JP3651674B2 - 生体吸収性多孔質担体の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体吸収性高分子からなる多孔質担体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒト臓器細胞を生体吸収性の担体内で培養・増殖・分化させ、人体に移植することで、生体の失われた機能を回復する生体組織工学による治療の適用が期待されている。皮膚や軟骨などの薄い組織と異なり、肝臓や肺、腎臓といった大型の臓器の再構築のためには、担体に担持された細胞にまんべんなく血液が接触して、種々の成分のやりとりを行わせるために、複雑な内部構造を有する担体とする必要がある。また、細胞を担持する担体を体内に移植することを考えると、細胞が充分増殖して組織を形成した後は体内で分解吸収される生体吸収性の材料とする必要がある。
従って、このような大型臓器の再構築にあたっては複雑な内部構造を有する生体吸収性材料からなる担体の作成技術の開発が不可欠である。
【0003】
生体吸収性合成高分子としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリブチロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸等の脂肪族ポリエステルが知られている。
生体吸収性材料による臓器細胞の担体は、上述のように、担持された細胞全体にまんべんなく血液が接触できるように多孔質となっている必要がある。
生体吸収性材料からなる多孔質体を得る方法としては、乳酸やグリコール酸系のポリエステルを有機溶剤に溶かし、塩化ナトリウムや炭酸水素アンモニウムなどの水溶性塩の粒子を加えてペーストとし、これを成形、溶媒を揮発、乾燥させた後に、水で塩を溶出、あるいは溶出と同時に発泡させて多孔質とする方法(塩溶出法)、塩溶出法で得られた担体に高圧の炭酸ガスを溶解させ、一気に減圧して高度の多孔質構造を付与する方法(高圧ガス発泡法)、生体吸収性高分子をナフタレンやフェノールなどと比較的低温で固体となる蒸気圧の高い有機溶媒との混合溶媒に溶解し、急激に冷却することにより、混合有機溶媒の二相分離を起こし、減圧下で一方の有機溶媒を気化させて、樹脂のみからなる多孔質担体を得る方法(相分離法)、生体吸収性樹脂を予め繊維状に加工し、適当な密度で綿状に絡めて成形した後に加熱して、繊維の接触部を融解して結合する方法(繊維結合法)などがある。
【0004】
また、特開平10−87865号公報には、オルガノポリシロキサンと補強性シリカを主成分とするベースコンパウンドに発泡剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチラートを配合すると共に、硬化剤として有機過酸化物とオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金系触媒を併用してこれらを混合、混練し、加熱することにより、発泡と硬化を行ってシリコーンゴムスポンジを得ることが記載されている。
特開平6−16799号公報には、生分解性高分子である脂肪族ポリエステルを主成分とする多官能性マクロモノマーを光重合してゲルを得、得られたゲル膜に薬物を封入して、温度変化に応答する薬物放出制御材料とすることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
大型臓器の再構築のためには複雑な内部構造を形成できる技術が必要であり、このため、例えば、光三次元造型技術などの利用が想定される。
光三次元造型技術とは、フォトマスクを用いたりして、XY二次元平面の所定の部分のみ感光性材料を重合させてで構造を形成し、この操作をZ軸方向に繰り返すことにより所定の三次元構造を形成する造型技術である。
上述の塩溶出法や高圧発泡法はブレンド状態で多孔部の位置が決まり、相分離法もフェノールなどの溶剤の存在状況で多孔部の位置が定まり、繊維接合法も繊維の絡み合い形状でその多孔構造が定まるものであるため、三次元造型技術への適用が困難である。
また、特開平10−87865号公報に記載されたシリコーンゴムスポンジは生体吸収材料を用いておらず、熱による発泡を行っていることから、三次元造型技術への適用が困難である。
特開平6−16799号公報に記載の多官能マクロモノマーの重合ゲルは光重合を行っているものの、薬物徐放担体であり、多孔性担体ではない。
本発明者等は、このような状況に鑑み、光重合と光照射箇所での発泡を同時に行えば、照射部は重合と同時に発泡して多孔質化され、非照射部は重合せず、流路となるため、三次元造型技術に適用可能な技術となることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、下記一般式1で表され、その平均分子量が2,000〜50,000であるポリエステル系多官能性マクロモノマーの有機溶剤溶液に、式3で示されるアゾ化合物を混合し、紫外線を照射することを特徴とする生体吸収性多孔質担体の製造方法にある。
【0007】
【化4】
【0008】
(式中、R1は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、Aは下記一般式(II)で表される繰り返し単位からなる脂肪族ポリエステル鎖、R2は水素原子またはメチル基を示し、mは0または1、4−m個のpは各々同一または異なってもよく、0〜6の整数を示す。)
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、R3は水素原子またはメチル基、qは0〜4の整数を示す。また、R3及びqは繰り返し単位ごとに同一または異なっていてもよい。)
【0011】
【化6】
【0012】
また、前記方法により製造される生体吸収性多孔質担体にある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の前記一般式1で示されるポリエステル系多官能性マクロモノマーとしては、前記一般式2で示されるポリエステル鎖が、1種類の繰り返し単位からなるものであってもよいが、2種類以上の繰り返し単位からなるランダム鎖であることが好ましく、特に前記一般式2におけるqの価が2種である繰り返し単位からなるものがより好ましい。
このようなポリエステル鎖としての好ましい具体例としては、qの価が0でR3が水素原子またはメチル基である繰り返し単位と、qの価が4でR3が水素原子である繰り返し単位とからなるものを例示でき、この中ではqの価が0でR3がメチル基である繰り返し単位と、qの価が4でR3が水素原子である繰り返し単位とからなるものがより好ましい。
前記一般式におけるpは1であることが好ましく、mは0であることが好ましい。
【0014】
この一般式1で示されるポリエステル系多官能性マクロモノマーは、例えば、以下に述べる方法で合成することができる。すなわち、下記一般式4で示されるトリオールまたはテトラオール存在下で環状エステル化合物、好ましくは2種以上の環状エステル化合物の混合物を開環重合することにより下記一般式5で表される前駆体を得、これを(メタ)アクリル酸クロリドと反応させることにより合成できる。
【0015】
【化7】
【0016】
(式中、R1、mおよびpは前記定義の通りである。)
【0017】
【化8】
【0018】
(式中、R1、A、mおよびpは前記定義の通りである。)
【0019】
ここで用いられる前記一般式4で示されるトリオールまたはテトラオールとしては、グリセリン、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)エタン、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)ブタン、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)ペンタン、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)ヘキサン、ペンタエリスリトール、1,3,5−トリ(ヒドロキシメチル)ペンタン、1,3,3,5−テトラ(ヒドロキシメチル)ペンタン、1,2,6−トリ(ヒドロキシメチル)ヘキサン、1,2,2,6−テトラ(ヒドロキシメチル)ヘキサンなどを例示できる。
【0020】
また、環状エステル化合物としては、グリコリド、D、L−ラクチド、D−ラクチド、L−ラクチド、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等を例示できる。
環状エステル化合物としては、例えば、ε−カプロラクトンと、グリコリドやラクチドとの組み合わせのように、−O−と−CO−の間の炭素数が異なる環状エステル化合物を2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
これらの環状エステル化合物は、前記トリオールまたはテトラオール存在下で50〜200℃、好ましくは100〜200℃に加温することにより、開環重合して前記前駆体が得られる。
なお、ラクチド類の開環重合に際しては、触媒を用いることが好ましい。触媒としては、2−エチルヘキサン酸錫、酢酸トリブチル錫等の錫系触媒;三酸化アンチモン、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン等のアンチモン系触媒;亜鉛粉末、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛系触媒等を例示できる。
【0021】
こうして得られる前駆体の末端に光重合性官能基である(メタ)アクリロイル基を導入して、前記一般式1で示されるポリエステル系多官能性マクロモノマーを得る。
この(メタ)アクリロイル基の導入法としては、前駆体と(メタ)アクリル酸クロリドを反応させる方法を採用できる。
前駆体と(メタ)アクリル酸クロリドとの反応は有機溶媒中で行うが好ましく、溶媒としては、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、四塩化炭素、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を例示できる。また、この反応に際しては、塩化水素が発生するので、その捕捉剤として、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基存在下で反応を行うのが好ましい。
【0022】
本発明のポリエステル系多官能性マクロモノマーの数平均分子量は2,000〜50,000である必要があり、5,000〜10,000であることが好ましい。分子量が2,000未満のものは得られる担体が脆弱なものとなり、分子量が50、000を超えるものは、光重合硬化、発泡を行っても安定な発泡体が得られない。
このポリエステル系多官能性マクロモノマーの数平均分子量はトリオールやテトラオールと、環状ポリエステルの仕込み比を適宜選択することにより分子量を制御することができる。
前述のように、−O−と−CO−の間の炭素数が異なる環状エステル化合物2種を組み合わせて用いる場合は、そのモル比は10/90〜90/10がこのましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
【0023】
本発明において、ポリエステル系多官能性マクロモノマーの重合は有機溶媒に溶解した溶液の状態で行うが、ここで用いる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を例示できるが、これらに限定されるものではない。ポリエステル系多官能性マクロモノマー溶液の濃度は
〜 質量%であることが好ましい。
【0024】
本発明においては、ポリエステル系多官能性マクロモノマーの重合・発泡に前記式3で示されるアゾ化合物を用いる。
このアゾ化合物は紫外線照射により分解して窒素とラジカルを発生し、ラジカルが(メタ)アクリロイル基を攻撃してポリエステル系多官能性マクロモノマーの重合・硬化を行うと共に、窒素が発泡剤となる。このアゾ化合物のポリエステル系多官能性マクロモノマーに対する混合比は、製造しようとする多孔質担体の構造にもよるが、ポリエステル系多官能性マクロモノマー1質量部に対して、0.5〜5質量部が好ましい。
アゾ化合物として、アゾビスイソブチロニトリルなどのニトリル系アゾ化合物を用いると、シアノ化合物が副生するため、その除去に長時間のポストキュアが必要になるのに対し、本発明で用いるアゾ化合物およびその分解物はエタノール洗浄で容易に除去可能である。また、担体に結合したアゾ化合物の分解物は、高分子化しているので細胞に対して毒性を示すことはない。
このアゾ化合物は375nmに極大吸収を有するため、紫外線照射により分解する。
紫外線照射に用いられるランプとしては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマランプ等を例示できるが、これらに限られるものではない。
ポリエステル系多官能性マクロモノマーの前記式3に示されるアゾ化合物による紫外線照射重合硬化・発泡に際して、着色剤を添加すると紫外線吸収効率が向上する。このような着色剤としては375nmの波長を吸収する着色剤であればどのようなものも用いることができ、具体例としては、Kayaset Black G(商品名、日本化薬社製)を例示できる。
【0025】
アゾ化合物の混合比が増加するにつれた、得られる多孔質担体の空隙率は高くなり、最大70%の空隙率まで高めることができる。
DL−乳酸とε−カプロラクトンの共重合体は、in vivoの生理的条件下では、数ヶ月で完全に分解することが示されている。この共重合体の生体内での分解が主として加水分解により、得られた多孔質担体の37℃でのアルカリ溶液による分解テストにおいて、2.5NNaOHで15時間程度、0.3Nで1週間程度で完全に消滅することから、本発明の多孔質担体もin vivoで分解し、生体吸収性を有することがわかる。
【0026】
この多孔質担体は、従来法によるポリ−L−乳酸を用いた塩溶出法による多孔質担体と同様の優れた細胞付着性を示す。
なお、従来法によるポリ−L−乳酸を用いた多孔質担体では、細かな隙間に細胞がここの丸い形を保ったまま細胞が増殖するが、本発明の多孔質担体では多孔部のない表面を平滑に覆うように一面に細胞が増殖する。
また、三次元造型技術への適用可能性検討のため、最小間隙500μmのフォトマスクを用いて二次元平面内で紫外線照射によるこのポリエステル系多官能性マクロモノマーの重合硬化・発泡を行うと、最小間隙500μmの部分でもマスクで覆われた部分は重合硬化、発泡をせず、この最小間隙でも発泡と重合のコントロールが可能となる充分な造型分解能を示す。
【0027】
このポリエステル系多官能性マクロモノマーは主成分がポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリブチロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸等の脂肪族ポリエステルからなるため生体内で加水分解して生体吸収性を示す。
【0028】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
(製造例)
ペンタエリスリトールとε−カプロラクトンとDL−ラクチドとを混合し、185℃で3日間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応混合物をアセトンに溶解し、過剰量のヘキサン/ジエチルエーテル混合溶媒(1/1)中で再沈殿を行い、前駆体(ペンタエリスリトールを重合開始点とするポリエステル系スターポリマー)を得た。この時、乳酸とカプロラクトンのモル比が1:1となるようにし、ペンタエリスリトールと、ε−カプロラクトンの比率を種々に変えて、分子量1000〜100000の範囲で分子量の異なるポリマーとした。
これらの前駆体をそれぞれテトラヒドロフランに溶解し、この溶液に約7.5当量のアクリル酸クロリドおよびトリエチルアミンとを加え、室温で3日間攪拌して反応させた。反応後、溶媒および未反応のアクリル酸クロリドおよびトリエチルアミンを留去した後、酢酸エチルを加えて生成した塩をろ別し、過剰量のヘキサン/ジエチルエーテル/メタノール混合溶媒(18/1/1)中で再沈殿を行い、分子量5,000(以下、マクロモノマーAという)、分子量10,000(以下、マクロモノマーBという)、分子量1,000(以下、マクロモノマーCという)、分子量80,000(以下マクロモノマーDという)の4種のポリエステル系4官能性マクロモノマーを得た。
【0029】
また、比較のため、分子量30万のポリ−L−乳酸をクロロホルムに溶かし、炭酸水素アンモニウムの粒子を混合してペーストとし、これを成形した後、クロロホルムを揮発させて乾燥した後に、50℃に加温した水で炭酸水素アンモニウムを溶出すると同時に分解発泡させて、多孔質担体Eを得た。多孔質担体の空隙率は90%程度であった。
【0030】
(実施例1、2)
これらのマクロモノマーA、Bをそれぞれアセトンに溶解して75%(w/v)の溶液とした。これらのマクロモノマー溶液に前記式3で示されるアゾ化合物(和光純薬社製、商品名VF−096)を室温で添加混合して、それぞれ直径10cm程度のガラス板の上に直径3cm程度、厚さ1mm程度になるように載せた。マクロモノマーとVF−096の混合比は、マクロモノマーAについては1/1、1/2、1/4の3種を、マクロモノマーBについてはマクロモノマー/VF−096が1/1のものと1/2の2種を、調製した。
【0031】
ガラス板上に載せたマクロモノマーとVF−096との各混合物に、超高圧水銀灯紫外線照射装置(ウシオ電機社製、SX−UID250HUV、ランプ出力250W)を用いて紫外線を5分間照射してマクロモノマーの重合硬化・発泡を行った。この照射により、アゾ化合物が分解発泡し、マクロモノマーが重合硬化して架橋構造を有する厚さ2〜3mmの発泡体が得られた。
マクロモノマーA、Bではアゾ化合物とのいずれの混合比のものも200〜300μmの連続気泡を有するゴム状の特性を有する担体が得られた。
マクロモノマーA/VF−096=1/4とマクロモノマーB/VF−096=1/2で得られた担体の電子顕微鏡写真を図1及び図2に示す。また、参考として、多孔質担体Eの電子顕微鏡写真を図3に示す。
マクロモノマーA、Bの中ではアゾ化合物の混合比が大きいものほど空隙率が高くなり、図1に示すマクロモノマーA/VF−096=1/4のものから得られた担体の空隙率は70%程度にまでなり、これは通常法の塩溶出法によるものと同等であった。多孔構造は、多孔構造の形成方法の違いにより異なり、アゾ化合物により発泡させたものは発泡部分と非発泡部分が明確な状態で開口部が分散した均一な多孔質体となっているが、従来法によるものは、比較的小さな孔が重なったりして表面が比較的乱れた多孔構造となっているように思われる。
【0032】
(比較例1)
マクロモノマーCを用い、VF−096との混合比を1/1としたものと、1/2としたものを用いて実施例1と同様にして紫外線照射による重合硬化・発泡を行った。しかし、いずれも硬化が速すぎて発泡が不充分となり、比較的もろいものしか得られなかった。
【0033】
(比較例2)
マクロモノマーDを用い、VF−096との混合比を1/1としたものと、1/2としたものを用いて実施例1と同様にして紫外線照射による重合硬化・発泡を行った。しかし、いずれも硬化が遅すぎて、硬化前に発生した窒素ガスが抜けてしまい、均一な多孔質体を形成することができなかった。
【0034】
(実施例3)
実施例1で得られたマクロモノマーBとVF−096の混合比1/2の混合物からなる多孔質担体を1cm×1cmにカットした多孔質担体(厚さ約2mm)を37℃に保った2.5Nと0.3Nの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬、穏やかに振とうしたところ、2.5Nの水溶液中では15時間程度で、0.3Nの水溶液中では1週間程度で完全に消失した。
【0035】
(実施例4)
実施例1で得られたマクロモノマーBとVF−096の混合比1/2の混合物からなる多孔質担体を1cm×1cmにカットした多孔質担体(厚さ約2mm)をエタノール洗浄したものとしないもの、エタノール洗浄したものについてはその表面にコラーゲン被覆をしたものとしないものを用意し、6穴プレートに入れて、ヒト肝臓癌細胞株Hep G2の細胞懸濁液と共に1日緩やかに旋回攪拌して、細胞を播種した。 その結果(初期細胞付着率)を図4に示す。図4から明らかなように、いずれも細胞の付着は良好で、1日後に95%以上の細胞が付着した。これは、担体表面に培養液中の血清蛋白質が良好に吸着し、コラーゲン被覆なしでも、この細胞にとって良好な表面が得られたためと思われる。
また、細胞増殖性を示すものとして培養を7日目まで継続したときの細胞付着率を図5に示す。
比較のため、多孔質担体Eについてもその表面にコラーゲン被覆をしたものとしないものを用意し、上記と同様にして培養を7日目まで継続した。その結果も、図4、図5に示す。7日間培養後のマクロモノマーBからの担体と多孔質担体Eの電子顕微鏡写真を図6、図7に示す。
図5から、マクロモノマーBからの担体では、塩抽出法による多孔質担体Eと同様の良好な機能発現が見られた。
図6、図7から、マクロモノマーBからの担体では、細孔の内面を平滑に覆うように一面に細胞が増殖しているが、多孔質担体Eでは細かな隙間に細胞が個々の丸い形を保ったまま増殖していることがわかる。
【0036】
図には示していないが、エタノール洗浄を行わなかった担体ではエタノール洗浄を行ったものに比べて細胞の増殖が低下したことから、アゾ化合物またはその分解生成物には多少の毒性があること、それらはエタノール洗浄で少なくとも短期間では毒性を示さない程度にまで簡単に除去可能であることが示された。
【0037】
Hep G2細胞の保持している肝機能の一つとして、培地中へのアルブミン分泌能を評価した。その結果を図8に示す。
マクロモノマーBからの担体は、コラーゲン被覆の有無にかかわらず、通常法で作成した多孔質担体Eと同レベルの機能発現が可能であった。
【0038】
(実施例5)
本発明のアゾ化合物の発泡によるマクロモノマーの重合硬化・発泡による多孔質担体の製造方法での微細造型の可能性検討のため、最小間隙が500μmであるフォトマスクを作成し、マクロモノマーBの75%(w/v)アセトン溶液に、マクロモノマー/VF−096=1/2となるようにVF−096を添加し、紫外線吸収性を向上させるため、着色剤Kayaset Black G(商品名、日本化薬社製)を0.01%添加したものをガラス板上に約1mm程度載せ、その上にフォトマスクをあてて、超高圧水銀灯紫外線照射装置(ウシオ電機社製、SX−UID250HUV、ランプ出力250W)を用いて紫外線を5分間照射してマクロモノマーの重合硬化・発泡を行った。その結果、フォトマスクで覆われなかった部分は重合硬化・発泡して多孔質となったが、フォトマスクで覆われた部分は、最小間隙の部分も含めて重合も発泡もせず、光照射後に有機溶剤で未高架部分を除去可能であるので、発泡と重合がコントロール可能であり、微細造型の可能性があることがわかった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ポリエステル系多官能性マクロモノマーを用い、アゾ化合物の光照射による分解で重合硬化、発泡させているので、得られる担体は生体吸収性を有し、細胞が充分増殖して組織を形成した後は体内で分解吸収される。
また、光照射で担体を形成しており、500μm程度の精度で重合部と非重合部とを制御できるのと同時に、重合部に多孔質構造を付与することが可能となる。また、アゾ化合物を用いていても、得られる多孔質担体から容易にアゾ化合物や分解生成物を除去できるので、臓器細胞の付着・増殖性がよく、通常の手法で得られたポリ−L−乳酸担体と遜色ない増殖、臓器機能の発現が可能となる。
すなわち、本発明の方法によれば、組織だった微細構造と、血管網となるマクロな貫通流路構造を併せ持つ大型臓器テンプレートの三次元光造型システムの開発に大いに寄与することを可能にするという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】マクロモノマーA/VF−096=1/4で得られた担体の電子顕微鏡写真である。
【図2】マクロモノマーB/VF−096=1/2で得られた担体の電子顕微鏡写真である。
【図3】多孔質担体Eの電子顕微鏡写真である。
【図4】細胞初期付着性を示すグラフである。
【図5】細胞増殖性を示すグラフである。
【図6】7日間細胞培養後のマクロモノマーBからの担体の電子顕微鏡写真である。
【図7】7日間細胞培養後の多孔質担体Eの電子顕微鏡写真である。
【図8】増殖細胞のアルブミン分泌活性を示すグラフである。
【符号の説明】
AZO:マクロモノマーからの担体、PLLA:ポリ−L−乳酸担体、
(−):コラーゲン被覆なし、(+):コラーゲン被覆あり
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体吸収性高分子からなる多孔質担体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒト臓器細胞を生体吸収性の担体内で培養・増殖・分化させ、人体に移植することで、生体の失われた機能を回復する生体組織工学による治療の適用が期待されている。皮膚や軟骨などの薄い組織と異なり、肝臓や肺、腎臓といった大型の臓器の再構築のためには、担体に担持された細胞にまんべんなく血液が接触して、種々の成分のやりとりを行わせるために、複雑な内部構造を有する担体とする必要がある。また、細胞を担持する担体を体内に移植することを考えると、細胞が充分増殖して組織を形成した後は体内で分解吸収される生体吸収性の材料とする必要がある。
従って、このような大型臓器の再構築にあたっては複雑な内部構造を有する生体吸収性材料からなる担体の作成技術の開発が不可欠である。
【0003】
生体吸収性合成高分子としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリブチロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸等の脂肪族ポリエステルが知られている。
生体吸収性材料による臓器細胞の担体は、上述のように、担持された細胞全体にまんべんなく血液が接触できるように多孔質となっている必要がある。
生体吸収性材料からなる多孔質体を得る方法としては、乳酸やグリコール酸系のポリエステルを有機溶剤に溶かし、塩化ナトリウムや炭酸水素アンモニウムなどの水溶性塩の粒子を加えてペーストとし、これを成形、溶媒を揮発、乾燥させた後に、水で塩を溶出、あるいは溶出と同時に発泡させて多孔質とする方法(塩溶出法)、塩溶出法で得られた担体に高圧の炭酸ガスを溶解させ、一気に減圧して高度の多孔質構造を付与する方法(高圧ガス発泡法)、生体吸収性高分子をナフタレンやフェノールなどと比較的低温で固体となる蒸気圧の高い有機溶媒との混合溶媒に溶解し、急激に冷却することにより、混合有機溶媒の二相分離を起こし、減圧下で一方の有機溶媒を気化させて、樹脂のみからなる多孔質担体を得る方法(相分離法)、生体吸収性樹脂を予め繊維状に加工し、適当な密度で綿状に絡めて成形した後に加熱して、繊維の接触部を融解して結合する方法(繊維結合法)などがある。
【0004】
また、特開平10−87865号公報には、オルガノポリシロキサンと補強性シリカを主成分とするベースコンパウンドに発泡剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチラートを配合すると共に、硬化剤として有機過酸化物とオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金系触媒を併用してこれらを混合、混練し、加熱することにより、発泡と硬化を行ってシリコーンゴムスポンジを得ることが記載されている。
特開平6−16799号公報には、生分解性高分子である脂肪族ポリエステルを主成分とする多官能性マクロモノマーを光重合してゲルを得、得られたゲル膜に薬物を封入して、温度変化に応答する薬物放出制御材料とすることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
大型臓器の再構築のためには複雑な内部構造を形成できる技術が必要であり、このため、例えば、光三次元造型技術などの利用が想定される。
光三次元造型技術とは、フォトマスクを用いたりして、XY二次元平面の所定の部分のみ感光性材料を重合させてで構造を形成し、この操作をZ軸方向に繰り返すことにより所定の三次元構造を形成する造型技術である。
上述の塩溶出法や高圧発泡法はブレンド状態で多孔部の位置が決まり、相分離法もフェノールなどの溶剤の存在状況で多孔部の位置が定まり、繊維接合法も繊維の絡み合い形状でその多孔構造が定まるものであるため、三次元造型技術への適用が困難である。
また、特開平10−87865号公報に記載されたシリコーンゴムスポンジは生体吸収材料を用いておらず、熱による発泡を行っていることから、三次元造型技術への適用が困難である。
特開平6−16799号公報に記載の多官能マクロモノマーの重合ゲルは光重合を行っているものの、薬物徐放担体であり、多孔性担体ではない。
本発明者等は、このような状況に鑑み、光重合と光照射箇所での発泡を同時に行えば、照射部は重合と同時に発泡して多孔質化され、非照射部は重合せず、流路となるため、三次元造型技術に適用可能な技術となることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、下記一般式1で表され、その平均分子量が2,000〜50,000であるポリエステル系多官能性マクロモノマーの有機溶剤溶液に、式3で示されるアゾ化合物を混合し、紫外線を照射することを特徴とする生体吸収性多孔質担体の製造方法にある。
【0007】
【化4】
【0008】
(式中、R1は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、Aは下記一般式(II)で表される繰り返し単位からなる脂肪族ポリエステル鎖、R2は水素原子またはメチル基を示し、mは0または1、4−m個のpは各々同一または異なってもよく、0〜6の整数を示す。)
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、R3は水素原子またはメチル基、qは0〜4の整数を示す。また、R3及びqは繰り返し単位ごとに同一または異なっていてもよい。)
【0011】
【化6】
【0012】
また、前記方法により製造される生体吸収性多孔質担体にある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の前記一般式1で示されるポリエステル系多官能性マクロモノマーとしては、前記一般式2で示されるポリエステル鎖が、1種類の繰り返し単位からなるものであってもよいが、2種類以上の繰り返し単位からなるランダム鎖であることが好ましく、特に前記一般式2におけるqの価が2種である繰り返し単位からなるものがより好ましい。
このようなポリエステル鎖としての好ましい具体例としては、qの価が0でR3が水素原子またはメチル基である繰り返し単位と、qの価が4でR3が水素原子である繰り返し単位とからなるものを例示でき、この中ではqの価が0でR3がメチル基である繰り返し単位と、qの価が4でR3が水素原子である繰り返し単位とからなるものがより好ましい。
前記一般式におけるpは1であることが好ましく、mは0であることが好ましい。
【0014】
この一般式1で示されるポリエステル系多官能性マクロモノマーは、例えば、以下に述べる方法で合成することができる。すなわち、下記一般式4で示されるトリオールまたはテトラオール存在下で環状エステル化合物、好ましくは2種以上の環状エステル化合物の混合物を開環重合することにより下記一般式5で表される前駆体を得、これを(メタ)アクリル酸クロリドと反応させることにより合成できる。
【0015】
【化7】
【0016】
(式中、R1、mおよびpは前記定義の通りである。)
【0017】
【化8】
【0018】
(式中、R1、A、mおよびpは前記定義の通りである。)
【0019】
ここで用いられる前記一般式4で示されるトリオールまたはテトラオールとしては、グリセリン、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)エタン、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)ブタン、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)ペンタン、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)ヘキサン、ペンタエリスリトール、1,3,5−トリ(ヒドロキシメチル)ペンタン、1,3,3,5−テトラ(ヒドロキシメチル)ペンタン、1,2,6−トリ(ヒドロキシメチル)ヘキサン、1,2,2,6−テトラ(ヒドロキシメチル)ヘキサンなどを例示できる。
【0020】
また、環状エステル化合物としては、グリコリド、D、L−ラクチド、D−ラクチド、L−ラクチド、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等を例示できる。
環状エステル化合物としては、例えば、ε−カプロラクトンと、グリコリドやラクチドとの組み合わせのように、−O−と−CO−の間の炭素数が異なる環状エステル化合物を2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
これらの環状エステル化合物は、前記トリオールまたはテトラオール存在下で50〜200℃、好ましくは100〜200℃に加温することにより、開環重合して前記前駆体が得られる。
なお、ラクチド類の開環重合に際しては、触媒を用いることが好ましい。触媒としては、2−エチルヘキサン酸錫、酢酸トリブチル錫等の錫系触媒;三酸化アンチモン、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン等のアンチモン系触媒;亜鉛粉末、酸化亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛系触媒等を例示できる。
【0021】
こうして得られる前駆体の末端に光重合性官能基である(メタ)アクリロイル基を導入して、前記一般式1で示されるポリエステル系多官能性マクロモノマーを得る。
この(メタ)アクリロイル基の導入法としては、前駆体と(メタ)アクリル酸クロリドを反応させる方法を採用できる。
前駆体と(メタ)アクリル酸クロリドとの反応は有機溶媒中で行うが好ましく、溶媒としては、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、四塩化炭素、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を例示できる。また、この反応に際しては、塩化水素が発生するので、その捕捉剤として、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基存在下で反応を行うのが好ましい。
【0022】
本発明のポリエステル系多官能性マクロモノマーの数平均分子量は2,000〜50,000である必要があり、5,000〜10,000であることが好ましい。分子量が2,000未満のものは得られる担体が脆弱なものとなり、分子量が50、000を超えるものは、光重合硬化、発泡を行っても安定な発泡体が得られない。
このポリエステル系多官能性マクロモノマーの数平均分子量はトリオールやテトラオールと、環状ポリエステルの仕込み比を適宜選択することにより分子量を制御することができる。
前述のように、−O−と−CO−の間の炭素数が異なる環状エステル化合物2種を組み合わせて用いる場合は、そのモル比は10/90〜90/10がこのましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
【0023】
本発明において、ポリエステル系多官能性マクロモノマーの重合は有機溶媒に溶解した溶液の状態で行うが、ここで用いる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を例示できるが、これらに限定されるものではない。ポリエステル系多官能性マクロモノマー溶液の濃度は
〜 質量%であることが好ましい。
【0024】
本発明においては、ポリエステル系多官能性マクロモノマーの重合・発泡に前記式3で示されるアゾ化合物を用いる。
このアゾ化合物は紫外線照射により分解して窒素とラジカルを発生し、ラジカルが(メタ)アクリロイル基を攻撃してポリエステル系多官能性マクロモノマーの重合・硬化を行うと共に、窒素が発泡剤となる。このアゾ化合物のポリエステル系多官能性マクロモノマーに対する混合比は、製造しようとする多孔質担体の構造にもよるが、ポリエステル系多官能性マクロモノマー1質量部に対して、0.5〜5質量部が好ましい。
アゾ化合物として、アゾビスイソブチロニトリルなどのニトリル系アゾ化合物を用いると、シアノ化合物が副生するため、その除去に長時間のポストキュアが必要になるのに対し、本発明で用いるアゾ化合物およびその分解物はエタノール洗浄で容易に除去可能である。また、担体に結合したアゾ化合物の分解物は、高分子化しているので細胞に対して毒性を示すことはない。
このアゾ化合物は375nmに極大吸収を有するため、紫外線照射により分解する。
紫外線照射に用いられるランプとしては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマランプ等を例示できるが、これらに限られるものではない。
ポリエステル系多官能性マクロモノマーの前記式3に示されるアゾ化合物による紫外線照射重合硬化・発泡に際して、着色剤を添加すると紫外線吸収効率が向上する。このような着色剤としては375nmの波長を吸収する着色剤であればどのようなものも用いることができ、具体例としては、Kayaset Black G(商品名、日本化薬社製)を例示できる。
【0025】
アゾ化合物の混合比が増加するにつれた、得られる多孔質担体の空隙率は高くなり、最大70%の空隙率まで高めることができる。
DL−乳酸とε−カプロラクトンの共重合体は、in vivoの生理的条件下では、数ヶ月で完全に分解することが示されている。この共重合体の生体内での分解が主として加水分解により、得られた多孔質担体の37℃でのアルカリ溶液による分解テストにおいて、2.5NNaOHで15時間程度、0.3Nで1週間程度で完全に消滅することから、本発明の多孔質担体もin vivoで分解し、生体吸収性を有することがわかる。
【0026】
この多孔質担体は、従来法によるポリ−L−乳酸を用いた塩溶出法による多孔質担体と同様の優れた細胞付着性を示す。
なお、従来法によるポリ−L−乳酸を用いた多孔質担体では、細かな隙間に細胞がここの丸い形を保ったまま細胞が増殖するが、本発明の多孔質担体では多孔部のない表面を平滑に覆うように一面に細胞が増殖する。
また、三次元造型技術への適用可能性検討のため、最小間隙500μmのフォトマスクを用いて二次元平面内で紫外線照射によるこのポリエステル系多官能性マクロモノマーの重合硬化・発泡を行うと、最小間隙500μmの部分でもマスクで覆われた部分は重合硬化、発泡をせず、この最小間隙でも発泡と重合のコントロールが可能となる充分な造型分解能を示す。
【0027】
このポリエステル系多官能性マクロモノマーは主成分がポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリブチロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸等の脂肪族ポリエステルからなるため生体内で加水分解して生体吸収性を示す。
【0028】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
(製造例)
ペンタエリスリトールとε−カプロラクトンとDL−ラクチドとを混合し、185℃で3日間加熱攪拌して反応させた。
得られた反応混合物をアセトンに溶解し、過剰量のヘキサン/ジエチルエーテル混合溶媒(1/1)中で再沈殿を行い、前駆体(ペンタエリスリトールを重合開始点とするポリエステル系スターポリマー)を得た。この時、乳酸とカプロラクトンのモル比が1:1となるようにし、ペンタエリスリトールと、ε−カプロラクトンの比率を種々に変えて、分子量1000〜100000の範囲で分子量の異なるポリマーとした。
これらの前駆体をそれぞれテトラヒドロフランに溶解し、この溶液に約7.5当量のアクリル酸クロリドおよびトリエチルアミンとを加え、室温で3日間攪拌して反応させた。反応後、溶媒および未反応のアクリル酸クロリドおよびトリエチルアミンを留去した後、酢酸エチルを加えて生成した塩をろ別し、過剰量のヘキサン/ジエチルエーテル/メタノール混合溶媒(18/1/1)中で再沈殿を行い、分子量5,000(以下、マクロモノマーAという)、分子量10,000(以下、マクロモノマーBという)、分子量1,000(以下、マクロモノマーCという)、分子量80,000(以下マクロモノマーDという)の4種のポリエステル系4官能性マクロモノマーを得た。
【0029】
また、比較のため、分子量30万のポリ−L−乳酸をクロロホルムに溶かし、炭酸水素アンモニウムの粒子を混合してペーストとし、これを成形した後、クロロホルムを揮発させて乾燥した後に、50℃に加温した水で炭酸水素アンモニウムを溶出すると同時に分解発泡させて、多孔質担体Eを得た。多孔質担体の空隙率は90%程度であった。
【0030】
(実施例1、2)
これらのマクロモノマーA、Bをそれぞれアセトンに溶解して75%(w/v)の溶液とした。これらのマクロモノマー溶液に前記式3で示されるアゾ化合物(和光純薬社製、商品名VF−096)を室温で添加混合して、それぞれ直径10cm程度のガラス板の上に直径3cm程度、厚さ1mm程度になるように載せた。マクロモノマーとVF−096の混合比は、マクロモノマーAについては1/1、1/2、1/4の3種を、マクロモノマーBについてはマクロモノマー/VF−096が1/1のものと1/2の2種を、調製した。
【0031】
ガラス板上に載せたマクロモノマーとVF−096との各混合物に、超高圧水銀灯紫外線照射装置(ウシオ電機社製、SX−UID250HUV、ランプ出力250W)を用いて紫外線を5分間照射してマクロモノマーの重合硬化・発泡を行った。この照射により、アゾ化合物が分解発泡し、マクロモノマーが重合硬化して架橋構造を有する厚さ2〜3mmの発泡体が得られた。
マクロモノマーA、Bではアゾ化合物とのいずれの混合比のものも200〜300μmの連続気泡を有するゴム状の特性を有する担体が得られた。
マクロモノマーA/VF−096=1/4とマクロモノマーB/VF−096=1/2で得られた担体の電子顕微鏡写真を図1及び図2に示す。また、参考として、多孔質担体Eの電子顕微鏡写真を図3に示す。
マクロモノマーA、Bの中ではアゾ化合物の混合比が大きいものほど空隙率が高くなり、図1に示すマクロモノマーA/VF−096=1/4のものから得られた担体の空隙率は70%程度にまでなり、これは通常法の塩溶出法によるものと同等であった。多孔構造は、多孔構造の形成方法の違いにより異なり、アゾ化合物により発泡させたものは発泡部分と非発泡部分が明確な状態で開口部が分散した均一な多孔質体となっているが、従来法によるものは、比較的小さな孔が重なったりして表面が比較的乱れた多孔構造となっているように思われる。
【0032】
(比較例1)
マクロモノマーCを用い、VF−096との混合比を1/1としたものと、1/2としたものを用いて実施例1と同様にして紫外線照射による重合硬化・発泡を行った。しかし、いずれも硬化が速すぎて発泡が不充分となり、比較的もろいものしか得られなかった。
【0033】
(比較例2)
マクロモノマーDを用い、VF−096との混合比を1/1としたものと、1/2としたものを用いて実施例1と同様にして紫外線照射による重合硬化・発泡を行った。しかし、いずれも硬化が遅すぎて、硬化前に発生した窒素ガスが抜けてしまい、均一な多孔質体を形成することができなかった。
【0034】
(実施例3)
実施例1で得られたマクロモノマーBとVF−096の混合比1/2の混合物からなる多孔質担体を1cm×1cmにカットした多孔質担体(厚さ約2mm)を37℃に保った2.5Nと0.3Nの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬、穏やかに振とうしたところ、2.5Nの水溶液中では15時間程度で、0.3Nの水溶液中では1週間程度で完全に消失した。
【0035】
(実施例4)
実施例1で得られたマクロモノマーBとVF−096の混合比1/2の混合物からなる多孔質担体を1cm×1cmにカットした多孔質担体(厚さ約2mm)をエタノール洗浄したものとしないもの、エタノール洗浄したものについてはその表面にコラーゲン被覆をしたものとしないものを用意し、6穴プレートに入れて、ヒト肝臓癌細胞株Hep G2の細胞懸濁液と共に1日緩やかに旋回攪拌して、細胞を播種した。 その結果(初期細胞付着率)を図4に示す。図4から明らかなように、いずれも細胞の付着は良好で、1日後に95%以上の細胞が付着した。これは、担体表面に培養液中の血清蛋白質が良好に吸着し、コラーゲン被覆なしでも、この細胞にとって良好な表面が得られたためと思われる。
また、細胞増殖性を示すものとして培養を7日目まで継続したときの細胞付着率を図5に示す。
比較のため、多孔質担体Eについてもその表面にコラーゲン被覆をしたものとしないものを用意し、上記と同様にして培養を7日目まで継続した。その結果も、図4、図5に示す。7日間培養後のマクロモノマーBからの担体と多孔質担体Eの電子顕微鏡写真を図6、図7に示す。
図5から、マクロモノマーBからの担体では、塩抽出法による多孔質担体Eと同様の良好な機能発現が見られた。
図6、図7から、マクロモノマーBからの担体では、細孔の内面を平滑に覆うように一面に細胞が増殖しているが、多孔質担体Eでは細かな隙間に細胞が個々の丸い形を保ったまま増殖していることがわかる。
【0036】
図には示していないが、エタノール洗浄を行わなかった担体ではエタノール洗浄を行ったものに比べて細胞の増殖が低下したことから、アゾ化合物またはその分解生成物には多少の毒性があること、それらはエタノール洗浄で少なくとも短期間では毒性を示さない程度にまで簡単に除去可能であることが示された。
【0037】
Hep G2細胞の保持している肝機能の一つとして、培地中へのアルブミン分泌能を評価した。その結果を図8に示す。
マクロモノマーBからの担体は、コラーゲン被覆の有無にかかわらず、通常法で作成した多孔質担体Eと同レベルの機能発現が可能であった。
【0038】
(実施例5)
本発明のアゾ化合物の発泡によるマクロモノマーの重合硬化・発泡による多孔質担体の製造方法での微細造型の可能性検討のため、最小間隙が500μmであるフォトマスクを作成し、マクロモノマーBの75%(w/v)アセトン溶液に、マクロモノマー/VF−096=1/2となるようにVF−096を添加し、紫外線吸収性を向上させるため、着色剤Kayaset Black G(商品名、日本化薬社製)を0.01%添加したものをガラス板上に約1mm程度載せ、その上にフォトマスクをあてて、超高圧水銀灯紫外線照射装置(ウシオ電機社製、SX−UID250HUV、ランプ出力250W)を用いて紫外線を5分間照射してマクロモノマーの重合硬化・発泡を行った。その結果、フォトマスクで覆われなかった部分は重合硬化・発泡して多孔質となったが、フォトマスクで覆われた部分は、最小間隙の部分も含めて重合も発泡もせず、光照射後に有機溶剤で未高架部分を除去可能であるので、発泡と重合がコントロール可能であり、微細造型の可能性があることがわかった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ポリエステル系多官能性マクロモノマーを用い、アゾ化合物の光照射による分解で重合硬化、発泡させているので、得られる担体は生体吸収性を有し、細胞が充分増殖して組織を形成した後は体内で分解吸収される。
また、光照射で担体を形成しており、500μm程度の精度で重合部と非重合部とを制御できるのと同時に、重合部に多孔質構造を付与することが可能となる。また、アゾ化合物を用いていても、得られる多孔質担体から容易にアゾ化合物や分解生成物を除去できるので、臓器細胞の付着・増殖性がよく、通常の手法で得られたポリ−L−乳酸担体と遜色ない増殖、臓器機能の発現が可能となる。
すなわち、本発明の方法によれば、組織だった微細構造と、血管網となるマクロな貫通流路構造を併せ持つ大型臓器テンプレートの三次元光造型システムの開発に大いに寄与することを可能にするという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】マクロモノマーA/VF−096=1/4で得られた担体の電子顕微鏡写真である。
【図2】マクロモノマーB/VF−096=1/2で得られた担体の電子顕微鏡写真である。
【図3】多孔質担体Eの電子顕微鏡写真である。
【図4】細胞初期付着性を示すグラフである。
【図5】細胞増殖性を示すグラフである。
【図6】7日間細胞培養後のマクロモノマーBからの担体の電子顕微鏡写真である。
【図7】7日間細胞培養後の多孔質担体Eの電子顕微鏡写真である。
【図8】増殖細胞のアルブミン分泌活性を示すグラフである。
【符号の説明】
AZO:マクロモノマーからの担体、PLLA:ポリ−L−乳酸担体、
(−):コラーゲン被覆なし、(+):コラーゲン被覆あり
Claims (7)
- 下記一般式(I)で表され、その平均分子量が2,000〜50,000であるポリエステル系多官能性マクロモノマーの有機溶剤溶液に、式3で示されるアゾ化合物を混合し、紫外線を照射することを特徴とする生体吸収性多孔質担体の製造方法。
- 一般式(II)で表される繰り返し単位からなる4−m個のポリエステル鎖が、qの価が2種である繰り返し単位からなるものであることを特徴とする請求項1記載の生体吸収性多孔質担体の製造方法。
- 前記一般式(II)で表される繰り返し単位からなる4−m個のポリエステル鎖が、qの価が0でR3が水素原子またはメチル基である繰り返し単位と、qの価が4でR3が水素原子である繰り返し単位とからなる請求項2記載の生体吸収性多孔質担体の製造方法。
- 前記一般式(II)で表される繰り返し単位からなる4−m個のポリエステル鎖が、qの価が0でR3がメチル基である繰り返し単位と、qの価が4でR3が水素原子である繰り返し単位とからなる請求項2記載の生体吸収性多孔質担体の製造方法。
- 前記一般式(I)における4−m個のpが1でmが0である請求項1〜4のいずれかに記載の生体吸収性多孔質担体の製造方法。
- 前記一般式1の記載のポリエステル系多官能性マクロモノマーの有機溶剤溶液に、さらに着色剤をも加えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の生体吸収性多孔質担体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかの方法によって製造される生体吸収性多孔質担体。
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