JP3658932B2 - 液晶素子の駆動方法及び液晶表示装置及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶素子の駆動方法と液晶表示装置、そしてこれを用いた電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶素子は特に表示表示装置として、低消費電力で軽量なディスプレイデバイスとして、テレビ、電子手帳、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の電子機器に広く利用されている。そして、MIM素子、バック・ツウー・バック・ダイオード素子、ダイオード・リング素子、バリスタ素子等の非線形抵抗素子をスイッチ素子として用いたいわゆる2端子型アクティブ・マトリクス液晶素子は、薄膜トランジスタをスイッチ素子として用いるいわゆる3端子型アクティブ・マトリクス液晶素子と同等の表示コントラストを得、かつ3端子型アクティブ・マトリクス液晶素子よりその構造が容易な簡単な為に安い製造コストで製品を提供できる。
【0003】
ここで、表示装置として必要な機能として、階調表示機能があり、2端子型アクティブ・マトリクス液晶素子(以下、液晶パネルと言う。)でこれを行う方法として、電圧変調方式とパルス幅変調方式が知られている。この2方式の概略と特徴について説明するが、その前に液晶パネルの構成と走査電極の駆動波形についての概略を説明しておく。
【0004】
液晶パネルには走査電極とこれに交差する信号電極及びこの交差部分にスイッチ素子及び画素電極が形成されている。そして、画素電極とこれに対向する走査電極または信号電極とで、液晶層を誘電体とする画素容量を形成する。そしてこの画素容量に印加する電圧、即ち、画素電圧の値によって、この画素部分の電気的あるいは光学的な状態が変化する。ここでは説明の便宜上、画素電圧が高くなると表示が暗くなるノーマリホワイト・モードとする。
【0005】
そして、走査電極の電圧波形の与え方には種々あるが、走査電極を順次選択し、ある基準電位に対して正または負の選択電圧を印加していく方法(以下、充電駆動法と呼ぶ。)が一般的である。
【0006】
この駆動の変形として、正または負の選択電圧を印加するのに先立って負または正のリセット電圧を印加する駆動方法(以下、リセット付き充電駆動法と呼ぶ。)も良く知られている。
【0007】
この駆動方法は、表示コントラストを向上する目的でなされたものである。
【0008】
この他、選択時に第1の選択電圧を走査電極に与える第1のモードと、選択に先立って第1のプリチャージ電圧を与えた後に第2の選択電圧を走査電極に与える第2のモードとを混在させて液晶素子を駆動する新方式の駆動法(以下、充放電駆動法と呼ぶ。)が脚光を浴びつつある。この充放電駆動法については、例えば特開平2-125225号等に開示されている。更に、同、特開平2-125225号の実施例中、第1の選択電圧と逆極性の第3の選択電圧を選択した走査電極に与える第3のモードと、第1のプリチャージ電圧と逆極性のプリチャージ電圧を選択に先立って与えた後に第2の選択電圧と逆極性の第4の選択電圧を走査電極に与える第4のモードとを、先の第1、第2のモードに加えて混在させて駆動する方法が開示されている。(以下、第1、第2のモードだけを混在させて駆動する方法を片極性充放電駆動法、これに第3、第4のモードを付け加えて、混在させて駆動する方法を両極性充放電駆動法と呼ぶ。)
この駆動方法は、画素毎に設けてあるスイッチ素子の電気特性のばらつきに起因する表示パターンによらない表示むらを解消する目的でなされたものである。
【0009】
以上、走査電極の駆動方法について3種類を例に挙げて説明したが、いずれの方法においても走査電極を順次選択し、それに選択電圧を印加していくことにかわりはなく、選択電圧を印加する前にリセット電圧やプリチャージ電圧といった電圧が印加するかどうかが異なるだけである。
【0010】
ここで、階調方式について説明する。まず、電圧変調方式の場合には、ある信号電極と選択されている走査電極が交差した部分の画素の表示すべき階調に応じた電圧を印加する。即ち、選択電圧が正の場合には、負側の電圧を印加すると走査電極と信号電極間の電圧が大きくなって、スイッチ素子に印加する電圧も大きくなる。ここで、MIM等のスイッチ素子はそれに印加する電圧がある閾電圧より大きくなると急激にその抵抗が小さくなる性質を持つので、画素容量により多くの電荷が充電され画素電圧が高くなる。よって画素は暗くなる。一方、正側の電圧を印加する走査電極と信号電極間の電圧が小さいから充電量は少ない。よって画素は明るくなる。そして選択電圧が負の場合にはこの関係は逆になる。
【0011】
但し、充放電駆動法における第2、第4のモードでは、この関係は逆になって、第2、4の選択電圧の極性と逆側になるほど明るくなる。
【0012】
一方、パルス幅変調方式の場合には、正負2値の電圧からなるパルス信号の幅を画素の表示すべき階調に応じて増減する。即ち、選択電圧が正の場合に、2値の電圧の負側の電圧を長く印加すると、スイッチ素子の抵抗が小さい時間が長くなるから、画素電圧が高くなって画素は暗くなる。そして短く印加すると明るくなる。逆に選択電圧が負の場合には、2値の電圧の正側の電圧をより長く印加すると画素は暗くなり、より短く印加すると明るくなる。
【0013】
即ち、このパルス信号を構成する正負2値の電圧の内、選択電圧と同じ極性の電圧をオフ電圧、逆極性の電圧をオン電圧と定義すれば、オン電圧となる時間が長くなるほど暗くなる。
【0014】
但し、充放電駆動法における第2、第4のモードでは、この関係は逆になる。以上のように、電圧変調方式の場合には、少なくとも表示する階調数分の電圧値を与える必要があり、一般的にはデジタル化した表示階調データを電圧値に変換する、いわゆるD/A回路を信号電極数だけ設ける必要があり回路構成が複雑になり、消費電力も大きくなるといった欠点があり、特に電池駆動の携帯機器での使用はあまり適していない。
【0015】
一方、パルス幅変調方式の場合には、オン電圧とオフ電圧の2値の電圧からなるパルス信号のオン電圧とオフ電圧の時間幅の割合(一方が0の場合も含む。)を増減するだけの回路構成で済むので、回路構成が簡素なものとなり、消費電力も小さくなるといった利点があり、特に電池で駆動する携帯機器での使用には最適である。
【0016】
しかしながら、このパルス幅変調方式の場合には、表示パターンによっては信号電極方向に表示むら(以後、クロストークと言う。)が発生するといった欠点がある。これについてはかなり以前から知られており公開特許明細書(特開昭61-294416号)等に発生原因とその対策について開示されている。これによると、スイッチ素子に寄生容量があり、この寄生容量を介して、画素容量に信号電極の電圧波形変化分の電圧が重畳し画素電圧が変化することがクロストークの原因であることが説明されている。これを図を用いて詳しく説明する。
【0017】
図2は、2端子型アクティブ液晶素子(以後、液晶パネルと言う。)の構成を示す図である。図2で、破線で囲んだ10が液晶パネルで、1、2は液晶層(図示せず。)を挟む一対の基板である。Y1〜Y5は基板1上に設けられた複数の走査電極、X1〜X5は基板2上に設けられた信号電極である。
【0018】
Sは非線形抵抗素子で、図2では1箇所のみ代表して記号を付してあるが、基板1上に、走査電極Y1〜Y5と信号電極X1〜X5の交差部分毎に設けられている。非線形抵抗素子によるスイッチ素子Sとして、ここでは金属間に薄い絶縁膜を形成したMIM素子を用いているが、双方向性ダイオード特性を持ついかなる素子でもかまわない。Pは画素電極で、図2では1箇所のみ代表して記号を付してあるが、非線形抵抗素子Sに各々接続して設けられている。なお、非線形抵抗素子Sと画素電極Pを基板1上に設けているが、基板2上に設けても良い。
【0019】
非線形抵抗素子Sとそれに接続されている画素電極P及び、この画素電極Pと信号電極の対向している部分が1つの画素を構成し、画素電極Pと信号電極の対向している部分で液晶層を誘電体とする1つの画素容量を形成している。図2では代表して走査電極Y1と信号電極X2、X4のそれぞれの交差部に構成されている画素を画素1、2の記号を付してある。
【0020】
そして、説明の便宜上、画素容量に印加する電圧が高くなるとこの部分の透過率が小さくなって暗くなる、ノーマリ・ホワイト・モードになっているものとする。
【0021】
なお、走査電極が5本、信号電極が5本と少ないが、これは説明を簡略化する為で、実際の液晶パネルでは、一般的に各々数百本程度となっている。
【0022】
ここで、図14の説明をする。図14は、図2の液晶パネル10の走査電極Y1に係る電気的な等価回路を示す図である。図14で、走査電極Y1と信号電極X1〜X5がそれぞれ交差する部分に破線で囲んだスイッチ素子Sと、画素電極とこれに対向する信号電極とで作る画素容量Cpが形成されている。図14では代表して走査電極Y1と信号電極X5が交差する部分にのみ記号を付してある。そして、スイッチ素子Sはそれぞれ、電気的には印加電圧が大きくなると抵抗値が小さくなる非線形抵抗Rmと寄生容量Cmから構成される。そして、他の走査電極Y2〜Y5についても同様の等価回路が構成される。
【0023】
次に、図13の説明をする。図13は、図2の液晶パネル10が表示する表示内容の一例を示す図で、ハッチングで示した走査電極Y2〜Y5と信号電極X2で作る画素が透過率の小さい黒に近い表示で、他の画素は透過率の大きい白に近い表示となっていることを示す。
【0024】
更に、図15の説明をする。図15は、図2の液晶パネル10が図13で示した表示内容をする際の走査電極Y1〜Y5及び信号電極X1〜X5に印加する電圧波形を示す図である。
【0025】
図15(a)〜(e)は、それぞれ走査電極Y1〜Y5の電圧波形を示し、同図(f)は信号電極X2の電圧波形、同図(g)は信号電極X1、X3〜X5の電圧波形を示す。
【0026】
図15で、横軸に時間、縦軸に電圧を示してあり、t1〜t5、T1〜T5は、それぞれ走査電極Y1〜Y5の内の同じ番号の付いた走査電極が順次選択される選択期間を示す。そして、各選択期間の長さをtH(図示せず。)とする。また、総ての走査電極Y1〜Y5が一巡選択される期間をフレームと呼び、図15では、t1からt5までの期間を第1のフレーム、T1からT5までの期間を第2のフレームと呼ぶことにし、図中に示してある。
【0027】
走査電極Y1〜Y5に印加する電圧波形は、第1のフレームと第2のフレームの電圧波形のくり返しとなる。
【0028】
図15(a)〜(e)に示すように、選択電圧を±Vs1とし、この選択電圧が順次選択される走査電極Y1からY5に順次印加されていくが、選択電圧の極性はフレーム期間毎に反転し、第1フレームでは正の選択電圧+Vs1、第2フレームでは負の選択電圧−Vs1になる。そして、選択後の期間を保持期間と呼び、この保持期間に印加する電圧を保持電圧と呼ぶが、正の選択電圧が印加した後には0Vを基準に正の保持電圧を、負の選択電圧が印加した後には0Vを基準に負の保持電圧を印加する。この保持電圧の値については本実施例に直接関係しないので、ここでは電圧±Vsigを正負の保持電圧としてある。
【0029】
走査電極Y1〜Y5にこのような電圧波形を印加し、これと同期して同図(f)に示す電圧波形を信号電極X2、(g)に示す電圧波形を信号電極X1、X3〜X5に印加する。即ち、総ての信号電極X1〜X5には、電圧+Vsigと電圧−Vsigからなる信号電圧波形を走査電極Y1からY5に印加する走査電圧波形に同期して与えるが、順次選択された走査電極とそれぞれの信号電極の交差部分の画素を暗くするには、その選択された走査電極に印加する電圧と±Vsigの内の逆極性の電圧、即ちオン電圧を長い時間与え、明るくするには短い時間与える。
【0030】
よって、信号電極X2と走査電極Y2〜Y5の交差部分の画素を黒に近い表示にする為には、図中ton1で示すように走査電極Y2〜Y5に正の選択電圧+Vs1が印加された時に長いオン電圧(−Vsig)を与え、負の選択電圧−Vs1が印加された時に長いオン電圧(+Vsig)を与えれば良く、信号電極X2と走査電極Y2〜Y5以外の交差部分の画素を白に近い表示にする為には、同図でton2で示すように各走査電極Y1〜Y5が順次選択された時にこれに同期して短いオン電圧を与えれば良い。
【0031】
図16は、図15の電圧波形を与えた時の画素1、画素2にかかる電圧波形を示す図である。図16(a)は、信号電極X2の電圧を基準とした信号電極Y1の電圧波形(実線)及び画素1の画素電極の電圧波形、即ち、画素容量に印加する電圧波形(ハッチング)を示し、図16(b)は、信号電極X4の電圧を基準とした信号電極Y1の電圧波形(実線)及び画素2の画素電極の電圧波形、即ち、画素容量に印加する電圧波形(ハッチング)を示す。
【0032】
同図(a)、(b)で示すように、画素1、2の選択期間t1、T1中では、信号電極X2、X4を基準とした走査電極Y1の電圧波形は全く同じであるから、画素1、2の画素容量は同じ電荷量が充電され画素電圧は同じになる。ここで、画素1、2の選択期間t1、T1の終了間際での、この画素電圧を±Vpsとする。そして、画素1、2の選択期間の終了直後(正確には、信号電極の電圧が−Vsigから+Vsig、あるいは+Vsigから−Vsigに変化する途中で0Vになった時)では信号電極X2、X4を基準とした走査電極Y1の電圧がVs1だけ変化する。すると、この電圧変化のスイッチ素子Sの寄生容量Cmと画素容量Cpの容量分割比分の電圧が画素容量の電圧に重畳する。即ち、数式1のように変化し、これをV0と定義する。
【0033】
【数1】
【0034】
但し、±記号は選択期間に印加する選択電圧の極性、|x|はxの絶対値を示す。
【0035】
そして、更に信号電極の電圧が0Vから±Vsigに変化した後の画素電圧は数式2で定義されるΔVの電圧だけ変化する。
【0036】
【数2】
【0037】
即ち、0Vから+Vsigに変化すると、画素電圧はV0−ΔVとなり、0Vから−Vsigに変化すると、画素電圧はV0+ΔVとなる。
【0038】
よって、保持期間では各画素電圧は、|V0−ΔV|と|V0+ΔV|のいずれかの電圧をとる。
【0039】
ここで、画素1の画素電圧は、保持期間内の各t2、t3、t4、t5(あるいはT2、T3、T4、T5)期間で、時間ton1だけ|V0+ΔV|となり、時間(tH−ton1)だけ|V0−ΔV|となっているので、画素1の1フレームでの実効電圧Vrms1は数式3で表される。
【0040】
【数3】
【0041】
但し、選択期間での画素電圧は無視してある。
【0042】
同様に、画素2の画素電圧は、保持期間内の各t2、t3、t4、t5(あるいはT2,T3,T4,T5)期間で、時間ton2だけ|V0+ΔV|となり、時間(tH−ton2)だけ|V0−ΔV|となっているので、画素2の1フレームでの実効電圧Vrms2は数式4で表される。
【0043】
【数4】
【0044】
ここで、ton1>ton2であるから、Vrms1>Vrms2となり、画素1の画素電圧が画素2の画素電圧より高くなる。よって、暗くなってこれがクロストークとなる。
【0045】
これは、選択電圧の極性をフレーム毎に切り替えている為に、信号電極X2の電圧波形が、第1フレームでは−Vsigとなっている時間が、第2フレームでは+Vsigとなっている時間がいずれも長くなっており、第1・第2のいずれのフレームにおいても信号電極X2上の画素電圧を高くする。一方、信号電極X1、3〜X5の電圧波形では、第1フレームでは+Vsigとなっている時間が、第2フレームでは−Vsigとなっている時間がいずれも長くなっており、第1・第2のいずれのフレームにおいても信号電極X1、X3〜X5上の画素電圧を低くする。
【0046】
以上のように、表示パターンによって、各フレーム期間で各信号電極のとる電圧+Vsig、−Vsigの時間が異なることがクロストークの原因である。
【0047】
次に、公開特許明細書(特開昭61-294416号)で開示されているクロストーク対策について、図を用いて説明する。
【0048】
図17は、図2の液晶パネル10が図13で示した表示内容をする際の走査電極Y1〜Y5及び信号電極X1〜X5に印加する電圧波形を示す図である。
【0049】
図17(a)〜(e)は、各々走査電極Y1〜Y5の電圧波形を示し、同図(f)は信号電極X2の電圧波形、同図(g)は信号電極X1、X3〜X5の電圧波形を示す。ここで、図17の軸等の説明は図15と同じなので説明を省略する。
【0050】
図17(a)〜(e)に示すように、選択電圧を±Vs1とし、この選択電圧は順次選択される走査電極Y1からY5に順次印加されていくが、選択電圧の極性は走査電極が順次選択される選択期間毎に反転し、第1フレームでは奇数番の走査電極に正の選択電圧、偶数番の走査電極に負の選択電圧、第2フレームでは奇数番の走査電極に負の選択電圧、偶数番の走査電極に正の選択電圧を与える。そして、各画素の選択期間後の保持期間に印加する保持電圧は、正の選択電圧が印加した後には0Vを基準に正の保持電圧を、負の選択電圧が印加した後には0Vを基準に負の保持電圧を印加する。
【0051】
走査電極Y1〜Y5にこのような電圧波形を印加する。これと同期して同図(f)に示す電圧波形を信号電極X2、(g)に示す電圧波形を信号電極X1、X3〜X5に印加する。即ち、図15で説明したのと同様に順次選択された走査電極とそれぞれの信号電極の交差部分の画素を暗くするには、オン電圧を長い時間与え、明るくするには短い時間与える。但し、図15と異なる点は、走査電極が順次選択される選択期間毎にオン電圧が+Vsigと−Vsigで切替わる点である。
【0052】
図18は図17の電圧波形を与えた時の画素1、画素2にかかる電圧波形を示す図である。図18(a)は、信号電極X2の電圧を基準とした信号電極Y1の電圧波形(実線)及び画素1の画素電圧波形(ハッチング)を示し、同図(b)は、信号電極X4の電圧を基準とした信号電極Y1の電圧波形(実線)及び画素2の画素電圧波形(ハッチング)を示す。
【0053】
同図(a)、(b)で示すように、画素1、2の選択期間t1、T1中では、信号電極X2、X4を基準とした走査電極Y1の電圧波形は全く同じであるから、画素1、2の選択期間の終了直後の画素電圧は同じV0になる。
【0054】
ここで同図(a)で示すように、画素1の画素電圧が|V0+ΔV|となるのは、期間t2、T2の始めの(tH−ton1)期間と、t3からt4、T3からT4のtH期間と、t5、T5の終わりのton1期間であり、その他の保持期間では画素電圧が|V0−ΔV|となる。
【0055】
よって、画素1の実効電圧Vrms1は数式5で表される。
【0056】
【数5】
【0057】
同様に、画素2の画素電圧が|V0+ΔV|となるのは、同図(b)に示すように期間t2、T2の始めの(tH−ton2)期間と、t3からt4、T3からT4のtH期間と、t5、T5の終わりのton2期間であり、その他の保持期間では画素電圧が|V0−ΔV|となる。よって、画素2の実効電圧Vrms2も数式6で表される。
【0058】
【数6】
【0059】
数式5と数式6とを比べて、画素1と画素2の実効電圧が全く同じになることが解る。従って、クロストークは発生しないことになる。これは、選択電圧の極性を走査電極が順次選択される選択期間毎に切り替えている為に、信号電極X1〜X5の電圧波形が、表示パターンによらずに、各フレームで電圧−Vsigとなっている時間と電圧+Vsigとなっている時間が均一になっているからである。
【0060】
このように走査電極が順次選択される選択期間毎に選択電圧の極性を切り替えた走査電極の駆動方法、またはnを1以上の整数とした時、n期間毎に選択電圧の極性を切り替えた走査電極の駆動方法を(以後、nH反転駆動法と呼ぶ。)によってクロストークを改善できることが公開特許明細書(特開昭61-294416号)で開示されており、事実、実際の液晶パネルをこの駆動方法で駆動すると、クロストークがかなり軽減する。
【0061】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなnH反転駆動法によっても以前として残るクロストークがあった。(以降、特別断りのない限り、クロストークとはnH反転駆動法によっても以前として残るクロストークを指すものとする。)
図19は、実際の液晶パネルで発生するクロストークを示す図である。なお、走査電極は1H反転駆動している。図19(a)は白黒表示の液晶パネルで、四角形(クロスハッチングした部分)の表示をした場合に発生するクロストークを示し、右上がりのハッチングで示した部分がクロストークで、四角形の左右の辺部の上下に発生する。図19(b)は、カラー表示の液晶パネルで発生するクロストークを示し、例えば緑色の単色の四角形(クロスハッチングした部分)を表示した場合に四角形の上下にクロストーク(右上がりのハッチング)が発生し、このクロストークは背景の色にもよるが四角形の色の補色のような色となる。なお、191は、カラー表示の液晶パネルの一部を拡大したもので、四角形部分の赤、緑、青に対応する画素を示し、赤、青が遮光状態(クロスハッチング)、緑が透過状態(白抜き)で緑色を表示していることをを示している。
【0062】
筆者等の調査、研究の結果、このクロストークの原因は、隣接する信号電極上の画素電極間の寄生容量であることが判明した。
【0063】
先に述べたように、保持期間に、ある信号電極の電圧が変化すると、その信号電極上の画素電圧、即ち画素電極の電圧を変化させる。すると、この画素電極の電圧変化が画素電極間の寄生容量を介して隣接する画素電極の電圧を変化させる。 よって、隣接する画素の画素電圧が変化する。これがクロストークの原因である。
【0064】
これについて、図を用いて更に詳しく説明する。図20は、図2の液晶パネル10の一部の断面の模式図である。図20で、図2と同じ記号、番号のついたものは図2と同じものを示す。即ち、1、2は液晶層(図示せず。)を挟持する一対の基板である。基板1には走査電極Y1が、図20では、左右方向に配置されている。そして、基板2にX1、X2が図面の法線方向に配置されている。そして、走査電極Y1には信号電極X1、X2と交差する部分に、ハッチングで示したスイッチ素子S及び画素電極Pが配置されている。そして、各信号電極と画素電極Pとで画素容量Cpを形成し、また、スイッチ素子Sに寄生する容量Cmがあり、さらに、画素間に寄生する容量Cppが存在する。これらの容量の具体的な数値を実際の液晶パネルで測定した結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
表1に示すように、画素容量Cp、スイッチ素子の寄生容量Cmと比べて画素間容量Cppは無視できる程充分には小さくない。無論、実際の液晶パネルを構成する各部分の諸元によってこれらの容量は異なる。しかしながら、液晶パネルで明るい表示をさせたいことが多く、これには、画素電極間の隙間を狭め、画素電極部を大きくして開口率を高めることが必要となり、必然的に画素間容量Cppが増えることが多い。
【0067】
次に、画素間容量Cppの影響を定量的に求める。図21は、実際の液晶パネルの一部の電気等価回路を示す図で、ある走査電極Yj(j=1、2、・・・m、mは総ての走査電極数、又、付番は並びの順である。)上の、ある信号電極Xi(=1、2、・・・n、nは総ての信号電極数、又、付番は並びの順である。)を中心とした一部の電気等価回路を示す。但し、保持期間での等価回路を示し、スイッチ素子の抵抗分は省略してある。図21でCpが画素容量、Cmはスイッチ素子寄生容量、Cppは画素間容量を示す。
【0068】
ここで、図21の213と走査電極Yj間で見た、破線で囲んだ211部分の合成容量、及び、図21の214と走査電極Yj間で見た、破線で囲んだ212部分の合成容量、をCextとして計算する。このCextは数式7の連分数で計算でき、
【0069】
【数7】
【0070】
数式7の連分数の段数を逐次増やしながら具体的な数値を入れて計算した結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
表2に示すように、合成容量Cextは、計算する連分数を2画素分以上にしても殆ど変化しない。逆に言うと画素間容量の影響はせいぜい隣接する画素間までとしても良い。すると、図21で示した等価回路は更に簡略化できる。図22は図21の等価回路を簡略化した等価回路を示す図である。図22のように、信号電極Xiにぶら下がる画素容量Cpの電圧は、信号電極Xiとこれに隣接する2本の信号電極Xi-1、Xi+1の計3本の信号電極に印加する電圧波形の変化の影響を受ける。
【0073】
ここで、信号電極Xi、Xi-1、Xi+1に印加する電圧は+Vsigか−Vsigであり、Vin≡+Vsig−(−Vsig)と定義すると、信号電極Xi、Xi-1、Xi+1に印加する電圧の電圧変化は±Vinとなる。よって、信号電極Xi、Xi-1、Xi+1のそれぞれに印加する電圧が±Vinの変化をする場合と変化しない場合について、信号電極Xiにぶら下がる画素容量Cpの電圧変化量との関係を計算して調べる。
【0074】
表3に、信号電極Xi、Xi-1、Xi+1のそれぞれに印加する電圧の変化の組み合わせと、それによって生じる信号電極Xiにぶら下がる画素容量Cpの電圧変化量との関係を示す。
【0075】
【表3】
【0076】
表3で、信号電極の電圧変化の項の1列目の「対象」で示した信号電極は信号電極Xiで、2列目の「隣接1」で示した信号電極は信号電極Xi-1または信号電極Xi+1で、3列目の「隣接2」で示した信号電極は「隣接1」と異なった信号電極Xi+1または信号電極Xi-1である。4列目が左の3列の条件での信号電極Xiにぶら下がる画素容量Cpの電圧の変化量を示し、5列目はこの電圧の変化量を示す記号である。
【0077】
ここで、4列目の具体的な電圧の変化量は、筆者等が用いた実際の液晶パネルの場合である。また、各画素容量は液晶層を誘電体としており、画素電圧によって液晶層の誘電率が変化するから、画素電圧によって各画素容量は変化する。
【0078】
従って、表3に示した電圧の変化量は各画素の平均的な画素容量の値を用いた場合の計算値であって、厳密には対象となる画素及び隣接する画素の画素容量によって、画素の電圧変化量は微妙に異なる。
【0079】
表3に示すように、対象となる信号電極とこれに隣接する2本の信号電極の電圧変化が同じ時、その対象となる信号電極上の画素容量の電圧変化(ΔV3)は、割と小さい、一方、ある対象となる信号電極と隣接する2本の信号電極の電圧変化が逆の場合には、その対象となる信号電極上の画素容量の電圧変化(ΔV4)は、割と大きい。即ち、隣接する信号電極上の画素が同じ表示の場合には、信号電圧波形の変化が同じとなり、これらの画素に印加する実効電圧は小さくなるから、表示は明るくなり、互いに違う場合にはこれらの画素に印加する実効電圧は大きくなり、暗くなる。そしてこの暗くなる程度は、表示が違う長さが多いほど大きくなる。
【0080】
ここで、図19に戻って説明する。同図(a)では、四角形表示の左右の辺部分の隣接する信号電極上の画素の表示が辺の長さだけ異なる。よって、この境界部分にクロストークが発生する。同図(b)では、緑色の四角形表示部の緑色に対応する信号電極上の画素の表示(透過)が隣接する赤、青上の画素の表示(遮光)が異なり、ΔV4の電圧変化を受け、赤、青はそれぞれ一方に隣接する画素の表示が同じ(青か赤で遮光)で、他方の画素(緑で透過)の表示と異なるのでΔV1の電圧変化を受け、四角形外の互いに隣接する信号電極上の画素の表示は同じなので、ΔV3の電圧変化を受ける。
【0081】
ここで、ΔV4>ΔV1>ΔV3なので、四角形のある位置の緑色の信号電極上の総ての画素電圧が最も高くなり、ついで、四角形のある位置の赤、青色の信号電極上の総ての画素電圧が高く、四角形のない位置の信号電極上の画素の画素電圧が最も小さくなる。よって、四角形の上下に緑が暗く、赤、青がやや暗い、全体として、緑の補色のような色のクロストークが発生する。
【0082】
以上、述べたように選択後の保持期間に、ある信号電極上の画素電圧は、これに隣接する信号電極の電圧波形の影響を受けてクロストークが発生する。なおここでは、説明を簡単にする為に、対象となる信号電極及び隣接の内の電圧変化する信号電極の変化のタイミングは同じ場合について述べたが、実際には各信号電極の電圧変化のタイミングは互いに異なる場合が多く、この場合には、隣接する画素間で互いに複雑に影響を及ぼし合う。従って、様々な程度のクロストークが発生する。
【0083】
ここで、液晶パネル、特に反射型液晶パネルの表示品質の一つである、表示の明るさを向上させる為に開口率を大きくすると、言い換えると、画素電極間の隙間を小さくすると、画素間容量が増し、このクロストークは増大する。
【0084】
言い換えれば、開口率を小さくして画素間容量の増加を抑え、クロストークを低減することは可能であるが、表示が暗くなり、例えば、反射型液晶パネルでは非常に見づらくなり、透過型液晶パネルでは必要となる光源の電力を増やす必要が生じる。
【0085】
そこで、本発明は、上のような課題に鑑みてなされたものであり、液晶パネルの構成をそのままにし、即ち、明るい表示が可能で、光源等の消費電力の増加をせずに、クロストークの発生を防止する駆動方法および液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0086】
また、本発明はこれを含む高品質で安価な電子機器、および電力消費を抑えた主に電池で動作する携帯機器等の電子機器を提供することを目的とする。
【0087】
【課題を解決するための手段】
本発明に記載の液晶素子の駆動方法は、複数の走査電極に対して選択期間に選択電圧を順次印加することに同期して、複数の信号電極にパルス幅変調を施したオン電圧又はオフ電圧を印加することにより、前記複数の走査電極及び前記複数の信号電極の交差位置に複数の非線形抵抗素子及び画素電極が設けられた液晶素子を駆動する駆動方法であって、奇数番の信号電極からなる組と偶数番の信号電極からなる組とのうち、一方を第1の組、他方を第2の組として、前記選択期間に前記複数の信号電極に前記オン電圧とオフ電圧とのうち少なくとも一方を与え、前記選択期間に対応する補正期間において、前記第1の組の信号電極に対して、前記選択期間内でオン電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オン電圧を与え、前記選択期間内で前記オフ電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オフ電圧を与え、前記第2の組の信号電極に対して、前記選択期間内でオン電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オフ電圧を与え、前記選択期間内で前記オフ電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オン電圧を与えるモードで駆動することを特徴とする。
【0088】
上記の液晶素子の駆動方法によれば、クロストークが軽減する。
【0089】
また、本発明に記載の液晶素子の駆動方法は、上記の液晶素子の駆動方法であって、前記補正期間が、前記各選択期間の前または後に設けられていることを特徴とする。
また、本発明に記載の液晶素子の駆動方法は、上記の液晶素子の駆動方法において、前記補正期間が、前記対応した各選択期間の前または後に設けられていることを特徴とする。
【0090】
上記の液晶素子の駆動方法によれば、クロストークが軽減するとともにフリッカの発生を防止できる。
【0091】
また、本発明に記載の液晶素子の駆動方法は、請求項1または請求項2記載の液晶素子の駆動方法であって、前記モードを第1のモードとし、前記選択期間に対応する補正期間において、前記第1の組の信号電極に対して、前記選択期間内でオン電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オフ電圧を与え、前記選択期間内で前記オフ電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オン電圧を与え、前記第2の組の信号電極に対して、前記選択期間内でオン電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オン電圧を与え、前記選択期間内で前記オフ電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オフ電圧を与える第2のモードと、前記第1のモードとを周期的に切替えることを特徴とする。
【0092】
上記の液晶素子の駆動方法によれば、クロストークが軽減するとともに更に良くちらつき等が解消される。
【0093】
また、本発明に記載の液晶素子の駆動方法は、上記の液晶素子の駆動方法であって、前記走査電極は、インタレースで順次選択することを特徴とする。
【0094】
上記の液晶素子の駆動方法によれば、クロストークが軽減するとともに消費電力を低下できる。
【0095】
また本発明に記載の液晶表示装置は、上記の液晶素子の駆動方法を行う手段を具備したことを特徴とすることを特徴とする。
【0096】
上記の液晶表示装置は、消費電力でかつクロストークの少ない高品質な画質を有する。
【0097】
本発明に記載の電子機器は、上記の液晶表示装置を表示部材として具備したことを特徴とする。
【0098】
上記の電子機器は、消費電力でかつクロストークの少ない表示部材を有することになり、電子機器の品質を向上させる。
【0099】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明するが、その前に基本的な考え方を述べておく。
【0100】
ある対象とする信号電極上の画素の画素電圧は、その対象とする信号電極及びこれに隣接する信号電極の電圧変化の影響を受ける。そして、対象とする信号電極とこれに隣接する信号電極の電圧変化が全く同じ場合、即ち同相の場合に、対象とする信号電極上の画素の画素電圧への影響が最も少なく、対象とする信号電極とこれに隣接する信号電極の電圧変化が全く逆の場合、即ち逆相の場合に、対象とする信号電極上の画素の画素電圧への影響が最も大きくなる。ここで、表示パターンによらず対象とする信号電極とこれに隣接する信号電極の電圧変化が同相となる場合と逆相となる場合の頻度を同じにできれば、対象とする信号電極上の画素の画素電圧への影響が均一化でき、クロストークが解消される。例えば、順次選択されたある選択期間で対象とする信号電極とこれに隣接する信号電極の電圧変化が同相であった場合に、補正期間を設け、この補正期間に対象とする信号電極には選択期間で印加した電圧波形を、隣接する信号電極には、選択期間で印加した電圧波形を構成する2値の電圧(例えば、+Vsigと−Vsig)の関係を逆にした電圧波形を印加する。即ち、隣接する信号電極の電圧変化は逆相になる。逆に順次選択されたある選択期間で対象とする信号電極とこれに隣接する信号電極の電圧変化が逆相であった場合に、補正期間では対象とする信号電極には選択期間で印加した電圧波形を、隣接する信号電極には、選択期間で印加した電圧波形を構成する電圧+Vsigと−Vsigの関係を逆にした電圧波形を印加する。即ち、隣接する信号電極の電圧変化は同相になる。以上により、対象とする信号電極と隣接する信号電極の電圧変化は、選択期間で同相の場合に補正期間では逆相となり、選択期間で逆相の場合に補正期間では同相となる。従って、同相の場合と逆相の場合の頻度が同じになり、クロストークが解消される。
【0101】
なお、ここで行なった操作は、補正期間を設け、互いに隣接する信号電極の一方(具体的には、複数の信号電極に並び順に番号を付けた時の奇数番あるいは偶数番のいずれか信号電極)に、選択期間で印加した電圧波形の構成する電圧+Vsigと−Vsigの関係を逆にした電圧波形をこの補正期間に印加するだけの操作である。
【0102】
無論、隣接する信号電極の電圧変化は対象とする信号電極の電圧変化と完全に同相、逆相であるとは限らないが、大雑把に見れば同相、逆相のいずれかに近い電圧変化をする。従って、電圧波形の構成する電圧+Vsigと−Vsigの関係を逆にした電圧波形は、逆に逆相、同相のいずれかに近い電圧変化をすることになり、従って、クロストークが解消する。
【0103】
以下、具体的な実施例をあげて本発明の実施の形態について説明をする。
【0104】
〔実施例1〕 本実施例は、実施例1にかかるものである。
【0105】
図1は本実施例の駆動方法による駆動波形を示す図、図2は液晶パネルの構成を示す図、図3は液晶パネルの表示内容を示す図である。
【0106】
まず、図2の液晶パネルの構成について説明をするが、これは従来技術と同じ構成の液晶パネルである。
【0107】
図2で、破線で囲んだ10が2端子型アクティブ液晶素子(液晶パネル)で、1、2は液晶層(図示せず。)を挟む一対の基板である。Y1〜Y5は基板1上に設けられた複数の走査電極、X1〜X5は基板2上に設けられた信号電極である。
【0108】
Sは非線形抵抗素子で、図2では1箇所のみ代表して記号を付してあるが、基板1上に、走査電極Y1〜Y5と信号電極X1〜X5の交差部分毎に設けられている。非線形抵抗素子によるスイッチ素子Sとして、本実施例では金属間に薄い絶縁膜を形成したMIM素子を用いているが、双方向性ダイオード特性を持ついかなる素子でも構わない。Pは画素電極で、図2では1箇所のみ代表して記号を付してあるが、非線形抵抗素子Sに各々接続して設けられている。ここで、本実施例ではスイッチ素子Sと画素電極Pをそれぞれ走査電極側に設けてあるが、信号電極側に設けても良い。
【0109】
非線形抵抗素子Sとそれに接続されている画素電極P及び、この画素電極Pと信号電極の対向している部分とで、1つの画素を形成し、図2では代表して走査電極Y1と信号電極X2、4のそれぞれの交差部に構成されている画素を画素1、2の記号を付してある。
【0110】
そして、説明の便宜上、画素に印加する電圧が高くなるとこの部分の透過率が小さくなって暗くなる、ノーマリ・ホワイト・モードになっているものとする。
【0111】
なお、走査電極が5本、信号電極が5本と少ないが、これは図や説明を簡略化する為で、実際の液晶パネルでは、一般的に各々数百本程度となっている。次に、図3の説明をする。図3は、図2の液晶パネル10が表示する表示内容の一例を示し、ハッチングで示した信号電極X2と走査電極Y2〜5で作る画素がやや暗い中間調表示で、他の画素は白い表示となっている。
【0112】
ここで、図1を用いて駆動波形について説明をするが、図2の液晶パネル10で図3に示した表示内容を表示する場合の駆動電圧波形を示す。ここで、走査電極Y1〜Y5にはいわゆる充電駆動法による電圧波形が与えられているものとし、0Vを中心電圧として±Vs1の電圧のいずれかの2値の電圧を選択電圧として与え、信号電極X1〜X5に印加する電圧波形は、0Vを中心電圧として±Vsigの電圧のいずれかの2値の電圧でパルス幅変調しているものとする。
【0113】
図1(a)〜(e)は、各々走査電極Y1〜Y5の電圧波形を示し、同図(f)は信号電極X2の電圧波形、同図(g)は信号電極X4、同図(h)はX1、X3、X5の電圧波形を示す。
【0114】
図1で、横軸に時間、縦軸に電圧を示してあり、t1S〜t5S、T1S〜T5Sは、それぞれ走査電極Y1〜Y5の内の同じ番号の付いた走査電極が順次選択される選択期間を示し、t1C〜t5C、T1C〜T5Cは、走査電極が順次選択される各選択期間t1S〜t5S、T1S〜T5Sのそれぞれに対応した補正期間を示す。
【0115】
総ての走査電極Y1〜Y5が順次選択され一巡する期間とこれ対応する補正期間を合わせて、ここではフレームと呼ぶ。図1では、t1Sからt5S、t1Cからt5Cまでの期間を第1フレーム、T1SからT5S、T1CからT5Cまでの期間を第2フレームと呼ぶことにし、図中に示してある。
【0116】
走査電極Y1〜Y5に印加する電圧波形は、第1フレームと第2フレームの電圧波形のくり返しとなる。
【0117】
図1(a)〜(e)に示すように、選択電圧はY1からY5に順次選択され印加されていくが、選択電圧の極性は走査電極が順次選択される選択期間毎に反転し、第1フレームでは奇数番の走査電極には正の選択電圧、偶数番の走査電極には負の選択電圧が印加し、第2フレームでは逆になる。そして、選択後に印加する電圧を保持電圧と呼ぶが、正の選択電圧が印加した後には0Vを基準に正の保持電圧を、負の選択電圧が印加した後には0Vを基準に負の保持電圧を印加する。この保持電圧の値については本実施例に直接関係しないので、ここでは電圧±Vsigを正負の保持電圧としてある。
【0118】
走査電極Y1〜Y5にこのような電圧波形を印加し、これと同期して同図(f)、(g)、(h)に示す電圧波形を各信号電極X1〜X5に印加する。各信号電極X1〜X5には、第1フレーム期間の順次選択される選択期間t1S〜t5Sと、第2フレーム期間の順次選択される選択期間T1S〜T5Sでは、この各選択期間に選択される走査電極と各信号電極X1〜X5が交差する部分の画素の表示状態に応じた信号電圧波形を印加する。即ち、画素を暗くする場合には、信号電圧波形を構成する電圧±Vsigの内の、その選択されている走査電極に印加する選択電圧と逆極性の電圧、言い換えれば、オン電圧となる時間が長い信号電圧波形を印加し、明るくするにはオン電圧となる時間が短い信号電圧波形を印加する。よって、最も暗くするには、オン電圧となる時間を1選択期間と同じにすれば良く、最も明るくするには、オン電圧となる時間を0、即ちオフ電圧のみの信号電圧波形とすれば良い。
【0119】
よって、図3の表示をする場合には、信号電極X1、X3〜X5と走査電極Y1〜Y5の交差部分の画素の状態は白(もっとも明るい状態)であるから、信号電極X1、X3〜X5には常にオフ電圧のみの信号電圧波形となる。但し、オフ電圧は各選択期間に選択されている走査電極に印加する選択電圧と同極性の電圧を指すから、正の選択電圧(+Vs1)の場合には+Vsigがオフ電圧、負の選択電圧(−Vs1)の場合には−Vsigがオフ電圧となる。よって、図1(g)、(h)のように走査電極が順次選択される選択期間毎に+Vsigと−Vsigが切替わった信号電圧波形が印加する。次に、信号電極X2の信号電圧波形について説明する。信号電極X2と走査電極Y1の交差部分の画素の状態は白であるから、画素1の選択期間t1SとT1Sではオフ電圧のみの電圧波形が印加する。そして、信号電極X2と走査電極Y2〜Y5の交差部分の画素の状態はやや暗い中間調表示であるから、各画素の選択期間のオン電圧は図1のton1で示した時間だけとなり、残る時間はオフ電圧となる電圧波形が印加する。よって同図(f)のような信号電圧波形が印加する。
【0120】
次に第1フレーム期間の補正期間t1C〜t5Cと、第2フレーム期間の補正期間T1C〜T5Cでの、各信号電極X1〜X5に印加する信号電圧波形について説明する。奇数番の信号電極X1、X3、X5については、補正期間t1C〜t5C、T1C〜T5Cのそれぞれには、走査電極が順次選択される選択期間t1S〜t5S、T1S〜T5Sのそれぞれに印加した電圧波形をそのまま印加する(以後、非反転信号電圧波形と言う。)。例えば、順次選択されたある選択期間で+Vsigが時間tp、−Vsigが時間tmだけ印加したら、この選択期間に対応した補正期間でも+Vsigが時間tp、−Vsigが時間tmだけ印加する信号電圧波形を印加する。一方、偶数番の信号電極X2、X4については、補正期間t1C〜t5C、T1C〜T5Cのそれぞれには、順次選択された選択期間t1S〜t5S、T1S〜T5Sのそれぞれに印加した電圧波形を構成する2つの電圧±Vsigを入れ替えた信号電圧波形を印加する(以後、反転信号電圧波形と言う。)。例えば、順次選択されたある選択期間で+Vsigが時間tp、−Vsigが時間tmだけ印加したら、この選択期間に対応した補正期間では−Vsigが時間tp、+Vsigが時間tmだけ印加する信号電圧波形を印加する。
【0121】
即ち、総ての信号電極X1〜X5を、奇数番の信号電極の組と偶数番の信号電極の組に分けることによって、互いに隣接する信号電極が異なった組を作る。そして、この一方の組の信号電極には、順次選択された選択期間に印加した電圧波形を、この選択期間に対応した補正期間に印加し、他方の組の信号電極には、選択期間に印加した電圧波形の電圧+Vsigと−Vsigを入れ替えた電圧波形を、この選択期間に対応した補正期間に印加する。
【0122】
よって、図3の表示をする場合には、信号電極X2には図1(f)で、信号電極X4には同図(g)で、信号電極X1、X3、X5には同図(h)で示す電圧波形を印加する。本実施例の駆動方法は以上の駆動をする。
【0123】
次に、この駆動の動作の説明を行う。図4は、図1で示した駆動波形を液晶パネル10に印加した時の画素1と画素2についての各電圧を示す図である。同図(a)は画素1に係る各電圧、同図(b)は画素2に係る各電圧、同図(c)は信号電極X2、X4に隣接する奇数番の信号電極X1、X3、X5に印加する信号電圧波形を示し、図1(h)と同じものである。
【0124】
同図(a)で、41は信号電極X2の電圧を基準とした走査電極Y1の電圧波形、ハッチングした42は信号電極X2の電圧を基準としたこれに対向した画素の電圧波形、即ち、画素1の画素電圧、43は隣接する信号電極の信号電圧に変化が無い場合(を仮定した時)の画素1の電圧波形である。
【0125】
同図(b)で、44は信号電極X4の電圧を基準とした走査電極Y1の電圧波形、ハッチングした45は信号電極X2の電圧を基準としたこれに対向した画素の電圧波形、即ち、画素2の画素電圧、46は隣接する信号電極の信号電圧に変化が無い場合(を仮定した時)の画素2の電圧波形である。
【0126】
ここで、まず隣接する信号電極の信号電圧に変化が無い場合の画素1の電圧波形43と画素2の電圧波形46を説明する。まず、信号電極X2上の信号電圧波形は、順次選択される各選択期間に対して、時間ton1だけずれて時間tH毎に電圧+Vsigと電圧−Vsigに切替わる。この切替わりによって、画素電圧は、信号電圧波形がV0になった時を基準に図4に示すような電圧±ΔV1の変化を受ける。従って、画素1の画素電圧は、選択直後の画素電圧をV0として、V0+ΔV1とV0−ΔV1の何れかの電圧を均等の割合でとる。従って、実効電圧はVrms1は、数式8で示される。
【0127】
【数8】
【0128】
但し、画素1の選択期間t1Sとこれに対応する補正期間t1Cでの画素電圧は無視してある。本実施例の液晶パネル10の走査電極の本数は図や説明を簡略化する為に5本と少なくしてあるが、実際の液晶パネルの場合には数百本であるので、この数の選択期間とこれに対応した補正期間の内、各1つの期間の画素電圧の影響を考慮した場合と無視した場合での実効電圧には差は殆ど生じず、このような無視を行なっても構わない。
【0129】
同様に、信号電極X4上の信号電圧波形は、走査電極が順次選択される各選択期間(tH)毎に電圧+Vsigと電圧−Vsigに切替わる。従って、画素2の画素電圧は、選択直後の画素電圧をV0として、V0+ΔV1とV0−ΔV1の何れかの電圧を均等の割合でとる。従って、実効電圧はVrms2は、数式9で示される。
【0130】
【数9】
【0131】
従って、画素1と画素2の実効電圧は等しくなる。これは信号電極X2、X4に隣接する信号電極X1、X3、X5の電圧が変化しない場合を仮定したからである。しかし、実際には信号電極X1、X3、X5に係る画素を所定の表示をする為に、これらの信号電極X1、X3、X5の電圧は変化し、図3の表示をする場合には、図4(c)の電圧変化をする。この電圧の変化が画素間容量を介して、信号電極X2、X4上の画素電圧を変化させる。即ち、信号電極X1、X3、X5の電圧が−Vsigから+Vsig、+Vsigから−Vsigに変化すると、信号電極X2、X4上の画素電圧は、信号電圧がV0になった時を基準に図4に示すように電圧±ΔV2だけ変化する。
【0132】
すると、図4(a)、(b)の画素1、2の画素電圧は保持期間では、V0+ΔV1±ΔV2、V0−ΔV1±ΔV2のいずれかの電圧となる。
【0133】
表4は画素1の各期間での画素電圧を示す。
【0134】
【表4】
【0135】
表4の1列目は走査電極Y1の保持期間の開始時間を0とした時、及び、途中から、補正期間t2Cの開始時間を0とした時の経過時間を示し、その間の画素電圧を2列目に、3列目にその画素電圧となっている期間の長さを示す。
【0136】
表5は画素2の各期間での画素電圧を示す。表5の構成は表4と同じである。
【0137】
【表5】
【0138】
ここで、表4を使い、期間t2S〜t5Sまでの画素1の実効電圧を計算すると、数式10に示した値となる。
【0139】
【数10】
【0140】
同様に、表5を使い、期間t2S〜t5Sまでの画素2の実効電圧を計算すると、数式11に示した値となる。
【0141】
【数11】
【0142】
よって、数式10と数式11を比べると、時間ton1が0以外の値をとる時には、画素1と画素2の実効電圧が異なる。
【0143】
しかしながら、表4を使い、期間t2S〜t5Sと期間t2C〜t5Cまでの画素1の実効電圧を計算した結果と、表5を使い、期間t2S〜t5Sと期間t2C〜t5Cまでの画素2の実効電圧を計算した結果はいずれも数式12に示した値となる。
【0144】
【数12】
【0145】
よって、画素1と画素2の実効電圧が等しくなることが解る。そして、数式12には、時間ton1等の時間の項が無いので、一定である。
【0146】
ここで、第1フレームでの動作を説明したが、第2フレームでは信号電極X1〜X5、走査電極Y1〜Y5の総てに印加する電圧波形の極性が総て逆になっている他は第1フレームと同じであり、よって画素1、画素2に印加する電圧波形は極性が第1フレームと逆になる以外は全く同じで、従って実効電圧は同じになる。
【0147】
本実施例の駆動方法は以上の動作をし、よって、クロストークが解消される。
【0148】
ここで、本実施例では画素間容量によるクロストークを駆動方法で解消している。従って、本実施例の駆動方法を行なえば画素間容量の増加を気にしなくて済むので、液晶パネルの画素間の隙間を狭くすることが可能となり、開口率の高い明るい表示ができる。
【0149】
なお、本実施例では補正期間に、奇数番の信号電極の組に非反転信号電圧波形を印加し、偶数番の信号電極の組に反転信号電圧波形を印加しているが、偶数番の信号電極の組に非反転信号電圧波形を印加し、奇数番の信号電極の組に反転信号電圧波形を印加しても無論良く、同じ効果を得る。
【0150】
そして、補正期間中の非反転信号電圧波形を形成する電圧+Vsigと−Vsigのそれぞれの時間は、この補正期間に対応した選択期間中の信号電圧波形を形成する電圧+Vsigと−Vsigのそれぞれの時間と同じに設定し、補正期間中の反転信号電圧波形を形成する電圧+Vsigと−Vsigのそれぞれの時間は、この補正期間に対応した選択期間中の信号電圧波形を形成する電圧−Vsigと+Vsigのそれぞれの時間と同じに設定してあるが、必ずしも厳密に同じにする必要はなく、設定にある程度のずれを持たせても良くあるいは持たせた方が良い。これは、各画素の表示状態によって各画素容量が異なり、よって互いに隣接する画素への影響が微妙に異なるからである。ここで積極的に設定にずれを持たせる場合には、例えば実験等で最適なばらつき量を決めれば良い。、
また、順次選択される選択期間とこれに対応する補正期間は本実施例で示した時間関係に限るものではなく、選択期間とこれに対応する補正期間が存在すれさえすれば良い。例えば、第1フレームで各走査電極を各々順次選択する選択期間をt1S、t2S、t3S、t4S、t5Sの順とした時、これに対応する補正期間をt5C、t4C、t3C、t2C、t1Cの順にしても良い。また、選択する走査電極の順番も本実施例では上から下へ順にしてあるが、いかなる順番でも構わない。
【0151】
また更に、本実施例では、順次選択される各選択期間に印加する信号電圧波形のオン電圧を保持期間内の各期間の終わりを基準にして与えるパルス幅変調方式を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、各選択期間に印加する信号電圧波形のオン電圧を保持期間内の各期間の始めを基準にして与えるパルス幅変調方式、信号電圧波形のオン電圧を保持期間内の各期間のほぼ中央を基準にして与えるパルス幅変調方式、信号電圧波形のオン電圧を保持期間内の各期間の始めと終わりを基準とした2分割して与えるパルス幅変調方式等いかなるパルス幅変調方式で良く、またこれらの数種のパルス幅変調方式を混在して用いても良い。
【0152】
そして、本実施例は保持期間での画素電圧への影響を制御するものであるから、画素の選択期間での画素電圧の制御に関する走査電極の駆動方法に依存しない。よって、走査電極の駆動方法は本実施例で用いた充電駆動法に限定されるものではなく、例えばリセット付き充電駆動法、充放電駆動法等の他の走査電極の駆動法でも構わない。また、選択電圧の極性もここでは走査電極が順次選択される選択期間毎に正負で切り替える1H反転駆動をしているが、nを1以上の整数とした時にnH反転駆動でも構わない。
【0153】
〔実施例2〕 本実施例は、実施例2にかかるものである。実施例1では、各フレーム期間の前半に走査電極が順次選択される選択期間、後半に補正期間をまとめて設けてあるが、例えば、走査電極数が多くなって各フレーム期間が長くなると、各画素の光学応答は、各フレーム期間全体での各画素の実効電圧で規定されず、各フレーム期間の一部での実効電圧によって規定されるようになる。よって例えば、各フレーム期間の前半(走査電極が順次選択される選択期間)での各画素の実効電圧は、実施例1で述べたように画素毎に異なるから、画素毎にわずかながらもその光学応答に差異が生じ、これがちらつきやフリッカとなって見える場合がある。
【0154】
これは、フレーム期間の前半に走査電極が順次選択される選択期間、後半に補正期間をまとめて設けてある為で、実施例1で述べたように選択期間とこれに対応する補正期間が存在すれば、その時間関係は問わないから、例えば選択期間の直前または直後にこれに対応する補正期間を設けても良い。こうすることによって、フレーム期間の全体に均一に選択期間が分散され、ちらつきやフリッカが防止できるとともに実施例1で述べた効果が得られる。
【0155】
これを図を用いて説明する。図5は本実施例の駆動方法による駆動波形を示す図で、図2に示した液晶パネル10を駆動するものである。図5(a)〜(e)は、各々走査電極Y1〜Y5の電圧波形を示し、同図(f)は奇数番の信号電極X1、3、5の電圧波形、同図(g)は偶数番の信号電極X2、X4の電圧波形を示す。
【0156】
図5で、横軸に時間、縦軸に電圧を示してあり、t1S〜t5S、T1S〜T5Sは、それぞれ走査電極Y1〜Y5の内の同じ番号の付いた走査電極が順次選択される選択期間を示し、t1C〜t5C、T1C〜T5Cは、各選択期間t1S〜t5S、T1S〜T5Sのそれぞれに対応した補正期間を示す。本実施例では選択期間t1Sの直後にこれに対応する補正期間t1C、選択期間t2Sの直後にこれに対応する補正期間t2Cと各選択期間の直後にこれに対応する補正期間を設けてある。他の記号は図1と同じなので説明を省略する。
【0157】
走査電極Y1〜Y5に印加する電圧波形は、第1フレームと第2フレームの電圧波形のくり返しとなり、図5(a)〜(e)に示すように、選択電圧はY1からY5に順次印加されていくが、選択電圧の極性は走査電極が順次選択される選択期間毎に反転し、第1フレームでは奇数番の走査電極には正の選択電圧、偶数番の走査電極には負の選択電圧が印加し、第2フレームでは逆になる。そして、選択後の保持電圧は、正の選択電圧が印加した後には0Vを基準に正の保持電圧(+Vsig)を、負の選択電圧が印加した後には0Vを基準に負の保持電圧(−Vsig)を印加する。
【0158】
走査電極Y1〜Y5にこのような電圧波形を印加し、これと同期して同図(f)、(g)に示す電圧波形を各信号電極X1〜X5に印加する。
【0159】
同図(f)、(g)で、記号Dで示した部分の信号電圧波形は、各選択期間に順次選択される走査電極と各信号電極X1〜X5の各々が交差する部分の画素の表示状態に応じた信号電圧波形を示す。即ち、その画素が暗い場合には、信号電圧波形を構成する電圧±Vsigの内の、その選択されている走査電極に印加する選択電圧と逆極性の電圧(オン電圧)となる時間が長い信号電圧波形であり、明るい場合にはオン電圧となる時間が短い信号電圧波形となっている。
【0160】
また、記号Nで示した部分の各信号電圧波形は、各補正期間の電圧波形であり、順次選択される各選択期間中での信号電圧波形Dに対応し、同じ電圧波形、即ち、非反転信号電圧波形である。
【0161】
そして、記号Rで示した部分の信号電圧波形は、各補正期間の電圧波形であり、順次選択される各選択期間中での信号電圧波形Dに対応し、信号電圧Dを構成する2つの電圧±Vsigを入れ替えた信号電圧波形、即ち、反転信号電圧波形である。
【0162】
よって、走査電極が順次選択された後にこれに続く、対応する補正期間では、奇数番の信号電極に反転信号電圧波形が印加し、偶数番の信号電極に非反転信号電圧波形が印加する。本実施例の駆動方法は以上の駆動をする。
【0163】
本実施例は、実施例1での選択期間、補正期間の時間割り当ての順番を組み替えただけであるから、実施例1と同じ動作をし、同じ効果を得るとともにちらつきやフリッカを防止できる。
【0164】
ここで、本実施例では選択期間の直後にこの選択期間に対応した補正期間を設けてあるが、直前に設けても良い。
【0165】
そして実施例1と同様に、パルス幅変調方式及び、走査電極の駆動方法は本実施例で用いたものに限定されるものではなく、補正期間に偶数番の信号電極に非反転信号電圧波形を、奇数番の信号電極に反転信号電圧波形を印加しても良く、非反転信号電圧波形、反転信号電圧波形の各時間の設定にある程度のずれがあっても構わない。
【0166】
〔実施例3〕 本実施例は、実施例3にかかるものである。実施例1、2では、補正期間に非反転信号電圧を印加する信号電極と反転信号電圧を印加する信号電極を固定した場合について述べたが、非反転信号電圧を印加する信号電極上の画素と反転信号電圧を印加する信号電極上の画素で光学特性が異なってちらつき、表示むらとなることがある。この詳しい発生原因についての説明はしないが、非反転信号電圧を印加する信号電極と反転信号電圧を印加する信号電極を周期的に交代することによって、両方の組の信号電極に印加する信号電圧波形は対称となり、上述のちらつき、表示むらの発生を防止できるとともに実施例1、2で述べた効果が得られる。
【0167】
これを図を用いて説明する。図6は本実施例の駆動方法による駆動波形を示す図で、図2に示した液晶パネル10を駆動するものである。図6(a)〜(e)は、各々走査電極Y1〜Y5の電圧波形を示し、同図(f)は奇数番の信号電極X1、3、5の電圧波形、同図(g)は偶数番の信号電極X2、X4の電圧波形を示す。図6で、図中の記号は図5と同じなので説明を省略する。
【0168】
第1フレーム期間では、奇数番の走査電極が選択された後にこれに続く、対応する補正期間では、奇数番の信号電極に反転信号電圧波形が印加し、偶数番の信号電極に非反転信号電圧波形を印加し、そして、偶数番の走査電極が選択された後にこれに続く、対応する補正期間では、偶数番の信号電極に反転信号電圧波形を印加し、奇数番の信号電極に非反転信号電圧波形が印加する。逆に、第2フレーム期間では、奇数番の走査電極が選択された後にこれに続く、対応する補正期間では、偶数番の信号電極に反転信号電圧波形が印加し、奇数番の信号電極に非反転信号電圧波形を印加し、そして、偶数番の走査電極が選択された後にこれに続く、対応する補正期間では、奇数番の信号電極に反転信号電圧波形が印加し、偶数番の信号電極に非反転信号電圧波形が印加する。これを表で表すと表6のようになる。
【0169】
【表6】
【0170】
即ち、補正期間に非反転信号電圧波形と反転信号電圧波形を加える信号電極の組(奇数番の組と偶数番の組)を周期的に交代する周期を、2フレームの大周期と2選択期間の小周期の組み合わせで設定にしてある。本実施例の駆動方法は以上の駆動をする。
【0171】
本実施例は、実施例2で、補正期間に非反転信号電圧波形と反転信号電圧波形を加える信号電極の組(奇数番の組と偶数番の組)を周期的に交代させただけであるから、実施例2と同じ動作をし、同じ効果を得るとともに、奇数番の信号電極と偶数番の信号電極に印加する信号電圧波形が対称になるので、更に良くちらつきやフリッカを解消することができる。また、本実施例では選択期間の直後にこの選択期間に対応した補正期間を設けてあるが、直前に設けても良い。
【0172】
そして実施例1、2と同様に、パルス幅変調方式及び、走査電極の駆動方法は本実施例で用いたものに限定されるものではなく、補正期間で与える非反転電圧信号波形、反転信号波形を奇数番の信号電極と偶数番の信号電極にいずれかにするかは任意であり、非反転信号電圧波形、反転信号電圧波形の各時間の設定にある程度のずれがあっても構わない。
【0173】
更に、本実施例では、補正期間に非反転信号電圧波形と反転信号電圧波形を加える信号電極の組(奇数番の組と偶数番の組)を周期的に交代する周期を、2フレームの大周期と2選択期間の小周期の組み合わせで設定にしているが、これに限定されるものでは無く他の周期で交代させても良い。
【0174】
例えば、本実施例の場合には、第1フレームでは、ある画素については正の画素電圧となっているが、奇数番の補正期間に奇数番の信号電極に反転信号電圧、偶数番の信号電極に非反転信号電圧波形が印加し、第2フレームでは、その画素は負の画素電圧となり、奇数番の補正期間に奇数番の信号電極に非反転信号電圧、偶数番の信号電極に反転信号電圧波形が印加する。
【0175】
従って、画素電圧の極性によって、補正期間での信号電圧波形の印加の仕方が若干異なる。よって奇数番の信号電極上の画素と偶数番の信号電極上の画素間で、画素電圧の極性によって、画素電圧が微妙に異なる可能性がある。
【0176】
ここで、表7に示す、補正期間に印加する信号電圧波形の与え方をすると、
【0177】
【表7】
【0178】
即ち、連続する4フレームの大周期の2選択期間の小周期の組み合わせで設定すると、画素電圧の極性も含めて、奇数番の信号電極と偶数番の信号電極に印加する信号電圧波形は対称になり、更にちらつき等が減る。
【0179】
このように、補正期間に非反転信号電圧波形と反転信号電圧波形を加える信号電極の組(奇数番の組と偶数番の組)を周期的に交代する周期を、走査電極に印加する選択電圧の極性の切替え周期等を考慮して、適宜設定することができる。
【0180】
無論、本実施例においても、パルス幅変調方式及び、走査電極の駆動方法は本実施例で用いたものに限定されるものではなく、補正期間で与える非反転信号電圧波形、反転信号電圧波形を奇数番の信号電極と偶数番の信号電極にいずれかにするかは任意であり、反転信号電圧波形、反転信号電圧波形の各時間の設定にある程度のずれがあっても構わない。
【0181】
〔実施例4〕 本実施例は、実施例4にかかるものである。
【0182】
実施例1、2、3では、順次選択される走査電極は上から下へ順に選択していたが、まず奇数番の走査電極だけを上から下へ順次選択した後に偶数番の走査電極だけを上から下へ順次選択しても良い。このような選択の仕方を走査電極のインタレース駆動と言うが、このインタレース駆動をすると、1フレームの周期を長くしてもちらつきが見えにくくなる。
【0183】
ここで、走査電極が順次選択される各選択期間の直後に補正期間を設け、各選択期間、各補正期間に実施例2、3と同様の信号電圧波形を印加すれば、実施例2、3と同様の効果が得られるとともに、1フレームの周期が長くなった分、単位時間当たりの各画素容量を充電する回数を減らすことができるので、消費電力を低減することができる。
【0184】
これを図を用いて説明する。図7は本実施例の駆動方法による駆動波形を示す図で、図2に示した液晶パネル10を駆動するものである。図7(a)は走査電極Y1、図7(b)は走査電極Y3、図7(c)は走査電極Y5、図7(d)は走査電極Y2、図7(e)は走査電極Y4の電圧波形を示し、同図(f)は奇数番の信号電極X1、3、5の電圧波形、同図(g)は偶数番の信号電極X2、X4の電圧波形を示す。
【0185】
図7で、図中の記号は図6と同じなので説明を省略する。但し、各走査電極が選択される選択期間を示す記号、及びこの選択期間に対応する補正期間を示す記号の順番が図6と異なっている。本実施例の駆動は以上のようになっている。
【0186】
図7に示すように、本実施例の駆動波形は、走査電極を選択する順番が異なる以外は実施例3と同じであり、よって実施例3と同様の効果を得、またフレーム周期を長くしても良いので、その分消費電力を低減することが可能である。
【0187】
そして、本実施例においても、パルス幅変調方式及び、走査電極の駆動方法は本実施例で用いたものに限定されるものではない。
【0188】
更に、補正期間で与える非反転信号電圧波形、反転信号電圧波形を奇数番の信号電極と偶数番の信号電極にいずれかにするかは任意であり、あるいは周期的に交代させても良く、また、非反転信号電圧波形、反転信号電圧波形の各時間の設定にある程度のずれがあっても構わない。
【0189】
〔実施例5〕 本実施例は、実施例5にかかるものである。即ち、実施例1から4で述べた駆動方法を用いる液晶表示装置の具体的な一例を説明する。
【0190】
本実施例では特に実施例2で述べた駆動方法、即ち、走査電極が順次選択される各選択期間の直後に補正期間を設け、この補正期間に、偶数番の信号電極と奇数番の信号電極の一方には、非反転信号電圧波形を、他方には反転信号電圧波形を印加する駆動方法を行う液晶表示装置の具体的な一例を説明する。
【0191】
図8は本実施例の液晶表示装置の一構成例を示す図である。図で、80は液晶パネルで、図2の液晶パネル10とほぼ同じであるが、走査電極Y1〜Y5と信号電極X1からX10の電極を持ち、奇数番の信号電極は上に、偶数番の信号電極は下に外部との接続端子を持つ点が異なる。
【0192】
81U、81Lは液晶パネル80の信号電極X1〜X10に駆動電圧波形を供給する回路(以後、Xドライバと言う。)で、Xドライバ81Uは奇数番の信号電極に駆動電圧波形を供給し、ドライバ81Lは偶数番の信号電極に駆動電圧波形を供給する。
【0193】
82は液晶パネル80の走査電極Y1〜Y5に駆動電圧波形を供給する回路(以後、Yドライバと言う。)、83は信号電極X1〜X5に供給する駆動電圧波形と走査電極Y1〜Y5に供給する駆動電圧波形の各電圧を発生する電源回路で、84は外部から供給される数本の同期信号群、85は外部から供給される液晶パネル10の表示内容を指定する数本の表示データ、86はXドライバ81U、81LとYドライバ83の動作を制御する制御回路である。
【0194】
そして、831は電源83がXドライバ81U、81Lに供給する複数の電圧からなる電源群、832は電源83がYドライバ82に供給する複数の電圧からなる電源群である。
【0195】
更に、861Uは制御回路86がXドライバ81Uに供給する複数の信号からなる制御信号群、861Lは制御回路86がXドライバ81Lに供給する複数の信号からなる制御信号群、862は制御回路86がYドライバ82に供給する複数の信号からなる制御信号群で、同期信号群84の信号に同期して出力される。なお、制御信号群861U、861Lには、表示データ85を適当に加工したものが含まれる。
【0196】
以上の構成となっている。ここで、制御回路86以外の構成は従来の液晶表示装置と全く同じ構成で、制御回路86が、Xドライバ81U、81Lを制御する為の信号群861U、861Lの一部の信号が異なるだけである。
【0197】
次に本実施例の液晶表示装置の動作について説明する。まず、電源回路83は、正負2つの電圧±Vsigを電源群831として、Xドライバ81U、81Lに供給し、正負2つの選択電圧±Vs1と正負2つの保持電圧±Vsigを電源群832として、Yドライバ82に供給する。電源回路の構成は従来技術の液晶表示装置と同じであり詳細な構成の説明は省略する。
【0198】
次に、Yドライバ82は制御信号群862の信号で制御されて、走査電極Y1〜Y5に充電駆動法による電圧波形を供給する。これについても従来技術の液晶表示装置のYドライバと同じであり、Yドライバ82と制御信号群862についての詳細な説明は省略するが、図5(a)〜(e)の電圧波形をそれぞれ走査電極Y1〜Y5に供給するものとする。
【0199】
そして、Xドライバ81U、81Lはそれぞれ制御信号群861U、861Lの信号で制御されて、信号電極X1〜X10にパルス幅変調による電圧波形を供給する。これについても従来技術の液晶表示装置のXドライバと同じであるが、本実施例の説明に必要なので、その詳細な説明を行う。
【0200】
図9はXドライバ81Uの一構成例を示し、図10は制御信号群861Uの各信号とXドライバ81Uの内部の信号のタイミングを示す図である。
【0201】
図9で、破線で囲んだ81U及び楕円で囲んだ861U、831は、図8のXドライバ81U及び制御信号群861U、電圧群831である。
【0202】
図9で、91はシフトレジスタ回路、92はデータ保持回路、93は計数回路、94は大小比較回路、95は排他的論理和回路、96はスイッチ回路である。そして、電圧群831は+Vsig、−Vsigの2つの電圧から構成されていて、制御信号群861Uは信号XSCL、LP、RES、GCP、POLU、DATAUから構成されている。なお、信号DATAUは図8の表示データ85を加工したものであり、奇数番の信号電極に対応した表示データ列である。
【0203】
図10(a)は、図5(a)の走査電極Y1の電圧波形で、同図(b)は、図9の信号DATAU、図10(c)は図9の信号XSCL、図10(d)〜(h)は、それぞれ図9のシフトレジスタ回路91の右から1番目〜5番目の内容、図10(i)は図9の信号LP、図10(j)〜(n)は、それぞれ図9のデータ保持回路92の左から1番目〜5番目の内容、図10(o)は、図9の信号RES、図10(p)は図9の信号GCP、図10(q)は図9の計数回路93の内容、図10(r)は図9の信号POLUである。
【0204】
ここで、図9のシフトレジスタ回路91は、階調表示数に対応したビット数と信号電極数の段数を持ち、ここでは階調数を16、信号電極数を5とし、これに対応した4ビット×5段のシフトレジスタである。そして、信号XSCLに同期して、表示データである信号DATAUを取り込み、右から左へと信号DATAUの内容を取り込み、シフトして行く。
【0205】
ここで、y番目の走査電極Yyとx番目の信号電極Xxの位置の画素に対応する信号DATAUの内容をDyxと表すと、図10(a)、(b)、(c)、(d)〜(h)に示すように、y番目の走査電極が選択される期間の1選択期間前から、信号DATAUの内容Dy1、y3、y5、y7、y9をシフトレジスタ回路91に取り込み、シフトする。
【0206】
データ保持回路92は、シフトレジスタ回路91のビット数と段数に対応した数のラッチ回路からなり、図10(c)〜(n)に示すように、信号XSCLが信号電極数のクロックを出力した後で、選択期間の開始時に能動となる信号LPに同期し、シフトレジスタ回路91の内容を取り込む。
【0207】
計数回路93は、図10(o)、(p)、(q)に示すように、クロック信号である信号GCPに同期して1づつ加算計数し、信号RESが能動になると0になる。なお、ここでは信号GCPは1選択期間、及び1補正期間にクロックを15発発生する。即ち、計数回路93は0から15の値をとり、それを大小比較回路94に出力する。
【0208】
ここで、信号RESは、選択期間と補正期間の開始時に能動となる。
【0209】
大小比較回路94は、計数回路93が出力する計数値とラッチ回路92の各4ビットで表される数値との大小比較を行い、その結果を出力する。例えば、ラッチ回路92の各4ビットで表される数値が計数回路93が出力する計数値以上になった場合に”1”の信号を出力し、それ以外では、”0”の信号を出力する。
【0210】
排他的論理和回路95は、大小比較回路94の出力結果と信号POLUとの排他的論理和を出力する。例えば、大小比較回路94の出力が”1”でかつ信号POLUが”0”の場合と大小比較回路94の出力が”0”でかつ信号POLUが”1”の場合に”1”を出力し、その他の場合には”0”を出力する。
【0211】
スイッチ回路96は、排他的論理和回路95の出力結果に応じて電圧+Vsigか電圧−Vsigの何れかの電圧を選択して、図8の液晶パネル10の信号電極X1〜X5に出力する。例えば、排他的論理和回路95の出力が”0”の場合には、電圧+Vsigを、”1”の場合に−Vsigを選択し、出力する。
【0212】
図11は、データ保持回路92の各4ビットで表される数値と出力電圧波形の関係を示す図である。
【0213】
図で、(a)は信号RES、同図(b)は信号GCP、同図(c)は計数回路93の内容を示し、同図(d)〜(s)はそれぞれラッチ回路92の各4ビットで表される数値が0〜10の場合の出力波形を示す。なお、この図では信号POLUが”1”の場合を示し、信号POLUが”0”の場合には、出力電圧+Vsigと−Vsigを入れ替えた電圧が出力される。Xドライバ81Uは以上の構成となっている。
【0214】
図8のXドライバ81Lの構成は、Xドライバ81Uと全く同じである。ただこれを制御する制御信号861Lの内容の一部が、制御信号861Uと異なっているだけである。即ち、信号DATALと信号POLLが制御信号861Uのそれぞれ信号DATAUと信号POLUの替わりに用いられている。ここで、信号DATALは、図8の表示データ85を加工したものであり、偶数番の信号電極に対応した表示データ列である。
【0215】
よって、ある走査電極を選択する時にその選択期間の1選択期間前に、図8の表示データ85から作られる信号DATAU、Lを、それぞれXドライバ81U、Lのそれぞれのシフトレジスタ回路91に入力しシフトしておく。
【0216】
そして、その選択期間の開始時に信号RESと信号LPを能動にすることによって、Xドライバ81U、Lのそれぞれの計数回路93の内容は0にされ、シフトレジスタ回路91の内容がデータ保持回路92の各ラッチ回路に取り込まれる。
【0217】
ここで、この選択期間で選択される走査電極に負の選択電圧が印加する場合には、信号POLU、Lをともに”1”とし、正の選択電圧が印加する場合には、信号POLU、Lを”0”とすれば、選択期間の後半にオン電圧となるパルス幅変調ができる。この時、データ保持回路92の各4ビットで表される数値が大きくなる程、オン電圧の時間が短くなる。そして、信号GCPの各クロック間隔を適当に選ぶことによって、各階調毎に対応したオン電圧の時間を設定できる。
【0218】
次に、この選択期間に引き続く補正期間では、この補正期間の開始時信号RESを能動にすることによって、Xドライバ81U、Lのそれぞれの計数回路93の内容は0にされる。しかし、信号LPは能動にはならないので、データ保持回路92の内容は更新されない。従って、信号GCPの各クロック間隔を選択期間の時と同じにし、信号POLU、Lも同じにすれば選択期間と全く同じ信号電圧波形が得られる。即ち、非反転信号電圧波形が得られる。一方、信号POLU、Lを選択期間の時と逆にすると、反転信号電圧波形が得られる。
【0219】
よって、補正期間で、信号POLUを、選択期間と逆にすることによって、Xドライバ81Uは、補正期間で奇数番目の信号電極に反転信号電圧波形を供給し、信号POLLを、補正期間でも選択期間と同じにすれば、Xドライバ81Lは、補正期間で偶数番目の信号電極に非反転信号電圧波形を供給することになる。
【0220】
逆に言うと、図8の制御回路86は、このように制御された、信号POLU、LをXドライバ81U、Lに供給する。
【0221】
以上の構成と動作をするので、実施例2で述べた駆動方法が実現でき、よって実施例2で述べた効果が得られる。
【0222】
また、補正期間で、信号POLUを選択期間と逆にし、信号POLLを選択期間と同じにする場合と信号POLUを選択期間と同じにし、信号POLLを選択期間と逆にする場合を周期的に切り替えれば、実施例3で述べた駆動方法が実現できる。
【0223】
ここで、制御回路86の回路構成以外は従来の液晶表示装置の構成と全く同じで、制御回路86ついても、この回路が出力する信号POLU、Lの制御方法の若干の変更だけで良い。
【0224】
従って、制御回路86の回路は、一般的には集積回路で作られていて、これらの変更、付加によるコスト及び消費電力の増加は殆ど無い。
【0225】
また、本実施例では液晶パネルは、信号電極の端子の引き出しを奇数番と偶数番で上下に振り分けた構成となっているが、これはXドライバの構成の都合によるものである。即ち、Xドライバの出力端子の内、奇数番と偶数番で独立に出力する極性を切り替えられれば、図2で示した液晶パネル10のように、信号電極の端子の引き出しを片側にしたものでも構わない。
【0226】
ここで、図12は他のXドライバの構成を示す図である。図で、破線で囲んだ121が他のXドライバで、図9のXドライバ81Uとほとんど同じ構成となっており、排他的論理和回路95のそれぞれの一方に入力される信号が、信号POLUのかわりに、奇数番の出力に対応する排他的論理和回路95それぞれの一方に入力される信号を信号POL1、偶数番の出力に対応する排他的論理和回路95それぞれの一方に入力される信号を信号POL2としてある点だけ異なる。以上の構成となっているので、Xドライバの出力端子の内、奇数番と偶数番で独立に出力する極性を切り替えることができ、従って、図2のような液晶パネル10の構成の液晶パネルでも駆動可能となる。この場合にもXドライバの配線が1本多くなるが、それによるコスト等への影響は微々たるものである。
【0227】
無論、ここで述べた液晶表示装置の構成は一例であってこれに限定されるものではなく、実施例1から4で述べた駆動方法を具現できるいかなる構成でも構わない。
【0228】
また、補正期間での信号GCPの各クロックの間隔を、選択期間での信号GCPの各クロックの間隔とずらせば、反転、非反転信号電圧波形の各電圧の時間設定をずらすこともできる。
【0229】
〔実施例6〕 本実施例は、実施例6にかかるものである。実施例5で述べた液晶表示装置は、コストや消費電力の増加が殆どない方法でクロストークを改善して、均一な表示が可能としてある。
【0230】
よって、高品質でかつ小型・軽量でしかも安価である電子機器の表示部材として適しており、その例として、小型・軽量で細かい情報を誤認しないで読み取る必要のある、カーナビゲーション、携帯情報機器、液晶テレビ、グラフィック表示機能等の多機能電卓、携帯電話、ラップトップ型を始めとした様々なパーソナルコンピュータ等があり、その中で特に消費電力が気になる、主に電池で駆動される携帯情報機器、携帯電話等に適している。
【0231】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、クロストークが軽減する。
【0232】
請求項2記載の本発明によれば、クロストークが軽減するとともにちらつき等が解消される。
【0233】
請求項3記載の本発明によれば、クロストークが軽減するとともに更に良くちらつき等が解消される。
【0234】
請求項4記載の本発明によれば、クロストークが軽減するとともに消費電力を低下できる。
【0235】
請求項5記載の本発明によれば、消費電力でかつクロストークの少ない高品質な画質を有する液晶表示装置を提供できる。
【0236】
請求項6記載の本発明によれば、消費電力でかつクロストークの少ない表示部材を有することになり、電子機器の品質を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の駆動方法による駆動波形を示す図。
(a)は、走査電極Y1の電圧波形。
(b)は、走査電極Y2の電圧波形。
(c)は、走査電極Y3の電圧波形。
(d)は、走査電極Y4の電圧波形。
(e)は、走査電極Y5の電圧波形。
(f)は、信号電極X2の電圧波形。
(g)は、信号電極X4の電圧波形。
(h)は、X1、X3、X5の電圧波形。
【図2】従来技術の2端子型アクティブ液晶素子(液晶パネル)の構成を示す図。
【図3】液晶パネル10の表示内容を示す図。
【図4】実施例1の駆動波形を液晶パネル10に印加した時の、画素1と画素2についての各電圧を示す図。
【図5】実施例2の駆動方法による駆動波形を示す図。
【図6】実施例3の駆動方法による駆動波形を示す図。
【図7】実施例4の駆動方法による駆動波形を示す図。
【図8】実施例5の液晶表示装置の一構成例を示す図。
【図9】Xドライバ81Uの一構成例を示す図。
【図10】制御信号群861Uの各信号とXドライバ81Uの内部の信号のタイミングを示す図。
【図11】データ保持回路92の各4ビットで表される数値と出力電圧波形の関係を示す図。
【図12】他のXドライバ121の構成を示す図。
【図13】従来技術の液晶パネル10の表示内容を示す図。
【図14】従来技術の液晶パネル10の走査電極Y1に係る電気的な等価回路を示す図。
【図15】従来技術の液晶パネル10が図13で示した表示内容をする際の走査電極Y1〜Y5及び信号電極X1〜X5に印加する電圧波形を示す図。
【図16】図16の電圧波形を与えた時の画素1、画素2にかかる電圧波形を示す図。
【図17】従来技術の液晶パネル10が図13で示した表示内容をする際の走査電極Y1〜Y5及び信号電極X1、X2〜X5に印加する電圧波形を示す図。
【図18】図17の電圧波形を与えた時の画素1、画素2に係る電圧波形を示す図。
【図19】従来技術の実際の液晶パネルで発生するクロストークを示す図。
【図20】従来技術の液晶パネル10の一部の断面の模式図。
【図21】従来技術の実際の液晶パネルの一部の電気等価回路を示す図。
【図22】図21の等価回路を簡略化した等価回路を示す図。
【符号の説明】
+Vs1 正の選択電圧
−Vs1 負の選択電圧
+Vsig 正の保持電圧
−Vsig 負の保持電圧
Claims (6)
- 複数の走査電極に対して選択期間に選択電圧を順次印加するこ
とに同期して、複数の信号電極にパルス幅変調を施したオン電圧又はオフ電圧を印加することにより、前記複数の走査電極及び前記複数の信号電極の交差位置に複数の非線形抵抗素子及び画素電極が設けられた液晶素子を駆動する駆動方法であって、
奇数番の信号電極からなる組と偶数番の信号電極からなる組とのうち、一方を第1の組、他方を第2の組として、
前記選択期間に前記複数の信号電極に前記オン電圧とオフ電圧とのうち少なくとも一方を与え、
前記選択期間に対応する補正期間において、
前記第1の組の信号電極に対して、前記選択期間内でオン電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オン電圧を与え、前記選択期間内で前記オフ電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オフ電圧を与え、
前記第2の組の信号電極に対して、
前記選択期間内でオン電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オフ電圧を与え、前記選択期間内で前記オフ電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オン電圧を与えるモードで駆動する
ことを特徴とする液晶素子の駆動方法。 - 請求項1記載の液晶素子の駆動方法であって、
前記補正期間が、前記各選択期間の前または後に設けられていることを特徴とす
る液晶素子の駆動方法。 - 請求項1または請求項2記載の液晶素子の駆動方法であって、
前記モードを第1のモードとし、
前記選択期間に対応する補正期間において、
前記第1の組の信号電極に対して、前記選択期間内でオン電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オフ電圧を与え、前記選択期間内で前記オフ電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オン電圧を与え、
前記第2の組の信号電極に対して、
前記選択期間内でオン電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オン電圧を与え、前記選択期間内で前記オフ電圧を与えた時間とほぼ同じ時間だけ前記オフ電圧を与える第2のモードと、
前記第1のモードとを周期的に切替えることを特徴とする液晶素子の駆動方法。 - 請求項2ないし請求項3記載の液晶素子の駆動方法であって、
前記走査電極は、インタレースで順次選択することを特徴とする液晶素子の駆
動方法。 - 請求項1ないし請求項4記載の液晶素子の駆動方法を行う手段
を具備したことを特徴とすることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項5記載の液晶表示装置を表示部材として具備したことを
特徴とする電子機器。
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-
1997
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