JP3645325B2 - 多相ハイブリッド形ステッピングモータ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は回転電機の構造に係り、特にプリンター、高速ファックス、PPC用複写機用等の高速運転で精密な位置決めを必要とするOA機器等の駆動に最適な高分解能のインナロータ形又はアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータは図33、図34に示すような構造をしている。
即ち、図33はインナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータ(以下モータと略称する)の構成を示す縦断正面図、図34は図33のX−X′断面図である。
図33、図34において、31は円筒状のケーシングであって、ケーシング31は磁性体によって成型したヨーク部32と一体に結合されている。ヨーク部32の内方向には、このモータの構造特性に対応した所定数(図示のものでは8個)の磁極33が等しい間隔で求心状に形成されている。各磁極33には磁極33夫々を磁化するための巻線34が嵌合されている。
また、各磁極33の先端部には、このモータの構造特性に対応した数の極歯33aが等しい間隔で形成されている。
【0003】
ケーシング31の両端にはエンドカバー35、36が一体に結合されている。エンドカバー35、36の中央部には夫々に軸受37a、37bが嵌合され、1対の軸受37a、37bは回転軸38を回転自在に軸支している。
回転軸38は軸方向に着磁された永久磁石39が嵌合し固定されている。
永久磁石39は円盤状の2個の回転子磁極40A、40Bによって挟持されている。回転子磁極40Aと40B夫々の外周には固定子の磁極33に形成した極歯33aの形状と間隔に対応させた形状と間隔で極歯40aを形成しており、第1の回転子磁極40Aの極歯40aと第2の回転子磁極40Bの極歯40aとは1/2ピッチ回転偏位させて結合されている。
【0004】
上述の構成のモータは固定子の巻線34に順次所定の順序で通電することによって、固定子の各極歯33aが順次回転磁化される。従って、この固定子の各極歯33aと永久磁石39によって磁化されている回転子の各極歯40aとの相互作用により、固定子の各磁化される極歯33aの回転につれて回転子の各極歯40aは回転する。従って、各回転子磁極と一体化した回転軸38は回転し、また停止する。
モータが所定の巻線に1回電流を流すことによって回転子が回転するステップ角θSは固定子巻線の相数と回転子の磁極に形成した極歯の数によって(1)式のように表わされる。
θS=180°/(M×Q)・・・・・・・・・・(1)
但し、Mは固定子の相数、Qは各回転子磁極に形成される極歯の数を示す。
【0005】
図35は6相24極モータにおけるモノファイラ巻きでの、従来の結線例を示している。即ち、1乃至24は夫々固定子の磁極に巻き回した巻線を示していて、巻線1と巻線13は同一方向に結線し、巻線7と巻線19は逆方向に結線して端子A、A′に接続している。また、巻線2と巻線14は同一方向に結線し、巻線8と巻線20は逆方向に結線して端子B、B′に接続し、巻線3と巻線15は同一方向に結線し、巻線9と巻線21は逆方向に結線して端子C、C′に接続し、巻線4と巻線16は同一方向に結線し、巻線10と巻線22は逆方向に結線して端子D、D′に接続し、巻線5と巻線17は同一方向に結線し、巻線11と巻線23は逆方向に結線して端子E、E′に接続し、巻線6と巻線18は同一方向に結線し、巻線12と巻線24は逆方向に結線して端子F、F′に接続している。
【0006】
図36は図35に示したような結線における6相モータの1相励磁における励磁シーケンスを示している。
図36において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ15まで記し、ステップ16以降の図示は省略している。
縦方向には前述した各引出線を順次記し、各引出線を記す横軸には、各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に記す四辺形は、例えば引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、下側に記す四辺形は、逆に、引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
即ち、図36に示すように各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したステップ角θSずつ回転する。
【0007】
図37は20相40極モータにおけるモノファイラ巻きでの、従来の結線例を示している。即ち、1乃至40は夫々固定子の磁極に巻き回した巻線を示していて、巻線1と巻線21を直列接続した回路は端子A、A′に接続している。また、巻線2と巻線22を直列接続した回路は端子B、B′に接続し、巻線3と巻線23を直列接続した回路は端子C、C′に接続し、以下、同様に2個ずつの巻線を直列接続した回路が夫々D、D′乃至T、T′に接続している。
【0008】
図38は図37に示したような結線における20相モータの1相励磁における励磁シーケンスを示している。
図38において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ21まで示し、ステップ22以降の図示を省略している。
縦方向には前述した各引出線を記し、各引出線を記す横軸には各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に記す四辺形は、例えば引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、下側に記す四辺形は、逆に、引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
即ち、図38に示すように、各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したように、このモータの構成で定まるステップ角θSずつ回転する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したステップ角θSは1相の巻線に順次通電し励磁した場合に得られる回転角度であって、そのモータの構造によって決定される。
従って、分解能が高く制御性能の良いモータを得ようとすると、ステップ角θSを微小にすることが必要であり、上述した以外にも相数や極数の設定及びハイブリッドの構成等に各種の手段が講じられている。
ところで、上述のような従来の構成によるモータのステップ角θSの場合では、(1)式によって示されるので、ステップ角θSを小さくしようとすると、相数Mを多くするか、回転子の極歯数Qを多くしなければならない。
例えば、回転子の極歯数を50にすると、従来の2相モータでは、上記(1)式から
θS=180°/(2×50)=1.8°になる。
また、回転子の極歯数が50の3相モータでは、
θS=180°/(3×50)=1.2°
回転子の極歯数が50の5相モータでは、
θS=180°/(5×50)=0.72°
になる。
ところで、回転子の極歯数は回転子を形成する磁性体板を加工するプレス型や材料特性等の工作技術上の制約から制限がある。従って、極歯の数は無制限に多くすることができず、100程度が限度である。
また、回転子は永久磁石を挟んだ2個の回転子磁極によって構成されるため、モータ長が長くなる。そのために、偏平なモータを製作しようとすると出力トルクの上限が制限されるので不利になる。
【0010】
また、相数を多く取ろうとすると、従来の技術によると、例えば6相モータの場合は24極の固定子、10相モータの場合は40極の固定子が必要になる。そのために、磁極の間に巻線を形成するスロット面積が小さくなるので、小型のモータを得ようとすると、銅量が多くとれないので、電気的損失が増大する等という問題がある。
また、固定子の磁極数が多くなるため、図35、図37に記したように巻線の数が多くなるので接続が複雑になる等の原因でコストアップになるという問題があった。そのために、現実には5相モータが小型ハイブリッド形ステッピングモータの相数の限界であるとされていた。
本発明は従来のものの上記課題(問題点)を解決し、少ない磁極数で多相化を図ると同時に、回転子は先端部に爪状極歯を形成した磁極によって永久磁石を包み込む形状にすることによって、製作を可能にした偏平タイプで高分解能で高精度の多相ハイブリッド形ステッピングモータを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に基づくインナロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータは、環状磁性体の内面から円中心に向け求心状に等ピッチで夫々に励磁用巻線を巻き回した少なくとも6以上の複数の磁極を形成し、この磁極の内、交互に形成された半数の先端部には軸方向厚みの所定側のほぼ半ばまでに、少なくとも1以上所定数の極歯を等ピッチで設けて第1の固定子部を形成し、第1の固定子部における極歯を形成した各磁極に隣接する他の半数の磁極夫々の先端部には軸方向厚みの前記とは反対側のほぼ半ばまでに、第1の固定子部と同数の極歯を同一ピッチで形成して第2の固定子部を形成し、第1の固定子部の極歯表面との間に所定間隙を設けて、固定子の極歯数に対応する数の固定子の極歯表面に平行な爪状極歯を同一円周上に形成した第1の回転子磁極と、この第1の回転子磁極と同一形状の爪状極歯を第1の回転子磁極の爪状極歯との間に、所定間隙を設けて対向し噛み合わせて形成した第2の回転子磁極とを、軸受に回転自在に支承した回転軸の軸方向に着磁した円筒状永久磁石を挟んで、回転軸に固定した第1の単位回転子と、第1の単位回転子と同一形状に形成して第2の固定子部に対応させて配置した第2の単位回転子とを、第2の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性と第1の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性とを同一極に対して相互に1/4ピッチずらし、非磁性体部を挟んで回転軸に固定し構成した。
【0012】
また、アウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータは、円筒状磁性体の円筒外面から放射状に等ピッチで夫々に励磁用巻線を巻き回した少なくとも6以上複数の磁極を形成し、この磁極の内、交互に形成された半数の先端部には軸方向厚みの所定側のほぼ半ばまでに、少なくとも1以上所定数の極歯を等ピッチで設けて第1の固定子部を形成し、第1の固定子部における極歯を形成した各磁極に隣接する他の半数の磁極夫々の先端部には軸方向厚みの前記とは反対側のほぼ半ばまでに、第1の固定子部と同数の極歯を同一ピッチで形成して第2の固定子部を形成し、第1の固定子部の極歯表面との間に所定間隙を設けて固定子の極歯数に対応する数の固定子の極歯表面に平行な爪状極歯を同一円周上に形成した第1の回転子磁極と、第1の回転子磁極と同一形状の爪状極歯を第1の回転子磁極の夫々の爪状極歯との間に、所定間隙を設けて対向し噛み合わせて形成した第2の回転子磁極とを、軸受に回転自在に支承した回転軸の軸方向に着磁した環状永久磁石を挟んで、回転軸に固定した第1の単位回転子と、第1の単位回転子と同一形状に形成して第2の固定子部に対応させて配置した第2の単位回転子とを、第2の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性と第1の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性とを同一極に対して相互に1/4ピッチずらし、非磁性体部を挟んで回転軸に固定し構成した。
【0013】
この場合、6極6相のインナロータ形又はアウタロータ形のハイブリッド形ステッピングモータでは、固定子の磁極の数を6個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zは下記(2)式の関係を満足するように形成するのが望ましい。
同様に、6相12極のインナロータ形又はアウタロータ形のハイブリッド形ステッピングモータでは、固定子の磁極の数を12個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zは下記(3)式の関係を満足するように形成するのが、また、10相10極のインナロータ形又はアウタロータ形のハイブリッド形ステッピングモータでは、固定子の磁極の数を10個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zは下記(4)式の関係を満足するように形成するのが、さらに、10相20極のインナロータ形又はアウタロータ形のハイブリッド形ステッピングモータでは、固定子の磁極の数を20個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zは下記(5)式の関係を満足するように形成するのが夫々望ましい。
Z=3n±1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
Z=6n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
Z=5n±2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
Z=10n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
但し、上記(2)式乃至(5)式においてnは n≧1の整数である。
【0014】
なお、上述した固定子は、求心状又は放射状に形成した磁極形成部の交互に極歯を形成した磁性体板を所定枚数積層し、さらに、上述の磁性体板と同一形状に形成した磁性体板を磁極形成ピッチ回転させて所定枚数積層して各積層体を固定し、巻線を巻き回して構成するのが望ましい。
【0015】
即ち、下記条項を満足するように構成する。
▲1▼固定子の巻線の相数は6又は10とする。
▲2▼固定子は環状のヨーク部内周に求心状に、又は円筒状のヨーク部の外周に放射状に所定個(Q個)の磁極を形成し、各隣接する磁極は交互に軸方向左右の厚みの半分の極歯を欠くようにする。
▲3▼固定子の磁心は、磁極形成部1つおきの先端部に極歯を形成した磁性体板を所定枚数積層し、さらに、この磁性体板と同一形状に形成した磁性体板を磁極形成ピッチ回転させて所定枚数積層して各積層体を固定して構成する。
▲4▼回転子は、先端部を固定子磁極表面に爪状極歯で対向するように形成した2個の円盤状体で軸方向に着磁した永久磁石を挟持した2個の単位回転子を同極同士の極に対して相互に1/4ピッチ偏位させ非磁性体部を挟んで構成する。
▲5▼上記のQ=6で6相巻線の場合は上記(2)式を満足させる。
▲6▼上記のQ=12で6相巻線の場合は上記(3)式を満足させる。
▲7▼上記のQ=10で10相巻線の場合は上記(4)式を満足させる。
▲8▼上記のQ=20で10相巻線の場合は上記(5)式を満足させる。
▲9▼上記の条件はアウタロータ形モータ及びインナロータ形モータの双方に適用させる。
【0016】
上述のような本発明に基づく構成においては、インナロータ形でも、アウタロータ形でも製作が可能であって、固定子の磁極の数を増大することなく、多相ステッピングモータとしての機能が発揮される。
また、爪状極歯を形成したモータは構造から明らかなように、従来よりも偏平に形成できる。
従って、小型で精度の良い高分解能のステッピングモータが得られ、製作コストを低減できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の各実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態1:
図1は本発明に基づき形成した6相6極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図、図2は図1のX−X′断面図を示し、詳細図示は省略している。
図1、図2において、1は円筒状のケーシングで、このケーシング1は内部に固定子SAの環状に形成したヨーク部2と一体に結合されている。
固定子SAはヨーク部2の内方向に、このモータの構造特性に対応した6個の磁極3A1乃至3A6が等しい間隔角度θAで求心状に形成されている。
各磁極は詳細を後述するように、パルス電流を流して所定の方向に順次磁化するための励磁用巻線4A1乃至4A6(図1には各巻線を代表して符号4Aで記している)が巻き回されている。
【0018】
固定子SAは図1に示すように、軸方向に第1の固定子部SA1と第2の固定子部SA2を隣接配置して構成している。
第1の固定子部SA1と第2の固定子部SA2夫々の幅は、このステッピングモータの構造等に対応して、夫々が正しく1/2に構成しても、詳細を後述するように回転子の構造に対応してステッピングモータとして機能が得られれば若干の相違があっても良い。
また、各磁極3A1、3A3、3A5及び3A2、3A4、3A6の先端部には、このモータの構造特性に対応した少なくとも1以上の数の極歯3Aaが図3に示すように、軸方向のほぼ1/2ずつ交互に夫々等しい間隔角度で形成されている。
【0019】
図3は固定子の磁極先端部形状を示すもので、同図(A)は上述した磁極の奇数番目の磁極3A1、3A3、3A5の内の1つ、例えば磁極3A1を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示し、同図(B)には偶数番目の磁極3A2、3A4、3A6の内の1つ、例えば磁極3A2を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示している。
即ち、同図(A)において、ヨーク部2に形成した磁極3A1の1/2である3Ab部には極歯3Aaを設け、磁極3A1の他の1/2である3Ac部には極歯3Aaを欠いている。同図(B)に示すように偶数番目の磁極3A2においては、同図(A)とは逆側のヨーク部2に形成した磁極3A2の1/2である3Ab部には極歯3Aaを設け、磁極3A2の他の1/2である3Ac部には極歯3Aaを欠いている。
磁極及び極歯の各間隔角度は所定の半径上では、その円周面におけるピッチに比例する。円形モータの場合、寸法間隔は計測する半径の位置で変化するが、角度は変化しないので、以降磁極の間隔等の表示は角度によって行い、間隔をピッチと称して説明する。
また、上述した各磁極の符号に付した末尾の番号は、説明の便宜上特定の磁極から順次付したものであって、どの磁極から番号を付しても良いことは当然である。
【0020】
図1、図2において、ケーシング1の両端にはエンドカバー5、6が一体に結合されている。
エンドカバー5、6の中央部には夫々に軸受7a、7bが嵌合され、1対の軸受7a、7bは非磁性体で形成した回転軸8を回転自在に支承している。
回転軸8は、固定子SAの半分である第1の固定子部SA1に対向させた位置に固定子部SA1に形成した極歯3Aaの表面との間に所定間隔をあけて第1の単位回転子RAAを装着しており、固定子SAの他の半分である第2の固定子部SA2に対向させた位置に第2の固定子部SA2に形成した極歯3Aaの表面との間に所定間隔をあけて第2の単位回転子RABを装着している。
第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABは夫々同一構造である。第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABには、夫々回転軸8に永久磁石9を固定し、永久磁石9には詳細を後述するように形成した第1の回転子磁極10Aと第2の回転子磁極11Aが挟みつけて固定している。
第1の回転子磁極10Aの先端部には永久磁石9の方向に直角に折り曲げた形状に第1の固定子部SA1に形成した極歯3Aaの形状とピッチに対応したピッチと形状の爪状極歯10Aaが設けられ、第2の回転子磁極11Aは第1の回転子磁極と同一形状に形成し、爪状極歯11Aaを第1の回転子磁極10Aに設けた爪状極歯10Aaとの間に反対側から噛み合わせるようにして第1の回転子磁極と共に永久磁石9に固定されている。第1の回転子磁極10Aに設けた爪状極歯10Aaと第2の回転子磁極11Aに設けた爪状極歯11Aaとの間には所定間隔を設けるように夫々の爪状極歯の寸法が設定されている。
【0021】
上述した第1の単位回転子RAAに形成した永久磁石によって生じる所定磁気極性の爪状極歯と、第2の単位回転子RABに形成した永久磁石によって生じる磁気極性の爪状極歯とは詳細を後述するように、同一極性の爪状極歯が相互に1/4ピッチ偏位させ非磁性体12を介して固定している。
【0022】
次に、図4を参照して固定子SAを構成する固定子鉄心の製作方法を説明する。
図4は固定子鉄心を構成するための磁性材板(以下固定子鉄板と称す)PAを示している。即ち、固定子鉄板PAは、環状のヨーク部2の内部に、先端部に極歯PAaを設けた同一形状の磁極部PA1と先端部に極歯を設けない同一形状の磁極部PA2とを交互に各3個、総計で6個を求心状に形成している。
従って、上述した相互に隣接する磁極部PA1と磁極部PA2との間隔角度θAは360°/6 即ち60°に形成されている。
図4に示す形状の固定子鉄板PAを所定枚数極歯PAaが重なるように積層して固定子鉄心の片側半分、即ち、第1の固定子部SA1を構成する鉄心を形成する。
次に、上記の形成体に対して磁極部のピッチ、即ち60°回転し偏位させて、上述と同一形状に形成した固定子鉄板PAを上記と同枚数、又は、ほぼ同枚数、極歯PAaが重なるように積層して固定子鉄心の残り片側半分、即ち、第2の固定子部SA2を構成する鉄心を形成する。
従って、このように形成した固定子鉄心は、図3に示したように構成される。なお、固定子鉄板PAは磁性材板からプレスによる打ち抜き加工によって製作すれば良い。
【0023】
図5によって、前述した回転子の構成と製作方法を説明する。
同図(A)は回転子の全体構造図を、同図(B)は単位回転子の分解図を、同図(C)と同図(D)は、永久磁石9によって各爪状極歯に現れる磁気極性を夫々示している。
第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABとは同図(B)に示すように、円盤状部10Abの外周周辺部を直角になるように折り曲げた折曲部に、このモータ特性に必要な数と後述するように構成でき隙間をあけて夫々が同一円周面上に整列するように形成した爪状の極歯10Aaを設けた第1の回転子磁極10Aと、円盤状部11Abの外周周辺部を直角になるように折り曲げた折曲部に爪状の極歯11Aaを設けた第1の回転子磁極10Aと同一形状に形成した第2の回転子磁極11Aとを、永久磁石9を挟んで夫々の爪状極歯10Aaと11Aaとの間に等しい間隙をあけ夫々が同一円周面上に整列するようにして同図(C)に示すように両側から噛み合わせて後述するように回転軸8に固定する。
永久磁石9の極性を、同図(B)に示すようにして第1の回転子磁極10Aと第2の回転子磁極11Aとを結合すると、夫々の極歯10Aaと11Aaには同図(C)に示すように磁気極性が現れる。
上述のように構成した第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABとを同図(A)に示すように非磁性体12を挟んで回転軸8に固定する。
第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABの外径と厚さ、及び非磁性体12の厚さを適切に形成することによって、第1の単位回転子RAAのN、S2種類の磁性を備えた爪状極歯は固定子SAの第1の固定子部SA1の極歯3Aaとの間に所定の間隙を設けて正しく対向し、第2の単位回転子RABのN、S2種類の磁性を備えた爪状極歯は固定子SAの第2の固定子部SA2の極歯3Aaとの間に所定の間隙を設けて正しく対向する。
即ち、上述のように構成できれば、前述したように第1の固定子部SA1と第2の固定子部SA2の軸方向の厚さは必ずしも等しくする必要はない。
上述した第1の回転子磁極10Aと第2の回転子磁極11Aの永久磁石9に対する装着、第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABの回転軸8に対する装着等は、夫々の爪状極歯に所望される磁極特性が適切に生じるようにすることができれば、回転軸8の磁気特性等とも対応させて上述以外の適切な手段で実行すれば良い。例えば、非磁性体12は物質ではなく、適切に空間を設けるようにして回転軸8に固定するようにしても良い。
また、磁性体の回転軸を使用した場合は、例えば回転軸8に対して第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABを円筒状の非磁性体を介して接着等の手段で装着するようにしても良い。
【0024】
図5(C)には、上述のように構成した各単位回転子の爪状極歯を示している。同図に示すNは、各単位回転子に形成した第1の回転子磁極10Aの爪状極歯10Aaに永久磁石9によって現れた極性であるN極を、またSは、各単位回転子に形成した第2の回転子磁極11Aの爪状極歯11Aaに永久磁石9によって現れた極性であるS極を夫々示している。
即ち、同図(D)に示すように、第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABに夫々に形成された同極間のピッチを、例えばN極間のピッチをτRAとすると、第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABに夫々に形成されたN極とS極間の間隔角度は(τRA)/2になる。
また、第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABとは同極同士の極に対して1/4ピッチ偏位させて構成させるので、第1の単位回転子RAAに形成されたN極と第2の単位回転子RABに形成されたN極間の間隔角度は(τRA)/4になる。
同図(B)には永久磁石9を図に示す上側をN極に、下側をS極にして結合するように説明したが、N極とS極は上下逆にして構成しても良く、その場合は、同図(C)と同図(D)に示した各爪状極歯に現れる磁気磁性がN、S逆になることは当然である。
【0025】
上述した各回転子磁極は所定厚みの磁性鉄板をプレスにより打ち抜き折り曲げて加工成形しても良いが、回転軸に結合する回転軸に直角方向に形成された円盤と、この円盤の先端部で直角方向、即ち、回転軸に平行に形成された爪状極歯が結合された形状に所定特性の磁性体で成形する等の他の手段によって製作するようにしても良い。
各回転子磁極に形成する爪状極歯の数をZとすると、各回転子磁極の同極の爪状極歯間のピッチτRAは(6)式によって示される。
τRA=360°/Z・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
【0026】
上述した固定子の極歯と回転子の爪状極歯との相互位置関係を図6によって説明する。
即ち、同図(A)は固定子の極歯の形成ピッチτSAと回転子の爪状極歯の同極間のピッチτRAとの関係が下記(7)式によって示される条件の場合を、同図(B)は固定子の極歯の形成ピッチτSAと回転子の爪状極歯の同極間のピッチτRAとの関係が下記(8)式によって示される条件の場合を、また同図(C)は固定子の極歯の形成ピッチτSAと回転子の爪状極歯の同極間のピッチτRAとの関係が(9)式によって示される条件の場合を夫々示している。
τRA=τSA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
0.75τRA≦τSA<τRA・・・・・・・・・・・・(8)
τRA<τSA≦1.25τRA・・・・・・・・・・・・(9)
図6の各図において、θAは固定子の磁極間のピッチ、3Ab1は固定子SAを形成する磁極部3A1、3A3、3A5の内の所定の1つの極歯存在部で3Ac1は極歯非存在部、3Ab2は上記の磁極部に隣接する磁極部3A2、3A4、3A6の内の所定の1つの極歯存在部で3Ac2は極歯非存在部を夫々示している。
また、RAA1、RAA2、RAA3は夫々第1の単位回転子で、Nは爪状極歯のN極、Sは爪状極歯のS極を示し、RAB1、RAB2、RAB3は夫々第2の単位回転子で、Nは爪状極歯のN極、Sは爪状極歯のS極を示している。
【0027】
同図(A)において、τSAは固定子の極歯のピッチを示し、τRA1は回転子の爪状極歯の同一極間のピッチを示している。
また、αA1は固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度を示している。
従って、本実施の形態に示す6相6極モータの固定子の磁極のピッチθAは360°/6であり、(2)式で示したように下記(10)式で示される条件の場合、間隔角度αA1は(τRA1)/12になる。
ZA1=3n±1・・・・・・・・・・・・・・・・・(10)
但し、ZA1は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0028】
また、同図(B)においては、固定子は同図(A)と同一条件なのでθAは固定子の磁極のピッチ、τSAは固定子の極歯のピッチを夫々示し、τRA2は回転子の爪状極歯の同一極間のピッチを示している。
また、αA2は固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度を示している。
従って、本実施の形態に示す6相6極モータの固定子の磁極のピッチθAは、360°/6であり、(2)式で示したように下記(11)式で示される条件の場合、αA2は(τRA2)/12になる。
ZA2=3n±1・・・・・・・・・・・・・・・・・(11)
但し、ZA2は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0029】
また、同図(C)においては、固定子は同図(A)と同一条件なのでθAは固定子の磁極のピッチ、τSAは固定子の極歯のピッチを夫々示し、τRA3は回転子の爪状極歯の同一極間のピッチを示している。
また、αA3は固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度を示している。
従って、本実施の形態に示す6相6極モータの固定子の磁極のピッチθAは、360°/6であり、(2)式で示したように下記(12)式で示される条件の場合、αA3は(τRA3)/12になる。
ZA3=3n±1・・・・・・・・・・・・・・・・・(12)
但し、ZA3は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0030】
図7は、本実施の形態のモータにおいて、上述したnを1から変化させた条件における各回転子の爪状極歯の数(Zで示す)と、このモータのステップ角との関係を示すものである。
【0031】
図8は、本実施の形態におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示している。
同図において、A、A′は巻線4A1の引出線、D、D′は巻線4A2の引出線、以下同じくB、B′は巻線4A3の、E、E′は巻線4A4の、C、C′は巻線4A5の、F、F′は巻線4A6の各引出線であって、これらの各端子に駆動用のパルス出力回路が接続される。
【0032】
次に、上述した構成のモータの駆動動作を図9、図10によって説明する。
図9はバイポーラ駆動における1相励磁の場合の励磁シーケンスを示し、図示したステップに従ってモータの駆動が実行される。
同図において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ15まで示し、ステップ16以降の図示は省略している。
縦方向には前述した各引出線を順次記し、各引出線を記す横軸には、各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に記す四辺形は、例えば引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、横線の下側に示す四辺形は、逆に引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
即ち、図9に示すように各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したステップ角ずつ回転する。
【0033】
図10は上述した実施の形態に基くモータの前述した(7)式に記した条件である固定子の極歯のピッチτSAと回転子の爪状極歯の同一極間のピッチτRAが等しい場合の固定子と回転子との位置関係を展開して示していて、横方向には、左から右に向けて順次固定子の磁極部3A1、3A2、3A3、3A4、3A5、3A6及び3A1を再度示している。
縦方向には、図9によって前述したステップに対応してステップ1からステップ4までを記し、ステップ5以降は図示を省略している。
各ステップには、前述した図6を固定子の磁極全体図に拡大して示していて、上段から、上述した各磁極の片半分部である第1の固定子部SA1、第1の単位回転子RAA1、上述した各磁極の他の片半分部である第2の固定子部SA2、第2の単位回転子RAB1の順で記している。従って、上段に記した第1の固定子部SA1は左から各磁極の極歯の存在部と極歯を欠いた部分が3Ab1、3Ac2、3Ab3、3Ac4、3Ab5、3Ac6、3Ab1の順で並んで示される。また、その下段に記した第2の固定子部SA2は左から各磁極の極歯を欠いた部分と極歯の存在部が3Ac1、3Ab2、3Ac3、3Ab4、3Ac5、3Ab6、3Ac1の順で並んで示される。
また、各単位回転子に記したNは、N極が現れた爪状極歯を、またSは、S極が現れた爪状極歯を夫々示していて、モータの回転状況を示すために、第1の単位回転子の所定の極歯Nを丸で囲んで示している。
また、固定子の磁極に記したNは、夫々の磁極に巻き回した巻線に励磁電流を流すことによってN極に着磁された爪状極歯、Sは、同様に巻線に励磁電流を流すことによってS極に着磁された爪状極歯を夫々示していて、各爪状極歯の間隙は図示を省略している。
【0034】
今、図10に示したように、ステップ1において、引出線Aから引出線A′に向けて電流を流すと、固定子の磁極3A1がS極に励磁される。従って、極歯の存在する磁極の片側3Ab1に対向する第1の単位回転子RAA1の爪状極歯のN極が吸引される。
ステップ2において、引出線Dから引出線D′に向けて電流を流すと、固定子の磁極3A2がS極に励磁される。従って、極歯の存在する磁極の片側3Ab2に対向する第2の単位回転子RAB1の爪状極歯のN極が吸引される。
従って、ステップ1からステップ2に進むことによって、回転子は段落番号【0027】において示した間隔角度αA1回転する。即ち、ステップ2の磁極3A1(極歯の存在する磁極の片側3Ab1)部に示すように、ステップ角(τRA1)/12回転する。
【0035】
ステップ3において、引出線B′から引出線Bに向けて電流を流すと、固定子の磁極3A3がS極に励磁される。従って、極歯の存在する磁極の片側3Ab3に対向する第1の単位回転子RAA1の爪状極歯のS極が吸引される。
第1の単位回転子の爪状極歯と第2の単位回転子の爪状極歯の同一極は1/4ピッチ偏位させているので、ステップ2からステップ3に進むことによって、回
転子は、段落番号【0027】で示した間隔角度αA1回転する。即ち、ステップ3の磁極3A1(極歯の存在する磁極の片側3Ab1)部に示すように、ステップ1からステップ角の2倍角度2×(τRA1)/12回転する。
【0036】
ステップ4において、引出線E′から引出線Eに向けて電流を流すと、固定子の磁極3A4がN極に励磁される。従って、極歯の存在する磁極の片側3Ab4に対向する第2の単位回転子RAB1の爪状極歯のS極が吸引される。
従って、ステップ3からステップ4に進むことによって、回転子は、段落番号【0027】で示した間隔角度αA1回転する。即ち、ステップ4の磁極3A1(極歯の存在する磁極の片側3Ab1)部に示すように、ステップ1からステップ角の3倍角度3×(τRA1)/12回転する。
【0037】
以下、図9に示した順序を繰り返して上述と同様に励磁用巻線に励磁電流を供給することによって、モータはステップ角である(τRA1)/12ずつ回転を継続する。(8)式、(9)式の条件に対しても上記と同様に説明ができる。
【0038】
実施の形態2:
次に、本発明を6相12極インナロータ形永久磁石形ステッピングモータに適用した実施の形態2を図11乃至図17によって実施の形態1を参照して説明する。
従って、実施の形態1で6相6極モータについて説明した内容を6相12極モータに転換し容易に理解できる事項である構造や動作については、その図示説明は省略する。また、実施の形態1で示した要素機能と同等の要素機能は同一の符号を使用し、相当する要素機能は符号の後半部を変えて記して詳細説明は省略する。
動作については、例えば、各巻線に対する駆動電流の印加による働き等は磁極を展開した図6等を参照し、磁極や極歯のピッチ等に対応させてステップ角の違いを理解すれば良い。
【0039】
図11は6相12極モータの縦断正面図、図12は図11のX−X′断面を示している。
図11、図12において、SBは固定子で磁極の回転軸方向の1/2、又は、ほぼ1/2の幅で各磁極交互に極歯が形成される。
固定子SBは環状のヨーク部2の内方向に12個の磁極3B1〜3B12を等しい角度間隔で求心状に形成していて、各磁極は交互に形成位置を交差させて少なくとも1以上の数の極歯3Baを形成している。
即ち、磁極3B1、3B3、3B5、3B7、3B9、3B11には同一側である第1の固定子部SB1に極歯3Baを設け、磁極3B2、3B4、3B6、3B8、3B10、3B12には上記の磁極とは反対側である第2の固定子部SB2に極歯3Baを設けている。
上記各磁極には、巻線4B1乃至4B12(図11では各巻線を代表して符号4Bで記している)が巻き回されている。
各磁極に設けた符号末尾の番号は実施の形態1同様、固定子のどの磁極を基準にして定めるようにしても良い。
【0040】
図13に固定子SBの磁極部の構造を示している。即ち、同図において、同図(A)は上述した奇数番目の磁極3B1、3B3等の内の1つ磁極3B1を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示し、同図(B)には上述した偶数番目の磁極3B2、3B4等の内の1つ磁極3B2を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示している。
即ち、同図(A)において、ヨーク部2に形成した奇数番目の磁極3A1の1/2である3Bb部には極歯3Baを設け、磁極3B1の他の1/2である3Bc部には極歯3Baを欠いている。同図(B)に示すように偶数番目の磁極3B2においては、同図(A)とは逆側のヨーク部2に形成した磁極3B2の1/2である3Bb部には極歯3Baを設け、磁極3B2の他の1/2である3Bc部には極歯3Baを欠いている。
【0041】
次に、図14を参照して固定子SBを構成する固定子鉄心の製作方法を説明する。
即ち、同図に示すように、固定子鉄板PBは環状のヨーク部2の内部に、先端部に極歯PBaを設けた同一形状の磁極部PB1と先端部に極歯を設けない同一形状の磁極部PB2とを交互に各6個、総計で12個求心状に形成し、相互に隣接する磁極部PB1と磁極部PB2との間隔角度θBは360°/12 即ち30°に形成した上、固定子鉄板PBを所定枚数極歯PBaが重なるように積層して固定子鉄心の片側半分、即ち、第1の固定子部SB1を構成する鉄心を形成する。
次に、上記の構成体に対して磁極部のピッチ、即ち30°回転し偏位させて、上述と同一形状に形成した固定子鉄板PBを上記と同枚数、又は、ほぼ同枚数、極歯PBaが重なるように積層して固定子鉄心の残り片側半分、即ち、第2の固定子部SB2を構成する鉄心を形成すれば良い。
【0042】
回転軸8には、実施の形態1と同様に第1の単位回転子RBAと第2の単位回転子RBBを結合している。
第1の単位回転子RBA及び第2の単位回転子RBBは同一構造であって各回転子磁極に形成した爪状極歯10Ba、11Baの数以外の構造は実施の形態1によって示した第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABとは類似構造をなしているので、その説明は省略する。
【0043】
上記構造の固定子と回転子の各磁極部の構成は、実施の形態1に示した(7)式、(8)式、(9)式に対して本実施の形態を対応させて、符号τRAをτRBに、符号τSAをτSBに変換させた下記(13)式、(14)式、(15)式夫々の条件において、図6を参照して固定子の磁極に形成する極歯と回転子磁極に形成する爪状極歯との関係が示される。
τRB=τSB・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(13)
0.75τRB≦τSB<τRB・・・・・・・・・・・(14)
τRB<τSB≦1.25τRB・・・・・・・・・・・(15)
【0044】
即ち、固定子の極歯と回転子の爪状極歯との相互位置関係は、実施の形態1について図6によって説明した状況と同一なので図示は省略するが、図6に示した各符号を、固定子の所定の磁極の磁極存在部3Ab1、3Ab2を夫々3Bb1、3Bb2に、極歯非存在部3Ac1、3Ac2を夫々3Bc1、3Bc2に、固定子の磁極のピッチθA=360°/6をθB=360°/12に、固定子の極歯のピッチτSAをτSBに、第1の単位回転子RAA1、RAA2、RAA3を夫々RBA1、RBA2、RBA3に、第2の単位回転子RAB1、RAB2、RAB3を夫々RBB1、RBB2、RBB3に、回転子の爪状極歯のピッチτRA1、τRA2、τRA3を夫々、τRB1、τRB2、τRB3に、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αA1、αA2、αA3をαB1、αB2、αB3に夫々置換することによってそのまま利用できる。
【0045】
本実施の形態に示す6相12極モータにおいては、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(13)式で示される場合、回転子の永久磁石の爪状極歯の数を(3)式で示したように下記(16)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αB1は(τRB1)/12になる。
ZB1=6n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(16)
但し、ZB1は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0046】
また、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(14)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(3)式で示したように下記(17)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αB2は(τRB2)/12になる。
ZB2=6n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(17)
但し、ZB2は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0047】
また、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(15)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(3)式で示したように下記(18)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αB3は(τRB3)/12になる。
ZB3=6n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(18)
但し、ZB3は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0048】
図15に、本実施の形態のモータにおいて、上述したnを1から変化させた条件における各回転子磁極の爪状極歯の数(Zで記す)と、このモータのステップ角との関係を示している。
【0049】
図16は、本実施の形態におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示している。図16において、A、A′は巻線4B1と巻線4B7とを直列結線した回路の引出線、D、D′は巻線4B2と巻線4B8とを直列結線した回路の引出線、以下同様にB、B′は巻線4B3と巻線4B9とを、E、E′は巻線4B4と巻線4B10とを、C、C′は巻線4B5と巻線4B11とを、F、F′は巻線4B6と巻線4B12とを直列結線した回路の各引出線であって、これらの各端子に駆動用のパルス出力回路が接続される。
【0050】
本実施の形態におけるモータの駆動は、図17に示したステップに従って実行される。
図17において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ15まで示し、ステップ16以降の図示は省略している。
縦方向には前述した各引出線を順次示し、各引出線を示す横軸には、各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に記す四辺形は、例えば、引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、横線の下側に示す四辺形は、逆に引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
従って、図17に示すように各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したステップ角ずつ歩進し、回転する。
従って、その動作は実施の形態1の説明で図10に示した展開図に上述した段
落番号【0038】乃至【0048】の説明を参照して固定子の磁極を6極分追加し、回転子の爪状極歯の位置を固定子の磁極の位置に対応させて記載することによって同様に示され、図17に示したフローに従って各引出線に順次パルス電流を供給するごとにステップ角である(τRB1)/12ずつ歩進し回転を継続し、12パルスで極歯1ピッチ分回転する。
【0051】
実施の形態3:
次に、本発明を10相10極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータに適用した実施の形態3を図18乃至図24によって、前述した実施の形態1、実施の形態2を参照して説明する。
従って、実施の形態1、実施の形態2で6相6極モータ又は6相12極モータについて説明した内容を10相10極モータに転換し容易に理解できる事項である構造や動作については、その図示説明は省略する。また、実施の形態1で示した要素機能と同等の要素機能は同一の符号を使用し、相当する要素機能は符号の後半部を変えて記して詳細説明は省略する。
動作については、例えば、各巻線に対する駆動電流の印加による働き等は磁極を展開した図6等を参照し、磁極や極歯のピッチ等に対応させてステップ角の違いを理解すれば良い。
【0052】
図18は10相10極モータの縦断正面図、図19は図18のX−X′断面を示している。
図18、図19において、SCは固定子で、後述するように磁極の回転軸方向の1/2、又は、ほぼ1/2の幅で各磁極交互に極歯が形成される。
固定子SCはヨーク部2の内方向に10個の磁極3C1乃至3C10が等しい角度間隔で求心状に形成して、各磁極は交互に極歯の形成位置を交差させている。 即ち、磁極3C1、3C3、3C5、3C7、3C9には同一側である第1の固定子部SC1に極歯3Caを設け、磁極3C2、3C4、3C6、3C8、3C10には上記の磁極とは反対側である第2の固定子部SC2に極歯3Caを設けている。
上記各磁極には実施の形態1等と同様、巻線4C1乃至4C10(図18では各巻線を代表して符号4Cで記している)が巻き回されている。上述した各磁極に設けた符号末尾の番号は実施の形態1等に説明したのと同様、固定子のどの磁極を基準に定めるようにしても良い。
【0053】
図20に固定子SCの磁極部の構造を示している。即ち、同図において、(A)には前述した奇数番目の磁極3C1、3C3等の内の1つの磁極3C1を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示し、(B)には偶数番目の磁極3C2、3C4等の内の1つ、例えば磁極3C2を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示している。
即ち、同図(A)において、ヨーク部2に形成した磁極3C1の1/2である3Cb部には極歯3Caを設け、磁極3C1の他の1/2である3Cc部には極歯3Caを欠いている。同図(B)に示すように偶数番目の磁極3C2においては同図(A)とは逆側のヨーク部2に形成した磁極3C2の1/2である3Cb部には極歯3Caを設け、磁極3C2の他の1/2である3Cc部には極歯3Caを欠いている。
【0054】
次に、図21を参照して固定子SCを構成する固定子鉄心の製作方法の例を説明する。
即ち、同図に示すように、固定子鉄板PCは環状のヨーク部2の内部に先端部に極歯PCaを設けた同一形状の磁極部PC1と先端部に極歯を設けない同一形状の磁極部PC2とを交互に各5個、総計で10個を求心状に形成し、相互に隣接する磁極部PC1と磁極部PC2との間隔角度θCは360°/10 即ち36°に形成した上、固定子鉄板PCを所定枚数極歯が重なるように積層して固定子鉄心の片側半分、即ち、第1の固定子部SC1を構成する鉄心を形成する。 次に、上記の構成体に対して磁極部のピッチ、即ち36°回転し偏位させて、上述と同一形状に形成した固定子鉄板PCを上記と同枚数、又は、ほぼ同枚数、極歯PCaが重なるように積層して固定子鉄心の残り片側半分、即ち第2の固定子部SC2を構成する鉄心を形成すれば良い。
【0055】
回転軸8には、実施の形態1、実施の形態2同様、第1の単位回転子RCAと第2の単位回転子RCBが結合されている。
第1の単位回転子RCA及び第2の単位回転子RCBは同一構造であって、各回転子磁極に形成した爪状極歯10Ca、11Caの数以外の構造は、実施の形態1によって示した第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABとは類似構造をなしているので、その説明は省略する。
【0056】
上記構造の固定子と回転子の各磁性部の構成は、実施の形態1に示した(7)式、(8)式、(9)式に対して本実施の形態を対応させて、符号τRAをτRCに、符号τSAをτSCに変換させた下記(19)式、(20)式、(21)式夫々の条件において、図6を参照して固定子の磁極に形成する極歯と回転子に形成する爪状極歯の関係が示される。
τRC=τSC・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(19)
0.75τRC≦τSC<τRC・・・・・・・・・・・(20)
τRC<τSC≦1.25τRC・・・・・・・・・・・(21)
【0057】
即ち、固定子の各極歯と回転子の各爪状極歯との相互位置関係は、実施の形態1で説明した状況(図6)と同一なので図示は省略するが、図6に示した各符号を、固定子の所定の磁極の極歯存在部3Ab1、3Ab2を夫々3Cb1、3Cb2に、極歯非存在部3Ac1、3Ac2を夫々3Cc1、3Cc2に、固定子の磁極のピッチθA=360°/6をθC=360°/10に、固定子の極歯のピッチτSAをτSCに、第1の単位回転子RAA1、RAA2、RAA3を夫々RCA1、RCA2、RCA3に、第2の単位回転子RAB1、RAB2、RAB3を夫々RCB1、RCB2、RCB3に、回転子の爪状極歯のピッチτRA1、τRA2、τRA3を夫々、τRC1、τRC2、τRC3に、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αA1、αA2、αA3をαC1、αC2、αC3に、夫々置換することによって、そのまま利用できる。
【0058】
本実施の形態に示す10相10極モータにおいては、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(19)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(4)式で示したように下記(22)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αC1は(τRC1)/20になる。
ZC1=5n±2・・・・・・・・・・・・・・・・・(22)
但し、ZC1は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0059】
また、固定子の極歯と回転子磁極の爪状極歯のピッチの関係が(20)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(4)式で示したように、下記(23)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αC2は(τRC2)/20になる。
ZC2=5n±2・・・・・・・・・・・・・・・・・(23)
但し、ZC2は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0060】
また、固定子の極歯と回転子磁極の爪状極歯の回転子のピッチの関係が(21)式で示される場合、各回転子の爪状極歯の数を(4)式で示したように下記(24)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αC3は(τRC3)/20になる。
ZC3=5n±2・・・・・・・・・・・・・・・・・(24)
但し、ZC3は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0061】
図22は、本実施の形態のモータにおいて、nを1から変化させた条件における各回転子磁極の爪状極歯の歯数(Zと記す)と、このモータのステップ角との関係を示すものである。
【0062】
図23は、本実施の形態におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示している。 同図おいて、A、A′は巻線4C1の引出線、F、F′は巻線4C2の引出線、以下同様にB、B′は巻線4C3の、G、G′は巻線4C4の、C、C′は巻線4C5の、H、H′は巻線4C6の、D、D′は巻線4C7の、I、I′は巻線4C8の、E、E′は巻線4C9の、J、J′は巻線4C10の引出線であって、これらの各端子に駆動用のパルス出力回路が接続される。
【0063】
図24は本実施の形態のモータのバイポーラ駆動における1相励磁の場合の励磁シーケンスを示す。
同図において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ22まで示し、ステップ23以降の図示を省略している。
縦方向には前述した各引出線を順次示し、各引出線を示す横軸には、各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に記す四辺形は、例えば引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、横線の下側に記す四辺形は、引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
従って、同図に示すように各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したステップ角ずつ歩進し、回転する。
即ち、その動作は実施の形態1の説明で図10に示した展開図を、上述した段
落番号【0051】乃至【0062】の説明を参照して固定子の磁極を10極に変換し、回転子の爪状極歯の位置を固定子の磁極の位置に対応させて記載することによって同様に示され、図24に示したフローに従って、各引出線に順次パルス電流を供給するごとにステップ角である(τRC1)/20ずつ回転を継続し、20パルスで爪状極歯1ピッチ分回転する。
【0064】
実施の形態4:
次に、本発明を10相20極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータに適用した実施の形態4を図25乃至図31によって、実施の形態1乃至3を参照して説明する。
従って、実施の形態1(6相6極)、実施の形態3(10相10極)の各モータについて説明した内容を本実施の形態の10相20極モータに転換して容易に理解できる事項である構造や動作については、その図示説明は省略する。また、実施の形態1で示した要素機能と同等の要素機能は同一の符号、相当する要素機能は符号の後半部を変えて記し、詳細説明は省略する。
動作については、例えば各巻線に対する駆動電流の印加による働き等は磁極を展開した図6等を参照し、磁極や極歯のピッチ等に対応させてステップ角の違いを理解すれば良い。
【0065】
図25は本実施の形態の10相20極モータの縦断正面図、図26は図25のX−X′断面を示している。
図25、図26において、SDで、後述するように磁極の回転軸方向の1/2、又は、ほぼ1/2の幅で各磁極交互に極歯が形成されている。
固定子SDはヨーク部2の内方向に20個の磁極3D1乃至3D20が等しい角度間隔で求心状に形成されていて、各磁極は交互に極歯の形成位置を交差させている。
即ち、磁極3D1、3D3、3D5、3D7、3D9、3D11、3D13、3D15、3D17、3D19には同一側である第1の固定子部SD1に極歯3Daを設け、磁極3D2、3D4、3D6、3D8、3D10、3D12、3D14、3D16、3D18、3D20には上記の磁極とは反対側である第2の固定子部SD2に極歯3Daを設けている。
上記の各磁極には実施の形態1等と同様、巻線4D1乃至4D20(図25では各巻線を代表して符号4Dで記している)が巻き回されている。
上述した各磁極に設けた符号末尾の番号は実施の形態1等に説明したのと同様、固定子のどの磁極を基準に定めるようにしても良い。
【0066】
図27に固定子SDの磁極部の構造を示している。即ち、同図(A)には上述した奇数番目の磁極3D1、3D3等の内の1つの、例えば磁極3D1を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示し、同図(B)には前述した偶数番目の磁極3D2、3D4等の内の1つ、例えば磁極3D2を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示している。
即ち、同図(A)において、ヨーク部2に形成した磁極3D1の1/2である3Db部には極歯3Daを設け、磁極3D1の他の1/2である3Dc部には極歯3Daを欠いている。同図(B)に示すように偶数番目の磁極3D2においては、同図(A)とは逆側のヨーク部2に形成した磁極3D2の1/2である3Db部には極歯3Daを設け、磁極3D2の他の1/2である3Dc部には極歯3Daを欠いている。
【0067】
次に、図28を参照して固定子SDを構成する固定子鉄心の製作方法を説明する。
同図に示すように、固定子鉄板PDは環状のヨーク部2の内部に、先端部に極歯PDaを設けた同一形状の磁極部PD1と先端部に極歯を設けない同一形状の磁極部PD2とを交互に各10個、総計で20個求心状に形成し、相互に隣接する磁極部PD1と磁極部PD2との間隔角度θDは360°/20 即ち18°に形成した上、固定子鉄板PDを所定枚数極歯PDaが重なるように積層して固定子鉄心の片側半分、即ち、第1の固定子部SD1を構成する鉄心を形成する。次に、上記の構成体に対して磁極部のピッチ、即ち18°回転し偏位させて、上述と同一形状に形成した固定子鉄板PDを上記と同枚数、又は、ほぼ同枚数、極歯PDaが重なるように積層して固定子鉄心の残り片側半分、即ち、第2の固定子部SD2を構成する鉄心を形成すれば良い。
【0068】
回転軸8は、他の実施の形態と同様に、第1の単位回転子RDAと第2の単位回転子RDBが結合されている。
第1の単位回転子RDA及び第2の単位回転子RDBは同一構造で、各回転子磁極に形成した爪状極歯10Da、11Daの数以外の構造は実施の形態1と同様に構成すれば良い。
【0069】
上記構造の固定子と回転子の各磁性部の構成は、下記(25)式、(26)式、(27)式夫々の条件において、図6を参照して固定子の磁極に形成する極歯と回転子に形成する爪状極歯との関係が示される。
τRD=τSD・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(25)
0.75τRD≦τSD<τRD・・・・・・・・・・・(26)
τRD<τSD≦1.25τRD・・・・・・・・・・・(27)
【0070】
即ち、固定子と回転子との各極歯の相互位置関係は、実施の形態1について説明した状況(図6)と同一なので図示は省略するが、図6に示した各符号を、固定子の所定の磁極の極歯存在部3Ab1、3Ab2を夫々3Db1、3Db2に、極歯非存在部3Ac1、3Ac2を夫々3Dc1、3Dc2に、固定子の磁極のピッチθA=360°/6をθD=360°/20に、固定子の極歯のピッチτSAをτSDに、第1の単位回転子RAA1、RAA2、RAA3を夫々RDA1、RDA2、RDA3に、第2の単位回転子RAB1、RAB2、RAB3を夫々RDB1、RDB2、RDB3に、各回転子磁極の爪状極歯のピッチτRA1、τRA2、τRA3を夫々、τRD1、τRD2、τRD3に、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αA1、αA2、αA3をαD1、αD2、αD3に、夫々置換することによって、そのまま利用できる。
【0071】
本実施の形態に示す10相20極モータにおいては、固定子の極歯と回転子磁極の爪状極歯のピッチの関係が(25)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(4)式で示したように下記(28)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αD1は(τRD1)/20になる。
ZD1=10n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(28)
但し、ZD1は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0072】
また、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(26)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(4)式で示したように、下記(29)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αD2は(τRD2)/20になる。
ZD2=10n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(29)
但し、ZD2は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0073】
また、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(27)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(4)式で示したように、下記(30)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αD3は(τRD3)/20になる。
ZD3=10n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(30)
但し、ZD3は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0074】
図29に、本実施の形態のモータにおいて、上述したnを1から変化させた条件における各回転子磁極の爪状極歯の歯数(Zと記す)と、このモータのステップ角との関係を示している。
【0075】
図30は、本実施の形態におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示している。同図において、A、A′は巻線4D1と巻線4D11とを直列結線した引出線、F、F′は巻線4D2と巻線4D12とを直列結線した引出線、以下同様にB、B′は巻線4D3と巻線4D13とを、G、G′は巻線4D4と巻線4D14とを、C、C′は巻線4D5と巻線4D15とを、H、H′は巻線4D6と巻線4D16とを、D、D′は巻線4D7と巻線4D17とを、I、I′は巻線4D8と巻線4D18とを、E、E′は巻線4D9と巻線4D19とを、J、J′は巻線4D10と巻線4D20とを直列結線した引出線であって、これらの各端子に駆動用のパルス出力回路が接続される。
【0076】
本実施の形態のモータの駆動は、図31に示す1相励磁の場合の励磁シーケンスのステップに従ってバイポーラ駆動される。
図31において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ22まで示し、ステップ23以降の図示を省略している。
縦方向には前述した各引出線を示し、各引出線を示す横軸には、各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に示す四辺形は、例えば、引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、横線の下側に記す四辺形は引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
従って、図31に示すように各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したステップ角ずつ歩進し回転する。
即ち、その動作は実施の形態1の説明で図10に示した展開図を、上述した段落番号64乃至75の説明を参照して固定子の磁極を20極に変換し、回転子の爪状極歯の位置を固定子の磁極の位置に対応させて記載することによって同様に示され、図31に示したフローに従って、各引出線に順次パルス電流を供給するごとにステップ角である(τRD1)/20ずつ回転を継続し、20パルスで爪状極歯1ピッチ分回転する。
【0077】
実施の形態5:
前述した実施の形態1においては、本発明の技術思想を夫々インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータに適用した例について説明したが、本発明の技術思想はアウタロータ形ハイブリッド形ステッピングモータにも適用できるので、この場合の実施の形態5を次に図32によって説明する。
図32は前述した実施の形態1乃至実施の形態4の説明に使用した図1、図11、図18、図25に対応しており、6極、10極、12極、20極等極数の違いに対しては、インナロータ形モータについての各実施の形態を参照すれば、その極数の違いに基づく構造と特性の違いを容易に理解できるので、相数と極数は限定しないでインナロータ形モータとの違いを主体にして、アウタロータ形モータの構造を説明して機能の説明は省略する。
即ち、相数や極数の異なった各種のアウタロータ形モータについては、後述する固定子と回転子との相互位置の違いに基づく構造の違いを考慮して前述したインナロータ形モータ各実施の形態を参照すれば良い。従って、本実施の形態の説明では実施の形態1乃至実施の形態4で示した固定子の磁極の数に基づく構造を説明する図2、図12、図19、図26等のX−X′断面図の図示説明等は省略する。
【0078】
図32において、固定子SKは円筒状に形成した保持材20の外周に沿って形成されている。固定子SKには等ピッチで、前述したインナロータ形モ−タに形成した磁極と類似形状の磁極21が放射状に、そのモータの極数だけの数が等間隔で成されている。
即ち、本実施の形態における磁極は、実施の形態1乃至実施の形態4で説明したインナロータ形のモータの磁極が円筒状の内面に求心状に形成されていたのに対して、同一構成の磁極が円筒状の外面に放射状に形成されている。
即ち、各磁極21は回転軸方向の1/2又は、ほぼ1/2の幅で一個おきの各磁極に少なくとも1以上の極歯21aを等ピッチで形成した第1の固定子部SK1と、この第1の固定子部SK1の極歯21aを形成した残りの1/2、又は、ほぼ1/2の幅で少なくとも1以上の極歯21aを形成した第1の固定子部SK1の磁極21aを形成した残りの磁極である第2の固定子部SK2によって構成されている。即ち、第1の固定子部SK1の磁極と第2の固定子部SK2の磁極とは交互に極歯の形成位置を交差させている。
各磁極21には励磁用巻線22が巻き回されている。
【0079】
上述した円筒状に形成した固定子SKの中心部に図示しない軸受で回転自在に回転軸23が支承されている。回転軸23の片方の端部近傍に固定した垂直保持材24には、例えば非磁性体で形成した円筒状保持材25が前述した固定子SKの表面を平行に覆うように形成されている。
円筒状保持材25の内面には、前述した第1の固定子部SK1に形成した極歯21aとの間に所定の間隙を設けて固定子の極歯の幅等に対応した所定幅の第1の単位回転子RKAが固定されている。また、前述した第2の固定子部SK2に形成した極歯21aとの間に所定の間隙を設けて固定子の極歯の幅等に対応した所定幅の第2の単位回転子RKBが固定されている。
第1の単位回転子RKAと第2の固定子部SK2とは前述したインナロータ形モータと同様夫々第1の回転子磁極27には、回転軸23の軸方向に着磁した永久磁石26を覆って永久磁石26の方向に直角に折り曲げた形状に第1の固定子部SK1に形成した極歯21aの形状とピッチに対応したピッチと形状の爪状極歯27aが設けられ、第2の回転子磁極28は第1の回転子磁極と同一形状に形成し、爪状極歯28aを第1の回転子磁極27に設けた爪状極歯27aとの間に反対側から噛み合わせるように第1の回転子磁極と共に、永久磁石26に固定されている。第1の回転子磁極27に設けた爪状極歯と、第2の回転子磁極28に設けた爪状極歯28aとの間には所定間隙を設けるように、夫々の爪状極歯が設定されている。
【0080】
第1の単位回転子RKAに形成した永久磁石によって生じる所定磁極極性の爪状極歯と、第2の単位回転子RKBに形成した永久磁石によって生じる所定磁極極性の爪状極歯とは、前述したインナロータ形モータと同様、夫々の同一極間のピッチの1/4回転し偏位させている。
従って、インナロータ形モータと同様、固定子の磁極に巻き回した巻線に順次電流を供給することによって、インナロータ形モータと同様、その磁極の構成等の条件に従った特性で回転する。
即ち、実施の形態5に示す構造においても、実施の形態1乃至実施の形態4夫々に示したように、用途と必要特性に対応させ、磁極と相数を設定して作動させることができる。
なお、この本実施の形態の固定子は、実施の形態1乃至実施の形態4で説明したインナロータ形のモータの固定子と類似同様の製法によって製作できる。
【0081】
上述の各実施の形態は本発明の技術思想を実現する一例を示したものであって、そのモータの用途と用途に対応した回転速度や所望されるトルク、状況に適した電源条件等に対応して適切に応用改変しても良いことは当然である。
例えば、固定子の鉄心は前述したように磁性鉄板を積層して構成する代わりに、所定の形状に圧粉鉄心を焼結して構成できる等の各種の変形が考えられる。
【0082】
【発明の効果】
本発明に基づくインナロータ形又はアウタロータ形ハイブリッド形ステッピングモータは上述のように構成し作動するようにしたので、次のような優れた効果を有する。
(1)従来のインナロータ形又はアウタロータ形いずれの多相形ハイブリッド形ステッピングモータを得るにも相数に対応する多数の固定子磁極が必要であったが、従来よりも大幅に減少させた少数の磁極で実現できる。
(2)例えば、6相ステッピングモータには24個の固定子磁極が必要であったが、6乃至12個の固定子磁極で実現できる。
(3)10相ステッピングモータには40個の固定子磁極が必要であったが、本発明のものでは10乃至20個の固定子磁極で実現できる。
(4)固定子磁極の数を減らすことができるので、多相ステッピングモータでありながら、その小型化が可能である。
(5)固定子磁極の数を減らすことができるので、巻線の数が減ると同時に、巻線の加工費が大幅に削減できる。
(6)従来、製作困難であった多相ステッピングモータが安い価格で実現できる。(7)多相ステッピングモータの実現によって、回転子の極歯のピッチを小さくして多数設けなくても、従来市販されている2相乃至5相ステッピングンモータよりも微少なステップ角が得られる。
(8)微少なステップ角が得られるので、ステッピングモータの分解能が向上できる。
(9)回転子の円周上に交互に多数のN極とS極が構成できるので、多相モータでありながら偏平構造にすることができる。
(10)分解能の向上によって精度の良い回転制御が実現され、従来はサーボモータに頼る必要のあった回転システムに対してステッピングモータの適用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の6相6極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図である。
【図2】図1に示す6相6極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータのX−X′断面図である。
【図3】本実施の形態1における固定子の磁極先端部形状を説明する斜視図で、同図(A)には所定の磁極部の斜視図、同図(B)は同図(A)に示す磁極部に隣接する磁極部の斜視図である。
【図4】本実施の形態1における固定子を形成する磁性材板(固定子鉄板)の形状を説明す平面図である。
【図5】実施の形態1における回転子の構造を説明する斜視図で、同図(A)は回転子の組み立て図、同図(B)は単位回転子の分解図、同図(C)は各単位回転子の爪状極歯部の拡大説明図、同図(D)は永久磁石によって各回転子磁極の爪状極歯に生じる磁気極性の関係を示している回転子表面の展開概要図である。
【図6】実施の形態1における固定子の極歯と回転子の爪状極歯に生じる磁気極性との位置関係を説明する展開説明図で、同図(A)は固定子の極歯のピッチ(間隔角度)と回転子の爪状極歯のピッチ(間隔角度)が等しい場合における固定子の極歯と回転子の爪状極歯との位置関係を説明する固定子と回転子の爪状極歯部の展開図、同図(B)は固定子の極歯のピッチ(間隔角度)が回転子の爪状極歯のピッチ(間隔角度)よりも小さく、かつ、回転子の爪状極歯のピッチ(間隔角度)の0.75倍に等しいか、より大なる場合における固定子の極歯と回転子の爪状極歯との位置関係を説明する固定子と回転子の爪状極歯部の展開図、同図(C)は固定子の極歯のピッチ(間隔角度)が回転子の極歯のピッチ(間隔角度)よりも大きく、かつ、回転子の爪状極歯のピッチ(間隔角度)の1.25倍に等しいか、より小さい場合における固定子の極歯と回転子の極歯との位置関係を説明する固定子と回転子の爪状極歯部の展開図である。
【図7】実施の形態1のステッピングモータにおける回転子磁極の爪状極歯の数とステップ角との関係を示す図表である。
【図8】実施の形態1におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示す結線図である。
【図9】実施の形態1のステッピングモータのバイポーラ駆動をするため1相励磁する場合の励磁シーケンス図である。
【図10】実施の形態1の固定子の極歯のピッチ(間隔角度)と回転子の爪状極歯のピッチ(間隔角度)が等しい場合において、図9に示す励磁シーケンスによる実行時における固定子の極歯と回転子の爪状極歯との位置関係を説明する、固定子の磁極と回転子の爪状極歯部の展開説明図である。
【図11】本発明の実施の形態2の6相12極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図である。
【図12】図11に示す6相12極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータのX−X′断面図である。
【図13】実施の形態2における固定子の磁極先端部形状を説明する斜視図で、図同図(A)には所定の磁極部の斜視図、同図(B)は同図(A)に示す磁極部に隣接する磁極部の斜視図である。
【図14】実施の形態2における固定子を形成する磁性材板(固定子鉄板)の形状を説明する平面図である。
【図15】実施の形態2のステッピングモータにおける各回転子磁極の爪状極歯の数とステップ角との関係を示す図表である。
【図16】実施の形態2におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示す結線図である。
【図17】実施の形態2のステッピングモータのバイポーラ駆動するため1相励磁する場合の励磁シーケンス図である。
【図18】本発明の実施の形態3の10相10極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図である。
【図19】図18に示す10相10極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータのX−X′断面図である。
【図20】実施の形態3における固定子の磁極先端部形状を説明する斜視図で、同図(A)には所定の磁極部の斜視図、同図(B)は同図(A)に示す磁極部に隣接する磁極部の斜視図である。
【図21】実施の形態3における固定子を形成する磁性材板(固定子鉄板)の形状を説明する平面図である。
【図22】実施の形態3のステッピングモータにおける各回転子磁極の爪状極歯の数とステップ角との関係を示す図表である。
【図23】実施の形態3におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示す結線図である。
【図24】実施の形態3のステッピングモータのバイポーラ駆動するため1相励磁する場合の励磁シーケンス図である。
【図25】本発明の実施の形態4の10相20極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図である。
【図26】図25に示す10相20極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータのX−X′断面図である。
【図27】実施の形態4における固定子の磁極先端部形状を説明する斜視図で、同図(A)には所定の磁極部の斜視図、同図(B)は同図(A)に示す磁極部に隣接する磁極部の斜視図である。
【図28】実施の形態4における固定子を形成する磁性材板(固定子鉄板)の形状を説明する平面図である。
【図29】実施の形態4のステッピングモータにおける各回転子磁極の爪状極歯の数とステップ角との関係を示す図表である。
【図30】実施の形態4におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示す結線図である。
【図31】実施の形態4のステッピングモータのバイポーラ駆動するため1相励磁する場合の励磁シーケンス図である。
【図32】本発明の実施の形態5のアウタロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図である。
【図33】従来のインナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの縦断正面図である。
【図34】図33に示すインナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータのX−X′断面図である。
【図35】従来構造のインナロータ形6相24極ステッピングモータのモノファイラ巻きでの結線図である。
【図36】従来構造のインナロータ形6相ステッピングモータのバイポーラ駆動における1相励磁の場合の励磁シーケンス図である。
【図37】従来構造のインナロータ形20相40極ステッピングモータのモノファイラ巻きでの結線図である。
【図38】従来構造のインナロータ形20相ステッピングモータのバイポーラ駆動における1相励磁の場合の励磁シーケンス図である。
【符号の説明】
2:ヨーク部
3A1〜3A6、3B1〜3B12、3C1〜3C10、3D1〜3D20、21:固定子の磁極
3Aa、3Ba、3Ca、3Da、21a:固定子の極歯
3Ab、3Ab1、3Ab2、3Bb1、3Bb2、3Cb1、3Cb2、3Db1、3Db2:固定子磁極の極歯存在部
3Ac、3Ac1、3Ac2、3Bc1、3Bc2、3Cc1、3Cc2、3Dc1、3Dc2:固定子磁極の極歯非存在部
4A、4A1、〜4A6、4B、4B1〜4B12、4C、4C1〜4C10、4D、4D1〜4D20、22:巻線
8、23:回転軸
9、26:永久磁石
10A、10B、10C、10D、11A、11B、11C、11D、27、28:回転子磁極
10Aa、10Ba、10Ca、10Da、11Aa、11Ba、11Ca、11Da、27a、28a:爪状極歯
A、A′、B、B′、C、C′、D、D′、E、E′、F、F′、G、G′、H、H′、I、I′、J、J′、:巻線の引出線
PA、PB、PC、PD:磁性材板(固定子鉄板)
PA1、PB1、PC1、PD1;磁性材板(固定子鉄板)の極歯存在部
PA2、PB2、PC2、PD2;磁性材板(固定子鉄板)の極歯非在部
PAa、PBa、PCa、PDa;磁性材板(固定子鉄板)の極歯
RAA、RAB、RBA、RBB、RCA、RCB、RDA、RDB、RKA、RKB:単位回転子
SA、SB、SC、SD、SK:固定子
SA1、SB1、SC1、SD1、SK1:第1の固定子部
SA2、SB2、SC2、SD2、SK2:第2の固定子部
τRA、τRA1、τRA2、τRA3:回転子磁極の爪状極歯のピッチ(間隔角度)
τSA:固定子磁極の極歯間のピッチ(間隔角度)
αA1、αA2、αA3:固定子の極歯と回転子の所定の爪状極歯との間隔角度
θA、θB、θC、θD:固定子の磁極間ピッチ(間隔角度)
【発明の属する技術分野】
本発明は回転電機の構造に係り、特にプリンター、高速ファックス、PPC用複写機用等の高速運転で精密な位置決めを必要とするOA機器等の駆動に最適な高分解能のインナロータ形又はアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータは図33、図34に示すような構造をしている。
即ち、図33はインナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータ(以下モータと略称する)の構成を示す縦断正面図、図34は図33のX−X′断面図である。
図33、図34において、31は円筒状のケーシングであって、ケーシング31は磁性体によって成型したヨーク部32と一体に結合されている。ヨーク部32の内方向には、このモータの構造特性に対応した所定数(図示のものでは8個)の磁極33が等しい間隔で求心状に形成されている。各磁極33には磁極33夫々を磁化するための巻線34が嵌合されている。
また、各磁極33の先端部には、このモータの構造特性に対応した数の極歯33aが等しい間隔で形成されている。
【0003】
ケーシング31の両端にはエンドカバー35、36が一体に結合されている。エンドカバー35、36の中央部には夫々に軸受37a、37bが嵌合され、1対の軸受37a、37bは回転軸38を回転自在に軸支している。
回転軸38は軸方向に着磁された永久磁石39が嵌合し固定されている。
永久磁石39は円盤状の2個の回転子磁極40A、40Bによって挟持されている。回転子磁極40Aと40B夫々の外周には固定子の磁極33に形成した極歯33aの形状と間隔に対応させた形状と間隔で極歯40aを形成しており、第1の回転子磁極40Aの極歯40aと第2の回転子磁極40Bの極歯40aとは1/2ピッチ回転偏位させて結合されている。
【0004】
上述の構成のモータは固定子の巻線34に順次所定の順序で通電することによって、固定子の各極歯33aが順次回転磁化される。従って、この固定子の各極歯33aと永久磁石39によって磁化されている回転子の各極歯40aとの相互作用により、固定子の各磁化される極歯33aの回転につれて回転子の各極歯40aは回転する。従って、各回転子磁極と一体化した回転軸38は回転し、また停止する。
モータが所定の巻線に1回電流を流すことによって回転子が回転するステップ角θSは固定子巻線の相数と回転子の磁極に形成した極歯の数によって(1)式のように表わされる。
θS=180°/(M×Q)・・・・・・・・・・(1)
但し、Mは固定子の相数、Qは各回転子磁極に形成される極歯の数を示す。
【0005】
図35は6相24極モータにおけるモノファイラ巻きでの、従来の結線例を示している。即ち、1乃至24は夫々固定子の磁極に巻き回した巻線を示していて、巻線1と巻線13は同一方向に結線し、巻線7と巻線19は逆方向に結線して端子A、A′に接続している。また、巻線2と巻線14は同一方向に結線し、巻線8と巻線20は逆方向に結線して端子B、B′に接続し、巻線3と巻線15は同一方向に結線し、巻線9と巻線21は逆方向に結線して端子C、C′に接続し、巻線4と巻線16は同一方向に結線し、巻線10と巻線22は逆方向に結線して端子D、D′に接続し、巻線5と巻線17は同一方向に結線し、巻線11と巻線23は逆方向に結線して端子E、E′に接続し、巻線6と巻線18は同一方向に結線し、巻線12と巻線24は逆方向に結線して端子F、F′に接続している。
【0006】
図36は図35に示したような結線における6相モータの1相励磁における励磁シーケンスを示している。
図36において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ15まで記し、ステップ16以降の図示は省略している。
縦方向には前述した各引出線を順次記し、各引出線を記す横軸には、各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に記す四辺形は、例えば引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、下側に記す四辺形は、逆に、引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
即ち、図36に示すように各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したステップ角θSずつ回転する。
【0007】
図37は20相40極モータにおけるモノファイラ巻きでの、従来の結線例を示している。即ち、1乃至40は夫々固定子の磁極に巻き回した巻線を示していて、巻線1と巻線21を直列接続した回路は端子A、A′に接続している。また、巻線2と巻線22を直列接続した回路は端子B、B′に接続し、巻線3と巻線23を直列接続した回路は端子C、C′に接続し、以下、同様に2個ずつの巻線を直列接続した回路が夫々D、D′乃至T、T′に接続している。
【0008】
図38は図37に示したような結線における20相モータの1相励磁における励磁シーケンスを示している。
図38において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ21まで示し、ステップ22以降の図示を省略している。
縦方向には前述した各引出線を記し、各引出線を記す横軸には各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に記す四辺形は、例えば引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、下側に記す四辺形は、逆に、引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
即ち、図38に示すように、各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したように、このモータの構成で定まるステップ角θSずつ回転する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したステップ角θSは1相の巻線に順次通電し励磁した場合に得られる回転角度であって、そのモータの構造によって決定される。
従って、分解能が高く制御性能の良いモータを得ようとすると、ステップ角θSを微小にすることが必要であり、上述した以外にも相数や極数の設定及びハイブリッドの構成等に各種の手段が講じられている。
ところで、上述のような従来の構成によるモータのステップ角θSの場合では、(1)式によって示されるので、ステップ角θSを小さくしようとすると、相数Mを多くするか、回転子の極歯数Qを多くしなければならない。
例えば、回転子の極歯数を50にすると、従来の2相モータでは、上記(1)式から
θS=180°/(2×50)=1.8°になる。
また、回転子の極歯数が50の3相モータでは、
θS=180°/(3×50)=1.2°
回転子の極歯数が50の5相モータでは、
θS=180°/(5×50)=0.72°
になる。
ところで、回転子の極歯数は回転子を形成する磁性体板を加工するプレス型や材料特性等の工作技術上の制約から制限がある。従って、極歯の数は無制限に多くすることができず、100程度が限度である。
また、回転子は永久磁石を挟んだ2個の回転子磁極によって構成されるため、モータ長が長くなる。そのために、偏平なモータを製作しようとすると出力トルクの上限が制限されるので不利になる。
【0010】
また、相数を多く取ろうとすると、従来の技術によると、例えば6相モータの場合は24極の固定子、10相モータの場合は40極の固定子が必要になる。そのために、磁極の間に巻線を形成するスロット面積が小さくなるので、小型のモータを得ようとすると、銅量が多くとれないので、電気的損失が増大する等という問題がある。
また、固定子の磁極数が多くなるため、図35、図37に記したように巻線の数が多くなるので接続が複雑になる等の原因でコストアップになるという問題があった。そのために、現実には5相モータが小型ハイブリッド形ステッピングモータの相数の限界であるとされていた。
本発明は従来のものの上記課題(問題点)を解決し、少ない磁極数で多相化を図ると同時に、回転子は先端部に爪状極歯を形成した磁極によって永久磁石を包み込む形状にすることによって、製作を可能にした偏平タイプで高分解能で高精度の多相ハイブリッド形ステッピングモータを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に基づくインナロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータは、環状磁性体の内面から円中心に向け求心状に等ピッチで夫々に励磁用巻線を巻き回した少なくとも6以上の複数の磁極を形成し、この磁極の内、交互に形成された半数の先端部には軸方向厚みの所定側のほぼ半ばまでに、少なくとも1以上所定数の極歯を等ピッチで設けて第1の固定子部を形成し、第1の固定子部における極歯を形成した各磁極に隣接する他の半数の磁極夫々の先端部には軸方向厚みの前記とは反対側のほぼ半ばまでに、第1の固定子部と同数の極歯を同一ピッチで形成して第2の固定子部を形成し、第1の固定子部の極歯表面との間に所定間隙を設けて、固定子の極歯数に対応する数の固定子の極歯表面に平行な爪状極歯を同一円周上に形成した第1の回転子磁極と、この第1の回転子磁極と同一形状の爪状極歯を第1の回転子磁極の爪状極歯との間に、所定間隙を設けて対向し噛み合わせて形成した第2の回転子磁極とを、軸受に回転自在に支承した回転軸の軸方向に着磁した円筒状永久磁石を挟んで、回転軸に固定した第1の単位回転子と、第1の単位回転子と同一形状に形成して第2の固定子部に対応させて配置した第2の単位回転子とを、第2の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性と第1の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性とを同一極に対して相互に1/4ピッチずらし、非磁性体部を挟んで回転軸に固定し構成した。
【0012】
また、アウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータは、円筒状磁性体の円筒外面から放射状に等ピッチで夫々に励磁用巻線を巻き回した少なくとも6以上複数の磁極を形成し、この磁極の内、交互に形成された半数の先端部には軸方向厚みの所定側のほぼ半ばまでに、少なくとも1以上所定数の極歯を等ピッチで設けて第1の固定子部を形成し、第1の固定子部における極歯を形成した各磁極に隣接する他の半数の磁極夫々の先端部には軸方向厚みの前記とは反対側のほぼ半ばまでに、第1の固定子部と同数の極歯を同一ピッチで形成して第2の固定子部を形成し、第1の固定子部の極歯表面との間に所定間隙を設けて固定子の極歯数に対応する数の固定子の極歯表面に平行な爪状極歯を同一円周上に形成した第1の回転子磁極と、第1の回転子磁極と同一形状の爪状極歯を第1の回転子磁極の夫々の爪状極歯との間に、所定間隙を設けて対向し噛み合わせて形成した第2の回転子磁極とを、軸受に回転自在に支承した回転軸の軸方向に着磁した環状永久磁石を挟んで、回転軸に固定した第1の単位回転子と、第1の単位回転子と同一形状に形成して第2の固定子部に対応させて配置した第2の単位回転子とを、第2の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性と第1の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性とを同一極に対して相互に1/4ピッチずらし、非磁性体部を挟んで回転軸に固定し構成した。
【0013】
この場合、6極6相のインナロータ形又はアウタロータ形のハイブリッド形ステッピングモータでは、固定子の磁極の数を6個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zは下記(2)式の関係を満足するように形成するのが望ましい。
同様に、6相12極のインナロータ形又はアウタロータ形のハイブリッド形ステッピングモータでは、固定子の磁極の数を12個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zは下記(3)式の関係を満足するように形成するのが、また、10相10極のインナロータ形又はアウタロータ形のハイブリッド形ステッピングモータでは、固定子の磁極の数を10個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zは下記(4)式の関係を満足するように形成するのが、さらに、10相20極のインナロータ形又はアウタロータ形のハイブリッド形ステッピングモータでは、固定子の磁極の数を20個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zは下記(5)式の関係を満足するように形成するのが夫々望ましい。
Z=3n±1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
Z=6n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
Z=5n±2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
Z=10n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
但し、上記(2)式乃至(5)式においてnは n≧1の整数である。
【0014】
なお、上述した固定子は、求心状又は放射状に形成した磁極形成部の交互に極歯を形成した磁性体板を所定枚数積層し、さらに、上述の磁性体板と同一形状に形成した磁性体板を磁極形成ピッチ回転させて所定枚数積層して各積層体を固定し、巻線を巻き回して構成するのが望ましい。
【0015】
即ち、下記条項を満足するように構成する。
▲1▼固定子の巻線の相数は6又は10とする。
▲2▼固定子は環状のヨーク部内周に求心状に、又は円筒状のヨーク部の外周に放射状に所定個(Q個)の磁極を形成し、各隣接する磁極は交互に軸方向左右の厚みの半分の極歯を欠くようにする。
▲3▼固定子の磁心は、磁極形成部1つおきの先端部に極歯を形成した磁性体板を所定枚数積層し、さらに、この磁性体板と同一形状に形成した磁性体板を磁極形成ピッチ回転させて所定枚数積層して各積層体を固定して構成する。
▲4▼回転子は、先端部を固定子磁極表面に爪状極歯で対向するように形成した2個の円盤状体で軸方向に着磁した永久磁石を挟持した2個の単位回転子を同極同士の極に対して相互に1/4ピッチ偏位させ非磁性体部を挟んで構成する。
▲5▼上記のQ=6で6相巻線の場合は上記(2)式を満足させる。
▲6▼上記のQ=12で6相巻線の場合は上記(3)式を満足させる。
▲7▼上記のQ=10で10相巻線の場合は上記(4)式を満足させる。
▲8▼上記のQ=20で10相巻線の場合は上記(5)式を満足させる。
▲9▼上記の条件はアウタロータ形モータ及びインナロータ形モータの双方に適用させる。
【0016】
上述のような本発明に基づく構成においては、インナロータ形でも、アウタロータ形でも製作が可能であって、固定子の磁極の数を増大することなく、多相ステッピングモータとしての機能が発揮される。
また、爪状極歯を形成したモータは構造から明らかなように、従来よりも偏平に形成できる。
従って、小型で精度の良い高分解能のステッピングモータが得られ、製作コストを低減できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の各実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態1:
図1は本発明に基づき形成した6相6極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図、図2は図1のX−X′断面図を示し、詳細図示は省略している。
図1、図2において、1は円筒状のケーシングで、このケーシング1は内部に固定子SAの環状に形成したヨーク部2と一体に結合されている。
固定子SAはヨーク部2の内方向に、このモータの構造特性に対応した6個の磁極3A1乃至3A6が等しい間隔角度θAで求心状に形成されている。
各磁極は詳細を後述するように、パルス電流を流して所定の方向に順次磁化するための励磁用巻線4A1乃至4A6(図1には各巻線を代表して符号4Aで記している)が巻き回されている。
【0018】
固定子SAは図1に示すように、軸方向に第1の固定子部SA1と第2の固定子部SA2を隣接配置して構成している。
第1の固定子部SA1と第2の固定子部SA2夫々の幅は、このステッピングモータの構造等に対応して、夫々が正しく1/2に構成しても、詳細を後述するように回転子の構造に対応してステッピングモータとして機能が得られれば若干の相違があっても良い。
また、各磁極3A1、3A3、3A5及び3A2、3A4、3A6の先端部には、このモータの構造特性に対応した少なくとも1以上の数の極歯3Aaが図3に示すように、軸方向のほぼ1/2ずつ交互に夫々等しい間隔角度で形成されている。
【0019】
図3は固定子の磁極先端部形状を示すもので、同図(A)は上述した磁極の奇数番目の磁極3A1、3A3、3A5の内の1つ、例えば磁極3A1を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示し、同図(B)には偶数番目の磁極3A2、3A4、3A6の内の1つ、例えば磁極3A2を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示している。
即ち、同図(A)において、ヨーク部2に形成した磁極3A1の1/2である3Ab部には極歯3Aaを設け、磁極3A1の他の1/2である3Ac部には極歯3Aaを欠いている。同図(B)に示すように偶数番目の磁極3A2においては、同図(A)とは逆側のヨーク部2に形成した磁極3A2の1/2である3Ab部には極歯3Aaを設け、磁極3A2の他の1/2である3Ac部には極歯3Aaを欠いている。
磁極及び極歯の各間隔角度は所定の半径上では、その円周面におけるピッチに比例する。円形モータの場合、寸法間隔は計測する半径の位置で変化するが、角度は変化しないので、以降磁極の間隔等の表示は角度によって行い、間隔をピッチと称して説明する。
また、上述した各磁極の符号に付した末尾の番号は、説明の便宜上特定の磁極から順次付したものであって、どの磁極から番号を付しても良いことは当然である。
【0020】
図1、図2において、ケーシング1の両端にはエンドカバー5、6が一体に結合されている。
エンドカバー5、6の中央部には夫々に軸受7a、7bが嵌合され、1対の軸受7a、7bは非磁性体で形成した回転軸8を回転自在に支承している。
回転軸8は、固定子SAの半分である第1の固定子部SA1に対向させた位置に固定子部SA1に形成した極歯3Aaの表面との間に所定間隔をあけて第1の単位回転子RAAを装着しており、固定子SAの他の半分である第2の固定子部SA2に対向させた位置に第2の固定子部SA2に形成した極歯3Aaの表面との間に所定間隔をあけて第2の単位回転子RABを装着している。
第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABは夫々同一構造である。第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABには、夫々回転軸8に永久磁石9を固定し、永久磁石9には詳細を後述するように形成した第1の回転子磁極10Aと第2の回転子磁極11Aが挟みつけて固定している。
第1の回転子磁極10Aの先端部には永久磁石9の方向に直角に折り曲げた形状に第1の固定子部SA1に形成した極歯3Aaの形状とピッチに対応したピッチと形状の爪状極歯10Aaが設けられ、第2の回転子磁極11Aは第1の回転子磁極と同一形状に形成し、爪状極歯11Aaを第1の回転子磁極10Aに設けた爪状極歯10Aaとの間に反対側から噛み合わせるようにして第1の回転子磁極と共に永久磁石9に固定されている。第1の回転子磁極10Aに設けた爪状極歯10Aaと第2の回転子磁極11Aに設けた爪状極歯11Aaとの間には所定間隔を設けるように夫々の爪状極歯の寸法が設定されている。
【0021】
上述した第1の単位回転子RAAに形成した永久磁石によって生じる所定磁気極性の爪状極歯と、第2の単位回転子RABに形成した永久磁石によって生じる磁気極性の爪状極歯とは詳細を後述するように、同一極性の爪状極歯が相互に1/4ピッチ偏位させ非磁性体12を介して固定している。
【0022】
次に、図4を参照して固定子SAを構成する固定子鉄心の製作方法を説明する。
図4は固定子鉄心を構成するための磁性材板(以下固定子鉄板と称す)PAを示している。即ち、固定子鉄板PAは、環状のヨーク部2の内部に、先端部に極歯PAaを設けた同一形状の磁極部PA1と先端部に極歯を設けない同一形状の磁極部PA2とを交互に各3個、総計で6個を求心状に形成している。
従って、上述した相互に隣接する磁極部PA1と磁極部PA2との間隔角度θAは360°/6 即ち60°に形成されている。
図4に示す形状の固定子鉄板PAを所定枚数極歯PAaが重なるように積層して固定子鉄心の片側半分、即ち、第1の固定子部SA1を構成する鉄心を形成する。
次に、上記の形成体に対して磁極部のピッチ、即ち60°回転し偏位させて、上述と同一形状に形成した固定子鉄板PAを上記と同枚数、又は、ほぼ同枚数、極歯PAaが重なるように積層して固定子鉄心の残り片側半分、即ち、第2の固定子部SA2を構成する鉄心を形成する。
従って、このように形成した固定子鉄心は、図3に示したように構成される。なお、固定子鉄板PAは磁性材板からプレスによる打ち抜き加工によって製作すれば良い。
【0023】
図5によって、前述した回転子の構成と製作方法を説明する。
同図(A)は回転子の全体構造図を、同図(B)は単位回転子の分解図を、同図(C)と同図(D)は、永久磁石9によって各爪状極歯に現れる磁気極性を夫々示している。
第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABとは同図(B)に示すように、円盤状部10Abの外周周辺部を直角になるように折り曲げた折曲部に、このモータ特性に必要な数と後述するように構成でき隙間をあけて夫々が同一円周面上に整列するように形成した爪状の極歯10Aaを設けた第1の回転子磁極10Aと、円盤状部11Abの外周周辺部を直角になるように折り曲げた折曲部に爪状の極歯11Aaを設けた第1の回転子磁極10Aと同一形状に形成した第2の回転子磁極11Aとを、永久磁石9を挟んで夫々の爪状極歯10Aaと11Aaとの間に等しい間隙をあけ夫々が同一円周面上に整列するようにして同図(C)に示すように両側から噛み合わせて後述するように回転軸8に固定する。
永久磁石9の極性を、同図(B)に示すようにして第1の回転子磁極10Aと第2の回転子磁極11Aとを結合すると、夫々の極歯10Aaと11Aaには同図(C)に示すように磁気極性が現れる。
上述のように構成した第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABとを同図(A)に示すように非磁性体12を挟んで回転軸8に固定する。
第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABの外径と厚さ、及び非磁性体12の厚さを適切に形成することによって、第1の単位回転子RAAのN、S2種類の磁性を備えた爪状極歯は固定子SAの第1の固定子部SA1の極歯3Aaとの間に所定の間隙を設けて正しく対向し、第2の単位回転子RABのN、S2種類の磁性を備えた爪状極歯は固定子SAの第2の固定子部SA2の極歯3Aaとの間に所定の間隙を設けて正しく対向する。
即ち、上述のように構成できれば、前述したように第1の固定子部SA1と第2の固定子部SA2の軸方向の厚さは必ずしも等しくする必要はない。
上述した第1の回転子磁極10Aと第2の回転子磁極11Aの永久磁石9に対する装着、第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABの回転軸8に対する装着等は、夫々の爪状極歯に所望される磁極特性が適切に生じるようにすることができれば、回転軸8の磁気特性等とも対応させて上述以外の適切な手段で実行すれば良い。例えば、非磁性体12は物質ではなく、適切に空間を設けるようにして回転軸8に固定するようにしても良い。
また、磁性体の回転軸を使用した場合は、例えば回転軸8に対して第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABを円筒状の非磁性体を介して接着等の手段で装着するようにしても良い。
【0024】
図5(C)には、上述のように構成した各単位回転子の爪状極歯を示している。同図に示すNは、各単位回転子に形成した第1の回転子磁極10Aの爪状極歯10Aaに永久磁石9によって現れた極性であるN極を、またSは、各単位回転子に形成した第2の回転子磁極11Aの爪状極歯11Aaに永久磁石9によって現れた極性であるS極を夫々示している。
即ち、同図(D)に示すように、第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABに夫々に形成された同極間のピッチを、例えばN極間のピッチをτRAとすると、第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABに夫々に形成されたN極とS極間の間隔角度は(τRA)/2になる。
また、第1の単位回転子RAAと第2の単位回転子RABとは同極同士の極に対して1/4ピッチ偏位させて構成させるので、第1の単位回転子RAAに形成されたN極と第2の単位回転子RABに形成されたN極間の間隔角度は(τRA)/4になる。
同図(B)には永久磁石9を図に示す上側をN極に、下側をS極にして結合するように説明したが、N極とS極は上下逆にして構成しても良く、その場合は、同図(C)と同図(D)に示した各爪状極歯に現れる磁気磁性がN、S逆になることは当然である。
【0025】
上述した各回転子磁極は所定厚みの磁性鉄板をプレスにより打ち抜き折り曲げて加工成形しても良いが、回転軸に結合する回転軸に直角方向に形成された円盤と、この円盤の先端部で直角方向、即ち、回転軸に平行に形成された爪状極歯が結合された形状に所定特性の磁性体で成形する等の他の手段によって製作するようにしても良い。
各回転子磁極に形成する爪状極歯の数をZとすると、各回転子磁極の同極の爪状極歯間のピッチτRAは(6)式によって示される。
τRA=360°/Z・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
【0026】
上述した固定子の極歯と回転子の爪状極歯との相互位置関係を図6によって説明する。
即ち、同図(A)は固定子の極歯の形成ピッチτSAと回転子の爪状極歯の同極間のピッチτRAとの関係が下記(7)式によって示される条件の場合を、同図(B)は固定子の極歯の形成ピッチτSAと回転子の爪状極歯の同極間のピッチτRAとの関係が下記(8)式によって示される条件の場合を、また同図(C)は固定子の極歯の形成ピッチτSAと回転子の爪状極歯の同極間のピッチτRAとの関係が(9)式によって示される条件の場合を夫々示している。
τRA=τSA・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
0.75τRA≦τSA<τRA・・・・・・・・・・・・(8)
τRA<τSA≦1.25τRA・・・・・・・・・・・・(9)
図6の各図において、θAは固定子の磁極間のピッチ、3Ab1は固定子SAを形成する磁極部3A1、3A3、3A5の内の所定の1つの極歯存在部で3Ac1は極歯非存在部、3Ab2は上記の磁極部に隣接する磁極部3A2、3A4、3A6の内の所定の1つの極歯存在部で3Ac2は極歯非存在部を夫々示している。
また、RAA1、RAA2、RAA3は夫々第1の単位回転子で、Nは爪状極歯のN極、Sは爪状極歯のS極を示し、RAB1、RAB2、RAB3は夫々第2の単位回転子で、Nは爪状極歯のN極、Sは爪状極歯のS極を示している。
【0027】
同図(A)において、τSAは固定子の極歯のピッチを示し、τRA1は回転子の爪状極歯の同一極間のピッチを示している。
また、αA1は固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度を示している。
従って、本実施の形態に示す6相6極モータの固定子の磁極のピッチθAは360°/6であり、(2)式で示したように下記(10)式で示される条件の場合、間隔角度αA1は(τRA1)/12になる。
ZA1=3n±1・・・・・・・・・・・・・・・・・(10)
但し、ZA1は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0028】
また、同図(B)においては、固定子は同図(A)と同一条件なのでθAは固定子の磁極のピッチ、τSAは固定子の極歯のピッチを夫々示し、τRA2は回転子の爪状極歯の同一極間のピッチを示している。
また、αA2は固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度を示している。
従って、本実施の形態に示す6相6極モータの固定子の磁極のピッチθAは、360°/6であり、(2)式で示したように下記(11)式で示される条件の場合、αA2は(τRA2)/12になる。
ZA2=3n±1・・・・・・・・・・・・・・・・・(11)
但し、ZA2は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0029】
また、同図(C)においては、固定子は同図(A)と同一条件なのでθAは固定子の磁極のピッチ、τSAは固定子の極歯のピッチを夫々示し、τRA3は回転子の爪状極歯の同一極間のピッチを示している。
また、αA3は固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度を示している。
従って、本実施の形態に示す6相6極モータの固定子の磁極のピッチθAは、360°/6であり、(2)式で示したように下記(12)式で示される条件の場合、αA3は(τRA3)/12になる。
ZA3=3n±1・・・・・・・・・・・・・・・・・(12)
但し、ZA3は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0030】
図7は、本実施の形態のモータにおいて、上述したnを1から変化させた条件における各回転子の爪状極歯の数(Zで示す)と、このモータのステップ角との関係を示すものである。
【0031】
図8は、本実施の形態におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示している。
同図において、A、A′は巻線4A1の引出線、D、D′は巻線4A2の引出線、以下同じくB、B′は巻線4A3の、E、E′は巻線4A4の、C、C′は巻線4A5の、F、F′は巻線4A6の各引出線であって、これらの各端子に駆動用のパルス出力回路が接続される。
【0032】
次に、上述した構成のモータの駆動動作を図9、図10によって説明する。
図9はバイポーラ駆動における1相励磁の場合の励磁シーケンスを示し、図示したステップに従ってモータの駆動が実行される。
同図において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ15まで示し、ステップ16以降の図示は省略している。
縦方向には前述した各引出線を順次記し、各引出線を記す横軸には、各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に記す四辺形は、例えば引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、横線の下側に示す四辺形は、逆に引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
即ち、図9に示すように各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したステップ角ずつ回転する。
【0033】
図10は上述した実施の形態に基くモータの前述した(7)式に記した条件である固定子の極歯のピッチτSAと回転子の爪状極歯の同一極間のピッチτRAが等しい場合の固定子と回転子との位置関係を展開して示していて、横方向には、左から右に向けて順次固定子の磁極部3A1、3A2、3A3、3A4、3A5、3A6及び3A1を再度示している。
縦方向には、図9によって前述したステップに対応してステップ1からステップ4までを記し、ステップ5以降は図示を省略している。
各ステップには、前述した図6を固定子の磁極全体図に拡大して示していて、上段から、上述した各磁極の片半分部である第1の固定子部SA1、第1の単位回転子RAA1、上述した各磁極の他の片半分部である第2の固定子部SA2、第2の単位回転子RAB1の順で記している。従って、上段に記した第1の固定子部SA1は左から各磁極の極歯の存在部と極歯を欠いた部分が3Ab1、3Ac2、3Ab3、3Ac4、3Ab5、3Ac6、3Ab1の順で並んで示される。また、その下段に記した第2の固定子部SA2は左から各磁極の極歯を欠いた部分と極歯の存在部が3Ac1、3Ab2、3Ac3、3Ab4、3Ac5、3Ab6、3Ac1の順で並んで示される。
また、各単位回転子に記したNは、N極が現れた爪状極歯を、またSは、S極が現れた爪状極歯を夫々示していて、モータの回転状況を示すために、第1の単位回転子の所定の極歯Nを丸で囲んで示している。
また、固定子の磁極に記したNは、夫々の磁極に巻き回した巻線に励磁電流を流すことによってN極に着磁された爪状極歯、Sは、同様に巻線に励磁電流を流すことによってS極に着磁された爪状極歯を夫々示していて、各爪状極歯の間隙は図示を省略している。
【0034】
今、図10に示したように、ステップ1において、引出線Aから引出線A′に向けて電流を流すと、固定子の磁極3A1がS極に励磁される。従って、極歯の存在する磁極の片側3Ab1に対向する第1の単位回転子RAA1の爪状極歯のN極が吸引される。
ステップ2において、引出線Dから引出線D′に向けて電流を流すと、固定子の磁極3A2がS極に励磁される。従って、極歯の存在する磁極の片側3Ab2に対向する第2の単位回転子RAB1の爪状極歯のN極が吸引される。
従って、ステップ1からステップ2に進むことによって、回転子は段落番号【0027】において示した間隔角度αA1回転する。即ち、ステップ2の磁極3A1(極歯の存在する磁極の片側3Ab1)部に示すように、ステップ角(τRA1)/12回転する。
【0035】
ステップ3において、引出線B′から引出線Bに向けて電流を流すと、固定子の磁極3A3がS極に励磁される。従って、極歯の存在する磁極の片側3Ab3に対向する第1の単位回転子RAA1の爪状極歯のS極が吸引される。
第1の単位回転子の爪状極歯と第2の単位回転子の爪状極歯の同一極は1/4ピッチ偏位させているので、ステップ2からステップ3に進むことによって、回
転子は、段落番号【0027】で示した間隔角度αA1回転する。即ち、ステップ3の磁極3A1(極歯の存在する磁極の片側3Ab1)部に示すように、ステップ1からステップ角の2倍角度2×(τRA1)/12回転する。
【0036】
ステップ4において、引出線E′から引出線Eに向けて電流を流すと、固定子の磁極3A4がN極に励磁される。従って、極歯の存在する磁極の片側3Ab4に対向する第2の単位回転子RAB1の爪状極歯のS極が吸引される。
従って、ステップ3からステップ4に進むことによって、回転子は、段落番号【0027】で示した間隔角度αA1回転する。即ち、ステップ4の磁極3A1(極歯の存在する磁極の片側3Ab1)部に示すように、ステップ1からステップ角の3倍角度3×(τRA1)/12回転する。
【0037】
以下、図9に示した順序を繰り返して上述と同様に励磁用巻線に励磁電流を供給することによって、モータはステップ角である(τRA1)/12ずつ回転を継続する。(8)式、(9)式の条件に対しても上記と同様に説明ができる。
【0038】
実施の形態2:
次に、本発明を6相12極インナロータ形永久磁石形ステッピングモータに適用した実施の形態2を図11乃至図17によって実施の形態1を参照して説明する。
従って、実施の形態1で6相6極モータについて説明した内容を6相12極モータに転換し容易に理解できる事項である構造や動作については、その図示説明は省略する。また、実施の形態1で示した要素機能と同等の要素機能は同一の符号を使用し、相当する要素機能は符号の後半部を変えて記して詳細説明は省略する。
動作については、例えば、各巻線に対する駆動電流の印加による働き等は磁極を展開した図6等を参照し、磁極や極歯のピッチ等に対応させてステップ角の違いを理解すれば良い。
【0039】
図11は6相12極モータの縦断正面図、図12は図11のX−X′断面を示している。
図11、図12において、SBは固定子で磁極の回転軸方向の1/2、又は、ほぼ1/2の幅で各磁極交互に極歯が形成される。
固定子SBは環状のヨーク部2の内方向に12個の磁極3B1〜3B12を等しい角度間隔で求心状に形成していて、各磁極は交互に形成位置を交差させて少なくとも1以上の数の極歯3Baを形成している。
即ち、磁極3B1、3B3、3B5、3B7、3B9、3B11には同一側である第1の固定子部SB1に極歯3Baを設け、磁極3B2、3B4、3B6、3B8、3B10、3B12には上記の磁極とは反対側である第2の固定子部SB2に極歯3Baを設けている。
上記各磁極には、巻線4B1乃至4B12(図11では各巻線を代表して符号4Bで記している)が巻き回されている。
各磁極に設けた符号末尾の番号は実施の形態1同様、固定子のどの磁極を基準にして定めるようにしても良い。
【0040】
図13に固定子SBの磁極部の構造を示している。即ち、同図において、同図(A)は上述した奇数番目の磁極3B1、3B3等の内の1つ磁極3B1を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示し、同図(B)には上述した偶数番目の磁極3B2、3B4等の内の1つ磁極3B2を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示している。
即ち、同図(A)において、ヨーク部2に形成した奇数番目の磁極3A1の1/2である3Bb部には極歯3Baを設け、磁極3B1の他の1/2である3Bc部には極歯3Baを欠いている。同図(B)に示すように偶数番目の磁極3B2においては、同図(A)とは逆側のヨーク部2に形成した磁極3B2の1/2である3Bb部には極歯3Baを設け、磁極3B2の他の1/2である3Bc部には極歯3Baを欠いている。
【0041】
次に、図14を参照して固定子SBを構成する固定子鉄心の製作方法を説明する。
即ち、同図に示すように、固定子鉄板PBは環状のヨーク部2の内部に、先端部に極歯PBaを設けた同一形状の磁極部PB1と先端部に極歯を設けない同一形状の磁極部PB2とを交互に各6個、総計で12個求心状に形成し、相互に隣接する磁極部PB1と磁極部PB2との間隔角度θBは360°/12 即ち30°に形成した上、固定子鉄板PBを所定枚数極歯PBaが重なるように積層して固定子鉄心の片側半分、即ち、第1の固定子部SB1を構成する鉄心を形成する。
次に、上記の構成体に対して磁極部のピッチ、即ち30°回転し偏位させて、上述と同一形状に形成した固定子鉄板PBを上記と同枚数、又は、ほぼ同枚数、極歯PBaが重なるように積層して固定子鉄心の残り片側半分、即ち、第2の固定子部SB2を構成する鉄心を形成すれば良い。
【0042】
回転軸8には、実施の形態1と同様に第1の単位回転子RBAと第2の単位回転子RBBを結合している。
第1の単位回転子RBA及び第2の単位回転子RBBは同一構造であって各回転子磁極に形成した爪状極歯10Ba、11Baの数以外の構造は実施の形態1によって示した第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABとは類似構造をなしているので、その説明は省略する。
【0043】
上記構造の固定子と回転子の各磁極部の構成は、実施の形態1に示した(7)式、(8)式、(9)式に対して本実施の形態を対応させて、符号τRAをτRBに、符号τSAをτSBに変換させた下記(13)式、(14)式、(15)式夫々の条件において、図6を参照して固定子の磁極に形成する極歯と回転子磁極に形成する爪状極歯との関係が示される。
τRB=τSB・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(13)
0.75τRB≦τSB<τRB・・・・・・・・・・・(14)
τRB<τSB≦1.25τRB・・・・・・・・・・・(15)
【0044】
即ち、固定子の極歯と回転子の爪状極歯との相互位置関係は、実施の形態1について図6によって説明した状況と同一なので図示は省略するが、図6に示した各符号を、固定子の所定の磁極の磁極存在部3Ab1、3Ab2を夫々3Bb1、3Bb2に、極歯非存在部3Ac1、3Ac2を夫々3Bc1、3Bc2に、固定子の磁極のピッチθA=360°/6をθB=360°/12に、固定子の極歯のピッチτSAをτSBに、第1の単位回転子RAA1、RAA2、RAA3を夫々RBA1、RBA2、RBA3に、第2の単位回転子RAB1、RAB2、RAB3を夫々RBB1、RBB2、RBB3に、回転子の爪状極歯のピッチτRA1、τRA2、τRA3を夫々、τRB1、τRB2、τRB3に、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αA1、αA2、αA3をαB1、αB2、αB3に夫々置換することによってそのまま利用できる。
【0045】
本実施の形態に示す6相12極モータにおいては、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(13)式で示される場合、回転子の永久磁石の爪状極歯の数を(3)式で示したように下記(16)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αB1は(τRB1)/12になる。
ZB1=6n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(16)
但し、ZB1は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0046】
また、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(14)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(3)式で示したように下記(17)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αB2は(τRB2)/12になる。
ZB2=6n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(17)
但し、ZB2は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0047】
また、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(15)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(3)式で示したように下記(18)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αB3は(τRB3)/12になる。
ZB3=6n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(18)
但し、ZB3は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0048】
図15に、本実施の形態のモータにおいて、上述したnを1から変化させた条件における各回転子磁極の爪状極歯の数(Zで記す)と、このモータのステップ角との関係を示している。
【0049】
図16は、本実施の形態におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示している。図16において、A、A′は巻線4B1と巻線4B7とを直列結線した回路の引出線、D、D′は巻線4B2と巻線4B8とを直列結線した回路の引出線、以下同様にB、B′は巻線4B3と巻線4B9とを、E、E′は巻線4B4と巻線4B10とを、C、C′は巻線4B5と巻線4B11とを、F、F′は巻線4B6と巻線4B12とを直列結線した回路の各引出線であって、これらの各端子に駆動用のパルス出力回路が接続される。
【0050】
本実施の形態におけるモータの駆動は、図17に示したステップに従って実行される。
図17において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ15まで示し、ステップ16以降の図示は省略している。
縦方向には前述した各引出線を順次示し、各引出線を示す横軸には、各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に記す四辺形は、例えば、引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、横線の下側に示す四辺形は、逆に引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
従って、図17に示すように各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したステップ角ずつ歩進し、回転する。
従って、その動作は実施の形態1の説明で図10に示した展開図に上述した段
落番号【0038】乃至【0048】の説明を参照して固定子の磁極を6極分追加し、回転子の爪状極歯の位置を固定子の磁極の位置に対応させて記載することによって同様に示され、図17に示したフローに従って各引出線に順次パルス電流を供給するごとにステップ角である(τRB1)/12ずつ歩進し回転を継続し、12パルスで極歯1ピッチ分回転する。
【0051】
実施の形態3:
次に、本発明を10相10極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータに適用した実施の形態3を図18乃至図24によって、前述した実施の形態1、実施の形態2を参照して説明する。
従って、実施の形態1、実施の形態2で6相6極モータ又は6相12極モータについて説明した内容を10相10極モータに転換し容易に理解できる事項である構造や動作については、その図示説明は省略する。また、実施の形態1で示した要素機能と同等の要素機能は同一の符号を使用し、相当する要素機能は符号の後半部を変えて記して詳細説明は省略する。
動作については、例えば、各巻線に対する駆動電流の印加による働き等は磁極を展開した図6等を参照し、磁極や極歯のピッチ等に対応させてステップ角の違いを理解すれば良い。
【0052】
図18は10相10極モータの縦断正面図、図19は図18のX−X′断面を示している。
図18、図19において、SCは固定子で、後述するように磁極の回転軸方向の1/2、又は、ほぼ1/2の幅で各磁極交互に極歯が形成される。
固定子SCはヨーク部2の内方向に10個の磁極3C1乃至3C10が等しい角度間隔で求心状に形成して、各磁極は交互に極歯の形成位置を交差させている。 即ち、磁極3C1、3C3、3C5、3C7、3C9には同一側である第1の固定子部SC1に極歯3Caを設け、磁極3C2、3C4、3C6、3C8、3C10には上記の磁極とは反対側である第2の固定子部SC2に極歯3Caを設けている。
上記各磁極には実施の形態1等と同様、巻線4C1乃至4C10(図18では各巻線を代表して符号4Cで記している)が巻き回されている。上述した各磁極に設けた符号末尾の番号は実施の形態1等に説明したのと同様、固定子のどの磁極を基準に定めるようにしても良い。
【0053】
図20に固定子SCの磁極部の構造を示している。即ち、同図において、(A)には前述した奇数番目の磁極3C1、3C3等の内の1つの磁極3C1を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示し、(B)には偶数番目の磁極3C2、3C4等の内の1つ、例えば磁極3C2を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示している。
即ち、同図(A)において、ヨーク部2に形成した磁極3C1の1/2である3Cb部には極歯3Caを設け、磁極3C1の他の1/2である3Cc部には極歯3Caを欠いている。同図(B)に示すように偶数番目の磁極3C2においては同図(A)とは逆側のヨーク部2に形成した磁極3C2の1/2である3Cb部には極歯3Caを設け、磁極3C2の他の1/2である3Cc部には極歯3Caを欠いている。
【0054】
次に、図21を参照して固定子SCを構成する固定子鉄心の製作方法の例を説明する。
即ち、同図に示すように、固定子鉄板PCは環状のヨーク部2の内部に先端部に極歯PCaを設けた同一形状の磁極部PC1と先端部に極歯を設けない同一形状の磁極部PC2とを交互に各5個、総計で10個を求心状に形成し、相互に隣接する磁極部PC1と磁極部PC2との間隔角度θCは360°/10 即ち36°に形成した上、固定子鉄板PCを所定枚数極歯が重なるように積層して固定子鉄心の片側半分、即ち、第1の固定子部SC1を構成する鉄心を形成する。 次に、上記の構成体に対して磁極部のピッチ、即ち36°回転し偏位させて、上述と同一形状に形成した固定子鉄板PCを上記と同枚数、又は、ほぼ同枚数、極歯PCaが重なるように積層して固定子鉄心の残り片側半分、即ち第2の固定子部SC2を構成する鉄心を形成すれば良い。
【0055】
回転軸8には、実施の形態1、実施の形態2同様、第1の単位回転子RCAと第2の単位回転子RCBが結合されている。
第1の単位回転子RCA及び第2の単位回転子RCBは同一構造であって、各回転子磁極に形成した爪状極歯10Ca、11Caの数以外の構造は、実施の形態1によって示した第1の単位回転子RAA及び第2の単位回転子RABとは類似構造をなしているので、その説明は省略する。
【0056】
上記構造の固定子と回転子の各磁性部の構成は、実施の形態1に示した(7)式、(8)式、(9)式に対して本実施の形態を対応させて、符号τRAをτRCに、符号τSAをτSCに変換させた下記(19)式、(20)式、(21)式夫々の条件において、図6を参照して固定子の磁極に形成する極歯と回転子に形成する爪状極歯の関係が示される。
τRC=τSC・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(19)
0.75τRC≦τSC<τRC・・・・・・・・・・・(20)
τRC<τSC≦1.25τRC・・・・・・・・・・・(21)
【0057】
即ち、固定子の各極歯と回転子の各爪状極歯との相互位置関係は、実施の形態1で説明した状況(図6)と同一なので図示は省略するが、図6に示した各符号を、固定子の所定の磁極の極歯存在部3Ab1、3Ab2を夫々3Cb1、3Cb2に、極歯非存在部3Ac1、3Ac2を夫々3Cc1、3Cc2に、固定子の磁極のピッチθA=360°/6をθC=360°/10に、固定子の極歯のピッチτSAをτSCに、第1の単位回転子RAA1、RAA2、RAA3を夫々RCA1、RCA2、RCA3に、第2の単位回転子RAB1、RAB2、RAB3を夫々RCB1、RCB2、RCB3に、回転子の爪状極歯のピッチτRA1、τRA2、τRA3を夫々、τRC1、τRC2、τRC3に、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αA1、αA2、αA3をαC1、αC2、αC3に、夫々置換することによって、そのまま利用できる。
【0058】
本実施の形態に示す10相10極モータにおいては、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(19)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(4)式で示したように下記(22)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αC1は(τRC1)/20になる。
ZC1=5n±2・・・・・・・・・・・・・・・・・(22)
但し、ZC1は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0059】
また、固定子の極歯と回転子磁極の爪状極歯のピッチの関係が(20)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(4)式で示したように、下記(23)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αC2は(τRC2)/20になる。
ZC2=5n±2・・・・・・・・・・・・・・・・・(23)
但し、ZC2は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0060】
また、固定子の極歯と回転子磁極の爪状極歯の回転子のピッチの関係が(21)式で示される場合、各回転子の爪状極歯の数を(4)式で示したように下記(24)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αC3は(τRC3)/20になる。
ZC3=5n±2・・・・・・・・・・・・・・・・・(24)
但し、ZC3は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0061】
図22は、本実施の形態のモータにおいて、nを1から変化させた条件における各回転子磁極の爪状極歯の歯数(Zと記す)と、このモータのステップ角との関係を示すものである。
【0062】
図23は、本実施の形態におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示している。 同図おいて、A、A′は巻線4C1の引出線、F、F′は巻線4C2の引出線、以下同様にB、B′は巻線4C3の、G、G′は巻線4C4の、C、C′は巻線4C5の、H、H′は巻線4C6の、D、D′は巻線4C7の、I、I′は巻線4C8の、E、E′は巻線4C9の、J、J′は巻線4C10の引出線であって、これらの各端子に駆動用のパルス出力回路が接続される。
【0063】
図24は本実施の形態のモータのバイポーラ駆動における1相励磁の場合の励磁シーケンスを示す。
同図において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ22まで示し、ステップ23以降の図示を省略している。
縦方向には前述した各引出線を順次示し、各引出線を示す横軸には、各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に記す四辺形は、例えば引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、横線の下側に記す四辺形は、引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
従って、同図に示すように各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したステップ角ずつ歩進し、回転する。
即ち、その動作は実施の形態1の説明で図10に示した展開図を、上述した段
落番号【0051】乃至【0062】の説明を参照して固定子の磁極を10極に変換し、回転子の爪状極歯の位置を固定子の磁極の位置に対応させて記載することによって同様に示され、図24に示したフローに従って、各引出線に順次パルス電流を供給するごとにステップ角である(τRC1)/20ずつ回転を継続し、20パルスで爪状極歯1ピッチ分回転する。
【0064】
実施の形態4:
次に、本発明を10相20極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータに適用した実施の形態4を図25乃至図31によって、実施の形態1乃至3を参照して説明する。
従って、実施の形態1(6相6極)、実施の形態3(10相10極)の各モータについて説明した内容を本実施の形態の10相20極モータに転換して容易に理解できる事項である構造や動作については、その図示説明は省略する。また、実施の形態1で示した要素機能と同等の要素機能は同一の符号、相当する要素機能は符号の後半部を変えて記し、詳細説明は省略する。
動作については、例えば各巻線に対する駆動電流の印加による働き等は磁極を展開した図6等を参照し、磁極や極歯のピッチ等に対応させてステップ角の違いを理解すれば良い。
【0065】
図25は本実施の形態の10相20極モータの縦断正面図、図26は図25のX−X′断面を示している。
図25、図26において、SDで、後述するように磁極の回転軸方向の1/2、又は、ほぼ1/2の幅で各磁極交互に極歯が形成されている。
固定子SDはヨーク部2の内方向に20個の磁極3D1乃至3D20が等しい角度間隔で求心状に形成されていて、各磁極は交互に極歯の形成位置を交差させている。
即ち、磁極3D1、3D3、3D5、3D7、3D9、3D11、3D13、3D15、3D17、3D19には同一側である第1の固定子部SD1に極歯3Daを設け、磁極3D2、3D4、3D6、3D8、3D10、3D12、3D14、3D16、3D18、3D20には上記の磁極とは反対側である第2の固定子部SD2に極歯3Daを設けている。
上記の各磁極には実施の形態1等と同様、巻線4D1乃至4D20(図25では各巻線を代表して符号4Dで記している)が巻き回されている。
上述した各磁極に設けた符号末尾の番号は実施の形態1等に説明したのと同様、固定子のどの磁極を基準に定めるようにしても良い。
【0066】
図27に固定子SDの磁極部の構造を示している。即ち、同図(A)には上述した奇数番目の磁極3D1、3D3等の内の1つの、例えば磁極3D1を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示し、同図(B)には前述した偶数番目の磁極3D2、3D4等の内の1つ、例えば磁極3D2を構成する固定子鉄心の一部の斜視図を示している。
即ち、同図(A)において、ヨーク部2に形成した磁極3D1の1/2である3Db部には極歯3Daを設け、磁極3D1の他の1/2である3Dc部には極歯3Daを欠いている。同図(B)に示すように偶数番目の磁極3D2においては、同図(A)とは逆側のヨーク部2に形成した磁極3D2の1/2である3Db部には極歯3Daを設け、磁極3D2の他の1/2である3Dc部には極歯3Daを欠いている。
【0067】
次に、図28を参照して固定子SDを構成する固定子鉄心の製作方法を説明する。
同図に示すように、固定子鉄板PDは環状のヨーク部2の内部に、先端部に極歯PDaを設けた同一形状の磁極部PD1と先端部に極歯を設けない同一形状の磁極部PD2とを交互に各10個、総計で20個求心状に形成し、相互に隣接する磁極部PD1と磁極部PD2との間隔角度θDは360°/20 即ち18°に形成した上、固定子鉄板PDを所定枚数極歯PDaが重なるように積層して固定子鉄心の片側半分、即ち、第1の固定子部SD1を構成する鉄心を形成する。次に、上記の構成体に対して磁極部のピッチ、即ち18°回転し偏位させて、上述と同一形状に形成した固定子鉄板PDを上記と同枚数、又は、ほぼ同枚数、極歯PDaが重なるように積層して固定子鉄心の残り片側半分、即ち、第2の固定子部SD2を構成する鉄心を形成すれば良い。
【0068】
回転軸8は、他の実施の形態と同様に、第1の単位回転子RDAと第2の単位回転子RDBが結合されている。
第1の単位回転子RDA及び第2の単位回転子RDBは同一構造で、各回転子磁極に形成した爪状極歯10Da、11Daの数以外の構造は実施の形態1と同様に構成すれば良い。
【0069】
上記構造の固定子と回転子の各磁性部の構成は、下記(25)式、(26)式、(27)式夫々の条件において、図6を参照して固定子の磁極に形成する極歯と回転子に形成する爪状極歯との関係が示される。
τRD=τSD・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(25)
0.75τRD≦τSD<τRD・・・・・・・・・・・(26)
τRD<τSD≦1.25τRD・・・・・・・・・・・(27)
【0070】
即ち、固定子と回転子との各極歯の相互位置関係は、実施の形態1について説明した状況(図6)と同一なので図示は省略するが、図6に示した各符号を、固定子の所定の磁極の極歯存在部3Ab1、3Ab2を夫々3Db1、3Db2に、極歯非存在部3Ac1、3Ac2を夫々3Dc1、3Dc2に、固定子の磁極のピッチθA=360°/6をθD=360°/20に、固定子の極歯のピッチτSAをτSDに、第1の単位回転子RAA1、RAA2、RAA3を夫々RDA1、RDA2、RDA3に、第2の単位回転子RAB1、RAB2、RAB3を夫々RDB1、RDB2、RDB3に、各回転子磁極の爪状極歯のピッチτRA1、τRA2、τRA3を夫々、τRD1、τRD2、τRD3に、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αA1、αA2、αA3をαD1、αD2、αD3に、夫々置換することによって、そのまま利用できる。
【0071】
本実施の形態に示す10相20極モータにおいては、固定子の極歯と回転子磁極の爪状極歯のピッチの関係が(25)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(4)式で示したように下記(28)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αD1は(τRD1)/20になる。
ZD1=10n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(28)
但し、ZD1は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0072】
また、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(26)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(4)式で示したように、下記(29)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αD2は(τRD2)/20になる。
ZD2=10n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(29)
但し、ZD2は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0073】
また、固定子の極歯と回転子の爪状極歯のピッチの関係が(27)式で示される場合、各回転子磁極の爪状極歯の数を(4)式で示したように、下記(30)式で示される条件を満足させると、固定子の所定の磁極の極歯と回転子の爪状極歯の所定極、例えばN極の位置が一致した状態で、隣接する固定子の磁極における同一位置の極歯と回転子の爪状極歯の同一極、即ちN極との間隔角度αD3は(τRD3)/20になる。
ZD3=10n±4・・・・・・・・・・・・・・・・・(30)
但し、ZD3は各回転子磁極の爪状極歯の数、nは1に等しいか1よりも大なる整数である。
【0074】
図29に、本実施の形態のモータにおいて、上述したnを1から変化させた条件における各回転子磁極の爪状極歯の歯数(Zと記す)と、このモータのステップ角との関係を示している。
【0075】
図30は、本実施の形態におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示している。同図において、A、A′は巻線4D1と巻線4D11とを直列結線した引出線、F、F′は巻線4D2と巻線4D12とを直列結線した引出線、以下同様にB、B′は巻線4D3と巻線4D13とを、G、G′は巻線4D4と巻線4D14とを、C、C′は巻線4D5と巻線4D15とを、H、H′は巻線4D6と巻線4D16とを、D、D′は巻線4D7と巻線4D17とを、I、I′は巻線4D8と巻線4D18とを、E、E′は巻線4D9と巻線4D19とを、J、J′は巻線4D10と巻線4D20とを直列結線した引出線であって、これらの各端子に駆動用のパルス出力回路が接続される。
【0076】
本実施の形態のモータの駆動は、図31に示す1相励磁の場合の励磁シーケンスのステップに従ってバイポーラ駆動される。
図31において、横軸には動作ステップの流れ(シーケンス)をステップ1からステップ22まで示し、ステップ23以降の図示を省略している。
縦方向には前述した各引出線を示し、各引出線を示す横軸には、各ステップに対応させてパルス電流を供給するタイミングを四辺形で示している。
同図に示す各四辺形において、各引出線を示す横線の上側に示す四辺形は、例えば、引出線Aから引出線A′へ電流を流すことを示し、横線の下側に記す四辺形は引出線A′から引出線Aへ電流を流すことを示している。
従って、図31に示すように各引出線に順次パルス電流を流すことによって、このモータは前述したステップ角ずつ歩進し回転する。
即ち、その動作は実施の形態1の説明で図10に示した展開図を、上述した段落番号64乃至75の説明を参照して固定子の磁極を20極に変換し、回転子の爪状極歯の位置を固定子の磁極の位置に対応させて記載することによって同様に示され、図31に示したフローに従って、各引出線に順次パルス電流を供給するごとにステップ角である(τRD1)/20ずつ回転を継続し、20パルスで爪状極歯1ピッチ分回転する。
【0077】
実施の形態5:
前述した実施の形態1においては、本発明の技術思想を夫々インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータに適用した例について説明したが、本発明の技術思想はアウタロータ形ハイブリッド形ステッピングモータにも適用できるので、この場合の実施の形態5を次に図32によって説明する。
図32は前述した実施の形態1乃至実施の形態4の説明に使用した図1、図11、図18、図25に対応しており、6極、10極、12極、20極等極数の違いに対しては、インナロータ形モータについての各実施の形態を参照すれば、その極数の違いに基づく構造と特性の違いを容易に理解できるので、相数と極数は限定しないでインナロータ形モータとの違いを主体にして、アウタロータ形モータの構造を説明して機能の説明は省略する。
即ち、相数や極数の異なった各種のアウタロータ形モータについては、後述する固定子と回転子との相互位置の違いに基づく構造の違いを考慮して前述したインナロータ形モータ各実施の形態を参照すれば良い。従って、本実施の形態の説明では実施の形態1乃至実施の形態4で示した固定子の磁極の数に基づく構造を説明する図2、図12、図19、図26等のX−X′断面図の図示説明等は省略する。
【0078】
図32において、固定子SKは円筒状に形成した保持材20の外周に沿って形成されている。固定子SKには等ピッチで、前述したインナロータ形モ−タに形成した磁極と類似形状の磁極21が放射状に、そのモータの極数だけの数が等間隔で成されている。
即ち、本実施の形態における磁極は、実施の形態1乃至実施の形態4で説明したインナロータ形のモータの磁極が円筒状の内面に求心状に形成されていたのに対して、同一構成の磁極が円筒状の外面に放射状に形成されている。
即ち、各磁極21は回転軸方向の1/2又は、ほぼ1/2の幅で一個おきの各磁極に少なくとも1以上の極歯21aを等ピッチで形成した第1の固定子部SK1と、この第1の固定子部SK1の極歯21aを形成した残りの1/2、又は、ほぼ1/2の幅で少なくとも1以上の極歯21aを形成した第1の固定子部SK1の磁極21aを形成した残りの磁極である第2の固定子部SK2によって構成されている。即ち、第1の固定子部SK1の磁極と第2の固定子部SK2の磁極とは交互に極歯の形成位置を交差させている。
各磁極21には励磁用巻線22が巻き回されている。
【0079】
上述した円筒状に形成した固定子SKの中心部に図示しない軸受で回転自在に回転軸23が支承されている。回転軸23の片方の端部近傍に固定した垂直保持材24には、例えば非磁性体で形成した円筒状保持材25が前述した固定子SKの表面を平行に覆うように形成されている。
円筒状保持材25の内面には、前述した第1の固定子部SK1に形成した極歯21aとの間に所定の間隙を設けて固定子の極歯の幅等に対応した所定幅の第1の単位回転子RKAが固定されている。また、前述した第2の固定子部SK2に形成した極歯21aとの間に所定の間隙を設けて固定子の極歯の幅等に対応した所定幅の第2の単位回転子RKBが固定されている。
第1の単位回転子RKAと第2の固定子部SK2とは前述したインナロータ形モータと同様夫々第1の回転子磁極27には、回転軸23の軸方向に着磁した永久磁石26を覆って永久磁石26の方向に直角に折り曲げた形状に第1の固定子部SK1に形成した極歯21aの形状とピッチに対応したピッチと形状の爪状極歯27aが設けられ、第2の回転子磁極28は第1の回転子磁極と同一形状に形成し、爪状極歯28aを第1の回転子磁極27に設けた爪状極歯27aとの間に反対側から噛み合わせるように第1の回転子磁極と共に、永久磁石26に固定されている。第1の回転子磁極27に設けた爪状極歯と、第2の回転子磁極28に設けた爪状極歯28aとの間には所定間隙を設けるように、夫々の爪状極歯が設定されている。
【0080】
第1の単位回転子RKAに形成した永久磁石によって生じる所定磁極極性の爪状極歯と、第2の単位回転子RKBに形成した永久磁石によって生じる所定磁極極性の爪状極歯とは、前述したインナロータ形モータと同様、夫々の同一極間のピッチの1/4回転し偏位させている。
従って、インナロータ形モータと同様、固定子の磁極に巻き回した巻線に順次電流を供給することによって、インナロータ形モータと同様、その磁極の構成等の条件に従った特性で回転する。
即ち、実施の形態5に示す構造においても、実施の形態1乃至実施の形態4夫々に示したように、用途と必要特性に対応させ、磁極と相数を設定して作動させることができる。
なお、この本実施の形態の固定子は、実施の形態1乃至実施の形態4で説明したインナロータ形のモータの固定子と類似同様の製法によって製作できる。
【0081】
上述の各実施の形態は本発明の技術思想を実現する一例を示したものであって、そのモータの用途と用途に対応した回転速度や所望されるトルク、状況に適した電源条件等に対応して適切に応用改変しても良いことは当然である。
例えば、固定子の鉄心は前述したように磁性鉄板を積層して構成する代わりに、所定の形状に圧粉鉄心を焼結して構成できる等の各種の変形が考えられる。
【0082】
【発明の効果】
本発明に基づくインナロータ形又はアウタロータ形ハイブリッド形ステッピングモータは上述のように構成し作動するようにしたので、次のような優れた効果を有する。
(1)従来のインナロータ形又はアウタロータ形いずれの多相形ハイブリッド形ステッピングモータを得るにも相数に対応する多数の固定子磁極が必要であったが、従来よりも大幅に減少させた少数の磁極で実現できる。
(2)例えば、6相ステッピングモータには24個の固定子磁極が必要であったが、6乃至12個の固定子磁極で実現できる。
(3)10相ステッピングモータには40個の固定子磁極が必要であったが、本発明のものでは10乃至20個の固定子磁極で実現できる。
(4)固定子磁極の数を減らすことができるので、多相ステッピングモータでありながら、その小型化が可能である。
(5)固定子磁極の数を減らすことができるので、巻線の数が減ると同時に、巻線の加工費が大幅に削減できる。
(6)従来、製作困難であった多相ステッピングモータが安い価格で実現できる。(7)多相ステッピングモータの実現によって、回転子の極歯のピッチを小さくして多数設けなくても、従来市販されている2相乃至5相ステッピングンモータよりも微少なステップ角が得られる。
(8)微少なステップ角が得られるので、ステッピングモータの分解能が向上できる。
(9)回転子の円周上に交互に多数のN極とS極が構成できるので、多相モータでありながら偏平構造にすることができる。
(10)分解能の向上によって精度の良い回転制御が実現され、従来はサーボモータに頼る必要のあった回転システムに対してステッピングモータの適用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の6相6極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図である。
【図2】図1に示す6相6極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータのX−X′断面図である。
【図3】本実施の形態1における固定子の磁極先端部形状を説明する斜視図で、同図(A)には所定の磁極部の斜視図、同図(B)は同図(A)に示す磁極部に隣接する磁極部の斜視図である。
【図4】本実施の形態1における固定子を形成する磁性材板(固定子鉄板)の形状を説明す平面図である。
【図5】実施の形態1における回転子の構造を説明する斜視図で、同図(A)は回転子の組み立て図、同図(B)は単位回転子の分解図、同図(C)は各単位回転子の爪状極歯部の拡大説明図、同図(D)は永久磁石によって各回転子磁極の爪状極歯に生じる磁気極性の関係を示している回転子表面の展開概要図である。
【図6】実施の形態1における固定子の極歯と回転子の爪状極歯に生じる磁気極性との位置関係を説明する展開説明図で、同図(A)は固定子の極歯のピッチ(間隔角度)と回転子の爪状極歯のピッチ(間隔角度)が等しい場合における固定子の極歯と回転子の爪状極歯との位置関係を説明する固定子と回転子の爪状極歯部の展開図、同図(B)は固定子の極歯のピッチ(間隔角度)が回転子の爪状極歯のピッチ(間隔角度)よりも小さく、かつ、回転子の爪状極歯のピッチ(間隔角度)の0.75倍に等しいか、より大なる場合における固定子の極歯と回転子の爪状極歯との位置関係を説明する固定子と回転子の爪状極歯部の展開図、同図(C)は固定子の極歯のピッチ(間隔角度)が回転子の極歯のピッチ(間隔角度)よりも大きく、かつ、回転子の爪状極歯のピッチ(間隔角度)の1.25倍に等しいか、より小さい場合における固定子の極歯と回転子の極歯との位置関係を説明する固定子と回転子の爪状極歯部の展開図である。
【図7】実施の形態1のステッピングモータにおける回転子磁極の爪状極歯の数とステップ角との関係を示す図表である。
【図8】実施の形態1におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示す結線図である。
【図9】実施の形態1のステッピングモータのバイポーラ駆動をするため1相励磁する場合の励磁シーケンス図である。
【図10】実施の形態1の固定子の極歯のピッチ(間隔角度)と回転子の爪状極歯のピッチ(間隔角度)が等しい場合において、図9に示す励磁シーケンスによる実行時における固定子の極歯と回転子の爪状極歯との位置関係を説明する、固定子の磁極と回転子の爪状極歯部の展開説明図である。
【図11】本発明の実施の形態2の6相12極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図である。
【図12】図11に示す6相12極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータのX−X′断面図である。
【図13】実施の形態2における固定子の磁極先端部形状を説明する斜視図で、図同図(A)には所定の磁極部の斜視図、同図(B)は同図(A)に示す磁極部に隣接する磁極部の斜視図である。
【図14】実施の形態2における固定子を形成する磁性材板(固定子鉄板)の形状を説明する平面図である。
【図15】実施の形態2のステッピングモータにおける各回転子磁極の爪状極歯の数とステップ角との関係を示す図表である。
【図16】実施の形態2におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示す結線図である。
【図17】実施の形態2のステッピングモータのバイポーラ駆動するため1相励磁する場合の励磁シーケンス図である。
【図18】本発明の実施の形態3の10相10極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図である。
【図19】図18に示す10相10極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータのX−X′断面図である。
【図20】実施の形態3における固定子の磁極先端部形状を説明する斜視図で、同図(A)には所定の磁極部の斜視図、同図(B)は同図(A)に示す磁極部に隣接する磁極部の斜視図である。
【図21】実施の形態3における固定子を形成する磁性材板(固定子鉄板)の形状を説明する平面図である。
【図22】実施の形態3のステッピングモータにおける各回転子磁極の爪状極歯の数とステップ角との関係を示す図表である。
【図23】実施の形態3におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示す結線図である。
【図24】実施の形態3のステッピングモータのバイポーラ駆動するため1相励磁する場合の励磁シーケンス図である。
【図25】本発明の実施の形態4の10相20極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図である。
【図26】図25に示す10相20極インナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータのX−X′断面図である。
【図27】実施の形態4における固定子の磁極先端部形状を説明する斜視図で、同図(A)には所定の磁極部の斜視図、同図(B)は同図(A)に示す磁極部に隣接する磁極部の斜視図である。
【図28】実施の形態4における固定子を形成する磁性材板(固定子鉄板)の形状を説明する平面図である。
【図29】実施の形態4のステッピングモータにおける各回転子磁極の爪状極歯の数とステップ角との関係を示す図表である。
【図30】実施の形態4におけるモノファイラ巻き巻線の結線状態を示す結線図である。
【図31】実施の形態4のステッピングモータのバイポーラ駆動するため1相励磁する場合の励磁シーケンス図である。
【図32】本発明の実施の形態5のアウタロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの構成を示す縦断正面図である。
【図33】従来のインナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータの縦断正面図である。
【図34】図33に示すインナロータ形ハイブリッド形ステッピングモータのX−X′断面図である。
【図35】従来構造のインナロータ形6相24極ステッピングモータのモノファイラ巻きでの結線図である。
【図36】従来構造のインナロータ形6相ステッピングモータのバイポーラ駆動における1相励磁の場合の励磁シーケンス図である。
【図37】従来構造のインナロータ形20相40極ステッピングモータのモノファイラ巻きでの結線図である。
【図38】従来構造のインナロータ形20相ステッピングモータのバイポーラ駆動における1相励磁の場合の励磁シーケンス図である。
【符号の説明】
2:ヨーク部
3A1〜3A6、3B1〜3B12、3C1〜3C10、3D1〜3D20、21:固定子の磁極
3Aa、3Ba、3Ca、3Da、21a:固定子の極歯
3Ab、3Ab1、3Ab2、3Bb1、3Bb2、3Cb1、3Cb2、3Db1、3Db2:固定子磁極の極歯存在部
3Ac、3Ac1、3Ac2、3Bc1、3Bc2、3Cc1、3Cc2、3Dc1、3Dc2:固定子磁極の極歯非存在部
4A、4A1、〜4A6、4B、4B1〜4B12、4C、4C1〜4C10、4D、4D1〜4D20、22:巻線
8、23:回転軸
9、26:永久磁石
10A、10B、10C、10D、11A、11B、11C、11D、27、28:回転子磁極
10Aa、10Ba、10Ca、10Da、11Aa、11Ba、11Ca、11Da、27a、28a:爪状極歯
A、A′、B、B′、C、C′、D、D′、E、E′、F、F′、G、G′、H、H′、I、I′、J、J′、:巻線の引出線
PA、PB、PC、PD:磁性材板(固定子鉄板)
PA1、PB1、PC1、PD1;磁性材板(固定子鉄板)の極歯存在部
PA2、PB2、PC2、PD2;磁性材板(固定子鉄板)の極歯非在部
PAa、PBa、PCa、PDa;磁性材板(固定子鉄板)の極歯
RAA、RAB、RBA、RBB、RCA、RCB、RDA、RDB、RKA、RKB:単位回転子
SA、SB、SC、SD、SK:固定子
SA1、SB1、SC1、SD1、SK1:第1の固定子部
SA2、SB2、SC2、SD2、SK2:第2の固定子部
τRA、τRA1、τRA2、τRA3:回転子磁極の爪状極歯のピッチ(間隔角度)
τSA:固定子磁極の極歯間のピッチ(間隔角度)
αA1、αA2、αA3:固定子の極歯と回転子の所定の爪状極歯との間隔角度
θA、θB、θC、θD:固定子の磁極間ピッチ(間隔角度)
Claims (7)
- 環状磁性体の内面から円中心に向け求心状に等ピッチで夫々に励磁用巻線を巻き回した少なくとも6以上の複数の磁極を形成し、該磁極の内、交互に形成された半数の夫々の先端部には軸方向の厚みの所定側のほぼ半ばまでに、少なくとも1以上所定数の極歯を等ピッチで設けて第1の固定子部を形成し、前記第1の固定子部における極歯を形成した各磁極に隣接する他の半数の磁極の夫々の先端部には軸方向の厚みの前記とは反対側のほぼ半ばまでに、前記第1の固定子部と同数の極歯を同一ピッチで形成して第2の固定子部を形成し、上記第1の固定子部の極歯表面との間に所定間隙を設けて、該固定子の極歯数に対応する数の該固定子の極歯表面に平行な爪状極歯を同一円周面に折曲げ形状に形成した円盤状の第1の回転子磁極と、該第1の回転子磁極と同一形状の爪状極歯を前記第1の回転子磁極の夫々の爪状極歯との間に、所定間隙を設けて対向し噛み合わせて形成した第2の回転子磁極とを軸受に回転自在に支承した回転軸の軸方向に着磁した円筒状永久磁石を挟んで、該回転軸に固定した第1の単位回転子と、前記第1の単位回転子と同一形状に形成して前記第2の固定子部に対応させて配置した第2の単位回転子とを、該第2の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性と前記第1の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性とを同一極に対して相互に1/4ピッチずらし、非磁性体部を挟んで前記回転軸に固定し構成したことを特徴とするインナロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ。
- 円筒状磁性体の円筒外面から放射状に等ピッチで夫々に励磁用巻線を巻き回した少なくとも6以上の複数の磁極を形成し、該磁極の内、交互に形成された半数の夫々の先端部には軸方向厚みの所定側のほぼ半ばまでに、少なくとも1以上所定数の極歯を等ピッチで設けて第1の固定子部を形成し、前記第1の固定子部における極歯を形成した各磁極に隣接する他の半数の磁極の夫々の先端部には軸方向の厚みの前記とは反対側のほぼ半ばまでに、前記第1の固定子部と同数の極歯を同一ピッチで形成して第2の固定子部を形成し、上記第1の固定子部の極歯表面との間に所定間隙を設けて、該固定子の極歯数に対応する数の該固定子の極歯表面に平行な爪状極歯を同一円周面に折曲げ形状に形成した円盤状の第1の回転子磁極と、該第1の回転子磁極と同一形状の爪状極歯を前記第1の回転子磁極の夫々の爪状極歯との間に、所定間隙を設けて対向し噛み合わせて形成した第2の回転子磁極とを軸受に回転自在に支承した回転軸の軸方向に着磁した環状永久磁石を挟んで、該回転軸に固定した第1の単位回転子と、前記第1の単位回転子と同一形状に形成して前記第2の固定子部に対応させて配置した第2の単位回転子とを、該第2の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性と前記第1の単位回転子の爪状極歯に現れる磁気極性とを同一極に対して相互に1/4ピッチずらし、非磁性体部を挟んで前記回転軸に固定し構成したことを特徴とするアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ。
- 請求項1記載のインナロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ又は請求項2記載のアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータにおいて、
前記固定子の磁極の数を6個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zを、下式の関係を満足するように形成した6相6極のインナロータ形又はアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ。
Z=3n±1
但し、n≧1の整数とする。 - 請求項1記載のインナロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ又は請求項2記載のアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータにおいて、
前記固定子の磁極の数を12個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zを、下式の関係を満足するように形成した6相12極のインナロータ形又はアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ。
Z=6n±4
但し、n≧1の整数とする。 - 請求項1記載のインナロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ又は請求項2記載のアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータにおいて、
前記固定子の磁極の数を10個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zを、下式の関係を満足するように形成した10相10極のインナロータ形又はアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ。
Z=5n±2
但し、n≧1の整数とする。 - 請求項1記載のインナロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ又は請求項2記載のアウタロータ形多相ハイブリッド形ハイブリッド形ステッピングモータにおいて、
前記固定子の磁極の数を20個に形成し、各回転子磁極の爪状極歯の数Zを、下式の関係を満足するように形成した10相20極のインナロータ形又はアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ。
Z=10n±4
但し、n≧1の整数とする。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載のインナロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ又はアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータにおいて、
環状部から求心状又は円筒状部から放射状に同心的に形成した所定形状の磁極形成部の1個おき交互に、該磁極形成部の先端部に少なくとも1以上の極歯を形成した円板状磁性体板を所定枚数積層して第1の固定子部の鉄心を形成し、さらに、前記磁性体板と同一形状に形成した磁性体板を磁極形成ピッチ回転偏位して所定枚数積層して第2の固定子部の鉄心を形成し、各積層体を固定し、巻線を巻き回して固定子に構成したインナロータ形又はアウタロータ形多相ハイブリッド形ステッピングモータ。
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