JP3641883B2 - Crawler track - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベル等のクローラ式車両の下部走行体を構成する履帯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クローラ式車両の一例として油圧ショベルがある。油圧ショベルは、図4に示したように、下部走行体1上に上部旋回体2を旋回可能に設け、この上部旋回体2には、運転室3が設置されると共に、図示は省略するが、ブーム,アーム及びバケット等のフロントアタッチメントからなるフロント作業機構が装着される。また、運転室3の後部位置にはエンジン,油圧ポンプ等の機器を収納した機会室4が設けられている。
【0003】
下部走行体1は、トラックフレーム10に装着したドライブタンブラ11とアイドラ12とを有し、このドライブタンブラ11とアイドラ12との間に履帯13が巻回して設けられる。履帯13は、図5に示したように、多数のトラックリンク14をトラックピン15を用いて順次相対回動可能に連結して無限走行軌条が形成される。また、トラックフレーム10の上部及び下部には、ドライブタンブラ11とアイドラ12との装着部位の中間に、それぞれ複数のローラ16,17が設けられ、走行時にはこれら各ローラ16,17が履帯13に沿って転動するようになっている。
【0004】
図6にトラックリンクの平面を、また図7にトラックリンク14の断面を示す。これらの図から明らかなように、トラックリンク14は中空の本体部20を有し、この本体部20には、図5にも示されているように、前後に位置するトラックリンク14とトラックピン15で連結される連結部21が前後方向に張り出すように設けられている。本体部20には、その一側の側面の中央に爪22が突出する状態に設けられており、この爪22はドライブタンブラ11の爪に係合しており、ドライブタンブラ11を回転させると、この爪の係合により履帯13が駆動されて、車両が走行することになる。そして、この爪22の両側には、ローラ16,17が転動する踏み面23となっている。踏み面23にはローラ16,17が転動するが、上側のローラ16は履帯13の重量を支承して、弛みが生じるのを防止するためのものである。一方、下側に位置するローラ17は、履帯13におけるドライブタンブラ11とアイドラ12との間の部位を地面に確実に当接させるためのものであり、実質的に車両の全重量がローラ17を介して履帯13に伝達されることになる。
【0005】
以上のように、トラックリンク14にはローラ17を介して車両の重量が作用することから、十分な強度を持たせなければならない。このために、本体部20は高い強度を有する鋼材から構成され、しかも軽量化を図るために中空としている。ただし、爪22及び踏み面23には極めて大きな荷重が作用することから、この部分の強度を特に向上させるために、爪22の両側の踏み面23の部位に、中空部分の内面に上下方向に掛け渡すようにして補強リブ24,24を連設させている。しかも、この補強リブ24,24の厚み及びその間の部位は強度の向上を図るために、ある程度の厚みを持たせている。一方、トラックリンク14の本体部20の踏み面23の外側の部分は、格別大きな荷重が作用しないことから、さらに軽量化を図るためにできるだけ薄肉としている。これにより、トラックリンクは、爪22及びその両側の踏み面23の部位にボックス形状の高強度部となし、この高強度部以外はできるだけ薄肉化して、軽量化を図っている。
【0006】
ところで、ボックス形状の高強度部の部位は、強度の観点のみからは、できるだけ厚肉に形成すれば良いが、必要以上の肉厚を持たせると、重量が増大することになるから、無闇に厚肉化することはできない。ここで、ローラ17は、左右一対の転動部17aと、両転動部17a間を連結する回転軸部17bとから構成され、回転軸部17bをトラックフレーム10に設けた軸受(図示せず)に回転自在に連結される。従って、踏み面23のうち、最も大きな荷重が作用するのは、ローラ17の転動部17aの幅方向の中心が当接する位置であり、この位置が荷重の作用点Wである。そこで、従来技術では、両補強リブ24の中心部間の間隔d1 をローラ17における転動部17a,17aの幅方向の中心部間の間隔d2 とほぼ一致させるようにしている。これによって、ローラ17の転動部17aによる荷重の作用点Wは補強リブ24の厚み方向のほぼ中央部に位置することから、この補強リブ24の厚みを最小限にしても、ローラ17の両転動部17a,17aの荷重がトラックリンク14のボックス形状となった高強度部により有効に受承される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、トラックリンク14の高強度部で有効に荷重を受承できるのは、ローラ17がこの踏み面23上に面接触している状態に限られる。この状態は、車両が停止している時か、または平坦な地面上を走行している時である。しかしながら、油圧ショベル等のクローラ式車両が走行する場所は、殆ど平坦な地面ではなく、凹凸,傾斜等があったり、岩石その他の突起物が存在する等、極めて足場の悪い場所である。しかも、地面からの突起物等を乗り越える時には、衝撃的な荷重が作用する。そして、このように凹凸のある部位を通過する際には、ローラ17とトラックリンク14との位置関係は、図8に示したように、トラックリンク14に対してローラ17の軸線が傾いた状態になる。
【0008】
前述したように、軽量化を考慮して、補強リブ24の厚みをローラ17の転動部17aの幅方向の寸法より小さくすると、この転動部17aは、そのエッジ部分がトラックリンク14に片当り状態になってしまう。この時には、ローラ17の転動部17aのエッジ部分は補強リブ24の外側、即ち本体部20のうちの脆弱な薄肉部分に片当りする。以上のことから、車両が悪路を走行する際には、ローラ17における転動部17aのエッジ部分がトラックリンク14の本体部20の高強度部を外れた薄肉の部分に繰り返し衝撃的な荷重が作用して、この本体部20における脆弱な薄肉部分が図8に仮想線で示したように、凹状に変形したり、損傷を生じたりする問題点がある。
【0009】
以上のような変形や損傷を防止するには、トラックリンク14の本体部20のうち、補強リブ24の厚みを少なくとも転動部17aの幅と同じか、それより大きくするか、本体部20のうち、補強リブ24の外側で転動部17aが当接する可能性のある部位に、ある程度の肉厚を持たせなければならなくなる。そうすると、トラックリンク14の重量が増加してしまうという問題点が生じる。
【0010】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、トラックリンクを格別重量化させずに、車両が走行条件の悪い場所を走行しても、トラックリンクが変形したり、損傷したりしないようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、中空ボックス形状からなり、一側面の中央部に爪を突出する状態に設けたトラックリンクをトラックピンで順次連結して無端状となし、ドライブタンブラとアイドラとの間に巻回して設けられ、車両の走行時には、トラックリンクの爪の両側の部位にローラが転動する踏み面を備え、このトラックリンクの踏み面の両側部の位置に補強リブを連設したものであって、ローラの幅を、両側の補強リブの内側端面間の間隔より広く、外側端面間の間隔より狭くなる構成としたことをその特徴とするものである。
【0012】
このためには、ローラの幅を狭くするか、または補強リブの間隔を広くする。さらには、ローラの幅を狭くした上で、補強リブの間隔を広げるようにしても良い。特に、ローラの幅を、両補強リブにおける厚みの中心間の間隔とほぼ一致するようにしておくと、さらに強度の向上を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の一形態について説明する。以下の説明においては、前述した従来技術の構成と同一または均等な部材については、それと同じ符号を用いて、その図示及び詳細な説明は省略する。
【0014】
而して、図1及び図2において、30はトラックリンク、31はその本体部、32は連結部をそれぞれ示す。ここで、トラックリンク30は、前述した従来技術のトラックリンク14とは、外観上では格別の差異はない。即ち、トラックリンク30における本体部31の一側表面のほぼ中央部分には、ドライブタンブラの爪に係合する爪33が突設されており、この爪33の左右両側は、ローラ17の転動部17aが転動する踏み面34となっている。また、トラックリンク30の断面を示す図2にもあるように、本体部31の内部には、一対の補強リブ35が連設されており、本体部31における両補強リブ35,35間の部位は厚肉化されて、全体としてほぼボックス形状となった高強度部が形成され、この高強度部を構成する補強リブ35の外側においては、本体部31の肉厚を薄くすることによって、軽量化を図るようにしている。
【0015】
然るに、本発明においては、両補強リブ35の位置は、前述した従来技術のものと比較して、より外側の位置に設けられている。即ち、ローラ17の幅をBとし、両補強リブ35,35間の外側端面間の間隔をD1 、内側端面間の間隔をD2 とした時に、D2 <B<D1 の関係を持たせるようにしている。即ち、ローラ17の両端部は、常に左右の補強リブ35が設けられている位置で、トラックリンク30の踏み面34に当接することになる。
【0016】
以上のように構成することによって、トラックリンク30に作用する荷重のうち、最も大きな荷重となるローラ17がトラックリンク30に対して傾いた時、即ち悪路等を走行する際に、図3に示したように、ローラ17のエッジ部分がトラックリンク30に対して片当り状態となる時に、その片当りする部分は、トラックリンク30全体のうち、補強リブ35を設けた最も強度が高い部位になる。従って、地面から盛り上がったり、岩石等の突起物が存在している部位を通過する時に、バウンドが生じて、ローラ17がトラックリンク30の踏み面34から一度離間した後に、再び衝突する等というように、ローラ17による衝撃的な荷重が繰り返し加わったとしても、トラックリンク30が変形する等のおそれがなく、十分な強度を保持する。
【0017】
このように、補強リブ35の位置を外側に変えることによって、トラックリンク30は、補強リブ35を含むボックス形状の高強度部の重量を格別増加させることなく、その強度の向上が図られて、全体としての履帯を長寿命化することができる。
【0018】
ところで、ローラ17とトラックリンク30の踏み面34との当接部のうち、最も大きな衝撃的荷重が加わるのは、このローラ17の転動部17aにおける外側のエッジ部分が当接する部位であるが、一般に、油圧ショベル等のクローラ式車両においては、悪路を走行する頻度はそれほど高くなく、土砂の掘削等の作業を行っている間でも、走行停止状態に保たれる場合が多く、しかも走行するにしろ、例えば掘削位置とダンプトラックとの位置との間を往復するというように、所定の位置間を繰り返し往復する場合が一般的である。この往復移動を行う場合には、ある程度整地を行ったり、踏み固められたりする等によって、地面は平坦になる。
【0019】
以上の結果、ローラ17の両転動部17aがトラックリンク30の踏み面34に対して面接触している時における強度も良好でなければならない。前述したように、ローラ17の幅Bは高強度部を区画形成している両補強リブ35,35間の外側間の間隔D1 に対して、B<D1 なる関係を有するから、ローラ17による荷重の作用点Wは、当然、高強度部の範囲内に位置する。しかしながら、高強度部のうち、補強リブ35が設けられている箇所が最も強度が高いことから、この荷重の作用点Wも補強リブ35が設けられている部位に位置しているのが強度の点から最も好ましい。
【0020】
そこで、前述したD2 <B<D1 の関係を持たせた上で、ローラ17の幅Bを、両補強リブ35,35間の外側間の間隔D1 と、内側間の間隔D2 との丁度中間の寸法とする。これによって、ローラ17における荷重の作用点W、即ち転動部17aの中間部分は補強リブ35上に位置するか、少なくとも補強リブ35に近接する位置となる。このように構成すれば、トラックリンク30における本体部31のうち、爪32が設けられている側の面では、補強リブ35を設けた高強度部から外側は実質的に荷重の作用がない部位となるから、この部位をさらに薄肉化でき、より重量を軽減できるようになる。このことから、荷重の作用点Wを確実に補強リブ35が設けられている部位とするために、補強リブ35の厚みを多少増したとしても、トラックリンク30の全体の重量は殆ど増加することはない。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、ローラの幅を、トラックリンクに設けた一対からなる補強リブ間の、内側端面の間隔より広く、外側端面の間隔より狭くなるように構成したから、トラックリンクを格別重量化させずに、車両が走行条件の悪い場所を走行して、ローラによりトラックリンクの本体部に衝撃的な荷重が作用しても、トラックリンクの一部が変形したり、損傷したりするのを確実に防止でき、トラックリンクの長寿命化が図られる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すトラックリンクの平面図である。
【図2】ローラと共に示す図1のX−X断面図である。
【図3】ローラが傾いた状態を示す図2と同様の断面図である。
【図4】クローラ式車両の一例としての油圧ショベルの全体構成図である。
【図5】履帯の要部平面図である。
【図6】トラックリンクの平面図である。
【図7】ローラと共に示す図6のY−Y断面図である。
【図8】ローラが傾いた状態を示す図7と同様の図である。
【符号の説明】
1 下部走行体
10 トラックフレーム
11 ドライブタンブラ
12 アイドラ
17 ローラ
17a 転動部
30 トラックリンク
31 本体部
32 連結部
33 爪
34 踏み面
35 補強リブ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a crawler belt constituting a lower traveling body of a crawler type vehicle such as a hydraulic excavator.
[0002]
[Prior art]
There is a hydraulic excavator as an example of a crawler type vehicle. As shown in FIG. 4, the hydraulic excavator is provided with an
[0003]
The
[0004]
FIG. 6 shows a plan view of the track link, and FIG. 7 shows a cross section of the
[0005]
As described above, since the weight of the vehicle acts on the
[0006]
By the way, the portion of the box-shaped high-strength portion may be formed as thick as possible only from the viewpoint of strength, but if the thickness is more than necessary, the weight will increase, so it is dark. It cannot be thickened. Here, the
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, the high-strength portion of the
[0008]
As described above, in consideration of weight reduction, if the thickness of the reinforcing
[0009]
In order to prevent the above deformation and damage, the thickness of the reinforcing
[0010]
The present invention has been made in view of the above points, and the object of the present invention is to deform the track link even if the vehicle travels in a bad traveling condition without making the track link particularly heavy. It is to prevent it from being damaged.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above-mentioned object, the present invention has a hollow box shape, and a track link provided in a state in which a claw projects from a central portion of one side surface is sequentially connected with a track pin to form an endless shape. When the vehicle is running, it is provided with treads on which the rollers roll on both sides of the track link claws, and reinforcing ribs at the positions on both sides of the track link treads. The width of the roller is wider than the interval between the inner end surfaces of the reinforcing ribs on both sides, and is smaller than the interval between the outer end surfaces.
[0012]
For this purpose, the width of the roller is reduced or the interval between the reinforcing ribs is increased. Furthermore, the interval between the reinforcing ribs may be increased after the width of the roller is reduced. In particular, if the width of the roller is made to substantially coincide with the distance between the centers of the thicknesses of both reinforcing ribs, the strength can be further improved.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings. In the following description, the same or equivalent members as those of the above-described conventional technology are denoted by the same reference numerals, and illustration and detailed description thereof are omitted.
[0014]
Thus, in FIGS. 1 and 2, 30 indicates a track link, 31 indicates a main body portion thereof, and 32 indicates a connecting portion. Here, the
[0015]
However, in the present invention, the positions of both the reinforcing
[0016]
With the configuration described above, when the
[0017]
Thus, by changing the position of the reinforcing
[0018]
By the way, among the abutting portions between the
[0019]
As a result, the strength when both rolling
[0020]
Therefore, with the above-mentioned relationship of D 2 <B <D 1 , the width B of the
[0021]
【The invention's effect】
As described above, since the roller width is configured so as to be wider than the interval between the inner end surfaces and between the outer end surfaces between the pair of reinforcing ribs provided on the track link, the track link has an extra weight. Even if the vehicle travels in a place with poor driving conditions and an impact load is applied to the main body of the track link by the roller, a part of the track link may be deformed or damaged. It can be surely prevented, and the track link has a long life.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a plan view of a track link showing an embodiment of the present invention.
2 is a cross-sectional view taken along a line XX in FIG. 1 shown together with a roller.
FIG. 3 is a cross-sectional view similar to FIG. 2 showing a state in which the roller is tilted.
FIG. 4 is an overall configuration diagram of a hydraulic excavator as an example of a crawler type vehicle.
FIG. 5 is a plan view of a main part of the crawler belt.
FIG. 6 is a plan view of a track link.
7 is a cross-sectional view taken along the line YY of FIG. 6 shown with a roller.
FIG. 8 is a view similar to FIG. 7 showing a state in which the roller is inclined.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
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