JP3642824B2 - 熱転写シート - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は熱転写シートに関し、更に詳しくは発色濃度及び諸堅牢性に優れた黒色系画像を形成することが出来る熱転写シートの供給を目的とする。
【0002】
【従来の技術】
従来、昇華性染料を用いた熱転写方式を使用して、紙やプラスチックフィルム上に各種のフルカラー画像を形成する方法が提案されている。この場合には加熱手段としてプリンターのサーマルヘッドが使用され、極めて短時間の加熱によって3原色または3原色に黒色を加えた4色の色ドットを熱転写受像シートに転移させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラー画像を再現する。又、黒色等の1色のみを熱転写受像シートに転移させて高階調のモノクロ画像を再現する。
このように形成された画像は、使用する色材が染料であることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れている為、得られる画像は中間色の色再現性や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様であり、且つフルカラー写真画像に匹敵する高品質の画像やモノクロ画像が形成可能となっている。このような黒色系熱転写シートとして、特開平5−201147号、特開平5−238029号、特開平6−92046号が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱転写方法において使用される従来の黒色系熱転写シートはイエロー、マゼンタ及びシアンの3原色の組合せが適切でなかった為、発色濃度及び諸堅牢性に優れたものではなかった。
従って本発明の目的は、発色濃度及び諸堅牢性に優れた黒色系画像を形成することが出来る熱転写シートを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち本発明は、基材シートの一方の面に複数の染料を含有する黒色染料層を少なくとも設けてなり、黒色系画像を形成することが出来る黒色系熱転写シートにおいて、上記黒色染料層が下記一般式(1)及び(3)の中から選ばれた少なくとも1種のイエロー染料、一般式(4)、下記式M−2及び一般式(6)の中から選ばれた少なくとも1種のマゼンタ染料、及び一般式(7)、(8)及び(9)の中から選ばれた少なくとも1種のシアン染料を含有することを特徴とする熱転写シートである。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
(式(1)、(3)、(4)、(6)〜(9)中、R1およびR2は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキル基、または置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基を表し、R3は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換もしくは非置換の非置換のアルキルアミノカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子または水素原子を表し、R4は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表し、R5は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子または水素原子を表し、R6は置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルスルホニルアミノ基またはハロゲン原子を表し、R7は置換もしくは非置換のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
【0005】
【作用】
特定の染料を組合せて使用することによって、発色濃度及び諸堅牢性に優れた黒色系画像を形成することが出来る熱転写シートを提供することが出来る。
【0006】
【好ましい実施態様】
以下、本発明の実施態様について図面を参照しながら説明する。
【0007】
図1は本発明の熱転写シートの概略断面図の例である。図1において、熱転写シート1は基材シート11と、基材シート11の一方の面に各色の染料層12を設けた熱転写シートである。そして、転写染料層12は、通常、イエロー染料層12Y、マゼンタ染料層12M、シアン染料層12C、黒色染料層12Bを繰り返し配列されている。
【0008】
また、個々の染料層12C、染料層12M、染料層12Y、染料層12Bの幅は、1つの画像形成において実際に必要とする幅でもよく、あるいは、その整数倍でもよく、形成対象とする画面の大きさ等に基づいて適宜決定することができる。また、黒色染料層が単独で基材シートの一方の面上に設けられた熱転写シートであっても、本発明の好ましい実施形態である。
【0009】
基材シート11としては、従来の熱転写シートに使用されている基材シートをそのまま使用することができ、特に限定されることはない。例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチックフィルム、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等が好ましく使用される。また、これらの複合体を基材シートとして使用することもできる。
【0010】
このような基材シートの厚みは、要求される強度、熱伝導性が得られるように適宜決定することができ、例えば、3〜100μm程度である。
【0011】
このような基材シートの上には、前述したように染料層12の一つとして黒色染料層12Bが形成される。黒色染料層12Bは、後述するイエロー染料と、マゼンタ染料と、シアン染料とを混合して作成した黒色色相染料をバインダーで担持させた層である。
【0012】
まず、本発明の黒色染料層12Bに含有されるイエロー染料としては、下記一般式(1)または(3)で表されるイエロー染料のうちの少なくとも一種が用いられる。
【0013】
【化21】
【化22】
【0014】
上記一般式(1)中、R1 及びR2 は、それぞれ置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基または置換もしくは非置換のアラルキル基を表す。
【0015】
具体的なR1 及びR2 の置換基としては、エチル基、4−シクロヘキシルフェノキシエチル基、n−ブチル基、フェニル基、2−プロペニル基、ベンジル基等が挙げられ、中でも、R1 =エチル基、R2 =4−シクロヘキシルフェノキシエチル基が特に好ましい。
【0016】
また、上記一般式(1)中、R3 は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基を表す。
【0017】
具体的なR3 の置換基としては、塩素原子、メチル基、エチル基、アセチルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、エトキシ基等があげられ、中でも3−CH3 (原子の位置番号3のメチル基)が特に好ましい。なお、R3 の置換基の数は、原則として置換可能な数である1〜4の範囲を取り得る。
【0022】
また、上記一般式(3)中、R1 は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアリル基、置換もしくは非置換のアラルキル基または置換もしくは非置換のアルコキシアルキル基を表す。
【0023】
具体的なR1 としては、メチル基、n−ブチル基、フェニル基、2−プロペニル基、ベンジル基、−CH2 CH2 CH2 OCH(CH3 )2 等が挙げられ、中でも−CH2 CH2 CH2 OCH(CH3 )2 が特に好ましい。
【0024】
また、上記一般式(3)中、R4 は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子または水素原子を表す。
【0025】
具体的なR4 としては、メチル基、シアノ基、塩素原子、水素原子等が挙げられ、中でもR4 が水素原子の時が特に好ましい。
【0026】
このようなイエロー染料は、黒色染料層の染料組成中5〜50wt%、より好ましくは10〜40wt%含有される。この含有率が上限範囲を外れると、多少の組成変化では、保存性が極端に低下することはないが、むしろ黒色でないという不都合が生じる。
【0027】
次に、本発明の黒色染料層12Bに含有されるマゼンタ染料としては、下記一般式(4)、下記式M−2及び一般式(6)で表されるマゼンタ染料のうち少なくとも一種が用いられる。
【0028】
【化23】
【化24】
【化25】
【0029】
上記一般式(4)中、R1 およびR2 は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表わす。
【0030】
具体的なR1 およびR2 の置換基としては、エチル基、n−ブチル基、フェニル基、シクロヘキシル基、2−プロペニル基、ベンジル基等が挙げられ、中でも、R1 =R2 =エチル基が特に好ましい。
【0031】
上記一般式(4)中、R3 は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換もしくは非置換の非置換のアルキルアミノカルボニル基を表わす。
【0032】
具体的なR3 の置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、
−CONHC3 H7 、−NHCOCH3 、−NHSO2 CH3 等が挙げられ、中でもR3 =メチル基が特に好ましい。
【0033】
上記一般式(4)中、R4 は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子または水素原子を表わす。
【0034】
具体的なR4 の置換基としては、水素原子、メチル基、−NHCOCH3
,−NHSO2 CH3 等が挙げられ、中でもR4 =水素原子が特に好ましい。
【0035】
上記一般式(4)中、R5 は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子または水素原子を表す。
【0036】
具体的なR5 の置換基として、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられ、中でもR5 =メチル基が特に好ましい。
【0043】
上記一般式(6)中、R1 およびR2 は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表わす。
【0044】
具体的なR1 およびR2 の置換基としては、エチル基、n−ブチル基、フェニル基、シクロヘキシル基、2−プロペニル基、ベンジル基等が挙げられ、中でもR1 =R2 =エチル基が特に好ましい。
【0045】
上記一般式(6)中、R3 は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換もしくは非置換の非置換のアルキルアミノカルボニル基を表わす。
【0046】
具体的なR3 の置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、
−NHCOCH3 、−NHSO2 CH3 等が挙げられ、中でもR3 =メチル基が特に好ましい。
【0047】
上記一般式(6)中、R5 は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアミノ基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、水素原子を表す。
【0048】
具体的なR5 の置換基としては、メチル基、フェニル基、3−メチルフェニル基、tert−ブチル基等が挙げられ中でもR5 =3−メチルフェニル基及び
tert−ブチル基が特に好ましい。
【0049】
このようなマゼンタ染料は、黒色染料層の染料組成中、5〜50wt%、より好ましくは10〜40wt%含有される。この含有率が上記範囲を外れると、前記イエロー染料の場合と同様に、多少の組成変化では、保存性が極端に低下することはないが、むしろ黒色ではなくなるという不都合が生じる。
【0050】
次に、本発明の黒色染料層12Bに含有されるシアン染料としては、下記一般式(7)、(8)または(9)の中から選ばれた少なくとも一種のシアン染料が用いられる。
【0051】
【化28】
【化29】
【化30】
【0052】
上記一般式(7)中、R1 及びR2 は、それぞれ置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基または置換もしくは非置換のアラルキル基を表す。
【0053】
具体的なR1 及びR2 の置換基としてはエチル基、n−ブチル基、2−プロペニル基、ベンジル基等が挙げられ、中でも、R1 =R2 =エチル基が特に好ましい。
【0054】
また、上記一般式(7)中、R3 は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基を表す。
【0055】
具体的なR3 の置換基としては、水素原子、メチル基、−NHCOCH3 、
−NHSO2 CH3 等が挙げられ、中でもR3 =メチル基、水素原子が特に好ましい。
【0056】
上記一般式(7)中、R6 は置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルスルホニルアミノ基またはハロゲン原子を表す。
【0057】
具体的なR6 の置換基としては、−CONHCH3 、−SO2 NHCH3 、
−NHCOC2 H5 、−NHCOC3 H7 、−NHSO2 CH3 等が挙げられ、中でもR6 =−NHCOCH3 、−NHCOC2 H5 、−NHCOC3 H7 が特に好ましい。
【0058】
上記一般式(7)中、R7 は置換もしくは非置換のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子または水素原子を表す。
具体的なR7 の置換基としては、メチル基、エチル基、塩素原子、水素原子等が挙げられ、中でも、R7 =メチル基、水素原子が特に好ましい。
【0059】
上記一般式(7)中、Xはハロゲン原子または水素原子を表す。
【0060】
上記一般式(8)中、R1 およびR2 は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表わす。
【0061】
具体的なR1 およびR2 の置換基としては、n−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、2−プロペニル基、ベンジル基等が挙げられ、中でもR1 =R2 =n−C6 H13 (n−ヘキシル基)が特に好ましい。
【0062】
上記一般式(8)中、R3 は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換もしくは非置換の非置換のアルキルアミノカルボニル基を表わす。
【0063】
具体的なR3 の置換基としては、塩素原子、メチル基、エチル基、アセチルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、エトキシ基等が挙げられ、中でも3−CH3 (原子の位置番号3のメチル基)が特に好ましい。なお、R3 の置換基の数は、原則として置換可能な数である1〜4の範囲を取り得る。
【0064】
上記一般式(8)中、R4 は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノスルホニル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子または水素原子を表わす。
【0065】
具体的なR4 の置換基としては、メチル基、エチル基、−CONHCH3 、
−SO2 NHCH3 、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基、水素原子等が挙げられ中でも、R4 =水素原子が特に好ましい。
【0066】
上記一般式(9)中、R1 およびR2 は、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表わす。
【0067】
具体的なR1 およびR2 の置換基としては、メチル基、3−メチルフェニル基、n−ブチル基、フェニル基、2−プロペニル基、ベンジル基等が挙げられ、中でもR1 =−CH3 (メチル基)、R2 =3−メチルフェニル基が特に好ましい。
【0068】
このようなシアン染料は、黒色染料層の染料組成中、30〜75wt%より好ましくは40〜70wt%含有される。この含有率が上記範囲を外れると、前記イエロー染料およびマゼンタ染料の場合同様に、多少の組成変化では、保存性が極端に低下することはないが、むしろ黒色でなくなるという不都合が生じる。
【0069】
さらに黒色染料層12Bには、上記染料とともにバインダーが含有される。バインダーとしては、従来公知の樹脂バインダーがいずれも使用でき、好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル等が挙げられる。これらの中では、耐熱性、染料の移行性等の観点からセルロース系、アセタール系、ブチラール系およびポリエステル系などが特に好ましい。
【0070】
なお、本発明においては、従来にくらべ転写シートの染料層インクに添加する染料の総量を少なくできるので、染料をインク層中にD/B比(D:染料の重量B:バインダーの重量)0.5〜3.0程度の広範囲で含有させることが出来目的に応じて所望の印字濃度と転写シートの保存性を高めることが出来る。
本発明の黒色染料層は、基本的には、前記の材料から形成されるが、その他、必要に応じてかつ本発明の目的を逸脱しない範囲で公知の種々の添加剤を含有させてもよい。例えば、ヨーロッパ特許第133011号、同第133012号および同第111004号明細書に記載されているものが挙げられる。
【0071】
このような染料層は、通常、上記染料、バインダー樹脂、その他任意成分を加えて各成分を溶解ないし分散させて塗工液(インキ)を調製し、しかる後、この塗工液を基材シートの上の塗布・乾燥させて形成する。このようにけいせいされた染料層の厚みは0.1〜10μm、好ましくは0.2〜3.0μm程度とされる。また、黒色染料層中の前記染料は、固形分換算で20〜80wt%、好ましくは40〜70wt%とされる。
【0072】
なお、このような黒色染料中には、塗工適性の調整、および受像シートとの融着防止のため、ポリエチレンワックス等の有機微粒子、無機微粒子等を染料層に含有させてもよい。
【0073】
このような黒色染料層の上には、粘着防止層、すなわち離型層を設けてもよい。離型層としては、粘着防止性の無機粉末を付着させたもの、あるいは、シリコーンポリマー、アクリルポリマー、フッ素化ポリマーのごとき離型性に優れた樹脂層などが挙げられる。なお、このような離型性に優れた効果を有する材料は、染料層中に含有しても良好な効果が得られる。
【0074】
さらに、このような熱転写シートの裏面にサーマルヘッドの熱による悪影響を避けるために耐熱層を設けるようにしてもよい。耐熱層としては、例えばポリビニルブチラールと、イソシアネート類の反応生成物に、リン酸エステルのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩等の界面活性剤にタルク等の充填剤を含んでなる層を設けることができる。
【0075】
ところで、上述してきた黒色染料層12Bに加えて通常、基材シート11の上に設けられるイエロー染料層12Y、マゼンタ染料層12M、シアン染料層12Cに含有される染料としては、従来の熱転写シートに使用されている染料をそのまま使用することが出来、特に限定されることはない。
以上の如き、本発明の黒色系熱転写シートは感度に優れ、高い発色性を有している。そのため従来この記録方法を用いて印画されてきたカラー画像形成の為に、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層を有する熱転写シートを合わせて用いると文字や縁どり等の高い濃度が要求される黒色画像の形成に有効であり、特に校正用として用いると色再現性に優れた黒色画像を得ることができる。
【0076】
上述してきた本発明の熱転写シートは、その背面側からサーマルヘッドにより熱エネルギーを印加し、3色または4色の多色の色ドットを受像紙(被転写材)に転移させるように用いられ、その結果フルカラー画像が受像紙(被転写材)に形成される。受像紙(被転写材)は、基材とこの上に形成され、昇華性染料を受容し、形成された画素を維持するためのいわゆる受容層とを備えている。
【0077】
この受容層を形成するための樹脂としては、例えばポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0078】
受容層は、上記のような樹脂に必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散して調製したインクを、基材上に公知の手段により塗布・乾燥させて形成される。受容層に含有される添加剤としては、受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を更に高め、又、受容層の膜切れを良好にする目的で、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を使用することができる。
【0079】
【実施例】
以下、具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
下記式(Y1)〜式(C5)に示されるごとく本発明に用いられる12種類の染料、および式(M*1)、式(M*2)、式(Y*1)、式(C*1)で示される比較マゼンタ色素、イエロー色素、シアン色素の合計16種の染料を準備した。
【0080】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
これらの染料を便宜組み合わせて、下記表1〜3に示されるがごとく黒色染料を調製した。
尚、各表中の数値は重量部を表す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
このように各種調製された黒色染料、ならびにバインダーとしてのポリビニルアセトアセタール樹脂、溶剤としてトルエン、メチルエチルケトン等を用いて、下記に示される配合割合で黒色染料層12B形成のためのインク組成物を作製した。
【0085】
黒色染料層インク組成物1〜5
・黒色染料No.1〜5(表1) 7.00 重量部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.50 重量部
(エスレックKSー5;積水化学製)
・トルエン 44.75 重量部
・メチルエチルケトン 44.75 重量部
黒色染料層インク組成物6〜9
・黒色染料No.6〜9(表2) 7.50 重量部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.50 重量部
(エスレックKSー5;積水化学製)
・トルエン 44.50 重量部
・メチルエチルケトン 44.50 重量部
黒色染料層インク組成物10〜11
・黒色染料No.10〜11(表2〜3) 7.70 重量部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.50 重量部
(エスレックKSー5;積水化学製)
・トルエン 44.40 重量部
・メチルエチルケトン 44.40 重量部
黒色染料層インク組成物12〜14
・黒色染料No.12〜14(表3) 8.00 重量部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.50 重量部
(エスレックKS−5;積水化学製)
・トルエン 44.25 重量部
・メチルエチルケトン 44.25 重量部
これらのインク組成物を用いて、厚さ6.0μmの耐熱滑性処理されたポリエチレンテレフタレートの基材シート(6CF53;東レ製)の上に、乾燥塗布量が1.2g/m2 となるように塗布・乾燥して上記各種黒色染料層を有する転写シートサンプルを得た。なお、熱転写シートサンプルNo.は、前記黒色染料No.(表1)に対応している。
【0086】
次いで、以下の要領で受像紙を作製した。
【0087】
この受容層形成のための塗工液を、基材としての合成紙(ユポFPG150;王子油化製)の一面に塗布・乾燥させて受像紙を作製した。(乾燥時4.5g/m2 )
【0088】
この受像紙の上に、上記作製した黒色染料層を備える熱転写シートを用いて実際に印画を行なって以下の項目を評価した。
(1)相対感度
印加電圧一定で、印加時間を調整することにより16階調のグラデーション印字(最大印加エネルギー:100mJ/mm2,パルス幅16msecの時)を行ない、この印字をもとに、横軸に印加エネルギー(印字時間)、縦軸に光学濃度値(OD値)をとった、いわゆるγカーブを描き、比較例サンプル(サンプルNo.12)で、光学濃度1.0となる時の印字エネルギーを決めて、この印字エネルギーにおける、各実施例サンプル(サンプルNo.1、3、5〜11)、参考例サンプル(サンプルNo.2、4)の光学濃度がいくらになるかを求め、光学濃度値を相対的に評価した。
(2)黒色最大濃度
マクベス社製−RD918を用いて、印字部の最大濃度を測定した。なお、印字条件は、印字周期33.3msec/line、パルス幅1〜16msec/line,、印加電圧11.0Vとし、電圧一定で、印加時間を調整することにより16階調のグラデーション印字(最大印加エネルギー:100mJ/mm2,パルス幅16msecの時)を行ない、この印字をもとに、横軸に印加エネルギー(印字時間)、縦軸に光学濃度(OD値)をとった、いわゆるγカーブの最大光学濃度を最大濃度とした。
【0089】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写シートの概略断面図である。
【符号の説明】
1─ 熱転写シート
11──基材シート
12──染料層
12B──黒色染料層
12M──マゼンタ染料層
12Y──イエロー染料層
12C──シアン染料層
Claims (4)
- 基材シートの一方の面に複数の染料を含有する黒色染料層を少なくとも設けてなり、黒色系画像を形成することが出来る黒色系熱転写シートにおいて、上記黒色染料層が下記一般式(1)及び(3)の中から選ばれた少なくとも1種のイエロー染料、一般式(4)、下記式M−2及び一般式(6)の中から選ばれた少なくとも1種のマゼンタ染料、及び一般式(7)、(8)及び(9)の中から選ばれた少なくとも1種のシアン染料を含有することを特徴とする熱転写シート。
- 前記黒色染料層に含有される染料組成中、イエロー染料は、10〜40wt%、マゼンタ染料は10〜40wt%、シアン染料は40〜70wt%含有されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱転写シート。
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