JP3645298B2 - シフト及び丸め回路及びその方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はコンピュータに関し、更に詳細にはそれに使用する算術装置に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
ディジタルコンピュータで行なわれる多数の計算は整数を2の冪乗で割ることを含んでいる。たとえば、Haar変換を利用する画像圧縮計算では隣接ピクセル値の和及び差を2で割る計算が必要である。同様に、2進分数による乗算は複数の加算演算に分解することができ、ここで1つのオペランドが整数を2の冪乗で割りこの結果結果を第2の整数に加えることで生成する。
【0003】
整数の2mによる割算を行なう最も速い方法は整数をm桁だけ右にシフトすることである。このようなシフトは単一の命令サイクルで実行することができる。従って、この手順は重要な利点を持っている。残念ながら、この方法により得られる結果は常にシフトアウトされたビットを捨てて下方に丸められる。このような下方への丸めを以下の説明では切り捨てと呼ぶ。このような下方への丸めは多くの状況では許容できるが、これが望ましくない場合も多数存在する。たとえば、各計算が前の計算の結果を用いる一連の計算を行なおうとすれば、すべての計算が切り捨てを利用している場合丸め誤差は更に大きくなるであろう。
【0004】
加えて、多くの値から成る集合の上で演算するときある統計的性質を維持するのが重要な場合がしばしばある。画像内の隣接ピクセルを平均することにより画像の大きさを縮小する場合を考える。つまり、4ピクセルから成る各グループを置き換えられる4ピクセルの平均に等しい値を持つ1つのピクセルで置き換える。画像はI×Iのピクセルアレイで表される。このピクセルの縮小は先ずアレイの奇数行及び偶数行を平均してI×I/2の中間アレイを作ることにより達成することができる。この中間アレイの奇数列及び偶数列は次に平均されて最終の(I/2)×(I/2)アレイを発生する。各種平均化演算が常に切り捨ての場合のように下方への丸めを行えば、最終画像は元の画像とは異なる統計的性質を持つことになる。たとえば、縮小された画像は元のアレイより低い平均光度を持つことになる。この種のアーティファクトを回避することがしばしば重要になる。
【0005】
【目的】
本発明の目的は、一般的に言えば、整数を2の冪乗で割った結果を丸める改良された方法及び装置を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、結果を偏らせることなく整数を2の冪乗で割る方法及び装置を提供することである。
【0007】
本発明のこれらの及び他の目的は当業者には本発明の次の詳細な説明及び付図から明らかになるであろう。
【0008】
【概要】
本発明の一実施例によれば、0から(N−1)までの整数iについてビットXiを有する語Xを、非負整数であり且つm≦μ≦N−1である整数mについて、m桁だけシフトして、0から(N−1)までの整数iについてのビットYiを有する語Yを得る装置が与えられる。この装置は複数の入力端子を持ち、これら入力装置の各々は前記ビットXiの1つを受け取り、また0から(N−1)までの整数iについて、各Xiに対応する入力端子が1つ存在する。同様に、この装置は0から(N−1)までの整数iについて各Yiに対応するものが1つ存在する複数の出力端子を備えている。シフト動作は複数の多重化回路の支援のもとに達成される。各多重化回路は出力端子の1つに接続されている。Yiに対応する出力端子に接続されている多重化回路はYiに対応する出力端子を1から(N−1−m)までの整数iについてXi+mに対応する入力端子に接続する。Y0に接続されている多重化回路はY0を値(X0 OR X1 OR .....Xm)を有する信号に接続する。(p+m)>(N−1)を満足するYpに対応する出力端に接続されている多重化回路は、Xが符号なしの整数であればYpに対応する出力端子を論理0に接続する。(p+m)≧(N−1)を満足するYpに対応する出力端子に接続されている多重化回路は、Xが符号付きの整数であればYpに対応する出力端子をXN-1に対応する入力端子に接続する。
【0009】
【実施例】
上に記した通り、Xを2mで割ることはXが2進数で整数であればXをmだけ右にシフトすることと等価である。「1」の値を有するビットがシフトによって語からこぼれ落ちた場合、丸め誤差が生じているといわれる。偏りのない結果に導く可能な丸め方法は2つあり、これらを奇数丸め及び偶数丸めという。偶数丸めシステムでは、演算結果は丸め誤差が生ずれば最も近い偶整数に丸められる。奇数丸めシステムでは、演算結果は丸め誤差が生ずれば最も近い奇整数に丸められる。浮動小数点ハードウェアでは偶数丸めが通常採用される。その理由は、ある形態の偶数丸めの方がある種の計算で累積誤差が少なくなるからである。
【0010】
本発明によるシフト及び丸め回路100の一実施例のブロツク図である図1を参照する。本発明は、このようなシステムを実施するのに必要なハードウェアが整数除算の場合特に簡単であるから奇数丸めシステムを使用している。整数Xを2mで割った結果Yを考える。Xは、0から(N−1)までの整数iについて、ビットXiを有し、またX0はXの最下位ビットであるとする。Xは典型的には幾つかのレジスタに保持され、そのビットは入力線111により本発明の実施例に対して与えられる。各入力線にはそれが接続されているビットのラベルが付けられている。Yは一組の出力線110に乗っているビット信号により表される。シフト動作は、mから(N−1)までの整数iについて、XiをYi-mに導く多重化回路の助けを借りて行なわれる。多重化回路の例を101−104で示してある。一般に、多重化回路は(μ+1)対1のマルチプレクサである。ここでμはmに許される最大の数である。μの可能な最大値はN−1である。各マルチプレクサはm番目のマルチプレクサ入力線上の入力線をディジタル信号mに応答して出力線110に接続する。
【0011】
Yの最上位ビットに接続されているマルチプレクサは、それに対して対応するXビットが存在しない多数の入力を備えている。これらの入力は図1に示す実施例では論理0に接続されているが、当業者には、これらマルチプレクサを、N−1より大きい入力線を選択すれば論理0に接続されている入力を入力線に接続することにより、入力線の本数が図1に示すものよりも少ないマルチプレクサで置き換えることができることが明らかであろう。しかし、以下の説明を簡単にするため、各マルチプレクサは(μ+1)対1のマルチプレクサであると仮定する。シフト及び丸め回路100が符号なしの整数についての演算を行っていれば、マルチプレクサは、対応するXビットの添字がN−1より大きくなってしまう場合には論理0に接続される入力を選択する。(p+m)>(N−1)であれば、Ypに接続されているマルチプレクサはYpを論理0に接続する。
【0012】
回路100が符号付き整数についての演算を行っていれば、Yの最上位ビットに接続されているマルチプレクサがYをXN-1に接続することにより、符号ビットを保存する。従って、(p+m)≧(N−1)であれば、Ypに接続されているマルチプレクサがYpをXN-1が接続されている入力線に接続する。マルチプレクサには、これを満足するように接続できる入力せんが常に1本存在する。
【0013】
Y0に接続されているマルチプレクサ105は本発明の実施例に使用されている奇数丸めシステムを実現する。マルチプレクサ105は丸め信号R及びXのシフト桁数を指定するシフト信号mに応答する。丸め信号Rに応答して奇数丸めを行なうには、マルチプレクサ105はマルチプレクサ105へのm番目の入力を選択することによりYの最下位ビットを(X0 OR X1 OR .....Xm)で置き換える。マルチプレクサ105へのm番目の入力はX0からXmまでの入力を有するOR回路に接続されている。OR回路の例を115−117で示してある。シフトされてこぼれ落ちたXのビットのどれかが「1」であれば、丸め誤差が生じている。この場合には、Yの最下位ビットは強制的に「1」にさせられる。すなわち、演算結果は最も近い奇数に丸められる。丸め誤差が生じていなければ、Yの最下位ビットはXmである。
【0014】
この形式の丸め処理によって得られる平均誤差はXの値の最下位(m+1)ビットが一様に分布していれば0であることを示すことができる。偶数丸めシステムも丸めにおける偏りを防止していることに注目すべきである。しかし、偶数丸めシステムを実現するのに必要なハードウェアは上に記したものよりかなり複雑であり、従って奇数丸めシステムの方が望ましい。
【0015】
本発明を整数の2mによる除算に関する局面での有用性の見地から説明してきたが、当業者には本発明が整数ばかりでなく固定小数点での演算にも有用であることが明らかであろう。
【0016】
本発明に対する種々の修正が前述の説明及び付図から当業者には明らかであろう。従って、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【0017】
以下に本発明の実施態様の例を列挙する。
【0018】
[実施態様1]以下の(a)ないし(d)を設け、ビットXi(ここでiは0から(N−1)までの整数)を有する語Xを、非負整数であり且つm≦μ≦N−1である整数mについてm桁だけシフトして、ビットYiを有する語Yを得るシフト及び丸め回路:
(a)複数の入力端子:前記入力端子の各々はXiの1つを受け取り、Xiの各々に対応する1つの前記入力端子が存在する;
(b)複数の出力端子:Yiの各々に対応する前記出力端子が1つ存在する;
(c)複数の第1の多重化回路:前記第1の多重化回路の各々は前記出力端子の1つに接続され、Yj(jは1から(N−1−m)までの整数)に対応する前記出力端子に接続されている前記第1の多重化回路はYjに対応する前記出力端子をXj+mに対応する前記入力端子に接続する;
(d)第2の多重化回路:前記第2の多重化回路は、Y0に接続され、Y0をX0ないしXmについて論理和を取った値を有する信号に接続する。
【0019】
[実施態様2]Xが符号なしの整数である場合、(p+m)>(N−1)を満足するYpに対応する前記出力端子に接続されている前記第2の多重化回路は、前記Ypに対応する前記出力端子を論理0に接続することを特徴とする実施態様1記載のシフト及び丸め回路。
【0020】
[実施態様3]Xが符号付きの整数である場合、(p+m)≧(N−1)を満足するYpに対応する前記出力端子に接続されている前記第2の多重化回路はYpに対応する前記出力端子をXN-1に対応する前記入力端子に接続することを特徴とする実施態様1記載のシフト及び丸め回路。
【0021】
[実施態様4]以下のステップ(a)ないし(d)を設け、ビットXi(iは0から(N−1)までの整数)を有する語Xをm桁(mはm≦μ≦N−1を満足する非負整数)だけシフトして、ビットYiを有する語Yを得る方法:
(a)各々が前記ビットXiの1つを受け取り、またXiの各々に対応するものが1つ存在する複数の入力端子を設けるステップ;
(b)各Yiに対応するものが1つ存在する複数の出力端子を設けるステップ;
(c)Yiに対応する前記出力端子の各々をXi+mに対応する前記入力端子に接続するステップ;
(d)Y0をX0ないしXmの論理和の値を有する信号に接続するステップ。
【0022】
[実施態様5]前記Xが符号なしの整数である場合、(p+m)>(N−1)を満足する前記Ypに対応する前記出力端子を論理0に接続するステップを設けたことを特徴とする実施態様4記載の方法。
【0023】
[実施態様6]前記Xが符号付きの整数である場合、(p+m)≧(N−1)を満足するYpに対応する前記出力端子を前記XN-1に対応する前記入力端子に接続するステップを設けたことを特徴とする実施態様4記載の方法。
【0024】
【効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、2の冪乗による除算を高速かつわずかな丸め誤差で計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のブロック図。
【符号の説明】
101−105:多重化回路
110:出力端子
111:入力端子
115−117:OR回路

Claims (6)

  1. 以下の (a) ないし (d) を設け、ビットX i i は0から(N−1)までの整数)を有する語Xを、Nより小さい非負整数である整数mについてm桁だけシフトして、ビットY i i は0から(N−1)までの整数)を有する語Yを得るシフト及び丸め回路:
    (a) 複数の信号入力端子:前記信号入力端子の各々は前記ビットX i の1つを受け取り、ここで0から(N−1)の整数 i の各々について前記ビットX i に対応する1つの前記信号入力端子が存在する;
    (b) 複数の信号出力端子:0から(N−1)の整数 i の各々について前記ビットY i に対応する1つの前記信号出力端子が存在する;
    (c) 複数の多重化回路:前記多重化回路の各々は複数の入力端子及び出力端子を有し、前記多重化回路の前記入力端子の少なくとも1つは前記信号入力端子の1つに接続され、前記多重化回路の各々は自己の前記出力端子を1つの前記信号出力端子に接続し、1から(N−1−m)の整数 i の各々についてY i に対応する前記信号出力端子に接続された前記多重化回路はY i に対応する前記信号出力端子をX i+m に対応する前記信号入力端子に接続する;
    (d) 他の多重化回路:前記他の多重化回路は複数の入力端子及び出力端子を有し、前記他の多重化回路の前記出力端子はY 0 に接続され、前記他の多重化回路の前記入力端子の1つは値(X 0 OR 1 OR ... m )を有する信号を生成する回路に接続される。
  2. 前記語Xが符号なしの整数である場合、(p+m)>(N−1)を満足するY p に対応する前記信号出力端子に接続されている前記多重化回路は、前記Y p に対応する前記信号出力端子を論理0に接続することを特徴とする請求項1記載のシフト及び丸め回路。
  3. 前記語Xが符号付きの整数である場合、(p+m)≧(N−1)を満足するY p に対応する前記信号出力端子に接続されている前記多重化回路は、Y p に対応する前記信号出力端子をX N-1 に対応する前記信号入力端子に接続することを特徴とする請求項1記載のシフト及び丸め回路。
  4. 以下のステップ (a) ないし (d) を設け、ビットX i i は0から(N −1)までの整数)を有する語Xをm桁(mはNより小さい非負整数)だけシフトして、ビットY i i は0から(N−1)までの整数)を有する語Yを得る方法:
    (a) 各々が前記ビットX i の1つを受け取り、また0から(N−1)の整数 i の各々についてX i に対応するものが1つ存在する複数の入力端子を設ける;
    (b) 0から(N−1)の整数 i の各々についてY i に対応するものが1つ存在する複数の出力端子を設ける;
    (c) 1つまたは複数の多重化回路を用いて、1から(N−1−m)の整数 i の各々についてY i に対応する前記出力端子の各々をX i+m に対応する前記入力端子に接続する;
    (d) 値(X 0 OR 1 OR ... m )を有する信号を生成し、多重化回路を用いて前記生成された信号をY 0 に接続する。
  5. 前記語Xが符号なしの整数である場合、(p+m)>(N−1)を満足するY p に対応する前記出力端子を論理0に接続するステップを設けたことを特徴とする請求項4記載の方法。
  6. 前記語Xが符号付きの整数である場合、(p+m)≧(N−1)を満足するY p に対応する前記出力端子を前記X N-1 に対応する前記入力端子に接続するステップを設けたことを特徴とする請求項4記載の方法。
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