JP3651471B2 - 液晶表示装置の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示装置の製造方法及び製造装置に係り、特に、2枚の基板をシール材を介して貼り合わせることによって構成された液晶セルを製造するための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示装置の製造方法としては種々のものがあるが、一般的に以下のような方法が採られている。まず、2枚のガラス基板の内面上に配線層や画素電極をそれぞれ形成し、必要に応じてアクティブ素子やカラーフィルタ等をも形成する。次に、2枚のガラス基板のいずれか一方に、1箇所の開口部を残したまま液晶表示領域を取り囲むようにしてシール材を塗布し、このシール材を介して他方のガラス基板を貼り付ける。
【0003】
2枚のガラス基板は貼着された状態で相互にプレス装置によって所定の圧力で圧着され、その後、圧着された2枚のガラス基板に対して光や熱を加えてシール材を硬化させ、液晶セルが形成される。液晶セルには、減圧下にて上記シール材の開口部から液晶が注入され、注入完了後、開口部が封止される。
【0004】
ガラス基板の圧着工程やシール材の硬化工程は、液晶セルの種類によって様々な方法にて行われる。例えば、ガラス基板の間に多数のスペーサを分散配置する場合には、2枚のガラス基板を加圧して仮圧着させ、そのままの状態で、或いは別の治具に移し替えてガラス基板の間隔を保持したまま、シール材を硬化させることによって、正確なセルギャップを有する液晶セルを形成できる。
【0005】
また、ガラス基板の間にはスペーサを配置しないが、シール材の中に所望のセルギャップと同様の大きさを備えたスペーサを混入させておき、シール材の存在する部分に圧力を加えて仮圧着し、その後、シール材を硬化させる場合もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の液晶表示装置の製造方法においては、2枚のガラス基板の貼り合わせ時において、基板間の平面位置を必ずしも正確に設定することができず、その結果、2枚のガラス基板間の組みずれが発生し、ガラス基板の内面上に形成されている画素構造のずれに起因する表示特性のばらつきや劣化が問題となる。
【0007】
また、他方のガラス基板を大判のままとし、一方のガラス基板を液晶表示セルに対応した小型基板として製造する方法においては、複数の小型基板に対して一度に圧着、仮硬化を行うと、圧着時の圧力やシール材の硬化度合いに応じてガラス基板の変形度合いが大きく変化するため、液晶セルが完成した後のガラス基板に反りや凹みが発生して、セルギャップの均一な液晶セルを形成することが困難であるという問題点もある。一方、小型基板に対して個々に圧着及び仮硬化を行おうとすると、小型基板毎に位置決め作業を行わなければならないため、処理時間がかかることが予想される。
【0008】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、基板間の組みずれを低減するとともに、液晶セルを構成する基板の反りや凹みを低減して、正確かつ均一なセルギャップを形成することのできる液晶表示装置の製造方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、2枚の基板をシール材を介して貼着し、前記基板の間に液晶を注入してなる液晶表示装置の製造方法において、一方の前記基板を未硬化の前記シール材を介して他方の前記基板に対して所定の圧力で圧着した状態で、前記シール材を半硬化させる仮硬化工程と、該仮硬化工程において圧着された2枚の前記基板に対して前記圧力を解放した状態で前記シール材を硬化させる本硬化工程とを有することを特徴とする。
【0010】
この手段によれば、仮硬化工程において2枚の基板を所定の圧力で圧着した状態でシール材を半硬化させ、その後に、本硬化工程において圧力を解放した状態でシール材を硬化させることにより、仮硬化工程において圧着時の圧力によって変形された基板は、仮硬化工程が終了し圧力が解放された時点で、半硬化されたシール材の適度な束縛力及び基板の復元力によって基板形状が適度に復元され、基板の変形が修正されるため、その後の本硬化工程によって圧力を加えずにシール材を硬化させることによって、形成された液晶セルにおける基板の平坦性やセルギャップの均一性を確保することができる。
【0011】
ここで、前記仮硬化工程においては、前記圧力に対して前記仮硬化工程の終了後の前記圧力の解放後に前記基板がほぼ平坦になるように若しくは前記基板が僅かに反りを有するように前記シール材の硬化度を調整して前記シール材を半硬化させることが好ましい。
【0012】
この手段によれば、仮硬化工程において付与する圧力に対してシール材の硬化度を調節することによって、仮硬化工程終了後の液晶セルにおける基板の平坦性やセルギャップの均一性を制御することができる。シール材の硬化度が低いとシール材の束縛力が弱くなるために基板の復元力が勝り、基板の平坦性を制御することが困難になる。一方、シール材の硬化度が高くなるとシール材の束縛力が強くなり、圧着状態における基板形状を強く反映するようになるので、圧着時に基板が変形している場合にはその変形が残り、また、圧着時に基板をなるべく変形させないようにすると基板の本来の歪みが反映されたり、基板のシール不良が発生したりする可能性が高くなる。
【0013】
また、前記仮硬化工程においては、一方の前記基板を未硬化の前記シール材を介して他方の前記基板に対して所定の圧力で圧着し、一方の前記基板を他方の前記基板に対してアライメントするアライメント段階と、前記所定の圧力とほぼ同様の圧力で加圧した状態で前記シール材を半硬化させる半硬化段階とを有することが好ましい。
【0014】
この手段によれば、アライメント段階において一方の基板と他方の基板とを圧着させた状態でアライメントを行い、その後の半硬化段階においては、アライメント時の加圧力をほとんど変えることなくほぼ同じ加圧力で圧着させた状態でシール材を硬化させるようにしているので、アライメント後の位置ずれの発生を抑制することができるため、基板間の組みずれを防止するとともに基板間隔の精度及び均一性も向上させることができる。
【0015】
この場合にはさらに、前記アライメント段階の前に、前記所定の圧力よりも低い圧力で加圧した状態で一方の前記基板を他方の前記基板に対して粗く位置合わせを行う位置合わせ段階を有することが望ましい。
【0016】
この手段によれば、位置合わせ段階により、低い圧力で圧着させた状態で位置合わせを行うようにしているため、シール材を大きく変形させることなく、しかも大きな応力を加えることなく位置合わせを行うことができることから、迅速かつシール部の密閉性にも支障を与えずに正確なアライメントを行うことが可能となる。
【0017】
一方、前記シール材を光硬化性を有するものとし、前記本硬化工程においては、透光性を有する冷却ステージ上に前記基板を配置し、該冷却ステージを透過させて前記冷却ステージ側から前記シール材に光を照射することが好ましい。
【0018】
この手段によれば、冷却ステージによって冷却を行っている側から光を照射するため、液晶セルの冷却効率が高くなり、液晶セルを過熱させることなく光硬化処理を行うことが可能になる。
【0019】
また、前記シール材を光硬化性を有するものとし、前記本硬化工程においては、一方の前記基板側から前記シール材に光を照射する段階と、他方の前記基板側から前記シール材に光を照射する段階とを有することが好ましい。
【0020】
この手段によれば、液晶セルに対して表裏両側からそれぞれ別の段階として光を照射しているので、シール材の硬化効率を高めることができ、その結果、迅速に、かつ、液晶セルを過熱させることなく光硬化処理を行うことが可能になる。
【0021】
さらに、前記シール材を光硬化性を有するものとし、前記本硬化工程においては、前記シール材に対して所定周波数で断続若しくは増減された光を照射することが好ましい。
【0022】
この手段によれば、所定周波数で断続若しくは増減された光を照射することによって、光強度と周波数を液晶セルに対して適度に設定することによって、液晶セルの過熱を防止することが可能になる。
【0023】
また、上記課題を解決するため本発明が講じた手段は、光硬化性のシール材を介して配置された一対の基板のうち一方の基板を、透光性を有するステージに載置して他方の基板と貼着する液晶表示装置の製造方法であって、前記他方の基板側から前記シール材に光を照射する工程と、しかる後に、前記一方の基板側から前記ステージを介して前記シール材に光を照射する工程と、を具備することを特徴とする。なおこの場合において、前記一方の基板に照射される前記光の照射、又は前記他方の基板に照射される前記光の照射は、断続的に行われることが好ましい。また、前記ステージは冷却機構を備え、前記冷却機構により前記ステージを冷却しつつ前記シール材に前記光を照射することが好ましい。また、冷却エアを前記他方の基板に吹き付けながら前記シール材に光を照射することが好ましい。また、前記他方の基板は前記一方の基板よりも小さく、前記一方の基板に複数の前記他方の基板が貼着されることが好ましい。
【0024】
さらに上記課題を解決するため本発明が講じた手段は、光硬化性のシール材を介して配置された一対の基板のうち一方の基板をステージに載置して、他方の基板と貼着する液晶表示装置の製造装置であって、前記シール材を硬化させるための光を照射する複数の光源と、前記一方の基板を載置する第1のステージ及び透光性を有する第2のステージと、を具備し、前記複数の光源は、前記第1のステージに対して前記一方の基板を載置する側と、前記第2のステージに対して前記一方の基板を載置する側とは反対側とに設けられてなり、前記第1のステージに前記一対の基板を載置して前記シール材に前記光を照射した後に、前記第2のステージに前記一対の基板を載置し、前記ステージを介して前記シール材に前記光を照射することを特徴とする。なおこの場合において、前記第1および第2のステージの少なくとも一つは、冷却機構を備えてなることが好ましい。また、前記冷却機構は、冷却水をステージの内部に流通させて前記ステージを冷却するものであることが好ましい。また、前記一対の基板に冷却エアを吹き付ける冷却ノズルをさらに備えることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。図1は本発明に係る液晶表示装置の製造装置(基板貼り合わせ装置)の実施形態の概略構造を示すものである。
【0026】
この実施形態においては、XYテーブル10の上面に緩衝材11が載置され、この緩衝材11の表面上にガラス等からなる大判基板31が配置されている。大判基板31の表面上には、予めディスペンサ等によって紫外線硬化性樹脂からなるシール材32が液晶封入領域を取り囲むようにして塗布されている。このシール材には図示しないスペーサが混入されている。シール材32の上には、後述する圧着ヘッド20によってガラス等からなる小型基板33が圧着され、その後、シール材32は半硬化状態にされる。
【0027】
圧着ヘッド20は、図示しない昇降機構及び油圧、空気圧等を利用した加圧機構によって昇降可能に、かつ、上記大判基板31と小型基板33との間に制御された圧力を印加することができるように構成されている。また、この圧着ヘッド20には、自身を垂直軸を中心に回転可能に構成するためのθ位置合わせ機構が設けられ、このθ位置合わせ機構と、上記XYテーブル10のX方向及びY方向の調整機構とによって、後述するアライメントを行うように構成されている。
【0028】
圧着ヘッド20は、ガラス等の透光性材料からなる圧着ベース21と、この圧着ベース21に対してパッキング23を介して重ねられたガラス等の透光性材料からなる透光性板24と、透光性板24の上方に配置された複数個のアライメント用カメラ25と、透光性板24の上方から紫外線を照射するために紫外線ランプから発せられる光を光ファイバ26aによって導光して照射するように構成された光照射部26とから概略構成される。
【0029】
圧着ベース21の底面には、1.3インチの矩形の小型基板33とほぼ同面積の押圧面部21aが形成されている。この押圧面部21aには、小型基板33のシール材に対する接触領域の上面に当接するように圧着ベース21の底面部の外縁に形成された枠状部と、その内側に形成された吸気用凹部とが設けられている。この吸気用凹部は、圧着ベース21のほぼ中央部に縦に貫通するように形成された吸気孔21bに連通している。圧着ベース21の押圧面部21aの周囲部は遮光板22によって覆われており、後述するシール材の半硬化時に、周囲の他の小型基板33に対応する別のシール材を硬化してしまうことを防止している。
【0030】
吸気孔21bの上部開口は透光性板24との間に設けられた間隙部に開口しており、この間隙部は、透光性板24に設けられた吸気孔24aに連通している。吸気孔24aは、押圧面部21aの平面位置より外側にずれた位置に形成されており、図示しない排気装置に接続された排気管27に接続されている。上記吸気孔21b、間隙部及び吸気孔24aは、押圧面部21aの平面位置内から外側に外れるように形成された吸気通路を構成している。
【0031】
図示しない排気装置の排気弁を開くと、上記吸気孔21b、間隙部及び吸気孔24aからなる吸気通路によって、吸気用凹部から空気が排気されるようになっている。このため、上記圧着ベース21の押圧面部21aに小型基板33を吸着させることができる。
【0032】
次に、上記構造の装置の動作について説明する。まず、図示しない給材位置において小型基板33を押圧面部21aに吸着保持させ、その後、圧着ヘッド20を大判基板31上に移動させ、予め塗布されたシール材32の位置に合わせて下降させる。次に、小型基板33の外縁部をシール材32に接触させるように圧着ヘッド20を降下させ、小型基板33を大判基板31に対して圧着させる。
【0033】
圧着ヘッド20の位置が安定したら、アライメント用カメラ25によって、小型基板33と大判基板31との図示しないアライメント用マークを合わせるようにXYテーブルの位置を修正し、さらに圧着ヘッド20のθ位置合わせ機構により圧着ベース21の回転方向を修正することにより、大判基板31に対して小型基板33が正規の位置にて圧着されるようにアライメントを行う。
【0034】
次に、光照射部26から紫外線を照射してシール材を半硬化させる。このシール材の硬化度合いは、後述するように、形成される液晶セルにおけるガラス基板、特に小型基板33の反りや凹みの度合いに応じて設定される。シール材の半硬化が終了すると、図示しない排気装置の排気弁を閉じ、圧着ヘッド20を上昇させることにより、小型基板33から押圧面部21aを離反させる。このようにして、上記の装置は、大判基板31上の予め定められた位置に複数の小型基板33を順次圧着していくように構成されている。
【0035】
上記圧着ヘッド20の加圧状態を図2に示す。圧着ヘッド20が降下して小型基板33を大判基板31に圧着させると、圧着ヘッド20はまず、加圧力を4kg程度にした状態で保持し、その間に、小型基板33を大判基板31に対して概略の位置修正を行う位置合わせのためのステップ▲1▼を実行する。例えば、このステップ▲1▼においては、上記のアライメント用カメラ25を用いて、或いは他の位置センサ等を用いて、小型基板33を大判基板31上の正規位置に対する位置ずれが5μm以内になるように修正する。このステップ▲1▼の処理時間は約1秒である。
【0036】
次に、圧着ヘッド20の加圧力を高めて加圧力を8kg程度とし、その後、一定に保持する。この状態では、アライメントのためのステップ▲2▼を実行する。このステップ▲2▼においては、上記アライメント用カメラ25を用いて小型基板33の平面位置を大判基板31に対して1μm以内の誤差に収まるように修正する。このステップ▲2▼の処理時間は約6秒である。
【0037】
続いて、圧着ヘッド20の加圧力をそのまま保持し、シール材32の半硬化のためのステップ▲3▼を実行する。このステップ▲3▼においては、上記光照射部26から紫外線を照射し、シール材を完全に硬化させない範囲で、予め決められた程度に硬化させる。このステップ▲3▼の処理時間は約7秒である。
【0038】
本実施形態では、ステップ▲1▼において小さな加圧力で基板を圧着させた状態で粗い位置修正を行い、次に、ステップ▲2▼において最終的な加圧力とした状態で精度の高い位置修正を実施し、その後、ステップ▲3▼において、加圧状態を変化させないまま光を照射してシール材の半硬化を行っている。
【0039】
ステップ▲1▼においては、低い加圧力であるために位置修正が容易であり、大きな修正もシール材に大きな変形をもたらすことなく、また、大きな応力を加えることなく容易に行うことができる。また、ステップ▲2▼においては、最終的な加圧力又はそれに近い加圧力でアライメントを行うため、アライメント後においても基板間の圧着状態に変化がほとんど発生せず、最終的に圧着の完了した液晶セルの組みずれ(2枚の基板間の平面方向のずれ)の発生を防止することができる。
【0040】
また、ステップ▲2▼からステップ▲3▼にかけて加圧力をほとんど変化させないようにしているため、ステップ▲2▼において行ったアライメント精度を維持しつつシール材の硬化を行うことができる。ここで、例えば、図2において破線で示すように、ステップ▲2▼の圧力が大きく、ステップ▲3▼において圧力を低下させると、シール部において基板の浮きが発生し、シール不良やセル厚のばらつき、基板の組みずれ等が発生する。逆に、図2において点線で示すように、ステップ▲2▼の加圧力よりもステップ▲3▼の加圧力を高めると、ステップ▲2▼において折角アライメントをしても、その後に加圧力を高めることによってステップ▲3▼において再び組みずれが発生してしまうという欠点がある。
【0041】
本実施形態では、圧着ベース21によって小型基板33が押圧されることによって、小型基板33は下方向に凸状に変形し(凹み)、また、大型基板31も緩衝材11の変形により下方向に凸状に変形する。圧着ヘッド20の印加する圧力が或る程度大きいと、小型基板33の変形量よりも大型基板31の変形量の方がより大きくなるため、図3(a)の左側に示すように、圧着ヘッド20による加圧時において、液晶セルの中央部においてセルギャップが大きくなる。この状態で加圧力が解放されると、シール材が不完全に硬化されていることにより基板の変形に対する或る程度の束縛力が存在することと、加圧力によって基板が強制的に変形させられていることによって基板の復元力が存在することとによって、図3(a)の右側に示すように、基板の反りが低減されてほぼ平坦な状態になり、液晶セルのセルギャップも均一化される。
【0042】
しかしながら、図3(b)の左側に示すように、加圧力が大きすぎて大型基板31の反り量が大きくなると、図3(b)の右側に示すように、シール材の硬化後加圧力が解放されても基板の反りが残存する場合がある。また、このような基板の反りの残存は、シール材が硬化しすぎてしまった場合には特に、シール材の束縛力によって加圧状態の基板の変形が解消されにくくなることから同様に発生する。
【0043】
本実施形態とは異なり、小型基板同士を圧着させる場合、或いは、大型基板上において複数の小型基板を大きくかつ平坦な一体の加圧面部によって押圧する場合には、本実施形態とは異なる様相を呈する。すなわち、圧着時の加圧力によって上側の基板は下方向に凸状に変形する一方、小型基板同士を圧着させる場合には下側の基板を変形させる力はほとんど発生せず、また、複数の小型基板を一体的に大型基板上で加圧する場合には下側の基板を変形させる力は弱いため、いずれにしても下側の基板の変形量は少なく、図3(c)の左側に示すように、液晶セルの中央部のセルギャップは周囲よりも小さくなる。この状態で加圧力を解放すると、図3(c)の右側に示すように、上側の基板は解放時に凹み状態から反り状態に向かって変形することになる。
【0044】
圧着ヘッド20の加圧力が小さい場合には、図3(d)の左側に示すように、基板はほぼ平坦であり、セルギャップも均一になっているが、加圧力を解放すると、基板に本来備わっていた歪み等に起因して、図3(d)の右側に示すように基板がやや反った形状となったり、或いは逆に凹んだ状態となったりする。
【0045】
逆に、圧着ヘッド20の加圧力がかなり大きくなると、図3(e)の左側に示すように基板は大きく凹んだ状態となり、この状態で、シール材32の硬化を進め過ぎてしまうと、圧力を解放しても、図3(e)の右側に示すように、凹んだ状態のままとなる。
【0046】
上記のように、本実施形態では、シール材を半硬化させることによって、加圧力を解放した際の基板変形の復元作用が発生するため、加圧時に基板が多少反っていても、液晶セルの歪みを低減することができる。したがって、液晶セルの変形を気にすることなく、圧着時には所望のセルギャップを確実に得るために或る程度しっかりと加圧することが可能になり、基板の圧着不良も低減できる。
【0047】
上記の加圧力の解放時における復元量は、シール材の硬化度合いによって変わる。本実施形態における液晶セルの反り量と光照射時間との関係を図4に示す。本実施形態においては、シール材への光照射時間が短すぎると、シール材による基板の束縛力が小さすぎて、小型基板33の本来の歪みに起因して基板の反り量(若しくは凹み量)のばらつきが多くなる。一方、シール材への光照射時間が長すぎると、シール材が硬化しすぎて束縛力が大きくなり、加圧時の基板の反り状態が維持されてしまい、液晶セルは大きな反りを呈することとなる。
【0048】
図4に示す領域Aにおいては、基板の反り量が小さく、しかも、反り量のばらつきも少なく、安定した液晶セルの断面形状が得られる。この場合、領域Aにおいては基板にわずかな反りが存在し、形成された液晶セルは、その中央部においてややセルギャップが大きくなっている。しかし、液晶表示体を形成するに際して、空セルの状態で基板に僅かな反りが存在する方が、完全に基板がフラットである場合よりもより好ましい。これは、後の液晶注入工程においては、液晶セル内を減圧して内外の圧力差によって液晶を注入するようにしているため、基板に僅かな反りがあった方が液晶の注入が円滑に行われ、しかも液晶注入後にほぼ平坦な液晶セルが形成される傾向があるからである。
【0049】
図5には、小型基板同士を圧着させる場合や大型基板上に複数の小型基板を大きくかつ平坦な一体の加圧面部によって押圧したりする場合における液晶セルの反り量とシール材への光照射時間との関係を示す。ここで、横軸よりも上の領域は基板に反りがある場合、横軸よりも下の領域は基板に凹みがある場合を示す。
【0050】
この場合には、液晶セルの反り量は、シール材への光照射時間を長くすることによってほぼ直線的に減少していき、やがて、形成された液晶セルは中央部が凹んだ断面形状を呈するようになる。この場合にも、図5の領域Bとして示すように、光照射時間を調節して、液晶セルの反り量が小さい状態となるようにシール材の硬化度を設定することが好ましい。なお、図5における点線は、圧着ヘッドの加圧力を高めた場合の反り量を示すものである。
【0051】
上記のようにして仮硬化された液晶セルを、圧力を加えない自由な状態で本硬化させる。この本硬化工程は、図6に示す第1段階と、図7に示す第2段階とに分けて実施される。この工程においては、シール材を完全に硬化させることによって、上記の仮硬化工程においてほぼ理想的な状態に形成された液晶セルの形状を外力に耐え得るように変形し難くする。また、後述するように、当該工程において冷却機構を備えた装置によって処理を施すことにより、基板の過熱を抑制し、シール材の硬化時に発生する基板の位置ズレを防止することができる。
【0052】
第1段階においては、図6に示すように、大判基板31上に複数の小型基板33がシール材32を介して接着された状態の液晶セルを、冷却ステージ40の表面上に載置し、上方から紫外線ランプ41によって紫外線を照射する。冷却ステージ40は熱伝導性の高い表面素材が用いられ、その内部には、冷却水が循環して常時ステージ面を冷却している。液晶セルの斜め上方からは、エアノズル42から冷却エアが液晶セルの設置面に沿って吹き付けられる。これらの硬化装置全体はフードや装置のケーシングによって密閉されており、図示しない排気ダクトが取り付けられている。
【0053】
この第1段階は、液晶セルの大判基板31上の電極パッド上に塗布された光硬化性の導電性樹脂(光硬化樹脂に導電性粒子を混練したもの等)を硬化させるためには導電性樹脂が電極パッドの影にならないように小型基板33側から光を照射する必要があることから主として設けられたものである。ただし、この第1段階において、シール材32の硬化も同時に進むようになっている。
【0054】
第2段階においては、図7に示すように、透光性を有する冷却ステージ50の上に液晶セルを載置し、冷却ステージ50の裏面側に紫外線ランプ55を配置して光を照射するようになっている。冷却ステージ50は、2枚のガラス等からなる透光性板51,52をパッキング53を介して固定し、透光性板51と52との間に冷却水を流通させることによって、冷却性能を確保しつつ、透光性を備えたものとされている。なお、エアノズル54は上記と同様に冷却エアを小型基板33上に吹き付けるものであり、また、上記と同様に本装置も周囲から密閉されているとともに、排気ダクトを備えている。
【0055】
この第2段階においては、液晶セルの大判基板31側から光を照射しているとともに、主として光の照射側を冷却しているので、第1段階よりも冷却効率が良好となり、液晶セルを過熱させることなくシール材32を硬化させることができる。
【0056】
上記のように、硬化工程を第1段階と第2段階とに分け、液晶セルの表裏両面から光を照射することによって、シール材32への光照射効率を向上させることができ、シール材32を短時間に均一に硬化させることができる。また、このようにすると効率的にシール材の光硬化を行うことができることから、液晶セルの過熱を防止することもできる。
【0057】
上記の本硬化工程においては、上述のように冷却を行うとともに、さらに、紫外線ランプ41,55からの光照射を断続的に行うことにより、液晶セルの過熱を防止している。本実施形態においては、図8に点線で示すように100秒周期で光照射を断続している。その結果、液晶セルの温度は図8に実線で示すように周期的に昇降し、長時間照射し続けても、従来のように温度がいたずらに上昇することがない。このため、光照射量を多くしても液晶セルの過熱を防止することができる。
【0058】
光照射の断続周期は、液晶セルの放熱性に応じて適宜設定される。断続周期と光照射強度とを最適化することによって、液晶セルを過熱させることなく迅速に硬化を完了させることができる。この光照射は、必ずしも断続させる必要はなく、光照射強度を増減することによっても同様の効果を得ることができる。
【0059】
上記実施形態の製造方法においては、大判基板に対して複数の小型基板を圧着させるように設定された製造工程に適用させているが、本発明は、このような製造工程への適用に限定されるものではなく、複数個の液晶表示体を包含する大判基板同士を圧着する製造工程や、単一の液晶表示体を構成するための小型基板同士を圧着する製造工程にも適用でき、さらに、小型基板を一つずつ圧着させる場合に限らず、例えば、図3(c)〜(e)及び図5にて説明したように、一度に複数の小型基板を圧着させたり、平坦な押圧面部を備えた圧着ヘッドにて圧着させたりするように構成された製造工程に対しても適用することができるものである。
【0060】
本実施形態において採用した方法は、シール材に対して、基板の復元を或る程度許容しつつ、完全な復元を妨げるような或る程度の拘束力を持たせることによって、圧着ヘッドによる加圧によって変形された基板を圧力解放時に或る程度復元させ、その復元状態においてなるべく平坦なセル形状を形成してしまうというものであり、このような方法によってより理想的なセル形状を再現性良く得ることができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば以下の効果を奏する。
【0062】
仮硬化工程において2枚の基板を所定の圧力で圧着した状態でシール材を半硬化させ、その後に、本硬化工程において圧力を解放した状態でシール材を硬化させることにより、仮硬化工程において圧着時の圧力によって変形された基板は、仮硬化工程が終了し圧力が解放された時点で、半硬化されたシール材の適度な束縛力及び基板の復元力によって基板形状が適度に復元され、基板の変形が修正されるため、その後の本硬化工程によって圧力を加えずにシール材を硬化させることによって、形成された液晶セルにおける基板の平坦性やセルギャップの均一性を確保することができる。
【0063】
仮硬化工程において付与する圧力に対してシール材の硬化度を調節することによって、仮硬化工程終了後の液晶セルにおける基板の平坦性やセルギャップの均一性を制御することができる。シール材の硬化度が低いとシール材の束縛力が弱くなるために基板の復元力が勝り、基板の平坦性を制御することが困難になる。一方、シール材の硬化度が高くなるとシール材の束縛力が強くなり、圧着状態における基板形状を強く反映するようになるので、圧着時に基板が変形している場合にはその変形が残り、また、圧着時に基板をなるべく変形させないようにすると基板の本来の歪みが反映されたり、基板のシール不良が発生したりする可能性が高くなる。
【0064】
アライメント段階において一方の基板と他方の基板とを圧着させた状態でアライメントを行い、その後の半硬化段階においては、アライメント時の加圧力をほとんど変えることなくほぼ同じ加圧力で圧着させた状態でシール材を硬化させるようにしているので、アライメント後の位置ずれの発生を抑制することができるため、基板間の組みずれを防止するとともに基板間隔の精度及び均一性も向上させることができる。
【0065】
位置合わせ段階により、低い圧力で圧着させた状態で位置合わせを行うようにしているため、シール材を大きく変形させることなく、しかも大きな応力を加えることなく位置合わせを行うことができることから、迅速かつシール部の密閉性にも支障を与えずに正確なアライメントを行うことが可能となる。
【0066】
冷却ステージによって冷却を行っている側から光を照射するため、液晶セルの冷却効率が高くなり、液晶セルを過熱させることなく光硬化処理を行うことが可能になる。
【0067】
液晶セルに対して表裏両側からそれぞれ別の段階として光を照射しているので、シール材の硬化効率を高めることができ、その結果、迅速に、かつ、液晶セルを過熱させることなく光硬化処理を行うことが可能になる。
【0068】
所定周波数で断続若しくは増減された光を照射することによって、光強度と周波数を液晶セルに対して適度に設定することによって、液晶セルの過熱を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る液晶表示装置の製造装置の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】 本発明に係る液晶表示装置の製造方法の実施形態における仮硬化工程の加圧力を示すタイムチャートである。
【図3】 仮硬化工程の加圧時と加圧力解放後の液晶セルの断面形状を説明するための概念説明図(a)〜(e)である。
【図4】 上記実施形態における液晶セルの反り量と仮硬化工程の光照射時間との関係を示すグラフである。
【図5】 上記実施形態とは異なる方法における液晶セルの反り量と仮硬化工程の光照射時間との関係を示すグラフである。
【図6】 上記実施形態における本硬化工程の第1段階における処理状態を示す装置構成図である。
【図7】 上記実施形態における本硬化工程の第2段階における処理状態を示す装置構成図である。
【図8】 上記実施形態における本硬化工程の光照射サイクルと液晶セルの温度変化とを示すグラフである。
【符号の説明】
10 XYテーブル
11 緩衝材
20 圧着ヘッド
21 圧着ベース
21a 押圧面部
21b 吸気孔
24 透光性板
24a 吸気孔
25 アライメント用カメラ
26 光照射部
27 排気管
Claims (3)
- 光硬化性のシール材を介して配置された一対の基板のうち一方の基板をステージに載置して、他方の基板と粘着する液晶表示装置の製造装置であって、
前記シール材を硬化させるための光を照射する複数の光源と、
前記一方の基板を載置する第1のステージ及び透光性を有しかつ冷却機構を備えた第2のステージと、を具備し、
前記複数の光源は、前記第1のステージに対して前記一方の基板を載置する側と、前記第2のステージに対して前記一方の基板を載置する側とは反対側とに設けられてなり、
前記第1のステージに前記一対の基板を載置して前記シール材に前記光を照射した後に、前記第2のステージに前記一対の基板を載置し、前記第2のステージを介して前記シール材に前記光を照射することを特徴とする液晶表示装置の製造装置。 - 前記冷却機構は、冷却水を前記第2のステージの内部に流通させて前記第2のステージを冷却するものであることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の製造装置。
- 前記一対の基板に冷却エアを吹き付ける冷却ノズルをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の製造装置。
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