクランクピン(偏心軸)301が設けられている。このクランクピン301は、旋回スクロール200の台板201の下方に突設したボス部203に挿入されて係合されている。
ボス部203内には旋回軸受210が設けられており、これがクランクピン301と摺動するように構成されている。ボス部203は、回転軸300の回転支承部に相当する。なお、本実施形態においては、前記した主軸受401および旋回軸受210が、すべり軸受10に相当する。本実施形態においては、図1に示すように、すべり軸受10として主軸受401および旋回軸受210のうちの少なくとも一方を備えていることが好ましい。また、本実施形態においては、副軸受801にすべり軸受10を配してもよい。
また、旋回スクロール200の台板201の背面にはオルダム継手500が配設されている。このオルダム継手500により、旋回スクロール200は、固定スクロール100に対して自転することなく旋回運動される。
電動機600によってそのロータに連結された回転軸300が回転すると、その回転により、回転軸300の先端に設けられたクランクピン301が偏心回転する。旋回スクロール200は、オルダム継手500の自転防止機構により、固定スクロール100に対して自転せずに旋回運動を行う。これにより、ガス状の冷媒が、吸入管711および吸入口103を介して渦巻状のラップ102およびラップ202で形成される密閉室に吸入される。ガス状の冷媒は、前記した旋回運動とともに前記した密閉室が中心部側へ移動することにより、その容積が圧縮される。圧縮されたガス状の冷媒は、吐出口104から吐出室710に吐出される。吐出室710に吐出されたガス状の冷媒は、圧縮機構部720や電動機600の周囲を循環した後、吐出管701から冷媒圧縮機1外へ放出される。
次に、給油経路について説明する。下フレーム800には副軸受801を収容する軸受ハウジング802が取り付けられており、その軸受ハウジング802の下端にはポンプ部900が設けられている。このポンプ部900は、回転軸300の下端部に取り付けたポンプ継ぎ手310を介して駆動される。回転軸300が回転すると、ポンプ部900により油溜り730の冷凍機油が吸い上げられ、ポンプ部900から回転軸300内に形成された油通路311を介してクランクピン301の上部に到達する。冷凍機油は、このクランクピン301の上部から旋回軸受210を潤滑した後、主軸受401へ流れる。主軸受401を潤滑した冷凍機油は、排油パイプ408を通り、油溜り730に戻る。
また、旋回軸受210を潤滑した後の冷凍機油の一部は、旋回スクロール200のボス部203の下面と上フレーム400との間に設けたシール部402を通過して旋回スクロール200の台板201の背面に流入する。台板201の背面に流入した冷凍機油は、ここから旋回スクロール200の台板201に形成した給油路220を介して、固定スクロール100と旋回スクロール200との摺動部およびラップ102、202の間を潤滑し、圧縮されたガス状の冷媒とともに吐出室710に吐出される。吐出室710に吐出された冷凍機油は、その後、密閉容器700の下部の油溜り730に戻る。
本実施形態では、以上に説明した構成を有する冷媒圧縮機1において、前記した冷媒および冷凍機油を次のようにした。つまり、極性が低い低GWP冷媒に対して相溶性の低い冷凍機油を組み合わせることとし、そのような冷凍機油として極性の高いものを選定した。また、すべり軸受10の摺動面を次のようにした。具体的には以下のようにした。
冷媒は、R1234yf、R1234ze、R290およびR1270のうちの少なくとも一種を用い、またはこれらのうちの少なくとも一種と他の冷媒とを混合して用いられている。
冷凍機油は、分子量が500以上、密度が0.9g/cm以上および化学構造の末端に水酸基を有するという条件を満たすもののみを用い、または前記条件を満たすものと他の冷凍機油と混合して用いられている。
すべり軸受10の摺動面に、表面エネルギーが20℃において40mN/m以上500mN/m以下の被膜を備えている。
以下、これらの事項について詳述する。
前記したように、冷媒は、R1234yf、R1234ze、R290およびR1270のうちの少なくとも一種を用いる。これらの冷媒は、これらから数種を選択して混合してもよい。また、冷媒は、これらの一種または数種を混合したものに対して、さらに他の冷媒と混合したものであってもよい。なお、他の冷媒を混合する場合は、混合後の冷媒の極性が冷凍機油よりも低くなるようにする。
また、前記したように、冷凍機油は、分子量が500以上、密度が0.9g/cm以上および化学構造の末端に水酸基を有するという条件を満たすものを用いる。これらの特性を具備する冷凍機油とすると極性が高くなるため、冷凍機油に対する冷媒の溶解性が低下する。したがって、運転時の油粘度低下を抑えることができる。また、冷凍機油の極性は摺動面のすべり性にも作用する。すべり軸受10(すなわち、主軸受401、旋回軸受210)の摺動面が冷凍機油より高い表面エネルギーを有し、すなわち、後述するように、20℃で40mN/m以上500mN/m以下の表面エネルギーとなる被膜を備えることにより、極性が高い冷凍機油とのぬれ性が向上する。したがって、すべり軸受10の摺動面の油膜が切れ難くなり、冷媒圧縮機1の摺動部の信頼性が向上する。
冷凍機油は、前記化学構造にエステル結合およびエーテル結合のうちの少なくとも一方を有することが好ましい。このようにすると、冷凍機油に対する冷媒の溶解性をより確実に低下させることができる。
本実施形態で用いることのできる冷凍機油としては、例えば、ポリアルキレングリコール油、ポリエチレングリコール油およびポリオールエステル油が挙げられる。なお、これらに例示される冷凍機油であっても、図2Aおよび図2Bに示すように、分子量が500以上、密度が0.9g/cm以上という前記条件を満たさないものがあるので、そのような油は、本実施形態では用いないこととする。本実施形態では、前記条件を満たす冷凍機油を適宜選択して用いる。前記条件を満たす冷凍機油の具体例として、例えば、ポリアルキレングリコール油であれば、末端がエタノール基のポリプロピレングリコール油などが挙げられる。また、ポリエチレングリコール油であれば、酸化エチレンの重合体かつ多価アルコールであり、H[OCH(CH)CH]OHで表されるPEG400などが挙げられる。また、ポリオールエステル油であれば、ヒンダードタイプポリオールエステル油で、ジペンタエリスリトール系のペンタン酸と2-メチルブタン酸などの混合脂肪酸エステル油などが挙げられる。
ここで、図2Aは、冷凍機油として用いられ得るポリアルキレングリコール油、ポリエチレングリコール油、ポリオールエステル油および鉱物油における分子量[MW]に対する液冷媒(R290)の溶解度[a.u.]の関係を示すグラフである。図2Bは、冷凍機油として用いられ得るポリアルキレングリコール油、ポリエチレングリコール油、ポリオールエステル油および鉱物油における密度(1.4MPa,60℃)[g/cm]に対する液冷媒(R290)の溶解度[a.u.]の関係を示すグラフである。
なお、冷凍機油に対する液冷媒(R290)の溶解度は、ガラス製耐圧容器に所定量の冷凍機油および冷媒を封入し、容器の温度を所定の温度まで昇温した時の、液冷媒と冷凍機油の混合中の液冷媒の割合である。
図2Aに示すように、ポリアルキレングリコール油、ポリエチレングリコール油およびポリオールエステル油は、分子量が大きくなると液冷媒の溶解度が低下する傾向にあることがわかる。また、図2Bに示すように、ポリアルキレングリコール油、ポリエチレングリコール油およびポリオールエステル油は、密度が高くなると液冷媒の溶解度が低下する傾向にあることがわかる。
本実施形態では、前記条件を満たす冷凍機油のみを用いることが好ましいが、前記条件を満たす冷凍機油と他の冷凍機油とを混合して用いることもできる。なお、他の冷凍機油としては、前記条件を満たさないポリアルキレングリコール油、ポリエチレングリコール油およびポリオールエステル油のほか、鉱物油などが挙げられる。
本実施形態においては、前記した冷凍機油の分子量は、600以上であることが好ましく、750以上であることがより好ましく、1000以上であることがさらに好ましい。また、前記した冷凍機油の分子量は、2000以下であることが好ましく、1800以下であることがより好ましく、1750以下であることがさらに好ましく、1500以下であることがさらにより好ましい。冷凍機油の分子量がこのような好ましい範囲であると、冷凍機油の性状(溶解度)がより好ましいものとなり、冷媒圧縮機1の摺動部の信頼性をより維持し得る。
本実施形態においては、前記した冷凍機油の密度は、1.0g/cm以上であることが好ましい。また、前記した冷凍機油の密度は、1.2g/cm以下であることが好ましく、1.1g/cm以下であることがより好ましい。冷凍機油の密度がこのような好ましい範囲であると、冷凍機油の性状(溶解度)がより好ましいものとなり、冷媒圧縮機1の摺動部の信頼性をより維持し得る。
前記した冷凍機油の分子量は、1.4MPa、60℃の環境下で、前記したように500以上であることが好ましい。また、前記した冷凍機油の密度は、1.4MPa、60℃の環境下で、前記したように0.9g/cm以上であることが好ましい。このようにすると、冷凍機油の性状(溶解度)がさらに好ましいものとなり、冷媒圧縮機1の摺動部の信頼性をより維持し得る。
前記した冷凍機油の分子量は、例えば、沸点上昇法や氷点降下法により測定することができる。また、前記した冷凍機油の分子量は、例えば、JIS K 0114に準じてガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
前記した冷凍機油の密度は、例えば、JIS K 2249に準じて測定することができる。
さらに、本実施形態では、以上に説明した構成を有する冷媒圧縮機1において、前記したすべり軸受10の摺動面に次のような被膜(図1において図示せず)を備えることとした。なお、冷媒圧縮機1が、主軸受401および旋回軸受210の両方を備えている場合は、それらのうちの少なくとも一方の摺動面に、好ましくは両方の摺動面に次のような被膜を備えることとした。また、冷媒圧縮機1が、主軸受401および旋回軸受210のうちのいずれか一方のみを備えている場合は、これらのうちの備えている方の摺動面に次のような被膜を備えることとした。
つまり、本実施形態における被膜は、表面エネルギーが20℃において40mN/m以上500mN/m以下というものである。このようにすると、被膜と極性が高い冷凍機油とのぬれ性が向上するので、油膜切れが生じ難くなり、摩耗量が低減する。一方、被膜の表面エネルギーが20℃において40mN/m未満であると、被膜と極性が高い冷凍機油とのぬれ性が低下するので、油膜切れが生じ易くなり、摩耗量が増加する。被膜の表面エネルギーが20℃において500mN/mを超える材料は金属材料であることが多く、ぬれ性は良い。しかしながら、自己潤滑性に劣るため500mN/mを超える場合は摩耗量が増加する。
被膜の表面エネルギーは、20℃において50mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上であることがより好ましく、70mN/m以上であることがさらに好ましく、80mN/m以上であることがさらにより好ましい。また、被膜の表面エネルギーは、20℃において450mN/m以下であることが好ましく、400mN/m以下であることがより好ましく、300mN/m以下であることがさらに好ましい。これらの好ましい下限値や上限値とすると、極性が高い冷凍機油とのぬれ性がより向上するので、油膜切れがより生じ難くなり、摩耗量がより低減する。
前記した被膜の表面エネルギーは、例えば、JIS R 3257:1999「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に準じて測定することができる。当該測定は、JIS記載の25℃±5℃、湿度50±10%で試験を実施するとよい。また、当該試験は、表面が平坦な固体試料に純水を一滴滴下し、純水の接触角を測定するとよい。試験は、1試料5点測定し、平均値を算出するとよい。
ここで、図3は、被膜の表面エネルギー[mN/m]と比摩耗量との関係を示すグラフである。図3に示すグラフは、面圧が9.8MPaとなる条件において、周速1.2m/sとなる圧縮機の回転速度にて、冷媒雰囲気下(温度:20℃)でポリオールエステル油を用いて、被膜の表面エネルギーが25~800mN/mの範囲にある合計10個の試料に対して試験を行い、表面エネルギーが25mN/mの摩耗量に対するそれぞれの比摩耗量を求め、近似曲線を描いたものである。なお、被膜の表面エネルギーは前述したように、JIS R 3257:1999に準じて測定を行い、1試料5点測定して平均値を算出した。
図3に示すように、被膜の表面エネルギーが40mN/m以上500mN/m以下であると、比摩耗量が大きく低減した。つまり、摺動性が向上した。一方、被膜の表面エネルギーが40mN/m未満であると、比摩耗量が増加した。同様に、被膜の表面エネルギーが500mN/mを超えると、比摩耗量が増加した。換言すると、これらは摺動性が低下した。このことから、被膜の表面エネルギーは、前記したように、20℃において40mN/m以上500mN/m以下とするとよいことがわかる。
R1234yf、R1234ze、R290およびR1270などが混合された冷媒では油粘度が低下し油膜が薄くなり、摩耗に対する感度が高くなるので、被膜の表面エネルギーと冷凍機油とのぬれ性の影響が顕著になる。
また、前記した被膜は、例えば、無鉛樹脂含浸層であることが好ましい。無鉛樹脂含浸層は、すべり軸受10の表面を焼結するなどして多孔質化し、その空隙に無鉛樹脂を含浸して充填し、固化したものである。そのため、無鉛樹脂含浸層は、土台となる金属材(裏金)の上に、無鉛樹脂を含浸させた金属多孔質層と、この金属多孔質層の上に無鉛樹脂が固化してなる無鉛樹脂層とを含んでなる。無鉛樹脂含浸層は、金属多孔質層の空隙に充填された無鉛樹脂により、自己潤滑作用および異物埋収性を発揮することができる。無鉛樹脂としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、POM(ポリアセタール)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PI(ポリイミド)などを用いることができる。
無鉛樹脂含浸層は、最表面からの深さが深くなるほど金属の比率(金属露出率)が高くなり、表面エネルギーが高くなる。つまり、被膜(無鉛樹脂含浸層)を表面から機械研磨等により切削することで金属露出率を調節することができ、それにより、被膜の表面エネルギーを調節することができる。
図4は、被膜の構成と(左図)、被膜の深さ方向[μm]における金属露出率[%]の関係(右図)とを示す説明図である。図4の左図の深さと右図の深さは対応している。また、図5は、金属露出率[%]と表面エネルギー[mN/m]との関係を示すグラフである。
図4の左図および右図に示すように、また、前述したように、被膜(無鉛樹脂含浸層)は、最表面からの深さが深くなるほど金属露出率が高くなることがわかる。また、図5に示すように、金属露出率が高くなると、被膜の表面エネルギーが高くなることがわかる。なお、金属露出率が60%を超えなければ、摺動面における金属の割合が支配的となることはなく、無鉛樹脂の自己潤滑作用が発揮され難くなるといったようなことはない。
以上、本発明の一実施形態に係る冷媒圧縮機1について詳細に説明したが本発明の主旨はこれに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 冷媒圧縮機
10 すべり軸受
100 固定スクロール
101 台板
102 ラップ
103 吸入口
104 吐出口
200 旋回スクロール
201 台板
202 ラップ
203 ボス部
210 旋回軸受(すべり軸受)
220 給油路
300 回転軸
301 クランクピン
310 ポンプ継ぎ手
311 油通路
400 上フレーム
401 主軸受(すべり軸受)
402 シール部
408 排油パイプ
500 オルダム継手
600 電動機
700 密閉容器
701 吐出管
710 吐出室
711 吸入管
720 圧縮機構部
800 下フレーム
801 副軸受
802 軸受ハウジング
900 ポンプ部

Claims (3)

  1. 冷凍サイクルに用いられ、密閉容器内に潤滑油となる冷凍機油を貯溜して、少なくとも冷媒を圧縮する冷媒圧縮機であり、
    前記冷媒を圧縮する圧縮機構部と、
    前記圧縮機構部を駆動する回転軸と、
    前記回転軸と前記圧縮機構部との係合部および前記回転軸の回転支承部のうちの少なくとも一方にすべり軸受を備え、
    前記冷媒は、R1234yf、R1234ze、R290およびR1270のうちの少なくとも一種を用い、またはこれらのうちの少なくとも一種と他の冷媒とを混合して用いられており、
    前記冷凍機油は、分子量が500以上、密度が0.9g/cm以上および化学構造の末端に水酸基を有するという条件を満たすもののみを用い、または前記条件を満たすものと他の冷凍機油と混合して用いられており、
    前記すべり軸受の摺動面に、表面エネルギーが20℃において40mN/m以上500mN/m以下の被膜を備え、
    前記被膜は、前記すべり軸受の金属表面が多孔質化されてなる空隙に無鉛樹脂が固化した状態で充填されている金属多孔質層と、前記金属多孔質層の上に前記無鉛樹脂が固化してなる無鉛樹脂層と、を含む無鉛樹脂含浸層を有し
    記無鉛樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリイミドの群から選択される少なくとも1種からなることを特徴とする冷媒圧縮機。
  2. 請求項1に記載の冷媒圧縮機において、
    前記冷凍機油は、前記化学構造にエステル結合およびエーテル結合のうちの少なくとも一方を有するとともに、1.4MPa、60℃の環境下で前記分子量が500以上および前記密度が0.9g/cm以上であることを特徴とする冷媒圧縮機。
  3. 請求項1または請求項2に記載の冷媒圧縮機において、
    前記被膜は、最表面からの深さが深くなるほど金属の比率が高くなる金属露出率が60%以下であることを特徴とする冷媒圧縮機。
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