JP3651995B2 - ガラスアンテナ用インピーダンス整合装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、自動車のリヤウインドガラス等に形成されたガラスアンテナと、ダッシュボード内等に配されるチューナのフロントエンドへの給電線である同軸線との間に挿入されるガラスアンテナ用インピーダンス整合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、乗用自動車等のリヤウインドガラス内等に導体線をプリントした(印刷配線した)アンテナ、すなわちガラスアンテナが採用されている。このガラスアンテナでは、ガラスにより導体線の一定形状が実質的に空中に保持されることとなり、導体線がアンテナとして機能する。
【0003】
最近、ガラスアンテナは、AMアンテナとして使用されるだけでなく、FMアンテナ、さらには、TVアンテナ{VHF帯〜UHF帯(90MHz〜770MHz)}としても使用される。
【0004】
AMアンテナまたはFMアンテナとして使用される場合には、ガラスアンテナと、例えば、ダッシュボード側に配置されるチューナとの間は、単に、給電線としての同軸線で接続するだけで必要な受信感度が得られる場合が多いが、TVアンテナとして使用される場合には、VHF帯の特に170MHz以上の受信周波数になると、同軸線の長さ、ガラスアンテナのインピーダンスの周波数特性等を原因とするインピーダンスの不整合等を原因とする反射の増加、したがって、VSWRの劣化が発生し、結果として、所望の受信感度が得られなくなる場合が多々あった。
【0005】
これを解決するため、同軸線上の複数の箇所にブースタとしての中継用増幅器を配置する技術も考えられるが、高周波広帯域の増幅であることから増幅器自体のコストが高くなるとともに、取付スペース、取付コスト、その中継用増幅器への電源供給等を考慮した場合、トータルとしてのコストが相当に高くなるという問題がある。
【0006】
そこで、トータルとしてのコストを低減するとともに、上述のいわゆる伝送損失を最小限にするために、ガラスアンテナの受信端と、チューナのフロントエンドへの給電線である同軸線の入力側との間に受動素子によるインピーダンス整合回路を配設することが考えられる。
【0007】
インピーダンス整合回路を構成するリアクタンス素子としては、インダクタンス素子とキャパシタンス素子であるが、1GHz程度の周波数までリアクタンス素子として動作を期待する場合には、回路のQを確保するために、インダクタンス値として数十nH程度以下、キャパシタンス値として10pF程度以下であることが必要である。
【0008】
そこで、このようなインダクタンス素子としては、図6に示すようなφ0.3〜φ1mm程度の導線を数回巻いた直径2〜5mm程度の空心コイル1が選択されるが、この構成の空心コイル1は、線間の開き具合や、その形状、取り付けた際のリード長の変化により、インダクタンス値が±20%程度容易に変化してしまう。そのため、キャパシタンス素子としては、この変化を補うためキャパシタンス値の調整可能なトリマコンデンサ2が必要とされる。
【0009】
なお、受動素子である空心コイル1とトリマコンデンサ2とは、例えば、導体パターン4がエッチングにより作成された片面ガラスエポキシ基板5上に半田付けにより取り付けられる。
【0010】
しかしながらこのように構成されるインピーダンス整合装置6は、上述の中継用増幅器を設ける方法に比較してコストが相当に低減されるが、それでもトリマコンデンサ2が高価であり、また、調整工数もかかることから、トータル的なコストがまだ高いという問題がある。インダクタンス素子としてフェライトコアを用いることもできるが、フェライトコア等を用いる可変インダクタは、基板5への取り付けが複雑で取付工数がかかるという問題がある。
【0011】
図7は、これらの問題を解決するための他の構成のインピーダンス整合装置10を示している。このインピーダンス整合装置10では、チップ部品を採用している。すなわち、インダクタンス素子としてチップインダクタ11、キャパシタンス素子としてチップコンデンサ12を採用している。
【0012】
インピーダンス整合装置10を構成する回路基板13の入力側には、リード付コネクタ14のリード部分が半田付けされて取り付けられ、そのコネクタ部分にはポスト端子用のリセプタクルが用いられ、このリセプタクルを介して、図示しないガラスアンテナの受信端に取り付けられているポスト端子にコネクタにより電気的かつ機械的に接続される。
【0013】
一方、回路基板13の出力側には同軸線15が取り付けられ、その同軸線15の心線が回路の信号線路に半田付けにより接続され、同軸線15の接地導体である編組線がアース側に半田付けにより接続される。そのアース側には、リード付グランド端子20のリード側が編組線とともに半田付けされ、ラグ端子であるグランド端子20が図示しないねじにより図示しないボディの外板に取り付けられる。なお、部品が搭載された回路基板13は、熱収縮チューブ21により保護、絶縁される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した図7の従来技術に係るガラスアンテナ用インピーダンス整合装置10では、チップインダクタ11やチップコンデンサ12をガラスエポキシ基板やセラミック基板を用いる片面プリント配線回路基板13への取付上の誤差は排除されるが、調整を不要とするために、精度が±20%程度であるチップインダクタ11やチップコンデンサ12を予め選別して使用する必要があり、その選別のためのコストが発生する。
【0015】
その上、当該インピーダンス整合装置10の車両への固定が、実質的に、リード付コネクタ14とリード付グランド端子20および同軸線15による取り付けであるために、インピーダンス整合装置10が大地アースとして機能するボディ外板に対して遊着状態となり、取付状態によりリアクタンス値が変化して整合状態が変化するという問題があった。
【0016】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、装置構成が簡単であって、リアクタンス素子の精度をとりやすく、調整工数も不要であり、かつ取付方法を原因とするリアクタンス値の変化をなくし、結果として、安定性、信頼性が向上し、トータル的なコストを低減することを可能とするガラスアンテナ用インピーダンス整合装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明は、
ガラスアンテナの受信端と、出力側がチューナのフロントエンドに接続される同軸線の入力側との間に配されるガラスアンテナ用インピーダンス整合装置において、
プリント基板としてフレキシブル基板を用い、
このフレキシブル基板上に、インピーダンス整合回路を構成するリアクタンス素子をプリントパターンにより形成したフレキシブル回路基板を備えることを特徴とする。
【0018】
この場合、フレキシブル基板上にプリントパターンにより形成したリアクタンス素子の精度は2%(±1%)程度以下にすることが可能であり、プリント基板とリアクタンス素子を一体的に形成できるので、いわゆるディスクリート部品が不要となる。したがって、調整工数が皆無となり、装置構成上のコストも低減される。
【0019】
また、この発明は、
前記フレキシブル回路基板には、プリントパターンにより前記リアクタンス素子の入力側が接続される入力端子用のランドと、前記リアクタンス素子の出力側が接続される出力端子用のランドと、前記リアクタンス素子のアース側が接続され且つねじ挿通用の開口部を有するアース用ランドが形成され、
前記出力端子用のランドには、前記同軸線の心線側が接続され、
前記入力端子用のランドは、前記ガラスアンテナの受信端端子に直接電気的かつ機械的に接続され、
前記開口部に挿通される前記ねじを介して前記同軸線の接地導体と前記アース用ランドとが、大地アースとして機能するボディ外板に電気的かつ機械的に接続されるようにしたことを特徴とする。
【0020】
この場合、プリントパターンにより形成した入力端子用のランドをガラスアンテナの受信端に直接接続し、また、アース用ランド中に設けられた開口部を通じてねじによりフレキシブル回路基板をボディ外板に止めるようにしているので、インピーダンス整合装置の取付位置が安定し、取付状態によりリアクタンス値が変化するという不都合が是正される。これにより、信頼性も向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、この一実施の形態に係るインピーダンス整合装置31を含む全体的な回路図を示している。
【0023】
すなわち、乗用自動車等のリヤウインドガラス内等に導体線をプリントしたガラスアンテナ32の受信端33が、インピーダンス整合回路34が形成されたフレキシブル回路基板35のランドで形成された入力端子36に接続される。
【0024】
入力端子36は、フレキシブル回路基板35上のプリントパターンによりそれぞれ形成されたインダクタンス素子37とキャパシタンス素子38の共通接続点に接続される。このインピーダンス整合回路34は、いわゆるL型の整合回路であるが、整合回路はL型に限らず、よく知られているように、T型あるいはπ型の整合回路等をも用いることもできる。
【0025】
インダクタンス素子37の出力側は、ランドで形成された出力端子40に接続され、この出力端子40には、インピーダンスが50オームの同軸線41の心線42が半田付けされる。また、同軸線41の接地導体である編組線43が、後に説明するアースブラケットを介して、キャパシタンス素子38の接地側に設けられ開口部付きランドとして形成されたアース端子(出力端子)45にねじにより共締めされる。これにより、インピーダンス整合装置31が、大地アースとして機能する自動車のボディ外板に固定される。なお、同軸線41の出力側は、図示しないチューナのフロントエンド側に接続される。
【0026】
図2は、インピーダンス整合装置31として機能するフレキシブル回路基板35の平面視的構成、図3は、そのIII−III線一部省略断面構成を示している。
【0027】
フレキシブル回路基板35は、この実施の形態においては、厚みが0.03〜0.1mmのポリイミド樹脂(比誘電率≒3.2)を用いた基板(以下、ポリイミド基板ともいう。)35であり、ガラスエポキシ基板やセラミック基板に比較して柔軟性を有する。ポリイミド基板35に限らず、柔軟性を有し、数GHz程度まで電気的かつ機械的特性の安定な他の樹脂、例えば、ポリエチレン、いわゆるテフロン(登録商標)であるポリテトラフルオロエチレン(比誘電率≒2.0)基板を用いることができる。
【0028】
ポリイミド基板35上に、エッチングによりCu製の導体パターン(受動素子パターンも含む)を両面に形成している。
【0029】
図2中、パターンのエッジ部分を実線で描いているパターンが、いわゆるA(表)面パターンであり、点線で描いているパターンが、いわゆるB(裏)面パターンである。
【0030】
ランドで形成された入力端子36は、ランド内に開口が形成された面構成になっている。その入力端子36から延びるパターンが、それぞれがパターンで作成されるインダクタンス素子37とキャパシタンス素子38の分岐点50(図1をも参照)を通じて、当該インダクタンス素子37とキャパシタンス素子38とに分かれる。なお、入力端子36から分岐点(共通接続点)50までの配線パターンが誘導性とならないように、B面にアースパターンを設けている。
【0031】
インダクタンス素子37は、A面が渦巻き状のパターンとされ、スルーホール51を通じて、B面の渦巻き状のパターンに接続されている。A面、B面の渦巻き状のパターンは、平面視的にみて巻方向を同一の方向にして結合を上げてインダクタンス値を大きくするようにしているが、自己共振周波数を帯域外とするために、平面的に見て重ならない位置にパターンを形成し、分布容量値を減らすようにしている。
【0032】
また、インダクタンス素子37を構成する際に、渦巻き状のパターンをポリイミド基板35の両面に形成しているので、片面に形成した場合に比較して同じ面積で約4倍のインダクタンス値を得ることができる。
【0033】
インダクタンス素子37の他端はスルーホール52を通じてA面側の出力側パターン57に接続されている。出力側パターン57は、開口部を有しランドで形成された出力端子(端子面)40に接続されている。
【0034】
キャパシタンス素子38は、ポリイミド基板35を誘電体とするA面パターンとB面パターンを利用した平行平板コンデンサの構成としている。B面パターン側がスルーホール53を通じて開口部55を有するアース用ランドとしてのA面側の出力端子(端子面)45に接続されている。
【0035】
なお、この場合において、入力端子36から分岐点50まで延びる配線パターンである信号パターンの裏に分岐点50から入力端子側に対向するように設けたアースパターンは、配線パターンと相互に容量成分となる。このアースパターンを設けることで、上述したように、信号パターンが誘導性とならないので、これを原因としてインピーダンスの整合が悪化することが防止される。
【0036】
また、素子パターンおよび配線パターン等のCuパターンは、図3に示すように、外部との接続用の端子部(電極部)を除いて、全面が絶縁材料であるソルダレジスト54により覆われ、絶縁性が確保されている。
【0037】
キャパシタンス素子38の容量値のばらつき(精度)は、写真製版によるエッチング精度が±0.05%程度であるので、例えば、10mm角の面積(100mm2 )で考えた場合の容量変動幅が、10.052 −9.952 =2mm2 になり、±1%程度に抑えることができる。なお、インダクタンス素子37は、パターンの長さが精度に依存するので、ほぼエッチング精度で決定され、ほとんど変動することがない。
【0038】
次に、上述のように構成されるインピーダンス整合装置31として機能するフレキシブル回路基板35の自動車への取り付け、いわゆる実装について説明する。
【0039】
図4は、インピーダンス整合装置31を自動車に取り付ける状態を示している。
【0040】
図4において、リヤウインドガラス61に形成されたガラスアンテナ32の受信端33の導体パターン上に取り付けられている階段状基部を有するCu(通常、Auその他のめっきがされている。以下同じ)製のポスト端子69にインピーダンス整合装置31の入力端子36の開口がはめられて半田付け固定される。
【0041】
一方、同軸線41の端末の絶縁被覆が予め剥がされて、Cu製のブラケット付き保持金具70が、その編組部にかしめられて接続され、ブラケット部を出力端子(パターン面)45に重ねた状態で位置決めする。そして、スプリングワシャ付きねじ71を、ブラケット部の開口および回路基板35に形成されたアースランド中の開口部55(図2参照)に挿通させ、リヤクォータの一部を形成し、大地アースとして機能するボディ外板72に形成された図示していないねじ溝に螺合させる。さらに、同軸線41の心線42を出力端子40のランドに半田付けする。
【0042】
このようにして、インピーダンス整合装置31であるフレキシブル回路基板35が自動車のボディに、きわめて簡単に固定される。半田付け箇所は、入力端子36と出力端子40の僅かに2箇所である。なお、同軸線41は、必要に応じて、ボディ外板72に配線固定具等により固定される。
【0043】
この場合、インピーダンス整合装置31は、ガラスアンテナ32の受信端33の金属製のポスト端子69と、ねじ71が螺合されるボディ外板72により実質的に固定されるので取り付け位置が安定し、振動等により位置がずれることがなくなり、取り付け状態によりリアクタンス値が変化するという不都合がなくなる。言い換えれば、インピーダンス特性等の変化がなくなる。
【0044】
特に、図4に示すように、インダクタンス素子37の背面側がリヤウインドガラス61上に配置されるようにしているので、インピーダンス整合装置31を取り付けた後と取り付ける前のインダクタンス値の変化、言い換えれば、特性インピーダンスの変化を最小限に抑制することができる。
【0045】
その理由は、図5の特性図中の特性62に示すように、インダクタンス素子37の主面側を図示していないフェライトコア等の磁性体に近接させた場合には、コイルの鎖交磁束密度が増加してインダクタンス値が増加するために特性インピーダンスが増加し、一方、インダクタンス素子37の主面側を図示していないシールド板等の金属導体に近接させた場合には、鎖交磁束が遮られてインダクタンス値が低下するために特性インピーダンスが低下するのに対し、インダクタンス素子37がガラスに近接しても空中に単体に置かれている状態と同じ状態であり、インダクタンス値が変化しないので特性インピーダンスが変化することがないからである。
【0046】
この場合、インダクタンス素子37の背面となるガラス面は、インダクタンス素子37の面積が小さいので略平面と考えられ、ポリイミド基板35をリヤウインドガラス61上とボディ外板72上に後述するように取り付ける際には、インダクタンス素子37がそのガラス平面上に少し押しつけられる方向に応力が働き、結局、インダクタンス素子37は、ガラス平面上に平行に配置されることから、インダクタンス素子37の形状が変化することがない。この取付上の観点からも、フレキシブル回路基板35の実装前後でのインダクタンス値の変化はないといえる。
【0047】
その上、インダクタンス素子37をリヤウインドガラス61上に配置することで、たとえ、絶縁被覆としてのソルダレジスト54(図3参照)の一部が剥がれてもインダクタンス素子37の短絡(地絡)が発生することがないという派生的な効果も得られる。なお、キャパシタンス素子38のパターンは、アース側を回路基板35のB面に形成しているので、たとえ、ボディ外板72に接触しても地絡等が発生せず、容量値が変化することもない。
【0048】
このように上述の実施の形態による、全体をフレキシブル回路基板により構成したインピーダンス整合装置31によれば、図7に示したチップインダクタ11やチップコンデンサ12等のいわゆる個別素子(ディスクリート部品)が不要となり、かつリード付きコネクタ14やリード付きグランド端子20を使用する必要がなくなるため、装置構成が簡単であって、リアクタンス素子の精度をとりやすく、調整工数も不要であり、かつ取付方法を原因とするリアクタンス値の変化がなくなり、結果として、安定性、信頼性が向上し、トータル的なコストが大幅に低減される。
【0049】
なお、チップインダクタ11やチップコンデンサ12等のチップリアクタンス素子をフレキシブル回路基板に取り付ける構成も考えられるが、ボディに取り付ける際に、これらが剥がれて脱落、または電気的に開放となるおそれがあり、実装構成によっては信頼性が低下するので、リアクタンス素子をプリントパターンで形成する上述の実施の形態によるインピーダンス整合装置31に比べて劣る。
【0050】
また、この実施の形態において、図1例のL型構成のインピーダンス整合装置31を実際に試作して、ネットワークアナライザ等を用いて測定したところ、特性インピーダンスがほぼ50オームであり、インダクタンス素子37のインダクタンス値は約87nH、キャパシタンス素子38の容量値は約7.4pFであった。同様に、このインピーダンス整合装置31を挿入した場合、ネットワークアナライザ等を用いてテレビジョンの3チャンネル〜12チャンネルに相当する周波数帯域150MHz〜250MHzの間でのスミスチャート上でのインピーダンス特性は、挿入しない場合に比較して、VSWRの値が4程度から2.5程度に改善され、反射が相当に少なくなることが確認できた。さらに、このインピーダンス整合装置31を挿入した場合、上記周波数帯域150MHz〜250MHzの間での受信感度に比例する挿入損失は、挿入しない場合に比較して、平均で5〜6dB程度増加することが確認できた。
【0051】
また、この発明は上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、インピーダンス整合回路を構成するリアクタンス素子をプリントパターンにより形成したフレキシブル回路基板を、インピーダンス整合装置として用いるようにしている。
【0053】
フレキシブル基板上にプリントパターンにより形成したリアクタンス素子の精度は2%程度以下にすることが可能であり、かつ、プリント基板とリアクタンス素子を一体的に形成できるので、いわゆるディスクリート部品が不要となる。したがって、調整工数が皆無となり、装置構成上のコストも低減され、チップ部品等を使用する場合に比較して、信頼性も向上するという効果が達成される。
【0054】
また、この発明によれば、プリントパターンにより形成した入力端子用のランドをガラスアンテナの受信端に直接接続し、また、アース用ランド中に設けられた開口部を通じてねじによりフレキシブル回路基板をボディ外板に止めるようにしているので、インピーダンス整合装置の取付位置が安定し、取付状態によりリアクタンス値が変化するという不都合が是正されるという効果が達成される。
【0055】
結局、この発明によれば、装置構成が簡単であって、リアクタンス素子の精度をとりやすく、調整工数も不要であり、かつ取付方法を原因とするリアクタンス値の変化のないガラスアンテナ用インピーダンス整合装置が得られる。これらの結果として、安定性、信頼性が向上し、トータル的なコストが大幅に低減されるという画期的な効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の構成を示す回路図である。
【図2】インピーダンス整合装置に係る回路パターンの概略的平面図である。
【図3】図2例のIII−III線一部省略断面図である。
【図4】インピーダンス整合装置の実装状態の説明に供される図である。
【図5】インダクタンス素子のインダクタンス値の変化の説明に供される特性図である。
【図6】従来のインピーダンス整合装置の構成例を示す斜視図である。
【図7】従来のインピーダンス整合装置の他の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
31…インピーダンス整合装置 32…ガラスアンテナ
35…フレキシブル回路基板(ポリイミド基板)
36…入力端子 37…インダクタンス素子
38…キャパシタンス素子 40…出力端子
41…同軸線 61…リヤウインドガラス
72…ボディ外板
Claims (3)
- ガラスアンテナの受信端と同軸線の入力側との間に配され、この同軸線の出力側がチューナのフロントエンドに接続されるガラスアンテナ用インピーダンス整合装置において、プリント基板としてフレキシブル基板を用い、このフレキシブル基板上に、インピーダンス整合回路を構成するリアクタンス素子をプリントパターンにより形成したフレキシブル回路基板を備え、
前記フレキシブル回路基板には、プリントパターンにより前記リアクタンス素子の入力側が接続される入力端子用のランドと、前記リアクタンス素子の出力側が接続される出力端子用のランドと、前記リアクタンス素子のアース側が接続され且つねじ挿通用の開口部を有するアース用ランドが形成され、前記出力端子用のランドには、前記同軸線の心線側が接続され、前記入力端子用のランドは、前記ガラスアンテナの受信端端子に直接電気的かつ機械的に接続され、前記開口部に挿通される前記ねじを介して前記同軸線の接地導体と前記アース用ランドとが、大地アースとして機能するボディ外板に電気的かつ機械的に接続されるようにした
ことを特徴とするガラスアンテナ用インピーダンス整合装置。 - ガラスアンテナの受信端と同軸線の入力側との間に配され、この同軸線の出力側がチューナのフロントエンドに接続されるガラスアンテナ用インピーダンス整合装置において、プリント基板としてフレキシブル基板を用い、このフレキシブル基板上に、インピーダンス整合回路を構成するリアクタンス素子をプリントパターンにより形成したフレキシブル回路基板を備え、
前記リアクタンス素子は、インダクタンス素子とキャパシタンス素子で構成され、前記インダクタンス素子は、前記フレキシブル回路基板の表面と裏面とに形成された同一巻き方向で、かつ平面的に重ならない位置となる渦巻き状パターンで形成されている
ことを特徴とするガラスアンテナ用インピーダンス整合装置。 - ガラスアンテナの受信端と同軸線の入力側との間に配され、この同軸線の出力側がチューナのフロントエンドに接続されるガラスアンテナ用インピーダンス整合装置において、プリント基板としてフレキシブル基板を用い、このフレキシブル基板上に、インピーダンス整合回路を構成するリアクタンス素子をプリントパターンにより形成したフレキシブル回路基板を備え、
前記リアクタンス素子は、前記フレキシブル基板に渦巻き状パターンで形成されたインダクタンス素子とキャパシタンス素子で構成され、前記インピーダンス整合回路は、前記インダクタンス素子の背面がリアウインドガラス上に配置されるように固定される
ことを特徴とするガラスアンテナ用インピーダンス整合装置。
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