JP3638552B2 - 信号比較検出切替装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の入力信号から内容が相互に同じである2つの信号を検出し、これらの信号を任意に切り替える信号比較検出切替装置に関し、特に、適応フィルタを使用して任意の2つの信号が同じ内容の信号であるか否かを判断する信号比較検出切替装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車載用ラジオ受信機は、自動車の移動に伴って受信地点が変化する。このため、1つの放送局からの放送を受信し続けていると、自動車の移動に伴って受信状態が悪化することがある。一方、地上波を放送する放送局は全国的なネットワークを形成し、同じ内容の放送を同一のネットワークに属する複数の放送局により同時に行うことが多い。そこで、長距離を移動する車内においてラジオ放送を受信する場合は、それまで受信していた放送局からの電波の受信状態が悪化したときに、放送内容が同じであり受信状態がより良好な他の放送局からの電波を受信するように選局し直すことにより、同じ番組を良好な受信状態で連続して視聴することができる。
【0003】
ネットワークフォロー式のラジオ受信機は、このような選局作業を自動的に行うラジオ受信機である。このようなネットワークフォロー式のラジオ受信機には、それまで受信していた信号と他の放送局から放送される信号とを比較し、これらの内容が一致するかどうかを判断する信号比較検出装置が組み込まれている。ネットワークフォロー式ラジオ受信機は、両信号の内容が一致した場合に、より良好な状態の信号を選択して出力する。
【0004】
従来の信号比較検出装置の一例が特許第2903334号に記載されている。図8はこの従来の信号比較検出装置の構成を示すブロック図である。図8に示すように、この従来の信号比較検出装置においては、別々のチューナから出力された入力信号701及び702の双方が入力される無音検出部703及び一致検出部704が設けられている。無音検出部703は入力信号701及び702が入力され、これらが無音であるか否か、即ち、信号レベルが実質的に0であるか否かを判断するものである。また、一致検出部704は、入力信号701と入力信号702との差分を算出し、この差分が所定の基準値よりも小さければ入力信号701と入力信号702とが一致すると判断し、差分が前記基準値以上であれば、両信号の内容が不一致であると判断するものである。
【0005】
更に、この信号比較検出装置には判断制御回路705が設けられている。判断制御回路705は、無音検出部703の出力信号及び一致検出部704の出力信号が入力され、入力信号701及び702の双方が無音でなく、且つ、入力信号701及び702が一致する場合に、入力信号701及び702が一致するという最終判断を下し、一致/不一致判別出力706を出力する。この信号比較検出装置が組み込まれたネットワークフォロー式ラジオ受信機(図示せず)は、一致/不一致判別出力706の内容が「一致」であるときに、入力信号701と入力信号702とを比較して、受信状態がより良好な入力信号を選択してこれを出力する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術には以下に示す問題点がある。図8に示す従来の装置では、比較対象となる入力信号間に遅延差、信号レベル差、位相の反転又はノイズの混入があると、入力信号が一致するか不一致であるかの判断が不正確になり、相互に同じ内容の入力信号であっても、誤って相互に異なる内容の入力信号であると判断してしまうことがある。即ち、従来の装置においては2つの入力信号の差分信号から両者の一致/不一致を判断しているため、2つの入力信号に遅延差が生じる場合、2つの入力信号の信号レベルに差がある場合、及び位相が反転している場合には、前記差分信号は期待されるような小さな値にならない。この結果、相互に同じ内容の入力信号であっても、誤って相互に異なる内容の入力信号であると判断してしまい、検出結果の妥当性が低下する。なお、信号比較検出装置に特許第2903334号に示されているような無音検出部703を設けても、この問題点を解決することはできない。なぜならば、この問題は入力信号の信号レベルが0でないときに起こる問題であるからである。
【0007】
また、前述の検出結果が不正確になるという問題を、前記信号比較検出装置に何らかの調整手段を設けて解決しようとすると、信号の検出時間が増加するという問題が発生する。その理由は、検出確度の向上させるために、判定結果をカウンタによって監視することが必要となり、検出結果を得るまでに時間がかかってしまうためである。
【0008】
更に、従来の装置では、出力信号を1の信号から他の信号に切り替える際にノイズが発生するという問題点がある。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ネットワークフォロー式ラジオ受信機等に組み込まれる信号比較検出切替装置において、入力信号間に遅延差、信号レベル差、位相の反転及びノイズの混入があっても検出誤りが少なく、且つ検出時間が短い信号比較検出切替装置を提供することを目的とする。また、信号切り替え時に発生するノイズが少ない信号比較検出切替装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る信号比較検出切替装置は、複数の入力信号から1の入力信号を選択して第1の信号として出力する第1の選択器と、複数の入力信号から1の入力信号を選択して第2の信号として出力する第2の選択器と、前記第2の信号から前記第1の信号との差分信号が最小となるような擬似信号を生成する適応FIRフィルタと、前記第1の信号と前記差分信号との差に基づいて前記第1の信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断してその判断結果を出力する検出器と、この判断結果を記憶する記憶回路と、切替制御信号が入力されたときに前記記憶回路に記憶された前記判断結果に基づいてその内容が前記第1の信号の内容と同一である次期選択信号を前記複数の入力信号から選択し、前記第1の選択器にこの次期選択信号を選択させることにより、前記第1の信号を前記切替制御信号が入力される前に選択していた信号から前記次期選択信号に切り替える制御部と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明においては、適応FIRフィルタにより擬似信号を生成し、第1の信号と擬似信号との差分信号に基づいて前記第1の信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを定量的に判断しているため、入力信号間に遅延差、信号レベル差、位相の反転及びノイズの混入があっても、適応FIRフィルタによりこれらをキャンセルし、前記判断を正確に行うことができる。この結果、判断誤りの発生を低減することができる。また、前記判断を定量的に行うことができるため、この判断を速やかに行うことができる。
【0012】
また、記憶回路が次期選択信号の候補となる入力信号の判断結果を記憶しているため、信号比較検出切替装置の外部から切替制御信号が入力されたときに、次期選択信号として最適な信号を速やかに選択し、選択信号を次期選択信号に切り替えることができる。
【0013】
本発明に係る他の信号比較検出切替装置は、夫々複数の入力信号から1の入力信号を選択する第1及び第2の選択器と、前記第1及び第2の選択器の出力信号のうち一方を選択して第1の信号として出力すると共に他方を第2の信号として出力するスイッチ回路と、前記第1の信号から選択信号を生成するFIRフィルタと、前記第2の信号から前記選択信号との差分信号が最小となるような擬似信号を生成する適応FIRフィルタと、この適応FIRフィルタのフィルタ係数を記憶する係数記憶回路と、前記選択信号と前記差分信号との差に基づいて前記選択信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断してその判断結果を出力する検出器と、この判断結果を記憶する記憶回路と、前記選択信号及び前記擬似信号が入力され前記選択信号、前記擬似信号及び前記選択信号と前記擬似信号とが任意の割合で混合された混合信号のうち1の信号を選択して出力するミキサ切替器と、切替制御信号が入力されたときに前記記憶回路に記憶された前記判断結果に基づいてその内容が前記選択信号の内容と同一である次期選択信号を前記複数の入力信号から選択し、前記第1及び第2の選択器のうち前記第2の信号を出力している選択器に前記次期選択信号を選択させ、前記ミキサ検出器の出力信号を前記選択信号から前記擬似信号へと段階的に切り替えさせた後、前記スイッチ回路に前記第1の信号と前記第2の信号とを相互に切り替えさせ、前記係数記憶回路に記憶された前記次期選択信号のフィルタ係数を前記FIRフィルタに入力させると共に、前記ミキサ検出器の出力信号を前記擬似信号から前記選択信号へと切り替えさせることにより、前記ミキサ検出器の出力信号を前記選択信号から前記次期選択信号に切り替えさせる制御部と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明においては、適応FIRフィルタにより擬似信号を生成し、選択信号と擬似信号との差分信号に基づいて前記選択信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断しているため、入力信号間に遅延差、信号レベル差、位相の反転及びノイズの混入があっても、正確に判断を行うことができる。この結果、判断誤りの発生を低減することができる。
【0015】
また、記憶回路が次期選択信号の候補となる入力信号の判断結果を記憶しているため、切替制御信号が入力されたときに、次期選択信号として最適な信号を速やかに選択し、選択信号を次期選択信号に切り替えることができる。
【0016】
更に、切替制御信号が入力されたときにミキサ切替器がその出力信号を選択信号から擬似信号に段階的に切り替えるため、切り替え処理に伴うノイズの発生を抑制することができる。
【0017】
本発明に係る更に他の信号比較検出切替装置は、複数の入力信号から1の入力信号を選択して第1の信号として出力する第1の選択器と、複数の入力信号から1の入力信号を選択して第2の信号として出力する第2の選択器と、前記第2の信号から前記第1の信号との差分信号が最小となるような擬似信号を生成する適応FIRフィルタと、この適応FIRフィルタのフィルタ係数に基づいて前記第1の信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断してその判断結果を出力する検出器と、この判断結果を記憶する記憶回路と、切替制御信号が入力されたときに前記記憶回路に記憶された前記判断結果に基づいてその内容が前記第1の信号の内容と同一である次期選択信号を前記複数の入力信号から選択し、前記第1の選択器にこの次期選択信号を選択させることにより、前記第1の信号を前記切替制御信号が入力される前に選択していた信号から前記次期選択信号に切り替える制御部と、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明においては、適応FIRフィルタのフィルタ係数に基づいて、第1の信号と擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断する。フィルタ係数は入力信号に含まれるノイズの影響を受けにくいため、第1の信号の内容と擬似信号の内容とが一致するか否かの判断に及ぼすノイズ成分の影響を抑えることができる。この結果、入力信号にノイズが多く含まれる場合においても、前記判断を正確に行うことができる。
【0019】
また、前記検出器は、適応FIRフィルタにおけるフィルタ係数のパワーの集中度を評価することにより、前記選択信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断することができる。これにより、前記判断を定量的に行うことができるため、この判断を正確且つ速やかに行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る信号比較検出切替装置の構成を示すブロック図であり、図2は図1に示す信号検出切替器の構成を示すブロック図であり、図3は図2に示す適応フィルタの構成を示すブロック図であり、図4は図2に示す判断制御部の構成を示すブロック図である。本実施例に係る信号比較検出切替装置は、例えば車載用のネットワークフォロー式ラジオ受信機に搭載されている。
【0021】
図1に示すように、本実施例に係る信号比較検出切替装置100においては、入力信号群101が入力される選択器103及び入力信号群102が入力される選択器104、信号検出切替器106並びに信号選択制御部105が設けられている。入力信号群101及び102は夫々複数の信号からなり、この複数の信号の中には相互に同じ内容の信号も含まれている。また、選択器103及び104には制御信号110が入力される。選択器103は制御信号110に基づいて入力信号群101の中から1つの信号を選択して出力するものである。同様に、選択器104は制御信号110に基づいて入力信号群102の中から1つの信号を選択して出力するものである。信号比較検出切替装置100が例えば車載用のネットワークフォロー式ラジオ受信機に搭載されている場合には、入力信号群101及び102はアンテナ(図示せず)により受信されたラジオ受信信号である。入力信号群101及び102は同一のアンテナにより受信されたものであってもよく、別々のアンテナによって受信されたものであってもよい。また、選択器103及び104は例えばチューナであり、受信信号の選択及び復調を行う。この場合、選択器103及び104を制御することは、チューナの選局を切り替えることと等価である。
【0022】
また、信号検出切替器106には、選択器103の出力信号(以後、入力信号201という)及び選択器104の出力信号(以後、入力信号202という)が入力されるようになっている。また、信号検出切替器106には信号比較検出切替装置100の外部から切替制御信号108が入力される。信号検出切替器106は入力信号201及び入力信号202を夫々フィルタ処理し、フィルタ処理後の信号のうち一方を出力信号107として出力すると共に、出力信号107と他のフィルタ処理後の信号とを比較してその結果を記憶する。また、その過程において選択制御信号109を選択制御部105に対して出力し、信号選択制御部105に選択器103又は104が選択する信号を切り替えさせて、出力信号107と比較する入力信号を次々に切り替えさせる。これは、選択器103及び104がラジオ受信機のチューナである場合、1のチューナにより現在選択して視聴している放送と同じ内容の他の放送を検索するために、他のチューナの選局を次々に切り替えることに相当する。また、出力信号107は使用者が聴いている視聴信号に相当する。
【0023】
そして、信号検出切替器106は、信号比較検出切替装置100の外部から入力される切替制御信号108に基づいて、出力信号107を、入力信号201をフィルタ処理した信号及び入力信号202をフィルタ処理した信号のうちの一方から他方に切り替える。一方、信号選択制御部105は、選択制御信号109に基づいて、選択器103及び104に対して制御信号110を出力し、選択器103及び104を制御するものである。
【0024】
図2に示すように、図1に示す信号検出切替器106においては、スイッチ回路203、適応フィルタ206、判断制御部210及びミキサ切替器209が設けられている。スイッチ回路203は入力信号201及び202並びに切替信号213が入力され、信号x205及び信号y204を出力するものである。スイッチ回路203は、切替信号213に基づいて、入力信号201を信号x205及び信号y204のうちの一方として出力し、入力信号202を信号x205及び信号y204のうちの他方として出力する。即ち、スイッチ回路203は入力信号201及び202を信号x205及び信号y204に1対1で対応させるが、それらの組み合わせは切替信号213に基づいて切り替える。
【0025】
また、適応フィルタ206には、スイッチ回路203から信号x205及び信号y204が入力されると共に判断制御部210から切替信号213が入力される。そして、信号y204をフィルタ処理して選択信号207を生成すると共に、信号x205をフィルタ処理して擬似信号208を生成し、選択信号207と擬似信号208との差分信号211を生成し、信号x205から擬似信号208を生成する際のフィルタ係数212を出力する。適応フィルタ206の構成については後述する。
【0026】
更に、判断制御部210には前述の適応フィルタ206から出力された選択信号207、差分信号211及びフィルタ係数212が入力されると共に、スイッチ回路203から出力された信号x205が入力され、更に、切替制御信号108が入力される。判断制御部210は選択信号207、差分信号211及びフィルタ係数212に基づいて選択信号207と擬似信号208が同じ内容の信号であるか否かの判断(以下、一致/不一致判断という)を行い、その結果を記憶する。また、この検出判断処理の終了時には、次の候補となる信号を取り込むために選択制御信号109を前述の信号選択制御部105に対して出力する。
【0027】
また、判断制御部210は、切替制御信号108が入力されると、適応フィルタ206、スイッチ回路203及び後述するミキサ切替器209に対して切替信号213を出力する。これにより、ミキサ切替器209に出力信号107の成分を選択信号207から擬似信号208に段階的に切り替えさせ、その後、スイッチ回路203及び適応フィルタ206を連動させて、切り替え前に擬似信号208であった信号を選択信号207としたうえで、ミキサ切替器209に出力信号207の成分を擬似信号208から選択信号207に戻させる。これにより、ミキサ切替器209の出力信号107を選択信号207から擬似信号208に切り替える。判断制御部210の構成については後述する。
【0028】
更にまた、ミキサ切替器209には前述の適応フィルタ206から出力された選択信号207及び擬似信号208が入力されると共に、前述の判断制御部210から出力された切替信号213が入力される。ミキサ切替器209は、切替信号213に基づいて選択信号207、擬似信号208、及び選択信号207と擬似信号208とを任意の割合で混合した混合信号の3種類の信号のうち、1の信号を選択して出力するものである。
【0029】
図3に示すように、図2に示す適応フィルタ206には、FIR(finite impulse response:有限長インパルス応答)フィルタ303、適応FIRフィルタ308、減算器312及び係数記憶回路310が設けられている。FIRフィルタ303は、入力信号として信号y204が入力され、これをフィルタ処理して適当な時間遅延させ、選択信号207として出力するものである。このフィルタ処理におけるフィルタ係数は、係数記憶回路310から出力された係数出力信号305により与えられる。なお、FIRフィルタは各フィルタ係数と入力信号とを畳み込み積分するものであり、その演算には遅延要素、乗算要素及び加算要素のみが含まれている。
【0030】
適応FIRフィルタ308は参照信号として信号x205が入力され、この信号x205をフィルタ処理して擬似信号208を生成する。また、選択信号207から擬似信号208を差し引いた差分信号211が入力され、この差分信号211を最小化するようにフィルタ係数212を更新し、これを出力する。
【0031】
減算器312にはFIRフィルタ303から出力された選択信号207及び適応FIRフィルタ308から出力された擬似信号208が入力される。そして、減算器312は選択信号207から擬似信号208を差し引いた差分信号211を生成し、適応FIRフィルタ308及び判断制御部210(図2参照)に対して出力する。
【0032】
係数記憶回路310には適応FIRフィルタ308から出力されたフィルタ係数212及び判断制御部210から出力された切替信号213が入力される。係数記憶回路310はフィルタ係数212を記憶すると共に、切替信号213が入力されると係数出力信号305をFIRフィルタ303に対して出力し、FIRフィルタ303のフィルタ係数を書き換える。
【0033】
図4に示すように、図2に示す検出制御部210には検出器406、記憶回路408及び制御部410が設けられている。検出器406には適応フィルタ206(図2参照)から出力された選択信号207、差分信号211及びフィルタ係数212が入力されると共に、スイッチ回路203(図2参照)から出力された信号x205が入力される。検出器406は選択信号207と差分信号211とのレベル比較を行って選択信号207と擬似信号208とが同じ内容の信号であるかどうかの判断(一致/不一致判断)を行うと共に、フィルタ係数212を監視して一致/不一致判断を行い、これらの結果を検出結果407として出力する。また、記憶回路408は、検出器406から出力された検出結果407及び制御部410から出力された比較情報409が入力され、これらを記憶するものである。
【0034】
制御部410は、選択しているチャネル及び比較対象となるチャネルを示す比較情報409を記憶回路408に対して出力すると共に、選択制御信号109を信号選択制御部105(図1参照)に対して出力し、選択器103又は104(図1参照)に、次の候補となる入力信号を選択させる。これにより、適応FIRフィルタ308に入力する参照信号x205を切り替える。また、制御部410は切替制御信号108が入力されると、その時点において、記憶回路408に記憶された情報から選択信号207と内容が同じ他の信号(以下、次期選択信号という)として最適な信号を選択し、切替信号213をスイッチ回路203(図2参照)、係数記憶回路310(図3参照)及びミキサ切替器209(図2参照)に対して出力する。これにより、係数記憶回路310にFIRフィルタ303のフィルタ係数を更新させると共に、スイッチ回路203及びミキサ切替器209にその出力を切り替えさせ、出力信号107を切り替える。この動作については後述する。
【0035】
次に、本実施例に係る信号比較検出切替装置100の動作について説明する。図5は図4に示す検出器406の動作を示すフローチャートであり、図6は図4に示す制御部410の動作を示すフローチャートである。信号比較検出切替装置100の動作は、切替制御信号108が入力されていない状態における動作と、切替制御信号108が入力された場合の動作に大別される。即ち、切替制御信号108が入力されていない状態においては、出力信号107として所定の選択信号207を出力し続けると共に、他の入力信号を信号x205として順次取り込み、この入力信号が選択信号207と同じ内容の信号であるかどうかを判断し、その結果を記憶する。
【0036】
一方、切替制御信号108が入力された場合には、前記判断結果に基づいて次期選択信号として最適な信号を選択し、出力信号107を選択信号207から次期選択信号へと切り替える。例えば、信号比較検出切替装置100がネットワークフォロー式ラジオ受信機に搭載されている場合には、次期選択信号とは、選択信号207と同じ内容で受信状態がより良好な放送信号である。例えば、出力信号107の受信状態が悪化した場合に、前記ラジオ受信機における信号比較検出切替装置100の外部に設けられた上位の判断装置(図示せず)が、出力信号107の内容を切り替えることを判断し、切替制御信号108を信号比較検出切替装置100に対して出力する。
【0037】
先ず、切替制御信号108が入力されていない状態における動作について説明する。図1に示すように、入力信号群101が選択器103に入力され、入力信号群102が選択器104に入力される。選択器103は、制御信号110に基づいて入力信号群101から1の信号を選択し、入力信号201として信号検出切替器106に対して出力する。同様に、選択器104は、制御信号110に基づいて入力信号群102から1の信号を選択し、入力信号202として信号検出切替器106に対して出力する。
【0038】
図2に示すように、入力信号201及び202は信号検出切替器106のスイッチ回路203に入力される。スイッチ回路203は切替信号213に基づいて、入力信号201及び202のうち一方を信号y204として適応フィルタ206に対して出力し、他方を信号x205として適応フィルタ206及び判断制御部210に対して出力する。例えば、入力信号201を信号y204として出力し、入力信号202を信号x205として出力する。
【0039】
図3に示すように、信号y204は適応フィルタ206のFIRフィルタ303に入力される。FIRフィルタ303は、係数出力信号305に基づいて信号y204をフィルタ処理して適当な時間遅延させ、選択信号207として減算器312、判断制御部210(図2参照)及びミキサ切替器209(図2参照)に対して出力する。一方、信号x205は適応FIRフィルタ308に参照信号として入力される。適応FIRフィルタ308は信号x205をフィルタ処理して擬似信号208を生成し、減算器312及びミキサ切替器209に対して出力する。ミキサ切替器209(図2参照)は、選択信号207を出力信号107として出力する。このため、例えば、信号比較検出切替装置100がネットワークフォロー式ラジオ受信機に搭載されている場合には、選択信号207が視聴信号となる。
【0040】
擬似信号208とは、参照信号としての信号x205をフィルタ処理して生成された信号であり、信号y204の内容と信号x205の内容とが同じである場合には、選択信号207と擬似信号208とは同じ信号になる。但し、この場合、選択信号207と擬似信号208とはデジタル的に同じ信号であるというわけではなく、両者は線形の関係を持ち、例えば両者の差は−30dBとなる。信号y204の内容と信号x205の内容とが相互に異なる場合、例えば、異なる放送を受信している場合には、信号選択信号207と擬似信号208とは相互に異なる信号になり、線形の関係を持たない。
【0041】
時刻tにおける擬似信号をy_hat(t)とし、時刻tにおけるi番目のフィルタ係数をwi(t)とし、参照信号をx(t)とし、タップ数をNとすると、擬似信号y_hat(t)は下記数式1により与えられる。
【0042】
【数1】
【0043】
次に、減算器312が入力された選択信号207から擬似信号208を差し引いて差分信号211を生成し、適応FIRフィルタ308及び判断制御部210(図2参照)に対して出力する。時刻tにおける選択信号207をy(t)とし、差分信号211をe(t)とすると、差分信号e(t)は下記数式2により与えられる。
【0044】
【数2】
【0045】
そして、適応FIRフィルタ308はこの差分信号211を最小化するようにフィルタ係数212を更新し、これを係数記憶回路310及び判断制御部210(図2参照)に対して出力する。係数記憶回路310はこのフィルタ係数212を記憶する。時刻tにおけるステップサイズをμ(t)とすると、フィルタ係数wi(t+1)は、下記数式3により与えられる。
【0046】
【数3】
【0047】
参照信号x(t)のパワーをPX(t)とし、μ0を収束速度に影響を与える正の定数とすると、ステップサイズをμ(t)は下記数式4により与えられる。また、PX(t)は下記数式5により与えられる。なお、下記数式4及び5に示す処理は学習同定法(normalized Least Mean Square)による処理である。前記係数μ0を調整することにより、ノイズ耐力等を制御できる。
【0048】
【数4】
【0049】
【数5】
【0050】
なお、トーン信号等の自己相関性が高い入力信号に対しては、真のフィルタ係数を求めることができないため、参照信号x及び選択信号yに対してトーン信号検出を行い、推定処理を停止させてもよい。
【0051】
そして、図4に示すように、選択信号207、差分信号211、フィルタ係数212及び信号x205が判断制御部210の検出器406に入力される。
【0052】
図5に示すように、検出器406は選択信号207と差分信号211とのレベル比較を行うと共に、フィルタ係数212の監視を行い、選択信号207と擬似信号208とが同じ内容の信号であるかどうかの判断(一致/不一致判断)を行い、これらの結果を検出結果407として出力する。即ち、図5のステップS11に示すように、信号x205のレベル(LEV_x)が予め設定された閾値(Th_x)以上であるか否かを判断し、信号x205のレベルが閾値以上である場合はステップS12に進む。次に、ステップS12に示すように、選択信号207のレベル(LEV_y)が予め設定された閾値(Th_y)以上であるか否かを判断し、選択信号207のレベルが閾値以上である場合はステップS14に進む。ステップS14においては、Tim0の初期値は0であり、ステップS14を通過するたびに1ずつ増加する。Tim0の値が予め設定されたTh_tim0の値以下である場合は、ステップS11に戻る。Tim0の値がTh_tim0の値より大きくなるとステップS15及びS16に進む。ステップS14により、ステップS15及びS16以降において判断を行うための待ち処理を設けることができる。
【0053】
一方、信号x205及び選択信号207のうち少なくとも一方のレベルが閾値未満である場合はステップS13に進む。ステップS13においては、Tim1の初期値は0であり、ステップS13を通過するたびに1ずつ増加する。Tim1の値が予め設定されたTh_tim1の値未満である場合は、ステップS11に戻る。Tim1の値がTh_tim1の値以上になるとステップS15及びS16に進む。これにより、信号x205及び選択信号207のうち少なくとも一方のレベルが閾値未満であり続けた場合のタイムアウト処理を設けることができる。
【0054】
次に、ステップS15において、選択信号207のレベルから差分信号211のレベルを減じて消去量(=LEV_y−LEV_e)を算出する。選択信号207の内容と擬似信号208の内容が一致している場合には、消去量が大きくなる。即ち、消去後に残る信号レベルが小さくなる。逆に、選択信号207の内容と擬似信号208の内容とが不一致である場合には、消去量は小さくなる。従って、消去量を定量的に評価することにより、一致/不一致判断を行うことができる。なお、この一致/不一致判断を差分信号211のレベル(LEV_e)の絶対値ではなく消去量に基づいて行う理由は、差分信号211のレベルは選択信号207のレベルの影響を受け、選択信号207のレベルがもともと低い場合には、一致/不一致に関係なく、差分信号211のレベルも低くなってしまうからである。
【0055】
また、ステップS16において、フィルタ係数212を監視し、フィルタ係数212のパワーの総和の大半(例えば90%)が2つの連続したフィルタ係数に集中しているか否かを評価する。選択信号207の内容と擬似信号208の内容とが一致する場合には、両信号の違いは遅延差、位相差又は振幅差のみであるため、必ず1又は連続する2のフィルタ係数の絶対値のみが大きくなり、他のフィルタ係数は小さくなる。選択信号207の内容と擬似信号208の内容が不一致である場合には、このようなフィルタ係数のパワーの集中は起こらない。従って、フィルタ係数のパワーの集中度を監視することにより、選択信号207の内容と信号x205の内容との一致/不一致を判断することができる。
【0056】
具体的には、2つの連続したフィルタ係数パワーの和のうち最大の値をMとし、フィルタ係数パワーの総和をAとするとき、(M/A)比が例えば0.9より大きいか否かを判断する。(M/A)比が0.9より大きい場合、即ち、フィルタ係数のパワーが集中している場合は、ステップS17においてDET=1とし、(M/A)比が0.9以下である場合、即ち、フィルタ係数のパワーが集中していない場合は、ステップS18においてDET=0として、このDETの値を出力する。
【0057】
前述の消去量及び(M/A)比は、どちらも選択信号207の内容と擬似信号208の内容との一致/不一致を判断する指標であるが、消去量はノイズの影響を受けやすい。即ち、選択信号207又は擬似信号208にノイズが多く含まれていると消去量が小さくなってしまい、一致/不一致判断が困難になる。これに対して、(M/A)比はノイズの影響を受けにくいため、ノイズが多い場合には(M/A)比による判断が有効である。逆に、消去量はノイズ成分を評価する指標として利用することも可能である。
【0058】
次に、ステップS19において、消去量及びDET値の双方を検出結果407として出力し、記憶回路408に記憶させる。このとき、前述のTim0及びTim1の値を0に戻す。
【0059】
次に、ステップS20において、制御部410が信号x205を次の比較対象となる信号に切り替えるのを待ち、切り替えが完了したらステップS11に戻り、新しい信号x205に対して前述の処理を行う。
【0060】
図6に示すように、制御部410は、先ずステップS31において初期化を行い、ステップS32において検出器406が処理を終了するのを待つ。検出器406の処理が終了していれば、ステップS33において、選択しているチャネル及び比較対象となるチャネルを示す比較情報409を記憶回路408に対して出力し、記憶回路408に比較情報409を記憶させる。その後、ステップS34において、切替制御信号108が入力されているか否かを判断し、入力されていない場合は、選択制御信号109を信号選択制御部105(図1参照)に対して出力し、選択器103又は104(図1参照)に、次の候補となる入力信号を選択させる。その後、ステップS32に戻り、再び検出器406の検出処理終了を待ち、ステップS33及びS34に示す処理を繰り返す。
【0061】
これにより、選択信号207の比較対象となる信号x205を順次切り替えて、信号x205から擬似信号208を生成し、その内容が選択信号207と内容と一致するか不一致であるかの判断を行い、この判断結果を記憶回路408に記憶させる。このようにして、記憶回路408に記憶されている判断結果は、常に最新の情報に更新され続ける。
【0062】
次に、切替制御信号108が入力された場合について説明する。切替制御信号108は、信号比較検出切替装置100の出力信号107を、選択信号207から選択信号207と内容が同じ他の信号(次期選択信号)に切り替えることを指示する信号である。切替制御信号108は信号比較検出切替装置100の外部から信号検出切替器106の判断制御部210における制御部410に入力される。
【0063】
制御部410は、切替制御信号108が入力されると、図6に示すステップS34からステップS35に進む。そして、ステップS35において、記憶回路408に記憶されている情報を調べ、その時点において、次期選択信号として最適な信号を選択する。そして、ステップS36において、ミキサ切替器209に対して切替信号213を出力すると共に、信号選択制御部105に対して選択制御信号109を出力する。
【0064】
これにより、図1乃至図3に示すように、信号選択制御部105は選択制御信号109に基づいて選択器103及び選択器104のうち、信号x205を選択している選択器(例えば選択器104)に次期選択信号を選択させる。この結果、例えば入力信号202が次期選択信号となり、信号x205が次期選択信号となる。これにより、適応FIRフィルタ308がこの次期選択信号に基づいて擬似信号208を生成し、ミキサ切替器209に対して出力する。
【0065】
ミキサ切替器209は、選択信号207と擬似信号208との比を例えば、100:0、90:10、80:20、・・・、10:90、0:100と時間的に変化させ、出力信号107を選択信号207から擬似信号208に段階的に切り替える。このとき、信号の切り替えを段階的に行うため、切り替えに伴うノイズはほとんど発生しない。
【0066】
その後、図6のステップS37に示すように、制御部410はスイッチ回路203、係数記憶回路310及びミキサ切替器209に対して切替信号213を出力する。これにより、スイッチ回路203は入力された切替信号213に基づいて出力する信号を切り替える。例えば、それまで入力信号202を信号x205として出力していた場合は、切り替えにより入力信号202を信号y204として出力する。このスイッチ回路203の切り替えと同時に、係数記憶回路310が係数出力信号305をFIRフィルタ303に対して出力し、FIRフィルタ303のフィルタ係数を書き換える。これにより、FIRフィルタ303には入力信号202が入力され、且つ、FIRフィルタ303のフィルタ係数が入力信号202から擬似信号208を生成するのに適したフィルタ係数に書き換えられるため、FIRフィルタ303は擬似信号208と同じ信号を選択信号207として出力することになる。即ち、それまで適応FIRフィルタ308を通過して生成されていた擬似信号208は、FIRフィルタ303を通過して生成されることになる。
【0067】
そして、前述のスイッチ回路203の切り替え及びFIRフィルタ303のフィルタ係数の書き換えと同時に、ミキサ切替器209が選択信号207と擬似信号208との比を初期状態の100:0に戻す。これにより、出力信号107として、再び選択信号207が出力されるようになる。なお、この切り替え時においては、選択信号207と擬似信号208とはまったく同じ信号であるため、切り替えに伴うノイズは発生しない。
【0068】
上述の如く、本実施例においては、適応FIRフィルタ308により比較対象となる信号x205から擬似信号208を生成し、選択信号207と差分信号211とのレベル差、即ち消去量を算出して選択信号207の内容と擬似信号208の内容とが一致するか否かの判断を行っている。このため、選択信号207と信号x205との間に遅延差、信号レベル差、位相の反転及びノイズの混入があっても、これらをキャンセルして正確に一致/不一致判断を行うことができる。この結果、判断誤りの発生を低減することができる。また、この判断を定量的に行うことができるため、判断処理を高速化することができる。
【0069】
また、本実施例においては、選択信号207と擬似信号208との差分信号211が最小になるような適応FIRフィルタ308のフィルタ係数212を求め、フィルタ係数212のパワーの集中度を評価することによっても、選択信号207の内容と擬似信号208の内容とが一致するか否かの判断を行っている。これにより、フィルタ係数はノイズの影響を受けにくいため、選択信号207又は信号x205がノイズを多く含んでいる場合においても、一致/不一致の判断を確実に行い、検出誤りを低減することができる。
【0070】
また、記憶回路408が次期選択信号の候補となる信号x205の検出結果407及び比較情報409を常に更新して記憶しておくことにより、切り替えの要求があるとき、即ち、切替制御信号108が入力されたときに、次期選択信号として最適な信号を速やかに選択し、選択信号を次期選択信号に切り替えることが可能となる。
【0071】
更に、適応FIRフィルタ308が擬似信号208を生成し、切替制御信号108が入力されたときにミキサ切替器209が選択信号207を擬似信号208に段階的に切り替えるため、切り替え処理に伴うノイズの発生を抑制することができる。
【0072】
なお、本発明においてはミキサ切替器209を省略してもよい。また、係数記憶回路310を係数転送回路により構成してもよい。更に、本実施例においては、信号比較検出切替装置100が車載用のネットワークフォロー式ラジオ受信機に搭載される例を示したが、本発明の信号比較検出切替装置は、複数の信号から任意に選択された2つの信号の内容が一致するか否かを判断し、それらの信号を一方から他方に切り替える必要がある用途であれば、どのような用途にも使用することができる。
【0073】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図7は本第2実施例に係る適応フィルタの構成を示すブロック図である。本実施例に係る信号比較検出切替装置は、適応フィルタ206aにおいて、遅延推定回路313が設けられている。遅延推定回路313には、FIRフィルタ303から出力される選択信号207及びスイッチ回路203(図2参照)から出力される信号x205が入力される。そして、遅延推定回路313はこの選択信号207及び信号x205を監視することにより、選択信号207と信号x205との間の時間的な差分を推定し、その推定結果を適応FIRフィルタ308に対して出力する。これにより、適応FIRフィルタ308は演算処理を行う際のタップ位置を調整する。本実施例の信号比較検出切替装置における上記以外の構成及び上記以外の動作は、前述の第1の実施例に係る信号比較検出切替装置100の構成及び動作と同一である。
【0074】
本実施例においては、遅延推定回路313が選択信号207と信号x205との間の遅延量を推定することにより、適応FIRフィルタ308が推定演算対象とするタップ位置を制限している。このため、前述の第1の実施例における効果に加えて、適応FIRフィルタ308が行う演算量を低減し、擬似信号308の生成に要する時間を短縮することができる。その結果、検出時間の更なる短縮が可能となる。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、入力信号間に遅延差、信号レベル差、位相の反転及びノイズの混入があっても、検出誤りを低減でき、検出時間の短縮化を図ることができる信号比較検出切替装置を得ることができる。また、信号の切り替え時におけるノイズが少ない信号比較検出切替装置を得ることができる。この信号比較検出切替装置を例えばネットワークフォロー式ラジオ受信機に組み込めば、受信信号の選択ミスが少なく、しかも、車両の走行に伴う受信状態の変化に対応して、受信信号を速やかに且つ円滑に最適な信号に切り替えることができるネットワークフォロー式ラジオ受信機を得ることができる。これにより、より高い品質の聴視手段を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る信号比較検出切替装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本第1実施例における信号検出切替器の構成を示すブロック図である。
【図3】本第1実施例における適応フィルタの構成を示すブロック図である。
【図4】本第1実施例における判断制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】本第1実施例における検出器の動作を示すフローチャートである。
【図6】本第1実施例における制御部の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施例に係る適応フィルタの構成を示すブロック図である。
【図8】従来の信号比較検出装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100;信号比較検出切替装置
101、102;入力信号群
103、104;選択器
105;選択制御部
106;信号比較切替器
107;出力信号
108;切替制御信号
109;選択制御信号
110;制御信号
201、202;入力信号
203;スイッチ回路
204;信号y
205;信号x
206、206a;適応フィルタ
207;選択信号
208;擬似信号
209;ミキサ切替器
210;判断制御部
211;差分信号
212;フィルタ係数
213;切替信号
303;FIRフィルタ
305;係数出力信号
308;適応FIRフィルタ
310;係数記憶回路
312;減算器
313;遅延推定回路
406;検出器
407;検出結果
408;記憶回路
409;比較情報信号
410;制御部
701、702;入力信号
703;無音検出部
704;一致検出部
705;判断制御回路
706;一致/不一致判別出力
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の入力信号から内容が相互に同じである2つの信号を検出し、これらの信号を任意に切り替える信号比較検出切替装置に関し、特に、適応フィルタを使用して任意の2つの信号が同じ内容の信号であるか否かを判断する信号比較検出切替装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車載用ラジオ受信機は、自動車の移動に伴って受信地点が変化する。このため、1つの放送局からの放送を受信し続けていると、自動車の移動に伴って受信状態が悪化することがある。一方、地上波を放送する放送局は全国的なネットワークを形成し、同じ内容の放送を同一のネットワークに属する複数の放送局により同時に行うことが多い。そこで、長距離を移動する車内においてラジオ放送を受信する場合は、それまで受信していた放送局からの電波の受信状態が悪化したときに、放送内容が同じであり受信状態がより良好な他の放送局からの電波を受信するように選局し直すことにより、同じ番組を良好な受信状態で連続して視聴することができる。
【0003】
ネットワークフォロー式のラジオ受信機は、このような選局作業を自動的に行うラジオ受信機である。このようなネットワークフォロー式のラジオ受信機には、それまで受信していた信号と他の放送局から放送される信号とを比較し、これらの内容が一致するかどうかを判断する信号比較検出装置が組み込まれている。ネットワークフォロー式ラジオ受信機は、両信号の内容が一致した場合に、より良好な状態の信号を選択して出力する。
【0004】
従来の信号比較検出装置の一例が特許第2903334号に記載されている。図8はこの従来の信号比較検出装置の構成を示すブロック図である。図8に示すように、この従来の信号比較検出装置においては、別々のチューナから出力された入力信号701及び702の双方が入力される無音検出部703及び一致検出部704が設けられている。無音検出部703は入力信号701及び702が入力され、これらが無音であるか否か、即ち、信号レベルが実質的に0であるか否かを判断するものである。また、一致検出部704は、入力信号701と入力信号702との差分を算出し、この差分が所定の基準値よりも小さければ入力信号701と入力信号702とが一致すると判断し、差分が前記基準値以上であれば、両信号の内容が不一致であると判断するものである。
【0005】
更に、この信号比較検出装置には判断制御回路705が設けられている。判断制御回路705は、無音検出部703の出力信号及び一致検出部704の出力信号が入力され、入力信号701及び702の双方が無音でなく、且つ、入力信号701及び702が一致する場合に、入力信号701及び702が一致するという最終判断を下し、一致/不一致判別出力706を出力する。この信号比較検出装置が組み込まれたネットワークフォロー式ラジオ受信機(図示せず)は、一致/不一致判別出力706の内容が「一致」であるときに、入力信号701と入力信号702とを比較して、受信状態がより良好な入力信号を選択してこれを出力する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術には以下に示す問題点がある。図8に示す従来の装置では、比較対象となる入力信号間に遅延差、信号レベル差、位相の反転又はノイズの混入があると、入力信号が一致するか不一致であるかの判断が不正確になり、相互に同じ内容の入力信号であっても、誤って相互に異なる内容の入力信号であると判断してしまうことがある。即ち、従来の装置においては2つの入力信号の差分信号から両者の一致/不一致を判断しているため、2つの入力信号に遅延差が生じる場合、2つの入力信号の信号レベルに差がある場合、及び位相が反転している場合には、前記差分信号は期待されるような小さな値にならない。この結果、相互に同じ内容の入力信号であっても、誤って相互に異なる内容の入力信号であると判断してしまい、検出結果の妥当性が低下する。なお、信号比較検出装置に特許第2903334号に示されているような無音検出部703を設けても、この問題点を解決することはできない。なぜならば、この問題は入力信号の信号レベルが0でないときに起こる問題であるからである。
【0007】
また、前述の検出結果が不正確になるという問題を、前記信号比較検出装置に何らかの調整手段を設けて解決しようとすると、信号の検出時間が増加するという問題が発生する。その理由は、検出確度の向上させるために、判定結果をカウンタによって監視することが必要となり、検出結果を得るまでに時間がかかってしまうためである。
【0008】
更に、従来の装置では、出力信号を1の信号から他の信号に切り替える際にノイズが発生するという問題点がある。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ネットワークフォロー式ラジオ受信機等に組み込まれる信号比較検出切替装置において、入力信号間に遅延差、信号レベル差、位相の反転及びノイズの混入があっても検出誤りが少なく、且つ検出時間が短い信号比較検出切替装置を提供することを目的とする。また、信号切り替え時に発生するノイズが少ない信号比較検出切替装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る信号比較検出切替装置は、複数の入力信号から1の入力信号を選択して第1の信号として出力する第1の選択器と、複数の入力信号から1の入力信号を選択して第2の信号として出力する第2の選択器と、前記第2の信号から前記第1の信号との差分信号が最小となるような擬似信号を生成する適応FIRフィルタと、前記第1の信号と前記差分信号との差に基づいて前記第1の信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断してその判断結果を出力する検出器と、この判断結果を記憶する記憶回路と、切替制御信号が入力されたときに前記記憶回路に記憶された前記判断結果に基づいてその内容が前記第1の信号の内容と同一である次期選択信号を前記複数の入力信号から選択し、前記第1の選択器にこの次期選択信号を選択させることにより、前記第1の信号を前記切替制御信号が入力される前に選択していた信号から前記次期選択信号に切り替える制御部と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明においては、適応FIRフィルタにより擬似信号を生成し、第1の信号と擬似信号との差分信号に基づいて前記第1の信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを定量的に判断しているため、入力信号間に遅延差、信号レベル差、位相の反転及びノイズの混入があっても、適応FIRフィルタによりこれらをキャンセルし、前記判断を正確に行うことができる。この結果、判断誤りの発生を低減することができる。また、前記判断を定量的に行うことができるため、この判断を速やかに行うことができる。
【0012】
また、記憶回路が次期選択信号の候補となる入力信号の判断結果を記憶しているため、信号比較検出切替装置の外部から切替制御信号が入力されたときに、次期選択信号として最適な信号を速やかに選択し、選択信号を次期選択信号に切り替えることができる。
【0013】
本発明に係る他の信号比較検出切替装置は、夫々複数の入力信号から1の入力信号を選択する第1及び第2の選択器と、前記第1及び第2の選択器の出力信号のうち一方を選択して第1の信号として出力すると共に他方を第2の信号として出力するスイッチ回路と、前記第1の信号から選択信号を生成するFIRフィルタと、前記第2の信号から前記選択信号との差分信号が最小となるような擬似信号を生成する適応FIRフィルタと、この適応FIRフィルタのフィルタ係数を記憶する係数記憶回路と、前記選択信号と前記差分信号との差に基づいて前記選択信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断してその判断結果を出力する検出器と、この判断結果を記憶する記憶回路と、前記選択信号及び前記擬似信号が入力され前記選択信号、前記擬似信号及び前記選択信号と前記擬似信号とが任意の割合で混合された混合信号のうち1の信号を選択して出力するミキサ切替器と、切替制御信号が入力されたときに前記記憶回路に記憶された前記判断結果に基づいてその内容が前記選択信号の内容と同一である次期選択信号を前記複数の入力信号から選択し、前記第1及び第2の選択器のうち前記第2の信号を出力している選択器に前記次期選択信号を選択させ、前記ミキサ検出器の出力信号を前記選択信号から前記擬似信号へと段階的に切り替えさせた後、前記スイッチ回路に前記第1の信号と前記第2の信号とを相互に切り替えさせ、前記係数記憶回路に記憶された前記次期選択信号のフィルタ係数を前記FIRフィルタに入力させると共に、前記ミキサ検出器の出力信号を前記擬似信号から前記選択信号へと切り替えさせることにより、前記ミキサ検出器の出力信号を前記選択信号から前記次期選択信号に切り替えさせる制御部と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明においては、適応FIRフィルタにより擬似信号を生成し、選択信号と擬似信号との差分信号に基づいて前記選択信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断しているため、入力信号間に遅延差、信号レベル差、位相の反転及びノイズの混入があっても、正確に判断を行うことができる。この結果、判断誤りの発生を低減することができる。
【0015】
また、記憶回路が次期選択信号の候補となる入力信号の判断結果を記憶しているため、切替制御信号が入力されたときに、次期選択信号として最適な信号を速やかに選択し、選択信号を次期選択信号に切り替えることができる。
【0016】
更に、切替制御信号が入力されたときにミキサ切替器がその出力信号を選択信号から擬似信号に段階的に切り替えるため、切り替え処理に伴うノイズの発生を抑制することができる。
【0017】
本発明に係る更に他の信号比較検出切替装置は、複数の入力信号から1の入力信号を選択して第1の信号として出力する第1の選択器と、複数の入力信号から1の入力信号を選択して第2の信号として出力する第2の選択器と、前記第2の信号から前記第1の信号との差分信号が最小となるような擬似信号を生成する適応FIRフィルタと、この適応FIRフィルタのフィルタ係数に基づいて前記第1の信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断してその判断結果を出力する検出器と、この判断結果を記憶する記憶回路と、切替制御信号が入力されたときに前記記憶回路に記憶された前記判断結果に基づいてその内容が前記第1の信号の内容と同一である次期選択信号を前記複数の入力信号から選択し、前記第1の選択器にこの次期選択信号を選択させることにより、前記第1の信号を前記切替制御信号が入力される前に選択していた信号から前記次期選択信号に切り替える制御部と、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明においては、適応FIRフィルタのフィルタ係数に基づいて、第1の信号と擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断する。フィルタ係数は入力信号に含まれるノイズの影響を受けにくいため、第1の信号の内容と擬似信号の内容とが一致するか否かの判断に及ぼすノイズ成分の影響を抑えることができる。この結果、入力信号にノイズが多く含まれる場合においても、前記判断を正確に行うことができる。
【0019】
また、前記検出器は、適応FIRフィルタにおけるフィルタ係数のパワーの集中度を評価することにより、前記選択信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断することができる。これにより、前記判断を定量的に行うことができるため、この判断を正確且つ速やかに行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る信号比較検出切替装置の構成を示すブロック図であり、図2は図1に示す信号検出切替器の構成を示すブロック図であり、図3は図2に示す適応フィルタの構成を示すブロック図であり、図4は図2に示す判断制御部の構成を示すブロック図である。本実施例に係る信号比較検出切替装置は、例えば車載用のネットワークフォロー式ラジオ受信機に搭載されている。
【0021】
図1に示すように、本実施例に係る信号比較検出切替装置100においては、入力信号群101が入力される選択器103及び入力信号群102が入力される選択器104、信号検出切替器106並びに信号選択制御部105が設けられている。入力信号群101及び102は夫々複数の信号からなり、この複数の信号の中には相互に同じ内容の信号も含まれている。また、選択器103及び104には制御信号110が入力される。選択器103は制御信号110に基づいて入力信号群101の中から1つの信号を選択して出力するものである。同様に、選択器104は制御信号110に基づいて入力信号群102の中から1つの信号を選択して出力するものである。信号比較検出切替装置100が例えば車載用のネットワークフォロー式ラジオ受信機に搭載されている場合には、入力信号群101及び102はアンテナ(図示せず)により受信されたラジオ受信信号である。入力信号群101及び102は同一のアンテナにより受信されたものであってもよく、別々のアンテナによって受信されたものであってもよい。また、選択器103及び104は例えばチューナであり、受信信号の選択及び復調を行う。この場合、選択器103及び104を制御することは、チューナの選局を切り替えることと等価である。
【0022】
また、信号検出切替器106には、選択器103の出力信号(以後、入力信号201という)及び選択器104の出力信号(以後、入力信号202という)が入力されるようになっている。また、信号検出切替器106には信号比較検出切替装置100の外部から切替制御信号108が入力される。信号検出切替器106は入力信号201及び入力信号202を夫々フィルタ処理し、フィルタ処理後の信号のうち一方を出力信号107として出力すると共に、出力信号107と他のフィルタ処理後の信号とを比較してその結果を記憶する。また、その過程において選択制御信号109を選択制御部105に対して出力し、信号選択制御部105に選択器103又は104が選択する信号を切り替えさせて、出力信号107と比較する入力信号を次々に切り替えさせる。これは、選択器103及び104がラジオ受信機のチューナである場合、1のチューナにより現在選択して視聴している放送と同じ内容の他の放送を検索するために、他のチューナの選局を次々に切り替えることに相当する。また、出力信号107は使用者が聴いている視聴信号に相当する。
【0023】
そして、信号検出切替器106は、信号比較検出切替装置100の外部から入力される切替制御信号108に基づいて、出力信号107を、入力信号201をフィルタ処理した信号及び入力信号202をフィルタ処理した信号のうちの一方から他方に切り替える。一方、信号選択制御部105は、選択制御信号109に基づいて、選択器103及び104に対して制御信号110を出力し、選択器103及び104を制御するものである。
【0024】
図2に示すように、図1に示す信号検出切替器106においては、スイッチ回路203、適応フィルタ206、判断制御部210及びミキサ切替器209が設けられている。スイッチ回路203は入力信号201及び202並びに切替信号213が入力され、信号x205及び信号y204を出力するものである。スイッチ回路203は、切替信号213に基づいて、入力信号201を信号x205及び信号y204のうちの一方として出力し、入力信号202を信号x205及び信号y204のうちの他方として出力する。即ち、スイッチ回路203は入力信号201及び202を信号x205及び信号y204に1対1で対応させるが、それらの組み合わせは切替信号213に基づいて切り替える。
【0025】
また、適応フィルタ206には、スイッチ回路203から信号x205及び信号y204が入力されると共に判断制御部210から切替信号213が入力される。そして、信号y204をフィルタ処理して選択信号207を生成すると共に、信号x205をフィルタ処理して擬似信号208を生成し、選択信号207と擬似信号208との差分信号211を生成し、信号x205から擬似信号208を生成する際のフィルタ係数212を出力する。適応フィルタ206の構成については後述する。
【0026】
更に、判断制御部210には前述の適応フィルタ206から出力された選択信号207、差分信号211及びフィルタ係数212が入力されると共に、スイッチ回路203から出力された信号x205が入力され、更に、切替制御信号108が入力される。判断制御部210は選択信号207、差分信号211及びフィルタ係数212に基づいて選択信号207と擬似信号208が同じ内容の信号であるか否かの判断(以下、一致/不一致判断という)を行い、その結果を記憶する。また、この検出判断処理の終了時には、次の候補となる信号を取り込むために選択制御信号109を前述の信号選択制御部105に対して出力する。
【0027】
また、判断制御部210は、切替制御信号108が入力されると、適応フィルタ206、スイッチ回路203及び後述するミキサ切替器209に対して切替信号213を出力する。これにより、ミキサ切替器209に出力信号107の成分を選択信号207から擬似信号208に段階的に切り替えさせ、その後、スイッチ回路203及び適応フィルタ206を連動させて、切り替え前に擬似信号208であった信号を選択信号207としたうえで、ミキサ切替器209に出力信号207の成分を擬似信号208から選択信号207に戻させる。これにより、ミキサ切替器209の出力信号107を選択信号207から擬似信号208に切り替える。判断制御部210の構成については後述する。
【0028】
更にまた、ミキサ切替器209には前述の適応フィルタ206から出力された選択信号207及び擬似信号208が入力されると共に、前述の判断制御部210から出力された切替信号213が入力される。ミキサ切替器209は、切替信号213に基づいて選択信号207、擬似信号208、及び選択信号207と擬似信号208とを任意の割合で混合した混合信号の3種類の信号のうち、1の信号を選択して出力するものである。
【0029】
図3に示すように、図2に示す適応フィルタ206には、FIR(finite impulse response:有限長インパルス応答)フィルタ303、適応FIRフィルタ308、減算器312及び係数記憶回路310が設けられている。FIRフィルタ303は、入力信号として信号y204が入力され、これをフィルタ処理して適当な時間遅延させ、選択信号207として出力するものである。このフィルタ処理におけるフィルタ係数は、係数記憶回路310から出力された係数出力信号305により与えられる。なお、FIRフィルタは各フィルタ係数と入力信号とを畳み込み積分するものであり、その演算には遅延要素、乗算要素及び加算要素のみが含まれている。
【0030】
適応FIRフィルタ308は参照信号として信号x205が入力され、この信号x205をフィルタ処理して擬似信号208を生成する。また、選択信号207から擬似信号208を差し引いた差分信号211が入力され、この差分信号211を最小化するようにフィルタ係数212を更新し、これを出力する。
【0031】
減算器312にはFIRフィルタ303から出力された選択信号207及び適応FIRフィルタ308から出力された擬似信号208が入力される。そして、減算器312は選択信号207から擬似信号208を差し引いた差分信号211を生成し、適応FIRフィルタ308及び判断制御部210(図2参照)に対して出力する。
【0032】
係数記憶回路310には適応FIRフィルタ308から出力されたフィルタ係数212及び判断制御部210から出力された切替信号213が入力される。係数記憶回路310はフィルタ係数212を記憶すると共に、切替信号213が入力されると係数出力信号305をFIRフィルタ303に対して出力し、FIRフィルタ303のフィルタ係数を書き換える。
【0033】
図4に示すように、図2に示す検出制御部210には検出器406、記憶回路408及び制御部410が設けられている。検出器406には適応フィルタ206(図2参照)から出力された選択信号207、差分信号211及びフィルタ係数212が入力されると共に、スイッチ回路203(図2参照)から出力された信号x205が入力される。検出器406は選択信号207と差分信号211とのレベル比較を行って選択信号207と擬似信号208とが同じ内容の信号であるかどうかの判断(一致/不一致判断)を行うと共に、フィルタ係数212を監視して一致/不一致判断を行い、これらの結果を検出結果407として出力する。また、記憶回路408は、検出器406から出力された検出結果407及び制御部410から出力された比較情報409が入力され、これらを記憶するものである。
【0034】
制御部410は、選択しているチャネル及び比較対象となるチャネルを示す比較情報409を記憶回路408に対して出力すると共に、選択制御信号109を信号選択制御部105(図1参照)に対して出力し、選択器103又は104(図1参照)に、次の候補となる入力信号を選択させる。これにより、適応FIRフィルタ308に入力する参照信号x205を切り替える。また、制御部410は切替制御信号108が入力されると、その時点において、記憶回路408に記憶された情報から選択信号207と内容が同じ他の信号(以下、次期選択信号という)として最適な信号を選択し、切替信号213をスイッチ回路203(図2参照)、係数記憶回路310(図3参照)及びミキサ切替器209(図2参照)に対して出力する。これにより、係数記憶回路310にFIRフィルタ303のフィルタ係数を更新させると共に、スイッチ回路203及びミキサ切替器209にその出力を切り替えさせ、出力信号107を切り替える。この動作については後述する。
【0035】
次に、本実施例に係る信号比較検出切替装置100の動作について説明する。図5は図4に示す検出器406の動作を示すフローチャートであり、図6は図4に示す制御部410の動作を示すフローチャートである。信号比較検出切替装置100の動作は、切替制御信号108が入力されていない状態における動作と、切替制御信号108が入力された場合の動作に大別される。即ち、切替制御信号108が入力されていない状態においては、出力信号107として所定の選択信号207を出力し続けると共に、他の入力信号を信号x205として順次取り込み、この入力信号が選択信号207と同じ内容の信号であるかどうかを判断し、その結果を記憶する。
【0036】
一方、切替制御信号108が入力された場合には、前記判断結果に基づいて次期選択信号として最適な信号を選択し、出力信号107を選択信号207から次期選択信号へと切り替える。例えば、信号比較検出切替装置100がネットワークフォロー式ラジオ受信機に搭載されている場合には、次期選択信号とは、選択信号207と同じ内容で受信状態がより良好な放送信号である。例えば、出力信号107の受信状態が悪化した場合に、前記ラジオ受信機における信号比較検出切替装置100の外部に設けられた上位の判断装置(図示せず)が、出力信号107の内容を切り替えることを判断し、切替制御信号108を信号比較検出切替装置100に対して出力する。
【0037】
先ず、切替制御信号108が入力されていない状態における動作について説明する。図1に示すように、入力信号群101が選択器103に入力され、入力信号群102が選択器104に入力される。選択器103は、制御信号110に基づいて入力信号群101から1の信号を選択し、入力信号201として信号検出切替器106に対して出力する。同様に、選択器104は、制御信号110に基づいて入力信号群102から1の信号を選択し、入力信号202として信号検出切替器106に対して出力する。
【0038】
図2に示すように、入力信号201及び202は信号検出切替器106のスイッチ回路203に入力される。スイッチ回路203は切替信号213に基づいて、入力信号201及び202のうち一方を信号y204として適応フィルタ206に対して出力し、他方を信号x205として適応フィルタ206及び判断制御部210に対して出力する。例えば、入力信号201を信号y204として出力し、入力信号202を信号x205として出力する。
【0039】
図3に示すように、信号y204は適応フィルタ206のFIRフィルタ303に入力される。FIRフィルタ303は、係数出力信号305に基づいて信号y204をフィルタ処理して適当な時間遅延させ、選択信号207として減算器312、判断制御部210(図2参照)及びミキサ切替器209(図2参照)に対して出力する。一方、信号x205は適応FIRフィルタ308に参照信号として入力される。適応FIRフィルタ308は信号x205をフィルタ処理して擬似信号208を生成し、減算器312及びミキサ切替器209に対して出力する。ミキサ切替器209(図2参照)は、選択信号207を出力信号107として出力する。このため、例えば、信号比較検出切替装置100がネットワークフォロー式ラジオ受信機に搭載されている場合には、選択信号207が視聴信号となる。
【0040】
擬似信号208とは、参照信号としての信号x205をフィルタ処理して生成された信号であり、信号y204の内容と信号x205の内容とが同じである場合には、選択信号207と擬似信号208とは同じ信号になる。但し、この場合、選択信号207と擬似信号208とはデジタル的に同じ信号であるというわけではなく、両者は線形の関係を持ち、例えば両者の差は−30dBとなる。信号y204の内容と信号x205の内容とが相互に異なる場合、例えば、異なる放送を受信している場合には、信号選択信号207と擬似信号208とは相互に異なる信号になり、線形の関係を持たない。
【0041】
時刻tにおける擬似信号をy_hat(t)とし、時刻tにおけるi番目のフィルタ係数をwi(t)とし、参照信号をx(t)とし、タップ数をNとすると、擬似信号y_hat(t)は下記数式1により与えられる。
【0042】
【数1】
【0043】
次に、減算器312が入力された選択信号207から擬似信号208を差し引いて差分信号211を生成し、適応FIRフィルタ308及び判断制御部210(図2参照)に対して出力する。時刻tにおける選択信号207をy(t)とし、差分信号211をe(t)とすると、差分信号e(t)は下記数式2により与えられる。
【0044】
【数2】
【0045】
そして、適応FIRフィルタ308はこの差分信号211を最小化するようにフィルタ係数212を更新し、これを係数記憶回路310及び判断制御部210(図2参照)に対して出力する。係数記憶回路310はこのフィルタ係数212を記憶する。時刻tにおけるステップサイズをμ(t)とすると、フィルタ係数wi(t+1)は、下記数式3により与えられる。
【0046】
【数3】
【0047】
参照信号x(t)のパワーをPX(t)とし、μ0を収束速度に影響を与える正の定数とすると、ステップサイズをμ(t)は下記数式4により与えられる。また、PX(t)は下記数式5により与えられる。なお、下記数式4及び5に示す処理は学習同定法(normalized Least Mean Square)による処理である。前記係数μ0を調整することにより、ノイズ耐力等を制御できる。
【0048】
【数4】
【0049】
【数5】
【0050】
なお、トーン信号等の自己相関性が高い入力信号に対しては、真のフィルタ係数を求めることができないため、参照信号x及び選択信号yに対してトーン信号検出を行い、推定処理を停止させてもよい。
【0051】
そして、図4に示すように、選択信号207、差分信号211、フィルタ係数212及び信号x205が判断制御部210の検出器406に入力される。
【0052】
図5に示すように、検出器406は選択信号207と差分信号211とのレベル比較を行うと共に、フィルタ係数212の監視を行い、選択信号207と擬似信号208とが同じ内容の信号であるかどうかの判断(一致/不一致判断)を行い、これらの結果を検出結果407として出力する。即ち、図5のステップS11に示すように、信号x205のレベル(LEV_x)が予め設定された閾値(Th_x)以上であるか否かを判断し、信号x205のレベルが閾値以上である場合はステップS12に進む。次に、ステップS12に示すように、選択信号207のレベル(LEV_y)が予め設定された閾値(Th_y)以上であるか否かを判断し、選択信号207のレベルが閾値以上である場合はステップS14に進む。ステップS14においては、Tim0の初期値は0であり、ステップS14を通過するたびに1ずつ増加する。Tim0の値が予め設定されたTh_tim0の値以下である場合は、ステップS11に戻る。Tim0の値がTh_tim0の値より大きくなるとステップS15及びS16に進む。ステップS14により、ステップS15及びS16以降において判断を行うための待ち処理を設けることができる。
【0053】
一方、信号x205及び選択信号207のうち少なくとも一方のレベルが閾値未満である場合はステップS13に進む。ステップS13においては、Tim1の初期値は0であり、ステップS13を通過するたびに1ずつ増加する。Tim1の値が予め設定されたTh_tim1の値未満である場合は、ステップS11に戻る。Tim1の値がTh_tim1の値以上になるとステップS15及びS16に進む。これにより、信号x205及び選択信号207のうち少なくとも一方のレベルが閾値未満であり続けた場合のタイムアウト処理を設けることができる。
【0054】
次に、ステップS15において、選択信号207のレベルから差分信号211のレベルを減じて消去量(=LEV_y−LEV_e)を算出する。選択信号207の内容と擬似信号208の内容が一致している場合には、消去量が大きくなる。即ち、消去後に残る信号レベルが小さくなる。逆に、選択信号207の内容と擬似信号208の内容とが不一致である場合には、消去量は小さくなる。従って、消去量を定量的に評価することにより、一致/不一致判断を行うことができる。なお、この一致/不一致判断を差分信号211のレベル(LEV_e)の絶対値ではなく消去量に基づいて行う理由は、差分信号211のレベルは選択信号207のレベルの影響を受け、選択信号207のレベルがもともと低い場合には、一致/不一致に関係なく、差分信号211のレベルも低くなってしまうからである。
【0055】
また、ステップS16において、フィルタ係数212を監視し、フィルタ係数212のパワーの総和の大半(例えば90%)が2つの連続したフィルタ係数に集中しているか否かを評価する。選択信号207の内容と擬似信号208の内容とが一致する場合には、両信号の違いは遅延差、位相差又は振幅差のみであるため、必ず1又は連続する2のフィルタ係数の絶対値のみが大きくなり、他のフィルタ係数は小さくなる。選択信号207の内容と擬似信号208の内容が不一致である場合には、このようなフィルタ係数のパワーの集中は起こらない。従って、フィルタ係数のパワーの集中度を監視することにより、選択信号207の内容と信号x205の内容との一致/不一致を判断することができる。
【0056】
具体的には、2つの連続したフィルタ係数パワーの和のうち最大の値をMとし、フィルタ係数パワーの総和をAとするとき、(M/A)比が例えば0.9より大きいか否かを判断する。(M/A)比が0.9より大きい場合、即ち、フィルタ係数のパワーが集中している場合は、ステップS17においてDET=1とし、(M/A)比が0.9以下である場合、即ち、フィルタ係数のパワーが集中していない場合は、ステップS18においてDET=0として、このDETの値を出力する。
【0057】
前述の消去量及び(M/A)比は、どちらも選択信号207の内容と擬似信号208の内容との一致/不一致を判断する指標であるが、消去量はノイズの影響を受けやすい。即ち、選択信号207又は擬似信号208にノイズが多く含まれていると消去量が小さくなってしまい、一致/不一致判断が困難になる。これに対して、(M/A)比はノイズの影響を受けにくいため、ノイズが多い場合には(M/A)比による判断が有効である。逆に、消去量はノイズ成分を評価する指標として利用することも可能である。
【0058】
次に、ステップS19において、消去量及びDET値の双方を検出結果407として出力し、記憶回路408に記憶させる。このとき、前述のTim0及びTim1の値を0に戻す。
【0059】
次に、ステップS20において、制御部410が信号x205を次の比較対象となる信号に切り替えるのを待ち、切り替えが完了したらステップS11に戻り、新しい信号x205に対して前述の処理を行う。
【0060】
図6に示すように、制御部410は、先ずステップS31において初期化を行い、ステップS32において検出器406が処理を終了するのを待つ。検出器406の処理が終了していれば、ステップS33において、選択しているチャネル及び比較対象となるチャネルを示す比較情報409を記憶回路408に対して出力し、記憶回路408に比較情報409を記憶させる。その後、ステップS34において、切替制御信号108が入力されているか否かを判断し、入力されていない場合は、選択制御信号109を信号選択制御部105(図1参照)に対して出力し、選択器103又は104(図1参照)に、次の候補となる入力信号を選択させる。その後、ステップS32に戻り、再び検出器406の検出処理終了を待ち、ステップS33及びS34に示す処理を繰り返す。
【0061】
これにより、選択信号207の比較対象となる信号x205を順次切り替えて、信号x205から擬似信号208を生成し、その内容が選択信号207と内容と一致するか不一致であるかの判断を行い、この判断結果を記憶回路408に記憶させる。このようにして、記憶回路408に記憶されている判断結果は、常に最新の情報に更新され続ける。
【0062】
次に、切替制御信号108が入力された場合について説明する。切替制御信号108は、信号比較検出切替装置100の出力信号107を、選択信号207から選択信号207と内容が同じ他の信号(次期選択信号)に切り替えることを指示する信号である。切替制御信号108は信号比較検出切替装置100の外部から信号検出切替器106の判断制御部210における制御部410に入力される。
【0063】
制御部410は、切替制御信号108が入力されると、図6に示すステップS34からステップS35に進む。そして、ステップS35において、記憶回路408に記憶されている情報を調べ、その時点において、次期選択信号として最適な信号を選択する。そして、ステップS36において、ミキサ切替器209に対して切替信号213を出力すると共に、信号選択制御部105に対して選択制御信号109を出力する。
【0064】
これにより、図1乃至図3に示すように、信号選択制御部105は選択制御信号109に基づいて選択器103及び選択器104のうち、信号x205を選択している選択器(例えば選択器104)に次期選択信号を選択させる。この結果、例えば入力信号202が次期選択信号となり、信号x205が次期選択信号となる。これにより、適応FIRフィルタ308がこの次期選択信号に基づいて擬似信号208を生成し、ミキサ切替器209に対して出力する。
【0065】
ミキサ切替器209は、選択信号207と擬似信号208との比を例えば、100:0、90:10、80:20、・・・、10:90、0:100と時間的に変化させ、出力信号107を選択信号207から擬似信号208に段階的に切り替える。このとき、信号の切り替えを段階的に行うため、切り替えに伴うノイズはほとんど発生しない。
【0066】
その後、図6のステップS37に示すように、制御部410はスイッチ回路203、係数記憶回路310及びミキサ切替器209に対して切替信号213を出力する。これにより、スイッチ回路203は入力された切替信号213に基づいて出力する信号を切り替える。例えば、それまで入力信号202を信号x205として出力していた場合は、切り替えにより入力信号202を信号y204として出力する。このスイッチ回路203の切り替えと同時に、係数記憶回路310が係数出力信号305をFIRフィルタ303に対して出力し、FIRフィルタ303のフィルタ係数を書き換える。これにより、FIRフィルタ303には入力信号202が入力され、且つ、FIRフィルタ303のフィルタ係数が入力信号202から擬似信号208を生成するのに適したフィルタ係数に書き換えられるため、FIRフィルタ303は擬似信号208と同じ信号を選択信号207として出力することになる。即ち、それまで適応FIRフィルタ308を通過して生成されていた擬似信号208は、FIRフィルタ303を通過して生成されることになる。
【0067】
そして、前述のスイッチ回路203の切り替え及びFIRフィルタ303のフィルタ係数の書き換えと同時に、ミキサ切替器209が選択信号207と擬似信号208との比を初期状態の100:0に戻す。これにより、出力信号107として、再び選択信号207が出力されるようになる。なお、この切り替え時においては、選択信号207と擬似信号208とはまったく同じ信号であるため、切り替えに伴うノイズは発生しない。
【0068】
上述の如く、本実施例においては、適応FIRフィルタ308により比較対象となる信号x205から擬似信号208を生成し、選択信号207と差分信号211とのレベル差、即ち消去量を算出して選択信号207の内容と擬似信号208の内容とが一致するか否かの判断を行っている。このため、選択信号207と信号x205との間に遅延差、信号レベル差、位相の反転及びノイズの混入があっても、これらをキャンセルして正確に一致/不一致判断を行うことができる。この結果、判断誤りの発生を低減することができる。また、この判断を定量的に行うことができるため、判断処理を高速化することができる。
【0069】
また、本実施例においては、選択信号207と擬似信号208との差分信号211が最小になるような適応FIRフィルタ308のフィルタ係数212を求め、フィルタ係数212のパワーの集中度を評価することによっても、選択信号207の内容と擬似信号208の内容とが一致するか否かの判断を行っている。これにより、フィルタ係数はノイズの影響を受けにくいため、選択信号207又は信号x205がノイズを多く含んでいる場合においても、一致/不一致の判断を確実に行い、検出誤りを低減することができる。
【0070】
また、記憶回路408が次期選択信号の候補となる信号x205の検出結果407及び比較情報409を常に更新して記憶しておくことにより、切り替えの要求があるとき、即ち、切替制御信号108が入力されたときに、次期選択信号として最適な信号を速やかに選択し、選択信号を次期選択信号に切り替えることが可能となる。
【0071】
更に、適応FIRフィルタ308が擬似信号208を生成し、切替制御信号108が入力されたときにミキサ切替器209が選択信号207を擬似信号208に段階的に切り替えるため、切り替え処理に伴うノイズの発生を抑制することができる。
【0072】
なお、本発明においてはミキサ切替器209を省略してもよい。また、係数記憶回路310を係数転送回路により構成してもよい。更に、本実施例においては、信号比較検出切替装置100が車載用のネットワークフォロー式ラジオ受信機に搭載される例を示したが、本発明の信号比較検出切替装置は、複数の信号から任意に選択された2つの信号の内容が一致するか否かを判断し、それらの信号を一方から他方に切り替える必要がある用途であれば、どのような用途にも使用することができる。
【0073】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図7は本第2実施例に係る適応フィルタの構成を示すブロック図である。本実施例に係る信号比較検出切替装置は、適応フィルタ206aにおいて、遅延推定回路313が設けられている。遅延推定回路313には、FIRフィルタ303から出力される選択信号207及びスイッチ回路203(図2参照)から出力される信号x205が入力される。そして、遅延推定回路313はこの選択信号207及び信号x205を監視することにより、選択信号207と信号x205との間の時間的な差分を推定し、その推定結果を適応FIRフィルタ308に対して出力する。これにより、適応FIRフィルタ308は演算処理を行う際のタップ位置を調整する。本実施例の信号比較検出切替装置における上記以外の構成及び上記以外の動作は、前述の第1の実施例に係る信号比較検出切替装置100の構成及び動作と同一である。
【0074】
本実施例においては、遅延推定回路313が選択信号207と信号x205との間の遅延量を推定することにより、適応FIRフィルタ308が推定演算対象とするタップ位置を制限している。このため、前述の第1の実施例における効果に加えて、適応FIRフィルタ308が行う演算量を低減し、擬似信号308の生成に要する時間を短縮することができる。その結果、検出時間の更なる短縮が可能となる。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、入力信号間に遅延差、信号レベル差、位相の反転及びノイズの混入があっても、検出誤りを低減でき、検出時間の短縮化を図ることができる信号比較検出切替装置を得ることができる。また、信号の切り替え時におけるノイズが少ない信号比較検出切替装置を得ることができる。この信号比較検出切替装置を例えばネットワークフォロー式ラジオ受信機に組み込めば、受信信号の選択ミスが少なく、しかも、車両の走行に伴う受信状態の変化に対応して、受信信号を速やかに且つ円滑に最適な信号に切り替えることができるネットワークフォロー式ラジオ受信機を得ることができる。これにより、より高い品質の聴視手段を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る信号比較検出切替装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本第1実施例における信号検出切替器の構成を示すブロック図である。
【図3】本第1実施例における適応フィルタの構成を示すブロック図である。
【図4】本第1実施例における判断制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】本第1実施例における検出器の動作を示すフローチャートである。
【図6】本第1実施例における制御部の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施例に係る適応フィルタの構成を示すブロック図である。
【図8】従来の信号比較検出装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100;信号比較検出切替装置
101、102;入力信号群
103、104;選択器
105;選択制御部
106;信号比較切替器
107;出力信号
108;切替制御信号
109;選択制御信号
110;制御信号
201、202;入力信号
203;スイッチ回路
204;信号y
205;信号x
206、206a;適応フィルタ
207;選択信号
208;擬似信号
209;ミキサ切替器
210;判断制御部
211;差分信号
212;フィルタ係数
213;切替信号
303;FIRフィルタ
305;係数出力信号
308;適応FIRフィルタ
310;係数記憶回路
312;減算器
313;遅延推定回路
406;検出器
407;検出結果
408;記憶回路
409;比較情報信号
410;制御部
701、702;入力信号
703;無音検出部
704;一致検出部
705;判断制御回路
706;一致/不一致判別出力
Claims (8)
- 複数の入力信号から1の入力信号を選択して第1の信号として出力する第1の選択器と、複数の入力信号から1の入力信号を選択して第2の信号として出力する第2の選択器と、前記第2の信号から前記第1の信号との差分信号が最小となるような擬似信号を生成する適応FIRフィルタと、前記第1の信号と前記差分信号との差に基づいて前記第1の信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断してその判断結果を出力する検出器と、この判断結果を記憶する記憶回路と、切替制御信号が入力されたときに前記記憶回路に記憶された前記判断結果に基づいてその内容が前記第1の信号の内容と同一である次期選択信号を前記複数の入力信号から選択し、前記第1の選択器にこの次期選択信号を選択させることにより、前記第1の信号を前記切替制御信号が入力される前に選択していた信号から前記次期選択信号に切り替える制御部と、を有することを特徴とする信号比較検出切替装置。
- 夫々複数の入力信号から1の入力信号を選択する第1及び第2の選択器と、前記第1及び第2の選択器の出力信号のうち一方を選択して第1の信号として出力すると共に他方を第2の信号として出力するスイッチ回路と、前記第1の信号から選択信号を生成するFIRフィルタと、前記第2の信号から前記選択信号との差分信号が最小となるような擬似信号を生成する適応FIRフィルタと、この適応FIRフィルタのフィルタ係数を記憶する係数記憶回路と、前記選択信号と前記差分信号との差に基づいて前記選択信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断してその判断結果を出力する検出器と、この判断結果を記憶する記憶回路と、前記選択信号及び前記擬似信号が入力され前記選択信号、前記擬似信号及び前記選択信号と前記擬似信号とが任意の割合で混合された混合信号のうち1の信号を選択して出力するミキサ切替器と、切替制御信号が入力されたときに前記記憶回路に記憶された前記判断結果に基づいてその内容が前記選択信号の内容と同一である次期選択信号を前記複数の入力信号から選択し、前記第1及び第2の選択器のうち前記第2の信号を出力している選択器に前記次期選択信号を選択させ、前記ミキサ検出器の出力信号を前記選択信号から前記擬似信号へと段階的に切り替えさせた後、前記スイッチ回路に前記第1の信号と前記第2の信号とを相互に切り替えさせ、前記係数記憶回路に記憶された前記次期選択信号のフィルタ係数を前記FIRフィルタに入力させると共に、前記ミキサ検出器の出力信号を前記擬似信号から前記選択信号へと切り替えさせることにより、前記ミキサ検出器の出力信号を前記選択信号から前記次期選択信号に切り替えさせる制御部と、を有することを特徴とする信号比較検出切替装置。
- 前記検出器は、適応FIRフィルタのフィルタ係数に基づいて前記選択信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の信号比較検出切替装置。
- 複数の入力信号から1の入力信号を選択して第1の信号として出力する第1の選択器と、複数の入力信号から1の入力信号を選択して第2の信号として出力する第2の選択器と、前記第2の信号から前記第1の信号との差分信号が最小となるような擬似信号を生成する適応FIRフィルタと、この適応FIRフィルタのフィルタ係数に基づいて前記第1の信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかを判断してその判断結果を出力する検出器と、この判断結果を記憶する記憶回路と、切替制御信号が入力されたときに前記記憶回路に記憶された前記判断結果に基づいてその内容が前記第1の信号の内容と同一である次期選択信号を前記複数の入力信号から選択し、前記第1の選択器にこの次期選択信号を選択させることにより、前記第1の信号を前記切替制御信号が入力される前に選択していた信号から前記次期選択信号に切り替える制御部と、を有することを特徴とする信号比較検出切替装置。
- 前記適応FIRフィルタのフィルタ係数に基づく前記選択信号と前記擬似信号とが同じ内容の信号であるかどうかの判断は、前記フィルタ係数のパワーの集中度を評価することにより行われることを特徴とする請求項3又は4に記載の信号比較検出切替装置。
- 前記制御部から出力される信号に基づいて前記第1及び第2の選択器の動作を制御する信号選択制御部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の信号比較検出切替装置。
- ネットワークフォロー式ラジオ受信機に組み込まれ、前記複数の入力信号としてラジオ放送信号が入力され、前記選択信号として視聴信号が出力されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の信号比較検出切替装置。
- 前記第1及び第2の選択器がチューナであることを特徴とする請求項7に記載の信号比較検出切替装置。
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