JP3639869B2 - 対象物表面の色を再現した立体画像を作成する立体観察装置および方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、市販のデジタルカメラやデジタル顕微鏡などの画像取得機器を通じて取得された観察対象物のデジタル画像イメージにより立体構造を表示する立体観察装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラやデジタル顕微鏡においては、立体的な構造を観察する場合、被写界深度により観察対象物のほとんどの部分がぼやけてしまうことがある。この場合には、観察対象物そのものを回転・移動させ、再度焦点を合わせることにより、観察したい立体構造を明らかにする作業を行わなければならない。
【0003】
ところが、従来の技術において、顕微鏡などでは、被写界深度が極めて浅いため、観察対象物の像がボケた部分がほとんどとなってしまい、観察対象物に存在する3次元構造や表面の色構造を観察対象物の全体に渡って観察することができない。そのため、従来においては、まず、観察対象物全体について焦点のあった画像を得る技術への要求が存在した。
【0004】
さらに、小型の昆虫や機械部品等の細かく入り組んだ観察対象物を、顕微鏡などを用いて観察する場合、得られる2次元画像からその立体構造を観察することは困難であった。
このような観察対象物の2次元画像から立体的な画像を得る技術については、たとえば、論文、Shree K.Nayar「Shape from focus system 」(Proc.of CVPR,pp.302-308,1992)に開示されているように、観察対象物の合焦点部分を抽出することによって、顕微鏡等のレンズからの相対的位置を得るといった方法が存在する。この方法では観察対象物の合焦点部分を抽出手段として、その2次元デジタル画像に複雑なアルゴリズムを用いたコンピュータ処理をほどこして合焦点のピクセルを求めようとしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法では合焦点の周囲の明るい部分から光が干渉等によって合焦点部分に入り込み、その領域がボケるため、合焦点部分へノイズとして影響してしまう。そのため、取得された2次元画像より合焦点部分を鮮明な形で抽出することは極めて難しかったのである。さらに、3次元化のプロセス自体、合焦点部分抽出の精度に依存するため、正確な3次元画像を生成することは困難であった。そこで、上述の従来の技術の問題を鑑みてなされた特願2000−371887号では、デジタルカメラやデジタル顕微鏡によって取得される観察対象物の2次元デジタル画像より、3次元情報を抽出し、観察対象物の観察したい領域を、高精細な立体画像として観察することを可能とする立体観察装置を提供した。
【0006】
しかし、この特願2000−371887号では、スリット照明の下で取得される色情報を合成したものを最終的な色情報として出力し、表示していたが、スリット照明の特性上、観察対象物本来の正確な色情報を取得することが困難であった。そこで、上記の課題を解決するために、本発明を提供することとした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
観察対象物のデジタル画像を取得する画像取得手段と、
観察対象物の合焦点を含む限定された領域を照射するスリット照明手段と、
観察対象物の観察側表面の全領域を照射する外部照明手段と、
観察対象物を前記画像取得手段に対して相対的に移動する移動手段と、
前記画像取得手段と前記スリット照明手段とを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から3次元情報を抽出する3次元情報抽出手段と、
前記画像取得手段と前記外部照明手段とを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から、前記3次元情報抽出手段で抽出された3次元空間座標位置と同一の3次元空間座標位置に存在するピクセルの色情報を抽出する色情報抽出手段と、
前記3次元情報抽出手段から得られた3次元情報と前記色情報抽出手段から得られた色情報とより、観察対象物表面の色情報を有する立体情報を生成する立体情報生成手段と、
前記立体情報生成手段により得られた情報を表示する立体画像表示手段と
を有する立体観察装置である。これにより、観察対象物の表面の色情報を含んだ高精細な立体画像を取得することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、
前記スリット照明手段は、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の光源から構成され、
かつ前記複数の光源は同一の輪状具に等間隔に配置され、
かつ複数の前記光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在し、前記光線のすべてが一点で交差する
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置である。これにより、最終的に出力される画像及び距離データの品質の向上を図ることができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、
前記スリット照明手段は、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の線状光源から構成され、
前記複数の線状光源は相互に向き合い、
前記それぞれの光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在する
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置である。これにより、最終的に出力される画像及び距離データの品質の向上を図ることができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、
前記外部照明手段は、観察対象物の観察側表面の全領域に対して光を照射することを特徴とする請求項1記載の立体観察装置である。この光源の下で撮影された観察対象物の表面の色情報を、3次元画像データの表面の色情報として利用することができる。
【0011】
請求項5記載の発明は、
前記外部照明手段は、観察対象物の観察側表面の全領域を均一に照射する複数の光源群からなる
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置である。これにより、観察対象物に対して均等に全方向から均等の光線を当てることが可能となり、光沢質の観察対象物に対しても高品質の色画像データを取得することが可能となる。
【0012】
請求項6記載の発明は、
前記外部照明手段は、観察対象物の全領域を均一に照射する複数の光源からなり、
前記観察対象物が回転した場合、前記複数の光源も前記回転ベクトルに従って移動する
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置である。これにより、観察対象物が回転した場合でも、外部照明手段はその回転ベクトルに従って移動するので、観察対象物に対する外部照明光源群の相対的な照射環境に変化がなくなり、観察対象物の回転前と同一の環境で観察することができる。
【0013】
請求項7記載の発明は、
観察対象物のデジタル画像を取得する画像取得ステップと、
観察対象物の合焦点を含む限定された領域を照射するスリット照明ステップと、
観察対象物の観察側表面の全領域を照射する外部照明ステップと、
観察対象物を前記画像取得ステップに対して相対的に移動する移動ステップと、
前記画像取得ステップと前記スリット照明ステップとを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から3次元情報を抽出する3次元情報抽出ステップと、
前記画像取得ステップと前記外部照明ステップとを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から、前記3次元情報抽出ステップで抽出された3次元空間座標位置と同一の3次元空間座標位置に存在するピクセルの色情報を抽出する色情報抽出ステップと、
前記3次元情報抽出ステップから得られた3次元情報と前記色情報抽出ステップから得られた色情報とより、観察対象物表面の色情報を有する立体情報を生成する立体情報生成ステップと、
前記立体情報生成ステップにより得られた情報を表示する立体画像表示ステップと
を有する立体観察方法である。これにより、観察対象物の表面の色情報を含んだ高精細な立体画像を取得することができる。
【0014】
請求項8記載の発明は、
前記スリット照明ステップは、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の光源より光を照射し、
かつ前記複数の光源を同一の輪状具に等間隔に配置し、
かつ前記複数の光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在し、前記光線のすべてが一点で交差する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法である。これにより、最終的に出力される画像及び距離データの品質の向上を図ることができる。
【0015】
請求項9記載の発明は、
前記スリット照明ステップは、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の線状光源より光を照射し、
前記複数の線状光源は相互に向き合い、
前記それぞれの光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法である。これにより、最終的に出力される画像及び距離データの品質の向上を図ることができる。
【0016】
請求項10記載の発明は、
前記外部照明ステップは、観察対象物の観察側表面の全領域に対して光を照射する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法である。この光源の下で撮影された観察対象物の表面の色情報を、3次元画像データの表面の色情報として利用することができる。
【0017】
請求項11記載の発明は、
前記外部照明ステップは、観察対象物の観察側表面の全領域を均一に照射する複数の光源より光を照射する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法である。これにより、観察対象物に対して均等に全方向から均等の光線を当てることが可能となり、光沢質の観察対象物に対しても高品質の色画像データを取得することが可能となる。
【0018】
請求項12記載の発明は、
前記外部照明ステップは、観察対象物の全領域を均一に照射する複数の光源より光を照射し、
前記観察対象物が回転した場合、前記複数の光源も前記回転ベクトルに従って移動する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法である。これにより、観察対象物が回転した場合でも、外部照明手段はその回転ベクトルに従って移動するので、観察対象物に対する外部照明光源群の相対的な照射環境に変化がなくなり、観察対象物の回転前と同一の環境で観察することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
特願2000−371887号に基づいて、スリット光源を図3のように改良した。従来観察対象物に対して4個各々90度ずつずらして設置していたスリット光源を同一の輪状の固定具に8個45度ずつずらして設置することで、各照明と観察対象物の水平性の精度が向上され、最終的に出力される画像・距離データの品質向上を実現した。
【0020】
また、この特願2000−371887号では、スリット照明の下で取得される色情報を合成したものを最終的な色情報として出力していた。しかし、スリット照明の特性上、観察対象物の表面の本来の正確な色情報を取得することが困難であった。そこで、図4に示されるドーム型照明を設計、追加した。このドーム型照明内部には、高輝度白色LEDが多数取り付けられており、ドーム内部に対して均等に拡散光が発せられるようになっている。このドーム型照明下で撮影された画像は通常微小物体をカメラで撮影した場合と同様に大部分がフォーカス外であり、ピントの合っている部分は僅かしかない。そこで、スリット光源下で取得された画像を合成することで得られる深さ情報を利用することで、ドーム型照明下で取得された画像群から必要とされる合焦部分を抽出する。通常、焦点の合っている部分は、カメラからの距離に依存するが、予め観察対象物の形状・奥行きがスリット照明下で取得された深さ情報より明らかであるので、この深さ情報とドーム型照明下で取得された画像群とを比較することで容易に合焦部分を抽出し、合成することが可能である。画像群の合成後に得られる全焦点画像は、全ての部分に均等に光線が照射された観察対象物の表面の本来の色情報を正確に捉えた画像として出力される。それでは、以下の実施例にて、より詳しく説明する。
【0021】
【実施例】
(実施例1)図1に示すように、本発明の立体観察装置の1実施例は、例えば数mm〜数cmの小形の観察対象物1を撮影する、例えばデジタルカメラからなる撮像手段2と、この観察対象物1にこれより小さい、例えば5mmの所定幅に対するスリット光(光源に光ファイバーを用い、この光源の出力側に5mm幅のスリットを設けて、平面光源としている)を観察対象物1に照射する複数のスリット光源群が同一輪状具に固定されているスリット照明手段3と、観察対象物1のスリット光が照射している領域を撮像手段2の合焦点領域に保持するとともに、例えば下方から上方へ所定距離、例えば0.1mmずつ移動する、例えばステップモーター(製品名SPF60b10−3SM、オリエンタルモータ社製)が取り付けてある対象物操作アームからなる移動手段4と、水平に備え付けられたドーム型の蓋の内部に満遍なく高輝度白色LEDを複数取り付けたドーム型照明からなる外部照明手段5(以下、このようにスリット光源群とは異なり、観察対象物1の撮影面全体に照射する光源を外部照明手段という)とを有する。さらに、スリット照明手段3を用いて撮像手段2で得られた観察対象物1のデジタル画像を構成する各ピクセルについて合焦点を見つけ、合焦したピクセルの撮像手段2からの距離を求めて深さ情報を得る。また、外部照明手段5を用いて撮像手段2で得られた観察対象物1の表面の色情報を有する画像群から、前記の深さ情報に対応する合焦部分を抽出する。これらの深さ情報と色情報より、対象物本来の色情報を正確に有する3次元情報を合成し、この3次元情報に基づいて立体画像を表示する画像処理コンピュータ6とを設ける。
【0022】
それでは、図1の本発明の立体観察装置の動作を、図2の処理手順を参照しながら説明しよう。
まず、初期設定ステップS1において、撮像手段2とスリット照明手段3と移動手段4、及び外部照明手段5を設定する。図3の上部の図はスリット照明手段3の構成を示す図であり、その下部の図はスリット照明手段3の断面を示す図である。スリット照明手段3は、従来観察対象物に対して4個各々90度ずつずらして設置していた各々独立したスリット光源を水平な同一輪状具に8個45度ずつずらして設置することで、各スリット光源と観察対象物1との水平性の精度が向上した。従来は、それぞれのスリットが同一の固定具に固定されておらず独立していたので、図3の下部に示すスリット光源3a−観察対象物1−スリット光源3bの3点を結ぶ線を水平に調整することが困難であった。さらに、複数のスリット光源を使用する場合には、よりいっそう上記の調整をするのは困難であった。このように水平性を欠いた状態では、スリット光源3a−観察対象物1−スリット光源3bを結ぶ線と撮像手段2−観察対象物1を結ぶ線との交差角度が垂直とならず、観察対象物の正確な深さ情報を求めることが困難であった。本発明では、従来それぞれ独立して設置していたスリット光源を同一の輪状の固定具に設置することにした。このように、スリット光源を同一の輪状の固定具に設置することで、スリット光源3a−観察対象物1−スリット光源3bの3点を結ぶ線を水平に調整することが容易となり、さらに複数のスリット光源を当該同一輪状の固定具に設置する場合も調整することが容易となる。
【0023】
また、複数のスリット光源を用いて、これらの複数の前記光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在し、前記光線のすべてが一点で交差するように調整し、前記光線群の存在する水平面に対して観察対象物1が垂直に前記交点で交わるように移動手段4を調整する。そして、この交点は輪状具の輪の中心に存在するのがよい。なぜなら、各スリット光源から交点までの距離をすべて等しくし、照射環境をすべて均一にするためである。このとき、複数のスリット光源は、同一輪状具に等間隔で設置する。これにより、各スリット光源より照射された光の観察対象物1に対する照射環境がすべて同一となり、観察対象物1に対する光照射の偏りが解消される。さらに、スリット光源を増やすと、観察対象物1に対する光が照射されていない部分が減少する。従って、スリット光源を等間隔で増やすほど、観察対象物1に対する光照射の偏りが解消され、最終的に出力される3次元情報の精度を向上させることができ、好ましくは同一輪状具に隙間なくスリット光源を敷き詰め、観察対象物1に対して360度全ての方向から光を照射するのがよいが、実用的には45度の等間隔で設置した8個のスリット光源で十分である。
【0024】
次に、撮像手段2の設定について説明する。上述の通り、観察対象物1を同一平面に含むスリット照明手段3の水平面と撮像手段2−観察対象物1を結ぶ線との交差角度が垂直となる位置に撮像手段2を設置し、かつ、観察対象物1にスリット光源より照射される光線が当たる部分にピントが合うように合焦点位置を調整する。
【0025】
また、移動手段4の設定について説明する。上述の通り、観察対象物1を同一平面に含むスリット照明手段3の水平面に対して、垂直方向に観察対象物1を移動させるように設定する。そして、スリット照明手段3の水平面内での観察対象物1の位置が、スリット照明手段3の円の中心、すなわち各スリット光源から照射された光線が一点で交わる点と一致するようにする。これは、観察対象物1に対する各スリット光源から照射された光線の照射環境を均一にするためである。
【0026】
それでは、この外部照明手段5の設定について説明する。この外部照明手段5の構造は、図4の上部に示すように水平に備え付けられたドーム型の蓋の内部に満遍なく高輝度白色LEDが複数取り付けられており、取り付けたLEDをすべて点灯させると、ドーム内部に対して拡散光を照射する。後述するストロボ光源を外部照明手段として用いて昆虫などの光沢質の物体を撮影した場合、サチュレーションや映り込みが入ってしまい、その後取得される画像データの質の低下を引き起こしていたが、この照明装置によりドーム内に存在する観察対象物1に対して、均等に全方向から均等に光線を当てることが可能となり、光沢質のものに対しても高品質の色画像データ(後ほど説明する)を生成することが可能となる。
【0027】
また、ドームの上方部分は、撮像手段2による撮影の妨げとならないように、穴を空けてあるが、これに限らず、撮像の妨げとならないものであれば、例えばこの部分を透明な素材で構成されていてもよい。
また、ドームの形状は、ドーム内の観察対象物1の観察側表面の全領域に対して均等に全方向から均等に光線を当てることができれば、特にこだわらないが、実用的には半球状に近い形状となる。
【0028】
次にスリット照明点灯ステップS2において、上記で設定した同一輪状具に設置している全てのスリット光源(以下、スリット照明手段3)を点灯させる。このとき、各スリット光源から観察対象物1への光線を妨げないように、外部照明手段5をこのときだけ取り除いても良いし、または、外部照明手段5を、例えば、スリット光源から観察対象物1への光線を妨げる側面部分のみ穴を空けたり、その部分を透明の素材で構成しても良い。もし、このようにドーム型照明5の側面部分を変更した場合、その部分にのみLEDが取り付けられていない。
【0029】
次にスリット照明撮影ステップS3において、撮像手段2を用いて、スリット照明手段3照射下での第1枚目のデジタル画像イメージ(以下、スライス画像という)を取得し、この取得したスライス画像イメージを、例えば画像処理コンピュータ6のデータ記憶手段を用いて保存する。スライス画像イメージのデータ保存後、スリット照明手段3を消灯する。
【0030】
次に外部照明点灯ステップS4において、ドーム内に取り付けてある全てのLED光源(以下、外部照明手段5)を点灯させる。これらのLED光源群は、図4下部に示すように、外部照明制御手段7によって一斉に点灯・消灯を行うことができる。外部照明手段5の制御は、外部照明制御コンピュータから外部照明制御手段7にON/OFF信号を送ることで可能であるが、この装置の制御手段はこれに限らず、例えば、外部照明制御コンピュータとして画像処理コンピュータ6を用いても良いし、それ以外の図示されていない他のコンピュータを用いても良いし、または、コンピュータを用いずに直接この外部照明制御手段7を操作して制御しても良い。
【0031】
次に外部照明撮影ステップS5において、撮像手段2を用いて、外部照明手段5照射下での第1枚目のデジタル画像イメージ(以下、RGB画像という)を取得し、この取得したRGB画像イメージを、例えば画像処理コンピュータ6のデータ記憶手段を用いて保存する。RGB画像イメージのデータ保存後、外部照明手段5を消灯する。
【0032】
次に対象物移動ステップS6において、移動手段4を用いて、観察対象物1を立体化する際に必要とする深度最小単位分に相当する量たとえば0.1mmだけ観察対象物1を上方へ移動させる。次に再びスリット照明点灯ステップS2において、スリット照明手段3を点灯させる。そして観察対象物1の全ての部位を撮像するまでステップS2,S3,S4,S5,S6を繰り返す。
【0033】
上記の繰り返しの処理により、それぞれ順番に観察対象物1の上部から下部までの全ての部分がスリット照明手段3からのスリット光により部分的に照明された複数のスライス画像と、外部照明手段5により均一に照明された複数のRGB画像とが、例えばそれぞれ100枚取得される。
【0034】
次に輝度計算ステップS7において、ステップS3で取得した複数のスライス画像イメージより3次元情報を抽出する。撮影された例えば100枚のスライス画像のうちの一つのピクセルに関する輝度の変化を図5の実線で示す。この図5には従来方式による輝度の変化の一例も同時に点線で示してある。横軸は撮影の順番であり、これが深さ方向の長さに対応する(例えば0.1ミリずつ移動するとすると、10枚目は1ミリの深さになる)。本発明では、合焦点を含む限定された合焦領域のみを照射する照明装置を備えているため、合焦点位置検索に有用なデータは、上記限定された領域に対応する枚数のデータ(例えば10枚)のみである。これに対して、従来の方法では図5の点線で示すように撮影した全ての領域で高い輝度の情報が存在するので、例えば100枚すべてが合焦点位置検索のためのデータとなる。このため、本発明では従来方式に比べ、合焦点位置検索に要する計算時間の大幅な削減と周囲ピクセルからの干渉の除去が可能となったのである。
【0035】
本発明の合焦点位置検索は、上記照明装置に照射された限定された領域(例えば10枚)について、例えばもっとも輝度の高いものを抽出するアルゴリズムにより実施する。この検索をデジタルカメラのすべてのピクセルにおいて実施する。その結果、デジタルカメラのすべてのピクセルにおいて、最適合焦点位置における輝度情報・色情報及び合焦点位置より導き出される深さ情報を得ることが出来る。従来は図4の点線に示すようにある1つのピクセルにおいて輝度が高いところ(すなわち山部分)が合焦点となるとは限らないので、100枚の画像の中から合焦点をみつけるアルゴリズムも複雑であった。さらに、合焦点以外の観察対象物の全領域からの外乱光が合焦部分に入射するので合焦点を正確に見つけることもできなかった。
【0036】
次にデプス・形状情報ステップS8において、ステップS7の合焦点位置検索で検索された観察対象物の全領域の3次元情報(深さ情報)を取得する。
次にコンパレート合成ステップS9において、ステップS8で取得した合焦点位置のピクセル情報を基に、ステップS5で撮影したRGB画像から前記の合焦点位置を示す3次元空間座標位置と同一の位置に存在するピクセルの色情報を取り出す。例えば、ステップS8で取得した合焦点位置がスライス画像群の10枚目の座標位置(5,8)であった場合、RGB画像群の10枚目の座標位置(5,8)のピクセルの色情報を取得することである(この時、スライス画像群、RGB画像群は、それぞれ撮影順に整列しているものとする)。
【0037】
次に全焦点RGB画像作成ステップS10において、ステップS8,9で得られた観察対象物の全領域の深さ情報と色情報とにより、観察対象物本来の色情報を有した3次元情報を作成する。その様子を図6により説明する。ステップS7で得られた最適合焦点位置における輝度情報・色情報及び合焦点位置より導き出される深さなどのデータを、深さ情報をパラメータに並べ替えてみよう。ピクセルグループL1は、深さL1のピクセルの集合であり、ピクセルグループL2は、深さL2のピクセルの集合である。図6に示すようにピクセルグループL1により、立体ボクセルV1が生成される。さらに、ピクセルグループL2により立体ボクセルV2が生成される。このようにして、取得された全ての画像イメージより、立体ボクセルを作り出す。立体ボクセルV2は立体ボクセルV1よりも観察対象物1の1回の移動距離たとえば0.1mmだけ、離れたデジタル画像から深度が0.1mmだけ大きくなる値を有する。したがって、ボクセルV1,V2・・・を合成することにより、立体情報として合成済立体データV0を得ることが出来る。
【0038】
図6では観察対象物1が円錐台形のものを用いているが観察対象物1が複雑な形状のときは、取得画像イメージL1において全てのピクセルの輝度が最大となるわけではないので、立体ボクセルV1のうち、ピクセルの輝度が最大となっていないピクセルに対応したボクセルは欠けることになる。これによって、撮像手段2からの焦点深さに対応した3次元情報を生成できる。
【0039】
図7は観察対象物1のデジタル画像のうち対象ピクセルP1とこれに対応したボクセルとの関係を拡大して示したものである。観察対象物1が0.1mmづつ移動するときには、対象ボクセルの高さは0.1mmとなる。
そして、各ボクセルの位置に対応するS9で取得した色情報を合成していく。
【0040】
最後に立体画像出力ステップS11において、S10ステップで作成した立体画像を画面などの出力装置に出力して、表示する。
ところで、上記で説明した当該実施例1の処理手順は、単なる1例であってこれに限定するものではない。例えば、先に外部照明手段5を用いてRGB画像を取得し、その後スリット照明手段3を用いてスライス画像を取得しても良い。
【0041】
(実施例2)図8は本発明の他の実施例を示す。実施例1に対して、対象物回転ステップS7aにおいて、観察対象物1を180度回転させ、その裏面についても撮像することを追加したものである。表裏両面の対応する部分を対応付けするために3次元画像合成ステップS11aで3次元画像処理をすることにより観察対象物1の全体的な画像を生成することができる。これにより観察対象物1を裏返して観察することもできる。この観察対象物1を回転させる手段を図9に示す。この回転手段8は、移動手段4の先端にモータを設け回転軸を回転させて観察対象物1を回転させる。また、この回転角度は自由に調整することができる。当該実施例2では、回転角度を180度に設定してあるが、観察状況によっては、例えば、45度、90度など設定することができる。
【0042】
(実施例3)図10は本発明の他の実施例を示し、実施例1のスリット照明手段3と外部照明手段5であるドーム型照明とを、それぞれ面状ライトとストロボなどの通常の照明装置に置き換えたものである。面状ライトからなるスリット照明手段3は、細長い支柱に観察対象物1より小さな幅の光を照射する線状光源が取り付けてあり、この線状光源を2本用意してそれぞれの支柱に取り付けてある線状光源が互いに向き合い、それぞれの線状光源から照射された光線は同一平面に存在し、その結果図10に示すように光の面を形成するようにしたものである。線状光源は、「それぞれの線状光源から照射された光線は同一平面に存在する」という条件を満たすならば、複数でも構わない。また、ストロボ光源からなる外部照明手段5は、観察対象物1に対して満遍なく光が照射され、かつ、撮像手段2の撮影を妨げない場所、例えば、観察対象物1の撮影面の斜め前などに配置する。当該実施例3は、実施例1と同様に動作する。当該実施例3では、ストロボ光源を使用しているため、昆虫などの光沢質の対象物体を撮影した場合、サチュレーションや映り込みが入ってしまい正確な色情報を取得することはできない。しかし、光沢質ではない対象物体を撮影する場合、簡易的な外部照明手段として当該実施例3を利用することができる。
【0043】
(実施例4)図11は本発明の他の実施例を示し、面状ライトからなるスリット照明手段3、可動台からなる移動手段4、デジタルカメラからなる撮像手段2、画像処理コンピュータ6より構成される装置に、点光源などで構成した全空間を被う照明装置からなる外部照明手段5と各点光源の点灯を制御する外部照明制御手段7と実施例2で説明した観察対象物の回転手段8とを付加する。これは、実施例2のスリット照明手段3とドーム型照明5とを、それぞれ面状ライトと曲面に取り付けられている複数の点光源からなる照明装置とに置き換えたものである。当該実施例4は、実施例2とほとんど同様に動作するが、異なる点がある。その相違点とは、観察対象物1を回転させるステップにおいて、観察対象物に対する点光源群から照射される光線の照明環境が変化しないように、回転手段8の回転ベクトルに対応して、点光源群の位置を変化させることである。また、もう1つの相違点は観察対象物の表面の全領域に対して外部照明手段から光が照射されていることである。これは、上記の回転手段8に起因するものである。なぜなら、回転手段8により観察対象物を回転させると、それに伴って外部照明手段5も移動するが、回転後の観察対象物の観察側表面に対しても光が照射されていなければならないからである。そのために、撮影開始時に撮影対象外である観察対象物表面に対しても、予め外部照明手段5により光を照射するのである。
【0044】
(実施例5)図12は本発明の他の実施例を示し、スリット照明3の様々な形状を提案した。実施例1の輪状具の形状は、必ずしも円である必要はなく、例えば図12に描写したような形状をしていてもよい。図12には3つの形状を図示している。これらの形状に共通しているのは、観察対象物をスリット照明の中心に置いたとき、観察対象物に対する各スリット光源の照射環境が全て均一で、かつ各スリット光源の相対的位置が常に同一であるということである。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、スリット光源を複数設けることで、スリット光源から照射される光線と観察対象物との接点を増やし、かつ観察対象物に対するそれぞれの光線の照射環境を等しくし、さらにそれぞれを光源を同一の固定具に設置することで、各照明と撮影対象物との水平性の精度が向上した。また、スリット照明下で撮影した画像より取得した深さ情報と、外部照明手段下で撮影した画像より取得した色情報とより、対象物表面の本来の色情報を正確に再現した立体画像を表示することが可能となった。
【0046】
以上より,超高解像度3次元画像の精度・品質を高度に向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の立体観察装置の一実施例の構成図である。
【図2】図1に示した立体観察装置の処理手順を示す図である。
【図3】スリット照明の構成図である。
【図4】ドーム型照明の構成図である。
【図5】1つのピクセルについての画像枚数と輝度との関係を示す図である。
【図6】図2のステップS10における3次元データ抽出プロセスの説明図である。
【図7】図2のステップS10で用いられる3次元データ構造の拡大図である。
【図8】実施例2の処理手順を示す図である。
【図9】実施例2で用いる移動手段における、観察対象物を回転させる部分を示す図である。
【図10】実施例3の装置構成を示す図である。
【図11】実施例4の装置構成を示す図である。
【図12】実施例5の様々なスリット照明の形状の1例を示す図である。
【符号の説明】
1 観察対象物
2 撮像手段
3 スリット照明手段
3a スリット光源
3b スリット光源
4 移動手段
5 外部照明手段
6 画像処理コンピュータ
7 外部照明制御手段
8 回転手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、市販のデジタルカメラやデジタル顕微鏡などの画像取得機器を通じて取得された観察対象物のデジタル画像イメージにより立体構造を表示する立体観察装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラやデジタル顕微鏡においては、立体的な構造を観察する場合、被写界深度により観察対象物のほとんどの部分がぼやけてしまうことがある。この場合には、観察対象物そのものを回転・移動させ、再度焦点を合わせることにより、観察したい立体構造を明らかにする作業を行わなければならない。
【0003】
ところが、従来の技術において、顕微鏡などでは、被写界深度が極めて浅いため、観察対象物の像がボケた部分がほとんどとなってしまい、観察対象物に存在する3次元構造や表面の色構造を観察対象物の全体に渡って観察することができない。そのため、従来においては、まず、観察対象物全体について焦点のあった画像を得る技術への要求が存在した。
【0004】
さらに、小型の昆虫や機械部品等の細かく入り組んだ観察対象物を、顕微鏡などを用いて観察する場合、得られる2次元画像からその立体構造を観察することは困難であった。
このような観察対象物の2次元画像から立体的な画像を得る技術については、たとえば、論文、Shree K.Nayar「Shape from focus system 」(Proc.of CVPR,pp.302-308,1992)に開示されているように、観察対象物の合焦点部分を抽出することによって、顕微鏡等のレンズからの相対的位置を得るといった方法が存在する。この方法では観察対象物の合焦点部分を抽出手段として、その2次元デジタル画像に複雑なアルゴリズムを用いたコンピュータ処理をほどこして合焦点のピクセルを求めようとしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法では合焦点の周囲の明るい部分から光が干渉等によって合焦点部分に入り込み、その領域がボケるため、合焦点部分へノイズとして影響してしまう。そのため、取得された2次元画像より合焦点部分を鮮明な形で抽出することは極めて難しかったのである。さらに、3次元化のプロセス自体、合焦点部分抽出の精度に依存するため、正確な3次元画像を生成することは困難であった。そこで、上述の従来の技術の問題を鑑みてなされた特願2000−371887号では、デジタルカメラやデジタル顕微鏡によって取得される観察対象物の2次元デジタル画像より、3次元情報を抽出し、観察対象物の観察したい領域を、高精細な立体画像として観察することを可能とする立体観察装置を提供した。
【0006】
しかし、この特願2000−371887号では、スリット照明の下で取得される色情報を合成したものを最終的な色情報として出力し、表示していたが、スリット照明の特性上、観察対象物本来の正確な色情報を取得することが困難であった。そこで、上記の課題を解決するために、本発明を提供することとした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
観察対象物のデジタル画像を取得する画像取得手段と、
観察対象物の合焦点を含む限定された領域を照射するスリット照明手段と、
観察対象物の観察側表面の全領域を照射する外部照明手段と、
観察対象物を前記画像取得手段に対して相対的に移動する移動手段と、
前記画像取得手段と前記スリット照明手段とを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から3次元情報を抽出する3次元情報抽出手段と、
前記画像取得手段と前記外部照明手段とを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から、前記3次元情報抽出手段で抽出された3次元空間座標位置と同一の3次元空間座標位置に存在するピクセルの色情報を抽出する色情報抽出手段と、
前記3次元情報抽出手段から得られた3次元情報と前記色情報抽出手段から得られた色情報とより、観察対象物表面の色情報を有する立体情報を生成する立体情報生成手段と、
前記立体情報生成手段により得られた情報を表示する立体画像表示手段と
を有する立体観察装置である。これにより、観察対象物の表面の色情報を含んだ高精細な立体画像を取得することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、
前記スリット照明手段は、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の光源から構成され、
かつ前記複数の光源は同一の輪状具に等間隔に配置され、
かつ複数の前記光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在し、前記光線のすべてが一点で交差する
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置である。これにより、最終的に出力される画像及び距離データの品質の向上を図ることができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、
前記スリット照明手段は、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の線状光源から構成され、
前記複数の線状光源は相互に向き合い、
前記それぞれの光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在する
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置である。これにより、最終的に出力される画像及び距離データの品質の向上を図ることができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、
前記外部照明手段は、観察対象物の観察側表面の全領域に対して光を照射することを特徴とする請求項1記載の立体観察装置である。この光源の下で撮影された観察対象物の表面の色情報を、3次元画像データの表面の色情報として利用することができる。
【0011】
請求項5記載の発明は、
前記外部照明手段は、観察対象物の観察側表面の全領域を均一に照射する複数の光源群からなる
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置である。これにより、観察対象物に対して均等に全方向から均等の光線を当てることが可能となり、光沢質の観察対象物に対しても高品質の色画像データを取得することが可能となる。
【0012】
請求項6記載の発明は、
前記外部照明手段は、観察対象物の全領域を均一に照射する複数の光源からなり、
前記観察対象物が回転した場合、前記複数の光源も前記回転ベクトルに従って移動する
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置である。これにより、観察対象物が回転した場合でも、外部照明手段はその回転ベクトルに従って移動するので、観察対象物に対する外部照明光源群の相対的な照射環境に変化がなくなり、観察対象物の回転前と同一の環境で観察することができる。
【0013】
請求項7記載の発明は、
観察対象物のデジタル画像を取得する画像取得ステップと、
観察対象物の合焦点を含む限定された領域を照射するスリット照明ステップと、
観察対象物の観察側表面の全領域を照射する外部照明ステップと、
観察対象物を前記画像取得ステップに対して相対的に移動する移動ステップと、
前記画像取得ステップと前記スリット照明ステップとを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から3次元情報を抽出する3次元情報抽出ステップと、
前記画像取得ステップと前記外部照明ステップとを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から、前記3次元情報抽出ステップで抽出された3次元空間座標位置と同一の3次元空間座標位置に存在するピクセルの色情報を抽出する色情報抽出ステップと、
前記3次元情報抽出ステップから得られた3次元情報と前記色情報抽出ステップから得られた色情報とより、観察対象物表面の色情報を有する立体情報を生成する立体情報生成ステップと、
前記立体情報生成ステップにより得られた情報を表示する立体画像表示ステップと
を有する立体観察方法である。これにより、観察対象物の表面の色情報を含んだ高精細な立体画像を取得することができる。
【0014】
請求項8記載の発明は、
前記スリット照明ステップは、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の光源より光を照射し、
かつ前記複数の光源を同一の輪状具に等間隔に配置し、
かつ前記複数の光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在し、前記光線のすべてが一点で交差する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法である。これにより、最終的に出力される画像及び距離データの品質の向上を図ることができる。
【0015】
請求項9記載の発明は、
前記スリット照明ステップは、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の線状光源より光を照射し、
前記複数の線状光源は相互に向き合い、
前記それぞれの光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法である。これにより、最終的に出力される画像及び距離データの品質の向上を図ることができる。
【0016】
請求項10記載の発明は、
前記外部照明ステップは、観察対象物の観察側表面の全領域に対して光を照射する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法である。この光源の下で撮影された観察対象物の表面の色情報を、3次元画像データの表面の色情報として利用することができる。
【0017】
請求項11記載の発明は、
前記外部照明ステップは、観察対象物の観察側表面の全領域を均一に照射する複数の光源より光を照射する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法である。これにより、観察対象物に対して均等に全方向から均等の光線を当てることが可能となり、光沢質の観察対象物に対しても高品質の色画像データを取得することが可能となる。
【0018】
請求項12記載の発明は、
前記外部照明ステップは、観察対象物の全領域を均一に照射する複数の光源より光を照射し、
前記観察対象物が回転した場合、前記複数の光源も前記回転ベクトルに従って移動する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法である。これにより、観察対象物が回転した場合でも、外部照明手段はその回転ベクトルに従って移動するので、観察対象物に対する外部照明光源群の相対的な照射環境に変化がなくなり、観察対象物の回転前と同一の環境で観察することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
特願2000−371887号に基づいて、スリット光源を図3のように改良した。従来観察対象物に対して4個各々90度ずつずらして設置していたスリット光源を同一の輪状の固定具に8個45度ずつずらして設置することで、各照明と観察対象物の水平性の精度が向上され、最終的に出力される画像・距離データの品質向上を実現した。
【0020】
また、この特願2000−371887号では、スリット照明の下で取得される色情報を合成したものを最終的な色情報として出力していた。しかし、スリット照明の特性上、観察対象物の表面の本来の正確な色情報を取得することが困難であった。そこで、図4に示されるドーム型照明を設計、追加した。このドーム型照明内部には、高輝度白色LEDが多数取り付けられており、ドーム内部に対して均等に拡散光が発せられるようになっている。このドーム型照明下で撮影された画像は通常微小物体をカメラで撮影した場合と同様に大部分がフォーカス外であり、ピントの合っている部分は僅かしかない。そこで、スリット光源下で取得された画像を合成することで得られる深さ情報を利用することで、ドーム型照明下で取得された画像群から必要とされる合焦部分を抽出する。通常、焦点の合っている部分は、カメラからの距離に依存するが、予め観察対象物の形状・奥行きがスリット照明下で取得された深さ情報より明らかであるので、この深さ情報とドーム型照明下で取得された画像群とを比較することで容易に合焦部分を抽出し、合成することが可能である。画像群の合成後に得られる全焦点画像は、全ての部分に均等に光線が照射された観察対象物の表面の本来の色情報を正確に捉えた画像として出力される。それでは、以下の実施例にて、より詳しく説明する。
【0021】
【実施例】
(実施例1)図1に示すように、本発明の立体観察装置の1実施例は、例えば数mm〜数cmの小形の観察対象物1を撮影する、例えばデジタルカメラからなる撮像手段2と、この観察対象物1にこれより小さい、例えば5mmの所定幅に対するスリット光(光源に光ファイバーを用い、この光源の出力側に5mm幅のスリットを設けて、平面光源としている)を観察対象物1に照射する複数のスリット光源群が同一輪状具に固定されているスリット照明手段3と、観察対象物1のスリット光が照射している領域を撮像手段2の合焦点領域に保持するとともに、例えば下方から上方へ所定距離、例えば0.1mmずつ移動する、例えばステップモーター(製品名SPF60b10−3SM、オリエンタルモータ社製)が取り付けてある対象物操作アームからなる移動手段4と、水平に備え付けられたドーム型の蓋の内部に満遍なく高輝度白色LEDを複数取り付けたドーム型照明からなる外部照明手段5(以下、このようにスリット光源群とは異なり、観察対象物1の撮影面全体に照射する光源を外部照明手段という)とを有する。さらに、スリット照明手段3を用いて撮像手段2で得られた観察対象物1のデジタル画像を構成する各ピクセルについて合焦点を見つけ、合焦したピクセルの撮像手段2からの距離を求めて深さ情報を得る。また、外部照明手段5を用いて撮像手段2で得られた観察対象物1の表面の色情報を有する画像群から、前記の深さ情報に対応する合焦部分を抽出する。これらの深さ情報と色情報より、対象物本来の色情報を正確に有する3次元情報を合成し、この3次元情報に基づいて立体画像を表示する画像処理コンピュータ6とを設ける。
【0022】
それでは、図1の本発明の立体観察装置の動作を、図2の処理手順を参照しながら説明しよう。
まず、初期設定ステップS1において、撮像手段2とスリット照明手段3と移動手段4、及び外部照明手段5を設定する。図3の上部の図はスリット照明手段3の構成を示す図であり、その下部の図はスリット照明手段3の断面を示す図である。スリット照明手段3は、従来観察対象物に対して4個各々90度ずつずらして設置していた各々独立したスリット光源を水平な同一輪状具に8個45度ずつずらして設置することで、各スリット光源と観察対象物1との水平性の精度が向上した。従来は、それぞれのスリットが同一の固定具に固定されておらず独立していたので、図3の下部に示すスリット光源3a−観察対象物1−スリット光源3bの3点を結ぶ線を水平に調整することが困難であった。さらに、複数のスリット光源を使用する場合には、よりいっそう上記の調整をするのは困難であった。このように水平性を欠いた状態では、スリット光源3a−観察対象物1−スリット光源3bを結ぶ線と撮像手段2−観察対象物1を結ぶ線との交差角度が垂直とならず、観察対象物の正確な深さ情報を求めることが困難であった。本発明では、従来それぞれ独立して設置していたスリット光源を同一の輪状の固定具に設置することにした。このように、スリット光源を同一の輪状の固定具に設置することで、スリット光源3a−観察対象物1−スリット光源3bの3点を結ぶ線を水平に調整することが容易となり、さらに複数のスリット光源を当該同一輪状の固定具に設置する場合も調整することが容易となる。
【0023】
また、複数のスリット光源を用いて、これらの複数の前記光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在し、前記光線のすべてが一点で交差するように調整し、前記光線群の存在する水平面に対して観察対象物1が垂直に前記交点で交わるように移動手段4を調整する。そして、この交点は輪状具の輪の中心に存在するのがよい。なぜなら、各スリット光源から交点までの距離をすべて等しくし、照射環境をすべて均一にするためである。このとき、複数のスリット光源は、同一輪状具に等間隔で設置する。これにより、各スリット光源より照射された光の観察対象物1に対する照射環境がすべて同一となり、観察対象物1に対する光照射の偏りが解消される。さらに、スリット光源を増やすと、観察対象物1に対する光が照射されていない部分が減少する。従って、スリット光源を等間隔で増やすほど、観察対象物1に対する光照射の偏りが解消され、最終的に出力される3次元情報の精度を向上させることができ、好ましくは同一輪状具に隙間なくスリット光源を敷き詰め、観察対象物1に対して360度全ての方向から光を照射するのがよいが、実用的には45度の等間隔で設置した8個のスリット光源で十分である。
【0024】
次に、撮像手段2の設定について説明する。上述の通り、観察対象物1を同一平面に含むスリット照明手段3の水平面と撮像手段2−観察対象物1を結ぶ線との交差角度が垂直となる位置に撮像手段2を設置し、かつ、観察対象物1にスリット光源より照射される光線が当たる部分にピントが合うように合焦点位置を調整する。
【0025】
また、移動手段4の設定について説明する。上述の通り、観察対象物1を同一平面に含むスリット照明手段3の水平面に対して、垂直方向に観察対象物1を移動させるように設定する。そして、スリット照明手段3の水平面内での観察対象物1の位置が、スリット照明手段3の円の中心、すなわち各スリット光源から照射された光線が一点で交わる点と一致するようにする。これは、観察対象物1に対する各スリット光源から照射された光線の照射環境を均一にするためである。
【0026】
それでは、この外部照明手段5の設定について説明する。この外部照明手段5の構造は、図4の上部に示すように水平に備え付けられたドーム型の蓋の内部に満遍なく高輝度白色LEDが複数取り付けられており、取り付けたLEDをすべて点灯させると、ドーム内部に対して拡散光を照射する。後述するストロボ光源を外部照明手段として用いて昆虫などの光沢質の物体を撮影した場合、サチュレーションや映り込みが入ってしまい、その後取得される画像データの質の低下を引き起こしていたが、この照明装置によりドーム内に存在する観察対象物1に対して、均等に全方向から均等に光線を当てることが可能となり、光沢質のものに対しても高品質の色画像データ(後ほど説明する)を生成することが可能となる。
【0027】
また、ドームの上方部分は、撮像手段2による撮影の妨げとならないように、穴を空けてあるが、これに限らず、撮像の妨げとならないものであれば、例えばこの部分を透明な素材で構成されていてもよい。
また、ドームの形状は、ドーム内の観察対象物1の観察側表面の全領域に対して均等に全方向から均等に光線を当てることができれば、特にこだわらないが、実用的には半球状に近い形状となる。
【0028】
次にスリット照明点灯ステップS2において、上記で設定した同一輪状具に設置している全てのスリット光源(以下、スリット照明手段3)を点灯させる。このとき、各スリット光源から観察対象物1への光線を妨げないように、外部照明手段5をこのときだけ取り除いても良いし、または、外部照明手段5を、例えば、スリット光源から観察対象物1への光線を妨げる側面部分のみ穴を空けたり、その部分を透明の素材で構成しても良い。もし、このようにドーム型照明5の側面部分を変更した場合、その部分にのみLEDが取り付けられていない。
【0029】
次にスリット照明撮影ステップS3において、撮像手段2を用いて、スリット照明手段3照射下での第1枚目のデジタル画像イメージ(以下、スライス画像という)を取得し、この取得したスライス画像イメージを、例えば画像処理コンピュータ6のデータ記憶手段を用いて保存する。スライス画像イメージのデータ保存後、スリット照明手段3を消灯する。
【0030】
次に外部照明点灯ステップS4において、ドーム内に取り付けてある全てのLED光源(以下、外部照明手段5)を点灯させる。これらのLED光源群は、図4下部に示すように、外部照明制御手段7によって一斉に点灯・消灯を行うことができる。外部照明手段5の制御は、外部照明制御コンピュータから外部照明制御手段7にON/OFF信号を送ることで可能であるが、この装置の制御手段はこれに限らず、例えば、外部照明制御コンピュータとして画像処理コンピュータ6を用いても良いし、それ以外の図示されていない他のコンピュータを用いても良いし、または、コンピュータを用いずに直接この外部照明制御手段7を操作して制御しても良い。
【0031】
次に外部照明撮影ステップS5において、撮像手段2を用いて、外部照明手段5照射下での第1枚目のデジタル画像イメージ(以下、RGB画像という)を取得し、この取得したRGB画像イメージを、例えば画像処理コンピュータ6のデータ記憶手段を用いて保存する。RGB画像イメージのデータ保存後、外部照明手段5を消灯する。
【0032】
次に対象物移動ステップS6において、移動手段4を用いて、観察対象物1を立体化する際に必要とする深度最小単位分に相当する量たとえば0.1mmだけ観察対象物1を上方へ移動させる。次に再びスリット照明点灯ステップS2において、スリット照明手段3を点灯させる。そして観察対象物1の全ての部位を撮像するまでステップS2,S3,S4,S5,S6を繰り返す。
【0033】
上記の繰り返しの処理により、それぞれ順番に観察対象物1の上部から下部までの全ての部分がスリット照明手段3からのスリット光により部分的に照明された複数のスライス画像と、外部照明手段5により均一に照明された複数のRGB画像とが、例えばそれぞれ100枚取得される。
【0034】
次に輝度計算ステップS7において、ステップS3で取得した複数のスライス画像イメージより3次元情報を抽出する。撮影された例えば100枚のスライス画像のうちの一つのピクセルに関する輝度の変化を図5の実線で示す。この図5には従来方式による輝度の変化の一例も同時に点線で示してある。横軸は撮影の順番であり、これが深さ方向の長さに対応する(例えば0.1ミリずつ移動するとすると、10枚目は1ミリの深さになる)。本発明では、合焦点を含む限定された合焦領域のみを照射する照明装置を備えているため、合焦点位置検索に有用なデータは、上記限定された領域に対応する枚数のデータ(例えば10枚)のみである。これに対して、従来の方法では図5の点線で示すように撮影した全ての領域で高い輝度の情報が存在するので、例えば100枚すべてが合焦点位置検索のためのデータとなる。このため、本発明では従来方式に比べ、合焦点位置検索に要する計算時間の大幅な削減と周囲ピクセルからの干渉の除去が可能となったのである。
【0035】
本発明の合焦点位置検索は、上記照明装置に照射された限定された領域(例えば10枚)について、例えばもっとも輝度の高いものを抽出するアルゴリズムにより実施する。この検索をデジタルカメラのすべてのピクセルにおいて実施する。その結果、デジタルカメラのすべてのピクセルにおいて、最適合焦点位置における輝度情報・色情報及び合焦点位置より導き出される深さ情報を得ることが出来る。従来は図4の点線に示すようにある1つのピクセルにおいて輝度が高いところ(すなわち山部分)が合焦点となるとは限らないので、100枚の画像の中から合焦点をみつけるアルゴリズムも複雑であった。さらに、合焦点以外の観察対象物の全領域からの外乱光が合焦部分に入射するので合焦点を正確に見つけることもできなかった。
【0036】
次にデプス・形状情報ステップS8において、ステップS7の合焦点位置検索で検索された観察対象物の全領域の3次元情報(深さ情報)を取得する。
次にコンパレート合成ステップS9において、ステップS8で取得した合焦点位置のピクセル情報を基に、ステップS5で撮影したRGB画像から前記の合焦点位置を示す3次元空間座標位置と同一の位置に存在するピクセルの色情報を取り出す。例えば、ステップS8で取得した合焦点位置がスライス画像群の10枚目の座標位置(5,8)であった場合、RGB画像群の10枚目の座標位置(5,8)のピクセルの色情報を取得することである(この時、スライス画像群、RGB画像群は、それぞれ撮影順に整列しているものとする)。
【0037】
次に全焦点RGB画像作成ステップS10において、ステップS8,9で得られた観察対象物の全領域の深さ情報と色情報とにより、観察対象物本来の色情報を有した3次元情報を作成する。その様子を図6により説明する。ステップS7で得られた最適合焦点位置における輝度情報・色情報及び合焦点位置より導き出される深さなどのデータを、深さ情報をパラメータに並べ替えてみよう。ピクセルグループL1は、深さL1のピクセルの集合であり、ピクセルグループL2は、深さL2のピクセルの集合である。図6に示すようにピクセルグループL1により、立体ボクセルV1が生成される。さらに、ピクセルグループL2により立体ボクセルV2が生成される。このようにして、取得された全ての画像イメージより、立体ボクセルを作り出す。立体ボクセルV2は立体ボクセルV1よりも観察対象物1の1回の移動距離たとえば0.1mmだけ、離れたデジタル画像から深度が0.1mmだけ大きくなる値を有する。したがって、ボクセルV1,V2・・・を合成することにより、立体情報として合成済立体データV0を得ることが出来る。
【0038】
図6では観察対象物1が円錐台形のものを用いているが観察対象物1が複雑な形状のときは、取得画像イメージL1において全てのピクセルの輝度が最大となるわけではないので、立体ボクセルV1のうち、ピクセルの輝度が最大となっていないピクセルに対応したボクセルは欠けることになる。これによって、撮像手段2からの焦点深さに対応した3次元情報を生成できる。
【0039】
図7は観察対象物1のデジタル画像のうち対象ピクセルP1とこれに対応したボクセルとの関係を拡大して示したものである。観察対象物1が0.1mmづつ移動するときには、対象ボクセルの高さは0.1mmとなる。
そして、各ボクセルの位置に対応するS9で取得した色情報を合成していく。
【0040】
最後に立体画像出力ステップS11において、S10ステップで作成した立体画像を画面などの出力装置に出力して、表示する。
ところで、上記で説明した当該実施例1の処理手順は、単なる1例であってこれに限定するものではない。例えば、先に外部照明手段5を用いてRGB画像を取得し、その後スリット照明手段3を用いてスライス画像を取得しても良い。
【0041】
(実施例2)図8は本発明の他の実施例を示す。実施例1に対して、対象物回転ステップS7aにおいて、観察対象物1を180度回転させ、その裏面についても撮像することを追加したものである。表裏両面の対応する部分を対応付けするために3次元画像合成ステップS11aで3次元画像処理をすることにより観察対象物1の全体的な画像を生成することができる。これにより観察対象物1を裏返して観察することもできる。この観察対象物1を回転させる手段を図9に示す。この回転手段8は、移動手段4の先端にモータを設け回転軸を回転させて観察対象物1を回転させる。また、この回転角度は自由に調整することができる。当該実施例2では、回転角度を180度に設定してあるが、観察状況によっては、例えば、45度、90度など設定することができる。
【0042】
(実施例3)図10は本発明の他の実施例を示し、実施例1のスリット照明手段3と外部照明手段5であるドーム型照明とを、それぞれ面状ライトとストロボなどの通常の照明装置に置き換えたものである。面状ライトからなるスリット照明手段3は、細長い支柱に観察対象物1より小さな幅の光を照射する線状光源が取り付けてあり、この線状光源を2本用意してそれぞれの支柱に取り付けてある線状光源が互いに向き合い、それぞれの線状光源から照射された光線は同一平面に存在し、その結果図10に示すように光の面を形成するようにしたものである。線状光源は、「それぞれの線状光源から照射された光線は同一平面に存在する」という条件を満たすならば、複数でも構わない。また、ストロボ光源からなる外部照明手段5は、観察対象物1に対して満遍なく光が照射され、かつ、撮像手段2の撮影を妨げない場所、例えば、観察対象物1の撮影面の斜め前などに配置する。当該実施例3は、実施例1と同様に動作する。当該実施例3では、ストロボ光源を使用しているため、昆虫などの光沢質の対象物体を撮影した場合、サチュレーションや映り込みが入ってしまい正確な色情報を取得することはできない。しかし、光沢質ではない対象物体を撮影する場合、簡易的な外部照明手段として当該実施例3を利用することができる。
【0043】
(実施例4)図11は本発明の他の実施例を示し、面状ライトからなるスリット照明手段3、可動台からなる移動手段4、デジタルカメラからなる撮像手段2、画像処理コンピュータ6より構成される装置に、点光源などで構成した全空間を被う照明装置からなる外部照明手段5と各点光源の点灯を制御する外部照明制御手段7と実施例2で説明した観察対象物の回転手段8とを付加する。これは、実施例2のスリット照明手段3とドーム型照明5とを、それぞれ面状ライトと曲面に取り付けられている複数の点光源からなる照明装置とに置き換えたものである。当該実施例4は、実施例2とほとんど同様に動作するが、異なる点がある。その相違点とは、観察対象物1を回転させるステップにおいて、観察対象物に対する点光源群から照射される光線の照明環境が変化しないように、回転手段8の回転ベクトルに対応して、点光源群の位置を変化させることである。また、もう1つの相違点は観察対象物の表面の全領域に対して外部照明手段から光が照射されていることである。これは、上記の回転手段8に起因するものである。なぜなら、回転手段8により観察対象物を回転させると、それに伴って外部照明手段5も移動するが、回転後の観察対象物の観察側表面に対しても光が照射されていなければならないからである。そのために、撮影開始時に撮影対象外である観察対象物表面に対しても、予め外部照明手段5により光を照射するのである。
【0044】
(実施例5)図12は本発明の他の実施例を示し、スリット照明3の様々な形状を提案した。実施例1の輪状具の形状は、必ずしも円である必要はなく、例えば図12に描写したような形状をしていてもよい。図12には3つの形状を図示している。これらの形状に共通しているのは、観察対象物をスリット照明の中心に置いたとき、観察対象物に対する各スリット光源の照射環境が全て均一で、かつ各スリット光源の相対的位置が常に同一であるということである。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、スリット光源を複数設けることで、スリット光源から照射される光線と観察対象物との接点を増やし、かつ観察対象物に対するそれぞれの光線の照射環境を等しくし、さらにそれぞれを光源を同一の固定具に設置することで、各照明と撮影対象物との水平性の精度が向上した。また、スリット照明下で撮影した画像より取得した深さ情報と、外部照明手段下で撮影した画像より取得した色情報とより、対象物表面の本来の色情報を正確に再現した立体画像を表示することが可能となった。
【0046】
以上より,超高解像度3次元画像の精度・品質を高度に向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の立体観察装置の一実施例の構成図である。
【図2】図1に示した立体観察装置の処理手順を示す図である。
【図3】スリット照明の構成図である。
【図4】ドーム型照明の構成図である。
【図5】1つのピクセルについての画像枚数と輝度との関係を示す図である。
【図6】図2のステップS10における3次元データ抽出プロセスの説明図である。
【図7】図2のステップS10で用いられる3次元データ構造の拡大図である。
【図8】実施例2の処理手順を示す図である。
【図9】実施例2で用いる移動手段における、観察対象物を回転させる部分を示す図である。
【図10】実施例3の装置構成を示す図である。
【図11】実施例4の装置構成を示す図である。
【図12】実施例5の様々なスリット照明の形状の1例を示す図である。
【符号の説明】
1 観察対象物
2 撮像手段
3 スリット照明手段
3a スリット光源
3b スリット光源
4 移動手段
5 外部照明手段
6 画像処理コンピュータ
7 外部照明制御手段
8 回転手段
Claims (12)
- 観察対象物のデジタル画像を取得する画像取得手段と、
観察対象物の合焦点を含む限定された領域を照射するスリット照明手段と、
観察対象物の観察側表面の全領域を照射する外部照明手段と、
観察対象物を前記画像取得手段に対して相対的に移動する移動手段と、
前記画像取得手段と前記スリット照明手段とを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から3次元情報を抽出する3次元情報抽出手段と、
前記画像取得手段と前記外部照明手段とを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から、前記3次元情報抽出手段で抽出された3次元空間座標位置と同一の3次元空間座標位置に存在するピクセルの色情報を抽出する色情報抽出手段と、
前記3次元情報抽出手段から得られた3次元情報と前記色情報抽出手段から得られた色情報とより、観察対象物表面の色情報を有する立体情報を生成する立体情報生成手段と、
前記立体情報生成手段により得られた情報を表示する立体画像表示手段と
を有する立体観察装置。 - 前記スリット照明手段は、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の光源から構成され、
かつ前記複数の光源は同一の輪状具に等間隔に配置され、
かつ複数の前記光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在し、前記光線のすべてが一点で交差する
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置。 - 前記スリット照明手段は、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の線状光源から構成され、
前記複数の線状光源は相互に向き合い、
前記それぞれの光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在する
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置。 - 前記外部照明手段は、観察対象物の観察側表面の全領域に対して光を照射する
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置。 - 前記外部照明手段は、観察対象物の観察側表面の全領域を均一に照射する複数の光源群からなる
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置。 - 前記外部照明手段は、観察対象物の全領域を均一に照射する複数の光源からなり、
前記観察対象物が回転した場合、前記複数の光源も前記回転ベクトルに従って移動する
ことを特徴とする請求項1記載の立体観察装置。 - 観察対象物のデジタル画像を取得する画像取得ステップと、
観察対象物の合焦点を含む限定された領域を照射するスリット照明ステップと、
観察対象物の観察側表面の全領域を照射する外部照明ステップと、
観察対象物を前記画像取得ステップに対して相対的に移動する移動ステップと、
前記画像取得ステップと前記スリット照明ステップとを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から3次元情報を抽出する3次元情報抽出ステップと、
前記画像取得ステップと前記外部照明ステップとを用いて、前記観察対象物の移動に伴って得られた複数枚のデジタル画像から、前記3次元情報抽出ステップで抽出された3次元空間座標位置と同一の3次元空間座標位置に存在するピクセルの色情報を抽出する色情報抽出ステップと、
前記3次元情報抽出ステップから得られた3次元情報と前記色情報抽出ステップから得られた色情報とより、観察対象物表面の色情報を有する立体情報を生成する立体情報生成ステップと、
前記立体情報生成ステップにより得られた情報を表示する立体画像表示ステップと
を有する立体観察方法。 - 前記スリット照明ステップは、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の光源より光を照射し、
かつ前記複数の光源を同一の輪状具に等間隔に配置し、
かつ前記複数の光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在し、前記光線のすべてが一点で交差する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法。 - 前記スリット照明ステップは、観察対象物より小さな幅の光を照射する複数の線状光源より光を照射し、
前記複数の線状光源は相互に向き合い、
前記それぞれの光源から照射されたすべての光線は同一平面に存在する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法。 - 前記外部照明ステップは、観察対象物の観察側表面の全領域に対して光を照射する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法。 - 前記外部照明ステップは、観察対象物の観察側表面の全領域を均一に照射する複数の光源より光を照射する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法。 - 前記外部照明ステップは、観察対象物の全領域を均一に照射する複数の光源より光を照射し、
前記観察対象物が回転した場合、前記複数の光源も前記回転ベクトルに従って移動する
ことを特徴とする請求項7記載の立体観察方法。
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