JP3641620B2 - ダイバーシチ受信装置及びダイバーシチ送受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、複数の受信アンテナを具備し、ダイバーシチ受信を行う無線データ伝送システムの受信機能を部分的にスリープさせる制御方法に関する。更に本発明は、複数の送信アンテナを具備し、送信アンテナ数が可変である装置における送信アンテナ数の制御方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話、無線LAN等の需要は高まっており、無線通信システムの役割は極めて重要である。また、放送分野においてもデジタル化の動きが進んでおり、無線データ伝送システムに対する期待は大きい。
【0003】
無線データ伝送システムは、携帯性、設置の容易性、コスト等の点で、有線のデータ伝送システムに比べ著しく有利である。一方、無線データ伝送システムでは、データ伝送が空間を介して行われるため、通信の最中においても伝送路状態が大きく変化すること、多重反射電波伝播(マルチパス)の影響を受けることにより、その通信品質が大きく劣化する。この影響を緩和する方法の一つにダイバーシチ受信があり、複数のアンテナから受信した信号を適切に合成することで、受信信号レベルが大きく落ち込む確率を低減し、通信品質の向上に寄与する。
【0004】
しかしながら、複数のアンテナを用いて受信を行うことは、その消費電力が大きくなり、特に電力供給に制限のある可搬性の装置においては実現の妨げになり得る。
【0005】
消費電力を低減するものとして、特開平11−284599号公開公報に記載されているように、間欠受信の休止期間に電力を節減する受信装置が知られているが、複数アンテナを用いてダイバーシチ受信ができる装置に関するものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、従来、高品質な無線データ伝送システムを実現するために、ダイバーシチ受信を行う方法があったが、複数の受信機能を動作させる必要があり、消費電力が大きいという問題点があった。
【0007】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、消費電力を低減することができるダイバーシチ受信装置などを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるダイバーシチ受信装置は、複数のアンテナと、これらのアンテナの受信信号強度を部分帯域毎に測定する部分帯域受信信号強度測定部と、少なくとも一組以上の前記アンテナの組の部分帯域受信信号強度の相関値を算出する部分帯域受信信号強度相関値算出部と、前記複数のアンテナの受信信号を各々処理する複数のアナログ信号処理部と、これらのアナログ信号処理部の出力を各々デジタル信号に変換する複数のアナログ−デジタル変換部と、これらのアナログ−デジタル変換部の出力信号を各々処理する複数のデジタル信号処理部と、前記部分帯域受信信号強度相関値算出部により算出された、前記相関値が予め定めた基準値より大きいアンテナの組が存在する場合にその組を成す一方のアンテナを選択し、該当するアンテナ以外のアンテナに対応する、前記部分帯域受信信号強度測定部、前記部分帯域受信信号強度相関値算出部、前記アナログ信号処理部、前記アナログ−デジタル変換部及び前記デジタル信号処理部の少なくとも1つを停止する手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る複数の受信アンテナを具備する装置は、複数のアンテナから受信した信号を利用する必要の無い環境や、複数のアンテナから受信した信号を利用しても効果の低い環境下に限り、一部のアンテナ及びその周辺機能の動作を停止することで消費電力の低減を図る。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1、図2、および、図3はそれぞれ、本発明に係るダイバーシチ受信装置の実施形態の例を示しており、いずれも3つのアンテナ及び前記3つのアンテナの受信信号をそれぞれデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部を具備し、かつ、前記3つのアンテナの受信信号強度をそれぞれ測定する受信信号強度測定部を具備する構成である。
【0012】
図1は、本発明に係るダイバーシチ受信装置の第1の構成例を示す図であり、アナログ信号の段階で受信信号強度を測定する構成である。アンテナ101、アンテナ105、アンテナ109で受信した信号は、それぞれ、周波数変換部102、106、110により周波数変換され、アナログ−デジタル変換部103、107、111によりデジタル信号に変換された後、復調部114に入力され、受信データ信号が抽出される。
【0013】
一方、周波数変換部102、106、110は、受信信号強度測定部104、108、113に対する信号出力も行う。動作停止アンテナ選択部113は、受信信号強度測定部104、108、112から出力される受信信号強度を受け、予め定めた基準に合致するアンテナが存在する場合には、該アンテナ及び該アンテナが受信する信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部に対して動作停止を指示する信号を出力する。動作停止アンテナ選択部の詳細な動作に関しては後述する。
【0014】
図2は、本発明に係るダイバーシチ受信装置の第2の構成例を示す図であり、デジタル信号に変換された受信信号を用いて受信信号強度を測定する構成である。アンテナ201、アンテナ205、アンテナ209で受信した信号は、それぞれ、周波数変換部202、206、210により周波数変換され、アナログ−デジタル変換部203、207、211によりデジタル信号に変換された後、復調部214に入力され、受信データ信号が抽出される。
【0015】
一方、受信信号強度測定部204、208、212も、アナログ−デジタル変換部203、207、211からデジタル信号に変換された受信信号を入力とする。動作停止アンテナ選択部213は、受信信号強度測定部204、208、212から出力される受信信号強度を受け、予め定めた基準に合致するアンテナが存在する場合には、該アンテナ及び該アンテナが受信する信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部に対して動作停止を指示する信号を送信する。動作停止アンテナ選択部の詳細な動作に関しては後述する。
【0016】
図3は、本発明に係るダイバーシチ受信装置の第3の構成例を示す図であり、FFT (Fast Fourier Transfer : 高速フーリエ変換) 部の出力信号を用いて受信信号電力を測定する構成である。アンテナ301、アンテナ306、アンテナ311で受信した信号は、それぞれ、周波数変換部302、307、311により周波数変換され、アナログ−デジタル変換部303、308、313によりデジタル信号に変換される。アナログ−デジタル変換部303、308、313により出力されるデジタル信号は、FFT304、309、314によりフーリエ変換される。FFT304、309、314の出力信号は、復調部317に入力され、受信データ信号が抽出される。
【0017】
一方、受信信号強度測定部305、310、315も、FFT304、309、314の出力信号を入力とする。動作停止アンテナ選択部316は、受信信号強度測定部305、310、315から出力される受信信号強度を受け、予め定めた基準に合致するアンテナが存在する場合には、該アンテナ及び該アンテナが受信する信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部に対して動作停止を指示する信号を送信する。動作停止アンテナ選択部の詳細な動作に関しては後述する。
【0018】
図4は、本発明に係るダイバーシチ受信装置における動作停止アンテナ選択部の詳細な動作の一形態を説明するための図である。
【0019】
受信アンテナ数は3で、401、402、403は各アンテナの受信信号強度を示しており、選択の基準を受信信号強度が最大のアンテナの受信信号強度に対して R1 dB低い値とする。図4において、受信信号強度が最大のアンテナはアンテナ1であり、アンテナ1の受信信号強度404に対して R1 [dB] 低い値405が選択の基準となる。そして、アンテナ2の受信信号強度402が基準405より小さいので、アンテナ2が選択され、アンテナ2及びアンテナ2から受信する信号をデジタル信号に変換するデジタル−アナログ変換部の動作を停止する。
【0020】
アンテナ3の受信信号強度403は、基準405より大きいためアンテナ3は選択されない。アンテナ2から受信する信号をデジタル−アナログ変換部への入力信号に変換するアナログ信号処理部、すなわち、図1における周波数変換部106及び受信信号強度測定部108、図2における周波数変換部206、図3における周波数変換部307の動作を併せて停止してもよい。さらに、該デジタル−アナログ変換部の出力信号を処理する信号処理部、すなわち、図2における受信信号強度測定部208、図3におけるFFT309及び受信信号強度測定部310の動作を併せて停止しても良い。
【0021】
本実施形態において選択の基準は、アンテナ毎の受信信号強度の相対的な比と定めたが、絶対的な受信信号電力値であってもよい。このように受信信号強度が際立って小さいアンテナ及び該アンテナから受信する信号をデジタル信号に変換する機能を停止することで、受信装置の消費電力を低減することができる。受信信号強度が際立って小さいアンテナから受信する信号の、正しい受信データを得ることへの寄与は小さいため、この信号の受信を停止することによる通信品質の劣化は小さいと考えられる。
【0022】
図5、図6、および、図7はそれぞれ、本発明に係るダイバーシチ受信装置の実施形態の例を示しており、いずれも3つのアンテナ及び前記3つのアンテナの受信信号をそれぞれデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部を具備し、かつ、前記3つのアンテナの部分帯域毎の受信信号強度をそれぞれ測定する部分帯域受信信号強度測定部を具備する構成である。
【0023】
図5は、本発明に係るダイバーシチ受信装置の第4の構成例を示す図であり、アナログ信号の段階で部分帯域受信信号強度を測定する構成である。アンテナ501、アンテナ505、アンテナ509で受信した信号は、それぞれ、周波数変換部502、506、510により周波数変換され、アナログ−デジタル変換部503、507、511によりデジタル信号に変換された後、復調部514に入力され、受信データ信号が抽出される。
【0024】
一方、周波数変換部502、506、510は、部分受信信号強度測定部504、508、513に対する信号出力も行う。動作停止アンテナ選択部513は、部分受信信号強度測定部504、508、512から出力される部分受信信号強度を受け、予め定めた基準に合致するアンテナが存在する場合には、該アンテナ及び該アンテナが受信する信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部に対して動作停止を指示する信号を出力する。動作停止アンテナ選択部の詳細な動作に関しては後述する。
【0025】
図6は、本発明に係るダイバーシチ受信装置の第5の構成例を示す図であり、デジタル信号に変換された受信信号を用いて部分帯域受信信号強度を測定する構成である。アンテナ601、アンテナ605、アンテナ609で受信した信号は、それぞれ、周波数変換部602、606、610により周波数変換され、アナログ−デジタル変換部603、607、611によりデジタル信号に変換された後、復調部614に入力され、受信データ信号が抽出される。
【0026】
一方、アナログ−デジタル変換部603、607、611の出力信号は、部分受信信号強度測定部604、608、612にも入力され、部分帯域毎の受信信号が算出される。動作停止アンテナ選択部613は、部分受信信号強度測定部604、608、612から出力される部分受信信号強度を受け、予め定めた基準に合致するアンテナが存在する場合には、該アンテナ及び該アンテナが受信する信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部に対して動作停止を指示する信号を送信する。動作停止アンテナ選択部の詳細な動作に関しては後述する。
【0027】
図7は、本発明に係るダイバーシチ受信装置の第6の構成例を示す図であり、FFTの出力信号を用いて部分帯域受信信号強度を測定する構成である。アンテナ701、アンテナ706、アンテナ711で受信した信号は、それぞれ、周波数変換部702、707、712により周波数変換され、アナログ−デジタル変換部703、708、713によりデジタル信号に変換される。アナログ−デジタル変換部703、708、713により出力されるデジタル信号は、FFT 704、709、714によりフーリエ変換される。FFT704、709、714の出力信号は、復調部717に入力され、受信データ信号が抽出される。
【0028】
一方、FFT704、709、714の出力信号は、部分受信信号強度測定部705、710、715にも入力され、部分帯域毎の受信信号電力が測定される。動作停止アンテナ選択部716は、部分受信信号強度測定部705、710、715から出力される部分受信信号強度を受け、予め定めた基準に合致するアンテナが存在する場合には、該アンテナ及び該アンテナが受信する信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部に対して動作停止を指示する信号を送信する。動作停止アンテナ選択部の詳細な動作に関しては後述する。
【0029】
図8は、本発明に係るダイバーシチ受信装置における動作停止アンテナ選択部の詳細な動作の一形態を説明する図である。受信アンテナはアンテナ1、アンテナ2、アンテナ3、の3つで、本実施例に係る受信装置は、それぞれのアンテナの受信信号帯域を4帯域に分割した、部分帯域1、部分帯域2、部分帯域3、部分帯域4の受信信号強度をそれぞれ測定する機能を有する。
【0030】
アンテナ1の、部分帯域1の受信信号強度を801に、部分帯域2の受信信号強度を802に、部分帯域3の受信信号強度を803に、部分帯域4の受信信号強度を804に示し、アンテナ2の部分帯域1、部分帯域2、部分帯域3,部分帯域4の受信信号強度をそれぞれ、805、806、807、808に、アンテナ3の部分帯域1、部分帯域2、部分帯域3,部分帯域4の受信信号強度をそれぞれ、809、810、811、812に示している。
【0031】
ここで、部分帯域受信信号強度が、同一部分帯域の受信信号強度が最大であるアンテナのそれより R2 以上小さい値を選択の基準とし、部分帯域2及び部分帯域4をアンテナ選択の対象とする。部分帯域2の受信信号強度に着目すると、アンテナ2の受信信号強度は、アンテナ1の受信信号強度よりR2 [dB] 以上小さく、かつ、部分帯域4においても同様の関係が成立している。よって、アンテナ2の部分帯域受信信号強度は基準より小さいと判定され、アンテナ2及びアンテナ2から受信する信号をデジタル信号に変換するデジタル−アナログ変換部の動作を停止する。アンテナ2から受信する信号をデジタル−アナログ変換部への入力信号に変換するアナログ信号処理部、すなわち、図5における周波数変換部506及び受信信号強度測定部508、図6における周波数変換部606、図7における周波数変換部707の動作を併せて停止してもよい。
【0032】
さらに、該デジタル−アナログ変換部の出力信号を処理する信号処理部、すなわち、図6における受信信号強度測定部608、図3におけるFFT709及び受信信号強度測定部710の動作を併せて停止しても良い。本実施例において、選択基準の対象は一部の部分帯域としたが、全部分帯域を選択基準の対象としてもよい。また、本実施例における選択の基準は相対的な部分帯域受信信号強度比としたが、絶対的な部分帯域受信信号電力値であってもよい。このように、部分帯域毎に受信信号強度を測定し、これに基づいて動作を停止するアンテナを選択することで、通信品質の劣化を抑えつつ受信装置の消費電力を低減できることが期待される。
【0033】
図9は、本発明に係るダイバーシチ受信装置における動作停止アンテナ選択部の詳細な動作の一形態を説明する図である。
【0034】
受信アンテナはアンテナ1(上記アンテナ101,201,301,501,601,701に相当。以下同じ)、アンテナ2(上記アンテナ105,205,305,505,605,705に相当。以下同じ)、アンテナ3(上記アンテナ109,209,309,509,609,709に相当。以下同じ)の3つで、本実施例に係る受信装置は、それぞれのアンテナの受信信号帯域を4帯域に分割した、部分帯域1、部分帯域2、部分帯域3、部分帯域4の受信信号強度をそれぞれ測定する機能を有する。
【0035】
アンテナ1の、部分帯域1の受信信号強度を901に、部分帯域2の受信信号強度を902に、部分帯域3の受信信号強度を903に、部分帯域4の受信信号強度を904に示し、アンテナ2の部分帯域1、部分帯域2、部分帯域3,部分帯域4の受信信号強度をそれぞれ、905、906、907、908に、アンテナ3の部分帯域1、部分帯域2、部分帯域3,部分帯域4の受信信号強度をそれぞれ、909、910、911、912に示している。ここで、部分帯域2及び部分帯域4を選択基準の対象とし、この両部分帯域受信信号強度がr [W] より大きいことを選択の基準とする。
【0036】
アンテナ1に着目すると、部分帯域2及び部分帯域4の受信信号強度が共に r [W] より大きい。よって、アンテナ1の部分帯域信号強度は選択の基準より大きいと判定され、アンテナ1以外のアンテナ、すなわち、アンテナ2及びアンテナ3、並びに、アンテナ2及びアンテナ3から受信する信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部の動作を停止する。アンテナ2及びアンテナ3から受信する信号をアナログ−デジタル変換部への入力信号に変換するアナログ信号処理部と、ここで動作を停止するアナログ−デジタル変換部の出力信号のみを処理するデジタル信号処理部の動作を併せて停止しても良い。
【0037】
図9において、部分帯域受信信号強度が選択の基準より大きいアンテナは唯一つだけ存在するが、これが複数存在する場合には該当するアンテナの少なくとも一つ以上のアンテナを動作停止アンテナから除外すればよい。本実施例において、選択基準の対象は一部の部分帯域としたが、全部分帯域を選択基準の対象としてもよい。また、本実施例において選択の基準は絶対的な部分帯域受信信号強度値としたが、他のアンテナとの相対的な部分帯域受信信号強度比を選択の基準としてもよい。このように、部分帯域毎に受信信号強度を測定し、これに基づいて動作を停止するアンテナを選択することで、通信品質の劣化を抑えつつ受信装置の消費電力を低減できる。
【0038】
図10、図11、および、図12は、請求項4に係るダイバーシチ受信装置における動作停止アンテナ選択方法の一実施の形態を説明する一連の図である。受信アンテナはアンテナ1、アンテナ2、アンテナ3の3つで、本実施例に係る受信装置は、それぞれのアンテナの受信信号帯域を4帯域に分割した、部分帯域1、部分帯域2、部分帯域3、部分帯域4の受信信号強度をそれぞれ測定する機能を有する。
【0039】
アンテナ1の、部分帯域1の受信信号強度を1001に、部分帯域2の受信信号強度を1002に、部分帯域3の受信信号強度を1003に、部分帯域4の受信信号強度を1004に示し、アンテナ2の部分帯域1、部分帯域2、部分帯域3,部分帯域4の受信信号強度をそれぞれ、1005、1006、1007、1008に、アンテナ3の部分帯域1、部分帯域2、部分帯域3,部分帯域4の受信信号強度をそれぞれ、1009、1010、1011、1012に示している。
【0040】
また、本実施形態に係る受信装置は、アンテナ1対アンテナ2、アンテナ2対アンテナ3、アンテナ3対アンテナ1の前記部分帯域受信信号強度の相関値を算出する機能を有し、かつ、前記部分帯域受信信号強度のアンテナ毎の平均値を求める機能を有する。図11は、アンテナ1対アンテナ2、アンテナ2対アンテナ3、アンテナ3対アンテナ1の部分帯域受信信号強度の相関値をそれぞれ、1101、1102、1103に示し、図12は、アンテナ1、アンテナ2、アンテナ3の部分帯域受信信号強度の平均値をそれぞれ、1201、1202、1203に示している。
【0041】
ここで、アンテナ1対アンテナ2を例に前記「相関値」を具体的に説明する。図10における部分帯域受信信号強度、1001をa1、1002をa2、1003をa3、1004をa4、1005をb1、1006をb2、1007をb3、1008をb4と表記し、部分帯域受信信号強度の相関値を
【数1】
で定義する。他のアンテナの組の相関値も同様に算出される。ここで、相関値の基準値をAとし、これより大きい相関値を示すアンテナの組の、前記平均値の小さいアンテナの動作を停止するものとする。
【0042】
図11に示すように、アンテナ3対アンテナ1の相関値1103が閾値Aより大きく、図12に示すように、アンテナ3とアンテナ1の部分帯域受信信号強度の平均値1201及び1203では、アンテナ3の平均値1203の方が小さい。よって、アンテナ3が選択され、アンテナ3及びアンテナ3から受信する信号をデジタル信号に変換するデジタル−アナログ変換部の動作を停止する。このように伝送路に相関性の強いアンテナの、受信信号強度の小さい一方の動作を停止すことで、通信品質の劣化を抑えつつ、受信装置の消費電力を低減できる。
【0043】
変調方式にOFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 等のマルチキャリア変調を採用したシステムでは、データの復調処理にしばしばフーリエ変換が用いられ、前記「部分帯域」は「サブキャリア」と呼ばれることがある。このため、上述のダイバーシチ受信装置は、図7に示したようにFFTの出力信号を用いて部分帯域受信信号強度を測定する構成とすることで、フーリエ変換を行う機能、すなわち、FFTが、動作停止アンテナ選択のみでなく、データの復調処理にも活用され、本発明の実施に伴う回路規模の増加が小さくなる。ゆえに、図7に示した本発明に係るダイバーシチ受信装置の第6の構成例はOFDM等のマルチキャリア変調を用いるシステムに特に好適であると言える。
【0044】
図13は、本発明に係るダイバーシチ受信装置の一構成例を示す図である。アンテナ1301、アンテナ1306、アンテナ1311で受信した信号は、それぞれ、周波数変換部1302、1307、1312により周波数変換され、アナログ−デジタル変換部1303、1308、1313によりデジタル信号に変換される。アナログ−デジタル変換部1303、1308、1313により出力されるデジタル信号は、FFT 1304、1309、1314によりフーリエ変換される。FFT1304、1309、1314の出力信号は、復調部1317に入力され、受信データ信号が抽出される。
【0045】
一方、FFT1304、1309、1314の出力信号は、部分受信信号強度測定部1305、1310、1315にも入力され、部分帯域毎の受信信号電力が測定される。動作停止アンテナ選択部1316は、記憶部1318の内容が有効な場合にはその内容を読み取り、該アンテナ及び該アンテナが受信する信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部に対して動作停止を指示する信号を送信する。前記記憶部の内容が無効な場合には、部分受信信号強度測定部1305、1310、1315から出力される部分受信信号強度を受け、予め定めた基準に合致するアンテナを選択し、該アンテナ及び該アンテナが受信する信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部に対して動作停止を指示する信号を送信する。
【0046】
さらに、上述の選択結果を記憶部に上書きする。動作停止アンテナ選択の基準は、第1乃至第6の構成例のいずれであっても良い。記憶期間制御部1319は、復調部1317から伝送路応答を得て、最も近い過去に動作停止アンテナを記憶した時刻の伝送路応答と現在の伝送路応答の相関値を算出し、前記相関値が予め定めた値の範囲にある場合に、記憶部の内容を有効とする。このように、伝送路が大きく変動しない間は動作停止アンテナを一定とすることで、動作停止アンテナ選択に伴う処理を低減することができ、消費電力の一層の低減が実現される。
【0047】
図14は、本発明に係るダイバーシチ送受信装置の一構成例を示す図であり、アンテナ数は2である。アンテナ1401、アンテナ1407で受信した信号は、それぞれ、送受切替部1402、1408を経た後、周波数変換部1403、1409により周波数変換され、アナログ−デジタル変換部1404、1410によりデジタル信号に変換される。アナログ−デジタル変換部1404、1410により出力されるデジタル信号は、FFT 1405、1411によりフーリエ変換される。FFT1405、1411の出力信号は、復調部1413に入力され、受信データ信号が抽出される。
【0048】
一方、FFT1405、1411の出力信号は、部分受信信号強度測定部1406、1412にも入力され、部分帯域毎の受信信号電力が測定される。動作停止アンテナ選択部1414は、記憶部1415の内容が有効な場合にはその内容を読み取り、該アンテナ及び該アンテナから受信する信号を処理する、送受信切替部、周波数変換部、アナログ−デジタル変換部、FFT、部分帯域受信信号強度測定部に対して動作停止を指示する信号を送信する。
【0049】
前記記憶部の内容が無効な場合には、部分受信信号強度測定部1406、1412から出力される部分受信信号強度を受け、予め定めた基準に合致するアンテナを選択し、該アンテナ及び該アンテナが受信する信号を処理するアナログ信号処理部、すなわち、送受信切替部、周波数変換部、並びにアナログ−デジタル変換部、並びにアナログ−デジタル変換部の出力信号を処理するデジタル信号処理部、すなわち、FFT、部分帯域受信信号強度測定部に対して動作停止を指示する信号を送信する。そして、上述の選択結果を記憶部に上書きする。
【0050】
動作停止アンテナ選択の基準は、第1乃至第6の構成例のいずれであっても良い。動作記憶期間制御部1416は、復調部1413から伝送路応答を得て、最も近い過去に動作停止アンテナを記憶した時刻の伝送路応答と現在の伝送路応答の相関値を算出し、前記相関値が予め定めた値の範囲にある場合に記憶部の内容を有効とする。そして、送信時には動作停止アンテナ制御部1414は、記憶部1415の内容を読み取り、この内容に従い送信を行うアンテナを決定する。
【0051】
ここで、アンテナ2が動作停止アンテナとして選択されたものとすると、アンテナ1からのみ信号を送信することになり、アンテナ2、送受切替部1408、周波数変換部1426、デジタル−アナログ変換部1425、高速逆フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform)を行うIFFT1424には動作停止を指示する信号が送信される。変調部1417は、アンテナ1から送信する信号を生成し、この信号が、IFFT1421、デジタル−アナログ変換部1422、周波数変換部1423、送受信切替部1402で所定の処理を施された後、アンテナ1から送信される。このように受信アンテナの動作停止にならい送信アンテナの動作を停止することで、通信品質の劣化を抑えつつ、送信に伴う消費電力を低減することができる。上述のダイバーシチ送受信装置は、受信する信号の周波数と送信する信号の周波数が同一、乃至類似しているシステムにおいて効果が大きく、時分割にて双方向通信を実現しているシステムに特に好適である。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、複数のアンテナを具備するダイバーシチ通信装置において、通信品質の劣化を抑えつつ、一部のアンテナの動作を停止することが可能となり、装置の消費電力低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるダイバーシチ受信装置の第1の実施形態の構成例を示す図。
【図2】本発明によるダイバーシチ受信装置の第2の実施形態の構成例を示す図。
【図3】本発明によるダイバーシチ受信装置の第3の実施形態の構成例を示す図。
【図4】本発明によるダイバーシチ受信装置における動作停止アンテナ選択部の動作を説明するため図。
【図5】本発明によるダイバーシチ受信装置の第4の実施形態の構成例を示す図。
【図6】本発明によるダイバーシチ受信装置の第5の実施形態の構成例を示す図。
【図7】本発明によるダイバーシチ受信装置の第6の実施形態の構成例を示す図。
【図8】本発明によるダイバーシチ受信装置における動作停止アンテナ選択部の動作を説明するための図。
【図9】本発明によるダイバーシチ受信装置における動作停止アンテナ選択部の動作を説明するための図。
【図10】本発明によるダイバーシチ受信装置における動作停止アンテナ選択部の動作を示す一連の説明の第1の図。
【図11】本発明によるダイバーシチ受信装置における動作停止アンテナ選択部の動作を示す一連の説明の第2の図。
【図12】本発明によるダイバーシチ受信装置における動作停止アンテナ選択部の動作を示す一連の説明の第3の図。
【図13】本発明によるダイバーシチ受信装置の他の実施形態の構成例を示す図。
【図14】本発明によるダイバーシチ送受信装置の他の実施形態の構成例を示す図。
【符号の説明】
101,105,109,201,205,209,301,306,311,501,505,509,601,605,609,701,706,711・・・アンテナ、
102,106,110,202,206,210,302,307,312,502,506,509・・・周波数変換部、
104,108,112,204,208,212,305,310,315・・・受信信号強度測定部、
113,213,316・・・動作停止アンテナ選択部、
114,214,317・・・復調部。
Claims (3)
- 複数のアンテナと、
これらのアンテナの受信信号強度を部分帯域毎に測定する部分帯域受信信号強度測定部と、
少なくとも一組以上の前記アンテナの組の部分帯域受信信号強度の相関値を算出する部分帯域受信信号強度相関値算出部と、
前記複数のアンテナの受信信号を各々処理する複数のアナログ信号処理部と、
これらのアナログ信号処理部の出力を各々デジタル信号に変換する複数のアナログ−デジタル変換部と、
これらのアナログ−デジタル変換部の出力信号を各々処理する複数のデジタル信号処理部と、
前記部分帯域受信信号強度相関値算出部により算出された、前記相関値が予め定めた基準値より大きいアンテナの組が存在する場合にその組を成す一方のアンテナを選択し、該当するアンテナ以外のアンテナに対応する、前記部分帯域受信信号強度測定部、前記部分帯域受信信号強度相関値算出部、前記アナログ信号処理部、前記アナログ−デジタル変換部及び前記デジタル信号処理部の少なくとも1つを停止する手段とを有することを特徴とするダイバーシチ受信装置。 - 動作が停止しているアンテナを記憶する記憶部と、
前記記憶部の内容の有効期間を制御する記憶期間制御部と、
前記記憶部の内容が有効な期間には、記憶部の内容に従い動作停止アンテナを決定し、かつ、記憶部の内容が無効な期間には、所定の方法により動作を停止させるアンテナを決定する動作停止アンテナ選択部とを更に備えて成ることを特徴とする請求項1に記載のダイバーシチ受信装置。 - ダイバーシチ送信機能を有するダイバーシチ送信装置及びダイバーシチ受信機能を有するダイバーシチ受信装置とを有するダイバーシチ送受信装置であって、
前記ダイバーシチ受信装置は、
複数のアンテナと、
これらのアンテナの受信信号強度を部分帯域毎に測定し、少なくとも一組以上の前記アンテナの組の部分帯域受信信号強度の相関値を算出し、この相関値が予め定めた基準値より大きいアンテナの組が存在する場合にその組を成す一方のアンテナを選択し、該当するアンテナ以外のアンテナの少なくとも一部を停止するアンテナ停止制御部と、
このアンテナ停止制御部により動作を停止させているアンテナを記憶する記憶部と、
前記記憶部の内容の有効期間を制御する記憶期間制御部と、
前記記憶部の内容が有効な期間には、記憶部の内容に従い動作停止アンテナを決定し、かつ、記憶部の内容が無効な期間には、所定の方法により動作を停止させるアンテナを決定する動作停止アンテナ選択部と、
前記選択されたアンテナの受信信号をアナログ−デジタル変換部への入力信号に変換するアナログ信号処理部と、
前記アナログ−デジタル変換部の出力信号を処理するデジタル信号処理部と、
このデジタル信号処理部の一部または全ての動作を停止させる手段とを有し、
前記ダイバーシチ送信装置は、送信アンテナ数が可変であり、かつ前記記憶部の内容に従い、動作が停止していないアンテナを送信アンテナとして選択する手段とを有することを特徴とするダイバーシチ送受信装置。
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