JP3648477B2 - 温度スイング吸着法での温度制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばガス精製装置等での温度スイング吸着法での温度制御方法に関し、特に吸着筒の冷却を冷凍機で行うガス精製装置での低温域における温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
低温状態でガス吸着能を発揮するような吸着剤を使用してガスの精製・濃縮等を行い、連続的にその精製・濃縮したガスを供給するような場合には、複数の吸着筒を使用し、それぞれの吸着筒を時間差を持って運転するようにしている。
【0003】
この場合、吸着筒の冷却に液化ガスを使用するものもあるが、冷却作動に伴い気化することにより液化ガスの消費したり、あるいは、排出気化ガスを再液化するための装置を必要とするという問題があった。そこで、吸着筒を冷凍機で直接的に冷却するようにしたものも提供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、吸着筒の冷却を冷凍機で行うものでは、各吸着筒に対応させてそれぞれ冷凍機を配置し、それぞれ個別に冷凍機で冷却させるようにしなければならず、装置として大型化するうえ、コストアップにつながるという問題がある。そこで、複数の吸着筒を1台の冷凍機で冷却するようにしたものもあるが、その場合には、吸着筒と冷凍機を機械的に接触させたり、切り離したりすることにより、各々の吸着筒温度を維持しているが、吸着筒と冷凍機とを機械的に接離させるための構造が複雑になりトラブルの原因になるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような点に着目してなされたもので、簡単な構成でありながら、複数の吸着筒の温度を共通の冷熱源で制御することのできる温度制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために本発明は、冷熱源の出力部に複数の吸着筒をそれぞれ熱伝 導率が銅より1桁悪い銅合金やアルミニウム合金あるいは鉄合金のいずれかで構成した熱抵抗体あるいは、セラミック、サファイア、水晶等の低温になれば熱伝導率がよくなる材料で形成した熱抵抗体を介して熱接続し、各吸着筒に加熱手段を装着し、加熱手段での加熱度合いを調整することにより、各吸着筒の温度を任意に制御する。
【0007】
【発明の作用】
本発明では、複数の吸着筒を共通の冷熱源の出力部に熱伝導率が銅より1桁悪い銅合金やアルミニウム合金あるいは鉄合金のいずれかで構成した熱抵抗体あるいは、セラミック、サファイア、水晶等の低温になれば熱伝導率がよくなる材料で形成した熱抵抗体を介して熱的に接続するようにしてあることから、複数の吸着筒の一部をヒータで加熱して吸着剤から吸着ガスを離脱させていても、その離脱吸着筒の熱が冷熱源側に伝達されることを防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を適用した、高濃度オゾンガス供給システムの概略構成図である。
このシステムは、オゾナイザ等のオゾン供給源(1)からオゾンガスをオゾンガス精製装置(2)に供給して高濃度オゾンガスに精製し、オゾンガス精製装置(2)から取り出された高濃度オゾンガスを半導体デバイス装置等のオゾン消費設備(3)に供給するようにしたものである。
【0009】
オゾンガス精製装置(2)は、内部にシリカゲル等のオゾンガスを選択吸着する吸着剤(4)を充填した吸着筒(5)と、この吸着筒(5)を冷却する極低温冷凍機(6)と、各吸着筒(5)をそれぞれ個別に加熱するヒータ(7)とで構成してある。
【0010】
極低温冷凍機(6)は、寒冷温度発生部(コールドヘッド)(8)とその寒冷発生部(8)との間で冷媒ガスを循環する圧縮機部(9)とで構成してあり、寒冷発生部(8)に形成されている寒冷出力部(コールドエンド)(10)に複数(図では2基)の吸着筒(5)が熱抵抗体(11)を介して熱的に接続してある。
【0011】
この熱抵抗体(11)は熱伝導率が銅より1桁悪い銅合金やアルミニウム合金あるいは鉄合金を棒状に形成したもので構成してある。また、セラミックやサファイア、水晶等の低温になれば熱伝導率が良くなる材料を使用すれば、さらに効果的である。
【0012】
各吸着筒(5)から導出したオゾンガス取り出し路(12)は半導体デバイス装置等(3)等に連通接続してあり、このオゾンガス取り出し路(12)にマスフローコントローラ(13)が介装してあり、このマスフローコントローラ(13)と半導体デバイス装置等(3)との間からガス排出路(14)が分岐導出している。このガス排出路(14)は、半導体デバイス装置(3)が流量数sccm程度の微量オゾンを断続的に消費するような場合に、オゾンガス取り出し路(12)に配置した流路開閉弁(15)の開閉だけでオゾンガス供給制御を行うと、流路開閉弁(12)の閉弁時に流路開閉弁(15)よりも上流側に滞留したオゾンガスが自己分解をはじめ、次のオゾンガス供給時に所定の濃度のオゾンガスを供給できなくなることから、ガス排出路(14)に介装した流路開閉弁(16)をオゾンガス取り出し路(12)に介装した流路開閉弁(15)が閉弁時には開弁しているように設定し、オゾンガス取り出し路(12)に介装した流路開閉弁(15)の閉弁時にオゾンガスをガス排出路(14)に流すことにより、流路開閉弁(15)よりも上流側にオゾンガスが滞留しないようにするものである。
【0013】
上述の構成からなるオゾンガス精製装置(2)では一方の吸着筒(5b)をヒータ(7b)で加熱することにより、該吸着筒(5b)では吸着剤(4)に吸着されているオゾンガスを離脱させ、他方の吸着筒(5a)ではオゾン供給源(1)から供給されるオゾンを吸着剤(4)に吸着させる。このとき、ヒータ(7)で加熱されている一方の吸着筒(5b)も、ヒータ加熱されていない他方の吸着筒(5a)もともに極低温冷凍機(6)で冷却されているが、各吸着筒(5a)(5b)と極低温冷凍機(6)の寒冷出力部(11)とは熱抵抗体(11)を介して連結されていることから、極低温冷凍機(6)から吸着している吸着筒(5a)への寒冷熱の熱伝達は良好に行われるが、極低温冷凍機(6)からヒータ加熱されている吸着筒(5b)ヘの寒冷熱の熱伝達は阻止されることになる。
【0014】
図2は、上述の装置での各筒での時間と温度との関係を示すグラフである。このグラフから、吸着工程時間を十分取るには、冷却工程時間を脱着工程時間よりも十分短く取る必要があることがわかるから、熱抵抗体の熱伝導率や断面積、長さを最適に設定することが必要となる。なお、冷凍機は、温度が高くなると冷凍能力が大きくなるため、熱抵抗体のサイズによる影響は出にくい。
【0015】
上記実施例では、1台の極低温冷凍機(6)で2基の吸着筒(5a)(5b)を冷却するものについて説明したが、1台の極低温冷凍機(6)で3基以上の冷却筒(5)を冷却するようにしてもよい。また、吸着筒(5)を冷却する冷熱源として、前述の極低温冷凍機(6)のほかに、蒸気圧縮式冷凍機、ぺルチェ冷凍機等の冷凍機、あるいは液体窒素、液体アルゴン、液体空気、ドライアイス、液化天然ガス等の液体低温冷媒、または窒素、アルゴン、空気、二酸化炭素、天然ガス、水素、ヘリウム等の低温気体を使用することも可能である。
【0016】
さらに、上述の実施形態では、オゾンガス精製装置を例に説明したが、本発明は、オゾンガス生成装置のほか、コールドトラップ及びその再生装置に応用することができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明では、複数の吸着筒を共通の冷熱源の出力部に熱伝導率が銅より1桁悪い銅合金やアルミニウム合金あるいは鉄合金のいずれかで構成した熱抵抗体あるいは、セラミック、サファイア、水晶等の低温になれば熱伝導率がよくなる材料で形成した熱抵抗体を熱的に接続するようにしてあることから、複数の吸着筒の一部をヒータで加熱して吸着剤から吸着ガスを離脱させていても、その離脱吸着筒の熱が冷熱源側に伝達されることを防止することができる。これにより、共通の冷却源で複数の吸着筒を冷却しても、それぞれの吸着筒の温度を効率よく制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した、高濃度オゾンガス供給システムの概略構成図である。
【図2】 各筒での時間と温度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
5…吸着筒、6…冷熱源、7…加熱手段、10…冷熱源の出力部、11…熱抵抗体。

Claims (4)

  1. 冷熱源(6)の出力部(10)に複数の吸着筒(5)をそれぞれ熱伝導率が銅より1桁悪い銅合金やアルミニウム合金あるいは鉄合金のいずれかで構成した熱抵抗体(11)を介して熱接続し、各吸着筒(5)に加熱手段(7)を装着し、加熱手段(7)での加熱度合いを調整することにより、各吸着筒(5)の温度を任意に制御するようにした温度スイング吸着法での温度制御方法。
  2. 冷熱源 ( ) の出力部 (10) に複数の吸着筒 ( ) をそれぞれセラミック、サファイア、水晶等の低温になれば熱伝導率がよくなる材料で形成した熱抵抗体 (11) を介して熱接続し、各吸着筒 ( ) に加熱手段 ( ) を装着し、加熱手段 ( ) での加熱度合いを調整することにより、各吸着筒 ( ) の温度を任意に制御するようにした温度スイング吸着法での温度制御方法。
  3. 冷熱源 ( ) が極低温冷凍機、蒸気圧縮式冷凍機、ぺルチェ冷凍機あるいは液体窒素、液体アルゴン、液体空気、ドライアイス、液化天然ガス等の液体低温冷媒、または、窒素、アルゴン、空気、二酸化炭素、天然ガス、水素、ヘリウム等の低温気体である請求項1又は2項に記載の温度スイング吸着法での温度制御方法。
  4. 加熱手段 ( ) が電気ヒータまたは高温気体である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の温度スイング吸着法での温度制御方法。
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