JP3654184B2 - ヘッド支持装置及びこれを用いたディスク記録再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,磁気ディスクや光ディスク等のディスク状記録媒体に対して記録再生を行うヘッド素子を有するヘッド支持装置及びこれを用いたディスク記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスクや光ディスク等のディスク状記録媒体(以下、ディスクとよぶ)に対し信号の記録再生を行うディスク記録再生装置(以下、ディスク装置とよぶ)の技術的進歩は著しく、従来のコンピュータ用だけでなく多くの分野で用途が拡大している。このようなディスク装置では、さらなる高密度記録化と、衝撃などの外乱によっても安定して記録再生可能な装置構成が要求されている。このために、ディスク、ヘッド素子、このヘッド素子を搭載するためのヘッドスライダ、及びヘッドスライダを支持するためのヘッド支持装置等に種々の工夫が行われている。その中で、衝撃や振動を受けやすいモバイル装置等にディスク装置を搭載可能とするためには、特にヘッドスライダとそれを支持するヘッド支持装置の改良が必要とされている。又、高密度記録化のために、従来に比べてさらに小さな衝撃や振動に対しても安定であることも要求されている。
【0003】
図6は、従来のハードディスク装置の要部斜視図である。ディスク2は、主軸1に支持されて駆動手段3で回転駆動される。この駆動手段としては、例えばスピンドルモータが用いられる。記録再生を行うヘッド素子(図示せず)を有したヘッドスライダ4がサスペンション5に支持され、このサスペンション5はアクチュエータアーム6に固定され、アクチュエータアーム6はアクチュエータ軸7に回転自在に取り付けられている。
【0004】
揺動手段8は、例えばボイスコイルモータが用いられ、アクチュエータアーム6を揺動させて、ヘッドスライダ4を所定のトラック位置に移動させる。筐体9は、これらを所定の関係に保って保持している。ハードディスク装置では、ヘッド素子が設けられたヘッドスライダ4は、ディスク2に対して一定の隙間の浮上量を保持しながら、ヘッド素子により記録又は再生を行う。記録密度の向上のためには、浮上量を小さくしながら安定な浮上特性を実現することが要求される。
【0005】
図7は、従来のヘッド支持装置によるディスク面上を浮上した状態の要部断面図である。ヘッドスライダ4には、記録再生を行うためのヘッド素子10が空気流出側の端部に設けられている。なお、ディスク2が回転することにより発生する空気流は、矢印Uの方向に流れる。スライダ保持部16は、ヘッドスライダ4とほぼ平行な対向面を有した板状部16aと、ヘッドスライダ4を固定するための固定部16bとからなり、板状部16aの一部には開口部16cが設けられている。また、スライダ保持部16の他端はビーム14に固定されており、このビーム14はスライダ保持部16に設けられた開口部16cを通して、ヘッドスライダに荷重を付与するための荷重負荷部15を有している。このスライダ保持部16、ビーム14、及び荷重負荷部15とからサスペンション12が構成されており、さらに、ヘッドスライダ4を含んでヘッド支持装置が構成される。
【0006】
このようなヘッド支持装置を用いて、回転するディスク2上で記録再生を行う場合、ヘッドスライダ4には荷重負荷部15から加わる荷重、空気流によりディスク2から離間するように働く正圧、及びディスク2に近接するように働く負圧の3つの力が作用し、これらの力の釣り合いにより浮上しながら、ヘッド素子10で記録再生が行われる。
【0007】
しかしながら、このようなヘッド支持装置においては、外部からの衝撃やトラック位置決めのためアクチュエータアーム6が揺動した場合に、ヘッドスライダ4に振動が発生することがあった。また、逆にサスペンション5が振動した場合に、その振動により共振が生じてトラッキング・サーボ特性が不安定となったり、ヘッドスライダ自体の振動を速やかに吸収できず記録または再生のミスが生じたりすることがあった。
【0008】
共振特性の改善に対して、ヘッド素子を有したスライダと、このスライダを支持するサスペンションとからなる構成において、サスペンションにダンパー材を張り合わせて、サスペンションからの荷重のばらつきや振動の抑制を行う機構が開示されている(例えば特開平05−334826号公報)。すなわち、サスペンションが、アクチュエータアームと固定するための基部、中間部、およびヘッドスライダを支持する先端部とからなり、中間部の所定位置から先端部の所定位置にわたって、サスペンションの材質と同じ材質で形成されたダンパー材をサスペンションに張り合わせるように設けた構成である。
【0009】
また、ヘッドスライダの背面に設けられた溝部に樹脂層を設け、荷重負荷部からヘッドスライダに加える荷重の作用点が樹脂層にかかる構造とすることが開示されている(特開平02−244468号公報)。この構造により、樹脂層が振動の緩衝の役割を果たし、それぞれの振動が伝わり難くなり、共振の影響を抑え、サーボ特性を安定化させている。ただし、具体的な樹脂材料の開示はされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した第1の開示例では、サスペンションの中間部と先端部の境界付近との間の固定強度を改善できるので、サスペンションの振動による影響は抑制できる。しかしながら、ヘッドスライダとスライダ保持部との固定方法については特に工夫がされていないので、外部からの衝撃によるヘッドスライダ自体の振動を積極的に抑制することができず、記録再生ミスが発生する場合がある。
【0011】
また、第2の開示例においては、ヘッドスライダの背面に設けた樹脂層を通して荷重負荷部から荷重が加わる構成であるので、それぞれの振動がこの樹脂層で吸収され、サーボ特性の安定化が行える。しかしながら、ロード/アンロード時あるいは記録再生動作中にヘッドスライダやヘッド支持装置に衝撃が加わって、ヘッドスライダに大きなピッチングやローリングが生じた場合、この浮上姿勢の変動を樹脂層で吸収することは困難である。このため、モバイル機器等の衝撃が作用する可能性のある装置への搭載は難しかった。
【0012】
本発明は、外部からの衝撃が加わっても記録再生ミスを生じないヘッド支持装置と、これを用いたディスク装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のヘッド支持装置はディスクとの間で信号の記録と再生の少なくとも一方を行うヘッド素子を取り付けてなるヘッドスライダと、このヘッドスライダをその一端で保持し他端部がビームに固定されるとともにヘッドスライダに対して対向面を有するように構成したスライダ保持部と、スライダ保持部に設けられた開口部を通してヘッドスライダに対してディスク方向に付勢する荷重を付与するためにビームから延在した荷重負荷部とを具備し、スライダ保持部の対向面に向合うヘッドスライダ背面上に、液状粘性部材を保持する複数の保持部がこれらの複数の保持部を結んでなる線分もしくは領域の中心位置と荷重負荷部による荷重の作用点が一致するように形成された構成であり、さらに、これらのヘッド支持装置を用いたディスク装置を構成している。
【0014】
このような構成により、衝撃を抑制でき、モバイル機器へのディスク装置の搭載が実現できる。さらに、実質的にヘッドスライダの一部がディスクに接触するような低浮上量で、安定浮上動作が可能であり、より高密度記録が可能なディスク装置を提供できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載のヘッド支持装置は、ディスクとの間で信号の記録と再生の少なくとも一方を行うヘッド素子を取り付けてなるヘッドスライダと、一端にてこのヘッドスライダを保持し、他端部がビームに固定され、ヘッドスライダに対して対向面を有するスライダ保持部と、このスライダ保持部に設けられた開口部を通してヘッドスライダに対してディスク方向に付勢する荷重を付与する先述のビームから延在した荷重負荷部とを具備し、スライダ保持部に対向するヘッドスライダ背面上に、液状粘性部材を保持する複数の保持部がこれらの複数の液状粘性部材を保持する保持部を結んでなる線分もしくは領域の中心位置と荷重負荷部による荷重の作用点が一致するように形成された構成である。この構成により、ヘッドスライダに積極的に荷重を加える従来方式のディスク装置に対しても、ヘッドスライダの上下方向、ピッチ角、あるいはロール角の変動や振動を粘性抵抗により抑制することができる。
【0017】
また、本発明の請求項2に記載のヘッド支持装置は、ヘッドスライダ背面上で、複数の保持部を結んでなる線分もしくは領域の中心位置とヘッドスライダの重心位置が一致するように液状粘性部材を保持する保持部を設けた構成である。この構成により、液状粘性部材が保持される領域を限定できるので、ヘッドスライダの上下方向、ピッチ角、あるいはロール角の変動や振動に対する粘性抵抗力を設計に基づいた位置に正確に発生させることができる。
【0018】
また、この構成により、荷重負荷部を中心として液状粘性部材が保持される領域を限定できるので、ヘッドスライダの上下方向、ピッチ角、あるいはロール角の変動や振動に対する粘性抵抗力が荷重負荷部からの荷重に制約されずに姿勢をもとに戻すことができる。
【0019】
さらに、本発明の請求項3に記載のヘッド支持装置は、荷重負荷部がヘッドスライダ背面と接触する領域部に液状粘性部材を保持する保持部を設けた構成である。この構成により、特にNCSS方式のロード/アンロード動作を行うときに生じる振動を抑制することができる。
【0020】
さらに、本発明の請求項4に記載のヘッド支持装置は、保持部がヘッドスライダ背面の所定位置に設けた凹部からなる構成である。この構成により、保持部となる凹部をリソグラフィ技術とエッチング技術により高精度に作製でき、また、液状粘性部材を確実に保持することができる。
【0021】
また、本発明の請求項5に記載のヘッド支持装置は、液状粘性部材の粘度が0.13Pa・sから2.08Pa・sとした構成である。このような粘度を有する液状粘性部材を用いることにより、ヘッドスライダの振動を抑制するように作用する粘性抵抗力がヘッドスライダの振動速度で主に決まるようになるので、振動の抑制をさらに効果的に達成できる。
【0023】
さらに、本発明の請求項6に記載のディスク装置は、記録媒体となるディスクと、ディスクを回転駆動する駆動手段と、ディスクに記録再生を行うヘッド素子を有するヘッド支持装置と、ヘッド支持装置を揺動する揺動手段とを具備したディスク記録再生装置において、ヘッド支持装置は上記記載のヘッド支持装置からなる構成である。この構成により、ヘッドスライダに荷重を印加する方式のディスク装置に対しても、ヘッドスライダの上下方向、ピッチ角、あるいはロール角の変動や振動を粘性抵抗により抑制することができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1(A)は、第1の実施形態のヘッド支持装置における液状粘性部材の耐衝撃性に対する効果を説明するための図であり、ヘッドスライダがディスク面上を浮上した状態の要部断面図である。図1(B)は、図1(A)に示したA−A線に沿って切断して、上面から見た図である。ヘッドスライダ20には、記録再生を行うためのヘッド素子10が空気流出端側に設けられている。スライダ保持部26は、ヘッドスライダ20とほぼ平行な対向面を有する板状部26aと、ヘッドスライダ20を固定するための固定部26bとからなり、スライダ保持部26の他端はビーム24に固定されて、サスペンション22が構成される。このスライダ保持部26は、例えばジンバルスプリングが用いられ、ヘッドスライダ20の傾きや浮上量の変動が生じても、それにつれて変化する正圧または負圧により浮上姿勢を修正できるよう剛性の低い構造を用いている。
【0026】
ヘッドスライダ20と固定部26bとの固定は、例えば接着剤を用いて行われ、スライダ保持部26とビーム24との固定は、例えば溶着によって行われる。ヘッドスライダ背面20aには、図1(B)に示すように空気流入側から空気流出方向の長辺方向の中心線に沿って2個所の保持部20bが設けられている。本実施の形態では、この保持部20bは、ヘッドスライダ背面20a上にフォトリソプロセスとエッチングプロセスにより設けた円形の凹部からなる。なお、このようにして形成した保持部20bのみに液状粘性部材28が保持されるように、凹部内面の表面粗さをヘッドスライダ背面20aに比べて適度に大きくすることが、より効果的である。
【0027】
この保持部20bに液状粘性部材28を充填するが、液状粘性部材28としては、液状のアクリル系やシリコーン系の高分子化合物、ブタン系高分子の粘性流体、化学合成オイル、天然オイル、あるいはゾル状高分子化合物等を用いることができる。なお、保持部20bに対応する板状部26aの面にも粘着させる場合には、この領域部の表面粗さのみをそれ以外の面に比べて大きくすることや、液状粘性部材に対して親和性の大きな材料、例えばこれらの材料に類似した成分の樹脂をその領域部のみにコーティングするなどの方法を用いればよい。又、板状部26aの面に対しては粘着せず、通常状態では単に接触している状態でもよい。このヘッド支持装置では、ヘッドスライダ20は2個所の保持部20bで液状粘性部材28を介して、板状部26aと粘着している。このような構成の場合には、液状粘性部材の粘度は、0.13Pa・sから2.08Pa・sの範囲とすることが望ましい。この範囲とすることで、ヘッドスライダの振動速度により粘性抵抗力が主として決まるようになるので、振動を速やかに抑制できる。
【0028】
このヘッド支持装置では、ヘッドスライダ20をディスク2側に付勢する力は主としてヘッドスライダ20の重量と負圧であり、浮上させるように作用する力は正圧である。このヘッド支持装置は、ディスク2と一部が接触する程度の非常に小さな浮上量を実現するために、ディスク2側に付勢する荷重を小さくする必要がある場合に特に好適である。
【0029】
液状粘性部材28は、保持部20bの形状を反映した円柱状で、その中央部の直径は保持部20bの直径に比べてやや小さくなる。また、定常浮上状態では、その高さはヘッドスライダ20と板状部26aとの隙間に等しい。なお、このヘッドスライダ20はセラミック材料からなり、長辺方向、短辺方向及び厚さは、それぞれ1.3mm、1mmおよび0.3mmであり、保持部20bの直径は0.25mm、板状部26aとヘッドスライダとの間隔は0.1mmである。
【0030】
このような構成のヘッド支持装置の動作について、図2を用いて説明する。ディスク装置が衝撃を受けて、サスペンション22またはヘッドスライダ20に振動が生じると、ヘッドスライダ20はピッチ角が変動する。図2では、ピッチ角が小さくなる場合を示す。なお、空気流入方向は矢印Uで示している。
【0031】
図2に示すように、ヘッドスライダ20の空気流入側の保持部20bでは隙間が大きくなる方向に動き、空気流出側の保持部20bでは隙間が小さくなる方向の動きが生じる。このような動きが生じた場合、液状粘性部材28はそれぞれの動きに対向するような粘性抵抗力が生じる。すなわち、空気流入側の保持部20bの液状粘性部材28には引っ張られるのを阻止する圧縮抵抗力が作用し、空気流出側の保持部20bの液状粘性部材28には圧縮されるのを阻止する引っ張り抵抗力が作用する。液状粘性部材28を保持する保持部20bは、ヘッドスライダ20の重心に対して対称の位置に設けられているので、これらの粘性抵抗力はヘッドスライダ20の傾きを復元するように作用する。さらに、この粘性抵抗力は、ヘッドスライダ20のピッチ角が変動するときの振動速度が大きいほど大きくなる。したがって、大きな衝撃で大きな振動速度が印加されると大きな復元力が作用し、小さな衝撃で小さな振動速度が印加されると小さな復元力が作用する。すなわち、衝撃力に応じた復元力が作用し、ヘッドスライダ20やサスペンション22の振動を吸収することができる。
【0032】
一方、衝撃により垂直方向の振動をする場合もあり、そのときにはヘッドスライダ20には上下方向の振動が生じる。この場合には、2個の保持部20bは同じ距離だけ伸びるか、又は縮むので、液状粘性部材28には同じ粘性抵抗が生じ、浮上量を元に戻すように作用する。このような上下振動においても、復元力が作用して振動を抑制することができる。また、上下方向とピッチ角の振動が同時に作用する場合でも、2個の保持部20bに設けられた液状粘性部材28が、両方の振動をそれぞれ抑制するような粘性抵抗力が作用するので、両方の振動を同時に抑制することができる。
【0033】
それに対して、記録または再生を行う定常浮上時においては、ピッチ角や上下方向の振動速度は小さいので粘性抵抗力も小さく、定常浮上特性にはほとんど影響しない。
【0034】
以上のように、このヘッド支持装置では、衝撃によるピッチ角や上下方向の振動が生じても粘性抵抗力による復元力が作用し、また、定常浮上時には通常の浮上特性を実現できる。また、定常浮上時には通常の浮上特性を実現できるので、モバイル機器などにディスク装置を用いても記録ミスや再生ミスが生じない信頼性の高い装置を提供できる。
【0035】
なお、粘性抵抗力は、液状粘性部材28の形状によっても変化する。この形状、特に大きく影響する直径は、保持部20bの凹部の大きさでほぼ決まるので、保持部20bの凹部の大きさをディスク装置に合わせて設計すれば、設計の自由度も向上する。
【0036】
図3(A)は、第1の実施形態のヘッド支持装置によるディスクに浮上している状態の断面図である。図3(B)は、図3(A)に示すA−A線に沿って切断して上面から見た図である。本実施の形態では、ヘッドスライダ背面30aに、図1に示す形態と同様な形状の保持部30bを4個設けたことと、スライダ保持部36に形成した開口部36cを通して、ビーム34から延在した荷重負荷部35により、ヘッドスライダ30に荷重を付与するよう構成したことが、図1に示すヘッド支持装置とは異なる。
【0037】
ヘッドスライダ30には、記録再生を行うためのヘッド素子10が空気流出端側に設けられている。スライダ保持部36は、ヘッドスライダ30とほぼ平行な対向面を有する板状部36aと、ヘッドスライダ30を固定するための固定部36bと、開口部36cとからなり、スライダ保持部36の他端はビーム34に固定されて、サスペンション32が構成される。このスライダ保持部36は、例えばジンバルスプリングが用いられ、ヘッドスライダ30の傾きや浮上量の変動が生じても、それにつれて変化する正圧または負圧により浮上姿勢を修正できるよう剛性の低い構造を用いている。
【0038】
ヘッドスライダ30と固定部36bとの固定は、例えば接着剤を用いて行われ、スライダ保持部36とビーム34との固定は、例えば溶着によって行われる。ヘッドスライダ背面30aには、図3(B)に示すように荷重負荷部35の荷重の作用点を中心として、それぞれ対称の位置に4個の保持部30bが設けられている。本実施の形態では、この保持部30bはヘッドスライダ背面30aにフォトリソプロセスとエッチングプロセスにより形成した円形の凹部からなる。この保持部30bに液状粘性部材38を充填するが、この部材には図1に示した形態のヘッド支持装置で説明した材料が同様に使用できる。本実施の形態のヘッド支持装置では、ヘッドスライダ30は4個の保持部30bで液状粘性部材38を介して、板状部36aと粘着している。板状部36aの液状粘性部材38との粘着性を大きくするために、本実施の形態でも表面粗さにより調整を行った。したがって、ヘッドスライダ30は、4個の保持部30bで液状粘性部材38を介して板状部36aと粘着している。液状粘性部材38の粘度は0.13Pa・sから2.08Pa・sの範囲とすることで、粘性抵抗力がヘッドスライダの振動速度により主に決まるようになるので、振動を速やかに抑制することができる。この構成では、ヘッドスライダ30をディスク2側に付勢するための力は、荷重負荷部35から付与される荷重と負圧であり、浮上させるように作用する力は正圧である。
【0039】
液状粘性部材38の形状は、保持部30bの形状を反映した円柱状で、その中央部の直径は保持部30bの直径に比べてやや小さくなる。また、定常浮上状態では、その高さはヘッドスライダ30と板状部36aとの隙間に等しい。なお、本実施の形態のヘッドスライダ30はセラミック材料からなり、長辺方向、短辺方向及び厚さは、それぞれ1.3mm、1mmおよび0.3mmであり、保持部30bの直径は0.2mm、板状部36bとヘッドスライダとの隙間は0.1mmとした。
【0040】
本実施の形態のヘッド支持装置では、ヘッドスライダ30が上下方向とピッチ角の振動のみでなく、ロール角の変動に対しても、それぞれの保持部30bに設けた液状粘性部材38による復元力が作用するので、3次元的な振動に対しても抑制できる。
【0041】
なお、本実施の形態のヘッド支持装置においては保持部を4個設けたが、保持部は4個に制約されるものではない。複数の保持部を結んだ形状の重心の位置と、荷重の作用点の位置が一致するように保持部を配置すれば、3個でも、また、5個でも、あるいはそれ以上設けても同様の効果が得られる。
【0046】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態のヘッド支持装置によるディスクに浮上している状態の断面図である。本実施の形態のヘッド支持装置は、保持部30bに充填する液状粘性部材50が板状部36aに粘着しないように構成したことを除いて、第1の実施の形態のヘッド支持装置の構成と同一であり、対応する構成要素には同じ符号を付している。板状部36aに粘着しないようにする方法としては、板状部36aの表面を平滑に加工することや、表面にフッ素系樹脂のコーティング等種々の方法を用いることができる。
【0047】
このような構成のヘッド支持装置の動作について、図5を用いて説明する。ディスク装置が衝撃を受けて、サスペンション32またはヘッドスライダ30に振動が生じると、ヘッドスライダ30はピッチ角が変動する。図6では、ピッチ角が小さくなる場合を示す。ヘッドスライダ30の空気流入側の保持部30bでは隙間が大きくなる方向に動き、空気流出側の保持部30bでは隙間が小さくなる方向の動きが生じる。このような動きが生じた場合、空気流出側の保持部30bの液状粘性部材50では、粘性抵抗により圧縮に対向する抵抗力が作用して衝撃を緩和する。ピッチ角が大きくなるときには、空気流入側の保持部30bの液状粘性部材50が圧縮されるので、同様に粘性抵抗による圧縮抵抗力が作用し衝撃を緩和する。すなわち、本実施の形態のヘッド支持装置では、圧縮を受ける保持部30bの液状粘性部材50に粘性抵抗が作用して、圧縮抵抗力を生じ、復元力が働く。その結果、衝撃を抑制すると同時に、姿勢を安定に保つことができる。
【0048】
本実施の形態のヘッド支持装置では、板状部とヘッドスライダとの間は粘着されていないので、広い粘度範囲の液状粘性材料を使用することもできる。
【0049】
なお、本実施の形態では、保持部はヘッドスライダの背面部に4個設けたが、特に個数は限定されない。さらに、荷重負荷部から加わる荷重の作用点部にも設けてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のヘッド支持装置は、ヘッドスライダとスライダ保持部との間に液状粘性部材を設けることにより、ディスク装置に衝撃が加わり、ヘッドスライダに上下方向、ピッチ角、あるいはロール角の変動や振動が生じても、粘性抵抗が作用して変動や振動を抑制することができ、モバイル機器へのディスク装置の搭載が可能となる。また、特に実質的にディスクに接触するような低浮上量で、安定な記録再生動作が可能であり、さらに高密度記録を実現できる。
【0051】
また、本発明のヘッド支持装置は、ヘッドスライダに対してディスク方向に付勢するような荷重を与えるビームからの延在部を設け、ヘッドスライダとスライダ支持部との間に液状粘性部材を設けることにより、ヘッドスライダに荷重を印加する方式のディスク装置に対しても、ヘッドスライダの上下方向、ピッチ角、あるいはロール角の変動や振動を粘性抵抗により抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は、本発明の第1の実施の形態のヘッド支持装置における液状粘性部材の耐衝撃性に対する効果を説明するための図であり、ヘッドスライダがディスク面上を浮上している状態の断面図
(B)は、図1(A)のA―A線に沿って切断して上面から見た図
【図2】 本発明の第1の実施の形態のヘッド支持装置の振動抑制効果を説明する図
【図3】 (A)は、本発明の第1の実施の形態のヘッド支持装置によるディスク面上を浮上している状態の断面図
(B)は、図3(A)のA―A線に沿って切断して上面から見た図
【図4】 本発明の第2の実施の形態のヘッド支持装置によるディスク面上を浮上している状態の断面図
【図5】 本発明の第2の実施の形態のヘッド支持装置の振動抑制効果を説明する図
【図6】 従来及び本発明のヘッド支持装置を用いるディスク装置の斜視図
【図7】 従来のヘッド支持装置によるディスク面上を浮上している状態の断面図
【符号の説明】
1 主軸
2 ディスク
3 駆動手段
4、20、30 ヘッドスライダ
5、12、22、32 サスペンション
6 アクチュエータアーム
7 アクチュエータ軸
8 揺動手段
9 筐体
10 ヘッド素子
14、24、34 ビーム
15、35 荷重負荷部
16、26、36 スライダ保持部
16a、26a、36a 板状部
16b、26b、36b 固定部
16c、36c 開口部
20a、30a ヘッドスライダ背面
20b、30b 保持部
22、32 サスペンション
28、38、50 液状粘性部材
Claims (6)
- ディスク状記録媒体との間で信号の記録と再生の少なくとも一方を行うヘッド素子を取り付けてなるヘッドスライダと、
一端にて前記ヘッドスライダを保持し、他端部がビームに固定され、前記ヘッドスライダに対して対向面を有するスライダ保持部と、
前記スライダ保持部に設けられた開口部を通して前記ヘッドスライダに対して前記ディスク状記録媒体方向に付勢する荷重を付与するために前記ビームから延在した荷重負荷部とを具備し、
前記スライダ保持部に対向する前記ヘッドスライダ背面上に、液状粘性部材を保持する複数の保持部が前記液状粘性部材を保持する前記複数の保持部を結んでなる線分もしくは形状の中心位置と前記荷重負荷部による荷重の作用点が一致するように形成されたことを特徴とするヘッド支持装置。 - 前記ヘッドスライダ背面上で、複数の保持部を結んでなる線分もしくは形状の中心位置と前記ヘッドスライダの重心位置が一致するように液状粘性部材を保持する保持部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のヘッド支持装置。
- 前記ヘッドスライダ背面上で、荷重負荷部が前記ヘッドスライダ背面と接触する領域部に液状粘性部材を保持する保持部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヘッド支持装置。
- 前記保持部が、ヘッドスライダ背面の所定位置に設けた凹部からなることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のヘッド支持装置。
- 前記液状粘性部材の粘度が0.13Pa・sから2.08Pa・sであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のヘッド支持装置。
- 記録媒体となるディスクと、
前記ディスクを回転駆動する駆動手段と、
前記ディスクに記録再生を行うヘッド素子を有するヘッド支持装置と、
前記ヘッド支持装置を揺動する揺動手段とを具備したディスク装置において、
前記ヘッド支持装置は請求項1から請求項5までのいずれかに記載のヘッド支持装置であることを特徴とするディスク記録再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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