JP3642146B2 - 半導体装置の評価方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はLSI等の半導体装置を製造する際のプラズマ処理中において発生する絶縁膜(シリコン酸化膜)のダメージを評価する方法に関し、特に、短時間で、連続したダメージの大小を容易に評価することができる半導体装置の評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、LSIのエッチング工程、レジスト除去工程及びイオン注入工程等のプラズマ処理において、チャージアップ現象によって絶縁膜(シリコン酸化膜:SiO2)が破壊したり、ダメージを受けたりすることが問題となっている。
【0003】
図7(a)はプラズマ処理中における基板表面のプラズマ電位の分布を示すグラフ図と、このプラズマ処理により発生する基板中の電流の流れを示す模式図であり、(b)は基板の一部を拡大して示す断面図である。図7(a)に示すように、シリコン基板22に種々のプラズマ処理を施す場合、先ず、基板22を基体21の上に配置し、これをプラズマ処理装置のチャンバ15内に設けられた支持台16の上に配置する。なお、支持台16は接地されており、基体21はシリコン基板22にRFバイアス電圧を印加するための電源17に接続されている。従って、電源17によって基体21にRFバイアス電圧を印加すると、シリコン基板22にもRFバイアス電圧が印加される。
【0004】
図7(b)に示すように、シリコン基板22には、例えば、その上にゲート絶縁膜23が形成されており、このゲート絶縁膜23の上には、複数の上部電極24が形成されている。なお、ゲート絶縁膜23は上部電極24の下方において、他の部分よりも薄い膜厚で形成されている。
【0005】
このように構成された基板22に対してプラズマ処理を施すと、図7(a)のグラフ図に示すように、基板22の表面のプラズマ電位が不均一になる。これにより、電荷が電極24からシリコン基板22の内部を伝わり、プラズマ電位の高い場所から低い場所に移動する。その結果、矢印25に示す方向に、上部電極24から、その下方の薄いゲート絶縁膜23を通じて基板22に電流が流れて、チャージアップダメージが発生する。
【0006】
このような絶縁膜のダメージを評価する方法として、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)キャパシタ構造を有するデバイスの電流−電圧特性を測定する方法(IV測定法)がある(Hyungcheol Shinら、「Modeling Oxide Thickness Dependence of Charging Damage by Plasma Processing」IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS, VOL.14, NO.11, (1993), pp.509-511、水谷ら、「プラズマプロセスによるSiO2/Siの照射損傷」、応用物理、第59巻、第11号 、(1990)、pp.1496-1501)。図8は従来のIV測定法において使用するMOSキャパシタ構造を示す断面図である。半導体基板(Semiconductor)26の上に酸化膜(Oxide)27が形成されており、その上に電極(Metal)28が選択的に形成されることによりMOSキャパシタ29が構成されている。なお、酸化膜27は、電極28の下方において、他の部分よりも薄く形成されている。
【0007】
このように構成されたMOSキャパシタ29を利用するIV測定法とは、MOSキャパシタ29に印加する電圧を徐々に増加させて、電極28から基板26に流れる電流値を測定することによって絶縁膜のダメージを評価する方法であり、単純な構造のデバイスを使用して測定することができ、その測定方法が簡単である。
【0008】
図9は縦軸に電流をとり、横軸に電圧をとって、一般的なIV特性の例を示すグラフ図である。図9に示すように、MOSキャパシタ29の電極28に印加する電圧を増加させると、リーク電流30aが発生する。このリーク電流30aは、ある電圧値に達するまでは電圧値の増加に伴って若干増加する。そして、ある電圧値を超えると、FNトンネル電流30bが流れ始める。このFNトンネル電流とは、絶縁膜(酸化膜27)に大きな電圧(電界)が印加された場合に、トンネル現象によって電子が絶縁膜の電導帯に移動し、電流が流れる現象のことである。
【0009】
その後、更にMOSキャパシタ29の電極28に印加する電圧を増加させると、例えば、約12(MV/cm)の電圧の印加によって不可逆な絶縁破壊30cが発生する。IV測定法においては、FNトンネル電流が流れる領域で、所定の電流値(例えば5(mA/cm2))に達したときの電圧値(GOI電圧)を測定することにより、絶縁膜のダメージを評価することができる。
【0010】
他に、絶縁膜のダメージを評価する方法として、MOSキャパシタにの電極に定電流のストレスを印加して、絶縁破壊に至るまでの時間(注入電荷量)を測定する方法(QBD測定法)がある(K.Erigutiら、「Quantitative Evaluation of Gate Oxide Damage during Plasma Processing Using Antenna-Structure Capacitors」、Jpn.J.Appl.Phys., Vol.33, Part 1, No.1A, (1994), pp.83-87 )。
【0011】
図10は縦軸に電圧をとり、横軸に時間をとって、プラズマ処理前のデバイスと、プラズマ処理後のデバイスとの絶縁破壊に至るまでの時間の比較を示すグラフ図である。図10においては、プラズマ処理前のデバイスが絶縁破壊するまでの時間をT0とし、プラズマ処理後のデバイスが絶縁破壊するまでの時間をT1としている。MOSキャパシタに一定の電圧を印加したときに、電極から基板に流れる電流をI、破壊までの時間をTとすると、QBDはI×Tによって算出することができる。
【0012】
更に、EEPROM(Electrically Erasable Programable Read-Only-Memory)又はMNOS(Metal-Nitride-Oxide-Semiconductor)構造デバイスの静電容量−電圧を測定する方法(CV測定法)も公知である(K.Hashimotoら、「QUANTITATIVE EVALUATION OF CHARGE-UP DAMAGE BY USING CURRENT SENSITIVE MOS DIODES」、Proceeding of 13th Dry Process Symposium, (1991), pp.93-97 )。図11は従来のCV測定法において使用するMNOS構造のデバイスを示す断面図である。半導体基板(Semiconductor)31の上に酸化膜(Oxide)32が形成されており、その上に窒化膜33が形成されている。そして、この窒化膜33の上に電極(Metal)34が選択的に形成されることにより、MNOS構造デバイス35が構成されている。なお、酸化膜32は電極34の下方において、他の部分よりも薄く形成されている。
【0013】
このように構成されたMNOS構造デバイス35を利用したCV測定法は、プラズマ処理中に受けたチャージアップ電圧を凍結して、C−V(静電容量−電圧)を測定することにより絶縁膜のダメージを評価する方法である。
【0014】
更にまた、このMNOS構造デバイス等を使用したCV測定において、そのしきい値電圧のシフトを測定する方法も使用されている(Hyungcheol Shinら、「Spatial Distributions of Thin Oxide Charging in Reactive Ion Etcher and MERIE Etcher」、IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS, VOL.14, NO.2, (1993), pp.88-90 )。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の絶縁膜のダメージを測定する方法には、以下に示す問題点がある。例えば、一般的にFNトンネル領域におけるIV特性は、プラズマダメージの初期には殆ど変化せず、ダメージの最終段階で急激に変化して絶縁破壊に至る。この場合、測定されるGOI電圧は健常値又は零付近(絶縁破壊の状態)の値となり、中間の値を示すことがない。従って、IV測定法においては、絶縁膜のダメージの大きさはGoodとNo-Goodとの2段階のみで判断することになり、中間のダメージ及びダメージの連続的な大小関係を評価することは困難である。
【0016】
また、QBD測定法においては、各デバイスのQBD値には統計的な分布があるので、各デバイスの絶縁膜におけるダメージの大小を直接評価することは困難である。更に、評価精度を向上させるためには、測定するために必要な時間が著しく長くなるという問題点がある。
【0017】
更にまた、CV測定法においては、トランジスタ等の実際の半導体装置に形成されたデバイスが受けるダメージは、注入された電荷量に依存するので、CV測定の結果と、実際の半導体装置に形成されたデバイスが受けるダメージとを直接対比させることができない。即ち、例えばプラズマ照射時間の長さと、絶縁膜のダメージの大きさとを対比させて評価することができない。更に、このCV測定法では、デバイスはプラズマ処理中に印加された最大のチャージアップ電圧を記憶することになるので、プラズマが時間によって変化する場合等には、正確に絶縁膜のダメージを評価することはできない。
【0018】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、半導体装置の絶縁膜のダメージの程度を容易に短時間で評価することができ、その評価精度が優れた半導体装置の評価方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体装置の評価方法は、半導体基板と、この半導体基板の上に形成された絶縁膜と、この絶縁膜の上に形成された電極とを有するMOSキャパシタをプラズマ処理した後、前記MOSキャパシタの電流−電圧特性におけるFNトンネル電流が生じる電圧よりも低い電圧を前記MOSキャパシタに与えて発生するリーク電流を測定し、半導体装置をプラズマ処理した場合の前記半導体装置の絶縁破壊ダメージの程度を前記MOSキャパシタのリーク電流により評価することを特徴とする。
【0020】
本発明においては、MOSキャパシタの電流−電圧特性において、FNトンネル電流が生じる電圧よりも低い電圧をMOSキャパシタに与えて、そのときに発生するリーク電流を測定する。本発明における電圧測定領域のリーク電流の大きさは、MOSキャパシタの絶縁膜が受けたダメージの大きさに依存すると共に、ダメージの大小によって連続的に変化するものである。従って、これにより、MOSキャパシタの絶縁膜のダメージの程度を高精度に評価することができる。そして、半導体装置をプラズマ処理した場合のこの半導体装置の絶縁破壊ダメージの程度をリーク電流の値によって評価することができる。
【0021】
また、本発明においては、MOSキャパシタの電流−電圧特性を利用するので、単純な構造のデバイスにより、簡単に半導体装置を評価することができ、その測定時間は、従来の測定法と比較して著しく短縮することができる。
【0022】
前記MOSキャパシタは、前記絶縁膜の膜厚が10乃至300Åであり、前記電極が前記絶縁膜の面積の1乃至1000000倍の面積を有するものであって、前記リーク電流を測定する電圧は、前記MOSキャパシタの絶縁破壊電圧の5乃至70%の電圧であることが好ましい。
【0023】
一般的に使用される半導体装置の絶縁膜は、通常10乃至300Åの膜厚を有するので、本発明においては、評価する対象となる半導体装置の絶縁膜の膜厚と同様の膜厚を有するMOSキャパシタを使用することが好ましい。また、絶縁膜の面積に対する電極の面積比(アンテナ比)についても、通常の半導体装置のアンテナ比に対応させて、本発明においてはMOSキャパシタのアンテナ比を1乃至1000000倍とすることが好ましい。
【0024】
更に、リーク電流を測定する電圧が、MOSキャパシタの絶縁破壊電圧の5%未満であると、絶縁膜が受けたダメージの程度を高精度に評価することが困難になる。一方、測定電圧がMOSキャパシタの絶縁破壊電圧の70%を超えると、FNトンネル電流が発生し始めるので、測定電圧におけるリーク電流値が接近し、絶縁膜のダメージの程度を高精度に評価することが困難になる。従って、本発明においては、MOSキャパシタの絶縁破壊電圧の5乃至70%の電圧でリーク電流を測定することが望ましい。
【0025】
なお、本発明においては、絶縁膜の絶縁破壊ダメージの程度の評価結果により、前記プラズマ処理の適正条件を設計することができる。
【0026】
このように、プラズマ処理中のチャージアップ電圧を測定することにより半導体装置を評価するのではなく、チャージアップにより発生した絶縁膜のダメージを直接評価するので、実際に使用する半導体装置が有する絶縁膜が受けるダメージと対比することが容易となる。従って、このダメージの程度によって、半導体装置にプラズマ処理を施す場合のプラズマ処理条件を適切に設定することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る半導体装置の評価方法について、添付の図面を参照して説明する。図1は本実施例に係る半導体装置の評価方法において使用するMOSキャパシタ構造を示す断面図である。また、図2(a)はチップが形成されたウエハを示す平面図であり、(b)はこのチップを拡大して示す平面図である。
【0028】
先ず、図2(a)に示すように、例えば、8インチウエハ7の全面に複数のチップ6を形成し、評価用ウエハを作製する。これらの各チップ6にはMOSキャパシタ構造を有するデバイスが形成されている。本実施例において使用するデバイスのMOSキャパシタ構造を以下に説明する。図1に示すように、下部電極としてのp型シリコン基板1の表面にフィールド絶縁膜2が選択的に形成されており、これにより、素子領域が区画されている。また、区画された素子領域の表面に、フィールド絶縁膜2よりも薄い膜厚(例えば、90Åの膜厚)でゲート絶縁膜3が形成されている。更に、ゲート酸化膜3の上には、ポリシリコンからなる上部電極4が形成されている。このようにして、MOSキャパシタ構造が構成されている。
【0029】
本実施例においては、図2(b)に示すように、面積が異なる分離された複数の電極が形成されるようにポリシリコン膜を加工して上部電極4を形成し、これにより、各評価デバイスA、B、C、D及びEを1つのチップ6上に形成した。即ち、上部電極(アンテナ)4の面積と、絶縁膜のゲート部分(ゲート酸化膜3)の面積との比(アンテナ比)を変化させることにより、種々の条件でプラズマ処理を施したデバイスを想定した。各評価デバイスのアンテナ比を下記表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 0003642146
【0031】
次に、上記ウエハ7にLSIの製造工程としてのプラズマ処理(エッチング、レジスト除去及びイオン注入等)を施す。本実施例においては、ウエハ7をプラズマエッチング装置に設置し、これを所定の条件(ガス種、ガス圧力、高周波プラズマ電力及びバイアス電極)でエッチング処理した。また、エッチング時間は、上部電極4の膜厚の半分がエッチングされる時間に設定した。
【0032】
次いで、エッチングが終了したウエハをプローバ評価装置に設置し、各デバイスのIV(電流−電圧)特性を測定する。図3はウエハ7上の1つのチップ6における各デバイスのIV特性を示すグラフ図である。図3中の記号は各デバイス記号を示す。また、Fはプラズマ処理を施していないウエハのデバイスを示す。プラズマ処理の条件が一定である場合、各デバイスのゲート絶縁膜3が受けるチャージアップダメージの大きさは、アンテナ面積(アンテナ比)に比例することが公知である。従って、本実施例においては、異なる条件でプラズマ処理が施されて、異なる大きさのチャージアップダメージを受けた絶縁膜のIV特性を評価した結果と同様となる。
【0033】
図3に示すように、デバイスAは低電圧の印加によって大きな電流が流れている。これは、デバイスAのゲート絶縁膜が、既に絶縁破壊を起こしていることを示している。また、デバイスB乃至Eは絶縁破壊を起こしていないが、FNトンネル電流よりも低い電圧でリーク電流が発生している。更に、デバイスFはリーク電流が発生していない。
【0034】
図4は縦軸にリーク電流値をとり、横軸にアンテナ比をとって、各デバイスに発生するリーク電流値を示すグラフ図である。即ち、図4は各デバイスのゲート絶縁膜に10Vの電圧を印加した場合のリーク電流値をアンテナ比に対して示したものである。図4に示すように、リーク電流値はアンテナ比の大きさ、即ち、チャージアップによるダメージ量に比例して大きくなっている。
【0035】
一方、FNトンネル領域では、図3に示すように、デバイスB乃至Eは、デバイスFと殆ど同一のIV特性を有している。従って、GOI電圧を測定することによって絶縁膜のダメージを評価する従来の技術では、デバイスB乃至Eが受けたダメージの程度を評価することはできず、絶縁破壊を起こしたデバイスA(No-good)と絶縁破壊を起こしていないデバイスB乃至F(Good)との2段階で判定されるのみとなる。更に、デバイスB乃至Eは、絶縁膜のダメージを受けていないデバイスFと同一のダメージなし(Good)と判断されるので、ダメージの検出精度も低い。
【0036】
本実施例においては、図4に示すように、デバイスB乃至EとデバイスFとの違いを明確に評価することができると共に、デバイスB乃至Eの間のダメージの程度も判断することができる。従って、デバイスが受けたチャージアップダメージを、連続したダメージの変化として高精度に評価することができる。従って、例えば、種々の条件でMOSキャパシタにプラズマ処理を施した場合の絶縁膜のダメージの程度を評価することにより、実際の半導体装置の製造工程におけるプラズマ処理条件を適切に設定することができる。
【0037】
なお、前述の如く、プラズマ処理条件が一定であるとき、絶縁膜のダメージの程度はアンテナ比に比例し、デバイスの構造には依存しないので、本実施例に示すように、単純な三層構造の評価デバイスを使用して絶縁膜のダメージの程度を評価することができる。但し、評価デバイスの構造は、図1に示す構造に限定されず、本発明においては、種々のMOSキャパシタ構造を有する評価デバイスを使用することができる。
【0038】
図5及び図6は本発明に係る半導体装置の評価方法において使用することができる評価デバイスの構造例を示す断面図である。図5及び6に示すデバイスにおいて、図1と同一物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0039】
図5に示す評価デバイスは、図1に示す上部電極4を加工する前のポリシリコン膜8の上に、フォトレジスト9が選択的に形成されたものである。また、図6に示す評価デバイスは、上部電極4及びフィールド酸化膜2を含む表面全面に層間絶縁膜10が形成されており、この層間絶縁膜10は、ゲート絶縁膜3に整合する領域にコンタクトホール10aが設けられていて、更に、層間絶縁膜10の上に、コンタクトホール10aを埋める金属膜11が形成されたものである。
【0040】
このように構成された評価デバイスによっても、図1に示す評価デバイスと同様に、絶縁膜のダメージの程度を評価することができる。
【0041】
また、本実施例においては、プラズマエッチング装置を使用してエッチング処理時におけるチャージアップダメージを測定したが、本発明においては、その他のプラズマ処理、例えば、レジスト除去(アッシング)装置又はイオン注入装置を使用したレジスト除去時又はイオン注入時におけるチャージアップダメージを測定することができる。
【0042】
更に、本実施例においては、零電圧からダメージを受けていないMOSキャパシタが絶縁破壊する電圧まで各デバイスに電圧を印加し、そのデバイスのIV特性によって各デバイスの特性を評価した。しかし、本発明においては、MOSキャパシタのFNトンネル電流が発生する電圧よりも小さな所定の電圧、例えば10Vの電圧を印加した場合に発生するリーク電流のみを測定してもよい。この電圧は、例えば、MOSキャパシタの絶縁破壊電圧の5乃至70%の範囲で設定することができる。このようにすることにより、測定時間を著しく短縮することができる。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、MOSキャパシタを使用して、このMOSキャパシタの電流−電圧特性におけるFNトンネル電流が生じる電圧よりも低い電圧をMOSキャパシタに印加して、発生するリーク電流を測定するので、MOSキャパシタの絶縁膜のダメージの程度を高精度に評価することができ、このリーク電流の値により、半導体装置をプラズマ処理した場合の前記半導体装置の絶縁破壊ダメージの程度を高精度に評価することができる。また、本発明において使用するMOSキャパシタは単純な構造であるので、その評価方法が簡単になると共に、その評価時間を著しく短縮することができる。
【0044】
また、MOSキャパシタの絶縁膜及びアンテナ比を適切に設定すると共に、リーク電流を測定する電圧を適切に選択すると、実際の半導体装置に厳密に対比させることができると共に、ダメージの評価精度を向上させることができる。
【0045】
更に、絶縁膜の絶縁破壊ダメージの程度の評価結果により、前記プラズマ処理の条件を選択すると、実際の半導体装置の製造工程におけるプラズマ処理条件を適切に設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る半導体装置の評価方法において使用するMOSキャパシタ構造を示す断面図である。
【図2】(a)はチップが形成されたウエハを示す平面図であり、(b)はこのチップを拡大して示す平面図である。
【図3】ウエハ7上の1つのチップ6における各デバイスのIV特性を示すグラフ図である。
【図4】縦軸にリーク電流値をとり、横軸にアンテナ比をとって、各デバイスに発生するリーク電流値を示すグラフ図である。
【図5】本発明に係る半導体装置の評価方法において使用することができる評価デバイスの構造例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る半導体装置の評価方法において使用することができる評価デバイスの他の構造例を示す断面図である。
【図7】(a)はプラズマ処理中における基板表面のプラズマ電位の分布を示すグラフ図と、このプラズマ処理により発生する基板中の電流の流れを示す模式図であり、(b)は基板の一部を拡大して示す断面図である。
【図8】従来のIV測定法において使用するMOSキャパシタ構造を示す断面図である。
【図9】縦軸に電流をとり、横軸に電圧をとって、一般的なIV特性の例を示すグラフ図である。
【図10】縦軸に電圧をとり、横軸に時間をとって、プラズマ処理前のデバイスと、プラズマ処理後のデバイスとの絶縁破壊に至るまでの時間の比較を示すグラフ図である。
【図11】従来のCV測定法において使用するMNOS構造のデバイスを示す断面図である。
【符号の説明】
1、22、26、31;基板
2;フィールド絶縁膜
3、23;ゲート絶縁膜
4、24;上部電極
6;チップ
7;ウエハ
8;ポリシリコン膜
9;フォトレジスト
10;層間絶縁膜
11;金属膜
21;基体
28、34;電極
29;MOSキャパシタ
30a;リーク電流
30b;FNトンネル電流
30c;絶縁破壊
32;酸化膜
33;窒化膜
35;MNOS構造デバイス
A、B、C、D、E、F;デバイス

Claims (3)

  1. 半導体基板と、この半導体基板の上に形成された絶縁膜と、この絶縁膜の上に形成された電極とを有するMOSキャパシタをプラズマ処理した後、前記MOSキャパシタの電流−電圧特性におけるFNトンネル電流が生じる電圧よりも低い電圧を前記MOSキャパシタに与えて発生するリーク電流を測定し、半導体装置をプラズマ処理した場合の前記半導体装置の絶縁破壊ダメージの程度を前記MOSキャパシタのリーク電流により評価することを特徴とする半導体装置の評価方法。
  2. 前記MOSキャパシタは、前記絶縁膜の膜厚が10乃至300Åであり、前記電極が前記絶縁膜の面積の1乃至1000000倍の面積を有するものであって、前記リーク電流を測定する電圧は、前記MOSキャパシタの絶縁破壊電圧の5乃至70%の電圧であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の評価方法。
  3. 前記絶縁膜の絶縁破壊ダメージの程度の評価結果により、前記プラズマ処理の適正条件を設計することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の評価方法。
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