JP3657114B2 - 光ピックアップ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の種類の光学記憶媒体を再生するため、異なる波長の複数の光源を備えた光ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、コンパクト・ディスク(以下、CDと記す。)の再生装置には、CDを再生するための光源を備えた光ピックアップが使用されている。また、最近では、コストダウンや生産効率の改善等の理由により、光源と読み取り部とを一体にユニット化することにより安定したCDの再生を可能としている。
一方、近年になり、デジタル・ビデオ・ディスク又はデジタル・バーサタイル・ディスク(以下、DVDと記す。)の規格が制定され、DVDの記録・再生用装置が発売され、DVDのソフトウエアの販売量も増加しつつある。
ところで、上記のCDとDVDは、ディスクの外形寸法こそ同じであるが、記憶方式が異なるために、再生に使用される光源の周波数や光学系等が異なっている。従って、基本的にはCDとDVDを再生するためには2種類の再生装置が必要になるが、再生装置として2つに分かれているよりも1つに統合されている方が使用者側の使い勝手が良いので、CDとDVDの両方を再生可能な光ピックアップが幾つか提案されている。
以下に、上記したような従来のCDとDVDの両方を再生可能な光ピックアップについて、図を用いて説明する。
図13は、CDとDVDの両方を再生可能な光ピックアップの第1の従来例を示す図である。
この図13は、1997年春季の応用物理学会講演予稿集(30p−NF−2)「LD−PDユニットを用いたDVD用2波長光ヘッド」に示された構造を、簡略に示した側面図である。
図13の光ピックアップは、CD系メディアを再生するために790nmのレーザ(以下、LDと記載する。)光源82とその受光部92が一体化されたCD用LD−CDユニット94と、DVD系メディアを再生するために650nmのLD光源81とその受光部91が一体化されたDVD用LD−CDユニット93と、波長フィルタ83と、集光レンズ85と、立ち上げミラー86と、偏光ホログラム87と、開口フィルタ及び波長板88と、対物レンズ89と、光記録媒体90から構成される。上記構成においては、開口フィルタが790nmのLD光源82からの光に対しては波長板、650nmのDVD光源81からの光に対しては1/4波長板となるように設計されているため、CDの光学系は偏光ホログラム87の影響を受けなくなる。従って、従来のCD用のLD−PDユニットを使用したままDVD用LD−CDユニットを採用でき、CD系とDVD系の各種のメディアに対応することができる。
【0003】
図14は、CDとDVDの両方を再生可能な光ピックアップの第2の従来例を示す図である。
この図14は、特開平9−138967号公報「光ピックアップ装置」の図1である。
図14の光ピックアップは、第1の波長のレーザ光源101とその第1の光検出器110と第1のホログラム素子103がユニット化された第1のホログラムレーザユニット112と、第2の波長のレーザ光源102とその第2の光検出器111と第2のホログラム素子104がユニット化された第2のホログラムレーザユニット113と、前記レーザ光源101からの光105と前記レーザ光源102からの光106が入射する偏光ビームスプリッタ107と、対物レンズ108と、光記録媒体109から構成される。上記構成においては、波長の異なるLD光源を搭載したホログラムレーザユニット112と113を2つ備えることにより、基板厚の異なる光記録媒体109を再生できる。また、上記ホログラムレーザユニット112と113におけるレーザ光源101、102と、その光検出器110、111と、ホログラム素子103、104は、それぞれの基板厚の光記録媒体(CDとDVD)に対応して設計されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図13と図14の光ピックアップのように、レーザ光源とその受光部(光検出器)を一体化(ユニット化、パッケージ化)した素子を用いる場合、その一体化素子の温度特性が悪くなる。具体的には、記録できる光媒体に対応するためには高出力なLDが必要であるが、高出力化するためにはLDに高電流を流すことになり、パッケージ全体の温度が上昇する。これにより同一パッケージ内にあるPDが安定に動作しにくくなり、特に高速動作させる時に十分な信号特性が得られなくなってしまう。
また、図14のようにホログラムレーザユニットを2つ用いる場合、例えば、780nm光源を持つホログラムレーザユニットと、650nm光源を持つホログラムレーザユニットが2つ有るので、レーザ光源とその受光部とホログラムの全てが2つづつあることになり、コストが高く小型化が難しくなる。特に、上記両波長共に記録できる光媒体に対応しようとする場合には、ホログラムとしては偏光性ホログラムを使用する事が望ましいが、偏光ホログラムは高価であり、それを2つ備えるとピックアップ全体のコストがアップしてしまう。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、複数規格の光記録媒体の情報を記録と再生でき、安価且つ小型であって温度特性の良い光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、複数の異なる波長の光源を有する光ピックアップ装置において、これら複数の光源の光を光記録媒体面に導く光学手段と、前記光記録媒体からの反射光のうち少なくとも2つ以上の異なる波長の光を回折させるホログラムと、前記ホログラムからの複数の異なる波長の回折光を受光可能であり且つ前記光源とは分離して配置された受光素子と、前記ホログラムからの回折光を反射して前記受光素子に入射させる反射面手段と備え、前記反射面手段を前記ホログラムと前記受光素子の光路中に、且つ、前記光源からのモニタ光の一部が前記受光素子に入るのを遮るように配置したことを特徴とし、これにより、複数の波長の光源に対して、ホログラムと受光素子を共通化することにより、部品数を減らし、小型化するとともに、LDとPDは別のパッケージとすることにより温度特性をよくすることができる。また、ホログラムからの回折光を反射面手段を使って受光素子に導くことにより、ホログラムの加工を容易にし、低コスト化を図る。また、モニタ光が光記録媒体からの信号検出用受光素子に入らないようにすることで、高感度な信号検出ができる。さらに、反射面手段で、モニタ光が信号検出用の受光素子に入らないように遮ることにより信号の信頼性を向上させることができる。
【0006】
請求項2の本発明は、請求項1に記載の光ピックアップ装置において、前記受光素子は、前記光源のモニタ光も受光可能であることを特徴とし、信号検出用受光素子と光源のモニタ用の受光素子を共通化して1つにすることにより、さらに部品点数を削減することができる。
【0007】
請求項3の本発明は、請求項2に記載の光ピックアップ装置において、前記複数の異なる波長の光源は、該光源から光記録媒体に照射された光を受光するための第1の受光素子を同一のパッケージに収容する少なくとも1つの第1の光源を有し、第2の光源からの光を受光するための第2の受光素子は、更に前記第1の光源からの光の内のモニタ光のみを受光可能であるように前記第2の光源と分離して配置されたことを特徴とし、既に確立された古い規格の光記録媒体を記録や再生するための量産中のLD、PD、ホログラムが一体となったユニットを使うことができるので、開発費や組付け調整に費用をかけないようにでき、そのことにより低コスト化と、調整の簡素化ができる。
請求項4の本発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の光ピックアップ装置において、前記複数の異なる波長の光源は、該光源から出射する光の偏光方向を回転させる偏光方向回転手段を備えた少なくとも1つの第1の光源を有し、該偏光方向回転手段により全ての光源からの光の偏光方向を略一致させた後にホログラムを透過させる構成としたことを特徴とし、複数の規格の光記録媒体に対応するために複数の光源を用いるが、これら光源の偏光方向をホログラムの特性が発揮されるように合わせることにより、光利用効率が高く、高感度な信号検出ができる。
【0008】
請求項5の本発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の光ピックアップ装置において、前記ホログラムは、前記受光素子に導かれない回折光の光量よりも前記受光素子に導かれる回折光の光量が大きくなる構造を有することを特徴とし、信号検出に関係のない不要な回折光を生じないようなホログラムを作ることにより、高感度な信号特性ができる。
請求項6の本発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の光ピックアップ装置において、前記受光素子は、複数の波長の異なるそれぞれの回折光の集光点上に受光面が合うように受光素子が配置されていることを特徴とし、複数のスポットを同一の受光素子で精度良く位置合わせを行うようにすることにより、信頼性を高めることができる。
【0009】
請求項7の本発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の光ピックアップ装置において、前記光ピックアップ中に備えられたコリメートレンズと前記ホログラムは、各々有する色収差が互いの色収差が相殺するように構成したことを特徴とし、レンズとホログラムで色収差を相殺することにより、安定性を高めることができる。
請求項8の本発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の光ピックアップ装置において、前記光源と前記ホログラムと前記受光素子及び前記波長フィルタ、又は、前記光源と前記ホログラムと前記受光素子と前記波長フィルタ及び前記反射面手段とが各々の位置に固定されて1つの筐体に収容されていることを特徴とし、光源とホログラムと受光素子と波長フィルタ、又は、光源とホログラムと受光素子と波長フィルタと反射面とを1つの筐体に収容し、それぞれを適する位置に固定することにより、小型化と安定性の向上を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を用いて詳細に説明する。
なお、図1〜図4、図8、図11は光ピックアップ装置の参考図である。
図1は、光ピックアップ装置の構成を示した参考図である。図1の光ピックアップ装置は、2つの異なる波長の光を出力する光源1と光源2、両方の光の出射方向を同じにする波長フィルタ3、光の偏光方向により透過と回折を行う偏光性ホログラム4、拡散光を平行光にしたり平行光を収束光にするコリメートレンズ5、光の進行方向を変えるミラー6、偏光方向を変える1/4波長板7、開口数を調整するフィルタ8、光記録媒体上に光を集光する対物レンズ9、及び、偏光性ホログラム4で回折された光を受光する受光素子11により構成される。
図1において、650nmの光源1から出射された光は、波長フィルタ3を透過して偏光性ホログラム4も透過し、コリメートレンズ5により平行光となる。尚、光源1の波長は、650nmではなく635nmでもよい。平行光となった光束は、ミラー6で反射されてから、1/4波長板7により円偏光となり、開口数を調整するフィルタ8を通って、対物レンズ9により光記録媒体10上に集光される。
この光記録媒体10上の情報を読み取った後の反射光は、再度対物レンズ9、開口数を調整するフィルタ8、1/4波長板7を経て、出射された時の偏光方向とは90度向きを変えた直線偏光となり、ミラー6で反射されてコリメートレンズ5に戻る。そして、コリメートレンズ5により収束光となった光は、偏光性ホログラム4により回折されて回折光12となり、受光素子11へと導かれる。
【0011】
上記と同様に、780nmの光源2から出射された光は、波長フィルタ3で反射して偏光性ホログラム4を透過し、コリメートレンズ5により平行光となる。尚、この平行光という記載については、実際はディスクの基板厚の違いを補正するために必ずしも両波長とも平行光になるのではなく、一方が非平行光になることが考えられる。しかし、平行光か否かは本発明の核心に関わることではないので、便宜上から両方とも平行光ということにする。平行光となった光束は、ミラー6で反射され、開口数を調整するフィルタ8を通って、対物レンズ9により光記録媒体10上に集光される。そして、650nmの光源1の反射光と同様な経路により、光源2からの反射光も光記録媒体10上の情報を読み取り再度コリメートレンズ5に戻ってくる。コリメートレンズ5により収束光となった光は、偏光性ホログラム4で回折されて回折光12となり、光源1の光束と同じように受光素子11へと導かれる。
この図1のように構成することで、光源は2つであっても偏光性ホログラムと受光素子は1つで光ピックアップ装置を構成する事ができる。
尚、光源1と光源2の波長が異なるために受光素子11上でのスポット位置は多少異なるが、その分受光素子11の受光面積を大きくすることや、受光面を分割してそれぞれのスポットに合せることで対応は可能である。
【0012】
次に、光源1と光源2のモニタ機能を信号検出用受光素子10に備えた光ピックアップ装置の構成の参考図を図2、図3に示す
図2において、光源1から出射された光は、理想的には波長フィルタ3を100%透過すべきであるが、実際は必ずしも100%透過せず、数%は波長フィルタ3の内部の膜で反射され、漏れ光(モニタ光)24として受光素子21の方向に進む。光源1が特に大きな出射角を有する光源である場合には、波長フィルタ3の膜の特性上から反射される光量が大きくなる。同様にして、光源2から出射された光は本来波長フィルタ3の内部の膜において100%反射されるべきであるが、実際は必ずしも100%反射されず、数%は透過され、透過した光は漏れ光(モニタ光)24として受光素子21の方向に進む。
上記のようにして波長フィルタ3から漏れた光を受光素子21で受光することにより、光源1と光源2のパワー変動をモニタする事ができる。しかも、図3に示すように同じ受光素子21の中でも光記録媒体10からの反射光を受光する受光面23とは異なる受光面22で上記した漏れた光を受光するようにすれば、1つの受光素子により、信号検出用受光素子と光源の前方モニタ用受光素子を兼用する事ができる。
その場合には、波長フィルタ3の膜の特性を変える事により漏れてくる光の量を変える事ができるため、所望のモニタ光量を得ることができる。従って、光源のモニタを確実にできることから光源の安定性を最適にすることができる。
【0013】
次に、図4の参考図を用いて偏光性ホログラム4からの回折光12が受光素子10に導かれるまでの間の光路中に反射面32を設けた構成について説明する。
図4に示すように、偏光性ホログラム4からの回折光12を反射面32により反射させてから受光素子31に導くようにすると、分離角33が小さくても回折光12を受光素子31で検出することができる。この反射面32が無いと、回折光12は、波長フィルタ3にぶつかってしまい受光素子31には導かれないので信号検出はできなくなる。
偏光性ホログラム4の分離角33を大きくすれば、反射面32が無くても回折光12は直接受光素子31に入射できるようになるが、分離角33を大きくするためには偏光性ホログラム4のピッチを小さくしなければならない。
偏光性ホログラム4のピッチを小さくすると以下の問題が生じる。
1.回折効率の低下偏光性ホログラム4のピッチを小さくすると、加工プロセスの精度上から、格子形状が理想の形状どおりに作れなくなり、このため回折効率が低下する。
2.波長変動の増大偏光性ホログラム4のピッチが小さいと、波長変動に対する回折角変動が大きくなるので、受光素子31上での信号光のスポット位置変動が大きくなってしまい、信号にオフセットが生じ易くなる。反射面32を設けることにより、偏光性ホログラム4のピッチを小さくしなくてもよくなり、上記の問題の発生原因を無くすことができるので、高効率で安定な信号検出ができるようになる。
【0014】
そのうえで、本発明の実施の形態の光ピックアップ装置は、図5に示すように、反射面44を波長フィルタ3からのモニタ光の一部を遮るように配置した。これにより、信号光である回折光12とモニタ光を完全に分離することができ、より高精度な信号検出が可能になる。また図6に示すように、波長フィルタ54の一部に回折光12の反射面を一体化して構成するようにすると、光ピックアップの組付け工程も簡素化が可能である。
ところで、上記の様々な実施形態では、複数の波長の異なる全ての光源の信号検出を受光素子11、21または31で行うように構成しているが、例えば、CDの光ディスクの再生用の780nmの光源は、既に十分に確立された技術であるためピックアップもユニット化されている場合が多く、光源と受光素子とが一体化されているか、前記構成に加えてホログラムまでも含めて一体化されて量産されている場合が多い。そのような場合には、光源と受光素子が分離されているものを光ピックアップに用いるよりも、ユニット化されているものを使った方が低コストで高い安定性を得ることができる。
そこで、そのような場合には、上記した受光素子11、21または31は、この光源と受光素子とが一体化されたユニットからの前方モニタ光検出のみに用い、光記録媒体10の信号検出には一体化されているそのユニットを用いることにより調整を簡素化することができる。
【0015】
次に、図7を用いて各光源からの光の伝送モードが異なる場合について説明する。
光源1または2から発せられる光はほとんど直線偏光であるが、その伝送モードはTEモードであったりTMモードであったりする。そのため全ての光源が同じ偏光方向にはならず、波長の違う光源間(例えば、780nmの光源と635nmの光源)では偏光方向が90度異なる場合が生じる。しかし、偏光性ホログラム4における回折効率の高い偏光方向はあらかじめ決まっているので、それに合せた偏光を偏光性ホログラム4に入射させないと偏光性ホログラム4の本来の性能を引き出すことはできない。従って、偏光性ホログラム4の性能に合うように、複数の光源の偏光方向は全て同じにしなければならない。
そのため、図7に示したように特定の波長の光に対してのみ1/2波長板として機能するような素子55を波長フィルタ3と偏光性ホログラム4の間に配置し、例えば、光源1がTMモードで光源2がTEモードの場合には、どちらかの波長の光の偏光方向を上記1/2波長板の素子55により90度回して他の光源の偏光方向と一致するように合わせることにより、全ての波長の光に対して高い光利用効率を実現することができる。
【0016】
次に、偏光性ホログラム61の構造の最適化について図8の参考図を用いて説明する。
偏光性ホログラム61は、図8に示すように、0次光、±1次光、±2次光…を生じるが、ここでは+1次光のみを受光素子11で受光するものとする。
この図8の構成の場合に信号特性を良くするためには、+1次光にできるだけ多くの光量がいくこと、即ち、+1次光の回折効率が高いことが望ましい。
そのためには、偏光性ホログラムのバリエーションを示す図9の(a)〜(c)に示すように、(a)偏光性ホログラム62の断面構造をブレーズ化したり、(b)偏光性ホログラム63の断面構造を階段状にしたり、もしくは、従来から本発明者が提案している(c)デュアルグレーティングを用いること等により、偏光性ホログラムの+1次光の回折効率が大きくなるようにする。
【0017】
次に、受光素子の配置を最適化した一実施形態について図10を用いて説明する。
図10に示すように、ホログラム4に異なる波長の光が入射すると、それぞれ異なる角度をもって回折するため、それぞれ異なった位置に集光する。そのような場合、例えば、フォーカス検出方式としてナイフエッジ法を用いると、どちらの波長の光の集光点であるスポット位置に対しても受光素子71の受光面が合致するように合せなければならない。
そこで、異なった位置に集光しているそれぞれの波長のスポット位置に、受光素子71の受光面が合致するように傾けて配置する事により、両スポット位置に受光面を合わせることができる。こうすることにより、両スポット位置に対してナイフエッジ法でフォーカス検出をすることができるようになる。
尚、ここではナイフエッジ法を例に説明したが、非点収差法、ビームサイズ法でも同様に対応することが可能である。
次に、受光素子上のスポット位置を最適化するために、図11の参考図に示すように、ホログラム4とコリメートレンズ5の色収差を用いる方法を示す。
一般的に、偏光性ホログラム4は波長選択性が非常に良いので、色収差が大きいことと同等として考えられる。また、偏光性ホログラム4がレンズ機能を有する場合、レンズの焦点距離fと波長λとの関係はfλ=一定という反比例関係がある。
一方、コリメートレンズ5のガラス材料の色収差は、一般的にレンズの焦点距離fと波長λとの関係は比例関係になる。
従って、図11に示すように、焦点距離fと波長λとの関係が反比例関係の偏光性ホログラム4と比例関係のコリメートレンズ5の二つを組み合わせることにより、受光素子72面上でスポットの色収差の影響が小さくなるようにすることができる。
このように構成することにより、受光素子72の傾きを小さくすることができ、取り付け公差も大きくすることができる。
【0018】
さらに、上記の構成の各光学素子を1つの筐体に収容してセル構造とした一実施形態を図12に示す。
光源1、2と偏光性ホログラム4と受光素子51と波長フィルタ54、もしくは光源1、2とホログラム4と受光素子51と波長フィルタ54とその波長フィルタ54の一部に設けられた反射面とが筐体73に収容され、それぞれ所定の位置に固定されている。このようなセル構造とすることにより、以下のメリットが生じる。
1.小型化が可能になる。
2.一体化構造により、各部品の位置ずれが無くなる。
3.セルの部分だけ個別に組み立てることが可能になることから、光ピックアップの組付けが容易になる。
この図12のようなセル構造を用いることで、従来のホログラムレーザユニットと同等の安定性が得られるため、低コスト化と高信頼性を両立することが可能になる。
【0019】
【発明の効果】
上記のように、請求項1の本発明では、複数の波長の光源を有するので多様な規格の光ディスクの記録再生ができることに加えて、偏光性ホログラムと受光素子を共通化することにより、部品数を減らし、小型化することができる。また、光源と受光素子を別のパッケージにすることにより、温度特性が良くなる上、光ピックアップに対してより高速な信号特性が求められる場合にも、受光素子を付け替えるだけで高速化に対応することが可能になる。また、偏光性ホログラムからの回折光を反射面を使って受光素子に導くことにより、偏光性ホログラムのピッチは大きくても良いので、加工が容易で高精度に作れることになり、低コスト化かつ高効率化を図ることができる。また、モニタ光が光記録媒体からの信号検出用受光素子に入らないように受光素子を配置できるので、高感度な信号検出が可能になる。さらに、反射面でモニタ光を遮るので、信号検出用受光素子にモニタ光が入らなくなり、高感度な信号検出が可能になる。さらに、反射面と波長フィルタを一体化することにより光ピックアップの組付け性を容易にすることができる。
請求項2の本発明では、信号検出用受光素子と光源のモニタ用の受光素子を共通化して1つにすることにより、さらに部品点数を削減でき、低コスト化を図ることができる。
請求項3の本発明では、既に確立された規格の光記録媒体を記録や再生するためには、既に量産されている光源と受光素子又は光源と受光素子とホログラムが一体となったユニットを用いることにより、新たな光源と受光素子の組み合わせ等の開発費や光ピックアップの組付け調整に費用をかけないようにでき、そのことにより低コスト化を図れ、ユニットを使用するため調整も簡素化する。
請求項4の本発明では、複数の規格の光記録媒体に対応するために用いられた複数の光源からの光の偏光方向を、その光ピックアップ装置に使用される偏光性ホログラムの特性が発揮されるように合わせる手段を設けることにより、光利用効率が高められ、高感度な信号検出が可能になる。
請求項5の本発明では、信号検出に関係のない不要な回折光を生じないような偏光性ホログラムとすることにより、高感度な信号特性を得ることができ、フレア光によるC/Nの低下を防ぎ、信号の高速化も実現することができる。
請求項6の本発明では、複数の焦点スポットを同一の受光素子で精度良く位置合わせができるようにすることにより、信頼性を高めることができる。
請求項7の本発明では、レンズの特性とホログラムの特性により色収差を相殺することによって、光源の波長変動や光源自体のばらつきによる位置ずれを小さくし、信号検出の安定性を高めることができる。
請求項8の本発明では、光源と波長フィルタと受光素子と偏光性ホログラムの構成部分をセル構造とすることにより、低コスト化と高信頼性を両立することが可能になる。また、そのセル単品で組付ける事ができるので、光ピックアップ全体の組付けが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光ピックアップ装置の構成を示した参考図である
【図2】 光源のモニタ機能を信号検出用受光素子に備えた光ピックアップ装置の構成を示す参考図である
【図3】 光記録媒体からの反射光を受光する受光面とは異なる受光面で漏れた光を受光するようにした受光素子の構成を示す参考図である。
【図4】 偏光性ホログラムからの回折光が受光素子に導かれるまでの間の光路中に反射面を設けた構成を示す参考図である。
【図5】 本発明の光ピックアップ装置の実施形態として反射面を波長フィルタからのモニタ光の一部を遮るように配置した構成を示す図である。
【図6】 本発明の光ピックアップ装置の実施形態として波長フィルタの一部に回折光の反射面を一体化した構成を示す図である。
【図7】 特定の波長の光に対してのみ1/2波長板として機能するような素子を波長フィルタと偏光性ホログラムの間に配置した構成を示す図である。
【図8】 偏光性ホログラムが、0次光、±1次光、±2次光等を生じるようすを示した参考図である。
【図9】 (a)乃至(c)は偏光性ホログラムのバリエーションを示した図である。
【図10】 受光素子の配置を最適化した一実施形態を示す図である。
【図11】 受光素子上のスポット位置を最適化した場合を示す参考図である。
【図12】 各光学素子を1つの筐体に収容したセル構造とした一実施形態を示す図である。
【図13】 CDとDVDの両方を再生可能な光ピックアップの第1の従来例を示す図である。
【図14】 CDとDVDの両方を再生可能な光ピックアップの第2の従来例を示す図である。
【符号の説明】
1、2、81、82、101、102・・・光源、3、54、83・・・波長フィルタ、4、61、62、63、64、87・・・偏光性ホログラム、5・・・コリメートレンズ、6・・・ミラー、7・・・1/4波長板、8・・・フィルタ、9、89、108・・・対物レンズ、10、90109・・・光記録媒体、11、21、31、51、71、72・・・受光素子、12・・・回折光、22、23・・・受光面、24・・・漏れ光(モニタ光)、32、44・・・反射面、33・・・分離角、55・・・素子(1/2波長板)、73・・・筐体、85・・・集光レンズ、86・・・立ち上げミラー、88・・・開口フィルタ及び波長板、91、92・・・受光部、93・・・DVD用LD−CDユニット、94・・・CD用LD−CDユニット、103、104・・・ホログラム、105、106・・・光、107・・・偏光ビームスプリッタ、110、111・・・光検出器、112、113・・・ホログラムレーザユニット

Claims (8)

  1. 複数の異なる波長の光源を有する光ピックアップ装置において、これら複数の光源の光を光記録媒体面に導く光学手段と、前記光記録媒体からの反射光のうち少なくとも2つ以上の異なる波長の光を回折させるホログラムと、前記ホログラムからの複数の異なる波長の回折光を受光可能であり且つ前記光源とは分離して配置された受光素子と、前記ホログラムからの回折光を反射して前記受光素子に入射させる反射面手段と備え、前記反射面手段を前記ホログラムと前記受光素子の光路中に、且つ、前記光源からのモニタ光の一部が前記受光素子に入るのを遮るように配置したことを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 前記受光素子は、前記光源のモニタ光も受光可能であることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
  3. 前記複数の異なる波長の光源は、該光源から光記録媒体に照射された光を受光するための第1の受光素子を同一のパッケージに収容する少なくとも1つの第1の光源を有し、第2の光源からの光を受光するための第2の受光素子は、更に前記第1の光源からの光の内のモニタ光のみを受光可能であるように前記第2の光源と分離して配置されたことを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
  4. 前記複数の異なる波長の光源は、該光源から出射する光の偏光方向を回転させる偏光方向回転手段を備えた少なくとも1つの第1の光源を有し、該偏光方向回転手段により全ての光源からの光の偏光方向を略一致させた後にホログラムを透過させる構成としたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光ピックアップ装置。
  5. 前記ホログラムは、前記受光素子に導かれない回折光の光量よりも前記受光素子に導かれる回折光の光量が大きくなる構造を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光ピックアップ装置。
  6. 前記受光素子は、複数の波長の異なるそれぞれの回折光の集光点上に受光面が合うように配置されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光ピックアップ装置。
  7. 前記光ピックアップ中に備えられたコリメートレンズと前記ホログラムは、各々が有する色収差が互いの色収差を相殺するように構成したことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の光ピックアップ装置。
  8. 前記光源と前記ホログラムと前記受光素子及び前記波長フィルタ、又は、前記光源と前記ホログラムと前記受光素子と前記波長フィルタ及び前記反射面とが各々の位置に固定されて1つの筐体に収容されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の光ピックアップ装置。
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