JP3653591B2 - シュリーレン分析方法及び装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光学材料内のシュリーレンをシャドウ法により測定するための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シュリーレンとは通常の言語によれば、光学材料内にあって、屈折率の局部的変化のため光学的に作用し、殆どが線条、条片及び帯として影像又は画像に見える有界領域である。ほぼ全ての光学材料は屈折率が全体に亘って正確には一定でなく、ある範囲で異なっている。シュリーレンは構造幅が小さく、屈折率勾配の高い光学的不均質性として定義される。
【0003】
光学材料内のシュリーレンを検出するため、種々の異なる方法が知られている。これ等の方法の事実上全ては、試験して解析しようとするサンプルを通過後の光波面(頭)の変化の検出に基づくものである。干渉法、テフラー法及びシャドウ法が最も広く用いられている方法である。
【0004】
波面の変化は、干渉法及びテフラー法により直接検出されるが、完全には平らではない面のような試験サンプル上の表面欠陥は測定に直接影響を及ぼす。これ等の測定では、試験サンプルの面が均一であることを高度に必要とするため、大きな努力と費用が必要とされる。
【0005】
通常商業的に得られる干渉計はシュリーレン測定に直ちに使えるものではなく、 干渉計でシュリーレンを測定しようとするなら、干渉計をその目的のために作らなければならない。即ち、大きさがミクロン範囲である微細なシュリーレン構造を検出できるように、干渉計の空間解像度が十分であることが必要である。
【0006】
シュリーレンを検出するには、シャドウ(陰影)法を用いた方が良い。比較的高感度であることと、サンプルの表面品質が代表的な光学材料のものに類似するとき行えるからである。
【0007】
シャドウ法では、光学材料を光源と観測者の間に置き、サンプルを移動、傾動することによりシャドウ法シュリーレンを設定する(MIL-G-174A及び類似の規格)か、サンプルに光を照射し、サンプルに含まれるシュリーレンを陰影として投影する(DDR専門規格TGL21790、類似のISO規格が広く施行)。
【0008】
またDIN3140,Part 3もシュリーレンに関係するが、その有意さは限られたものである。
【0009】
シュリーレンが空間形態であることから、規格TGL21790も規格DIN3140もまた、有効シュリーレン面によるシュリーレンの程度の特徴化を試みている。既知の手法には、観測者の主観的評定に強く依存してしまうと云う不都合がある。規格TGL21790では、確定的シュリーレン比較が可視度閾置の測定から得られる。だが、既知の方法では、シュリーレン影像(イメージ)と試験パターンの比較は目によって行われるため、或る程度まで観測者の主観的観測能に依存してしまう。
【0010】
従来の手法では、各試験サンプルの陰影影像を紙に写(コピー)し、個々の陰影線の幅と強度を主観的に評定し、評価又は解析をスケッチ上に記録している。
【0011】
更に、上記の規格はガラス又はガラス様物質にのみ関係している。だが、結晶質材料が益々光学部品、特に可視域外の波長、即ち約400nmよりかなり下の波長及び約800nmよりかなり上の波長のものに用いられるようになっている。従って、例えばUVリソグラフィーのようなUV用途、又は照射及び画像化装置用レンズや窓に対して、アルカリ金属及びアルカリ土金属弗化物(就中、CaF2, BaF2, SrF2)単結晶材料に対する需要が増えている。結晶材料は、IRスペクトル域にある多くの光学素子のベースとなっている。
【0012】
ガラスと結晶とでは、それらが無秩序構造と規則構造であることで異なる。結晶中のシュリーレンの原因と、ガラス中のシュリーレンの原因とが全く異なることもある。結晶内シュリーレンの活性度は就中、シュリーレンを生成する不均質(例えば、結晶粒界)の位置と向きに極めて強く依存している。結晶中では、幅は大きいが厚みが小さい帯状構造体(例えば、変位、小角粒界)がシュリーレンを生成することがある。ガラス用に開発された方法は、前記の形式のシュリーレンの基体を要求精度で解析するのには適さない。
【0013】
また、ガラス用の試験又は比較シュリーレンサンプルは、結晶にシュリーレンを生成する機構が全く異なるため、結晶には使用できない。光学ガラス用に開発された既知の比較シュリーレン試験プレートにおける被膜は、厚みと幅が異なる位相不連続面をシミュレートする。だが、そのような二次元シュリーレン試験プレートは結晶中のシュリーレンの作用を表すには適しない。
【0014】
特に本発明の試験中、単結晶材料では位相偏倚又はずれの符号がガラスでのものと逆である。だが、これまでに知られているシュリーレン試験及び比較プレートは通常、不感応材料、例えば石英又は石英ガラスから作られている。異なる構造がこのプレートに、薄い皮膜、又は光マスクを用いて設けられる。通常、例えば幅0.2mm、長さ1cmの空洞又は開口が10nmの被膜に設けられ、波面が通過すると位相ずれが生成される。原則的には、空洞又は開口の代わりに凸部の適用により位相ずれを生成し、ずれの向きが変わるようにすることも出来る。だが、比較及び試験サンプルを用いて測定された陰陰影陰影像内の線の主観的強度と幅は、屈折率の変化が光波面の変化を生じさせることから、結晶材料から作られた試験サンプルに対しては頼りになる有意さがない。
【0015】
結晶質に対してシャドウ法による既知のシュリーレン試験プレートとの比較により得られた結果は殆どが使用不能であり、信頼性のないものであることが本発明の範囲内で分かった。実際、結晶質光学素子の品質に関しては適切な結論を提示していない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光学ガラス材料だけでなく、結晶質材料にも適した、シャドウ法による客観的シュリーレン解析・測定方法及び装置を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、現在用いられているシャドウ法による主観的シュリーレン解析・測定方法から独立した方法を提供することにある。
シュリーレン解析・測定のためのこれ等の方法を実施する装置を提供することも本発明の目的である。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明によるシュリーレン解析・測定方法は次のステップを含んで成る:
a)試験サンプルに光源からの光を照射し、
b)投影スクリーン上に試験サンプルの陰影影像(シャドウイメージ)を生成し、
c)投影スクリーン上に投影された試験サンプルの陰影影像を電子受像装置、好ましくはディジタルカメラに受像し、
d)電子受像装置に受像した陰影影像を処理してシュリーレン影像(イメージ)コントラストを測定し、
e)試験サンプルの陰影影像にて測定された上記シュリーレン影像コントラストを比較サンプルのシュリーレンパターンの陰影影像のシュリーレン影像コントラストと比較し、この比較によって試験サンプルのシュリーレンを評定する。
【0018】
本発明の方法を実施する装置は試験サンプルを照射する光源と、試験サンプル又は比較サンプルを保持するサンプルホルダーと、投影スクリーンと、電子映像受像装置、好ましくはディジタルカメラとを含んで成る。
【0019】
本発明によれば、サンプル内のシュリーレンが形成する陰影(シャドウ)がディジタルカメラで取得、受像され、映像処理により陰影影像(シャドウイメージ)のコントラストが決定される。シャドウ法では、光波長を変更することにより材料内の波面の遅れを直接測定することは出来ないので、シャドウ法で得た影像を、既知の波面遅れが知られている構造を用いて標準化又は較正する。任意のサンプル(比較サンプル)のシュリーレンを干渉法で測定し、各シュリーレンの陰影の影像又はコントラストと相関させる。この相関は一次又は原(オリジナル)較正とも呼ばれる。比較サンプルとして、評定しようとする試験サンプルの光学材料と同一の材料から成る結晶片を用いるのが望ましい。試験サンプルとして特に優先されるのは、強いシュリーレン又は弱いシュリーレン等、シュリーレンパターンが異なるものである。
【0020】
換言すれば、シャドウ法を実際に用い、シャドウ法で得られた値を干渉法で得られた値に関連付けるように行う較正により、材料、特に結晶質材料の光学的特性を決定することが出来る。
【0021】
従って、本発明は基本的にシャドウ法に基づくが、これを新規な比較法、即ち比較を目視で行わず、電子的影像(イメージ)形成により行う比較法と組み合わせたものである。
【0022】
カメラにより受像されるシュリーレンパターンをディジタル処理し、得られたディジタル影像をオリジナルの又は一次較正からのシュリーレンパターンと比較して、平均波面偏差が干渉法の精度で正確に決定されるようにする。約550nmの波長で、位相ずれ5nm未満の検出限界が可能である。本発明の電子映像処理装置として、ディジタルCCDカメラを用いることが出来る。だが、影像処理用カメラの要求解像度は各被試験材料に、また干渉計にも依る。好ましくは少なくとも10ミクロン/ピクセル、更に好ましくは少なくとも15ミクロン/ピクセルである。例えば、弗化カルシウムでは20ミクロン/ピクセルが達成されている。
【0023】
本発明による方法及び装置により評定されるサンプルは、高コストな干渉法測定を要しない。本測定装置の干渉計による必要な較正は、同一材料から成るサンプルの陰影影像に付いて行う一度限りである。この較正においては、それにより得られた較正値を後で、試験サンプルから得られた値と比較される。これは位相ずれの2乗と位相幅の積が同一であれば常にコントラストが同一であることが証明されているからである。オリジナル又は一次較正の較正値は好ましくはプロセッサ又は処理手段に保存され、何時でも検索可能な較正データ(仮想シュリーレン板)が生じるようにする。
【0024】
本発明によれば、オリジナル又は一次較正の較正データを従来の合成シュリーレン板が投じる陰影(シャドウ)となお比較される。コントラスト、又はカメラで得られたコントラストが、陰影が生成されるスクリーンと、光源の焦点調整及び明るさにも依存するので、合成シュリーレン板によっても較正が常に有効かどうかを簡単に試験することが出来る。
【0025】
試験サンプル陰影影像と比較サンプルの影像を電子的に影像処理することにより、観測者の主観的判断に依ることのない発生シュリーレンの定量的分類が可能になる。このような陰影形成によるシュリーレンの測定は迅速、簡単且つ経済的である。
【0026】
【実施態様】
以下に記載のシャドウ法による測定方法は、ガラス質及び結晶質の光学材料内にあって、RMS波面変形Wrmsの向きにあるシュリーレンを干渉法的精度で検出及び評定するものである。サンプルの分類のためWrms2を得るが、これは位相ずれの2乗と各個々のシュリーレンの幅及び長さとの積を全シュリーレンに対して加算したものをサンプルの全表面積で除したものに比例する、即ち次式で表されるものである
Wrms2=(k/F)ΣLBw2 (1)
ここで
k:比例係数
F:サンプルの全面積
W:位相ずれ
L:(材料内での)シュリーレンの長さ
B:(材料内での)シュリーレンの幅
である。
【0027】
所定の光学システムが提供する映像(イメージ)コントラストは次式の関係によって所定の波長λにおけるRMS波面変形に関係付けられる。
△T=((4π/λ)Wrms)2 (2)
【0028】
シュリーレンは特にUVスペクトル域で用いられる結晶においては、例えば波長550nmで5nm以下の位相ずれをもって検出及び評定されることを要する。
【0029】
測定作業は、製造工程の連続試験に適するように企画される。特に光学材料を製造工程において、追加仕上げなしに試験することが出来る。シュリーレンの検出及び評定のためには、試験しようとする光学材料のサンプルを回転且つ傾動すればよい。
【0030】
次に、シュリーレン検出評定装置に付いて述べる。
【0031】
装置は実質的に図1に図示の光学装置を含んで成り、該装置には点光源10、サンプルホルダー12、試験しようとする試験サンプル14、投影スクリーン16及び優先例としてのディジタルカメラ18が備わる。図1に示す簡略した実施例ではひろがり光が用いられているが、本発明の方法及び装置は平行光でも作用効果がある。測定工程において、サンプルホルダー12には比較サンプルも取り付けられる。既知位相ずれ及び既知幅の比較サンプルのシュリーレンから干渉法で測定された位相ずれパターンを、陰影影像の較正と、試験サンプル14の陰影影像との比較のために用いる。比較サンプル40の代わりに、合成シュリーレン板を用いることも出来る。合成シュリーレン板には例えば500nmの波長において、約5nm〜約50nmの段と0.1mm〜約0.5mmの幅の正の位相ずれを有する丘部を備えるようにする。基体と突起部又は面部(合成又は人工シュリーレン)は屈折率がバルク材と同一の、安定した材料から成るようにする。
【0032】
比較サンプル40内の位相ずれは材料にも依存することから、試験サンプル14と同一から成る比較サンプルを用いる。或いはまた、異なる材料から成る他の比較サンプルを用い、試験されるサンプルと同一の光学材料から成る比較サンプルでこれ等の比較サンプルを較正することも常に可能である。このようにして較正された較正シュリーレン板のシュリーレンパターンパターンは、弗化カルシウム又は弗化ナトリウム等の他の材料の板又はサンプルのシュリーレンパターンとの相関が何時でも可能である。
【0033】
シュリーレン板として、傷つきにくい材料であることから石英又は石英ガラスを用いるのが好ましい。
【0034】
較正において合成シュリーレン板に対する陰影形成、従ってコントラストが測定され、その後又は前に試験サンプルの各陰影影像の位相ずれ及び位相幅が干渉法を用いて測定される。シュリーレン幅を乗じた位相ずれの二乗がコントラストに比例するので、このようにしてコントラストを位相ずれと幅の積に相関させることが出来る。必要な干渉計の空間解像度は、測定しようとするシュリーレン幅に依存する。例えば幅0.1mmのシュリーレンに対して、0.01mm/ピクセルの空間解像度が十分なことが分かっている。ピクセル当たりの空間解像度はピクセル当たりのシュリーレン幅の少なくとも5%、好ましくは少なくとも8%、特に好ましくは10%であることが望ましい。多くの場合、空間解像度が200nm/ピクセル以下の干渉計が本方法で用いられる。
【0035】
次いで、測定しようとするrms値は、各々が各位相ずれの二乗を個々のシュリーレンの幅と長さに乗じた積の和をサンプルの全表面積で除したもので決定することが出来る。
【0036】
本方法では勿論、陰影影像からから独立して位相ずれ又はシュリーレン幅を決定することは出来ない。だが、光学材料の特定は必要ではない。コントラストとrms値の間の相関はシュリーレン幅に僅かに依存し、従って確定的シュリーレン分類には十分である。
【0037】
シュリーレンは、測定される材料の用途に用いられるものと同一の入射角で測定されるべきである。このことは、出射角についても云える。
【0038】
試験サンプル内のシュリーレンの可視度は、入射角に依存する。光の入射角が1〜2°変化しただけで、陰影影像が消失するか、顕著に変化する。
【0039】
光源10、試験サンプル14及び投影スクリーン16は測定装置の光軸に沿って配置される。光軸20は光源10と、サンプルの中心点を通って延びている。投影スクリーン16は光軸20に対して垂直である。光源10とサンプル14間の距離dは約2m、サンプル14と投影スクリーン16間の距離は約1mである。
【0040】
カメラ18は光軸20の幾分側方又は側部に配置され、それによって、投影スクリーン16上の試験サンプル14の陰影が、試験サンプル14又は装置の他の要素がカメラ18の像フィールドを邪魔したり、入りこむことなく受け入れられる。また、測定装置の光軸20とカメラ18の光軸がなす角度を出来るだけ小さくし、相対変形を少なく保つようにする。また、カメラ18に対して投影スクリーン16を任意に傾けるようにしても良い。
【0041】
ガラス質又は結晶質の光学材料から成る、通常円板状のサンプル14をサンプルホルダー12が受け止めている。サンプル14はサンプルホルダー12に、測定装置の光軸20が貫通するサンプル14の面がこの光軸に対して垂直になるように、把持されている。サンプル14の光学的中心点は、常に測定装置の光軸20上にあるようにしてある。サンプル14は、光軸20と直交する垂直傾斜軸の周りに約±50°の傾動が可能としてある。更に、サンプル14はその中心を中心として、光軸20と交差する回転軸の周りに少なくとも90°の回転が可能としてある。
【0042】
光軸20が貫通する試験サンプル14の両面は互いに平行であり、光学素子に慣用の仕方で研磨されている。
【0043】
合成シュリーレン板40のパターンは、シャドウ法で得られた試験サンプル14のシュリーレン影像を既知の位相ずれと既知の幅のシュリーレンと比較するためのものである。
【0044】
試験サンプル14又は合成シュリーレン板40のシュリーレンの陰影は、測定装置内で投影スクリーン16上に投影される。サンプルホルダー12にあるサンプル14は、光力の高い点光源10により所定の光コーンで照射される。投影スクリーン16上の照射強度も同様に、好ましくは少なくとも100ルックスである。光コーンは、ひろがり光ビームとして形成されるのが好ましい。UV遮断フィルタ等の追加の任意光学素子を、光源又は場合により実像の直近傍に限る光路に設けることが出来る。
【0045】
光ビームがサンプルを通ると、シュリーレンによる回折光と光源からの一次光コーンとの位相依存重ね合わせとして陰影影像が発生する。このシュリーレン情報は主として、位相内に第一次近似として含まれているので、それにより微小成分のみが振幅変調され、この部分のみがその後の処理なく強度差として検出される。
【0046】
さて、この極めてコントラストの乏しい振幅信号を、出来るだけ無干渉の、高いS/N比で受像する。更に、光学素子を用いて空中で生成される影像ではなく、投影スクリーン16上に生成される実際の影像を検出することは有利である。投影スクリーン16は光指向素子無しに拡散光を散乱するものでなければならず、検出可能な表面構造が有ってはならない。スクリーン上の拡散反射率は、場所によって変わってはならない。
【0047】
スクリーン影像のコントラストは1%未満であるから、ディジタルカメラ18でのコントラストを増幅し、次いで影像をディジタル形式でデータに保存するためディジタル化が行われるようにする必要がある。更に、この目的のためには、ピクセルカウントが出来るだけ高く(例えば1300×1030ピクセル)、また12ビットディジタル化手段を備えたCCDカメラを用いなければならない。
【0048】
カメラで受像する生データは、カメラ18の局所感度差及び場合により投影スクリーン16上の局部変化を除くように処理されねばならない。また、コントラストの高いシュリーレン表示を得るように処理されなければならないが、これは市販のCCDカメラと共にコントラスト及び強度制御又は検出機能をもつ影像処理ソフトウェアによって得られるものと同様な通常のコンピュータプログラムを用いて出来る。
【0049】
生データの処理はソフトウェアにより簡単、且つ容易に行われるものの、これは用意されなければならない。シュリーレン影像検出はディスク・光学素子のすりきず、けば、表面欠陥及び洗浄不良間を区別出来なければならない。また、ノイズより小さいシュリーレンも適切なコントラストで検出可能である。影像検出は主に目と脳の協働の真似であるから、シュリーレンは人間による検出の場合と同様、コントラストの変動によって区別されることになる。従って、シュリーレンフィルタは平均的、暗い又は明るい光強度の点群又は領域群を線に沿って検索していく。図3に示されているように、シュリーレンは明るい中心部と暗い縁部の有る細長い形状によって特徴付けられる。これに対して、シュリーレンの無い領域は平均的明るさによって特徴付けられる。シュリーレンを含む一領域の断面は従って、平均的明るさ(無シュリーレン域)から暗いシュリーレン縁部へ、次いで明るいシュリーレン中心、そして再び、第1のシュリーレン縁部とは反対側にシュリーレン縁部へ、最後に平均的明るさへの移行を示している。長手方向に互いに続く複数隣接部がこの種の明るさ特性を有するとき、シュリーレンが検出されたと結論することが出来る。この種のソフトウェアは、複数の既知のパラメタを用い、既知の方法で最適化を行うことが出来る。このことは、平均的−暗い−明るい−暗い−平均的と変わる明るさ特性間のコントラスト閾値が設定されなければならず、明るさ特性の対称性が確定されなければならないことを意味する。更に、シュリーレン構造の存在を確定する同一特性を有する隣接部の数が決定されなければならない。同様に、これ等形式のシュリーレンの幅は同じでない。図3に、典型的なシュリーレン影像が示されている。
【0050】
試験しようとする光学材料の試験サンプル14からのシュリーレンの陰影影像を既知の幅と位相ずれのシュリーレンで較正及び相関させるために受像条件を制御するため、人工シュリーレン板40がサンプルホルダー12に取り付けられる。投影スクリーン16へのシュリーレンパターンの影像が、カメラ18に受像される。次いで、位相ずれに対するシュリーレンコントラストの依存性が、カメラを同一影像尺度、オフセット及び倍率又は増幅率として測定される。
【0051】
図2に、上記測定装置を用いて得られた、人工シュリーレン板40の陰影影像を示す。図2にはまた、位相ずれとシュリーレン幅の数値が含まれている。この合成シュリーレン板40に付いて測定された影像コントラストを、位相ずれとシュリーレン幅の関数として表示し、試験しようとする材料から成る試験サンプル14の影像コントラストと比較する。
【0052】
この比較は、カメラ18に電子影像処理装置を連結して行われる。測定影像コントラストのグレースケール値を互いに比較し、この比較から試験サンプル14内シュリーレンの定量的評定が得られる。
【0053】
同一形式の試験サンプル14に対して、人工シュリーレン板40の陰影影像を新たに撮る必要は無い。人工シュリーレン板40の陰影影像は影像処理装置に、既に多かれ少なかれ用意された形式で電子的に保存が可能である。
【0054】
従って、人工シュリーレン板40による較正は、それ以後の比較はコンピュータ又は処理手段で実行が可能であるので、原則として一度限り必要である。即ち、人工シュリーレン板で生成される影像強度又はコントラストはコンピュータ又は処理手段に比較の基準として記憶されるからである。それにも拘わらず、人工シュリーレン板40に対してカメラにより得られた影像のコントラスト値又は強度が変化しているかどうかを調べることが重要なことも折々ある。その理由は、カメラ焦点合わせの変化、カメラレンズのほこりと汚れ、又は工学的欠陥である。同じことが、それでシュリーレンが生成される光源についても云える。光源、レンズ及び他の構成部品の経時変化も、そのような照度強さの変化を惹起することがある。後で行われる測定では、人工シュリーレン板40のみが調整されるようにして、コンピュータ又は処理手段に記憶された基準値が有効であることを保証する。
【0055】
上記の方法及び装置は人工レンズ用材料のみならず、他の光学素子用材料、例えばプリズム、立方体、光ガイド等の材料内のシュリーレンの測定にも適切である。弗化カルシウム、弗化バリウム、弗化ストロンチウム及び弗化ナトリウムの結晶並びに他の結晶、特に大型の結晶の使用が特に好適である。
【0056】
本発明はレンズ、プリズム、光ガイドロッド、光学窓、及び他の光学的構成部品、例えばDUV光リソグラフィー、ステッパ、レーザ、特にエキシマレーザ、ウェーハ、コンピュータチップ並びに集積回路、及び回路とチップをもつ電子デバイスの製造に用いられる材料を試験するために使用できる方法及び装置に係わる。
【0057】
以上、シュリーレン分析方法及び装置に具現されるものとして本発明を例示、記載したが、本発明の精神を如何ようにも逸脱することなく種々の修正及び変更が可能であるから、本発明は示された詳細に限定されるものではない。
従って、以上は本発明の要旨を、他者が現在の知識を適用することにより、本発明の一般的又は特定の側面の本質的特徴を、従来技術の観点から相応に構成する特徴を省略することなく、それを種々の応用に適用出来る程度まで十分に示すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシャドウ方法により試験サンプルのシュリーレンを測定するための装置の概略的断面図である。
【図2】本発明に従って人工シュリーレンをもつ比較サンプルである合成シュリーレン板の陰影影像の平面図である。
【図3】光学結晶での典型的シュリーレンパターンの平面図である。
【符号の説明】
10 点光源
12 サンプルホルダー
14 試験サンプル
16 投影スクリーン
18 ディジタルカメラ
20 測定装置の光軸
40 規格サンプル
Claims (16)
- シュリーレンの解析方法であって、次のステップを含んで成るもの:
a)試験サンプルに光源からの光を照射し、
b)投影スクリーン上に試験サンプルの陰影影像(シャドウイメージ)を生成し、
c)投影スクリーン上に投影された試験サンプルの陰影影像を電子受像装置に受像し、
d)電子受像装置に受像した陰影影像を処理してシュリーレン影像(イメージ)コントラストを測定し、
e)試験サンプルの陰影影像にて測定された上記シュリーレン影像コントラストを比較サンプルのシュリーレンパターンの陰影影像のシュリーレン影像コントラストと比較し、この比較によって試験サンプルのシュリーレンを評定する。 - 比較サンプルのシュリーレンパターンは干渉法で測定して干渉法測定値を得、試験サンプルの前記シュリーレン影像コントラストを該干渉法測定値で較正するようにして成る請求項1に記載の方法。
- 比較サンプルと試験サンプルとが同一の光学材料から成る請求項2に記載の方法。
- 比較サンプルが試験サンプルの材料とは異なる光学材料から成り、該異なる光学材料から成る比較サンプルが、試験サンプルの上記光学材料と同一である他の材料から成る他の比較サンプルで較正される請求項1に記載の方法。
- 更に波長550nmにおいて段約5nm〜約50nm、幅約0.1mm〜約0.5mmの正の位相ずれの人工的シュリーレンの合成シュリーレン板を、前記比較サンプルで較正する請求項1に記載の方法。
- 前記試験サンプルを測定装置の光軸に対して複数の方向に傾動及び回転して陰影影像を処理する請求項1に記載の方法。
- 前記光学材料が各々、結晶性又はガラス質材料から成る請求項3に記載の方法。
- 前記異なる材料と前記光学材料が各々、結晶性又はガラス質材料から成る請求項4に記載の方法。
- 前記光学材料が各々、又は前記異なる材料が結晶性材料から成り、該結晶性材料が弗化カルシウム又は弗化バリウムである請求項3又は4に記載の方法。
- 前記電子受像装置がディジタルカメラである請求項1に記載の方法。
- シュリーレンの解析装置であって、次のものを含んで成る装置:
サンプルホルダーと光源とを含み、該光源からの光を試験サンプルに照射する手段と、
投影スクリーンを含み、該投影スクリーン上に試験サンプルの陰影影像を生成する手段と、
投影スクリーンに投影された試験サンプルの陰影影像を電子受像装置で受像する手段と、
上記陰影影像を受像する手段と電子的に結合され、電子受像装置で受像した陰影影像を処理してシュリーレン影像コントラストを測定する手段と、
試験サンプルの陰影影像で測定された測定シュリーレン影像コントラストを、比較サンプルのシュリーレンパターンの陰影影像のシュリーレン影像コントラストと比較し、この比較によって試験サンプルのシュリーレン影像コントラストを評定する手段。 - 比較サンプルの、又は比較サンプルを含んで成る合成シュリーレン板の陰影影像が電子影像処理装置に記憶されて成る請求項11に記載の装置。
- 電子受像装置がディジタルカメラから成る請求項11に記載の方法。
- レンズ、プリズム、光伝導性ロッド、DUV光リソグラフィー用光学窓及び光学部品、ステッパ、エキシマレーザを含むレーザ、ウェーハ、コンピュータチップ、集積回路、及び集積回路を含む電子デバイスを製造するための光学材料測定方法であって、この方法は光学材料のシュリーレン解析法を含むものであり、このシュリーレン解析法が次のステップを含んで成るもの:
a)試験サンプルに光源からの光を照射し、
b)投陰影スクリーン上に試験サンプルの陰影影像を生成し、
c)投影スクリーン上に投影された試験サンプルの陰影影像を電子受像装置に受像し、
d)電子受像装置に受像した陰影影像を処理してシュリーレン影像コントラストを測定し、
e)試験サンプルの陰影影像にて測定された上記測定シュリーレン影像コントラストを比較サンプルのシュリーレンパターンの陰影影像のシュリーレン影像コントラストと比較し、この比較によって試験サンプルのシュリーレンを評定する。 - 前記電子受像装置がディジタルカメラである請求項14に記載の方法。
- 比較サンプルが試験サンプルの材料とは異なる材料から成り、該異なる材料から成る比較サンプルが、試験サンプルの上記光学材料と同一である他の材料から成る他の比較サンプルで較正される請求項1に記載の方法。
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