JP3646132B2 - 有機性汚泥の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機性汚泥液状化工程から得られる有機性汚泥スラリー液を濃縮する工程を含む有機性汚泥の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
代表的な有機性汚泥である下水汚泥は、全国で年間約5000万m3(濃縮汚泥基準:含水率98%)という莫大な量であり、年々増加の傾向にある。一般に下水汚泥等の有機性汚泥は、水分とともに蛋白質、脂肪及び炭水化物等の有機物を多量に含むため、腐敗しやすく、悪臭防止及び公衆衛生の観点より、安定化・無害化・減容化が必要とされている。大都市の多くの下水処理場においては、埋立地確保の困難性などの観点より、汚泥を燃焼処理することが行われている。
特開平7−35318号公報によれば、有機性汚泥の燃焼処理に際し、有機性汚泥をあらかじめ高温高圧処理して有機性汚泥スラリー液となした後、この汚泥スラリー液を燃焼処理する方法が提案されている。この方法によれば、有機性汚泥は流動性の良い汚泥スラリー液として燃焼炉に供給されることから、その燃焼処理に際しては、燃焼効率の良い噴霧燃焼法を採用することができ、燃焼炉が小型化できるとともに運転操作が容易になるという利点がある。
この方法においては、通常、汚泥スラリー液は、燃焼に際しての火炎温度を高めるために、いったん低圧のフラッシュタンク内に放出して、ここで水蒸気を蒸発させて濃縮している。そして、得られた汚泥スラリー濃縮液を燃焼炉に供給し、噴霧燃焼させている。
【0003】
しかしながら、前記のように汚泥スラリー液をフラッシュタンク内にフラッシュして濃縮させるだけでは、汚泥スラリー液の濃縮率は一般に不十分であり、得られる濃縮スラリー液は、その燃焼性及び発熱量の点で未だ不満足のものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機性汚泥スラリー液を高率で濃縮する工程を含む有機性汚泥の処理方法を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、 固体状態を示す有機性汚泥の処理方法において、
(i)該有機性汚泥を高温蒸気を用いて150〜275℃の反応温度に間接的に加熱するとともに、該反応温度における飽和水蒸気圧以上の圧力下に保持して液状化させる液状化工程、
(ii)該液状化工程で得られた汚泥スラリー液からその固形分濃度が20〜40重量%の濃縮液を得る濃縮工程、
(iii)該濃縮工程で得られた汚泥スラリー濃縮液を燃焼処理する燃焼工程、
(iv)該燃焼工程で得られた高温燃焼排ガスを廃熱ボイラーに供給して、高温蒸気を発生させる高温蒸気発生工程、
(v)該高温蒸気発生工程で得られた高温蒸気を流量調節バルブを介して前記液状化工程に送って有機性汚泥の間接加熱用熱源として用いる高温蒸気供給工程、
(vi)該流量調節バルブにより液状化工程に供給される高温蒸気量を前記液状化工程の反応温度との関連で調節して液状化工程の反応温度を常に150〜275℃の範囲に調節する高温蒸気量調節工程、
からなり、前記濃縮工程が、(a)該有機性汚泥液状化工程から得られる加圧状態にある高温の汚泥スラリー液をフラッシュタンク内にフラッシュさせてその中に含まれている水分を水蒸気として蒸発させるとともに、生成した水蒸気をタンク外部に排出させるフラッシュ工程と、(b)該フラッシュ工程で得られた汚泥スラリー濃縮液を、50℃以下の温度でかつ500G以下の遠心重力の条件下で遠心処理して、汚泥スラリー高濃縮液と分離水を得る遠心工程からなることを特徴とする有機性汚泥の処理方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、有機性汚泥液状化工程から得られる汚泥スラリー液から、その濃縮液を得る濃縮工程を含む有機性汚泥の処理方法である。この場合の汚泥スラリー液は、固形状態を示す有機性汚泥液を高温高圧条件に保持することによって得ることができる。以下において、この有機性汚泥液状化工程について詳述する。有機性汚泥液状化工程において被処理原料として用いる固形状態を示す有機性汚泥には、通常の下水処理場から排出される下水汚泥や各種の有機性廃水の生物処理装置から排出される余剰汚泥等の各種有機性汚泥の脱水物や各種の製造工程から排出される固形状の有機性汚泥等が包含される。有機性汚泥の脱水には、通常、機械脱水(真空脱水、加圧脱水、スクリュープレス脱水、ベルトプレス脱水及び遠心脱水等)が用いられるが、特に制約されない。ただし、脱水前の有機性汚泥には汚泥調質薬品の添加が望ましく、特に、高分子凝集剤の添加が有利である。従って、脱水方式に関しても、高分子凝集剤の添加に適しているベルトプレス脱水か遠心脱水が望ましい。この有機性汚泥の脱水は、得られる脱水汚泥の含水率が60〜90重量%、好ましくは65〜75重量%の範囲になるように行うのがよい。
【0007】
固形状態を示す有機性汚泥を液状化するには、加熱媒体として高温蒸気を用い、有機性汚泥を150〜275℃、好ましくは250〜275℃の反応温度に間接加熱するとともに、該反応温度における飽和水蒸気圧以上の圧力下に保持する。この液状化工程は、必要に応じ、液状化促進剤としてのアルカリ性物質の存在下で行うことができる。このアルカリ性物質は、有機性汚泥中の固形分に対して、0〜20重量%、好ましくは0〜5重量%の割合で添加するのがよい。アルカリ性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム等のアルカリ金属化合物や、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物等があげられる。有機性汚泥を反応条件下に保持する時間は、対象となる汚泥の種類により異なるが、一般には120分以内、通常、0〜60分である。液状化装置は、間接加熱方式の熱交換型反応装置であればよいが、固形状態を呈する汚泥を扱うことから、内部にスクレーパを有する掻面式熱交換型反応装置やヘリカル翼を有するスクリュウ型熱交換型反応装置の使用が望ましい。また、液状化反応における圧力は、下水汚泥からの水蒸気による自己発生圧を利用することができるが、必要に応じ、例えば、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガス等を用いて加圧することもできる。
このようにして得られる汚泥スラリー液は、非常にすぐれた流動性を有し、ポンプ圧送が充分に可能なものである。
【0008】
本発明の方法においては、前記液状化工程から得られる汚泥スラリー液をフラッシュタンク内に放出(フラッシュ)してそのスラリー液中に含まれる水分を蒸発させて濃縮液を得る。フラッシュタンク内の圧力は、5気圧以下、好ましくは常圧である。
図1に、汚泥スラリー液から、その濃縮液を得るためのフラッシュ工程の説明図を示す。
図1において、1はフラッシュタンクを示し、2は制御器を示し、3は液面検知器を示し、4は液面調節バルブを示し、Fは濃縮液を示し、Sは濃縮液の液面を示す。
汚泥スラリー液は、ライン5を通って、汚泥スラリー濃縮液が滞留している低圧のフラッシュタンク1内にフラッシュタンクの中間部からフラッシュされる。汚泥スラリー液の温度は高くとも150℃であり、また、その圧力は高くとも5気圧である。フラッシュタンク1内にフラッシュされたこの汚泥スラリー液は、フラッシュタンク内の圧力にまで減圧され、汚泥スラリー液中の水分の蒸発除去が起ると同時に、その圧力における水の沸点(例えば、タンク内が大気圧であれば100℃)まで冷却される。この場合の汚泥スラリー液中からの水分の蒸発量は、フラッシュタンクに導入する前の汚泥スラリー液の顕熱量から、濃縮液の顕熱量を差引いた値に相当する量である。汚泥スラリー液から発生した水蒸気はフラッシュタンクの上部からライン6を通って排出される。
水分の蒸発除去された後の汚泥スラリー液は、濃縮液としてフラッシュタンクの下部に滞留し、フラッシュタンク下部側壁又は底部からライン7を通って排出される。濃縮液中の固形分濃度は、10〜40重量%、好ましくは20〜40重量%である。
【0009】
本発明においては、フラッシュタンク内の濃縮液の液面Sは、液面検知器3、制御器2及び流量調節バルブ4の組合せにより、フラッシュタンクの濃縮液排出口よりも常に上方に位置させるのが好ましい。即ち、濃縮液の液面Sが所定の液面位より下降したときには、液面検知器3がこのことを検知し、この液面位情報は、電気信号として制御器2に送られ、ここで液面調節バルブ4を作動させる電気信号に変換されて液面調節バルブ4に送られ、その液面調節バルブを閉鎖又はその開度を減少させる。これによって濃縮液Fの液面位は所定の位置まで上昇する。液面位Sは、濃縮液排出口の上端から5〜100cm、好ましくは10〜50cm上方に位置させるのがよい。
【0010】
汚泥スラリー濃縮液をフラッシュタンクに配設された排出口から排出させる場合、この濃縮液は、高濃度の固形分を含み、しかも、この固形分は粘着性のもので、かつ乾燥により容易に固化する特性を有することから、フラッシュタンク内に濃縮液を滞留させずに汚泥スラリー液のタンク内への放出により生成した濃縮液を直ちにその排出口から排出させると、その排出口に連通する配管の閉塞トラブルが生じる。
即ち、タンク内に濃縮液を滞留させずに、タンク内に生じた濃縮液を直ちにその排出口から排出させようとすると、濃縮液の液体成分の方が排出されやすいため、固形分がその排出口近傍の配管内に残留し、時間が経過すると、当該配管に高濃度で堆積する。そして、この堆積物は濃縮液との接触がなくなると、乾燥固化して、配管を閉塞させるようになる。
これに対し、タンク内に濃縮液を常に滞留させるときには、この滞留濃縮液中の固形分の分散が均一になり、配管内への固形分の堆積がなく、かつ濃縮液中の固形分の乾燥固化が生じなく、濃縮液を円滑に排出口から排出させることができる。
本発明においては、フラッシュタンク内にスクレーパ8を設置し、モータ9でスクレーパ8を回転させ、フラッシュタンクの内壁面に付着する固形物を掻き取るようにすることが好ましい。
【0011】
本発明においては、前記フラッシュ工程で得られた汚泥スラリー濃縮液は、これを遠心処理工程に導入し、遠心処理してさらに濃縮する。この場合の遠心工程は、50℃以下の温度、好ましくは40℃以下の温度及び500G以下、好ましくは400G以下、より好ましくは250G以下の条件下で実施される。遠心温度が50℃より高くなると、被処理原料である汚泥スラリー液中の汚泥粒子の粘着性が増加するため、汚泥粒子同志が付着して塊状の固形物が生成し、配管等の閉塞トラブルを生じるようになる。また、遠心重量が500Gよりも高くなると、汚泥粒子が圧密されるため、塊状の固形物が生成し、配管等の閉塞トラブルを生じるようになる。 前記遠心条件でフラッシュ工程からの汚泥スラリー液を遠心処理することにより、汚泥スラリー高濃縮液と、汚泥スラリーから分離された分離水とが得られる。この場合の汚泥スラリー高濃縮液は、液状化工程から得られる汚泥スラリー液と比較すると、高率で濃縮されたもので、その固形分濃度は、20〜40重量%、好ましくは30〜40重量%である。また、この汚泥スラリー高濃縮液は、遠心処理して得られたにもかかわらず、特定の条件で遠心されたものであることから、塊状固形物を含まないものである。一方、分離水は、前記のように比較的低遠心重力条件下の遠心処理で得られたものであることから、固形分を含み、その固形分濃度は、20重量%以下、通常、3〜10重量%である。
【0012】
この分離水は、燃焼炉に導き、炉壁を介して炉内に噴出させる。これによって分離水中の有機性汚泥は容易に熱分解される。この場合、分離水を炉壁面に沿って噴出させることにより、分離水を蒸発させるとともに炉壁を冷却することができる。分離水の噴霧位置は、1個所に限らず、複数の位置から炉内に噴出させることができる。また、この分離水は、500Gより高い遠心重力、好ましくは550〜1000Gの遠心重力条件下で第2遠心処理することにより、分離水と、汚泥スラリー液とに分離することができる。この場合の分離水は、固形分濃度の低いもので、その固形分濃度は、10重量%以下、通常、1〜5重量%である。一方、汚泥スラリー液は、固形分濃度の高いもので、その固形分濃度は40重量%以上、通常、30〜40重量%である。
前記第2遠心処理により得られた分離水は、燃焼炉に導き、炉壁から炉内に噴出させることができる。一方、汚泥スラリー液は、固形分濃度が高く、燃焼性にもすぐれていることから、前記第1遠心処理で得られた汚泥スラリー高濃縮液に添加し、燃焼炉へ導いて噴霧燃焼させる。
【0013】
前記のようにして得られた汚泥スラリー高濃縮液は、燃焼工程において、燃焼炉のバーナの噴霧ノズルから、燃焼用含酸素ガスとともに、微粒子状で炉内に噴出されて燃焼される。燃焼用含酸素ガスとしては、空気、酸素富化空気又は酸素ガスが使用される。バーナノズルから噴出させる濃縮液の噴出粒子径は、300μm以下、好ましくは30〜150μmである。バーナ型式は特に制約されないが、外部あるいは内部混合式2流体噴霧式バーナや低圧空気噴霧式バーナ等の使用が好ましい。
【0014】
燃焼工程で得られた高温燃焼排ガスは、高温蒸気発生工程において、これを廃熱ボイラーに供給して高温蒸気を発生させる。この場合の廃熱ボイラーとしては、従来公知の各種のものを用いることができる。この廃熱ボイラーにより発生させる蒸気の温度は、前記有機性汚泥を150〜275℃の範囲に加熱するのに必要な温度であり、通常、190〜315℃、好ましくは290〜315℃である。
【0015】
前記のようにして得られた高温蒸気は、これを流量調節バルブを介して前記液状化工程に送って有機性汚泥の加熱用熱源として用いる。この場合の流量調節バルブは、液状化工程で用いる反応装置に付設された反応温度検知器と電気的に接続している温度制御器によりコントロールされる。
【0016】
前記流量調節バルブにより、液状化工程に供給される高温蒸気量は、これを前記液状化工程の反応温度との関連で調節して、液状化工程の反応温度を常に150〜275℃の範囲に調節する。このようにして、液状化反応工程の反応温度を常に特定範囲内に保持することにより、液状化工程における有機性汚泥の炭素質化が回避され、汚泥液状化物中の固形分の高粘稠化現象の発生が防止される。その結果、高粘稠化固形分による配管やフラッシュタンクの出口の閉塞トラブルの発生や濃縮液輸送パイプの閉塞トラブルの発生が防止され、さらに、濃縮液を燃焼炉内に噴霧するための噴霧ノズルの閉塞トラブルの発生も防止される。
【0017】
次に、本発明による前記濃縮工程を含む有機性汚泥の処理方法について、そのフローシートを図2に示す。
図2において、11は液状化工程、12はフラッシュ工程、13は燃焼工程、14は高温蒸気発生工程、15は固気分離工程、16は高温蒸気流量調節バルブ、17は濃縮液液面調節バルブ、18は遠心工程を各示す。
図2のフローシートに従って有機性汚泥の処理を行うには、原料有機性汚泥をライン21を通して液状化工程11に導入し、ここでライン27及び流量調節バルブ16を通って供給される高温蒸気により、150〜275℃の温度に間接的に加熱し、液状化させる。この液状化工程における圧力は、水の沸とうを防止するために、その反応温度における飽和水蒸気圧以上の圧力である。
【0018】
液状化工程11で得られた加圧状態にある高温の汚泥スラリー液は、これをライン22を通ってフラッシュ工程12に導入し、その汚泥スラリー液中に含まれる水分を蒸発させ、生成した水蒸気はライン24を通って排出させる。汚泥スラリー液は、この水分の蒸発により濃縮され、濃縮液となる。このフラッシュ工程は、フラッシュタンクを用いて実施され、そのタンク内には濃縮液が滞留し、その滞留液の液面は、タンク内に配設された液面検知器と液面制御器SIを介して電気的に接続する液面調節バルブ17によってコントロールされる。
フラッシュ工程12で得られた濃縮液は、これをライン23を通って遠心工程18を導入し、ここで遠心処理して、汚泥スラリー高濃縮液と分離水とに分離する。汚泥スラリー高濃縮液は、ライン31を通って燃焼工程13に導入し、ここでライン25を通って供給される燃焼用空気により、図示しないバーナによって噴霧燃焼させる。この燃焼処理により900℃以上の高温燃焼排ガスが生成する。この燃焼排ガスは微量の燃焼灰を含むが、このものは、これをライン26を通して高温蒸気発生工程14に導入し、ここで、熱媒を加熱し、蒸発させて高温蒸気を発生させる。
遠心工程18で得られた分離水は、ライン32を通って燃焼工程13に送られ、ここで、蒸発させるとともに炉壁面の冷却に用いられる。
【0019】
高温蒸気発生工程14で発生した高温蒸気は、これをライン27及び流量調節バルブ16を通して液状化工程11に供給する。液状化工程11の反応温度は、反応器内に配設された温度検知器と温度制御器TIを介して電気的に接続する流量調節バルブ16によってコントロールされる。即ち、流量調節バルブ16は、液状化工程11の反応温度との関連で作動し、その反応温度を所定値に保持するように、反応温度が上昇すると、そのバルブの開度を縮小させて液状化工程へ供給される高温蒸気の流量を減少させ、一方、反応温度が低下すると、そのバルブの開度を拡大させて液状化工程へ供給される高温蒸気の流量を増加させる。
【0020】
高温蒸気発生工程14において、蒸気発生用熱源として使用された後の燃焼排ガスは、これをライン28を通して固気分離工程15に導入する。この固気分離工程15は、燃焼排ガス中に含まれる微量の燃焼灰を除去する工程であり、このためには、湿式集塵機や乾式電気集塵機等の慣用の固気分離装置が用いられる。燃焼灰の除去された後の燃焼排ガスはライン29を通して放出され、一方、燃焼灰はライン30を通して排出される。
【0021】
図3に、有機汚泥の処理方法についての他のフローシートを示す。
このフローシートは、第2遠心工程19を含む点で図2のフローシートと相違するだけである。このフローシートにおいては、第1遠心工程18で得られた分離水は、ライン33を通って第2遠心工程19に導入され、ここで汚泥スラリー高濃縮液と分離水とに分離される。この第2遠心工程19で得られた汚泥スラリー高濃縮液は、ライン34を通って、ライン31を通る第1遠心工程18からの汚泥スラリー高濃縮液に添加され、燃焼工程13に導入される。一方、第2遠心工程19で得られた分離水はライン32を通って燃焼工程13に送られ、炉壁を介して炉内に噴出される。
【0022】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0023】
実施例1
有機性汚泥として下水汚泥を選択し、標準活性汚泥法の処理場から排出された混合生汚泥の脱水ケーキを試験に用いた。この汚泥は高分子凝集剤を添加した後、ベルトプレスにて脱水したものである。その代表的な性状は、含水率79重量%、有機物比78重量%及び低位発熱量3940kcal/kgである。
【0024】
上記脱水汚泥を連続汚泥液状化設備(処理能力:200kg/hr)を用いて液状化した。この設備は、圧入装置、反応器(掻面式熱交換器)、減圧バルブ及び蒸気ジャケットより構成されており、反応器への熱量は、反応器外周面に付設されている蒸気ジャケットへ高温蒸気を導入することにより供給した。
脱水汚泥を圧入装置で反応器に導入し、閉塞防止や伝熱促進のためにスクレーピングを実施しながら約270℃まで加熱した。反応温度における滞留時間は、約60分とした。反応器出口で脱水汚泥は充分に液状となっている。
次に、この高温(270℃)の汚泥液状化物(汚泥スラリー液)を反応器に付設された減圧バルブを介して常圧のフラッシュタンク内にフラッシュさせた。このタンク内には、あらかじめ汚泥スラリー液の濃縮液(固形分濃度29重量%)をその濃縮液排出口より30cm上方の位置にまで貯留し、その上に汚泥スラリー液のフラッシュにより生成された濃縮液が流下するようにした。この濃縮液の液面位は、タンク内に配設した液面検知センサーに電気的に接続する制御系により濃縮液液面調節バルブを作動させ、そのバルブ開度を調節することにより、所定の高さの位置に保持した。
フラッシュタンク内での汚泥スラリー液からの水分の蒸発によって生成した濃縮液を前記のようにしてタンクから排出させることにより、タンクからの濃縮液の排出を円滑に行うことができた。この濃縮液の固形分濃度は29重量%であった。また、その温度は100℃であった。
【0025】
この濃縮液を40℃に冷却し、遠心分離装置(デカンタ型遠心分離装置)に送り、ここで、150Gの遠心重力で遠心処理した。得られた高濃縮液は、固形分濃度約35重量%のもので、これを燃焼工程へ送った。
一方、前記遠心工程(第1遠心工程)で得られた分離水は、固形分濃度11%を示し、これを第2遠心工程に送り、ここで550Gの遠心重力条件で遠心処理した。この第2遠心処理により、固形分濃度が35重量%の濃縮液と、固形分濃度が5重量%の分離水を得た。この第2遠心工程で得た濃縮液は、これを前記第1遠心工程からの高濃縮液に添加し、燃焼工程へ送った。また、分離水は燃焼工程へ送り、炉壁を介して炉内に噴出させた。
【0026】
燃焼工程に送られた高濃縮液は、スネークポンプを用いて流量150kg/hで中間混合型の高圧2流体噴霧バーナへ送り、燃焼炉内に噴霧するとともに、これを燃焼させた。この時、燃焼用含酸素ガスとしては30vol%の酸素を含有する酸素富化空気を使用した。この条件下において液状化物は火炎を形成して燃焼し、その燃焼を継続した。火炎燃焼を1時間以上継続したが、この時の燃焼火炎温度は1,200℃以上を示した。
【0027】
前記燃焼炉で得られた高温(温度900℃)の燃焼排ガスは、これを廃熱ボイラーに導入して熱媒油を加熱して温度310℃及び圧力2.5気圧の高温蒸気を発生させた。この高温蒸気は、流量調節バルブを介して前記汚泥液状化装置のジャケット内に導入して、汚泥加熱用熱源として用いた。流量調節バルブは、汚泥液状化装置内に付設した温度検知器と電気的に接続し、そのバルブを流通する高温蒸気の流量を調節して、装置内温度を約270℃の温度に保持した。
【0028】
廃熱ボイラーを通過した燃焼排ガスは、これを温度400℃に冷却して乾式電気集塵機に導入し、ここで排ガス中に含まれる燃焼灰を除去した後、ミスト分離器を通して大気へ放出した。
【0029】
比較例1
実施例1において、フラッシュタンクから排出された100℃の濃縮液を冷却せずにそのまま第1遠心処理したところ、この場合には、得られる高濃縮液中には、塊状固形物の存在が認められた。
【0030】
比較例2
実施例1において、第1遠心処理における遠心重力を700Gにしたところ、得られる高濃縮液中には、塊状固形物の存在が認められた。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、汚泥スラリーを高度に濃縮して、燃焼性にすぐれるとともに、発熱量の大きい高濃縮液を得ることができる。また、本発明で得られる高濃縮液は、固形分濃度が著しく高いにもかかわらず、塊状固形分が存在しないことから、噴霧ノズルを閉塞することなしに、円滑に噴霧燃焼させことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機性汚泥スラリー液からその濃縮液を得るためのフラッシュ工程の説明図を示す。
【図2】有機性汚泥を処理する場合のフローシートの一例を示す。
【図3】有機性汚泥を処理する場合の他のフローシートを示す。
【符号の説明】
1 フラッシュタンク
2 制御器
3 液面検知器
4 濃縮液液面調節バルブ
11 汚泥液状化工程
12 汚泥スラリー液のフラッシュ工程
13 濃縮液の噴霧燃焼工程
14 高温蒸気発生工程
15 固気分離工程
16 蒸気流量調節バルブ
17 濃縮液液面調節バルブ
18 遠心工程
19 第2遠心工程
Claims (1)
- 固体状態を示す有機性汚泥の処理方法において、
(i)該有機性汚泥を高温蒸気を用いて150〜275℃の反応温度に間接的に加熱するとともに、該反応温度における飽和水蒸気圧以上の圧力下に保持して液状化させる液状化工程、
(ii)該液状化工程で得られた汚泥スラリー液からその固形分濃度が20〜40重量%の濃縮液を得る濃縮工程、
(iii)該濃縮工程で得られた汚泥スラリー濃縮液を燃焼処理する燃焼工程、
(iv)該燃焼工程で得られた高温燃焼排ガスを廃熱ボイラーに供給して、高温蒸気を発生させる高温蒸気発生工程、
(v)該高温蒸気発生工程で得られた高温蒸気を流量調節バルブを介して前記液状化工程に送って有機性汚泥の間接加熱用熱源として用いる高温蒸気供給工程、
(vi)該流量調節バルブにより液状化工程に供給される高温蒸気量を前記液状化工程の反応温度との関連で調節して液状化工程の反応温度を常に150〜275℃の範囲に調節する高温蒸気量調節工程、
からなり、前記濃縮工程が、(a)該有機性汚泥液状化工程から得られる加圧状態にある高温の汚泥スラリー液をフラッシュタンク内にフラッシュさせてその中に含まれている水分を水蒸気として蒸発させるとともに、生成した水蒸気をタンク外部に排出させるフラッシュ工程と、(b)該フラッシュ工程で得られた汚泥スラリー濃縮液を、50℃以下の温度でかつ500G以下の遠心重力の条件下で遠心処理して、汚泥スラリー高濃縮液と分離水を得る遠心工程からなることを特徴とする有機性汚泥の処理方法。
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