JP3656379B2 - 電池の充電装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は電池異常判別手段を備えたニッケル・カドミウム電池(以下ニカド電池という)等の2次電池の充電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電池の充電装置の一例を図1を用いて説明する。図において、1は交流電源、2は電池2eに接触または近接して設けられたサーミスタ等の感温素子2aと、電池2eの正極、負極及び感温素子2aにそれぞれ接続される正極端子2b、負極端子2c及び温度端子2d等からなる電池組であり、電池2eは充電可能な素電池を複数直列に接続したもので、感温素子2aは負の温度係数を有するNTCタイプである。3は電池2eに流れる充電電流を検出する電流検出手段、4は充電の開始及び停止を制御する信号を伝達する充電制御信号伝達手段、5は充電電流の信号をPWM制御IC23に帰還する充電電流信号伝達手段である。充電制御伝達信号手段4と充電電流信号伝達手段5はホトカプラ等からなる。6、7、8は電池組2の正極端子2b、負極端子2c及び温度検出端子2dにそれぞれ対応する充電正極端子、充電負極端子及び温度検出端子である。10は全波整流回路11と平滑用コンデンサ12からなる整流平滑回路、20は高周波トランス21、MOSFET22とPWM制御IC23からなるスイッチング回路である。PWM制御IC23はMOSFET22の駆動パルス幅を変えて整流平滑回路10の出力電圧を調整するスイッチング電源ICである。30はダイオード31、32、チョークコイル33と平滑用コンデンサ34からなる整流平滑回路、40は抵抗41、42からなる電池電圧検出手段で、抵抗41、42により決定される分圧比で分圧し、分圧電圧をマイコン50のA/Dコンバータ55に入力する。50は演算手段(CPU)51、ROM52、RAM53、タイマ54、A/Dコンバータ55、出力ポート56、リセット入力ポート57からなるマイコンである。RAM53はサンプリングした電池電圧を記憶する電池電圧記憶手段531、サンプリングした電池温度を記憶する電池温度記憶手段532を内蔵する。60は演算増幅器61、62、抵抗63〜66からなる充電電流制御手段、70は電源トランス71、全波整流回路72、平滑コンデンサ73、3端子レギュレータ74、リセットIC75からなる定電圧電源で、ここでは5V電源を作り、マイコン50、充電電流制御手段60等の電源となる。リセットIC75はマイコン50を初期状態にするためにリセット入力ポート57にリセット信号を出力する。80は充電電流を設定する充電電流設定手段であって、前記出力ポート56からの信号に対応して演算増幅器62の反転入力端に印加する電圧値を変えるものである。90は電池温度検出手段で5Vの定電圧電源と接続された抵抗91と、抵抗92と温度検出端子8と温度端子2dによって接続されている感温素子2aとによって分圧された電圧をマイコン50のA/Dコンバータ55に入力し、この入力電圧を電池温度に換算し充電を制御する構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した充電装置において、例えば電池2eの素電池群が容量的にアンバランスで、充電途中に容量の少ない素電池が電解液漏れを起こして、電解液により正極端子2bと温度端子2dとを接続してしまった場合、正確な電池温度を検出することができず、電池温度検出による確実な満充電検出ができなくなるという欠点があった。
【0004】
正常な電池組2を充電した際には、マイコン50のA/Dコンバータ55には、5V定電圧電源の電圧を抵抗91、抵抗92及び感温素子2aとによって分圧した電圧が入力され、電池温度が低いときには大きな電圧が、逆に電池温度が高いときには小さな電圧がA/Dコンバータ55に入力される。例えば電池温度が設定温度以上となったならば充電を停止するとした場合には、マイコン50はA/Dコンバータ55に入力された電圧が設定電圧以下となったときに充電を停止する信号を出力ポート56から発生する。しかし、上記したように素電池が電解液漏れを起こしたことにより正極端子2bと温度端子2dとが接続してしまうと、A/Dコンバータ55に入力される電圧に、電池2eの電圧を電解液の抵抗と、抵抗92と感温素子2aとによって分圧した電圧が上乗せされることになり、図5に示した充電特性から分かるように充電が進み電池温度が上昇しているのにも拘らず、A/Dコンバータ55に入力される電圧は上昇する。このため、マイコン50は電池温度を実際の電池温度よりも低くみなし、電池温度が問題となる程上昇していたとしてもマイコン50はこれを感知して充電を停止することができず、過充電となり電池組2の寿命を低下させてしまう恐れがある。本発明の目的は、上記欠点を解消し、被充電電池の異常を検出できる電池の充電装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、電池温度検出手段の検出値を記憶する記憶手段と、記憶手段の出力値と電池温度検出手段の最新の検出値との差を演算する演算手段と、演算手段の出力が所定値以上であるとき被充電電池は異常状態であると判別する電池異常判別手段とを備えた構成とすることにより達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明電池の充電装置の一実施形態を図1の回路図、図2のフローチャートを用いて説明する。電源を投入するとマイコン50は出力ポート56をイニシャルセットし、電池組2の接続待機状態となる(ステップ101)。電池組2が接続されると、マイコン50は出力ポート56より充電制御信号伝達手段4を介してPWM制御IC23に充電開始信号を伝達すると共に充電電流設定手段80を介して、充電電流Iに対応する充電電流設定基準値VIを設定し、充電電流設定基準値VIを演算増幅器62に印加し、充電電流Iで充電を開始する(ステップ102)。充電開始と同時に電池2eに流れる充電電流を電流検出手段3により検出し、この充電電流に対応する電圧と充電電流設定基準値VIとの差を充電電流制御手段60より信号伝達手段5を介してPWM制御IC23に帰還をかける。すなわち、充電電流が大きい場合はパルス幅を狭めたパルスを高周波トランス21に与え整流平滑回路30で直流に平滑し、充電電流を一定値Iに保つ。次いで、RAM53の電池温度記憶手段532の記憶データである1サンプリング前の電池温度検出手段90の検出値Vi−1と電池異常判別用比較値ΔV1をイニシャルセットし(ステップ103)、サンプリングタイマをスタートさせる(ステップ104)。サンプリングタイマ時間Δtが経過したらば、再度サンプリングタイマを再スタートさせ(ステップ105、ステップ106)、A/Dコンバータ55に入力された電圧を最新の電池温度検出手段90の検出値Vinとして取込み(ステップ107)、演算手段51で最新の電池温度検出手段90の検出値Vinと電池温度記憶手段532の出力値Vi−1とを演算しΔVを求める(ステップ108)。
【0007】
次にステップ108で求めたΔVと電池異常判別用比較値ΔV1とを比較する(ステップ109)。ステップ109において、ΔV<ΔV1ならばステップ111に進み、電池温度記憶手段532の記憶データVi−1に電池温度検出手段90の検出値Vinを格納し、ステップ112に進み電池が満充電状態であるか否かの判断を行う。ステップ109において、ΔV≧ΔV1ならばステップ110で電池組2が異常状態であると判別し、ステップ113に進み充電を停止する。電池組2を充電したならば、A/Dコンバータ55に入力される電圧は、通常であれば電池組2の充電が進み電池温度が上昇する毎に小さくなっていく。すなわち、正常な状態の電池組2であればステップ108において求めたΔVは負、もしくは0に近い値で、ステップ109においてΔV<ΔV1となり電池組2が異常状態であると判別されることはない。これに対して、電池2eが電解液漏れを起こし電解液により正極端子2bと温度端子2dとが接続してしまった場合には、図5に示すようにA/Dコンバータ55に入力される電圧は上昇するため、ステップ109においてΔV≧ΔV1となり電池組2が異常状態であると判断される。
【0008】
ステップ112において電池組2が満充電状態であると判断したならば、ステップ113に進み出力ポート56より充電制御信号伝達手段4を介して充電停止信号をPWM制御IC23に伝達して充電を停止し、ステップ114で電池組2が取外されたことを感知したならばステップ101に戻る。
【0009】
なお、正常な状態の電池組2でも充電周囲温度が電池温度より低いとき等には、稀にではあるがステップ108においてΔVが正となる場合がある。このため、電池異常判別用比較値ΔV1は、サンプリングタイマ時間Δt、充電電流、電池種及び電池温度と充電周囲温度の差等を考慮した値に設定する必要がある。例えば、サンプリングタイマ時間Δtが5秒である時には電池異常判別用比較値ΔV1は5K以上が適当である。また、満充電検出は周知の如く種々の検出方法があるが、例えばA/Dコンバータ55に入力された電圧を電池温度に換算し充電開始からの電池の温度上昇値が所定の温度上昇値以上になるのを検出して充電を制御するΔT検出法、特開昭62−193518号、特開平2−246739号、実開平3−34638号公報等に記載されている充電時における所定時間当りの電池温度上昇率(温度勾配)が所定値以上になるのを検出して充電を制御するΔT/Δt検出法等の満充電検出法を用いて行えば良い。
【0010】
上記実施形態では電池温度記憶手段532に1サンプリング前の電池温度検出手段90の検出値Vi−1を記憶させ、Vi−1と最新の電池温度検出手段90の検出値Vinとの差ΔVを演算し、ΔVによって電池組2が異常状態にあるか否かを判別するようにしたが、最新の電池温度検出手段90の検出値Vinと比較するデータは1サンプリング前の電池温度検出手段90の検出値Vi−1に限定されるものではなく、例えば2サンプリング前の電池温度検出手段90の検出値Vi−2や図3で示すように過去の電池温度検出手段90の検出値の中で最小の検出値Vmin、あるいは図4で示すように充電開始時の電池温度検出手段90の検出値V0等でも良く、上記実施形態と同様の効果を奏し得ることができる。また、電池温度記憶手段532に記憶する記憶データによって電池異常判別用比較値を設定する必要があり、図3及び図4に示す実施形態では電池異常判別用比較値は20K以上が適当である。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、電池温度検出手段の出力値を記憶する記憶手段と、記憶手段の出力値と最新の電池温度検出手段の出力値との差を演算する演算手段と、演算手段の出力が所定値以上であるとき被充電電池が異常状態にあると判別する電池異常判別手段とを備えた構成としたので、被充電電池の異常を検出する電池の充電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電池の充電装置の一例を示す回路図。
【図2】本発明電池の充電装置の一実施形態を示すフローチャート。
【図3】本発明電池の充電装置の他の実施形態を示すフローチャート。
【図4】本発明電池の充電装置の他の実施形態を示すフローチャート。
【図5】充電装置により充電された電池の充電特性を示すグラフ。
【符号の説明】
2は電池組、2aは感温素子、2bは正極端子、2cは負極端子、2dは温度端子、2eは電池、50はマイコン、55はA/Dコンバータ、90は電池温度検出手段である。
Claims (4)
- 直列に接続されて充電される複数の電池、電池に接触又は近接して設けられたサーミスタ等の感温素子、電池の正極、負極及び感温素子に接続された正極端子、負極端子及び温度端子を有する電池組を充電するものであって、感温素子を介して電池温度を電圧に変換して検出する電池温度検出手段を備え、電池温度検出手段の検出電圧が充電時に徐々に小さくなるようにし
た電池の充電装置であって、
前記電池温度検出手段の検出電圧値を記憶する記憶手段と、記憶手段の出力電圧値と電池温度検出手段の最新の検出電圧値との差を減算する演算手段と、演算手段の出力が負すなわち最新の検出電圧値が記憶手段の出力電圧値より大きくなったとき、電池組内で電解液が洩れて正極端子と温度端子が電解液により短絡されたと判別する電池異常判別手段とを備えたことを特徴とする電池の充電装置。 - 前記記憶手段の出力電圧値を、ある一定時間前の電池温度検出手段の検出電圧値としたことを特徴とする請求項1記載の電池の充電装置。
- 前記記憶手段の出力電圧値を、記憶している電池温度検出手段の検出電圧値の最小値としたことを特徴とする請求項1記載の電池の充電装値。
- 前記記憶手段の出力電圧値を、充電開始時の電池温度検出手段の検出電圧値としたことを特徴とする請求項1記載の電池の充電装置。
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