JP3639032B2 - 冷却飲料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫、冷凍冷蔵庫等の冷却機能を有する種々の箱体に適用可能な冷却飲料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、冷たい飲料水を供給する装置として、冷却機能を有する箱体内に冷水用の専用タンクを設置し、箱体外部からその冷水を取出す冷水器が一般に普及している。また、以前には、冷蔵庫の扉内側に冷水用の専用タンクを設置してその扉外部から冷水を取出す冷水器があった。
【0003】
このような従来の冷水器では、専用タンクを使用しているため、長期間の使用によって、水に含まれているミネラル分等の物質や水垢が当該タンク内面に付着する。そのため、頻繁にタンク内面を清掃しなければならず、手入れが面倒であるという問題がある。また、このような専用タンクを有する冷水器では、しばらく使用しない状態が続くとカビ等が発生して衛生的にも問題がある。
【0004】
特に、近年広く普及している、ミネラルウォータやお茶等の飲料をペットボトルに入れたペットボトル飲料を上記専用タンクに入れて飲料を供給する場合、これら市販のペットボトル飲料の「水」は通常ほとんどミネラルウォータであるため、水道水よりもミネラル分が多く、よって、上述した手入れや衛生上の問題がさらに促進されてしまう。この問題は、お茶等の水以外の飲料を供給する場合に、その沈殿物などによってより顕著に現われる。
【0005】
そこで、本発明は、上記の点に鑑み、手入れが簡便であり、かつ衛生的である冷却飲料供給装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷却飲料供給装置は、水、ジュース、紅茶、日本茶等の市販の飲料容器の口部に栓部材を取付け、この栓部材を下方に向けた姿勢で前記飲料容器を容器保持部に取付け、この容器保持部の下端部の給液口から前記飲料容器内の飲料を前記栓部材の開閉により供給するものであり、さらに以下の構成を備える。
【0008】
請求項1の冷却飲料供給装置では、前記容器保持部が冷却機能を有する箱体の扉の後面側に設けられたポケットにより形成され、前記給液口が前記扉の前面側に設けられ、前記容器保持部が、前記飲料容器の後面に当接して当該容器の後方への落下を防止する保持部を有し、この保持部が、前記ポケットの後壁の上端部に配された水平軸に回動可能に配されて、該水平軸から上方に延びる保持部上部が、前記飲料容器の前記容器保持部への着脱時に後方に回動し、前記水平軸から下方に延びる保持部下部が、取り付けられた飲料容器により前記ポケットの後壁の前面に押し付けられて、前記保持部上部の後方への回動が規制される。
【0009】
請求項2の冷却飲料供給装置では、前記栓部材が、上下に移動して飲料の流路を開閉する弁と、この弁を閉状態に付勢する付勢部材とを備え、前記容器保持部の下端部に前記栓部材の前記弁を上方に押し上げて前記流路を開状態にする弁操作部が配され、前記付勢部材の付勢力が、前記飲料容器の容器本体の重量と前記栓部材の重量との和よりも小さい。
【0010】
本発明の冷却飲料供給装置においては、前記弁が硬質部材によって補強されてもよい。
【0011】
また、本発明の冷却飲料供給装置においては、前記容器保持部が冷却機能を有する箱体の扉の後面側に設けられ、前記給液口が前記扉の前面側に設けられ、前記容器保持部の下端部に、前記扉を貫通して前記栓部材と前記給液口とを接続する給液経路部が配され、この給液経路部が分割可能に形成されてもよい。
【0012】
本発明において、市販の飲料容器とは、合成樹脂製又はガラス製の容器など(例えば、ペットボトルやガラス瓶など)に、水、お茶、ジュースなどの飲料が充填されたものであって、市販されているものをいう。特に、上記ペットボトルと称される、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂より形成されたボトルに飲料を充填したものは、取扱性などの点より好適である。
【0013】
【作用】
本発明の冷却飲料供給装置では、市販の飲料容器の口部を封止する栓に代えて栓部材を取付けて、この栓部材を下方に向けた姿勢で飲料容器を容器保持部に取付ける。そして、この容器内の飲料を、栓部材を開閉させることにより、容器保持部の下端部の給液口から取出す。すなわち、市販の飲料容器の当該容器を飲料供給用のタンクとして使用し、一本毎に新しいものに更新するので、従来の専用タンクのように内面に水垢やミネラル分が付着することがない。
【0014】
加えて、請求項1の冷却飲料供給装置であると、箱体の扉後面側に配された飲料容器の後面に当接してその容器の後方への落下を防止する保持部の上部が後方に回動可能であるため、扉を開けて飲料容器を容器保持部に着脱する際に、保持部の上部を手前に回動させることができ、よって、飲料容器の落下防止を図るとともに該容器の着脱性に優れる。
【0015】
また、請求項2の冷却飲料供給装置では、容器保持部の下端部に配された弁操作部の操作により、付勢部材の付勢力に抗じて栓部材の弁を上方に押し上げて飲料を供給する。その際、弁を閉状態に付勢する付勢手段の付勢力が、飲料重量を除く飲料容器本体の重量と栓部材の重量との和よりも小さいため、飲料容器内の飲料が少なくなったときに、弁操作部の操作によって、飲料容器が栓部材とともに上方に浮き上って弁が開かないということがなく、飲料が少なくなったときでも弁を確実に開けることができる。よって、飲料容器内の飲料の残留を防止することができる。
【0016】
また、請求項3の冷却飲料供給装置では、飲料の流出を規制する栓部材の弁が硬質部材によって補強されているので、飲料容器として炭酸飲料等の容器内圧が上昇しやすいものを用いた場合であっても、当該内圧上昇により弁から飲料が噴出することがない。
【0017】
また、請求項4の冷却飲料供給装置であると、扉後面側に配された栓部材から流出した飲料を、扉前面側に配された給液口に導く、扉を貫通する給液経路部が、分割可能に形成されているので、飲料が流れる給液経路部の内部清掃性に優れる。
【0018】
本発明の冷却飲料供給装置においては、前記容器保持部が、前記飲料容器の両側を保持する一対の保持部を有し、この一対の保持部の間隔が、矩形の前記飲料容器の略短辺寸法に設定されてもよい。この場合、容器保持部の一対の保持部が飲料容器の両側を保持するため、飲料容器の左右両側への倒れ及びがたつきを防止することができ、また、この一対の保持部の間隔が矩形の飲料容器の略短辺寸法に設定されているため、容器保持部の幅方向寸法を小さくすることができる。特に、飲料容器がペットボトルである場合には、通常、矩形のペットボトルの短辺寸法と円形のペットボトルの直径寸法とが略同一であるため、前記保持部の間隔を矩形のペットボトルの略短辺寸法とすることにより、円形のペットボトルをもその両側を良好に保持することができ、よって、複数種のペットボトルを保持可能にしつつ、容器保持部の幅方向寸法を小さくすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例に係る冷却飲料供給装置10を図面を参照して説明する。
【0020】
この冷却飲料供給装置10は、図1〜3に示すように、冷蔵庫1の冷蔵室2の扉3に配されており、冷蔵室2内に配されたペットボトル4内の飲料を扉3を介して外部に供給するものである。
【0021】
符号12は、ペットボトル4をその口部を下方に向けた姿勢で保持するボトル取付部であり、扉3の内面側、即ち後面側に取付けられたポケット13により形成されている。このボトル取付部12は、ペットボトル4の着脱性向上及び飲料の安定的流出を図るため、ペットボトル4を、その口部がボトル下部よりも前方に位置するように垂線に対して前後方向にやや傾斜した姿勢に保持する。
【0022】
符号14は、ボトル取付部12に保持されたペットボトル4の後方への落下を防止する回転ポケットであり、ポケット13の後壁13aの上端部に配された水平軸16に回動可能に取付けられている。この回転ポケット14は、図4に示すように、水平軸16から上方に延びる上部14aが左右の保持腕17、17を有して断面略コ字状に形成され、水平軸16から下方に延びる下部14bが板状に形成されている。
【0023】
回転ポケット14は、その下部14bがポケット13の後壁13aの前面に当接した状態でポケット13の後壁13a及び左右両側壁13b、13cと一体化し、図3に示すように、ペットボトル4の着脱時に上部14aが後方に回動するよう構成されている。そして、図9に示すように、ペットボトル4の落下を防止するため、扉3後面から延設された規制部材15によって、所定角度θ以上回動しないように回動角度が規制されている。
【0024】
回転ポケット14の上部14aの一対の保持腕17、17は、図5に示すように、ペットボトル4の表面に沿って屈曲した板状に形成され、ペットボトル4の両側を保持する。この一対の保持腕17、17の間隔Wは、2リットル(以下、Lと示す。)入りの矩形のペットボトル4aの短辺寸法Mよりもやや大きく設定されている。
【0025】
図9に示すように、水平軸16は、ペットボトル4をボトル取付部12に取付けたときに、ペットボトル4の胴体部分から口部への括れ部分に至る角部4kよりも上方に位置するように配されている。
【0026】
符号18は、ペットボトル4の口部が挿入される挿入孔であり、ボトル取付部12のポケット13の底板を貫通して形成されている。この挿入孔18は、ボトル取付部12の底面前端部に、水平軸により回動自在に配された可動底板20によって、開閉可能になっている。
【0027】
符号22は、扉3前面に設けられた飲料取出部であり、容器取付部12の下方において、冷蔵室2内部にやや突出して形成されている。この飲料取出部22の底面には飲料の床面への落下を防止する受け皿24が着脱自在に配されている。
【0028】
符号26は、ペットボトル4の口部に、市販時に配された栓に代えて取付けられる栓部材であり、ペットボトル4に取付けられた後に、ボトル取付部12の挿入孔18に挿入されて、ポケット13の下方に配される。この栓部材26は、図7に示すように、円筒状の胴部28と、この胴部28の上端部に着脱自在に結合される接続部30と、胴部28内にて液体の流出を規制する弁31とよりなる。
【0029】
胴部28の内周面には、弁31の座る環状の弁座28aが形成されており、この弁座28aの内周縁から弁支え28bが下方に延成されている。また、弁座28aの内周側が液体の流路28cとなる。
【0030】
弁31は、その上面における飲料の残留を防止するため上下両面が凸状に形成された円盤形状をなす。そして、上下2層構造であり、上層31aが硬質樹脂よりなる補強部材により形成され、下層31bが軟質ゴムより形成されている。
【0031】
弁31は、弁支え28bに軸方向に滑動自在に支持されたシャフト32の上部に嵌着されており、下層31bの下面が弁座28aに当接することによって、流路28cが閉鎖されて、弁座28aの上方と下方の空間が遮断され、液体の流れが閉鎖される。シャフト32の下部には、コイル状のスプリング33が装着されており、このスプリング33は、弁支え28bとシャフト32の下端部との間に配されて、弁31を下方、即ち閉状態に付勢している。このスプリング33が弁31を弁座28aに対して下方に付勢する付勢力は、ペットボトル4の内部飲料を除くボトル本体の重量と栓部材26の重量との合計重量よりも小さく設定されている。
【0032】
胴部28の上端部の内周面には、周方向に所定の間隔を開けて同一形状の独立した突起34が3個形成されており、この突起34は、所定の長さを有して周方向に延び、その一端が他端よりも軸方向にやや傾斜して形成されている。また、円筒状の胴部28の底面には、下方に開口する凹溝36が全周に形成されている。
【0033】
接続部30は、胴部28よりもやや径大な環状のハンドル部30aと、その上下面からそれぞれ上下方向に延設された上下の円筒状の取付部30b、30cとよりなる。両取付部30b、30cは同一外径を有し、その外周面には、胴部28上端部の各突起34、34、34間に挿入され、図7の矢印Jの方向に接続部30を捻ることにより、これら各突起34、34、34の下方にそれぞれ潜入して係止される3個の独立した突起38、38、38が、それぞれ形成されている。
【0034】
この接続部30と胴部28との結合状態において、取付部30b(30c)の下端が胴部28内に配された環状のシールゴム39の上面に圧着され、これにより、両者間が密閉されるように構成されている。
【0035】
上下の取付部30b、30cは、口径の異なる2種類のペットボトル4の口部にそれぞれ対応するように大小異なる内径に形成されており、各内周面にはそれぞれのペットボトル4の口部の雄ネジと螺合する雌ネジが形成されている。また、ハンドル部30aの外周面には、滑り止めの凹凸成形すなわちローレットが施されている。
【0036】
符号40は、栓部材26から流出した飲料を扉3前面側に送り出す給液経路部であり、ボトル取付部12の下方に着脱自在に配されている。この給液経路部40は、栓部材26を支持するとともにそこから流出する飲料を受入れる円筒状の栓受け部40aと、この栓受け部40aの下端部前面から前方かつ下方に延設され扉3を貫通する管状の給液ノズル部40bと、栓受け部40aの周りに周設され、ペットボトル着脱時における周囲への飲料の垂れ落ちを防止する飲料受け部40cとよりなり、扉3の後面に設けられた支持部材42上に配される。
【0037】
栓受け部40aの開口上端には、栓部材26を支持する4つの突起44、44…が、図8(a)に示すように、左右対称に前後2つずつ配されており、栓部材26を栓受け部40a上に載せたとき、栓受け部40aの上端部が胴部28の凹溝36内に配されて、突起44、44…が栓部材26の下端を支持し、これにより、栓受け部40aの上端開口部が栓部材26の下端部により覆われるよう構成されている。また、図8(b)に示すように、栓受け部40aと胴部28との結合状態において、栓受け部40aの上端開口部は、その4つの突起44、44…により、凹溝36の上面に部分的に当接しており、これにより、この結合部には栓部材26内に外気を供給する空気流路46が形成されている。
【0038】
栓受け部40aの底板は、給液ノズル部40bに向って傾斜しており、この底板には、栓部材26の軸方向に突出する凸部が形成されており、この凸部に弁31のシャフト32下面を上方に押圧するプッシャ48が取付けられている。このプッシャ48は、凸部を貫通する孔に周設された環状のシールゴム50の下方において、上下方向に摺動自在に配されており、図8(b)に示す位置から下方への動きは規制されている。
【0039】
給液ノズル部40bは、扉3を後側から前側に向って下方に傾斜して貫通する貫通孔52に挿通されており、先端部が飲料取出部22の上部から扉前面側に突出している。この先端部の下面には給液口54が設けられている。
【0040】
この給液ノズル部40bは、図7に示すように、先端部が着脱自在の分割式に形成されており、この先端部40dと給液ノズル部40b本体との着脱は、2組の係合突起56、56と係合凹部58、58によりなされる(図8参照)。
【0041】
符号59は、ボトル取付部12へのペットボトル4の取付け時に、栓部材26を給液経路部40の栓受け部40aに導く栓ガイドであり、図9に示すように、ポケット13の下方にて扉3後面側に配されて、下方ほど後方に傾斜する傾斜面を有する。
【0042】
符号60は、ペットボトル4内の飲料の流出を制御する制御部であり、図9に示すように、扉3の前面側から操作可能に配された操作部である押しボタン62と、扉3の後面側の支持部材42下方に配され、この押しボタン62の操作により、給液経路部40の栓受け部40aのプッシャ48を上方に押し上げる機械室64とよりなる。
【0043】
押しボタン62は、飲料取出部22において扉3を内外に水平に貫通する扉貫通孔69に摺動自在に配され、その後端が、機械室64内に配された水平軸66に回動自在に取付けられたレバー68に当接している。レバー68は、押しボタン62が当接する垂下腕68aと後方に延びる作用腕68bとよりなり、この作用腕68bにはピン70が突出形成されている。そして、このピン70に係合する長孔72を有し、レバー68の回動を上方のプッシャ48に伝達する伝達部材74が、機械室64及び支持部材42を貫通してブッシャ48の下面に当接するように配されている。
【0044】
なお、給液経路部40及び押しボタン62が挿入されている扉3の貫通孔52、69には、図9に示すように、熱漏洩を低減させるため、スポンジ状のシール材がそれぞれ周設されている。
【0045】
つぎに、この冷却飲料供給装置10の作用について説明する。
【0046】
(1)準備段階
本装置10を使用する場合には、まず、ペットボトル4の口部に栓部材26をネジ止めにより取付ける。このとき、ペットボトル4の口部の径に応じて、胴部28に対する接続部30の取付方向を変えておく。すなわち、口径の小さいペットボトル4の場合には、図7に示すように内径の小さい取付部30bが外側に向くように、口径の大きいペットボトル4の場合には、図8(b)に示すように内径の大きい取付部30cが外側に向くように、接続部30を胴部28に取付ける。
【0047】
胴部28への接続部30の取付けは、胴部28の上端部に接続部30の取付部30bを夫々の突起34、38が重ならないようにして挿入し、接続部30を少し捻る、即ちわずかに回動させるだけでなされる。このように両者の結合はワンタッチで短時間で行なえる。
【0048】
ペットボトル4に栓部材26を取付け後、扉3を開け、図3に示すように可動底板20を立てた状態で、回転ポケット14の上部14aを手前に傾け、ペットボトル4を上下逆さにしてボトル取付部12内に装入する。この装入とともに回転ポケット14が回転して、その下部14bがペットボトル4の角部4kによりポケット13の後壁13a前面に押付けられ、これにより、回転ポケット14の上部14aの後方への回動が規制され、よって、ペットボトル4が後方に落下しないように保持される。また、回転ポケット14の左右の保持腕17、17が、ペットボトル4の左右両側を保持する。
【0049】
また、この装入時において、ペットボトル4先端の栓部材26は、ボトル取付部12底板の挿入孔18に挿入された後、栓ガイド59により給液経路部40の栓受け部40a上に導かれ、図9に示すように、凹部36内に栓受け部40aの開口上端が収納された状態で、給液経路部40上に載置される。これにより飲料供給待機状態となる。
【0050】
(2)飲料供給待機状態(図9の状態)
この状態では、ペットボトル4内の飲料の重力及びスプリング33の付勢力によって、栓部材26の弁31が閉じられている。
【0051】
(3)飲料供給状態(図10の状態)
コップCを飲料取出部22の押しボタン62に押し当てると、レバー68が図10において反時計周りに回動して、伝達部材74を上方に押し上げる。そして、伝達部材74がその上方のプッシャ48を押し上げて、これにより、弁31が押し上げられて、ペットボトル4内の飲料が、矢印Fで示すように給液経路部40の栓受け部40a内に流出し、さらに給液ノズル部40bを通って、扉3前面に突出する先端の給液口54から流出して、コップCに注がれる。このとき、図10に点線矢印Gで示すように胴部28と給液経路部40との結合部に設けられた空気流路46を通って、弁31に下方から空気が供給されて、ペットボトル4内の飲料が外気に良好に置換される。
【0052】
コップCを押しボタン62から離すと、スプリング33の付勢力及びペットボトル4内の飲料の重力により、弁31が下って液体の流路28cを閉鎖するとともに、プッシャ48が下方に押し戻され、これにより、伝達部材74、レバー68及び押しボタン62が元の状態に戻り、飲料供給待機状態に戻る。
【0053】
(4)飲料非供給状態(図6の状態)
例えば冬場など、本装置10を飲料供給用に供しないときには、可動底板20を倒して、ボトル取付部12のポケット13底板の挿入孔18を閉蓋する。これにより、このボトル取付部12内にペットボトルや他の収納物を収納することができ、ボトル取付部12がデッドスペースとならない。また、このとき、栓部材26を可動底板20の下方に収納することができるため、栓部材26の置き場所に困らない。
【0054】
以上よりなる冷却飲料供給装置10であると以下の効果を奏する。
【0055】
1) 市販のペットボトル飲料をそのまま飲料供給用のタンクとして使用するので、該タンクは一本毎に新しいものに更新され、従来の専用タンクのように内面に水垢やミネラル分が付着することがない。よって、手入れが簡便であり、かつ、衛生的である。また、扉3を開閉することなく冷蔵室2内の飲料を取出すことができるため、扉開閉に伴なう消費電力を削減するとともに、室内温度上昇を防止することができる。また、ペットボトル4内の飲料取出しの手間が削減される。
【0056】
2) ペットボトル4の両側が回転ポケット上部14aの一対の保持腕17、17により保持されているので、ペットボトル4の左右方向への倒れ及びがたつきを防止することができる。
【0057】
3) 一対の保持腕17、17の間隔Wが、2L入りの矩形のペットボトル4aの短辺寸法Mよりもやや大きく設定されているので、2L入り、1.5L入り等の様々なペットボトルに対し、矩形のもののみならず円形のものをも収納可能にしつつ、保持腕17、17の間隔Wをできるだけ狭くすることができる。
【0058】
詳述すると、市販のペットボトル飲料のペットボトルは、2L入り、1.5L入り等種々あり、その水平断面形状は、矩形又は円形に形成されている。そして、図5に示すように、矩形のペットボトル4a、4bの短辺寸法M(正方形4cの場合は一辺の寸法)は、複数種のペットボトル間で略同一長さに設定されており、さらに、該短辺寸法Mは、円形のペットボトル4dの直径Dとも略同一の長さに設定されている。そのため、保持腕17、17の間隔Wを前記短辺寸法Mで規制すれば、円形のものを含む複数種のペットボトルを保持可能にしつつ、当該間隔Wをできるだけ狭くすることができ、これにより、ボトル取付部12の幅方向寸法を短くして、扉3後面の他の収納スペースを確保することができる。なお、矩形のペットボトル4a〜cは、図5に示すように、通常、角が面取りされた多角形状に形成されている。
【0059】
ここで、前記短辺寸法Wは90〜100mmであることが好ましく、これにより、市販の2L入り及び1.5L入りのペットボトルを良好に保持することができる。なお、この場合におけるボトル取付部12の奥行方向、即ち前後方向の寸法は115mm以上であることが好ましい。
【0060】
4) ペットボトル4の後方への落下を防止する回転ポケット14が、その上部14aが後方に回動可能になっているため、容器取付部12へのペットボトル4の着脱性に優れる。
【0061】
5) 栓部材26の弁31を閉状態に付勢するスプリング33の付勢力が、空のペットボトル重量と栓部材26重量の合計より小さく設定されているので、プッシャ48によりスプリング33の付勢力に抗じて弁31を上方に押し上げる際に、ペットボトル4内の飲料が少なくても、栓部材26とともにペットボトル4が上方に浮上って弁31が開かないということがなく、確実に弁31を押し上げることができる。よって、ペットボトル4内の飲料の残留を防止することができる。なお、このスプリング33の付勢力は、100gf(0.98N)以下であることが好ましい。
【0062】
6) 栓部材26の弁31の上部に硬質部材よりなる補強層31aを有するので、ペットボトル飲料として、炭酸飲料等のボトル内圧が上昇しやすいものを用いたときでも、この内圧上昇によって、弁31から飲料が噴出することがない。
【0063】
7) 給液経路部40の飲料が流れる栓受け部40aが栓部材26により覆われているため、飲料流路への異物の侵入を防ぐことができる。
【0064】
8) 栓部材26と給液経路部40との結合部に設けられた空気流路46により、ペットボトル4内の飲料が外気に良好に置換されるので、飲料の流出がスムースである。
【0065】
9) 栓部材26を支持する給液経路部40上端の4つの突起44、44…が、左右対称に前後2つずつ配されているので、ペットボトル4の安定的な支持が可能である。
【0066】
10) 給液経路部40の扉3を貫通する給液ノズル部40bが、先端部40dが着脱自在の分割式に形成されているので、給液経路部40の清掃時に先端部40dを外すことができ、よって、給液ノズル部40bの内部清掃性に優れる。また、給液経路部40の部品成形性に優れる。
【0067】
【発明の効果】
本発明の冷却飲料供給装置であれば、手入れが簡便、かつ、衛生的であり、さらに、請求項1の冷却飲料供給装置であると、飲料容器の落下を防止するとともに該容器の着脱性に優れ、請求項2の冷却飲料供給装置であると、容器内の飲料の残留を防止することができ、請求項3の冷却飲料供給装置であると、炭酸飲料等の容器内圧が上昇する飲料容器を用いた場合でも弁からの飲料の噴出を防止することができ、請求項4の冷却飲料供給装置であると、飲料が流れる給液経路部の内部清掃性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る冷却飲料供給装置10を備えた冷蔵庫1の正面図である。
【図2】冷蔵庫1の冷蔵室扉3の後面を示した図である。
【図3】冷蔵庫1の冷蔵室2の要部縦断面図である。
【図4】冷却飲料供給装置10のボトル取付部12の要部拡大斜視図である。
【図5】ボトル取付部12の回転ポケット14の横断面図である。
【図6】飲料非供給状態における冷蔵室2の要部縦断面図である。
【図7】冷却飲料供給装置10の栓部材26と給液経路部40の分解斜視図である。
【図8】(a)は、給液経路部40の平面図であり、(b)は、給液経路部40上に栓部材26を載せた状態の縦断面図である。
【図9】飲料供給待機状態における冷却飲料供給装置10の要部縦断面図である。
【図10】飲料供給状態における冷却飲料供給装置10の要部縦断面図である。
【符号の説明】
2……冷蔵室
3……扉
4……ペットボトル
10……冷却飲料供給装置
12……ボトル取付部
14……回転ポケット
16……水平軸
17……保持腕
22……飲料取出部
26……栓部材
28c…液体の流路
31……弁
31a…弁31の上層
33……スプリング
40……給液経路部
40b…給液ノズル部
40d…給液ノズル部40bの先端部
54……給液口
60……制御部
Claims (4)
- 水、ジュース、紅茶、日本茶等の市販の飲料容器の口部に栓部材を取付け、この栓部材を下方に向けた姿勢で前記飲料容器を容器保持部に取付け、この容器保持部の下端部の給液口から前記飲料容器内の飲料を前記栓部材の開閉により供給する冷却飲料供給装置であって、
前記容器保持部が冷却機能を有する箱体の扉の後面側に設けられたポケットにより形成され、
前記給液口が前記扉の前面側に設けられ、
前記容器保持部が、前記飲料容器の後面に当接して当該容器の後方への落下を防止する保持部を有し、この保持部が、前記ポケットの後壁の上端部に配された水平軸に回動可能に配されて、該水平軸から上方に延びる保持部上部が、前記飲料容器の前記容器保持部への着脱時に後方に回動し、前記水平軸から下方に延びる保持部下部が、取り付けられた飲料容器により前記ポケットの後壁の前面に押し付けられて、前記保持部上部の後方への回動が規制される
ことを特徴とする冷却飲料供給装置。 - 水、ジュース、紅茶、日本茶等の市販の飲料容器の口部に栓部材を取付け、この栓部材を下方に向けた姿勢で前記飲料容器を容器保持部に取付け、この容器保持部の下端部の給液口から前記飲料容器内の飲料を前記栓部材の開閉により供給する冷却飲料供給装置であって、
前記栓部材が、上下に移動して飲料の流路を開閉する弁と、この弁を閉状態に付勢する付勢部材とを備え、
前記容器保持部の下端部に前記栓部材の前記弁を上方に押し上げて前記流路を開状態にする弁操作部が配され、
前記付勢部材の付勢力が、前記飲料容器の容器本体の重量と前記栓部材の重量との和よりも小さい
ことを特徴とする冷却飲料供給装置。 - 前記弁が硬質部材によって補強されたことを特徴とする請求項2記載の冷却飲料供給装置。
- 前記容器保持部が冷却機能を有する箱体の扉の後面側に設けられ、
前記給液口が前記扉の前面側に設けられ、
前記容器保持部の下端部に、前記扉を貫通して前記栓部材と前記給液口とを接続する給液経路部が配され、この給液経路部が分割可能に形成された
ことを特徴とする請求項1又は2記載の冷却飲料供給装置。
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