JP3647763B2 - 重質油改質方法とその装置及びガスタービン発電システム - Google Patents

重質油改質方法とその装置及びガスタービン発電システム Download PDF

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Feeding And Controlling Fuel (AREA)
  • Liquid Carbonaceous Fuels (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な重質油改質方法とその装置及び改質された重質油を燃料として使用するガスタービン発電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
火力発電などに用いられる、ガスタービン発電設備では、従来、LNGなどのガス燃料、軽油、灯油などの軽質油が燃料として使用されてきた。特に油燃料を使用するガスタービンでは、燃料中に(1)硫黄、窒素など燃焼により酸性雨原因物質を生じ環境に悪影響を与える成分、(2)バナジウムなど硫黄との共存下でタービンの高温腐食を招く成分、等の有害成分が含まれていないことから、軽質油燃料を用いるものが実用機の大半を占めている。重質油を用いるガスタービンシステムも一部実用された。
【0003】
この際、(1)の環境に対する影響物質に関しては、タービン排ガス後流に、脱硫、脱硝設備などの環境装置を設けることで対策が可能だが、設備費、ランニングコストの増大を招いた。(2)のバナジウムについては、高融点酸化物がタービンブレードの腐食を招くため、マグネシウムを添加剤として燃料に混入し、高融点のMg−V複合酸化物を生成させてタービン内で固体化する方法が知られている(例えば、西嶋、「重質油燃焼ガスタービン」、日本ガスタービン学会誌、11-43、1983)。しかし、この方法では灰がタービン翼に付着し、翼清掃のため連続運転時間を短くせざるを得なくなるという問題があった。これらの理由で、特に日本国内では重質油燃料の発電用需要が少なくなり、軽質油との消費量バランスがとれず、余剰の重質油が発生している。この安価な重質油を、ガスタービン用燃料に改質利用すれば、燃料費の低い経済的なガスタービン運転が可能になる。
【0004】
重質油を改質しガスタービン用燃料とすることを目的とした技術は、例えば、超臨界水により重質油の炭化水素を分解、軽質化して可燃性ガスを生成する方法(特開平11−246876)や、生成したガスを燃焼してガスタービンを駆動し、軽質化時に残る残滓をボイラで燃焼して蒸気タービンにより発電する方法(特開平11−80750)等が知られている。これらの技術は、重質油の炭化水素分の一部を取り出し、残滓に有害成分である除去対象物質を濃縮する方法といえる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、超臨界水による重質油からのガス生成の方法は、重質油の一部をガスタービンに適した燃料へ改質できるが、重質油中の炭化水素をすべて燃料化はできない。また、残滓に有害物質が濃縮されるため、これを燃焼するボイラ側では、環境装置の増設、材料腐食の対策などが必要となる。
【0006】
本発明の目的は、重質油をガスタービンに適した燃料に改質することに加え、重質油中の有害成分である硫黄及びバナジウムを除去し、重質油の炭化水素をほぼ全量ガスタービン燃焼に供することが出来る重質油改質方法とその装置及び改質された重質油を燃料として使用するガスタービン発電システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、重質油を、超臨界状態の水と反応させた後、前記反応させた前記重質油を前記超臨界状態の水と共に、前記重質油中の硫黄及びバナジウムを捕捉する捕捉剤と反応させ、前記重質油中の硫黄及びバナジウムを除去することを特徴とする重質油改質方法にある。
【0008】
又、本発明は、重質油を、超臨界状態の水と反応させた後、前記反応させた前記重質油を前記超臨界状態の水と共に、酸化鉄、酸化ニッケル、バナジウムと複合酸化物を形成する金属酸化物、バナジウム酸化物を吸着するセラミックス、カルシウム化合物、アルミナ及びシリカの1種以上、又はこれに前記反応を促進させる反応促進剤又はアルカリ金属、アルカリ土類金属、過酸化水素水、硝酸、硝酸塩及び蟻酸の1種以上の存在下で反応させることを特徴とする重質油改質方法にある。
【0009】
前記硫黄を硫酸塩又は金属硫化物として捕捉すること、前記バナジウムを酸化バナジウム又はバナジン酸金属化合物として捕捉することが好ましい。
【0010】
即ち、本発明は、超臨界水と重質油を混合し、超臨界水の有機物溶媒としての特性と、加水分解剤としての作用を利用し、重質油中の硫黄、バナジウム等の除去対象物質を、重質油中の環状炭化水素分子あるいはポルフィリン構造中より脱離させる反応を起こす超臨界水反応器と、脱離した除去対象物質を析出、吸着、反応により捕捉するための捕捉部を有する重質油改質装置である。除去対象物質の脱離に必要な反応条件(温度、pH、混入薬品)と、補足に必要な条件(温度、pH、捕捉剤)を個別に分けることで、最良な脱離反応、捕捉の効率を得られる。超臨界水による軽質化、ガス分離をする従来技術に比べ、条件の最適化により、除去対象物質のみを油中から除去し、全炭化水素を燃料としてガスタービン用に供することができる。
【0011】
除去対象物質として硫黄を取り出す際、硫酸塩の形とし、超臨界水に対する溶解度が温度により大きく変わることを利用して、析出、除去し、あるいは金属硫化物と、Ca、酸化金属との反応、セラミックによる吸着作用を利用して捕捉する。
【0012】
除去対象物質としてバナジウムを取り出す際、酸化バナジウムの形とし、セラミックへの吸着反応により捕捉し、あるいは酸化金属との反応による複合酸化物形成を利用してバナジン酸金属の形で捕捉する。
【0013】
除去対象物質の脱離反応において、反応を加速するNaなどのアルカリ金属、あるいはアルカリ土類金属を添加する方法であり、これは同時に硫黄除去後の硫酸塩形成物質も兼ねることができる。また、酸化剤として、過酸化水素水、硝酸、硝酸塩を使用し、炭化水素の一部を一酸化炭素COとし、COと水のシフト反応によって生じた水素が炭素鎖の開裂を加速させる反応を利用して、除去対象物質の脱離を加速する。又、蟻酸のように水素原子を直接供与する物質を混入して、同様の効果を得ることができる。
【0014】
本発明は、捕捉器に捕捉剤を、固定層あるいは流動層として滞留させ、反応器において脱離した除去対象物質を燃料中から補足することにより、バナジウムと複合酸化物を生成する金属酸化物、あるいはバナジウムとの複合酸化物生成と、硫化物との反応を同時に起こすカルシウム、あるいはバナジウム酸化物を吸着するセラミック剤を、使用する方法である。この捕捉剤の使用により、前述の除去対象物質を捕捉し、個体の形で系外に排出することが可能になる。
【0015】
本発明は、上述した装置により重質油をガスタービン用燃料に改質し、ガスタービン発電システムの燃料系に連結することにより、燃焼器の要求燃料量に応じて改質量を決定することができるシステムを提供する。本発明の重質油改質装置によって得た燃料を、ガスタービン発電プラントの燃料系として用いたことによって、従来問題となっていた燃料中の有害物質が除去できるため、前記課題で述べたような重金属による機器の腐食を防ぐことが可能となり、ガスタービン機器の信頼性を向上させることが可能となる。
【0016】
以上の如く、超臨界水の溶媒作用、加水分解剤作用により、重質油から除去対象となる硫黄、バナジウム原子を脱離させ、捕捉剤により捕捉するため、重質油の炭化水素を全量、ガスタービン燃料に転換、燃焼できる。これにより、低価格の重質油をガスタービン燃料に使用でき、ランニングコストを低減することができ、かつ、環境装置、ガスタービン腐食対策の設備費が不要になる。更に、環境設備費の軽減が図れ、灰付着を伴わない腐食防止により連続運転を可能とし、プラント稼動率を向上させる高効率化を達成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は本発明の重質油改質装置本体の断面図である。装置入口には、超臨界水2と重質油3を取り入れ混合する混合器1が設置される。混合器1で超臨界水の溶媒作用により水と重質油が混合した液体は反応器4に送られる。超臨界水2と重質油3の混合は、単純合流のほか、旋回流形成、あるいは対向流による衝突を利用して、混合を促進する方法も有効である。
【0018】
また、混合器1は省略し、直接反応器4内へ、超臨界水2と重質油3を供給する構成も取り得る。反応器4では超臨界水の加水分解剤作用により、重質油中の除去対象物質である硫黄、バナジウムを、炭化水素化合物中から脱離させる反応が進行する。脱離反応を進行させるためには、反応器4出口までに、水が超臨界状態になっていることが必要条件であり、本実施例のように予め超臨界状態の水を供給する構成の他にも、水と重質油を混合器1、あるいは反応器4に供給した後に加熱することで、超臨界状態へ移行させる構成も取り得る。
【0019】
反応器4で、燃料と脱離した除去対象物質を含有する液体は、連結管5を通じて、捕捉器6に送られる。連結管5が省略され、反応器4と捕捉器6が連続した構成も取り得る。捕捉器6中には除去対象物質を捕捉する捕捉剤7が充填され、流通する液体中に含有された、脱離除去対象物質を、吸着あるいは反応あるいは析出により捕捉する。捕捉器6では除去対象物質のみが捕捉され、燃料となる炭化水素分はほぼ全量が、後流に改質燃料として送ることができる。
【0020】
捕捉器6に捕捉剤7を滞留させる方法としては、目皿状の固定材により捕捉剤7を固定層として留まらせる方法の他に、捕捉剤を粒状とし、粒径を液体の線速度以上の終端速度をもつ大きさにすることで、流動層として留まらせる方法も取り得る。また、捕捉剤を成形して、板状あるいはハニカム状とし、隙間を液体が流通する方法も取り得る。
【0021】
捕捉剤7は、除去対象物質の捕捉を連続した結果、捕捉能力が飽和にいたる場合もあり、このような使用済み捕捉剤7を捕捉器6から取り出す系統、あるいは新規の捕捉剤を補給する系統が設けられた構成も取り得る。また、反応器4一基に対して捕捉器6を複数配置し、順次使用する捕捉器を切り替え、あるいは一定時間毎に捕捉器の一部を停止する運転も可能であり、燃料流通を停止した捕捉器中の捕捉剤を交換する構成と運転方法も取り得る。捕捉器を捕捉器6で除去対象物質を取り除かれた燃料は改質燃料8として、排出される。
【0022】
改質燃料中に捕捉剤が粒子の形で混入する場合に備え、捕捉器出口側に、粒子を捕集するフィルタ、あるいはサイクロンを設置する構成も取り得る。本実施例において、捕捉剤7は決して1種類である必要はなく、硫黄原子と反応するCa剤、バナジウム酸化物と反応する酸化金属、酸化金属を吸着し、あるいは、硫酸塩の析出床となるアルミナ、シリカ等の、目的別捕捉剤を混合して、捕捉器に充填する方法は有効である。また、反応器と捕捉器で温度条件を変え、捕捉剤の種類により最適の温度を得るため、連結管5、あるいは捕捉器6に、ヒーターや熱交換器を設けてもよい。
【0023】
(実施例2)
図2は、本発明の重油改質装置のシステムを示すブロック図である。本実施例では、混合器1において、超臨界水2、重質油3に加え、反応器4での除去対象物質脱離反応を加速する反応補助物質9を混合する。反応補助物質9は除去対象物質である硫黄を取り除き硫酸塩の形で脱離させるためのアルカリ金属、アルカリ土類、あるいは加水分解反応を促進するための過酸化水素水、あるいは硝酸塩、あるいは蟻酸などの物質を選択、混合したものである。
【0024】
この反応補助物質9の添加により、反応器4での除去対象物質脱離の効率を引き上げることを目的とする。実施例1にも述べたように、超臨界水2、重質油3、反応補助物質9は、混合器を省略して、反応器4に直接供給し、混合させる構成も取り得る。また、反応補助物質9は、装置内で混合させる方法の他に、予め超臨界水2、または重質油3に混入して供給する方法も取り得る。超臨界水2は反応器4出口までに超臨界状態となっていれば反応が進行することから、混合器1、あるいは反応器4入口では水の状態で供給し、反応器4で加熱して超臨界状態とする構成も取り得る。この時、反応補助物質9は、予め水に混合し供給する方法も当然可能であり、水溶性の反応補助物質9を使用する場合には有効な方法となる。
【0025】
反応器4は本実施例では一基設置されているが、複数基設置して、反応に適した滞留時間となるよう構成することも有効である。捕捉器6においては、捕捉剤7が除去対象物質を捕捉する。捕捉剤7の捕捉量が飽和にいたることを防ぐため、使用済み捕捉剤を抜き出す系統11と捕捉剤を供給する系統10を設置している。抜き出された使用済み捕捉剤は捕捉剤洗浄器12に送られ、除去対象物質13を取り除く、洗浄、反応により、捕捉剤を更新し、リサイクル捕捉剤14として捕捉剤供給系にリサイクルする。
【0026】
このとき、反応により減少した捕捉剤量を補充するため、新規投入捕捉剤15が加えられ、捕捉器6に戻される。本構成は粒子が流動できる状態で滞留している場合に有効な方法である。この他、捕捉剤7を固定層、あるいは板状、ハニカム状に成形して設置した場合、系外への取り出すことが難しい。このような場合、捕捉器6を複数設置し、その一部を順次停止して、捕捉剤7を交換、あるいは更新する方法が取り得る。また、捕捉器6を複数基設置し、補足に必要な滞留時間となる構成をとることも有効である。
【0027】
(実施例3)
図3には、本発明の重質油改質装置を用いた、ガスタービン発電システムの一実施例を示したブロック図である。実施例1、2においては、改質燃料8を貯蔵、あるいは運搬し、発電所にて使用することも想定されるが、本実施例では、製造した改質燃料を即時発電システムの燃焼器で燃焼する構成となっている。実施例2と同じく、混合器1において、超臨界水2、重質油3に加え、反応器4での除去対象物質脱離反応を加速する反応補助物質9を混合する。
【0028】
反応補助物質9は除去対象物質である硫黄を取り除き硫酸塩の形で脱離させるためのアルカリ金属、アルカリ土類、あるいは加水分解反応を促進するための、過酸化水素水、あるいは硝酸塩、あるいは蟻酸などの物質を選択、混合したものである。反応器4内で、除去対象物質を油中から脱離させ、捕捉器6において捕捉剤7が除去対象物質を捕捉する。捕捉剤7の捕捉量が飽和にいたることを防ぐため、使用済み捕捉剤を抜き出す系統11と捕捉剤を供給する系統10を設置している。抜き出された使用済み捕捉剤は捕捉剤洗浄器12に送られ、除去対象物質13を取り除く、洗浄、反応により、捕捉剤を更新し、リサイクル捕捉剤14として捕捉剤供給系にリサイクルする。
【0029】
このとき、反応により減少した捕捉剤量を補充するため、新規投入捕捉剤15が加えられ、捕捉器6に戻される。反応器4と捕捉器6は本実施例では一基ずつ設置されているが、ガスタービン燃焼器19へ供給する燃料量において、反応、捕捉に適した滞留時間がとれるよう、反応器、捕捉器を複数基設置することも有効である。製造された改質燃料8は、圧縮機17で圧縮された空気18により、燃焼器19で燃焼され、燃焼ガス20がガスタービン21を駆動し、連結した発電機22により発電する。ガスタービンからの排ガス23は排ガス熱交24において、ガスから水25に伝熱し、超臨界水2を発生させる。排ガス熱を利用することにより、システム効率を向上することが可能になる。従来のガスタービン複合発電システムにあるように、排ガス熱交24の前後には、排熱回収ボイラを設け、発生させた蒸気により蒸気タービンを駆動し発電する構成ももちろん取り得る。また、燃焼時に発生する窒素酸化物を除去するための、脱硝装置を設置しても良い。重質油中の硫黄は捕捉器6で除去されるため、脱硫装置の設置は必要ではなく、重質油使用による新たな環境設備を設置する設備費は必要ない。
【0030】
また、本実施例の構成から、重質油中のバナジウムが捕捉器6で除去されているため、ガスタービンの高温腐食の恐れはなく、マグネシウムのようなバナジウムと複合酸化物を生成させるための添加剤を加える必要はない。これにより、タービン翼への金属酸化物灰の付着も防止でき、軽油燃料によるガスタービンシステムと同程度の連続運転が可能なため、プラント稼動率の向上と高効率発電を実現できる。
【0031】
次に、ガスタービンの動作について説明する。始動時、ガスタービンは、起動用モータ等の外部動力によって駆動され、燃焼器19で、圧縮機17の吐き出し圧縮空気18と燃料が混合され、着火が行われる。着火後、燃焼器19で発生した燃焼ガス20、すなわち熱エネルギーは、タービン21によって回転エネルギーに変換され、燃焼器19への燃料流量を増加させることによって、ガスタービンは昇速、自立運転に入る。自立運転後、ガスタービンが無負荷定格回転数に達した後、発電機22を併入することで発電が可能となる。
【0032】
本実施例では、超臨界水2は排ガス熱交24の熱を利用して発生する構成になっているが、起動時においては、超臨界水2を発生させるために、排ガス熱交24以外に起動用ボイラーを設け、その熱を利用して超臨界水2を発生させる構成も有効である。負荷併入後、ガスタービンにおいては、燃焼器19へ供給する改質燃料8の流量を、燃焼器上流側であって且つ改質装置の下流側に位置する流量制御弁にて増加(制御)させ、ガスタービン21入口のガス温度の上昇と燃焼ガス21の流量の増加により負荷上昇し、最終的には定格負荷に達する。この間、燃料製造となる混合器1では、燃焼器19で安定燃焼するのに必要な組成を生成するため、重質油3と超臨界水2の混合比率を調整する。
【0033】
このように、本発明の特徴である重質油改質装置とガスタービンを組み合わせた発電プラントを構成することによって、従来、重油焚燃焼器で問題となっていた不純物の酸化反応の結果発生していたガスタービン機器の腐食等の問題を解決でき、機器の信頼性を向上させることが可能となる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、超臨界水によって重質油をガスタービン用燃料に改質し、ガスタービンの腐食に有害な除去対象物質のみを重質油中から脱離、捕捉せしめ、重質油中の炭化水素のほぼ全量を燃焼に使用できる重質油改質方法とその装置を提供できる。又、燃焼の際に腐食の原因になる硫黄、バナジウムの少ない重質油を用いることにより、環境装置の増設、ガスタービンの腐食対策を特に施さずに使用できることから、設備費、ランニングコストが共に低いガスタービン発電システムが実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の重質油改質装置本体の断面図。
【図2】 本発明の重質油改質装置のシステム構成を示すブロック図。
【図3】 本発明の重質油改質装置を連結したガスタービン発電システムを示すブロック図。
【符号の説明】
1…混合器、2…超臨界水、3…重質油、4…反応器、5…連結管、6…補足器、7…捕捉剤、8…改質燃料、9…反応補助剤、10…捕捉剤供給系、11…使用済捕捉剤抜き出し系、12…捕捉剤洗浄器、13…除去物質、14…リサイクル捕捉剤、15…新規投入捕捉剤、16…空気、17…圧縮機、18…圧縮空気、19…燃焼器、20…燃焼ガス、21…ガスタービン、22…発電機、23…ガスタービン排ガス、24…排ガス熱交、25…水、26…煙突。

Claims (12)

  1. 重質油を、超臨界状態の水と反応させた後、前記反応させた前記重質油を前記超臨界状態の水と共に前記重質油中の硫黄及びバナジウムを捕捉する捕捉剤と反応させ、前記重質油中の硫黄及びバナジウムを除去することを特徴とする重質油改質方法。
  2. 重質油を、超臨界状態の水と反応させた後、前記反応させた前記重質油を前記超臨界状態の水と共に、酸化鉄、酸化ニッケル、バナジウムと複合酸化物を形成する金属酸化物、バナジウム酸化物を吸着するセラミックス、カルシウム化合物、アルミナ及びシリカの1種以上の存在下で反応させることを特徴とする重質油改質方法。
  3. 重質油を、超臨界状態の水と反応させた後、前記反応させた前記重質油を前記超臨界状態の水と共に、酸化鉄、酸化ニッケル、バナジウムと複合酸化物を形成する金属酸化物、バナジウム酸化物を吸着するセラミックス、カルシウム化合物、アルミナ及びシリカの1種以上と、前記反応を促進させる反応促進剤との存在下で反応させることを特徴とする重質油改質方法。
  4. 重質油を、超臨界状態の水と反応させた後、前記反応させた前記重質油を前記超臨界状態の水と共に、酸化鉄、酸化ニッケル、バナジウムと複合酸化物を形成する金属酸化物、バナジウム酸化物を吸着するセラミックス、カルシウム化合物、アルミナ及びシリカの1種以上と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、過酸化水素水、硝酸、硝酸塩及び蟻酸の1種以上との存在下で反応させることを特徴とする重質油改質方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記硫黄を硫酸塩又は金属硫化物として捕捉することを特徴とする重質油改質方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記バナジウムを酸化バナジウム又はバナジン酸金属化合物として捕捉することを特徴とする重質油改質方法。
  7. 重質油と超臨界状態の水とを反応させる超臨界水反応器と、前記重質油中の硫黄及びバナジウムを捕捉する捕捉剤が充填された捕捉器と、前記超臨界水反応器と捕捉器とを連結する連結管とを備え、前記捕捉器は前記反応後の前記重質油を前記超臨界状態の水と共に供給する供給口及び改質した重質油を排出する排出口を有することを特徴とする重質油改質装置。
  8. 請求項7において、前記捕捉器中に、酸化鉄、酸化ニッケル、バナジウムと複合酸化物を形成する金属酸化物、バナジウム酸化物を吸着するセラミックス、カルシウム化合物、アルミナ及びシリカの1種以上を有することを特徴とする重質油改質装置。
  9. 請求項7又は8において、前記超臨界水反応器中又は超臨界水反応器中の上流部に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、過酸化水素水、硝酸、硝酸塩及び蟻酸の1種以上を有することを特徴とする重質油改質装置。
  10. 重質油改質装置と、該重質油改質装置によって改質された重質油を燃焼させる燃焼器と、該燃焼器より発生した燃焼ガスにより駆動するガスタービンとを有するガスタービン発電システムにおいて、前記重質油改質装置が請求項7〜9のいずれかに記載の重質油改質装置からなることを特徴とするガスタービン発電システム。
  11. 請求項10において、前記重質油改質装置が前記燃焼器の上流の燃料供給系統に有することを特徴とするガスタービン発電システム。
  12. 重質油改質装置と、該重質油改質装置によって改質された重質油を燃焼させる燃焼器と、該燃焼器より発生した燃焼ガスにより駆動するガスタービンとを有するガスタービン発電システムにおいて、前記ガスタービンを駆動した後の排ガスによって前記超臨界水反応器に供給される前記水を加熱する排ガス熱交換器と、該加熱された前記水を前記超臨界水反応器に供給する配管を有し、前記重質油改質装置が請求項7〜9のいずれかに記載の重質油改質装置からなることを特徴とするガスタービン発電システム。
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