JP3649648B2 - 光ピックアップスライダ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、近接場光を利用した高密度記録媒体上を空気流れにより所定の高さで浮上する光ピックアップスライダ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近接場光を利用した高密度の情報記録装置においては、例えば特開平9−198830号公報に示されているように、光ピックアップのスライダを記録媒体ディスクの回転に伴う空気流により記録媒体表面から数百nm以下の距離に浮かせて記録媒体への情報の記録と読み出しを行っている。特開平9−198830号公報に示されたスライダ61は、図16に示すように、記録媒体と対向する面とその反対側の面を貫通する円錐形をした穴62を設け、記録媒体と対向する面に微小開口63を形成している。この円錐形の穴62の大きな開口部分から光を入射して微小開口63の近傍で近接場光を発生させるようにしている。
【0003】
このスライダ61を用いた情報記録装置のヘッドは、図17に示すようにスライダ61の記録媒体14と対向している面と反対側に光源11とレンズ12が設置されており、光源11からの光をレンズ12を介してスライダ61に形成された穴62に照射する。この光により微小開口63で発生する近接場光を記録媒体14に照射する。記録媒体14に照射される光は、その径が微小開口63の径程度の大きさになり、この光による記録検出ではその分解能を200nmより高くすることができる。このヘッドによる記録は光源11からの光の強度を変化させることにより、記録媒体14に与えるエネルギを変化させて情報の記録を行う。また、情報の検出は記録媒体14のスライダ61と対向していない側に設置された光検出器64を用いて行う。すなわち、スライダ61の微小開口63で発生した近接場光は記録媒体14に接することにより伝搬光を発生し、その伝搬光を光検出器64で検出することにより、記録媒体14に書き込まれている情報を検出することができる。このようにして近接場光を用いて高密度の記録を行うことができる。
【0004】
また、M.B.Lee, T.Nakano, T.Yatsui, M.Kourogi, K.Tsutsui, N.Atoda, and M.Ohtsu, "Fabrication of Si planar aperture array for high speed near-field optical storage and readout"; Technical digest of the Pacific Rim Conference on Laser and Electro-Optics, Makuhari, Japan,no.WL2, pp91-92, July 1997には、図18に示すように、シリコン単結晶基板に逆円錐状の穴を設けた近接場プローブ71が示されている。この近接場プローブ71を作製するときは、図19(a)に示すように、基板として両面に熱酸化膜73を形成した厚さが270μmの(100)面方位を持つシリコン単結晶基板72を用い、図19(b)に示すように、熱酸化膜73にフォトレジスト74を塗布して10μm×10μmの開口をフォトリソグラフィ・エッチングで作製する。この後、図19(c)に示すように、10重量%の濃度で80℃のKOH溶液によりシリコンの単結晶異方性エッチングを行う。これによりシリコン単結晶基板の(111)面に囲まれた逆ピラミッド状の穴75を形成する。次ぎに図19(d)に示すように、両面にフォトレジスト74を塗布して、裏面に大きな開口の熱酸化膜パターンをフォトリソグラフィ・エッチングで作製し、図19(e)に示すように、裏面から再度KOH溶液により、シリコンの単結晶異方性エッチングを行う。このときピラミッド状の穴75の底がサブμmオーダの貫通孔となるようにエッチングを止める。このエッチングを止めるとき、あらかじめエッチング速度を測定しておいて、時間管理によりサブμm以下の開口寸法が得られるようにエッチングを停止する。その後、図19(f)に示すように、ダイシング・ソーまたはエッチングにより熱酸化膜73の縁を除去し、図19(g)に示すように、金76をスパッタしてレーザ光が開口部分以外を通って記録材料に透過光が照射されないようにする。また、エッチングの停止を確実にするために、図20に示すように、中間にSiO2膜77を有するSOI(silicon-on-insulator)基板78を用いる。このような方法により、基板に直径200nmの開口を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−198830号公報に示されたスライダは記録媒体と接する面に直径200nm以下の開口を設け、この穴からエバネッセント波を生じさせるようにしているが、この微細な開口を設ける具体的手段は何ら述べていない。スライダの厚さは一般的に数mmあり、この厚さに200nm以下の非常に微小な開口を開けることは容易でなく、何らかの技術的工夫が必要である。
【0006】
また、図18に示した近接場プローブは、図19に示すように、まずシリコン基板に異方性エッチングにより逆ピラミッド状の穴を設け、その後、裏面からのエッチングにより大きな開口を開ける。この場合、裏面からのエッチング深さにより微小穴の開口寸法が決まる。この開口寸法が数10nmになるように裏面のエッチングを止める手段として、裏面のエッチング速度をあらかじめ測定し、それからエッチング時間を決めて行うとしている。しかし、シリコン基板の厚さは基板間で数10μm程度はばらついている。また、エッチング速度も、エッチング液中に溶解したシリコンの量やエッチング液にとけ込む酸素の量及び微妙な温度などにより大きく変化する。したがって、あらかじめ測定したエッチング速度と基板厚さから数10nmの開口寸法が形成されるようにエッチングを停止することは現実には非常に困難である。
【0007】
また、図20に示すように、SOI基板を用いて、中間に埋設されているSiO2膜を裏面からのエッチング停止用の膜として用いることにより、再現性良く50nm程度の所望の小さい開口を得ることができるが、小さい開口ができる面の周囲に厚い縁ができるため、このままだと記録媒体に数10nmの距離まで開口を近づけることができない。このため縁を除去する必要があるが、このときの開口を有する部分の厚さは10μm程度であるので、縁を除去するとき、あるいは除去した後に非常に破損しやすくなる。これを防止するために、例えば図21あるいは図22の(c)に示すように、シリコン基板72の開口を設ける部分の厚さを薄くして、(e)に示すように、エッチングを行った底に開口を設けるエッチングを行うための酸化シリコンのパターンを形成し、(f)に示すように、異方性エッチングにより穴75を設ける方法も考えられる。この場合、(e)に示すように、フォトレジスト74を塗布する場合に、周囲の縁の部分との段差が数100μmあるので、均一にフォトレジスト74が塗布できず、酸化シリコンのパターを精度良く形成できない。
【0008】
この発明はかかる短所を改善し、開口が破損しにくく、高い精度と再現性で微小な開口を一回のエッチングにより作製することができる光ピックアップスライダ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
また、実際の光ピックアップスライダ10は記録媒体との固着を防止し円滑な浮上を得るために、図23(a)に示すようにスキー51や、(b)に示すパッド52が存在する。これらのスキー51やパッド52を高い精度でかつ再現性良く作製することも目的とする。
【0010】
さらに、光ピックアップスライダにおいては、近接場光を発する使用波長以下の開口と、その周辺に光を照射して開口部分からのみ発する近接場光を記録媒体上のマークの読み取り及び書き込みに使用する。しかし、開口を有する部分の層の厚さが10μm程度であるので、使用する光の波長によっては開口周辺部分から光が透過し、記録媒体に照射され、書込みマーク寸法が大きくなり記録密度が低くなったり、読み取り信号のS/Nが低くなってしまう場合がある。このような短所を改善することも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る光ピックアップスライダは、テーパ状に貫通された穴を有する光導波層の大きい開口側の面に透光性基板を接合した光ピックアップスライダにおいて、前記テーパ状に貫通された穴の傾斜面のみに非透光性材料の膜を設けたことを特徴とする。
【0015】
この非透光性材料の膜を金属又は低抵抗化された半導体で形成すると良い。
【0016】
さらに、非透光性材料の膜を金属と光導波層の共晶体で形成したり、光導波層にSiを使用し、非透光性材料の膜をテーパ状に貫通された穴の傾斜面の表面を低抵抗化して形成しても良い。
【0021】
この発明に係る光ピックアップスライダの製造方法は、第1の基板上に積層され、第1の基板より薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を作製し、光導波層の表面に透光性基板を接合した後、第1の基板を除去して光導波層のテーパ状に貫通した穴の先端微小開口を露出させたことを特徴とする。
【0022】
この発明に係る第2の光ピックアップスライダの製造方法は、第1の基板上に積層されて、第1の基板より薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を作製し、光導波層の表面に透光性基板を接合した後、第1の基板を除去してからテーパ状に貫通した穴の先端の微小開口を有する光導波層の位置にスキー形状又はパッド形状を作製したことを特徴とする。
【0023】
この発明に係る第3の光ピックアップスライダの製造方法は、第1の基板上に積層されて、第1の基板より薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を有するスキー形状又はパッド形状を作製し、光導波層の表面に透光性基板を接合した後、第1の基板を除去してテーパ状に貫通した穴の先端の微小開口を露出させたことを特徴とする。
【0024】
この発明に係る第4の光ピックアップスライダの製造方法は、第1の基板上に積層されて、第1の基板より薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を作製し、テーパ状に貫通した穴の少なくとも斜面に非透光性材料の膜を設けた後、光導波層の表面に透光性基板を接合し、第1の基板を除去してからテーパ状に貫通した穴の先端の微小開口部の非透光性材料を除去して微小開口を露出させたことを特徴とする。
【0025】
この発明に係る第5の光ピックアップスライダの製造方法は、第1の基板上に積層されて、第1の基板より薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を作製し、テーパ状に貫通した穴の斜面に金属と光導波層の共晶体を形成した後、光導波層の表面に透光性基板を接合し、第1の基板を除去して微小開口を露出させたことを特徴とする。
【0026】
この発明に係る第6の光ピックアップスライダの製造方法は、第1の基板上に積層されて、第1の基板より薄い厚さのSi層にテーパ状に貫通した穴を作製し、テーパ状に貫通した穴の斜面の表面を低抵抗化した後、光導波層の表面に透光性基板を接合し、第1の基板を除去して微小開口を露出させたことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
この発明の光ピックアップスライダは、テーパ状に貫通された穴を有する単結晶Si層の微小開口を有する面と反対側の面にガラス基板を接合して微小開口を有する単結晶Si層が破損することを防ぐ。
【0028】
この光ピックアップスライダを作製するときは、単結晶Si基板に積層され、(100)面を上面に有し単結晶Si基板より薄い厚さの単結晶Si層にエッチングでテーパ状に貫通された穴を作製し、単結晶Si層の表面にガラス基板を接合した後、単結晶Si基板を除去して単結晶Si層のテーパ状に貫通された穴の先端微小開口を露出させる。
【0029】
【実施例】
図1はこの発明の一実施例の光ピックアップスライダ(以下、スライダという)の作製工程を示す工程図である。図1(a)に示すように、基板1は厚さが数100μmの単結晶Si(シリコン)基板2上に約1μmのSiO2層3と(100)面を上面に有する約10μmの単結晶Si層4が積層されているいわゆるSOI基板を用い、単結晶Si層4の表面に膜厚数100nmのSiO2層5を有する。このSiO2層5の開口を作製する部分を、図1(a)に示すようにフォトリソグラフィ・エッチングにより除去する。このSiO2層5の除去する部分の寸法は開口の寸法は、単結晶Si層4とSiO2層3の界面における穴底面の開口寸法が数10nmから数100nmになるように見込んで決める。例えば単結晶Si層4の厚さがtで、単結晶Si層4とSiO2層3の界面における穴底面の開口寸法、すなわち最終的に近接場光が発生する開口寸法をaにする場合、以下に示すアルカリエッチングによるシリコンの結晶軸異方性エッチングで開口を形成するとする。この場合、SiO2層5を除去する部分の寸法Dは下記式で決定される。
D=(2t/tan54.74)+a
例えば、単結晶Si層4の厚さt=10μm、開口寸法a=100nm=0.1μmにする場合、SiO2層5を除去する部分の寸法Dは14.24μmに作製する。次ぎに、図1(b)に示すように、単結晶Si層4をアルカリエッチングによりエッチングする。このときエッチャントとしては、ヒドラジン(N24・H2O)、KOH、NaOH、CaOH、EDP(Ethylene diamine Pyrocatechol(water))、TMAH(tetramethyl ammoniumhydroxide、(CH34NOH)などの結晶軸異方性エッチャントを用いる。エッチャントの温度は50℃から80℃程度にする。これらのエッチャントは結晶軸異方性エッチャントであり、これにより単結晶Si層4に、(111)面に囲まれたテーパ状に貫通された穴6が形成される。この穴6の先端部分が丁度SiO2層3になるようにすると、穴6の底面が正方形又は長方形になる。この一辺が数10nmから数100nmになるように最上部のSiO2層5のパターニング寸法を決めておく。
【0030】
次ぎに、図1(c)に示すように最上層のSiO2層5を弗酸などで除去する。その後、図1(d)に示すように、使用する光の波長に対して透明である透光性基板例えばガラス層7を単結晶Si層4の上に乗せ、単結晶Si基板2の下面とガラス層7の上面に電極8を圧接させる。この透光性基板は、例えば使用する光の波長が2μm程度から0.4μm程度の場合にはガラスやTiO2を使用し、使用する光の波長が0.4μm以下の場合には、石英ガラスやMgO,Ai23(サファイヤ),Y23,ダイヤモンド等を使用する。例えば透光性基板としてガラスを使用した場合、ガラス層7としては例えば米国コーニング社製#7740又は#7070を用い、その厚さは少なくとも100μmから数mmであり、単結晶Si層4の10倍以上の厚さを有する。このガラス層7を100μm以下にすると、割れやすくて歩止まりが悪くなる。そして窒素ガス中あるいは真空中で350℃に加熱した状態で、単結晶Si基板2側の電極8に正の300V程度の電圧を10分程度印加する。このようにしてガラス層7を単結晶Si層4に接合することができる。また、単結晶Si基板2と単結晶Si層4の間には絶縁層であるSiO2層3があるが、温度が高く電圧も高いので電流が突き抜けたり漏れて接合に必要な電流が流れる。この接合方法を陽極接合という。
【0031】
このガラス層7を接合した後、再びアルカリエッチャントの中に入れて、図1(e)に示すように、単結晶Si基板2をアルカリエッチャントによりエッチングする。エッチャントとして例えばKOHはシリコン以外にガラスの主成分であるSiO2もエッチングするが、ガラス層7は非常に厚いから全てエッチングされることはない。また、単結晶Si層4とガラス層7は非常に強固に接合されているので、両者間にエッチャントが侵入することはないので、単結晶Si層4がエッチングされることはない。したがって単結晶Si基板2のみがエッチングされる。また、SiO2層3はアルカリエッチャントに対するエッチング速度がシリコンの1/100以下であるので、単結晶Si基板2がエッチングされきったところでエッチングを止めることができる。その後、図1(f)に示すようにSiO2層3を弗酸で除去して、単結晶Si層4の穴6の先端に微小開口9が形成される。この後、ダイシングソーで所望の大きさに切断してスライダ10が作製される。ダイシングソーによる切断の際に生じるゴミが微小開口9に詰まることがある場合にはSiO2層3を除去しないままダイシングソーによる切断を行う。この場合、SiO2層3があるのでゴミが微小開口9に入り込むことを防ぐことができる。その後、弗酸によりSiO2層3を除去すれば良い。
【0032】
このように作製されたスライダ10は、図2に示すように、ガラス層7側に設けた光源11から出射したレーザ光をレンズ12により集光させて微小開口9に照射する。ガラス層7の反対側の微小なレーザ光の波長以下の微小開口9から近接場光13が染み出し、開口径とほぼ同じ寸法まで近づいた記録媒体14に開口径とほぼ同じかあるいはそれより小さい大きさのマークを書き込んだり、マークを読み取ったりすることができる。
【0033】
このように作製したスライダ10の特長は、厚さが数10μm程度の単結晶Si層4の厚さ精度は、厚さ数100μm単結晶Si基板2の厚さ精度よりも遥かに高い。したがって、微小開口9を高い寸法精度で作製できる。また、微小開口9を作製のためのSiO2層5をパターニングするときに、周辺に段差がないためレジストのたまりができることがなく、高い精度で開口を形成できる。さらに、厚さが数100μmのガラス層7で単結晶Si層4を支持しているから、厚さが数10μm程度の単結晶Si層4が破損することを防止できる。また、フォトリソグラフィ・エッチングによるパターニングが一回で済み、工程が簡略化されてコストダウンを図ることができる。
【0034】
上記実施例は基板1としてSOI基板を用いた場合について説明したが、基板としてSOI基板以外を使用した場合の第2の実施例について説明する。
【0035】
第2の実施例は、図3の工程図の(a)に示すように、基板21として厚さが数100μmのp型Si基板22に、上面に(100)面を有する厚さが数10μmのn型Si層23が積層され、n型Si層23の表面に膜厚数100nmのSiO2層24を有する。このSiO2層24の開口を作製する部分を、図3(a)に示すようにフォトリソグラフィ・エッチングにより除去する。このSiO2層24の除去する部分の寸法は、n型Si層23とp型Si基板22の界面における穴底面の開口寸法が数10nmから数100nmになるように見込んで決める。SiO2層24を除去する部分の寸法決定方法は第1の実施例と同様に行えば良い。そして、図3(b)に示すように、n型Si層23をアルカリエッチングによりエッチングする。このときのエッチャントとしては、第1の実施例と同様な結晶軸異方性エッチャントを用いる。エッチャントの温度は50℃から80℃ぐらいにする。これにより(111)面に囲まれたテーパ状に貫通した穴25ができる。この穴25の先端部分がn型Si層23とp型Si基板22の境界になるようにすると、境界での穴25の一辺が数10nmから数100nmの正方形または長方形になる。この境界での穴25の一辺が数10nmから数100nmになるように最初のSiO2層24のパターニング寸法を決めておく。
【0036】
次ぎに、図3(c)に示すように、最上層のSiO2層24を弗酸などで除去する。そして、図3(d)に示すように、ガラス層7をn型Si層23の上に乗せ、p型Si基板22の下面とガラス層7の上面に電極8を圧接させる。このガラス層7としては例えば米国コーニング社製#7740又は#7070を用い、その厚さは100μmから数mmぐらいである。そして窒素ガス中あるいは真空中で350℃に加熱した状態で、p型Si基板22側の電極8に正の300V程度の電圧を10分程度印加してガラス層7をn型Si層23に接合する。
【0037】
このガラス層7を接合した後、再びアルカリエッチャントの中に入れて、図3(e)に示すように、p型Si基板22をアルカリエッチャントによりエッチングする。このとき、n型Si層23とエッチャントの中に置かれた参照電極26の間に電圧を印加しながらエッチングを行う。このエッチング装置の概略を図4に示す。すなわちガラス層7を接合したSiウエファ27を例えばヒドラジン(N24・H2O)たKOH等のエッチャントの中に入れ、ヒータ29で加熱して撹拌しながらSiウエファ27とPtの参照電極26の間に電圧を印加してエッチングを行う。このようなエッチングの方法を電気化学エッチングという。このエッチングによりp型Si基板22はエッチングされる。例えばKOHはシリコン以外にガラスの主成分であるSiO2もエッチングするが、ガラス層7は非常に厚いから全てエッチングされることはない。また、n型Si層23とガラス層7は非常に強固に接合されているので、両者間にエッチャントが侵入することはないので、n型Si層23がエッチングされることはなく、p型Si基板22のみがエッチングされる。さらに、電気化学エッチングではn型Si層23が露出するとそれ以上ほとんどエッチングが進まなくなるため、p型Si基板22がエッチングされきったところでエッチングを止めることができる。その後、図3(f)に示すように、ダイシングソーで所望の大きさに切断して微小開口9を有するスライダ10が作製される。
【0038】
次ぎに高濃度p型またはn型Si基板に低濃度p型またはn型Si層が積層された基板を使用した第3の実施例について図5の工程図を参照して説明する。
【0039】
図5(a)に示すように、基板31として厚さが数100μmの高濃度p型又はn型の高濃度Si基板32に、上面に(100)面を有する厚さが数10μmの低濃度p型またはn型の低濃度Si層33が積層され、低濃度Si層33の表面に膜厚数100nmのSiO2層34を有する。ここで高濃度Si基板32と低濃度Si層33の不純物濃度の濃い、薄いが重要であり、p型Siとn型Siの組み合わせはいずれでも良いが、望ましくは低濃度Si層33がn型Siである方が良い。これはガラス層7を陽極接合する場合、電圧印加の時にpn接合が順バイアスされた方が接合されやすいからである。また、高濃度Si基板32の不純物濃度は約1017/cm3より多くし、低濃度Si層33の不純物濃度はの約1017/cm3以下にする。
【0040】
そしてSiO2層34の開口を作製する部分を、図5(a)に示すようにフォトリソグラフィ・エッチングにより除去する。このSiO2層34の除去する部分の寸法は開口の寸法が数10nmから数100nmになるように見込んで決める。そして、図5(b)に示すように、低濃度Si層33をアルカリエッチングによりエッチングする。このときのエッチャントとしては、第1,第2の実施例と同様な結晶軸異方性エッチャントを用い、エッチャントの温度は50℃から80℃ぐらいにする。これにより(111)面に囲まれたテーパ状に貫通した穴35ができる。この穴35の先端部分が低濃度Si層33と高濃度Si基板32の境界になるようにすると、境界での穴35の一辺が数10nmから数100nmの正方形または長方形になる。この境界での穴35の一辺が数10nmから数100nmになるように最初のSiO2層34のパターニング寸法を決めておく。
【0041】
次ぎに、図5(c)に示すように、最上層のSiO2層34を弗酸などで除去する。そして、図5(d)に示すように、ガラス層7を低濃度Si層33の上に乗せ、高濃度Si基板32の下面とガラス層7の上面に電極8を圧接して電圧を印加して、ガラス層7を低濃度Si層33に陽極接合する。
【0042】
このガラス層7を接合した後、弗酸硝酸のエッチャントに漬ける。エッチャント組成は、HF:HNO3:H2O=1:3:8(体積比)、又はHF:HNO3:CH3COOH=1:3:8(体積比)とする。このエッチャントはSiの不純物が約1017/cm3より少なくなると、それより多い場合よりもエッチング速度が1/150と小さくなる。このエッチャントはSi以外にガラスの主成分であるSiO2もエッチングするが、ガラス層7は非常に厚いので全てエッチングされることはない。また、低濃度Si層33とガラス層7は非常に強固に接合されているので、両者間にエッチャントが侵入することはないので、低濃度Si層33はエッチングされず、高濃度Si基板32だけがエッチングされる。そして高濃度Si基板32がエッチングされ、低濃度Si層33がエッチャントに露出してもエッチングは殆ど進まなくなるため、高濃度Si基板32がエッチングされきったところでエッチングを止めることができる。その後、図5(f)に示すように、ダイシングソーで所望の大きさに切断して微小開口9を有するスライダ10が作製される。
【0043】
次ぎにn型Si基板に高濃度p型Si層が積層された基板を使用した第4の実施例について図6の工程図を参照して説明する。
【0044】
図6(a)に示すように、基板41として厚さが数100μmのn型Si基板42に、上面に(100)面を有する厚さが数10μmの高濃度p型Si層43が積層され、高濃度p型Si層43の表面に膜厚数100nmのSiO2層44を有する。高濃度p型Si層43はn型Si基板42のエッチングにKOHを用いる場合は不純物濃度を約1020/cm3より多くし、EDPを用いる場合は約1019/cm3より多くする。
【0045】
そしてSiO2層44の開口を作製する部分を、図6(a)に示すようにフォトリソグラフィ・エッチングにより除去する。このSiO2層44の除去する部分の寸法は開口の寸法が数10nmから数100nmになるように見込んで決める。そして、図6(b)に示すように、高濃度p型Si層43を弗酸硝酸のエッチャント又はRIEによりエッチングする。これにより(111)面に囲まれた逆錐台状の穴45ができる。この穴45の先端部分が高濃度p型Si層43とn型Si基板42の境界で開口寸法が数10nmから数100nmの開口ができるようにエッチングする。
【0046】
次ぎに、図6(c)に示すように、最上層のSiO2層34を弗酸などで除去する。そして、陽極接合時に高濃度p型Si層43に電圧がかかるようにn型Si基板42の一部を除去して電極46を形成する。その後、図6(d)に示すように、ガラス層7を高濃度p型Si層43の上に乗せ、電極46の下面とガラス層7の上面に電極8を圧接して電圧を印加して、ガラス層7を高濃度p型Si層43に陽極接合する。次ぎに、図6(e)電極46を除去して再びアルカリエッチャントの中に入れ、n型Si基板42をエッチングする。このエッチングのときに高濃度p型Si層43が露出するとそれ以上ほとんどエッチングが進まなくなるため、n型Si基板がエッチングされきったところで容易にエッチングを止めることができる。その後、ダイシングソーで所望の大きさに切断して、図6(e)に示す微小開口9を有するスライダ10が作製される。
【0047】
次に上記各実施例により作製されるスライダ10にスキーあるいはパット形状を作製する第5の実施例を図7と図1の工程図を参照して説明する。
【0048】
例えば第1の実施例で図1の(e)に示すように単結晶Si基板2をアルカリエッチャントによりエッチングして、図7(a)に示すように、SiO2層3と穴6を有する単結晶Si層4とガラス層7が積層された状態で、図7(b)に示すように、スキーの形状になるようにSiO2層3をパターニングする。そして、図7(c)に示すように、単結晶Si層4をアルカリエッチャントによりエッチングしてスキー51の形を形成する。なお、スキー51の形を形成するときのエッチャントは、単結晶Si層4をエッチングできれば特にアルカリエッチャントでなくても良い。その後、図7(d)に示すように、SiO2層3を除去し、一辺の寸法が数10nmから数100nmの微小開口9を有するスキー51を作製することができる。このようにして記録媒体14に最も近い位置に微小開口9を設けることができるから、近接場光の記録媒体14への結合効率を高めることができる。
【0049】
上記第5の実施例はスキー51を加工する場合について説明したが、図21に示すパッド52も同様にして加工することができる。また、第5の実施例は第1の実施例に適用した場合について説明したが第2〜第4の実施例にも同様に適用することができる。
【0050】
上記第5の実施例は微小開口9を形成する穴6を形成した後、ガラス層7を接合してからスキー51を形成する場合について説明したが、微小開口9を形成する穴6とスキー51を同時に形成しても良い。この微小開口9を形成する穴6とスキー51を同時に形成する第6の実施例を図8と図1の工程図を参照して説明する。
【0051】
図8(a)に示すように、厚さが数100μmの単結晶Si基板2上に約1μmのSiO2層3と上面に(100)面を有する約10μmの単結晶Si層4が積層されているいわゆるSOI基板を用い、単結晶Si層4の表面に膜厚数100nmのSiO2層5を有する基板1のスキーを作製したいところのSiO2層5をフォトリソグラフィ・エッチングにより除去する。このとき、同時に微小開口9を作製したいところのSiO2層5も除去する。そして図8(b)に示すように単結晶Si層4をアルカリエッチングによりエッチングする。これにより(111)面に囲まれたスキー51の形状ができ、また、図1に示すような、(111)面に囲まれたテーパ状に貫通した穴6ができる。次ぎに、図8(c)に示すように、最上層のSiO2層5を除去する。その後、図8(d)に示すように、単結晶Si層4にガラス層7を陽極接合し、図8(e)に示すように、単結晶Si基板2をアルカリエッチャントによりエッチングして、微小開口9を有するスキー51を作製する。このようにして微小開口9とスキー51を高精度に作製することができる。
【0052】
次ぎにスライダ10の微小開口9の周辺に非透光性材料を形成して、微小開口9の周辺部分から光が透過することを防いだ第7の実施例を図9の工程図を参照して説明する。
【0053】
図9(a)に示すように、厚さが数100μmの単結晶Si基板2上に約1μmのSiO2層3と上面に(100)面を有する約10μmの単結晶Si層4が積層されているいわゆるSOI基板を用い、単結晶Si層4の表面に膜厚数100nmのSiO2層5を有する基板1の微小開口9を作製したいところのSiO2をフォトリソグラフィ・エッチングにより除去する。次ぎに図9(b)に示すように、単結晶Si層4をアルカリエッチングによりエッチングして、(111)面に囲まれたテーパ状に貫通した穴6を形成する。その後、図9(c)に示すように、SiO2層5と穴6の表面に使用する波長の光を透過しない遮光膜53を金属例えばAu,Al,Cr,Ni等や低抵抗化した半導体で形成する。そして図9(d)に示すように、ポジのフォトレジスト54を塗布する。この塗布したフォトレジスト5は穴6に厚く溜まる。そしてプリベークした後、全面露光して現像する。このとき穴6に溜まったフォトレジスト5は平坦部に比べて著しく厚く、平坦部は1μm以下であるので、穴6の底部まで光が届かず、現像しても穴6にはフォトレジストが残る。この状態で、図9(e)に示すように、遮光膜53とSiO2層5をエッチングして除去する。このエッチングのときに穴6のフォトレジスト5がある部分の遮光膜53は除去されないで残る。この穴6にあるフォトレジスト5をアッシャあるいは剥離液で除去した後、図9(f)に示すように、単結晶Si層4に透光性基板であるガラス層7を陽極接合する。その後、図9(g)に示すように、単結晶Si基板2をアルカリエッチャントによりエッチングして除去し、SiO2層3を除去した後、遮光膜53のエッチャントに漬け、微小開口9部分の遮光膜53が除去されたところで、エッチングを止める。このようにして、図9(h)に示すように、微小開口9の傾斜面に遮光膜53を有するスライダ10を作製することができる。
【0054】
したがって、図2に示すように、微小開口9を形成する穴6の傾斜面に光が当たっても、その部分は遮光膜53により遮光され、微小開口9部分の近接場のみが記録媒体14側に発生するから、書込みマーク寸法が大きくなり記録密度が低くなったり、読み取り信号のS/Nが低くってしまうことを防ぐことができる。また、特に透光性基板であるガラス層7と単結晶Si層4との接合に問題がなければ、単結晶Si層4とガラス層7の間あるいはSiO2層5とガラス層7の間に遮光膜53が存在する構成をとっても良い。
【0055】
次ぎにスライダ10の微小開口9の傾斜面に単結晶Si層4と共晶できる膜で非透光膜を形成して、微小開口9の傾斜面から光が透過することを防いだ第8の実施例を図10の工程図を参照して説明する。
【0056】
図10(a)に示すように、厚さが数100μmの単結晶Si基板2上に約1μmのSiO2層3と上面に(100)面を有する約10μmの単結晶Si層4が積層されているいわゆるSOI基板を用い、単結晶Si層4の表面に膜厚数100nmのSiO2層5を有する基板1の微小開口9を作製したいところのSiO2をフォトリソグラフィ・エッチングにより除去する。次ぎに図10(b)に示すように、単結晶Si層4をアルカリエッチングによりエッチングして、(111)面に囲まれたテーパ状に貫通した穴6を形成する。その後、図10(c)に示すように、SiO2層5と穴6の表面に単結晶Si層4と共晶できる膜、例えば金55を堆積する。そして傾斜面のシリコンと金55を385℃で30分間窒素中で共晶化させた後、(d)に示すように、金55をエッチングにより除去して傾斜面に金−シリコン共晶層56だけを残す。その後、図10(e)に示すように、SiO2層5を弗酸で除去する。その後、図10(f)に示すように、単結晶Si層4に透光性基板であるガラス層7を陽極接合し、図10(g)に示すように、単結晶Si基板2をアルカリエッチャントによりエッチングして除去し、図10(h)に示すようにSiO2層3を除去して微小開口9の傾斜面に金−シリコン共晶層56を有するスライダ10を作製することができる。
【0057】
この金−シリコン共晶層56は光を透過しないから、微小開口9を形成する穴6の傾斜面に光が当たっても、その部分は金−シリコン共晶層56により遮光され、微小開口9部分の近接場のみが記録媒体14側に発生することができる。
【0058】
上記実施例は金−シリコン共晶層56で微小開口9を形成する穴6の傾斜面に入射する光を遮光する場合について説明したが、アルミニュームとシリコンの共晶層で傾斜面に入射する光を遮光しても良い。この場合は傾斜面にアルミニュームを堆積した後、700〜800℃で40〜50分間、水素と窒素の混合気体中でシリコンとアルミニュームを共晶化して、アルミニュームとシリコンの共晶層を形成すれば良い。
【0059】
次ぎにスライダ10の微小開口9の傾斜面の単結晶Si層4を低抵抗化して、微小開口9の傾斜面から光が透過することを防いだ第9の実施例を図11の工程図を参照して説明する。
【0060】
図11(a)に示すように、厚さが数100μmの単結晶Si基板2上に約1μmのSiO2層3と上面に(100)面を有する約10μmの単結晶Si層4が積層されているいわゆるSOI基板を用い、単結晶Si層4の表面に膜厚数100nmのSiO2層5を有する基板1の微小開口9を作製したいところのSiO2をフォトリソグラフィ・エッチングにより除去する。次ぎに図11(b)に示すように、単結晶Si層4をアルカリエッチングによりエッチングして、(111)面に囲まれたテーパ状に貫通した穴6を形成する。その後、図11(c)に示すように、単結晶Si層4のテーパ状に貫通した穴6の傾斜面にシリコンを低抵抗化する不純物、例えばボロン,燐,砒素をドーピングして、図11(d)に示すように単結晶Si層4のテーパ状に貫通した穴6の傾斜面にシリコン低抵抗層57を形成する。シリコンは比抵抗が小さくなると、比抵抗が大きいところに比べて光の透過率が著しく低下して遮光膜として機能する。その後、図11(e)に示すように、SiO2層5を弗酸で除去し、図11(f)に示すように、単結晶Si層4に透光性基板であるガラス層7を陽極接合し、図11(g)に示すように、単結晶Si基板2をアルカリエッチャントによりエッチングして除去し、図11(h)に示すようにSiO2層3を除去して微小開口9の傾斜面にシリコン低抵抗層57を有するスライダ10を作製することができる。
【0061】
上記実施例をガラス層7をSi層に陽極接合で接合した場合について説明したが、特に陽極接合に限るわけではなく、常温の直接接合を用いても良い。常温接合は鏡面研磨したシリコンウェファやガラス基板や金属基板をいわゆるRCA洗浄した後、真空チャンバ内でアルゴンのFAB(Fast Atomic Beam)を2枚の基板にそれぞれに300秒程度同時に照射した後、10MPaの圧力で圧着する。これを大気に戻した後の接合強度は12MPa以上になる。
【0062】
また、ガラス層7としてコーニング社の#7740又は#7070を挙げたが、特にこれ限るものではなく、直接接合を用いる場合は石英基板や透光性の樹脂を用いることもできる。特に石英を用いた場合は高温の直接接合により透光性基板とSi層を接合することができる。この方法は、基板表面を充分に洗浄してゴミや汚れを除去して乾燥させ、正常な雰囲気中で面同士を接触させる。この後900℃以上の熱処理を窒素中で行うことにより基板が接合される。また、低融点ガラス(フリットガラス)を用いたガラス接合によりSi層と透光性基板を接合することもできる。
【0063】
さらに、接着材によりSi層と透光性基板を接合しても良い。この場合、透光性基板としてガラス基板を用い、ガラスと屈折率が等しくなるように製造された光学用接着剤(例えば駿河精機製V40-J91)を用いることができる。この場合、接合後にガラス表面と開口の間にできる空間を屈折率が空気より高い接着剤で充填するように接合することにより、微小開口に照射される光ビームスポットを接着剤が充填されていない場合よりも小さくすることができる。したがってレーザ光源11から発した光が近接場光13となって記録媒体14に到達する結合効率を高くすることができる。
【0064】
また、微小開口を形成する基板は特に単結晶Si基板を用いることはなく、数10nmから数100nmの微小開口9を実現できるのであれば化合物半導体や遮光膜を有するガラス基板や樹脂基板あるいは金属基板であっても良い。
【0065】
また、上記各実施例の多くは単結晶Si層4に結晶軸異方性エッチングによりテーパ状に貫通した穴6を開けることにより近接場光を発する微小開口9を形成した場合について説明したが、この発明の目的,効果を達成するためには特にテーパ状に貫通した穴6でなくとも良い。例えば図12に示すように、単結晶Si層4に内壁がほぼ放物面状の穴6aを形成しても良い。この内壁がほぼ放物面状の穴6aを作製する方法としては、エッチング液として例えばフッ硝酸(HF;HNO3;CH3COOH=1;3;5)を用いてエッチングを行うことにより放物面状の穴6aを形成することができる。この穴6,6aの形状は特にこのような形状でなくても、微小開口9が形成できる穴であれはどのような形状でも良い。
【0066】
また、図13に示すように、テーパ状以外の形状の穴6aを形成し、その傾斜面に遮光膜53を形成しても良い。例えばほぼ放物面状の穴6aを形成した後、その傾斜面に遮光膜53を形成することができる。図12,図13に示すようにほぼ放物面状の穴6aの場合、その穴6aに入射してきた光が傾斜面で反射を繰返して微小開口9に導かれ、微小開口9から近接場光が出射される。このような形状の場合、穴6aの傾斜面で反射された光は微小開口9に集光されるので、穴6aに入射してきた光を高い効率で近接場光として使用することができる。また、図14に示すように、微小開口9に半球レンズ80を設けても良い。このように半球レンズ80を設けると、ほぼ放物面状の穴6aの場合、穴6aに入射してきた光が傾斜面で反射を繰返して半球レンズ80に入射する。この半球レンズ80に入射した光は、半球レンズ80で集光されて微小開口9に導かれ出射する。このように半球レンズ80で集光して微小開口9から近接場光を出射することにより、穴6aに入射してきた光をより高い効率で近接場光として使用することができる。
【0067】
上記各実施例では近接場光を発する光ピックアップスライダについて説明したが、まったく同様な製造方法で内部集光効果により光を出射する光ピックアップスライダも製造することができる。また、インクジェットプリンタのノズルも同様にして製造することができる。
【0068】
また、上記各実施例では透光性基板であるガラス層7を単結晶Si層4に接合する場合について説明したが、単結晶Si層4に開ける穴6,6aに対応する位置に光を通す穴を有する非透光性基板を単結晶Si層4に接合しても良い。例えば図15に示すように、単結晶Si層4に穴6を開けた後、あらかじめ所定の位置に開口81を設けた非透光性基板82を単結晶Si層4に接合する。この非透光性基板82は単結晶Si層4と接合できるものであれば金属やセラミック,樹脂,非透光性ガラス等なんでも良い。また、接合方法も陽極接合以外先に述べた種々の接合方法を用いることができる。そして単結晶Si基板2とSiO2層3を除去して、所望の大きさに切断することにより光ピックアップスライダを完成する。
【0069】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、テーパ状に貫通された穴を有する光導波層の大きい開口側の面に透光性基板を接合したから、微小開口を有する光導波層が破損することを防止することができる。
【0072】
また、テーパ状に貫通された穴の傾斜面のみに非透光性材料の膜を設けることにより、微小開口を形成する穴の傾斜面に光が当たっても、その部分は非透光性材料の膜により遮光され、微小開口部分の近接場のみを記録媒体側に発生することができ、書込みマーク寸法が大きくなり記録密度が低くなったり、読み取り信号のS/Nが低くなってしまうことを防ぐことができる。
【0073】
また、非透光性材料の膜を金属又は低抵抗化された半導体で形成することにより、確実に遮光することができる。
【0074】
また、非透光性材料の膜を金属と光導波層の共晶体で形成したり、光導波層にSiを使用し、非透光性材料の膜をテーパ状に貫通された穴の少なくとも傾斜面の表面を低抵抗化して形成することにより、簡単に遮光膜を形成することができるとともに確実に遮光することができる。
【0075】
また、第1の基板上に積層され、第1の基板より薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を作製するから、テーパ状に貫通された穴の先端微小開口を高い寸法精度で作製することができる。この光導波層の表面に透光性基板を接合して微小開口を有する光導波層を透光性基板で保持するから、光導波層が破損することを防止できる。さらに、光導波層の表面に透光性基板を接合してから第1の基板を除去するから、光導波層のテーパ状に貫通した穴先端の寸法精度の高い微小開口を安定して露出させることができる。
【0076】
また、薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を作製し、光導波層の表面に透光性基板を接合した後、第1の基板を除去してからテーパ状に貫通した穴の先端の微小開口を有する光導波層の位置にスキー形状又はパッド形状を作製するから、スキー形状やパッド形状を高い精度でかつ再現性良く作製することができる。
【0077】
さらに、薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を有するスキー形状やパッド形状を作製し、光導波層の表面に透光性基板を接合した後、第1の基板を除去してテーパ状に貫通した穴の先端の微小開口を露出させることにより、高精度なスキー形状やパッド形状をテーパ状に貫通した穴と同時に作製することができ、工程を簡略化してコストダウンを図ることができる。
【0078】
また、薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を作製し、テーパ状に貫通した穴の少なくとも微小開口の傾斜面に非透光性材料の膜を設けた後、光導波層の表面に透光性基板を接合し、第1の基板を除去してテーパ状に貫通した穴の先端の微小開口を露出させることにより、微小開口を有するテーパ状に貫通した穴の傾斜面に非透光性材料の膜を簡単に形成することができ、記録密度や読み取り信号のS/Nを向上させることができる。
【0079】
また、テーパ状に貫通した穴の少なくとも斜面に金属と光導波層の共晶体を形成したり、光導波層としてシリコンを使用し、テーパ状に貫通した穴の少なくとも斜面の表面を低抵抗化することにより、微小開口を有するテーパ状に貫通した穴の傾斜面に非透光性材料の膜を簡単に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図2】上記実施例のスライダを使用した光学系の構成図である。
【図3】第2の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図4】第2の実施例のp型Si基板を除去するエッチング装置の概略図である。
【図5】第3の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図6】第4の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図7】第5の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図8】第6の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図9】第7の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図10】第8の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図11】第9の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図12】第10の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図13】第11の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図14】第12の実施例の微小開口部を示す断面図である。
【図15】第13の実施例のスライダの作製工程を示す工程図である。
【図16】従来例のスライダを示す斜視図である。
【図17】従来例のスライダを使用した光学系の構成図である。
【図18】従来例の近接場プローブの断面図である。
【図19】従来例の近接場プローブの作製工程を示す工程図である。
【図20】従来例の近接場プローブの第2の作製工程を示す工程図である。
【図21】従来例の近接場プローブの第3の作製工程を示す工程図である。
【図22】従来例の近接場プローブの第4の作製工程を示す工程図である。
【図23】スキーやパットを有するスライダの斜視図である。
【符号の説明】
1;基板、2;単結晶Si基板、3;SiO2層、4;単結晶Si層、
5;SiO2層、6;穴、7;ガラス層、8;電極、9;微小開口、
10;スライダ。

Claims (10)

  1. テーパ状に貫通された穴を有する光導波層の大きい開口側の面に透光性基板を接合した光ピックアップスライダにおいて、
    前記テーパ状に貫通された穴の傾斜面のみに非透光性材料の膜を設けたことを特徴とする光ピックアップスライダ。
  2. 請求項1記載の光ピックアップスライダにおいて、非透光性材料の膜を金属又は低抵抗化された半導体で形成したことを特徴とする光ピックアップスライダ。
  3. 請求項1記載の光ピックアップスライダにおいて、非透光性材料の膜を金属と光導波層の共晶体で形成したことを特徴とする光ピックアップスライダ。
  4. 請求項1記載の光ピックアップスライダにおいて、光導波層にSiを使用し、非透光性材料の膜をテーパ状に貫通された穴の傾斜面の表面を低抵抗化して形成したことを特徴とする光ピックアップスライダ。
  5. 第1の基板上に積層され、第1の基板より薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を作製し、光導波層の表面に透光性基板を接合した後、第1の基板を除去して光導波層のテーパ状に貫通した穴の先端微小開口を露出させたことを特徴とする光ピックアップスライダの製造方法。
  6. 第1の基板上に積層されて、第1の基板より薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を作製し、光導波層の表面に透光性基板を接合した後、第1の基板を除去してからテーパ状に貫通した穴の先端の微小開口を有する光導波層の位置にスキー形状又はパッド形状を作製したことを特徴とする光ピックアップスライダの製造方法。
  7. 第1の基板上に積層されて、第1の基板より薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を有するスキー形状又はパッド形状を作製し、光導波層の表面に透光性基板を接合した後、第1の基板を除去してテーパ状に貫通した穴の先端の微小開口を露出させたことを特徴とする光ピックアップスライダの製造方法。
  8. 第1の基板上に積層されて、第1の基板より薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を作製し、テーパ状に貫通した穴の少なくとも斜面に非透光性材料の膜を設けた後、光導波層の表面に透光性基板を接合し、第1の基板を除去してからテーパ状に貫通した穴の先端の微小開口部にある非透光性材料を除去して微小開口を露出させたことを特徴とする光ピックアップスライダの製造方法。
  9. 第1の基板上に積層されて、第1の基板より薄い厚さの光導波層にテーパ状に貫通した穴を作製し、テーパ状に貫通した穴の斜面に金属と光導波層の共晶体を形成した後、光導波層の表面に透光性基板を接合し、第1の基板を除去して微小開口を露出させたことを特徴とする光ピックアップスライダの製造方法。
  10. 第1の基板上に積層されて、第1の基板より薄い厚さのSi層にテーパ状に貫通した穴を作製し、テーパ状に貫通した穴の斜面の表面を低抵抗化した後、光導波層の表面に透光性基板を接合し、第1の基板を除去して微小開口を露出させたことを特徴とする光ピックアップスライダの製造方法。
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