JP3650778B2 - 負帰還型デジタル加速度換振器並びに加速度地震計及び観測システム - Google Patents

負帰還型デジタル加速度換振器並びに加速度地震計及び観測システム Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振り子系と、該振り子系の変位を検出する変位変換手段と、該変位変換手段の出力を平滑化するフィルタと、該フィルタの出力信号を帰還する帰還手段と、該帰還手段の帰還電流により前記振り子系を静止状態に保つ駆動手段とを備えた負帰還型デジタル加速度換振器並びに加速度地震計及び観測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
地震観測、振動実験及び船舶や航空機の制御等では、加速度換振器が用いられているが、マスースプリング系の機械型換振器では、機構的に測定範囲が制限されるため、サーボ型と称される負帰還型の加速度換振器がその主体である。これは、零位法という原理に基づくもので、マスースプリング系のマスを静止状態に保つように常にマスの動きに反比例する力を加えて、その力に相当する入力を測定するものである。現在の地震観測では、この負帰還型加速度換振器が、強震計や地中埋設用加速度換振器に用いられている。
【0003】
まず、現在の主流である負帰還型の加速度換振器について説明する。図12は従来の負帰還型加速度換振器の構成例を示す図、図13は図12に示す加速度換振器のブロック図であり、41は永久磁石、42は駆動コイル、43は振り子、44はバネ、45は変位変換器、46は増幅器、47、48は帰還回路でそれぞれ帰還抵抗と微分回路、Rは負荷抵抗を示す。
【0004】
従来の負帰還型加速度換振器は、例えば図12に示すようにバネ44を介して振り子43を支持して、振り子43の変位を変位変換器45で検出して増幅器46で増幅し、この変位量を永久磁石41と対向配置した駆動コイル42に帰還するように構成し、駆動コイル42の駆動信号を計測信号として取り出すものである。
【0005】
この負帰還型加速度換振器には、図12(A)に示すように帰還回路47を帰還抵抗で構成し、帰還抵抗を通して検出変位に比例する信号を駆動部の駆動コイル42への帰還量とする方式や、図12(B)に示すように帰還回路48を微分回路で構成し、微分回路を通して検出変位の微分量に比例する信号を駆動部の駆動コイル42への帰還量とする方式があり、加速度Aout もしくは速度Vout を測定する換振器として構成している。さらに、帰還回路を2階の微分回路で構成すれば、検出信号の2階微分量に比例した帰還電流を負帰還し、各微分信号を速度と加速度の検出信号として取り出すことも可能である。この場合、負帰還回路への入力信号が変位の検出信号となる。
【0006】
上記従来の負帰還型加速度換振器は、図13に示すブロック図で表現することが可能であり、振り子系、変位変換器、増幅器からなる開回路のアナログ電圧出力を帰還回路に入力し、駆動装置に帰還している。全て連続信号であるアナログ信号の伝播で説明され、その出力は、理想的にG/mRで与えられる。ここで、Gは駆動コイル感度、mは振り子の質量、Rは負荷抵抗である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の負帰還型加速度換振器は、その出力に等しいアナログ電圧(帰還電圧)が帰還回路に印加され、開回路の増幅度を十分大きくしたとき、帰還回路でもって加速度換振器の特性を決定するものであるが、実際には、その実機構成と使用において以下に述べるようにな問題を有している。
【0008】
(1)出力端に接続する負荷の影響や実装技術の限界により、理想的な帰還電圧がえれらず、加速度換振器の分解能を制限している。
【0009】
(2)従来のアナログ式の負帰還型加速度換振器では、十分な帰還量を得るため、帰還回路に半導体を用いた増幅器を使用している。そのため、低周波数域の計測で1/fノイズの影響が現れ、地震観測のような低周波数観測の限界となっている。
【0010】
(3)従って、傾斜観測から強震観測までの加速度計測には、それぞれ専用の換振器を必要としていた。これは、実際の観測や記録システムの負担を大きいものとしている。従来の負帰還型加速度換振器で上記のような観測形態を試みたり、正確な精度を必要とするミサイル制御等では、水晶バネを用いた振り子系で、20週以上の長時間連続試験を経た換振器のみが要求される。これは、非常に高価なものとなる。
【0011】
(4)従来の負帰還型加速度換振器は、その出力インピーダンスが通常数kΩとなり、出力側に接続する記録装置(システム)との間で相互干渉を起こす。特に、地中地震観測に代表されるように、加速度換振器と記録装置の間の距離が長い場合は、ノイズ等の外乱を受けやすいアナログ観測システムとなる。
【0012】
(5)従来の負帰還型加速度換振器は、そのアナログ出力をネットワーク上等で共有するために、高価な設備が要求され、現実的なものとなっていない。しかしながら、昨今の観測系は、ネットワーク上での加速度信号の共有を要請している。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであって、加速度換振器の後段より外乱ノイズ等の影響の少ない、高分解能、広ダイナミックレンジのデジタル信号を取り出せるようにするものである。
【0014】
そのために本発明は、負帰還型デジタル加速度換振器として、振り子系と、該振り子系の変位を検出する変位変換手段と、該変位変換手段により得られた変位信号を微分する微分フィルタと、1ビットA/D変換器及び1ビットD/A変換器を有し前記微分フィルタの出力信号を前記1ビットA/D変換器によりデジタル信号に変換し、前記デジタル信号を前記1ビットD/A変換器によりアナログ信号に変換するデジタル処理手段と、前記1ビットD/A変換器により変換したアナログ信号を前記振り子系に制御電流として帰還する帰還手段と、該帰還手段の制御電流により前記振り子系を静止状態に保つ駆動手段とを備え、前記デジタル処理手段より前記1ビットA/D変換器により変換したデジタル信号の変調信号を取り出すことを特徴とするものである。
【0015】
また、このような負帰還型デジタル加速度換振器と負帰還型デジタル加速度換振器のデジタル変調信号を記録する記録端末からなる加速度地震計を構成し、複数の負帰還型デジタル加速度換振器と前記複数の負帰還型デジタル加速度換振器のデジタル変調信号を記録する複数の記録端末と前記複数の負帰還型デジタル加速度換振器及び複数の記録端末の間を接続するネットーワクからなる観測システムを構成することを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る負帰還式デジタル加速度換振器の実施の形態を示す図であり、1は振り子系、2は変位変換器、3は増幅器、4は帰還回路、5は駆動装置、6はデジタル回路を示す。
【0017】
図1において、振り子系1、変位変換器2、増幅器3、帰還回路4、駆動装置5からなる負帰還ループの部分は、例えば先に図12で説明した従来の負帰還式加速度換振器と同じである。すなわち、振り子系1、駆動装置5の部分は、図12に示すように振り子やバネ、永久磁石、駆動コイルからなり、振り子は、バネを介して支持されて外力の作用によって振動し、永久磁石は、非計測部であるフレームに固定され、駆動コイルは、永久磁石と対向配置されて帰還電流により振り子の振動を静止状態に保つ駆動部を構成する。変位変換器2は、例えば振り子の変位量をコンデンサの容量変位等に基づき検出し、増幅器3は、変位検出信号を増幅するものである。デジタル回路6は、変位変換器2で検出し増幅器3で増幅した変位信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号を加速度換振器の検出信号として出力すると共に、再度アナログ信号に変換して帰還回路4の入力信号とするものである。
【0018】
本発明に係る負帰還型デジタル加速度換振器では、上記のように図12のブロック図に対応する一点鎖線左側に対し、その右側、増幅器3と帰還回路4との間にデジタル回路6を導入し、これにより一点鎖線左側にある従来の負帰還型加速度換振器の利点を保持しつつ、一点鎖線右側のデジタル回路6により左側のアナログ回路を融合して、安定した帰還量の供給と出力のデジタル化を可能としている。勿論、帰還電流のアナログ出力を得ることも、従来どうりである。
【0019】
上記のように本発明に係る負帰還式デジタル加速度換振器では、マス−スプリング系におけるマス(振り子)のフレームに対する相対変位を変位変換器2で電気信号に変換し、一旦デジタル信号にした後再度アナログ信号に戻して帰還回路を用いて帰還電流を駆動装置に帰還することにより、マスを平衡位置に戻すための力を発生させている。デジタル回路6の開回路部分では、増幅器3で増幅した変位変換器2の検出信号を入力としてデジタル信号に変換することでダイナミックレンジの広いデジタル信号を得ることができ、これを検出信号として次段へ送信することができる。
【0020】
図2は本発明に係る負帰還式デジタル加速度換振器におけるデジタル回路の実施の形態を示す図、図3は本発明に係る負帰還式デジタル加速度換振器におけるデジタル回路の他の実施の形態を示す図である。図中、11は1ビットA/D変換器、12はデジタルフィルタ、13はD/A変換器、14はデジタル変調器、15は1ビットD/A変換器を示す。
【0021】
図2に示す実施の形態は、1ビットA/D変換器11とデジタルフィルタ12を開回路側に、D/A変換器13を帰還回路側に配置したものである。1ビットA/D変換器11は、高速のオーバーサンプリングを行うものであり、その入力が正値の場合は「1」を出力し、負値の場合は「−1」を出力する1ビットA/D変換を行い、デジタルフィルタ12は、1ビットA/D変換器11の1ビット出力を任意ビットのデジタル信号に変換している。このデジタル信号を負帰還式デジタル加速度換振器の検出信号として出力すると共に、D/A変換器13でアナログ信号に変換し、帰還回路4に入力し駆動装置5への帰還電流として帰還している。
【0022】
また、図3に示す実施の形態は、デジタル変調器14を開回路側に、1ビットD/A変換器15を帰還回路側に配置したものである。デジタル変調器14は、1ビットA/D変換器を含み、帰還回路側に1ビットD/A変換器15を用いるのは、開回路の最終段に後述する図4、図5に示すように比較器24を用いるためである。
【0023】
1ビットD/A変換器15は、比較器24の1ビットデジタル出力をアナログ値に変換するスイッチである。これは、換振器全体をアナログ・デジタル混在回路として構成し、Σーδ型の回路とすることから達成されている。Σーδ型のデジタル変調信号出力は、例えば1ビットのA/D変換器と同じ1ビットのパルス密度変調信号(PDM信号)であり、換振器からは、このPDM信号を直に取り出すことが可能となる。即ち、換振器の出力回路部をデジタル化し、1ビットA/D変換信号をデジタル出力する加速度換振器とすることにより問題の解決を見ている。
【0024】
図4は図3に示すデジタル回路のより具体的な実施の形態を示す図、図5は図3に示すデジタル回路のより具体的な他の実施の形態を示す図である。図中、21はフィルタ、22はサンプルホールド回路、23は遅延回路、24は比較器、25は加算器、26は積分器、27は1ビットD/A変換器を示す。
【0025】
図4に示す加速度換振器の具体的な実施の形態は、最も基本的なものであるが、換振器自体を1ビットA/D変換器としてしまうものである。図4における比較器24の位置は、フィルタ21の直後でも可能であり、実機製作上有利である。以下、図4の構成について詳細に説明する。
【0026】
図4において、振り子系1は、先に述べたようにバネと重りから構成され、重りの振動は変位変換器2で変位出力電圧となる。この電圧は、増幅器3で増幅されフィルタ21を通した後、サンプルホールド回路(S/H)22でサンプリング・ホールドされる。サンプルホールド回路22で離散化された信号は、1/Zの遅延回路21により、1標本化時間だけ遅延された後比較器24に入る。比較器24は、正値入力で1を、負値入力で−1を出力するものである。比較器24の出力は、帰還回路4に入る1ビットD/A変換器15の入力となる。
【0027】
1ビットD/A変換器15は、例えばスイッチであって、閾値が0である。即ち、1ビットD/A変換器15は、その入力が1のとき、Vrefなる電圧を出力し、入力が−1のとき、−Vrefなる電圧を出力する。Vrefと−Vrefは、それぞれ正負の基準電圧であり、計測可能範囲の上下限を定める。1ビットD/A変換器15の出力は、帰還回路4により積分される。
【0028】
帰還回路4は、受動素子で構成される1次の低域通過フィルタである。帰還回路4の出力は、駆動装置5と負荷抵抗に帰還電流を流し、質量のある振り子系1の重りを平衡位置に保持する。フィルタ21は、微分系であり、振り子系1がラプラス変換sの2次系であるため、sの2次式で与えられ、図4に示すブロック図を安定に動作させる。つまり、振り子系1と微分フィルタ21を合体したものは、sの2次有理式となる。
【0029】
図4においては、そのデジタル変調信号出力がPDM信号となり、接続する装置もしくはネットワークに対して正確な信号を供給できる。また、デジタル変調信号をデシメーションすることにより、振動加速度のA/D変換値を得ることができるが、そのビット数は後続のデシメーションフィルタの性能に支配され、原則的には任意である。図4に示すブロック図は、負帰還型換振器であるから、増幅器3の増幅度を十分に大きくし、その特性を帰還回路部で決定できる。
【0030】
帰還回路部は、スイッチ(1ビットD/A)、帰還回路(1次のRC低域通過フィルタで、高周波数側で積分作用を有する)、駆動コイル、コイル抵抗、及び負荷抵抗で構成されるため、ノイズの極めて少ない回路となる。加えて、Vrefの値を大きくすれば、受動素子のみの帰還回路部でも、十分な帰還量を得ることができ、分解能及びダイナミックレンジもこれまでのアナログ式の負帰還型地震計と比較して大幅に改善される。
【0031】
本格的なΣーδ変調を用いた加速度換振器のもう1つの実施の形態を示したのが図5である。これは、Σーδ変調器においてノイズシェーピングの効果を上げたものである。図5に示す同一符号の回路部品は、図4と同じである。図4に示す構成との違いは、開回路のΣーδ変調にある。図5に示す実施の形態では、フィルタ21の後で1ビットA/D変換しその出力を帰還部で1ビットD/A変換するという、1連のA/D変換、D/A変換動作を有するΣーδ変調となっている。このように、開回路のΣーδ変調器には、これまでに様々な分野で蓄積されたより複雑で、性能の高い回路構成を用いることができる。
【0032】
図4及び図5の構成は、電気ー機械系である。従って、機械系を電気系で置換し、これらのブロック図の構成を純然たる1ビットA/D変換器とすることができる。即ち、振り子系をsの2次式で、駆動装置と質量を定数値で置換することにより、これらのブロック図の回路は、低周波計測用高分解能型1ビットA/D変換器となる。このA/D変換器は、簡単なデシメーションフィルタを用いても1.2MHzのオーバサンプリングで32ビットの分解能を0〜30Hzにおいて達成できる。このように本発明に係る負帰還型デジタル加速度換振器の構成は、純然たるA/D変換器と等しい構成である。
【0033】
簡単な計算機シミュレーションでは、図5に示す構成でダイナミックレンジ192dB(32ビット)を有する加速度換振器が可能である。これは、例えば上限を2gとしたとき、傾斜計に匹敵する分解能をこの換振器に持たせることが可能となる。図6は図5に示す加速度換振器において正弦波Aを地震波入力としたときの帰還波形Eのシミュレーション例を説明するための図、図7は図6に示す入力波形Aのa部と対応するデジタル変調信号Cの拡大波形を示す図、図8は図6に示す入力波形Aのb部と対応するデジタル変調信号Cの拡大波形を示す図、図9は図6に示す入力波形Aのc部と対応するデジタル変調信号Cの拡大波形を示す図、図10は図6に示す入力波形Aのd部と対応するデジタル変調信号Cの拡大波形を示す図である。
【0034】
図5に示す加速度換振器に図6に示すような片振幅10V、周波数10Hzの正弦波を地震波入力Aとして印加し、このシミュレーションで、1.2MHzのサンプリングでサンプルホールドを動作させると、帰還波形Eに示すように入力波形Aと一致し、この加速度換振器が正常な負帰還動作をしていることが判る。この場合、入力波形Aに対応するデジタル変調信号(ここでは、パルス密度変調信号)は、−1Vと1Vの2値からなる1.2MHzのパルス列となり、その入力波形Aの特徴的な部分a,b,c,dを選択して拡大し対応するデジタル変調信号を示したのが図7〜図10である。これら図7〜図10の意味するところは、デジタル変調信号Cを積分すると入力信号Aになるということである。但し、帰還部の増幅度を乗じる。
【0035】
図11は本発明に係る負帰還型デジタル加速度換振器を用いた加速度地震計及び計測システムの構成例を示す図であり、(A)加速度地震計、(B)はネットワーク計測システム、31は負帰還型デジタル加速度換振器、32は記録端末、33ネットワークを示す。
【0036】
本発明に係る負帰還型デジタル加速度換振器の最も簡単な利用は、一般の地震計として、例えば図11(A)に示すようにデシメーションフィルタ(デジタルフィルタ)と記録媒体を持つ記録端末32を追加することにより可能となる。例えばΣ−δ型の負帰還型デジタル加速度換振器31より1ビットのオーバサンプリングしたデジタル変調信号を次段の記録端末32へ送信し、次段の記録端末32のデシメーションフィルタにより加速度値へ変換される。即ち、オーバサンプリングの加速度換振器を動作させ、そのデジタル変調信号、例えばPDM信号をデシメーションフィルタに接続することにより、デジタル出力を有する加速度地震計が可能となる。
【0037】
デジタル変調信号は、先に述べた帰還回路の負帰還信号からも明らかなように負帰還型デジタル加速度換振器の入力加速度信号と一致する。したがって、オーバサンプリングされたデジタル変調信号をデシメーションすることにより、入力加速度と等しいデジタル値を任意のビット数とサンプリングレートで標本化でき、このようにして標本化した時系列を記録媒体に格納すれば、加速度地震計となる。このような構成により、デシメーションフィルタの設計は自由であり、分解能とサンプリングレートをある程度自由に決めることができる。
【0038】
また、本発明に係る負帰還型デジタル加速度換振器は、デジタル変調信号を出力するため、図11(B)に示すように多数の加速度換振器31をネットワーク33上で利用する計測システムとして構成可能である。例えば負帰還型デジタル加速度換振器31のデジタル変調信号の出力をネットワーク33にLAN接続しても、そのネットワーク33の転送容量は、デジタル変調信号が精々1MHz程度であるため、現状のLANケーブルでも容易に実現できる。ネットワーク33上の変調信号は、TCP−IPプロトコルにより、各記録端末32で変調信号を同定しながら回収できる。記録端末32には、デシメーションフィルタを持たせることにより、各負帰還型デジタル加速度換振器31の出力を任意のビット数とサンプリングレートで取り込むことができる。
【0039】
このような計測システムは、重要構造物の免振制御や制振制御、船舶等巨大構造物の運行制御、地中や地表の地震群列観測等に適用できる。これをアナログ出力の加速度計で構成することは、高価な付帯設備を要することとなり、実現が困難である。
【0040】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、1ビットA/D変換器、1ビットD/A変換器を用いて1ビットでのデジタル変換、アナログ変換を行うようにしたが、同様にして1ビットではなく、数ビット、例えば2〜4ビットでの変換を行うA/D変換器を用いても同様に実現可能であり、さらに性能の向上を図ることも可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、振り子系と、該振り子系の変位を検出する変位変換手段と、該変位変換手段の出力をデジタル信号に変換して再度アナログ信号に変換するデジタル処理手段と、該デジタル処理手段により変換したアナログ信号を帰還する帰還手段と、該帰還手段の帰還電流により振り子系を静止状態に保つ駆動手段とを備え、デジタル処理手段よりデジタル変調信号を取り出すので、後続段に通常のA/D変換器を用いなくても、外乱ノイズ等の影響が少ない高分解能、広ダイナミックレンジのデジタル出力を取り出すことができる。即ち、2gの強震動レベルから傾斜系の信号レベル迄を1台の負帰還型デジタル加速度換振器でカバーできる。
【0042】
デジタル回路、帰還回路では、Σーδ変調型の1ビットA/D変換機能と1ビットD/A信号出力の積分機能を配置して構成することができ、デジタル検出信号としてパルス密度変調信号を出力し、後段のデシメーションフィルタにより、分解能とサンプリングレートを自由に設計できる。これは、高分解能、広ダイナミックレンジを有する記録部を持つ地震計の製造を可能とする。また、パルス密度変調信号は、計測システムをネットワーク化するのに容易であり、ローカルな地震計網等が構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る負帰還式デジタル加速度換振器の実施の形態を示す図である。
【図2】 本発明に係る負帰還式デジタル加速度換振器におけるデジタル回路の実施の形態を示す図である。
【図3】 本発明に係る負帰還式デジタル加速度換振器におけるデジタル回路の他の実施の形態を示す図である。
【図4】 図3に示すデジタル回路のより具体的な実施の形態を示す図である。
【図5】 図3に示すデジタル回路のより具体的な他の実施の形態を示す図である。
【図6】 図5に示す加速度換振器において正弦波Aを地震波入力としたときの帰還波形Eのシミュレーション例を説明するための図である。
【図7】 図6に示す入力波形Aのa部と対応するデジタル変調信号Cの拡大波形を示す図である。
【図8】 図6に示す入力波形Aのb部と対応するデジタル変調信号Cの拡大波形を示す図である。
【図9】 図6に示す入力波形Aのc部と対応するデジタル変調信号Cの拡大波形を示す図である。
【図10】 図6に示す入力波形Aのd部と対応するデジタル変調信号Cの拡大波形を示す図である。
【図11】 本発明に係る負帰還型デジタル加速度換振器を用いた加速度地震計及び計測システムの構成例を示す図である。
【図12】 従来の負帰還型加速度換振器の構成例を示す図である。
【図13】 従来の負帰還型加速度換振器のブロック図である。
【符号の説明】
1…振り子系、2…変位変換器、3…増幅器、4…帰還回路、5…駆動装置、6…デジタル回路

Claims (3)

  1. 振り子系と、該振り子系の変位を検出する変位変換手段と、該変位変換手段により得られた変位信号を微分する微分フィルタと、1ビットA/D変換器及び1ビットD/A変換器を有し前記微分フィルタの出力信号を前記1ビットA/D変換器によりデジタル信号に変換し、前記デジタル信号を前記1ビットD/A変換器によりアナログ信号に変換するデジタル処理手段と、前記1ビットD/A変換器により変換したアナログ信号を前記振り子系に制御電流として帰還する帰還手段と、該帰還手段の制御電流により前記振り子系を静止状態に保つ駆動手段とを備え、前記デジタル処理手段より前記1ビットA/D変換器により変換したデジタル信号の変調信号を取り出すことを特徴とする負帰還型デジタル加速度換振器。
  2. デジタル処理手段を有し該デジタル処理手段よりデジタル変調信号を出力する負帰還型デジタル加速度換振器と前記負帰還型デジタル加速度換振器のデジタル変調信号を記録する記録端末からなり、
    前記負帰還型デジタル加速度換振器は、
    振り子系と、該振り子系の変位を検出する変位変換手段と、該変位変換手段により得られた変位信号を微分する微分フィルタと、1ビットA/D変換器及び1ビットD/A変換器を有し前記微分フィルタの出力信号を前記1ビットA/D変換器によりデジタル信号に変換し、前記デジタル信号を前記1ビットD/A変換器によりアナログ信号に変換するデジタル処理手段と、前記1ビットD/A変換器により変換したアナログ信号を前記振り子系に制御電流として帰還する帰還手段と、該帰還手段の制御電流により前記振り子系を静止状態に保つ駆動手段とを備えたことを特徴とする負帰還型デジタル加速度換振器を用いた加速度地震計。
  3. デジタル処理手段を有し該デジタル処理手段よりデジタル変調信号を出力する複数の負帰還型デジタル加速度換振器と前記複数の負帰還型デジタル加速度換振器のデジタル変調信号を記録する複数の記録端末と前記複数の負帰還型デジタル加速度換振器及び複数の記録端末の間を接続するネットーワクからなり、
    前記負帰還型デジタル加速度換振器は、
    振り子系と、該振り子系の変位を検出する変位変換手段と、該変位変換手段により得られた変位信号を微分する微分フィルタと、1ビットA/D変換器及び1ビットD/A変換器を有し前記微分フィルタの出力信号を前記1ビットA/D変換器によりデジタル信号に変換し、前記デジタル信号を前記1ビットD/A変換器によりアナログ信号に変換するデジタル処理手段と、前記1ビットD/A変換器により変換したアナログ信号を前記振り子系に制御電流として帰還する帰還手段と、該帰還手段の制御電流により前記振り子系を静止状態に保つ駆動手段とを備えたことを特徴とする負帰還型デジタル加速度換振器を用いた観測システム。
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