JP3637326B2 - 制御システム、航空機・宇宙機の飛行制御システム、車両の運動制御システム - Google Patents

制御システム、航空機・宇宙機の飛行制御システム、車両の運動制御システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御システム、航空機・宇宙機の飛行制御システム及び車両の運動制御システムに関し、特に、使用可能な制御デバイスを自律的に有効活用できる制御システム、航空機・宇宙機の飛行制御システム及び車両の運動制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の制御システムにおいて用いられる制御則の一例として、図6に飛行制御則を概要を示す。
図6に示すように、従来の飛行制御システムでは、機体の制御デバイス能力、飛行条件の変化などの組み合わせに対応して、飛行制御アルゴリズムのパラメータKをスケジューリングすることで、必要な飛行能力を達成していた。例えば、機体の速度などの観測量40に基づいて、一定の(単一の)制御則のゲインKを調整しているに過ぎなかった。
【0003】
設計に際しては、各飛行条件における最悪状態でも、制御デバイスの制約条件を逸脱しないように配慮され、膨大なコンピュータシミュレーション、飛行試験により制御性能を確認してきた。
【0004】
以下に、従来の問題点を示す。
【0005】
(1)パラメータのスケジューリングのみでは、飛行条件の変化に対応する対処能力に限界がある。
(2)同一飛行条件であっても、状況の変化により、要求される機体運動性能などが変化した場合(パイロットが急激な操縦コマンドを入力した場合なども含む)、柔軟に対応できない場合がある。
【0006】
(3)制御デバイスの制約条件を、最悪条件でも満足できる設計とせざるを得ず、結果として保守的な運動性能しか達成できない。
(4)制御デバイスの故障/破損などが生じ、機体特性が劇的に変化した場合の対処能力に欠ける。
(5)シミュレーション、飛行試験結果に応じて試行錯誤的にパラメータを設定していたため、設計/開発に膨大な時間と労力を要する。
【0007】
日本国特許第2948549号公報には、本発明者の一部による次の高次ダイナミクス型自動制御方法が開示されている。高次ダイナミクスを有する制御則部分を線形離散時間状態空間表現を用いて記述し、この線形離散時間状態空間表現された複数の制御則部分の行列データを計算処理切換時に択一的に入替え、上記計算処理切換時に制御対象からの出力と制御対象への入力とにより切換時の運動状態及び制御信号を実現する制御則部分の内部状態変数の収束値を算出して、上記行列データの入替えと同時に上記内部状態変数を算出した収束値に入替えることを特徴とする方法である。
【0008】
この高次ダイナミクス型自動制御方法によれば、制御則の切換えに際して制御対象が予想外の好ましくないトランジェント挙動を発生することがなく、円滑に切換動作を実行することができると共に、切換後も線形制御理論による安定性を保持することができ、結果として広範囲、長時間に渡って精密で制御対象の変動にも十分に対処し得る頑強な自動制御を実現できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
各種条件において、常に最大レベルの運動能力を達成できることが望まれている。
制御デバイスの故障/破損などが生じた場合でも、残った制御デバイスの制約条件に応じ、それらを最大限活用することで、常に高い運動能力を確保することが望まれている。
制御デバイスの制約条件と達成可能な制御性能の関係が明確になり、設計/開発作業に要するコスト/期間を短縮することが望まれている。
【0010】
本発明の目的は、各種条件において、常に最大レベルの運動能力を達成できる制御システム、航空機・宇宙機の飛行制御システム及び車両の運動制御システムを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、制御デバイスの故障/破損などが生じた場合でも、残った制御デバイスの制約条件に応じ、それらを最大限活用することで、常に高い運動能力を確保することが可能な制御システム、航空機・宇宙機の飛行制御システム及び車両の運動制御システムを提供することである。
【0012】
本発明の更に他の目的は、制御デバイスの制約条件と達成可能な制御性能の関係が明確になり、設計/開発作業に要するコスト/期間を短縮することが可能な制御システム、航空機・宇宙機の飛行制御システム及び車両の運動制御システムを提供することである。
【0013】
本発明の更に他の目的は、使用可能な制御デバイスを自律的に有効活用できる制御システム、航空機・宇宙機の飛行制御システム及び車両の運動制御システムを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用する番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0015】
本発明の制御システム(10)は、制御対象を操作するための操縦コマンド(15a)を入力し、前記操縦コマンド(15a)に基づいて、前記制御対象の制御デバイスの状態を指示する制御出力(16)を出力する第1の制御則(11)と、前記第1の制御則(11)に入力された前記操縦コマンド(15a)を入力したとき、前記第1の制御則(11)と異なる前記制御出力(16)を出力する第2の制御則(12)と、前記制御デバイスの不具合を示す情報(14)に基づいて、前記第1及び第2の制御則(11、12)のいずれかに切換える制御則切換部(20)とを備えている。
【0016】
本発明の制御システムにおいて、前記第1及び第2の制御則(11、12)のそれぞれは、高次ダイナミクスを有するコントローラである。
【0017】
本発明の制御システム(10)において、前記制御則切換部(20)は、前記制御デバイスの能力の範囲内で高い制御能力を達成するための前記制御出力(16)が出力されるように、前記第1及び第2の制御則(11、12)のいずれかに切換える。
【0018】
本発明の制御システム(10)において、前記第1及び第2の制御則(11、12)が同一の前記操縦コマンド(15a)を入力したとき、前記第1及び第2の制御則(11、12)から出力される前記制御出力(16)は、前記操縦コマンド(15a)に対する応答の速さにおいて異なる。
【0019】
本発明の制御システム(10)において、前記制御則切換部(20)は、前記制御デバイスの不具合を示す情報(14)及び前記操縦コマンド(15a)の少なくともいずれか一つに基づいて、前記第1及び第2の制御則(11、12)のいずれかに切換える。
【0020】
本発明の制御システム(10)において、前記制御則切換部(20)は、前記制御デバイスの不具合を示す情報(14)、前記操縦コマンド(15a)及び前記制御対象の運動状態を示す情報(15b)の少なくともいずれか一つに基づいて、前記第1及び第2の制御則(11、12)のいずれかに切換える。
【0021】
本発明の制御システム(10)において、前記制御則切換部(20)は、前記制御デバイスの不具合を示す情報(14)、前記操縦コマンド(15a)、前記制御対象の運動状態を示す情報(15b)及び前記制御対象の運動状態に影響を与える外部の情報(15c)の少なくともいずれか一つに基づいて、前記第1及び第2の制御則(11、12)のいずれかに切換える。
【0022】
本発明の制御システム(10)において、前記制御則切換部(20)は、前記制御デバイスの能力をリアルタイムに推定し、前記推定された能力以上の前記制御出力(16)が出力されないように、前記第1及び第2の制御則(11、12)のいずれかに切換える。
【0023】
本発明の制御システム(10)において、前記制御則切換部(20)は、前記制御デバイスの不具合を示す情報(14)と、前記制御対象の運動状態を示す情報(15b)と、前記第1及び第2の制御則(11、12)のそれぞれの内部状態量を用いて、前記第1及び第2の制御則(11、12)のそれぞれに対応する最大CPI集合(Constraint Positively Invariant Set)を求め、前記制御対象の運動状態を示す情報(15b)によって示された前記制御対象の運動状態を含む前記最大CPI集合に対応する前記第1及び第2の制御則(11、12)のうち、制御性能の最も高い前記第1及び第2の制御則(11、12)のいずれかに切換える。
【0024】
本発明の制御システム(10)において、前記第1及び第2の制御則(11、12)のそれぞれは、更に、前記制御対象の運動状態を示す情報(15b)及び前記制御対象の運動状態に影響を与える外部の情報(15c)に基づいて、前記制御出力(16)を出力する。
【0025】
本発明の制御システム(10)において、前記制御則切換部(20)は、前記第1の制御則(11)から前記第2の制御則(12)に切換えるときに、トランジェント挙動が発生しないように切換える。
【0026】
本発明の航空機・宇宙機の飛行制御システム(10)は、航空機または宇宙機の機体姿勢を制御するための操縦コマンド(15a)を入力し、前記操縦コマンド(15a)に基づいて、前記機体の複数の制御デバイスのそれぞれの状態を指示する制御出力(16)を出力する第1の制御則(11)と、前記第1の制御則(11)に入力された前記操縦コマンド(15a)を入力したとき、前記第1の制御則(11)と異なる前記制御出力(16)を出力する第2の制御則(12)と、前記制御デバイスの不具合を示す情報に基づいて、前記第1及び第2の制御則(11、12)のいずれかに切換える制御則切換部(20)とを備えている。
【0027】
本発明の飛行制御システムにおいて、前記操縦コマンド(15a)は、前記航空機または宇宙機が有人機の場合には、パイロットにより入力されたパイロットコマンドであり、前記航空機または宇宙機が無人機の場合には、前記パイロットに代わる誘導器からの操縦用誘導コマンドである。
【0028】
本発明の航空機・宇宙機の飛行制御システムにおいて、前記機体の複数の制御デバイスには、前記航空機または宇宙機の舵面および推力器の少なくともいずれか一つが含まれ、前記制御出力(16)には、前記舵面の舵角、並びに前記推力器による推力の量及び方向の少なくともいずれか一つを指示するコマンドが含まれている。
【0029】
本発明の車両の運動制御システムは、車両を操縦するための操縦コマンド(25a)を入力し、前記操縦コマンド(25a)に基づいて、前記車両の複数の制御デバイスのそれぞれの状態を指示する制御出力(26)を出力する第1の制御則(11A)と、前記第1の制御則(11A)に入力された前記操縦コマンド(25a)を入力したとき、前記第1の制御則(11A)と異なる前記制御出力(26)を出力する第2の制御則(12A)と、前記制御デバイスの不具合を示す情報に基づいて、前記第1及び第2の制御則(11A、12A)のいずれかに切換える制御則切換部(20A)とを備えている。
【0030】
本発明の車両の運動制御システムにおいて、前記操縦コマンド(25a)は、前記車両が有人車両の場合には、ドライバにより入力されたドライバコマンドであり、前記車両が無人車両の場合には、前記ドライバに代わる誘導器からの操縦用誘導コマンドである。
【0031】
本発明の車両の運動制御システムにおいて、前記機体の複数の制御デバイスには、前記車両のステアリング系、ブレーキ系、サスペンション系、タイヤ、エンジンの少なくともいずれか一つが含まれ、前記制御出力(16)には、前記ステアリングの舵角及びブレーキの動作の少なくともいずれか一つを指示するコマンドが含まれている。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の制御システム一の実施形態について説明する。
【0033】
まず、図2及び図4を参照して、第1実施形態に係る飛行制御システムについて説明する。
【0034】
第1実施形態では、飛行条件の変化、使用可能な制御デバイス能力の変化に対し、自律的に対応可能な航空機・宇宙機の飛行制御システム10を構築する。
【0035】
ここで、「飛行条件の変化、使用可能な制御デバイス能力の変化」には、図2に示すように、飛行制御装置(制御則)に対する入力(有人機の場合にはパイロットによる操縦コマンド入力、無人機の場合には誘導器からの操縦用誘導コマンド)15aの変化と、機体の姿勢、速度、エンジンの状態(スラスト量、スラスト方向)等の機体運動のセンサ情報15bの変化と、風力・風向等の大気情報15cの変化と、システムの故障情報(空力舵面の状態の変化(故障/破損)、エンジンの故障等)14などが含まれる。
【0036】
飛行制御システム10では、構造/性能の異なる複数の制御則11〜13を準備しておき、状況に応じてそれらを切換え、常に高い運動能力を達成する。制御則11〜13の切換判断には、その時点での制御デバイス能力で達成可能な飛行能力を予測する、ある種の推定器(推定・制御則切換装置20)を準備し、その推定結果を参照して制御則11〜13の選択を行う。
【0037】
飛行制御システム10は、複数の制御則11〜13と、それらの制御則11〜13を切換える推定・制御則切換装置20とを有している。複数の制御則11〜13は、符号11で示す第1の飛行制御則C1(s)と、符号12で示す第2の飛行制御則C2(s)と、符号13で示す第3の飛行制御則C3(s)である。
【0038】
それぞれの制御則11〜13は、飛行制御装置(制御則)に対する入力15aと、機体運動のセンサ情報15bと、大気情報15cとを含む入力データ15を入力し、制御出力16を出力する。
【0039】
制御出力16には、複数の舵面(例えば、エレベータ、エルロン、ラダー等)のそれぞれへの舵角のコマンド16aと、エンジンのスラストの方向を示すコマンド(ジンバル舵角等)16bと、エンジンのスラストの出力量のコマンド16cとが含まれる。
【0040】
それぞれの制御則11〜13は、高次ダイナミクスを有するコントローラである。なお、高次ダイナミクスを有するコントローラの一例は、前述の日本国特許第2948549号公報に開示した通りである。
【0041】
推定・制御則切換装置20は、入力データ15及びシステム故障情報14を入力し、その入力データ15及びシステム故障情報14に基づいて状況を判断し、その状況に応じて、複数の制御則11〜13を切換える。その状況の判断には、複数の舵面のそれぞれの能力(飽和状態か否かを含む)のリアルタイムでの推定が含まれる。
【0042】
推定・制御則切換装置20は、各舵面、ジンバル舵角の飽和状態を推定/予測し、その状況に応じて使用する制御則を選択すると共に、切換トランジェントなく制御則の切換を実施する。
【0043】
推定・制御則切換装置20は、航空機の舵面の破損や故障、エンジンの故障を示すシステム故障情報14に基づいて、複数の制御則11〜13を切換える。
従来は、例えば、航空機の舵面に破損や故障が発生したり、エンジンに故障が発生したときには、機体の特性が変わることによりそのままの制御則では十分に対応できなかった。これに対し、本実施形態では、そのような場合には舵面の状況等に応じて、推定・制御則切換装置20が複数の制御則11〜13を適宜選択的に切換えることにより、十分に対応すること(飛行を継続すること)ができる。
【0044】
推定・制御則切換装置20は、飛行制御装置(制御則)に対する入力15aと、機体運動のセンサ情報15bと、大気情報15cとを含む入力データ15に基づいて、複数の制御則11〜13を切換える。
航空機が舵面を使って運動するときに、例えば、舵面の能力以上の舵角のコマンド16aが与えられると、機体の運動が不安定になる。舵面が破損または故障して舵面の能力が下がると、舵面が飽和して機体の運動が不安定になり易くなる。本実施形態では、舵面の能力が低下しているときには、入力データ15に応じて、制御則11〜13を切換えることにより、保守的な制御出力(例えば舵角コマンド16a)16しか出力されないような制御則に切換えて、舵面の飽和を防ぐようにしている。
【0045】
例えば、複数の制御則11〜13は、パイロットから入力された機体の姿勢コマンドが5°である場合に、その5°の機体姿勢になるまでの応答の速さ、過渡的な速さ、オーバーシュート量等がそれぞれ異なるものである。応答が速い制御則ほど、舵面が飽和し易くなる。
【0046】
なお、一般的に、「自己修復制御則」または「再構成制御則」と呼ばれるシステムでは、舵面の破損パターンから使用する舵面の割り振りを決める配分比率を決定する方式が採用されている。即ち、図7に示すように、単一の制御則31からの出力(モーメント)32を分配器33がどのように複数の舵面(図7では、エレベータ(e)、エルロン(a)、ラダー(r)の3種類の舵面)に振り分けるか(配分)を切換えるものである。
【0047】
ここで、制御則31が、高次ダイナミクスを有するコントローラであり、分配器33は代数演算のみを行う。分配器33は、3種類の舵面の舵角δe、δa、δrをそれぞれ出力する。分配器33は、3種類の舵面のうちの1つが故障したら残りの2種類に出力32を振り分ける。
【0048】
上記の「自己修復制御則」または「再構成制御則」によれば、分配器33が、制御則31からの出力32の複数の舵面への配分(舵角δe、δa、δr)を切換えるだけであり、制御則を切換えるわけではないため、本実施形態のように、前述した応答の速さ、オーバーシュート量等自体を切換えることはできない。
【0049】
上記の「自己修復制御則」または「再構成制御則」は、舵面の故障・破損に対応すること(複数の舵面への配分の切換え)ができるに過ぎす、本実施形態のように、飛行制御装置(制御則)に対する入力15aの変化や、機体運動のセンサ情報15bの変化や、大気情報15cの変化に対応することはできない。
【0050】
これに対し、本実施形態では、飛行条件/舵面状態/制御則挙動などの総合的な情報から、活用可能な舵面能力をリアルタイムに推定し、制御能力を向上させるアルゴリズムを開発した点が新規である。制御則自体を切換えることにより、応答の速さ、オーバーシュート量等自体を切換えることができる。
【0051】
本実施形態においては、図2に示すように、複数の制御則11〜13のうちで切換えられた制御則11から、直接的に(分配器33等を介すことなく)、複数の舵面のそれぞれへの舵角のコマンド16aと、エンジンのスラストの方向及び出力量のコマンド16b、16cとが、制御出力16として出力される。
【0052】
なお、図6において、パラメータKを切換える際に用いる観測量40としては、機体運動のセンサ情報15bと大気情報15cのみであり、飛行制御システム10の推定・制御則切換装置20とは異なり、飛行制御装置(制御則)に対する入力15aや、システム故障情報14は含まれない。
【0053】
また、図7において、分配器33が制御則31からの出力32を複数の舵面に分配するときには、入力した舵面の状態のみに基づいて分配しており、飛行制御システム10の推定・制御則切換装置20とは異なり、少なくとも、飛行制御装置(制御則)に対する入力15a、機体運動のセンサ情報15b、大気情報15cは入力していない。
【0054】
また、本実施形態において、推定・制御則切換装置20が複数の制御則11〜13を切換えるときには、前述した日本国特許第2948549号の技術を適用し、トランジェントを発生することなく切換える。
【0055】
次に、図4を参照して、飛行制御システム10の動作について説明する。
図4は、制御則が切換えられるときの推定・制御則切換装置20の演算内容を示すタイミングチャートである。
【0056】
図4に示すように、推定・制御則切換装置20は、制御則切換アルゴリズム24と、システム制御状態の推定アルゴリズム25とを有している。
【0057】
推定・制御則切換装置20が第1の制御則11から第2の制御則12に切換えるときには、日本国特許第2948549号公報に開示したように、制御則切換アルゴリズム24が第1の制御則11部分の行列データを第2の制御則12への処理切換時に他の行列データに入替え、この処理切換え時に切換時の運動状態及び制御信号を実現する第2の制御則12部分の内部状態変数の収束値を算出して、上記行列データの入替えと同時に上記内部状態変数を算出した収束値に入れ換える。
【0058】
図4に示すように、最初は、第1の制御則11を用いて制御が実行されている。このとき、図1の切換スイッチ18および切換スイッチ19は、推定・制御則切換装置20からそれぞれ出力された切換えコマンド22、23に応答して、第1の制御則11に接続されている。
【0059】
このとき、推定・制御則切換装置20は、システム故障情報14に基づいて、各制御デバイス(舵面等)は正常であると判断している。また、第1の制御則11へは、飛行制御装置(制御則)に対する入力15aとして、操縦コマンドが入力されている。
【0060】
次に、矢印Y1に示すように、制御デバイスの一部が故障した場合には、その旨を示すシステム故障情報14が推定・制御則切換装置20に入力される(矢印Y2参照)。推定・制御則切換装置20の制御則切換アルゴリズム24では、切換トランジェント無しに制御則を切り替えるための制御則内部状態量を、機体運動のセンサ情報15b及び飛行制御装置(制御則)に対する入力15aに基づいて、各制御則11〜13に対して算出する。
【0061】
また、矢印Y2に示すように、推定・制御則切換装置20が制御デバイスの一部の故障を示すシステム故障情報14を入力すると、矢印Y3に示すように、システム制御状態の推定アルゴリズム25では、システム故障情報14、機体運動のセンサ情報15b、各制御則11〜13の内部状態量を用いて、各制御則11〜13に対応する最大CPI集合を算出する。この最大CPI集合については、図5を参照して説明する。
【0062】
図5は、第2の制御則C2(s)12に切換える場合の最大CPI集合の例を示している。ここで、CPI集合とは、Constraint Positively Invariant Setであり、公知である。
【0063】
ここでは、図5に示すように、制御則の性能は、C1(s)>C2(s)>C3(s)であるとする。上記のように、システム制御状態の推定アルゴリズム25が各制御則11〜13に対応する最大CPI集合を算出した結果、図5に示すように、最大CPI集合は、C3(s)の最大CPI集合は、C1(s)の最大CPI集合及びC2(s)の最大CPI集合を内包する関係にあり、C2(s)の最大CPI集合は、C1(s)の最大CPI集合を内包する関係にあるとする。
【0064】
次に、図4の矢印Y4に示すように、システム制御状態の推定アルゴリズム25は、機体運動のセンサ情報15bを用いて、システムの状態量(図5の×印)が最大CPI集合に含まれる制御則を識別する。そのうち、制御性能の最も高い制御則を選択する。
【0065】
ここでは、故障発生時のシステム状態量(図5の×印)は、C1(s)の最大CPI集合には含まれず、C2(s)の最大CPI集合に含まれているとする。この場合、システムの状態量(図5の×印)が最大CPI集合に含まれる制御則のうち、制御性能の最も高い制御則は、第2の制御則C2(s)12である。
【0066】
次いで、矢印Y5に示すように、制御則切換アルゴリズム24では、上記において各制御則11〜13に対して算出した制御則内部状態量を初期値として置き換えて、矢印Y6に示すように、第2の制御則C2(s)12に切換える。この場合、推定・制御則切換装置20は、切換スイッチ18、19に対してそれぞれ切換コマンド22、23を出力して、切換スイッチ18、19を第2の制御則C2(s)12に接続する。その後は、矢印Y7に示すように、第2の制御則C2(s)12を用いて制御が実行される。
【0067】
上述したシステム状態量が含まれる最大CPI集合の識別(矢印Y4)は、上記の制御デバイスの故障(矢印Y1)のケースの他に、飛行制御装置(制御則)に対する入力15aのレベルの変化(一定レベル以上の急激なコマンドが入力された等)や、外部(環境)状態(風力・風向等の大気情報15c)の変化が生じた時点で、図4に示すフローに準じて実施し、その結果、上記の基準に従って必要であれば制御則の切換を行う。
【0068】
本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0069】
(1)各種飛行条件において、常に最大レベルの運動能力を達成できる。
(2)制御デバイスの故障/破損などが生じた場合でも、残った制御デバイスの制約条件に応じ、それらを最大限活用する制御則に切換えることで、常に高い運動能力を確保することができる。
(3)制御デバイスの制約条件と達成可能な制御性能の関係が明確になり、設計/開発作業に要するコスト/期間を短縮することができる。
【0070】
次に、図3及び図4を参照して、第2実施形態に係る車両自動制御システムについて説明する。第2実施形態は、自動車などの車両に本発明の制御システムを適用したものである。
【0071】
第2実施形態では、運転条件の変化、使用可能な制御デバイス能力の変化に対し、自律的に対応可能な車両の運動制御システム10Aを構築する。
【0072】
ここで、「運転条件の変化、使用可能な制御デバイス能力の変化」には、図3に示すように、運転制御装置(制御則)に対する入力(有人車両の場合にはドライバによるハンドル、ブレーキ等の運転コマンド入力、無人車両の場合には誘導器からの操縦用誘導コマンド)25aの変化と、車体の速度、エンジンの状態等の車体運動のセンサ情報25bの変化と、路面状況等の外部情報25cの変化と、システムの故障情報(ステアリング系、ブレーキ系、サスペンション系、タイヤ等の状態の変化(故障/破損)、エンジンの故障等)24などが含まれる。
【0073】
車両の運動制御システム10Aでは、構造/性能の異なる複数の制御則11A〜13Aを準備しておき、状況に応じてそれらを切換え、常に高い運動能力を達成する。制御則11A〜13Aの切換判断には、その時点での制御デバイス能力で達成可能な運動能力を予測する。ある種の推定器(推定・制御則切換装置20A)を準備し、その推定結果を参照して制御則11A〜13Aの選択を行う。
【0074】
車両の運動制御システム10Aは、複数の制御則11A〜13Aと、それらの制御則11A〜13Aを切換える推定・制御則切換装置20Aとを有している。複数の制御則11A〜13Aは、符号11Aで示す第1の制御則C1(s)と、符号12Aで示す第2の制御則C2(s)と、符号13Aで示す第3の制御則C3(s)である。
【0075】
それぞれの制御則11A〜13Aは、運転制御装置(制御則)に対する入力25aと、車体運動のセンサ情報25bと、外部情報25cとを含む入力データ25を入力し、制御出力26を出力する。制御出力26には、ステアリングへの舵角のコマンド26aと、各車輪のブレーキの動作を示すコマンド26bとが含まれる。
【0076】
それぞれの制御則11A〜13Aは、高次ダイナミクスを有するコントローラである。なお、高次ダイナミクスを有するコントローラの一例は、前述の日本国特許第2948549号公報に開示した通りである。
【0077】
推定・制御則切換装置20Aは、入力データ25及びシステム故障情報24を入力し、その入力データ25及びシステム故障情報24に基づいて状況を判断し、その状況に応じて、複数の制御則11A〜13Aを切換える。その状況の判断には、ステアリング系、ブレーキ系、サスペンション系、タイヤ等のそれぞれの能力(飽和状態か否かを含む)のリアルタイムでの推定が含まれる。
【0078】
推定・制御則切換装置20Aは、ステアリング、各輪ブレーキ、サスペンション系、タイヤ等の飽和状態を推定/予測し、その状況に応じて使用する制御則を選択すると共に、切換トランジェントなく制御則の切換を実施する。
【0079】
推定・制御則切換装置20Aは、ステアリング系、ブレーキ系、サスペンション系、タイヤ等の状態の変化(故障/破損)、エンジンの故障等を示すシステム故障情報24に基づいて、複数の制御則11A〜13Aを切換える。
従来は、例えば、ステアリング系やブレーキ系やサスペンション系やタイヤ等に故障が発生したり、エンジンに故障が発生したときには、車体の特性が変わることによりそのままの制御則では十分に対応できなかった。これに対し、本実施形態では、そのような場合にはシステムの状況等に応じて、推定・制御則切換装置20Aが複数の制御則11A〜13Aを適宜選択的に切換えることにより、十分に対応することができる。
【0080】
推定・制御則切換装置20Aは、運転制御装置(制御則)に対する入力25aと、車体運動のセンサ情報25bと、外部情報25cとを含む入力データ25に基づいて、複数の制御則11A〜13Aを切換える。
車両がタイヤを使って運動するときに、例えば、タイヤの能力以上の舵角のコマンド26aが与えられると、車両の運動が不安定になる。タイヤが破損または故障してタイヤの能力が下がると、タイヤ能力の限界を超えて車両の運動が不安定になり易くなる。本実施形態では、タイヤの能力が低下しているときには、入力データ25に応じて、制御則11A〜13Aを切換えることにより、保守的な制御出力(例えば舵角コマンド26a)26しか出力されないような制御則に切換えて、タイヤ能力の限界からの逸脱を防ぐようにしている。
【0081】
例えば、複数の制御則11A〜13Aは、ドライバから入力された車両の姿勢コマンドが5°である場合に、その5°の車両姿勢になるまでの応答の速さ、過渡的な速さ、オーバーシュート量等がそれぞれ異なるものである。応答が速い制御則ほど、タイヤ能力が限界を超え易くなる。
【0082】
車両の運動制御システム10Aの動作については、図4を参照して前述した、飛行制御システム10の動作に準じるので、ここでの説明を省略する。
【0083】
次に、図1及び図4を参照して、第3実施形態に係る制御システムについて説明する。本実施形態は、制御対象を限定しない汎用的な適用例である。
【0084】
第3実施形態では、条件の変化、使用可能な制御デバイス能力の変化に対し、自律的に対応可能な制御システム10Bを構築する。制御システム10Bは、飛行機に適用した飛行制御システム10や、車両に適用された車両の運動制御システム10Aのように、適用対象を限定していない。第1及び第2実施形態の説明からも明らかなように、本発明は、飛行機や車両に限定されずに、他の対象にも容易に適用可能であることが分かる。
【0085】
ここで、「条件の変化、使用可能な制御デバイス能力の変化」には、図1に示すように、制御装置(制御則)に対する入力(有人機の場合には操作者による操作等の操縦コマンド入力、無人機の場合には誘導器からの操縦用誘導コマンド)の変化35aと、制御装置(制御則)による制御対象の速度、駆動源の状態等の制御対象のセンサ情報の変化35bと、外部情報の変化と、システムの故障情報(制御対象の状態の変化(故障/破損)、駆動源の故障等)34などが含まれる。
【0086】
制御システム10Bでは、構造/性能の異なる複数の制御則11B〜13Bを準備しておき、状況に応じてそれらを切換え、常に高い運動能力を達成する。制御則11B〜13Bの切換判断には、その時点での制御デバイス能力で達成可能な運動能力を予測する、ある種の推定器(推定・制御則切換装置20B)を準備し、その推定結果を参照して制御則11B〜13Bの選択を行う。
【0087】
制御システム10Bは、複数の制御則11B〜13Bと、それらの制御則11B〜13Bを切換える推定・制御則切換装置20Bとを有している。複数の制御則11B〜13Bは、符号11Bで示す第1の制御則C1(s)と、符号12Bで示す第2の制御則C2(s)と、符号13Bで示す第3の制御則C3(s)である。
【0088】
それぞれの制御則11B〜13Bは、制御装置(制御則)に対する入力35aと、制御対象のセンサ情報35bと、外部情報とを含む入力データ35を入力し、制御出力36を出力する。
【0089】
それぞれの制御則11B〜13Bは、高次ダイナミクスを有するコントローラである。なお、高次ダイナミクスを有するコントローラの一例は、前述の日本国特許第2948549号公報に開示した通りである。
【0090】
推定・制御則切換装置20Bは、入力データ35及びシステム故障情報34を入力し、その入力データ35及びシステム故障情報34に基づいて状況を判断し、その状況に応じて、複数の制御則11B〜13Bを切換える。
【0091】
推定・制御則切換装置20Bは、システム故障情報34に基づいて、複数の制御則11B〜13Bを切換える。
【0092】
推定・制御則切換装置20Bは、制御装置(制御則)に対する入力35aと、制御対象のセンサ情報35bと、外部情報とを含む入力データ35に基づいて、複数の制御則11B〜13Bを切換える。
【0093】
制御システム10Bの動作については、図4を参照して前述した、飛行制御システム10の動作に準じるので、ここでの説明を省略する。
【0094】
【発明の効果】
本発明の制御システムによれば、各種条件において、常に最大レベルの運動能力を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の制御システムの一の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の航空機・宇宙機の飛行制御システムの一の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図3】 本発明の車両の運動制御システムの一の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図4】 本発明の制御システムの一の実施の形態において、推定・制御則切換装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】 本発明の制御システムの一の実施の形態において、推定・制御則切換装置の動作の一部を説明するための模式図である。
【図6】 従来の航空機・宇宙機の飛行制御システムの制御則の構成を示すブロック図である。
【図7】 従来の自己修復制御則ないし再構成制御則の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 飛行制御システム
11 第1の制御則
12 第2の制御則
13 第3の制御則
14 システム故障情報
15 入力データ
15a 飛行制御装置に対する入力
15b 機体運動のセンサ情報
15c 大気情報
16 制御出力
16a 各舵面への舵角のコマンド
16b スラストの方向を示すコマンド
16c スラストの出力量を示すコマンド
18 切換スイッチ
19 切換スイッチ
20 推定・制御則切換装置
22 切換コマンド
23 切換コマンド
24 制御則切換アルゴリズム
25 システム制御状態の推定アルゴリズム
31 制御則
32 制御則からの出力
33 分配器
40 観測量
K パラメータ
δe エレベータ舵面の舵角
δa エルロン舵面の舵角
δr ラダー舵面の舵角

Claims (13)

  1. 制御対象を操作するための操縦コマンドを入力し、前記操縦コマンドに基づいて、前記制御対象の制御デバイスの状態を指示する制御出力を出力する第1の制御則と、
    前記第1の制御則に入力された前記操縦コマンドを入力したとき、前記第1の制御則と異なる前記制御出力を出力する第2の制御則と、
    前記制御デバイスの不具合を示す情報に基づいて、前記制御デバイスの能力の範囲内で速い応答が達成されるための前記制御出力が出力されるように、前記第1及び第2の制御則のいずれかに切換える制御則切換部と
    を備え、
    前記第1及び第2の制御則が同一の前記操縦コマンドを入力したとき、前記第1及び第2の制御則から出力される前記制御出力は、前記操縦コマンドに対する応答の速さにおいて異なる
    制御システム。
  2. 請求項1記載の制御システムにおいて、
    前記制御則切換部は、前記制御デバイスの能力をリアルタイムに推定し、前記推定された能力以上に前記制御出力が出力されないように、前記第1及び第2の制御則のいずれかに切換える
    制御システム。
  3. 請求項1または2に記載の制御システムにおいて、
    前記制御則切換部は、前記制御デバイスの不具合を示す情報と、前記制御対象の運動状態を示す情報と、前記第1及び第2の制御則のそれぞれの内部状態量を用いて、前記第1及び第2の制御則のそれぞれに対応する最大CPI集合(Constraint Positively Invariant Set)を求め、前記制御対象の運動状態を示す情報によって示された前記制御対象の運動状態を含む前記最大CPI集合に対応する前記第1及び第2の制御則のうち、応答速度がより速い前記第1及び第2の制御則のいずれかに切換える
    制御システム。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の制御システムにおいて、
    前記制御則切換部は、前記制御デバイスの不具合を示す情報及び前記操縦コマンドの少なくともいずれか一つに基づいて、前記第1及び第2の制御則のいずれかに切換える
    制御システム。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の制御システムにおいて、
    前記制御則切換部は、前記制御デバイスの不具合を示す情報、前記操縦コマンド及び前記制御対象の運動状態を示す情報の少なくともいずれか一つに基づいて、前記第1及び第2の制御則のいずれかに切換える
    制御システム。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載の制御システムにおいて、
    前記制御則切換部は、前記制御デバイスの不具合を示す情報、前記操縦コマンド前記制御対象の運動状態を示す情報及び前記制御対象の運動状態に影響を与える外部の情報の少なくともいずれか一つに基づいて、前記第1及び第2の制御則のいずれかに切換える
    制御システム。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の制御システムにおいて、
    前記第1及び第2の制御則のそれぞれは、更に、前記制御対象の運動状態を示す情報及び前記制御対象の運動状態に影響を与える外部の情報に基づいて、前記制御出力を出力する
    制御システム。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の制御システムにおいて、
    前記制御則切換部は、前記第1の制御則から前記第2の制御則に切換えるときに、トランジェント挙動が発生しないように切換える
    制御システム。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の制御システムにおいて、
    前記第1及び第2の制御則のそれぞれは、高次ダイナミクスを有するコントローラである
    制御システム。
  10. 航空機または宇宙機の機体を制御するための操縦コマンドを入力し、前記操縦コマンドに基づいて、前記機体の複数の制御デバイスのそれぞれの状態を指示する制御出力を出力する第1の制御則と、
    前記第1の制御則に入力された前記操縦コマンドを入力したとき、前記第1の制御則と異なる前記制御出力を出力する第2の制御則と、
    前記制御デバイスの不具合を示す情報に基づいて、前記第1及び第2の制御則のいずれかに切換える制御則切換部と
    を備え、
    前記機体の複数の制御デバイスには、前記航空機または宇宙機の舵面および推力器の少なくともいずれか一つが含まれ、
    前記制御出力には、前記舵面の舵角、並びに前記推力器による推力の量及び方向の少なくともいずれか一つを指示するコマンドが含まれている
    航空機・宇宙機の飛行制御システム。
  11. 請求項10記載の航空機・宇宙機の飛行制御システムにおいて、
    前記操縦コマンドは、前記航空機または宇宙機が有人機の場合には、パイロットにより入力されたパイロットコマンドであり、前記航空機または宇宙機が無人機の場合には、前記パイロットに代わる誘導器からの操縦用誘導コマンドである
    航空機・宇宙機の飛行制御システム。
  12. 車両を操縦するための操縦コマンドを入力し、前記操縦コマンドに基づいて、前記車両の複数の制御デバイスのそれぞれの状態を指示する制御出力を出力する第1の制御則と、
    前記第1の制御則に入力された前記操縦コマンドを入力したとき、前記第1の制御則と異なる前記制御出力を出力する第2の制御則と、
    前記制御デバイスの不具合を示す情報に基づいて、前記第1及び第2の制御則のいずれかに切換える制御則切換部と
    を備え、
    前記機体の複数の制御デバイスには、前記車両のステアリング系、ブレーキ系、サスペンション系、タイヤ、エンジンの少なくともいずれか一つが含まれ、
    前記制御出力には、前記ステアリングの舵角及びブレーキの動作の少なくともいずれか一つを指示するコマンドが含まれている
    車両の運動制御システム。
  13. 請求項12記載の車両の運動制御システムにおいて、
    前記操縦コマンドは、前記車両が有人車両の場合には、ドライバにより入力されたドライバコマンドであり、前記車両が無人車両の場合には、前記ドライバに代わる誘導器からの操縦用誘導コマンドである
    車両の運動制御システム。
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