JP3646011B2 - 検索システム、及び、当該検索システムのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
検索システム、及び、当該検索システムのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD、絵画及び映画等の複数のジャンルに属する複数のオブジェクトに関するデータベースより、ユーザの好みに合うオブジェクトを検索し、検索したオブジェクトを推薦作品としてディスプレイやプリンター等に出力する検索システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、CD、絵画、又は、映画といったオブジェクトのデータを記憶するデータベースから、キーワードによる絞り込みによりユーザの所望するオブジェクトを検索するシステムが知られている。
【0003】
例えば、映画のデータベースからユーザの好みに合う映画を検索し、検索した映画を次に見る映画として推薦する絞り込み検索システムが知られている。ユーザは、コメディ/ロマンス/SF等のジャンルを表すキーワードや、洋画/邦画、監督名、作成国等を表す複数のキーワードから、好きな映画に関するキーワードを指定する。当該絞り込み検索システムでは、ユーザにより指定されたキーワードによる絞り込み検索を行い、当該検索された映画を、次に見る映画としてディスプレイやプリンタ等の出力装置に出力する。
【0004】
ところが、上記従来の絞り込み検索システムでは、データベース内のデータが増加すると、作品を所望の数にまで絞り込むために設定を用するキーワードの数が増加して操作性が悪くなると共に、適切なキーワードの設定が困難になるといった問題がある。
【0005】
そこで、上記キーワードの設定のかわりに、ユーザに好きな映画のタイトルを複数入力させ、入力された映画を同じように好きな人が上記複数の映画以外に好きな映画を、次に見る映画として推薦する推測検索システムが提案されている。当該推測検索システムでは、数百人又は数千人を対象として行った好きな映画に関するアンケート結果をデータベースとして構築しておき、ユーザの好きな複数の映画を同じく好きであると答えた人(標本)を特定し、該特定した人(標本)がユーザが入力した映画以外に好きな映画を、次に見る映画として推薦する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以下、CD、絵画及び映画等、多くのジャンルに関し、ジャンル別に属する複数のオブジェクトの嗜好度を、所定の人数分だけ集めてなるデータベースから、ユーザの好みに合う映画を検索する場合を想定する。
【0007】
上記絞り込み検索システムの場合、ユーザは好みの映画に関するキーワードを適切に設定する必要がある。しかし、ユーザが音楽については詳しいが、映画について詳しくない場合、ユーザは適切なキーワードの設定を行うことができず、所望する映画の検索を行うことができない。
【0008】
また、上記推測検索システムの場合、ユーザは、ユーザの好みに合う映画を特定するため自己が好きなCD、絵画及び映画のタイトルを入力する必要が生じる。しかし、音楽については詳しいが、映画については詳しくない場合、ユーザは、好きな映画のタイトルを入力することができない。一般的に、音楽の好みと映画の好みは必ずしも一致しない。このため、音楽の好みに基づいて特定された人(標本)が好きな映画が、常にユーザの好みに合うとは限らない。
【0009】
このように、上記絞り込み検索システム及び推測検索システムでは、例えば、音楽に対する好みに基づいて、ユーザの好みに合う映画を適切に推薦することはできない。
【0010】
本発明は、CD、絵画及び映画等の多くのジャンルに関し、ジャンル別に属する複数のオブジェクトの嗜好度を、所定の人数分だけ集めてなるデータベースから、簡単な作業でユーザの好みに合致するオブジェクトを、異なるジャンルの嗜好データに基づいて特定し、特定したオブジェクトを推薦作品としてディスプレイやプリンタに出力する検索システム、及び、当該検索システムのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の第1の検索システムは、複数のジャンルについて、ジャンル別に属する複数のオブジェクトの嗜好度を、所定の人数分だけ集めてなるデータベースと、複数のオブジェクト相互間の関係の強さを表す数値を、データベースに記録されている各オブジェクトの嗜好度に基づいて算出する演算手段と、複数のオブジェクト内の1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度を設定する設定手段と、演算手段により求められた各オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値、設定手段により設定された1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度と、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトに対する嗜好度のデフォルト値に基づいて、全てのオブジェクトに対するユーザの嗜好度を推測する推測手段と、推測手段により求められた各オブジェクトに対するユーザの嗜好度の推測値に基づいて1以上のオブジェクトを選択し、選択した1以上のオブジェクトを推薦作品として出力する出力手段とで構成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の検索システムは、第1の検索システムにおいて、演算手段が、オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値として、各オブジェクトの嗜好度に基づいてオブジェクト相互間の相関値を算出することを特徴とする。
演算手段が、オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値として、各オブジェクトの嗜好度に基づいてオブジェクト相互間の相関値を算出することを特徴とする請求項1記載の検索システム。
【0013】
本発明の第3の検索システムは、第1の検索システムにおいて、演算手段が、オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値として、各オブジェクト間の点差に基づいて定められる距離を求め、求めた距離の逆数に比例する値を算出することを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の検索システムは、第1の検索システムにおいて、複数のオブジェクトに対する嗜好度として、好き/嫌いといった2値的な評価を採用し、演算手段は、2つのオブジェクトに関して好きと答えた人の割合を、又は、2つのオブジェクトに関して嫌いと答えた人の割合を、オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値として算出することを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の検索システムは、第2乃至第4の何れかの検索システムにおいて、推測手段が、各オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値で構成される行列に、設定手段により設定されたユーザの嗜好度を掛け合わして求められる値を、各オブジェクトに対するユーザの嗜好度の推測値とすることを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の検索システムは、第2乃至第4の何れかの検索システムにおいて、推測手段が、設定手段により設定された1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度と、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトに対する嗜好度のデフォルト値とに基づいて、多次元尺度法を用いて各オブジェクトを空間内に配置し、配置後のオブジェクトに対してバネモデルを適用し、各オブジェクトを同一質量の点として取り扱い、該オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値に基づいて定まるバネ係数のバネにより接続したバネモデルで表し、あるオブジェクト(以下、第1オブジェクトという)以外のオブジェクト(以下、第2オブジェクトという)の嗜好度と第1オブジェクトから第2オブジェクトまでの距離に基づいて定まる数値とを、第1オブジェクト以外の全てのオブジェクトについて求め、求めた全ての数値を第1オブジェクトの嗜好度に加算した値を第1オブジェクトの嗜好度を表す推測値とすることを特徴とする。
【0017】
本発明の第7の検索システムは、第2乃至第4の何れかの検索システムにおいて、推測手段が、クラスタ分析手法に従って演算手段により求められるオブジェクト相互間の関係の強さを表す数値に基づいて、複数のオブジェクトを所定の数のグループに分け、グループ毎に、グループを構成する複数のオブジェクトの嗜好度の合計値又は平均値を、グループを構成する各オブジェクトの嗜好度の推測値とすることを特徴とする。
【0018】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、複数のジャンルについて、ジャンル別に属する複数のオブジェクトの嗜好度を、所定の人数分だけ集めて成るデータベースを備えるコンピュータを、複数のオブジェクト相互間の嗜好度の強さを表す数値を、データベースに記録されている各オブジェクトの嗜好度に基づいて算出する演算手段と、複数のオブジェクト内の1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度を設定する設定手段と、演算手段により求められた各オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値と、設定手段により設定された1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度と、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトに対する嗜好度のデフォルト値と、に基づいて、全てのオブジェクトに対するユーザの嗜好度を推測する推測手段と、推測手段により求められた各オブジェクトに対するユーザの嗜好度の推測値の大きなオブジェクトを推薦作品として出力する出力手段として機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の検索システムは、データベース内に構築されている多くのジャンルに関し、ジャンル別に属する複数のオブジェクト相互間の関係の強さ(相関値等)を求め、例えば、ある音楽CDが好きな人は、この映画が好きな場合が多いといった統計を求める。当該統計を利用して、例えば、音楽CDについての好みに基づいて、ユーザが好きと思われる映画を推薦作品としてディスプレイやプリンタに出力することを特徴とする。
以下、上記特徴を具備する実施の形態1〜実施の形態3にかかるデータベース検索システムについて説明する。
【0020】
(1)実施の形態1
図1は、実施の形態1にかかる検索システム100の構成を示す図である。ディスプレイ101は、ユーザの各オブジェクトに対する嗜好度の推測値、及び、ユーザに推薦するオブジェクトを表示する。制御部102は、CD、絵画及び映画等の多くのジャンルに関し、ジャンル別に属する複数のオブジェクトの嗜好度を、所定の人数分だけ集めてなるデータベースのデータを記憶するハードディスク105(図2を参照)を内蔵し、ユーザにより入力された検索プロファイルや検索条件に基づいてデータの検索を実行する。キーボード103及びマウス104は、ユーザのプロファイルや検索条件を入力する手段として用いる。
なお、ディスプレイ101の他にプリンターを備え、ユーザに推薦するオブジェクトを用紙に印刷する構成を採用しても良い。
【0021】
図2は、上記制御部102の内部構成を示す図である。制御部102は、上記CD、絵画及び映画等の多くのジャンルに関し、ジャンル別に属する複数のオブジェクトの嗜好度を、所定の人数分だけ集めてなるデータベースのデータを記憶するハードディスク105、検索プログラムを記憶するROM106、RAM108、及び、前記ROM106に記憶されている検索プログラムをRAM108に読み出して実行する中央演算処理装置(以下、CPUという)107で構成される。図示するように、CPU107は、ディスプレイ101、キーボード103及びマウス104に接続されている。
【0022】
なお、上記データベースのデータを、ハードディスク105のかわりに光磁気ディスクやCD―ROM等の外部記録媒体に記録しておき、所定の読取装置により上記外部記録媒体に書き込まれているデータを読み出す構成を採用しても良い。上記外部記録媒体の読取装置は、通信線を介して検索システム100のCPU107に接続される構成を採用しても良い。
また、上記検索プログラムは、ROM106のかわりにハードディスク105又は上記外部記録媒体に記録しておき、必要に応じてRAM108に読み出し、実行する構成を採用しても良い。
【0023】
図3は、ハードディスク105に記憶されている多くのジャンルに関し、ジャンル別に属する複数のオブジェクトに対する嗜好度を、例えば5000人分集めてなるデータベースの構成を示す図である。本データベースは、各々ID番号の割り当てられている5000人分のプロファイルデータ及び嗜好データにより構成されている。上記プロファイルデータは、例えば、年齢、性別及び職業のデータで構成されている。上記嗜好データは、多くのジャンルに関し、ジャンル別に属する複数のオブジェクト、例えば、CDについて3個、絵画について3個及び映画について2個…といった合計でm個のオブジェクトに対する嗜好度を各々100点満点で表したデータ、及び、各オブジェクトのプロファイルデータで構成されている。なお、各オブジェクトの嗜好度は、例えばCD、絵画、映画、…の所定の順番でハードディスク105に書き込まれている。
【0024】
図3において、ID=0001の人(以下、単に標本ともいう)のプロファイルデータは、25歳、男性、会社員である。CDに関して、当該ID=0001の人のcd1に対する嗜好度は60点、cd2に対する嗜好度は80点、cd3に対する嗜好度は70点である。なお、cd1のプロファイルデータは、1954年発売、男性、ジャズであり、cd2のプロファイルデータは、1971年発売、男性、ロックであり、cd3のプロファイルデータは、1997年発売、女性、ポピュラーである。
絵画に関して、当該ID=0001の人のd1に対する嗜好度は70点、d2に対する嗜好度は50点、d3に対する嗜好度は80点である。なお、d1のプロファイルデータは、1920年作成、洋画、油絵であり、d2のプロファイルデータは、1995年作成、邦画、版画であり、d3のプロファイルデータは、1933年作成、洋画、写真である。
映画に関して、当該ID=0001の人のm1に対する嗜好度は60点、m2に対する嗜好度は80点となっている。なお、m1のプロファイルデータは、1986年上映、洋画、アクションであり、m2のプロファイルデータは、1981年上映、邦画、ロマンスである。
なお、説明の便宜上、残りのm―8個のオブジェクトのプロファイルデータ及び嗜好データについての記載及び説明は省略する。
【0025】
後にフローチャートを用いて説明するが、CPU107は、上記データベースを構築する各人の嗜好データを用いて、m個のオブジェクト相互間の相関値を求め、求めた相関値をRAM108に記憶しておく。
【0026】
なお、m個のオブジェクト相互間の相関値は、調べようとする2つのオブジェクトに関する5000人分(後に説明するデータプロファイルの設定(図8を参照)により処理対象とする標本が絞り込まれた場合には、当該絞り込まれた人数分)の嗜好データの共分散値及び標準偏差値を求め、上記共分散値を上記標準偏差値で割ることにより求める。
具体的には、処理対象とする人数をN人とすると、上記相関値は、次の「数1」により求められる。なお、変数i、jは、1〜mの整数値を取り、i番目及びj番目にハードディスク105に記憶されているオブジェクトを示す。例えば、図3に示すように、ハードディスク105に1番目に記憶されているオブジェクトは、cd1である。
【数1】
上記相関値は、2つのオブジェクトの関係の強さを表すものである。相関値は、−1〜1の値をとり、2つのオブジェクトの関係が強い程1に近づく。
【0027】
なお、検索システム100では、各オブジェクト間の関係の強さを上記「数1」により求められる相関値により表すが、各オブジェクト間の点差に基づいて定められる距離を求め、求めた距離の逆数に比例する値を各オブジェクト間の関係の強さを表す数値として取り扱うようにしても良い。
【0028】
また、各オブジェクトに対する嗜好度を、好き/嫌いといった2値的な評価により表しても良い。この場合、2つのオブジェクトに関して好きと答えた人の割合をオブジェクト間の関係の強さを表す数値として取り扱えばよい。
【0029】
図4は、CPU107の実行する検索処理のメインフローを示す図である。検索処理プログラムの実行に伴い、CPU107は、ディスプレイ101上に図5に示すユーザプロファイル設定画面を表示する(ステップS6)。ユーザは、当該設定画面に設けるチェックボックス501〜509をマウス104によりクリックしてユーザプロファイルの設定を行う。
ユーザにより「完了」のボタン510がマウス104によりクリックされた場合であって(ステップS7でYES)、ユーザプロファイルの設定が行われている場合には(ステップS8でYES)、当該設定に従って検索処理の対象とする標本の絞り込みを実行する(ステップS9)。具体的には、CPU107は、ユーザにより設定されたプロファイルと一致する標本のデータのみを検索処理の対象とすることで、処理の迅速化、及び、より適切な作品の推薦を実現する。
なお、ユーザプロファイルの設定が行われていない場合には(ステップS8でNO)、絞り込み処理をスキップし、全ての標本を検索処理の対象として、次のステップS10に進む。
【0030】
ユーザプロファイルの設定に基づく標本の絞り込み処理の実行後、CPU107は、作品間関係記述処理を実行する(ステップS10)。当該処理では上記ステップS9において絞り込まれた各標本のm個のオブジェクトの嗜好データに基づいて、オブジェクト相互間の相関値を求める。
次に示す「表1」は、説明の便宜上、図3に示したID=0001,ID=0002,ID=0003の標本の嗜好データに基づいて、CD3個、絵画3個、映画2個の合計8個のオブジェクト相互間の相関を求めた結果を表す。なお、当該処理については後に詳しく説明する。
【表1】
【0031】
上記作品間関係記述処理の終了後、CPU107は、図6に示すユーザ感性入力画面をディスプレイ101に表示する(ステップS11)。ディスプレイ101上には、m個のオブジェクトに対する嗜好度の入力画面が表示されるが、説明の便宜上、図6には、m個のオブジェクトの内、CD3個、絵画3個、映画2個の合計8個のオブジェクトに対する嗜好度の入力画面を表示する。
ユーザは、キーボード103及びマウス104を操作して数値入力ボックス601〜608に各オブジェクトに対する嗜好度を100点満点で入力する。各オブジェクトに対する嗜好度を100点満点で設定した後、ユーザは、マウス104により「検索スタート」のボタン609をクリックする。
当該嗜好度の入力画面において、ユーザは全てのオブジェクトに対する嗜好度を入力する必要はなく、適切に評価できるオブジェクトに対してのみ嗜好度を入力すればよい。なお、各数値入力ボックス601〜608には、嗜好度のデフォルト値として0点が設定されている。
本図では、CDに関して、ユーザのcd1に対する嗜好度は70点、cd2に対する嗜好度は90点、cd3に対する嗜好度は70点に設定されている。残りのオブジェクトには点がつけられておらず0点に設定されている。
【0032】
図6に示すユーザ感性入力画面において、ユーザがマウス104で「検索スタート」のボタン609をクリックすると(ステップS12でYES)、CPU107は、m個のオブジェクトに対するユーザの嗜好度を推測する処理を実行する(ステップS13)。具体的には、上記ステップS10において求められたm×m行列で表されるm個のオブジェクト相互間の相関値に、m×1行列で表される上記ユーザの入力したm個のオブジェクトの嗜好度を掛け合わせる。上記掛け算により得られるm×1行列の値が、m個のオブジェクトに対するユーザの嗜好度の推測値である。
次の「数2」は、上記「表1」に示すCD3個、絵画3個、映画2個の合計8個のオブジェクトについての相関値と、図6に示す設定に基づいて求められたユーザの嗜好度の推測値を示す。
【数2】
このように、検索システム100では、ユーザは、全てのオブジェクトに対する嗜好度を入力せずとも、全m個のオブジェクトに対するユーザの嗜好度を適切に推測することができる。これにより、他のジャンルの嗜好度データに基づいて、所望するジャンルについての適切な作品を推薦することができる。
【0033】
CPU107は、図7に示すように、上記ステップS13において実行する推測処理により推測されたm個のオブジェクトに対するユーザの嗜好度をディスプレイ101上に棒グラフで表すと共に、CD、絵画及び映画といった各ジャンルの中で最も嗜好度の推測値の高いものを、それぞれ推薦作品として表示する(ステップS14)。このように、ディスプレイ101上に棒グラフを表示することで、ユーザは、推薦作品以外の作品に対する嗜好度の推測値を確認することができる。なお、上記ステップS14では、各ジャンル毎に、嗜好度の推測値の上位3位までのオブジェクトを推薦作品として表示しても良い。
【0034】
ユーザは、オブジェクトのプロファイルによって推薦作品の絞り込みを行おうとする場合には、図7に示す結果表示画面に設けられている「絞り込み」のボタン701をマウス104によりクリックする(ステップS15でYES)。「絞り込み」のボタン701のクリックに対応して、CPU107はディスプレイ101上に、図8に示すデータプロファイル設定画面を表示する(ステップS16)。当該データプロファイル設定画面では、チェックボタン801、810、819をマウス104によりクリックすることで、それぞれCD、絵画、映画について設定したプロファイルが有効になる。CDの欄において、数値入力ボックス802、803は、対象とするCDの発売された年を入力する。チェックボックス804〜809は、対象とする歌手の性別、音楽のジャンルなどを設定する。絵画の欄において、数値入力ボックス811、812は、対象とする絵画の作成された年を入力する。チェックボックス813〜818は、対象とする絵画の特徴を設定する。映画の欄において、数値入力ボックス820、821は、対象とする映画の上映された年を入力する。チェックボックス822、826は、対象とする映画のジャンルを入力する。ユーザは、キーボード103及びマウス104を操作して上記データプロファイルを設定する。ユーザは、絞り込みに使用するプロファイルデータの設定終了後、「検索スタート」のボタン800をマウス104によりクリックする。
【0035】
CPU107は、「検索スタート」のボタン800のクリックに応じて(ステップS17でYES)、ユーザにより設定されたデータプロファイルに一致するオブジェクトの中から嗜好度の高いものを選択する作品絞り込み処理を実行し(ステップS18)、図6に示す結果表示画面を更新した後に(ステップS19)、上記ステップS15に戻る。
【0036】
なお、図6に示す結果表示画面でユーザが「作品の絞り込み」のボタン601をクリックしない場合には(ステップS15でNO)、そのまま処理を終了する。
【0037】
図9は、上記作品間関係記述処理(図4、ステップS10)のフローチャートである。まず、初期設定として、i=1、j=1、Imax=Jmax=m(オブジェクトの数)に設定する(ステップS20)。i番目のオブジェクト及びj番目のオブジェクトの相関値を求める(ステップS21)。具体的には、ハードディスク105にi番目に記憶されているオブジェクトと、j番目に記憶されているオブジェクトとの5000人分(ユーザプロファイルの設定により検索処理で用いる標本が絞り込まれた場合には、当該絞り込まれた人数分)の嗜好度のデータに基づく共分散値及び標準偏差値を求め、上記共分散値を標準偏差値で割ることで相関値を求める(上記「数1」を参照)。
上記相関値は、2つのオブジェクトの関係の強さを表すものであり、該相関値は−1〜1の値をとり、2つのオブジェクトの関係が強い程1に近づく。
【0038】
変数iに1を加算する(ステップS22)。iの値がImax以下の場合には(ステップS23でNO)、上記ステップS21に戻る。一方、変数iの値がImaxよりも大きくなった場合には(ステップS23でYES)、変数jに1を加算する(ステップS24)。変数jの値がJmax以下の場合には(ステップS25でNO)、変数iの値を1に設定した後に(ステップS26)、上記ステップS21に戻る。一方、jの値がJmaxよりも大きくなった場合には(ステップS27でYES)、全てのオブジェクト相互の組み合わせについての相関値の算出処理が終了したと判断して作品間関係記述処理を終了し、図4のメインフローにリターンする。
【0039】
以上に説明するように、検索システム100では、ユーザの好きなオブジェクトと関係の強い(相関値の高い)オブジェクトを推薦作品として出力する。これにより、例えば、音楽に対する嗜好度に基づいて、ユーザの好みに合う映画を推薦することができる。
なお、上記検索システム100では、CD、絵画及び映画等のm個のオブジェクトについてのプロファイルデータ及び嗜好データで構成される単一のデータベースを使用するが、CDに関するデータベース、絵画に関するデータベース、映画に関するデータベースといった複数のデータベースを用意し、上記複数のデータベースのオブジェクト相互の相関を算出し、該算出した相関値と各オブジェクトに対してユーザが設定した嗜好度に基づいて、上記複数のデータベースの各オブジェクトに対するユーザの嗜好度を推測し、嗜好度の推測値の大きなオブジェクトを推薦作品としても良い。
【0040】
(2)実施の形態2
以下、実施の形態2に示す検索システム200について説明する。検索システム200は、上記実施の形態1にかかる検索システム100に比べて、検索処理において実行するユーザの嗜好度の推測処理(図4、ステップS13に対応する処理)が異なるだけである。
以下、実施の形態2にかかる検索システム200の実行する推測処理(ステップS100)について説明する。
【0041】
図10は、検索システム200の実行するユーザの嗜好度の推測処理(ステップS100)のフローチャートである。検索システム200は、バネモデルを利用して、ユーザの嗜好度の推測を行う。
なお、バネモデルに関する公知文献としては、田村淳による論文、「記号間の力学に基づく概念マップ生成システムSPRINGS」、情報処理学会論文誌、1992年4月、Vol.33、No.4、465頁〜470頁、及び、高杉耕一及び國藤進による論文、「ばねモデルを用いたアイデア触発システムの構築について」、第7回AIシンポジウム(SIG−J)、1996年12月があげられる。
【0042】
以下、図11の(a)〜(c)を参照しつつ、検索システム200で実行するユーザの嗜好度の推測処理の内容について説明する。
まず、周知の多次元尺度法(例えば、題名「多次元尺度法」、高根芳雄著、東京大学出版会を参照)を用いて、ユーザにより設定された1以上のオブジェクトに対する嗜好度に基づいて、m個のオブジェクトを空間内に配置する(ステップS101)。当該処理では、上記実施の形態1にかかる検索システム100と同様に、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトの嗜好度は0点として取り扱う。上記空間内では、ユーザにより設定された嗜好度の値が近似するオブジェクト同士が近距離に配置される。
例えば、CDであるcd1、cd2及びcd3に70点、90点及び70点が設定されている場合、cd1、cd2及びcd3は、図11の(a)に示すように、空間内の所定の位置に配置される。
【0043】
以下のステップS102〜S108の処理では、ユーザの各オブジェクトに対する嗜好度をバネモデルを用いて推測する。
まず、上記m個のオブジェクトの配置された空間に対してバネモデルを適用する(ステップS102)。なお、モデル化する際、各オブジェクトは、一様な質量を持つ質点とする。また、空間内で定常状態に落ち着いたm個のオブジェクト間のバネ係数は、相関値に比例した値をとる。
当該処理により、cd1、cd2及びcd3は、図11の(b)に示すように、所定のバネ係数のバネにより接続される。これに伴い、cd1、cd2及びcd3は、関係の強いもの同士が引き付け合い、図11の(c)に示す位置に再配置される。
【0044】
変数Mの値を1に設定する(ステップS103)。M番目のオブジェクトのユーザにより設定された嗜好度と当該M番目のオブジェクトとm―1個の残りのオブジェクトの距離の逆数に比例して求められる、上記m―1個の残りのオブジェクトへの加算点をそれぞれ算出し、算出した各々のオブジェクトへの加算点をRAM108に記憶する(ステップS104)。
【0045】
例えば、図11の(c)に示すように、cd1、cd2及びcd3を接続する各バネのバネ係数より、(cd1とcd2間の距離):(cd1とcd3間の距離):(cd2とcd3間の距離)=3:2:4.5が求められた場合を想定する。この場合において、ユーザにより設定された嗜好度が70点のcd1に注目すると、cd2に対する加算点は23.3点、cd3に対する加算点は35点となる。また、図示していないが、ユーザにより設定された嗜好度が90点のcd2に注目した場合、cd1に対する加算点は30点、cd3に対する加算点は20点となる。同様に、ユーザにより設定された嗜好度が70点のcd3に注目した場合、cd1に対する加算点は35点、cd2に対する加算点は15.6点となる。
【0046】
次のオブジェクトに対する処理を実行するため、変数Mに1を加算する(ステップS105)。変数Mの値がm以下の場合(ステップS106でNO)、上記ステップS104に戻る。変数Mの値がmよりも大きい場合(ステップS106でYES)、各オブジェクトのユーザにより設定された嗜好度に、RAM108に記憶している加算点を加算した合計値を、ユーザの各オブジェクトに対する嗜好度の推測値とする(ステップS107)。
【0047】
例えば、cd1では、ユーザにより設定された嗜好度が70点、cd2からの加算点が30点、cd3からの加算点が35点であり、嗜好度の推測値は、70+30+35=135点となる。cd2では、ユーザにより設定された嗜好度は90点、cd1からの加算点が23.3点、cd3からの加算点が15.6点であり、嗜好度の推測値は、90+23.3+15.6=118.9点となる。cd3では、ユーザにより設定された嗜好度が70点、cd1からの加算点が35点、cd2からの加算点が20点であり、嗜好度の推測値は、70+35+20=125点となる。
【0048】
以上、説明するように、実施の形態2にかかる検索システム200は、バネモデルを利用してユーザの嗜好度の推測を行う。検索システム200の構成、及び、上記推測処理(ステップS100)以外の処理の内容は、上記実施の形態1にかかる検索システム100と同じである。このため、検索システム200の構成及び上記推測処理(ステップS100)以外の処理についての説明は省略する。
【0049】
(3)実施の形態3
以下、実施の形態3に示す検索システム300について説明する。検索システム300は、上記実施の形態1にかかる検索システム100に比べて、検索処理において実行するユーザの嗜好度の推測処理(図4、ステップS13に対応する処理)の内容が異なるだけである。
以下、実施の形態3にかかる検索システム300の推測処理(ステップS200)について説明する。
【0050】
検索システム300は、クラスタ分析手法を用いてユーザの嗜好度の推測処理を実行する。
なお、クラスタ分析手法に関する文献としては、「多変量解析ハンドブック」(柳井春夫/高木廣文編著、現代数学社)、及び、舘村純一による論文「文献空間のインタラクティブ視覚化」(WISS’96)があげられる。
【0051】
図12は、クラスタ分析手法を利用してユーザの嗜好度を推測する推測処理(ステップS200)の概略内容を示した図である。本図では、CDであるcd1〜cd3、及び、映画1の合計4つのオブジェクトの嗜好度を推測する。図12の(a)は、上記4つのオブジェクト相互間の相関値を表す。この中から最も相関値の大きなオブジェクトの組を検出する。本例の場合、cd1及びcd3の組が最も大きな相関値を持つ。検出した2つのオブジェクトcd1及びcd3をグループ1として新たなオブジェクトとする。このグループ1のオブジェクトの嗜好度は、検出した2つのオブジェクトcd1及びcd3の嗜好度の平均値とする。
【0052】
cd2、グループ1及び映画1の3つのオブジェクト相互間の相関値を求める。図12の(b)は、上記3つのオブジェクト相互間の相関値を表す。この中から最も相関値の大きなオブジェクト組を検出する。本例の場合、cd2及び映画1の組が最も大きな相関値を持つ。検出した2つのオブジェクトcd及び映画1をグループ2として新たなオブジェクトとする。このグループ2のオブジェクトの嗜好度は、検出した2つのオブジェクトcd2及び映画1の嗜好度の平均値とする。
【0053】
グループ1及びグループ2の2つのオブジェクト相互間の相関値を求める。図12の(c)は、上記2つのオブジェクト相互間の相関値を表す。例えば、予め予定したオブジェクトの数が2つの場合、上記オブジェクトの数を減らす処理を終了する。各グループ毎に、グループを構成するオブジェクトに割り当てられている嗜好度の平均値を求め、求めた嗜好度の平均値を上記グループを構成するオブジェクトの嗜好度の推測値とする。
【0054】
図13は、検索システム300の実行するユーザの嗜好度の推測処理(ステップS200)のフローチャートである。
まず、初期設定として、変数Mをオブジェクトの数であるmに設定する(ステップS201)。オブジェクト相互間の相関値が最大の値をとるオブジェクトの組み合わせを検出する(ステップS202)。検出した2つのオブジェクトを新たな1つのオブジェクトとする(ステップS203)。なお、上記新たなオブジェクトの各標本における嗜好度は、上記2つのオブジェクトの嗜好度の平均値とする。変数Mの値より1を減算する(ステップS204)。変数i及び変数jの値を1に設定する。Imax=Jmax=Mに設定する(ステップS205)。
【0055】
i番目のオブジェクト及びj番目のオブジェクトの相関値を求める(ステップS206)。上記相関値は、2つのオブジェクトの関係の強さを表すものであり、該相関値は−1〜1の値をとり、2つのオブジェクトの関係が強い程1に近づく。
変数iに1を加算する(ステップS207)。iの値がImax以下の場合には(ステップS208でNO)、上記ステップS206に戻る。一方、変数iの値がImaxよりも大きくなった場合には(ステップS208でYES)、変数jに1を加算する(ステップS209)。変数jの値がJmax以下の場合には(ステップS210でNO)、変数iの値を1に設定した後に(ステップS211)、上記ステップS206に戻る。一方、jの値がJmaxよりも大きくなった場合には(ステップS210でYES)、全てのオブジェクト相互の組み合わせについての相関値の算出処理が終了したと判断する。変数Mの値が、目標とするグループの数として定めるMmin以上の場合(ステップS212でNO)、上記ステップS202に戻る。一方、変数Mの値が上記Mminよりも小さくなった場合には(ステップS212でYES)、Mmin個のグループ毎に、内包されるオブジェクトの嗜好度の合計を算出する(ステップS213)。前記合計を各オブジェクトの数で割って求められる嗜好度の平均値を各オブジェクトの嗜好度の推測値とする(ステップS214)。
【0056】
以上、説明するように、実施の形態3にかかる検索システム300は、クラスタ分析手法を利用してユーザの嗜好度の推測を行う。検索システム300の構成、及び、上記推測処理(ステップS200)以外の処理の内容は、上記実施の形態1にかかる検索システム100と同じである。このため、検索システム300の構成及び上記推測処理(ステップS200)以外の処理についての説明は省略する。
【0057】
【発明の効果】
本発明の第1の検索システムは、オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値、1以上のオブジェクトに対して設定されたユーザの嗜好度、及び、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトに対する嗜好度のデフォルト値に基づいて、全てのオブジェクトに対するユーザの嗜好度を推測し、嗜好度の推測値が大きなオブジェクトを推薦作品として出力する。このように、本発明の第1の検索システムでは、ユーザの好きなオブジェクトと関係の強いオブジェクトを推薦作品として出力する。これにより、例えば、データベースを構築するオブジェクトに、複数の音楽CD及び映画が含まれる場合、音楽に対する嗜好度に基づいて、ユーザの好みに合う映画を推薦することができる。
【0058】
本発明の第2の検索システムでは、オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値として相関値を使用し、設定手段により1以上のオブジェクトに対して設定されたユーザの嗜好度、及び、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトに対する嗜好度のデフォルト値に基づいて、全てのオブジェクトに対するユーザの嗜好度を推測し、嗜好度の推測値が大きなオブジェクトを推薦作品として出力する。これにより、例えば、データベースを構築するオブジェクトに、複数の音楽CD及び映画が含まれる場合、音楽に対する嗜好度に基づいて、ユーザの好みに合う映画を推薦することができる。
【0059】
本発明の第3の検索システムでは、オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値として各オブジェクト間の嗜好度の差に基づいて距離を求め、求めた距離の逆数に基づく値を算出し、1以上のオブジェクトに対して設定されたユーザの嗜好度、及び、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトに対する嗜好度のデフォルト値に基づいて、全てのオブジェクトに対するユーザの嗜好度を推測し、嗜好度の推測値が大きなオブジェクトを推薦作品として出力する。これにより、例えば、データベースを構築するオブジェクトに、複数の音楽CD及び映画が含まれる場合、音楽に対する嗜好度に基づいて、ユーザの好みに合う映画を推薦することができる。
【0060】
本発明の第4の検索システムでは、複数のオブジェクトに対する嗜好度として、好き/嫌いといった2値的な評価を採用し、2つのオブジェクトに関して好きと答えた人の割合を、又は、2つのオブジェクト関して嫌いと答えた人の割合を、オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値とする。この数値と、1以上のオブジェクトに対して設定されたユーザの嗜好度と、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトに対する嗜好度のデフォルト値とに基づいて、全てのオブジェクトに対するユーザの嗜好度を推測し、嗜好度の推測値が大きなオブジェクトを推薦作品として出力する。従って、例えば、データベースを構築するオブジェクトに、複数の音楽CDと映画とが含まれる場合、音楽に対する嗜好度に基づいて、ユーザの好みに合う映画を推薦することができる。
【0061】
本発明の第5の検索システムは、複数のオブジェクト相互間の関係の強さを表す数値を重み付けフィルタとして用いて、設定手段により設定された1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度の全てのオブジェクトに対する重み付けを行い、求められた値を各オブジェクトの嗜好度の推測値とする。そして、嗜好度の推測値が大きなオブジェクトを推薦作品として出力する。これにより、例えば、データベースを構築するオブジェクトに、複数の音楽CD及び映画が含まれる場合、音楽に対する嗜好度に基づいて、ユーザの好みに合う映画を推薦することができる。
【0062】
本発明の第6の検索システムでは、設定手段により設定された1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度、及び、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトに対する嗜好度のデフォルト値に基づいて、多次元尺度法に従い、各オブジェクトを空間内に配置し、配置後のオブジェクトに対して、バネモデルを適用し、各オブジェクトを同一質量の点として取り扱い、該オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値に基づいて定まるバネ係数のバネにより接続したバネモデルで表し、あるオブジェクト(第1オブジェクトという)以外の別のオブジェクト(第2オブジェクトという)の嗜好度と第1オブジェクトから第2オブジェクトのまでの距離に基づいて定まる数値を、上記第1オブジェクト以外の全てのオブジェクトについて求め、求めた全ての数値を上記第1オブジェクトの嗜好度に加算した値を上記第1オブジェクトの嗜好度の推測値とする。そして、嗜好度の推測値が大きなオブジェクトを推薦作品として出力する。これにより、例えば、データベースを構築するオブジェクトに、複数の音楽CD及び映画が含まれる場合、音楽に対する嗜好度に基づいて、ユーザの好みに合う映画を推薦することができる。
【0063】
本発明の第7の検索システムは、クラスタ分析手法に従い、上記演算手段により求められるオブジェクト相互間の関係の強さを表す数値に基づいて上記複数のオブジェクトを所定数にグループ化し、上記グループ別に、グループを構成する複数のオブジェクトの嗜好度の合計値又は平均値を、グループを構成する各オブジェクトの嗜好度の推測値とする。そして、嗜好度の推測値が大きなオブジェクトを推薦作品として出力する。これにより、例えば、データベースを構築するオブジェクトに、複数の音楽CD及び映画が含まれる場合、音楽に対する嗜好度に基づいて、ユーザの好みに合う映画を推薦することができる。
【0064】
本発明の記録媒体に記録されているプログラムは、複数のジャンルに関し、ジャンル別に属する複数のオブジェクトに対する嗜好度を、所定の人数分だけ集めて構成されるデータベースを備えるコンピュータを、上記第1の検索システムとして機能させることができる。これにより、例えば、データベースを構築するオブジェクトに、複数の音楽CD及び映画が含まれる場合、音楽に対する嗜好度に基づいて、ユーザの好みに合う映画を推薦することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1にかかる検索システムの全体構成図である。
【図2】 検索システムの構成図である。
【図3】 検索システムで用いるデータベースの構成を示す図である。
【図4】 CPUの実行する検索処理のフローチャートである。
【図5】 ディスプレイ上に表示するユーザプロファイル設定画面である。
【図6】 ディスプレイ上に表示するユーザ感性入力画面である。
【図7】 ディスプレイ上に表示する検索結果表示画面である。
【図8】 ディスプレイ上に表示するデータプロファイル設定画面である。
【図9】 作品間関係記述処理のフローチャートである。
【図10】 実施の形態2にかかる検索システムの実行する推測処理のフローチャートである。
【図11】 バネモデルを使用した場合に、空間に配置される各オブジェクトの様子を示す図である。
【図12】 クラスタ分析手法を採用した場合における嗜好度の推測処理の手順を示す図である。
【図13】 実施の形態3にかかる検索システムの実行する推測処理のフローチャートである。
【符号の説明】
100 検索システム、101 ディスプレイ、102 制御部、103 キーボード、104 マウス、105 ハードディスク、106 ROM、107 CPU、108 RAM
Claims (8)
- 複数のジャンルについて、ジャンル別に属する複数のオブジェクトの嗜好度を、所定の人数分だけ集めてなるデータベースと、
複数のオブジェクト相互間の関係の強さを表す数値を、データベースに記録されている各オブジェクトの嗜好度に基づいて算出する演算手段と、
複数のオブジェクト内の1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度を設定する設定手段と、
演算手段により求められた各オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値、設定手段により設定された1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度と、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトに対する嗜好度のデフォルト値に基づいて、全てのオブジェクトに対するユーザの嗜好度を推測する推測手段と、
推測手段により求められた各オブジェクトに対するユーザの嗜好度の推測値に基づいて1以上のオブジェクトを選択し、選択した1以上のオブジェクトを推薦作品として出力する出力手段とで構成されることを特徴とする検索システム。 - 演算手段が、オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値として、各オブジェクトの嗜好度に基づいてオブジェクト相互間の相関値を算出することを特徴とする請求項1記載の検索システム。
- 演算手段が、オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値として、各オブジェクト間の点差に基づいて定められる距離を求め、求めた距離の逆数に比例する値を算出することを特徴とする請求項1記載の検索システム。
- 複数のオブジェクトに対する嗜好度として、好き/嫌いといった2値的な評価を採用し、
演算手段は、2つのオブジェクトに関して好きと答えた人の割合を、又は、2つのオブジェクトに関して嫌いと答えた人の割合を、オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値として算出することを特徴とする請求項1記載の検索システム。 - 推測手段が、各オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値で構成される行列に、設定手段により設定されたユーザの嗜好度を掛け合わして求められる値を、各オブジェクトに対するユーザの嗜好度の推測値とすることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の検索システム。
- 推測手段が、設定手段により設定された1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度と、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトに対する嗜好度のデフォルト値とに基づいて、多次元尺度法を用いて各オブジェクトを空間内に配置し、配置後のオブジェクトに対してバネモデルを適用し、各オブジェクトを同一質量の点として取り扱い、該オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値に基づいて定まるバネ係数のバネにより接続したバネモデルで表し、あるオブジェクト(以下、第1オブジェクトという)以外のオブジェクト(以下、第2オブジェクトという)の嗜好度と第1オブジェクトから第2オブジェクトまでの距離に基づいて定まる数値とを、第1オブジェクト以外の全てのオブジェクトについて求め、求めた全ての数値を第1オブジェクトの嗜好度に加算した値を第1オブジェクトの嗜好度を表す推測値とすることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の検索システム。
- 推測手段が、クラスタ分析手法に従って演算手段により求められるオブジェクト相互間の関係の強さを表す数値に基づいて、複数のオブジェクトを所定の数のグループに分け、グループ毎に、グループを構成する複数のオブジェクトの嗜好度の合計値又は平均値を、グループを構成する各オブジェクトの嗜好度の推測値とすることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の検索システム。
- 複数のジャンルについて、ジャンル別に属する複数のオブジェクトの嗜好度を、所定の人数分だけ集めて成るデータベースを備えるコンピュータを、
複数のオブジェクト相互間の嗜好度の強さを表す数値を、データベースに記録されている各オブジェクトの嗜好度に基づいて算出する演算手段と、
複数のオブジェクト内の1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度を設定する設定手段と、
演算手段により求められた各オブジェクト相互間の関係の強さを表す数値と、設定手段により設定された1以上のオブジェクトに対するユーザの嗜好度と、ユーザにより嗜好度の設定が行われなかったオブジェクトに対する嗜好度のデフォルト値と、に基づいて、全てのオブジェクトに対するユーザの嗜好度を推測する推測手段と、
推測手段により求められた各オブジェクトに対するユーザの嗜好度の推測値の大きなオブジェクトを推薦作品として出力する出力手段として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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