JP3658715B2 - 黒糖ヨーグルトの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、醗酵乳製品であるヨーグルトの製造方法に関し、特に各種ミネラルを多く含んでいる黒糖を使用した黒糖ヨーグルトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ヨーグルトは、牛乳とほぼ同様の栄養素を含んだ乳製品として、子どもから老人まで手軽な栄養補給源として広く普及している。特に乳酸菌食品として、また、カルシウム補給食品として知られている。
【0003】
乳酸菌は、牛乳を醗酵させて体内に吸収しやすい形態にするため、消化吸収が牛乳の2倍も早いと言われている。また、醗酵時にできる乳酸が消化液の分泌をうながし、腸内の有害な菌の繁殖を抑えるなどの整腸作用もある。
【0004】
厚生省の国民栄養調査では、日本人に不足している栄養素として、カルシウムと鉄分が指摘されており、カルシウムは、1日の摂取必要量(約600mg)に対して50〜60mgが不足しており、鉄分は、1日の摂取必要量(約12mg)に対して0.2mgが不足している。
【0005】
日本人にとってこのカルシウム不足は深刻な問題となっており、骨からカルシウムが抜けてしまう、骨粗しょう症などのカルシウム不足に起因する病気も増えている。また、現代社会ではストレス問題は避けられないものとなっているが、このカルシウムの摂取によりストレスの害を防止することができる。
【0006】
カルシウムの摂取には、小魚などの骨カルシウムなどもあるが、体内への吸収率からみると、小魚:35%、野菜20〜70%、牛乳、乳製品:80〜90%となっており、手軽に摂取するには、牛乳が最も良い。
【0007】
牛乳は、アミノ酸がそろっている良質のタンパク質や、吸収しやすくコレステロール値の低い脂肪や、成長・発達に欠かせない栄養素であり、がんの予防効果もあるとされるビタミンAや、エネルギー代謝に欠かせない栄養素であり、日本人の食生活では摂取しにくいとされるビタミンB2さらに、ミネラル、特にカルシウムとカリウムが豊富に含まれている。しかもこれらの栄養素は体内に吸収しやすくなっている。
【0008】
しかしながら、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、下痢をしてしまうため、牛乳が健康に良いことはわかっているが飲むことが苦手な人がいます。これは、乳糖不耐症と呼ばれる症状であり、牛乳に含まれる乳糖が大腸を刺激して起こる症状です。すなわち、この乳糖を分解するラクターゼという酵素が小腸内にないかあるいは少ないために起こるものであり、日本人は欧米人に較べてこのラクターゼが1/10という報告もあり、日本人全体の約20%の人がこの乳糖不耐症であるとわれています。
【0009】
この乳糖不耐症を気にせずに、手軽に牛乳と同様の栄養素を摂取することができるのが、ヨーグルトである。このヨーグルトは、乳酸菌で牛乳を醗酵させた醗酵乳であり、乳糖の30〜40%が分解されており、しかも乳酸菌は乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)をもっているため、乳糖不耐症の人でも安心して飲することができる。
【0010】
図1は従来の牛乳を主原料とするヨーグルトの製造方法のフロー図である。原料としては、牛乳と乳成分調整のために加えられる脱脂粉乳などの乳製品と甘味をつけるための糖類などが用いられ、フルーツ及び果汁などが添加されているものも多い。以下に製造工程を説明する。
【0011】
(1)原料調合工程
牛乳と脱脂粉乳と液糖を攪拌及び加熱しながら十分に混合してヨーグルト原料とする。
(2)均質処理工程
ホモゲナイザーなどの均質機で150〜200kg/cm2程度の圧力で混合粒子を均一に分散させ完全に溶解させる。
(3)殺菌処理工程
加熱装置などを用いて、原料を110〜135℃で2〜10秒間程度保持して殺菌する。
(4)植菌工程
乳酸菌を直接培養した乳酸菌スターターを原料に混入して植菌する。
(5)培養工程
植菌された原料を30℃に保持し、pHが3.5〜4.5程度になるまで静置培養する。
(6)冷却工程
培養後、冷却装置などで10℃以下に冷却する。
【0012】
このようにして製造されたヨーグルトは、そのままパッキングして製品とするものや、かき混ぜて柔らかくし、液状にしたドリンクヨーグルトや、冷凍させてアイスクリーム状にしたフローズンヨーグルトなどとして市販される。
【0013】
これらのヨーグルトには、乳酸菌による醗酵作用が加わっているため、牛乳よりも栄養的に優れている。例えば、たんぱく質は、アミノ酸やペプチドまで分解され、腸で吸収される形態となっており、脂肪は牛乳よりさらに細かい粒子となっている。また、カルシウムも乳酸カルシウムとなっているなど、食べる前から吸収しやすい形態となっているため、牛乳よりさらに消化吸収が良い。
【0014】
このため、手軽で美味しい栄養補給食品として、糖類やフルーツなどを加えて味を調整し市販されており、子どもから大人や老人まで広く飲用されている。
【0015】
また、お腹がごろごろする人向けに、乳糖分解酵素(ラクターゼ)を添加した牛乳も市販されているが、この牛乳は、乳糖の約30%程度が2つの糖(グルコースとガラクトース)に分解されており、2つの糖の甘味が感じられるため、砂糖を入れた牛乳のような味となり、不自然な甘さとなってしまい、好んで飲用されることは少ない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ヨーグルトは、非常に栄養バランスが良く、吸収率の良い良質の栄養補給食品である。また、乳糖不耐症などを気にせずに、手軽にかつ美味しく食することができる。
【0017】
しかしながら、これらの豊富な良質の栄養素を手軽に摂取できるヨーグルトではあるが、日本人に不足している栄養素であるカルシウムと鉄分のうち、カルシウムは十分であるが、鉄分は少なく、別途補給しなければならない。鉄分を補強したヨーグルト製品はない。
【0018】
また、酸味を和らげ、適度な甘みを加えるために、フルーツと糖類を加えているものも多いが、乳製品と合わせると、苦味物質が生じる場合がある。これは、プロテアーゼというタンパク質分解酵素が含まれているためであり、特に、パイン、キーウイ、パパイヤなどとの組合わせでは、苦味物質により、せっかくの風味が台無しになってしまう場合もある。
【0019】
また、ヨーグルトは醗酵乳であり、厚生省の乳等省令により、その成分について細かく規制されており、乳成分強化のために、例えば、バター、練乳、粉乳などが組合わせて加えられており、さらに砂糖などの糖類も加えられるため、味が濃くなってしまい、ヨーグルト本来のさわやかな酸味を活かした独特の風味が隠されてしまっている。
【0020】
近年では、ヨーグルトも一般的に飲用されるようになってきたが、流通の問題から栄養価よりも保存性に重点をおいた開発が盛んに行なわれており、超高温殺菌(120〜150℃)により保存性を高めたものが主流となっており、安定剤を添加した長期保存可能なヨーグルトの製造方法(特公平1−16130号)なども開発されているが、熱に敏感な牛乳の栄養素の変質について考慮されていないため、豊富な栄養素を体内に吸収しにくいものに変質させてしまっている。
【0021】
また、乳成分源として牛乳を用いずに各種乳製品を組合わせてヨーグルト原料としているものもあり、生乳の自然の栄養成分を活かした本来の醗酵乳であるヨーグルトとなっていないものも少なくない。
【0022】
本発明の技術的課題は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ヨーグルトに含まれる良質で吸収性の良い栄養素をそのまま活かし、さらにカルシウムや鉄分などの天然のミネラルがバランス良く含まれ、かつ酸味と甘みとの調和のとれたまろやな味わいがあり、子どもから老人まで広く愛好される美味しいヨーグルトを実現することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明では、少なくとも、牛乳に、黒糖と、脱脂粉乳と、糖類とを混合し、ヨーグルト原料とし、この原料を均質化処理し、加熱殺菌処理した後に、乳酸菌を植菌することを特徴とする黒糖ヨーグルトの製造方法である。
【0024】
該牛乳は生乳を主原料とし、無脂乳固形分が8.0%以上となるように、脱脂粉乳などを加える。脱脂粉乳の代りにバターや練乳などの乳製品を使用しても良い。該黒糖は、砂糖きびより製造した黒色の糖蜜を含む砂糖のことである。この黒糖はカルシウムや鉄分などのミネラル成分を多く含んでおり、栄養バランスがとれた健康食品である。該糖類は、甘味を呈するものならばいずれでも良く、例えば、オリゴ糖や液糖、ブドウ糖、果糖などでも良く、2種類以上を混合したものでも良い。
【0025】
該ヨーグルト原料は、十分に混合する。攪拌機で十分に攪拌し、加熱装置などで適度に加熱すると良い。該均質化処理は、ヨーグルト原料の混合物粒子を均一に分散させることができるものならばいずれでも良く、例えば、ホモゲナイザーなどの均質機により100〜200kg/cm2程度の圧力で均質化処理すると良い。該加熱殺菌処理は、ヨーグルト原料の栄養価を損ねないように殺菌できるものならばいずれでも良く、62℃〜85℃で、30分程度の加熱殺菌処理をすると良い。該乳酸菌の植菌は、通常のヨーグルト製造における植菌処理と同様で良く、純粋培養されたスターターを植菌する。植菌後、培養、冷却してヨーグルトが完成する。
【0026】
請求項1は、図2に例示するように、黒糖を水又は温水に溶かし、100℃以上で30分以上加熱し、黒糖水溶液とし、この黒糖水溶液と、牛乳と、脱脂粉乳と、糖類とを混合し、ヨーグルト原料とすることを特徴とする黒糖ヨーグルトの製造方法である。
【0027】
該黒糖は、砂糖きびより製造した糖蜜を含む黒糖ならばいずれでも良く。粒黒糖や粉黒糖でも良い。溶かし込む水は、黒糖が溶けやすいように、予め50℃程度に加熱しておくと良い。
【0028】
黒糖は、近代的な精製方法を取らずに、砂糖きびを潰したきび汁を鍋で煮込み、石灰を加えて煮詰める、昔ながらの製法で製造されるものも多く、高温に強いバチルス菌が残っている場合もある。このバチルス菌は、ヨーグルト原料中に混入すると、苦味を呈する。このため、ヨーグルト原料に混入する前に、100℃で30分程度加熱してバチルス菌を殺菌して使用する。
【0029】
請求項2は、前記の黒糖が全ヨーグルト原料に対して0.2〜5.0重量パーセント混合されることを特徴とする黒糖ヨーグルトの製造方法である。
【0030】
該黒糖は、0.2重量パーセント以下では、混合量が少な過ぎるため、有効なミネラル成分の添加とは言い難い。例えば、鉄分を例にとると、粉黒糖で100g中に鉄分が5mg程度含まれている。すなわち、200ccのヨーグルト飲料とすると、鉄分は、0.02mg程度含まれていることになる。これは、日本人に不足している鉄分に対して1/10の量に当たり、不足分を補うためには大量のヨーグルトを摂取しなければならず、栄養素の補給効果は期待できない。
【0031】
また、5.0パーセントを超える場合には、黒糖の色でヨーグルトが黒くなってしまう。淡いコーヒー色程度ならば良いが、黒くなると、ヨーグルト感覚ではなくなり、また、ヨーグルトの醗酵臭が消されてしまうので、ヨーグルトとして認識できなくなってしまい、本来の醗酵乳とは言い難いものとなってしまう。
【0032】
好ましくは、0.5〜1.0パーセント程度が色彩、風味共に良好となる。ヨーグルトが黒糖の色で淡いコーヒー色となり、黒糖特有のミネラル分による風味もあり、甘さを和らげるため、乳成分強化による味の濃さが和らげられ、あっさりした甘さとヨーグルトの酸味とが程良く調和して非常に口当たりの良い、美味しいヨーグルトとなる。
【0033】
また、黒糖は、古くから健康に良い砂糖として知られており、中国では薬用として使用されている。白糖に較べて、血清コレステロール値や中性脂肪濃度がかなり低くなると言われており、健康増進食品として注目されている。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明では、少なくとも、牛乳に、黒糖と、脱脂粉乳と、糖類とを混合し、ヨーグルト原料とし、この原料を均質化処理し、加熱殺菌処理した後に、乳酸菌を植菌し、培養、冷却してヨーグルトを製造する。
【0035】
黒糖の風味が活かされ、柔らかい甘味の美味しいヨーグルトを製造することができ、黒糖のミネラル成分が溶け込み、ミネラル成分が強化されたヨーグルトとなる。
【0036】
生乳を主原料として、脱脂粉乳を加え、無脂乳固形分が8.0%以上となるように混合する。また、糖類と黒糖を加え、甘味を調整してヨーグルト原料を調合する。この原料を予熱し、ホモゲナイザーなどの均質機で2次圧を150〜200Kg/cm2で均質化し完全に溶解させる。さらに65〜85℃で、30分程度の加熱殺菌処理を行なう。均質後に乳酸菌を植菌し、40℃で4時間保持し、醗酵させる。醗酵により乳酸ができ、pHが低下して行くので、pHを検査し、4.4〜4.5で醗酵完了を確認する。冷却しながら攪拌と静置とを交互に繰り返し、10℃以下となるまでゆっくりと冷やして黒糖ヨーグルトが完成する。
【0037】
請求項1は、前記の黒糖ヨーグルトの製造方法において、ヨーグルト原料の製造方法に特徴がある。黒糖を水又は温水に溶かし、100℃以上で30分以上加熱し、黒糖水溶液とし、この黒糖水溶液と、牛乳と、脱脂粉乳と、糖類とを混合し、ヨーグルト原料を調合する。
【0038】
黒糖は、砂糖きびを潰して砂糖きび汁を抽出し、このきび汁を煮沸し、石灰を加えて不純物を凝固させて分離し、さらに煮詰めて水分を抜いて、型に入れて固めたものである。この工程で製造された黒糖には、バチルス菌が残存する可能性があるため、100℃以上に加熱して殺菌するのである。このバチルス菌は、ヨーグルトと混合すると苦味を発生し、味を損ねてしまう。このため、予め黒糖水溶液にして殺菌するのである。
【0039】
すべてのヨーグルト原料を混合してから100℃以上で加熱しても良いが、コストも時間もかかる。また、ヨーグルトの主原料である、牛乳は、熱に影響されやすい。高温に熱すると、牛乳中の消化・吸収の良いカルシウムやたんぱく質が不溶性に変化してしまい、消化・吸収が悪くなってしまい、せっかくの栄養素が無駄になってしまう。特に100℃以上の超高温殺菌では、乳酸カルシウムが晶質化して第3リン酸カルシウムとなってしまい、魚の骨と同じ状態となり、体内へ消化・吸収しにくくなるので好ましくない。
【0040】
上記のように、予め黒糖水溶液にして煮沸することが最も簡単で低コストで、かつ確実にバチルス菌の殺菌をすることができ、しかも乳成分を変質させる心配もなく、栄養素をそのまま維持できる。
【0041】
請求項2は、前記の黒糖ヨーグルトの製造に使用される黒糖が、全ヨーグルト原料に対して0.2〜5.0重量パーセント混合して製造されることが特徴である。
【0042】
原料に黒糖を混合させてヨーグルトを製造すると、ソフトな甘味となり、くどくなくなる。すなわち、ヨーグルトは、乳製品としては醗酵乳に分類され、成分が細かく規制されている。無脂乳固形分は8.0%以上とされており、生乳を主原料とする場合には、乳成分の補強が必要であり、そのために脱脂粉乳などの乳製品が加えられるため、味が濃くなる。また、甘味の調整のために糖類が加えられるが、砂糖のみで甘味を出そうすると、やはり濃くてきつい甘さとなり、全体的にも甘さと酸味とが調和せずに、ぶつかりあったくどい味となってしまう。
【0043】
黒糖は、精製されていないため、ミネラルが豊富に含まれており、このミネラル成分により旨味が加わり、きつい甘味ではなく、ソフトな甘味となり、ヨーグルトの酸味と調合され、舌ざわりが良く、濃さ、くどさが和らげられて、まろやかな味となる。
【0044】
しかし、黒糖の混入率が0.2重量パーセント以下では、少な過ぎる。例えば、200cc程度の摂取に対しては、カルシウムは、0.96mg、鉄分は、0.02mg、カリウムは、4.4mg、マグネシウムは、0.12mg程度となり、1日の平均摂取量に対して少なすぎるため、栄養補給効果も低く、味覚に影響することもない。
【0045】
また、5.0重量パーセントを超えると、同様に換算すると、カルシウムは、24mg、鉄分は、0.5mgとなり、日本人に不足している分を十分に補えることになるが、黒糖の色がヨーグルトにでてしまい、黒いヨーグルトとなってしまう。本来、ヨーグルトは、乳製品であり、白い色と醗酵臭と酸味により、健康増進となり、かつ、さわやかで美味しい食品であり、淡いコーヒー色程度ならば良いが、黒くなると、ヨーグルトのイメージではなくなってしまう。好ましくは、0.5〜1.0重量パーセント程度が良い。
【0046】
【実施例】
次に本発明による黒糖ヨーグルトが実際上どのように具体化されるかを実施例で説明する。図2は、本発明による黒糖ヨーグルトの製造方法を示すフロー図である。以下に黒糖ヨーグルトの製造方法を実施例で説明する。
【0047】
(1)黒糖殺菌工程
黒糖2.5Kgと水18リットルをミキサーで混合し、殺菌バック中で100〜102℃で1時間保持して殺菌し、黒糖水溶液を得る。
(2)添加原料混合工程
常温まで冷えた上記の黒糖水溶液に、脱脂粉乳6kgと、オリゴ糖4kgを加えて攪拌機で混合し、添加原料を得る。
(3)原料調合工程
65℃に予熱した牛乳400リットルに、上記の添加原料と、液糖50kgを加え、加熱装置で65℃を保持しながら攪拌機で十分に混合する。
(4)均質処理工程
ホモゲナイザーを用いて均質化処理し、原料粒子を微細化・均一化し、完全に混合、溶解させる。圧力条件は、1次圧:50kg/cm2、2次圧:150kg/cm2に設定する。
(5)殺菌処理工程
培養タンクで原料を85℃で30分間保持して殺菌する。
(6)植菌工程
殺菌処理後直ちに冷却し、40℃に保持して、乳酸菌を直接培養した乳酸菌スターター(植菌量:2%)を原料に混入して植菌する。
(7)培養工程
植菌された原料を40℃で4時間以上静置し、pHが4.4〜4・5になるまで静置培養する。
(8)冷却工程
培養後、冷却装置と攪拌装置を用いて、1時間10℃程度の冷却速度でゆっくりと冷却する。5℃の冷却媒体で冷却する場合は、30分静置、5分攪拌を2回繰り返し、その後2時間程度連続攪拌することにより、10℃以下になる。
【0048】
出来上がった黒糖ヨーグルトは、容器に詰めて10℃以下に冷却保存され、出荷される。この黒糖ヨーグルトは、黒糖が添加されているため、ヨーグルト本来の栄養素に加え、黒糖のミネラル成分が溶け込んでおり、日本人に不足しているカルシウムと鉄分がバランス良く含まれている健康増進効果の高い栄養食品となる。
【0049】
また、ビタミンCなどが多く含まれるフルーツや果汁などを加えても良い。黒糖が加えられている為、苦味が緩和されてフルーツの美味しさが引き立つ。
【0050】
また、黒糖特有のソフトな甘味は、ヨーグルトの酸味と相性が良く、酸味と甘味を適度に和らげ、まろやかな舌触りとなる後味の良いヨーグルトとなり、飽きのこない子どもから老人まで幅広く愛好される美味しい味となる。
【0051】
なお、黒糖の量を増やし、液糖の量を減らすと、ミネラル量が増え、よりまろやかで健康的なヨーグルトとなるが、色が黒くなるため、外観的にヨーグルト感覚が失われてしまい、手軽に食される栄養食品ではなく、薬品的イメージとなってしまうので、好ましくない。
【0052】
また、個々のミネラル成分を添加することもできるが、これらの栄養素は、バランス良く摂取することが大事であり、偏ったミネラル成分の添加は、逆に吸収率が低下する。例えば、骨の成長には、カルシウムとリンの割合が骨中と同じ比率の1対1が良く、牛乳のカルシウム吸収効果が良いのもカルシウムとリンの成分バランスが骨中に近いためと言われている。自然の成分バランスを崩さないようにすることが、吸収効果を高めることになる。
【0053】
【発明の効果】
本発明では、少なくとも、牛乳に、黒糖と、脱脂粉乳と、糖類とを混合し、ヨーグルト原料とし、この原料を均質化処理し、加熱殺菌処理した後に、乳酸菌を植菌することにより、乳成分の調整・増量により、濃くなった味をくどくなく、まろやかであと味の良いヨーグルトとすることができる。すなわち、黒糖特有のソフトな甘味が、ヨーグルトの酸味や砂糖のきつい甘味を和らげるため、酸味と甘味の調和のとれたソフトでなめらかな味となり、美味しく後味の良いヨーグルトとなる。
【0054】
また、ヨーグルトの持つ栄養素に加え、黒糖の持つ栄養素が活かされ、ミネラル成分が補強され、特に日本人に不足している、カルシウムと鉄分が吸収されやすいヨーグルトを製造することができる。
【0055】
請求項1のように、黒糖を水又は温水に溶かし、100℃以上で30分以上加熱し、黒糖水溶液とし、この黒糖水溶液と、牛乳と、脱脂粉乳と、糖類とを混合したヨーグルト原料を用いて黒糖ヨーグルトを製造することにより、黒糖中に残存するバチルス菌を確実に殺菌できるため、ヨーグルトに過度の苦味が発生することはない。また、ヨーグルトの主原料である牛乳を過度に加熱することがないので、乳成分が変質することもない。
【0056】
請求項2のように、前記の黒糖が全ヨーグルト原料に対して0.2〜5.0重量パーセント混合されることにより、ヨーグルトの栄養価を高めることができ、かつ、外観上、黒くなり過ぎて、ヨーグルトのイメージを崩すこともなく、手軽に美味しく食することができる栄養食品となる。
【0057】
以上のように本発明によると、ヨーグルトの栄養成分をそのまま活かし、さらにミネラル成分が増強され、かつ、酸味と甘味の調和のとれたまろやかで後味が良く、子どもから老人まで広く愛好される美味しい黒糖ヨーグルトを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のヨーグルトの製造工程を示すフロー図である。
【図2】本発明による黒糖ヨーグルトの製造方法の実施例を示すフロー図である。
Claims (2)
- 黒糖を水又は温水に溶かし、100℃以上で30分以上加熱し、黒糖水溶液とし、この黒糖水溶液と、牛乳と、脱脂粉乳と、糖類とを混合し、ヨーグルト原料とし、この原料を均質化処理し、65℃〜85℃で30分以上低温加熱殺菌処理した後に、乳酸菌を植菌することを特徴とする黒糖ヨーグルトの製造方法。
- 前記の黒糖が全ヨーグルト原料に対して0.2〜5.0重量パーセント混合されることを特徴とする請求項1に記載の黒糖ヨーグルトの製造方法。
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