JP3647004B2 - 画架 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、絵を描く際にカンバスなどを固定する画架に関し、詳しくはカンバスがどのような大きさであっても、カンバスの上下縁を容易かつ確実に挟むことができるようにした画架に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アトリエなどで絵を描く際は、一般的にカンバスを固定する画架が使用される。画架にはカンバスの下縁と上縁とを受け部材と押さえ部材とによって挟むようにしたものがある。受け部材と押さえ部材は、三脚の前面側の2本の脚の上下に取り付けられたり、2本の平行な帆立の間に斜め向きに配設された枠体に取り付けられたりする。
【0003】
ところで絵を描く際には、筆や絵の具入れ、溶剤、定規等の小物が手元ある方が便利である。またこれらの小物は、使い勝手が良い様に引出しに整理されていることが望ましい。そこでこれらの小物入れ用の引出しボックスが取り付けられた画架が市販されている。引出しボックスは、画架の前に腰掛けて絵を書く際に、引出しを手前に引き良いように、画架のベース上に設けられている。そして従来技術の画架では、引出しボックスは、ベース上に一体的に固定されており、容易に動かすことはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
画架は、カンバスのサイズに併せて複数所有することが便利ではあるが、費用や置き場所の点で無理がある。そのため市場には、小さなカンバスから大きなカンバスまで固定できる様な汎用性が高い画架の需要がある。この種の画架は、帆立に極めて長い背貫を設け、カンバスの受け部材をベース近くまで下げることができる様に構成される。
【0005】
しかしながら、受け部材をベース近くまで下げる構成の画架では、従来技術の欄で述べたような引出しボックス付きの構成にできない不満がある。
すなわち大きなカンバスを固定できるように、受け部材をベース近くまで下げることができる構成とすると、背貫をベース近くまで設ける必要があり、引出しボックスを置くスペースが無い。また背貫を短くして背貫にスライド部材を設ける等の工夫をすれば、引出しボックスを置くスペースだけは確保できるものの、大きなカンバスを支持する際に受け部材を下げた際、受け部材自身が引出しボックスと干渉することは避けられない。
【0006】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、小さな画架から大きな画架まで固定できる汎用性を持ち、且つボックスを有する構成の画架を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段は、上下方向にスライド可能な受け部材を有する画架において、ベースと、ボックスを有し、該ボックスは、ベース上に前後方向に移動可能に載置され、前記受け部材は、前記ボックスの高さまで降下可能であることを特徴とする画架である。
【0008】
上記手段によると、ベース上にボックスを有するので、当該ボックス内に筆等の小物を入れておくことができる。本発明の画架は、小さいサイズから中間程度までのサイズのカンバスを固定する際には、従来技術のボックス付き画架と同様に使用することができ、例えば画架の前に座った状態で、足元のボックスから所定の小物を取り出すことができる。
また本発明の画架では、ボックスが前後方向に移動可能であるから、大きいサイズのカンバスを固定する際には、ボックスを後方にずらすことによって、受け部材とボックスとの干渉を避けることができる。
大きいサイズのカンバスを固定する際には、多くの場合、ボックスを利用することはできないが、ベース近くまで受け部材を下げる様な場合とは、例えば100号程度の絵を書く場合であり、その頻度は極めて少ない。そのため一般的な使用者が使用する画架としては、その様な大きな絵を書く際にボックスの使用ができないことは、それほど大きな欠点とはならない。
【0009】
またもう一つの手段は、ベースの両側部に一対の帆立を立設し、前記一対の帆立に横方向の桁を架設し、前記桁に縦方向の背貫を架設し、前記背貫にガイドされて昇降動する下側スライダーと上側スライダーとを取り付け、下側スライダーの下端部に前記受け部材を固着し、上側スライダーに任意の位置に仮固定することができる押さえ部材を取り付けたことを特徴とする。
【0010】
上記の手段によれば、ベースの中心部分に一体的に固定される部材は背貫であり、背貫の下部には空間がある。すなわち本発明によると、背貫はベースよりも相当上方に設けることができ、下部の空間にボックスを配することができる。また下側スライダーは前記した背貫に対して昇降可能に取り付けられているので、小さなカンバスを固定する場合には受け部材および下側スライダーは、上方にあってボックスとは干渉しない。
上記の手段の画架の使用方法は、小さなサイズのカンバスを固定するときは、下側スライダーを上昇させ、上側スライダーを下降させる。大きなサイズのカンバスを固定するときは、下側スライダーを下降させ、上側スライダーを上昇させる。下側スライダーと上側スライダーとには、受け部材と押さえ部材とを任意の位置に取り付けることができるため、受け部材と押さえ部材との間隔が任意に変更でき、あらゆるサイズのカンバスの上下縁を挟んで固定することができる。
【0011】
上記の課題を解決するための手段は、上側スライダーの下部に着脱自在の中間受け具を取り付けたことを特徴とする。
【0012】
上記の手段によれば、中間受け具を使用することにより、小さめから中間的な大きさのカンバスでも無理なく固定することができる。すなわち、小さめから中間的な大きさのカンバスは、中間受け具と押さえ部材との間、又は受け部材と中間受け具との間に挟むことができる。
【0013】
上記の課題を解決するための第2の手段は、上記の手段に記載の帆立を揺動可能にベースに取り付け、前記帆立の中間位置を、ベースに立設した支柱によって支持したことを特徴とする画架である。
【0014】
上記の第2の手段によれば、帆立は支柱によって支持されて、直立姿勢から傾斜姿勢まで安定した状態となる。帆立が傾斜姿勢となると、帆立に架設された桁、桁に架設された背貫、背貫に取り付けられた下側スライダー及び上側スライダー、そして下側スライダー及び上側スライダーにそれぞれ取り付けられた受け部材と押さえ部材も傾斜姿勢となるため、受け部材と押さえ部材及び又は中間受け具に挟まれたカンバスも傾斜姿勢となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1から図12を参照しながら説明する。図1は、小さめのカンバスを挟むときの画架全体の斜視図である。図2は、大きめのカンバスを挟むときの画架全体の斜視図である。図3は、同じく大きめのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。図4は、上側の桁を中心に描いた背面上側からの斜視図である。図5は、受け部材を中心に描いた正面下側からの斜視図である。図6は、中間受け具の背面上側からの斜視図である。
【0016】
図7は、小さめのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。図8は、図7とは異なる使用形態で小さめのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。図9は、図7及び図8とは異なる使用形態で小さめのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。図10は、大きめのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。図11は、図10とは異なる使用形態で大きめのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。図12は、極端に大きなカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。
【0017】
本発明に係る画架は図1から図3に示すように、ベース10の両側部に一対の帆立20を平行に立設し、その帆立20間で下側スライダー30と上側スライダー40が昇降動し、下側スライダー30に受け部材50を固着し、上側スライダー40に押さえ部材60を昇降動可能に取り付けたものである。
【0018】
ベース10は、台輪とも称される枠状のものである。そして本実施形態では、ベース10の四隅の底面にはキャスターを取り付け、画架を移動させやすいようにする。ベース10上には一対の帆立20間で前後動するボックス1を着脱自在に載せる。ボックス1は絵画用具を収納するためのもので、使い勝手をよくするための複数の引出し1aを具備する。ボックス1はその両側の下角部をベース10の両側部の対向面上側に載せるようにする。ベース10の対向面上側には、ボックス1の両側の下角部を載せる段差を形成し、その段差の上面にボックス1が滑りやすくするための帯状の滑り部材11を固着する。
【0019】
ベース10の両側部に立設する帆立20の下端部は円弧形状とし、揺動できるようにブラケット12によってベース10の両側部の中央上面に取り付ける。帆立20が直立姿勢から傾斜姿勢まで安定して支えられるように支柱13を架設する。支柱13は帆立20の中間位置とベース10の後端部とを橋絡するように架設する。支柱13の上端部は帆立20の外側に接合し、ハンドル付ネジ80のネジ部を挿通する。帆立20の中間位置にはそのハンドル付ネジ80のネジ部が貫通するスリット21を形成し、帆立20の内側にはナット付当て部材14を接合する。ハンドル付ネジ80のネジ部81がナット付当て部材14のナットに螺着する。
【0020】
ハンドル付ネジ80を締めつけると、支柱13と帆立20とがナット付当て部材14によって圧着し、帆立20が任意の姿勢で支柱13に支えられる。ハンドル付ネジ80を緩めると、そのネジ部が帆立20のスリット21内を移動することができる。したがって、帆立20を寝かせる姿勢にするときは、ハンドル付ネジ80のネジ部がスリット21の上側に移動し、帆立20を立てる姿勢にするときは、ハンドル付ネジ80のネジ部がスリット21の下側に移動する。そして、任意の位置でハンドル付ネジ80を締めつけることにより、帆立20は支柱13によって安定して支えられる。
【0021】
このような一対の帆立20は、横方向に架設する2本の桁22,23によって連結する。下側の桁22は、ベース10上のボックス1が前後動することができるように、帆立20の最下部から少し上方の位置に架設する。上側の桁23の前面には図4に示すように、中央に不連続部を設けたガイド板24を固着する。ガイド板24の不連続部の対向面にはそれぞれ「V」字形の溝25を縦方向に形成することにより、尖鋭な2本の凸条26を突設する。
【0022】
上側の桁23がガイド板24の不連続部に面する部位には、下側スライダー30の奥側半分を嵌入する切欠部27を形成する。下側スライダー30の側面には、上側の桁23に固着したガイド板24の奥側(図4においては手前)の凸条26を係入する「V」字形の溝31を形成する。
【0023】
このような下側スライダー30は背貫28上を摺動するように取り付ける。背貫28は上側の桁23と下側の桁22との間に縦方向に架設するものである。本実施形態では、ベース10の中間部分の上部に一体的に固定された垂直部材は、背貫28だけである。そして背貫28の長さは比較的短く、その下端は下側の桁22に位置している。したがってベース10から下側の桁22の間には、空間が形成され、前記したボックス1の収納スペースが確保される。
背貫28の前面には図5に示すように、鋸歯状の係止具29を装入する。鋸歯状の係止具29は、多数の斜め部と横部とを連続して形成したもので、斜め部は下側から上側へ手前方向に突出するようにする。
【0024】
この係止具29には図5に示すように、揺動する「L」字形のレバー51が係止する。レバー51は下側スライダー30の下端部に固着した受け部材50の底面に枢着する。受け部材50の側面形状は「L」字形とし、横部分52と縦部分53とから構成する。受け部材50の横部分52は2本の帆立20の間隔よりも長くし、大きなカンバスCも載せられるようにする。受け部材50の横部分52の上面には溝52aを形成し、載せられたカンバスCがずり落ちないようにする。受け部材50の縦部分53は帆立20の対向面に食い込むようにする。したがって帆立20の対向面には、受け部の縦部分53の幅の溝20aを形成する。
【0025】
受け部材50を下端部に固着した下側スライダー30の上端部の中央には、上側スライダー40をハンドル付ネジ80によって仮固定するためのネジ孔(図示せず)を形成し、下側スライダー30の上端部の表面にはそのネジ孔を塞ぐクッション(図示せず)を取り付ける。下側スライダー30の上端部の側面には図4に示すように、上側スライダー40の側面を係止するための「く」字形のホルダー32を固着する。したがって、上側スライダー40の側面には、前記ホルダー32と上記ガイド板24の不連続部に形成した手前側(図4においては奥側)の凸条26とが係合する溝41を形成する。
【0026】
上側スライダー40は下側スライダー30上を摺動するように取り付ける。上側スライダー40は、所望の位置でハンドル付ネジ80を締めつけることにより仮固定することができる。すなわち、ハンドル付ネジ80が上側スライダー40と下側スライダー30とを離隔させ、上側スライダー40の溝41と下側スライダー30に固定したホルダー32とが圧着することによって、上側スライダー40は仮固定される。
【0027】
上側スライダー40には任意の位置に仮固定することができる押さえ部材60と中間受け具70とを取り付ける。押さえ部材60は、カンバスCの上縁と当接する横方向の当接部61と、上側スライダー40に仮固定するための連結板62を「逆T」字形に一体化したものである。中間受け具70は押さえ部材60よりも下側に着脱自在に取り付け、下側スライダー30に取り付けた受け部材50と対向する押さえ部71と、上側スライダー40に取り付けた押さえ部材60と対向する台座部72とを連結板73によって「工」字形に一体に形成したものである。押さえ部材62の当接部61、中間受け具70の押さえ部71及び台座部72には、カンバスCが外れないようにするための溝を形成する。
【0028】
押さえ部材60の連結板62も中間受け具70の連結板73も図6に示すように(図6は中間受け具70であるが、基本的な構造は押さえ部材60も同じ。)、その中心にはネジ孔74を形成し、裏面側には上側スライダー40の前面と嵌合する浅溝75を形成する。浅溝75の両側は「V」字形の溝76を形成し、上側スライダー40の側面に形成した溝41と係合する尖鋭な凸条77を突設する。浅溝75の中心にはネジ孔74の部分を含む縦方向の細溝78を形成し、この細溝78内にネジ孔74を塞ぐクッション付の舌片79を取り付ける。ネジ孔74にはハンドル付ネジ80を螺合し、ハンドル付ネジ80の先端部がクッションを押圧することにより、上側スライダー40がハンドル付ネジ80に傷つけられることなく、押さえ部材69及び中間受け具70が上側スライダー40に仮固定することができるようにする。
【0029】
本発明に係る画架は以上のように構成し、つぎにその使用方法について図7から図12を参照しながら説明する。
【0030】
まず、最も小さなカンバスCに絵画を描くときは、図7から図9のいずれかに示すように、受け部材50、押さえ部材60及び又は中間受け具70の間隔が狭くなるように配置する。図7に示す使用形態は、下側スライダー30を上寄りに位置し、受け部材50が下側の桁22よりも上側に配置し、押さえ部材60をカンバスCの大きさに対応させて下寄りに配置するものである。間隔が狭い受け部材50と押さえ部材60とによって小さなカンバスCを挟むことができる。
【0031】
本使用形態では、ボックス1は手前、より具体的には受け部材50の下部に位置させる。したがって、使用者は画架の前に椅子を置いて腰掛けた場合、その足元にボックス1が位置し、引出し1aを自由に使用することができる。すなわち受け部材50を下側の桁22よりも上側に配置することにより、ボックス1を手前に引き出すことができ、絵画を製作中に絵画用具を使用しやすくなる。また、ボックス1上にパレット(図示せず)などを載せることができるため、絵画を製作しやすくなる。
【0032】
図8に示す使用形態は、中間受け具70を使用して最も小さなカンバスCを挟むようにしたものである。すなわち図8の実線に示すように、下側スライダー30を上寄りに位置し、受け部材50が下側の桁22よりも上側に配置するが、中間受け具70を上側スライダー40の下部に配置し、押さえ部材60を上側スライダー40の上側スライダー40の上側に配置し、中間受け具70と押さえ部材60とでカンバスCを挟むようにする。
【0033】
また図8の仮想線に示すように、中間受け具70を上側スライダー40の上部に配置し、中間受け具70と受け部材50とによってカンバスCを挟むようにすることもできる。いずれの場合であっても、中間受け具70と受け部材50又は押さえ部材60との間隔が狭く、小さなカンバスCを挟むことができる。また、受け部材50を下側の桁22よりも上側に配置することにより、ボックス1を手前に引き出し、絵画を製作しやすくなる。
【0034】
図9に示す使用形態は、本実施形態の画架では特殊な使用方法であり、あえてボックス1を使用しない場合の例である。図9に示す使用形態は、下側スライダー30を下寄りに位置させ、受け部材50を下側の桁22よりも下側に配置し、押さえ部材60を上側スライダー40の上部に配置し、中間受け具70を上側スライダー40の下部に配置するものである。カンバスCは受け部材50と中間受け具70及び又は中間受け具70と押さえ部材60との間で挟むことができる。したがって、ボックス1は奥側に位置したままとなくなるが、2枚のカンバスCを挟むことができる。2枚のカンバスCを挟むことにより、特に展示即売会などにおいて、比較しやすいように使用することができる。また中間受け具70は図9の仮想線に示すように、任意の位置に変更することができるため、様々なサイズのカンバスCを挟むことができる。
【0035】
大きめのサイズのカンバスCは、図10及び図11に示すように受け部材50と押さえ部材60との間隔を広めにして使用する。すなわち図10に示す使用形態は、下側スライダー30を上寄りに位置させ、受け部材50を下側の桁22よりも上側に配置し、上側スライダー40を上寄りに位置させ、上側スライダー40の上部に押さえ部材60を配置する。この押さえ部材60に代えて中間受け具70を使用することもできる。受け部材50と押さえ部材60又は中間受け具70との間隔は広めになり、大きめのサイズのカンバスCを挟むことができる。また、受け部材50を下側の桁22よりも上側に配置することにより、ボックス1を使用者の足元に配置することができ、引出し1aを使用することができるため、絵画を製作しやすくなる。
【0036】
図11に示す使用形態は、本実施形態の画架では特殊な使用方法であり、あえてボックス1を使用しない場合の例である。図11に示す使用形態は、下側スライダー30を下寄りに位置させ、受け部材50を下側の桁22よりも下側に配置し、上側スライダー40も下寄りに位置させ、上側スライダー40の上部に、カンバスCのサイズに合わせて押さえ部材60又は中間受け具70を配置する。ただし、押さえ部材60は、上側スライダー40を上昇させた状態で、上側スライダー40の中間部に配置することもできる。このようにして、受け部材50と押さえ部材60又は中間受け具70との間隔が広めになることによって、大きめのカンバスCを挟むことができる。
【0037】
最後に、極めて大きなサイズのカンバスCは、図12に示すように受け部材50と押さえ部材60との間隔を最大限に広げて使用する。極めて大きなサイズのカンバスCを使用する場合には、ベース10上のボックス1を摺動させて後方にずらせ、受け部材50との干渉を避ける。そして下側スライダー30を下寄りに位置させて、受け部材50を下側の桁22よりも下側に配置し、上側スライダー40を上寄りに位置させて、上側スライダー40の上部に押さえ部材60又は中間受け具70を配置する。したがって、受け部材50と押さえ部材60又は中間受け具70との間隔が最大になる。
【0038】
極めて大きなサイズのカンバスCを固定する場合には、ボックス1の使用はできないが、通常の使用者においては、この様な極大のカンバスCを使用する頻度は低いと予想される。
このようにして、本発明に係る画架は、様々なサイズのカンバスCを受け部材50、押さえ部材60及び又は中間受け具70によって挟むことができる。また極大のカンバスCを使用する場合こそ、ボックス1の使用はできないものの、頻度の多い中小サイズのカンバスCを使用する場合にはボックス1の使用が可能であり、本実施形態の画架は使用勝手が良い。
【0039】
つぎに、下側スライダー30を昇降して仮固定する方法について説明する。下側スライダー30は図5に示すように、受け部材50の底面に枢着したL字形のレバー51の先端部が背貫28に装入した係止具29に係止することによって、所望の位置に仮固定される。係止具29はレバー51の先端部が押圧する横部と、下側から上側へ突出する斜め部とから構成される。したがって、下側スライダー30は、受け部材50を両手で持ち上げるだけで、所望の位置に仮固定することができる。
【0040】
すなわち、受け部材50を持ち上げると、レバー51の先端部が係止具29の横部から上昇し、レバー51は図5の仮想線に示すように斜め部によって傾倒した姿勢になる。そして、受け部材50をさらに持ち上げ続けると、レバー51の先端部が上の係止具29の横部に係止する。逆に下側スライダー30を下降するには、受け部材50を若干、持ち上げて手でレバー51を傾倒させ、レバー51の先端部を係止具29の横部から外す。そして、所望の位置でレバー51を元の姿勢に戻し、レバー51の先端部を係止具29の横部に載せる。このようにして、下側スライダー30は任意の位置に容易に仮固定することができる。
【0041】
つぎに、上側スライダー40を昇降して仮固定する方法について説明する。上側スライダー40は図4に示すように、側面に溝41が形成され、この溝41に下側スライダー30の上端部に固着したホルダー32と、ガイド板24の手前側の凸条26とが係合することによって下側スライダー30上を摺動し、下側スライダー30の上端部を貫通したハンドル付ネジ80によって仮固定される。ハンドル付ネジ80を締めつけると、ハンドル付ネジ80の先端部がクッションを介して上側スライダー40を下側スライダー30から離隔しようとする。すると、ホルダー32と上側スライダー40の凸条42とが圧着して仮固定される。逆に、ハンドル付ネジ80を緩めると、ガイド板24と上側スライダー40の凸条42とが圧着しなくなり、上側スライダー40が下側スライダー30から離れて自由に昇降動することができる。
【0042】
つぎに、押さえ部材60と中間受け具70を昇降して仮固定する方法について説明する。押さえ部材60と中間受け具70も基本的な構造は同じであるから、ここでは押さえ部材60を含めて中間受け具70という。中間受け具70は図6に示すように、ハンドル付ネジ80を締めつけることによってハンドル付ネジ80の先端部がクッションを介して上側スライダー40を押圧し、中間受け具70は上側スライダー40から離隔しようとする。すると、押さえ部材60の連結板62の裏面側に形成した尖鋭な凸条77と、上側スライダー40の尖鋭な凸条42とが圧着されて仮固定することができる。
【0043】
逆に、ハンドル付ネジ80を緩めると、中間受け具70は上側スライダー40に接近しようとする。すると、押さえ部材60の連結板62の裏面側に形成した尖鋭な凸条77と、上側スライダー40の尖鋭な凸条42とが圧着されなくなり、中間受け具70は上側スライダー40上を自由に昇降動することができる。そして、中間受け具70は極端には、上側スライダー40から外すこともできる。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限定することなく、本発明の要旨内において設計変更することができる。たとえば、2本の帆立は平行に立設するものに代え、頂部を連結するように「逆V」字形に立設することもできる。この場合は背貫は不要となる。さらに、ベースは台輪と称される枠状のものに限定するものではなく、H形状などでも実施することができる。また、桁は上下に2本、架設するほか、桁と背貫とを一体構造とすることもできる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の画架は、大小さまざまなカンバスを固定できる汎用性と、収納用のボックスを有する利便性を併せ持つ効果がある。
【0046】
また、受け部材及び押さえ部材を任意の位置に配置することができるようにしたことにより、1台の画架で様々なサイズのカンバスを挟むことができる。したがって、何種類もの画架を備える必要がなく、またアトリエが狭くなるといった不具合を解消することができる。
【0047】
また、中間受け具を取り付けたことにより、小さめから中間的な大きさのカンバスを、中間受け具と受け部材との間又は押さえ部材と受け部材との間で挟むことができる効果があり、小さめから中間的な大きさのカンバスを任意の位置に固定することができるため、利便性が向上する。さらに2枚のカンバスを挟むことができるので、本画架を展示会で使用すると、2枚のカンバスに描かれた絵を比較しやすくなる。
【0048】
さらに請求項2に記載の発明によれば、帆立が支柱によって支えられるため、カンバスを任意の角度に傾斜させることができるだけでなく、カンバスは安定して挟まれるため、絵画を作成する使用状態が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 小さめのカンバスを挟むときの画架全体の斜視図である。
【図2】 大きめのカンバスを挟むときの画架全体の斜視図である。
【図3】 図2と同じく大きめのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。
【図4】 上側の桁を中心に描いた背面上側からの斜視図である。
【図5】 受け部材材を中心に描いた正面下側からの斜視図である。
【図6】 中間受け具の背面上側からの斜視図である。
【図7】 小さめのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。
【図8】 図7とは異なる使用形態で小さめのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。
【図9】 図7及び図8とは異なる使用形態で小さめのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。
【図10】 大きめの大きさのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。
【図11】 図10とは異なる使用形態で大きめの大きさのカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。
【図12】 極端に大きなカンバスを挟むときの画架全体の正面図である。
【符号の説明】
1 ボックス
10 ベース
13 支柱
20 帆立
22 桁
23 桁
28 背貫
30 下側スライダー
40 上側スライダー
50 受け部材
60 押さえ部材
70 中間受け具
Claims (2)
- ベースと、ボックスと、前記ベースの両側部に立設された一対の帆立と、前記帆立に架設された横方向の桁と、前記桁に架設された縦方向の背貫と、前記背貫に摺動するように取り付けられた下側スライダーと、前記下側スライダー上を摺動するように取り付けられた上側スライダーと、下側スライダーの下端部に固着した受け部材と、上側スライダーの任意の位置に仮固定することができる押さえ部材及び中間受け具とを有し、前記ボックスはベース上に前後方向に移動可能に載置され、
上側スライダーの側面には溝が形成されており、下側スライダーに固着したホルダーが前記溝と係合しており、上側スライダーと下側スライダーとを離隔することによって前記係合部分が圧着して、上側スライダーと下側スライダーとを仮固定することができ、
押さえ部材及び中間受け具には連結板が設けられ、前記連結板は上側スライダーの溝と係合する凸条を有し、上側スライダーと前記連結板とを離隔することによって前記係合部分が圧着して、押さえ部材又は中間受け具は上側スライダーと仮固定することができることを特徴とする画架。 - 請求項1に記載の帆立を揺動可能にベースに取り付け、前記帆立の中間位置を、ベースに立設した支柱によって支持したことを特徴とする画架。
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