JP3635676B2 - アドバンスト加圧流動床発電装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、アドバンスト加圧流動床発電装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、通常の発電設備に比べて設備効率の高いアドバンスト加圧流動床発電装置の開発が進められている。
【０００３】
上記アドバンスト加圧流動床発電装置は、図２に示すような構成を備えている。
【０００４】
即ち、後述するコンプレッサ１からの高温高圧の空気２を利用して石炭３を可燃ガス４とチャー５（炭素分）に分解する石炭部分ガス化炉６を設ける。
【０００５】
又、前記コンプレッサ１からの高温高圧の空気２を利用して石炭部分ガス化炉６で発生されたチャー５を酸化させて高温燃焼ガス７を発生させる加圧流動床式チャー燃焼炉８を設ける。
【０００６】
更に、空気２を圧縮してその一部を前記石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８へ送る前記コンプレッサ１、及び、石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８で発生された可燃ガス４や高温燃焼ガス７にコンプレッサ１で圧縮された空気２を加えて一緒に燃焼させるトッピング燃焼器９、及び、トッピング燃焼器９で発生された燃焼ガス１０によってコンプレッサ１や発電機１１を駆動するタービン１２から成るガスタービン１３を設ける。
【０００７】
更に又、タービンを出た排ガス１４の熱を利用して蒸気１５を発生させる排熱回収ボイラ１６を設ける。
【０００８】
尚、図中、１７は可燃ガス４や高温燃焼ガス７から灰分及びチャーを除去するセラミックフィルタ、１８は石炭部分ガス化炉６で発生された可燃ガス４を燃焼させるフレアスタック、１９は加圧流動床式チャー燃焼炉８で発生された高温燃焼ガス７を排出させるベントスタック、２０〜２３はトッピング燃焼器９とベントスタック１８やフレアスタック１９とを切換える開閉式ダンパ、２４はトッピング燃焼器９へ供給される起動用燃料、２５は排熱回収ボイラ１６で発生された蒸気１５によって発電機２６を駆動する蒸気タービン、２７は蒸気タービン２５を出た蒸気１５を水に戻す復水器である。
【０００９】
そして、アドバンスト加圧流動床発電装置では、起動時に、図示しない電動機などを用いてガスタービン１３を駆動すると共に、トッピング燃焼器９に起動用燃料２４を供給して起動用燃料２４を燃焼させ、燃焼により発生した燃焼ガス１０によりタービン１２に駆動力を発生させ、コンプレッサ１を回転させて空気２の圧縮を行わせる。
【００１０】
すると、コンプレッサ１で圧縮された高温高圧の空気２は、一部が石炭部分ガス化炉６へ送られて、石炭部分ガス化炉６で石炭３の分解に利用され、石炭部分ガス化炉６からは可燃ガス４とチャー５が発生される。
【００１１】
こうして発生された可燃ガス４は、セラミックフィルタ１７で灰分及びチャーを除去された後、石炭部分ガス化炉６が安定するまでの間はフレアスタック１８へ導かれて、フレアスタック１８で燃焼され、大気へ放出される。
【００１２】
又、石炭部分ガス化炉６で発生されたチャー５は、加圧流動床式チャー燃焼炉８へ送られ、加圧流動床式チャー燃焼炉８でコンプレッサ１からの高温高圧の空気２により酸化されて高温燃焼ガス７が発生される。
【００１３】
こうして発生された高温燃焼ガス７は、セラミックフィルタ１７で灰分及びチャーを除去され、加圧流動床式チャー燃焼炉８が安定するまでの間はベントスタック１９へ導かれて、ベントスタック１９から大気へ放出される。
【００１４】
一方、タービン１２を駆動した後の排ガス１４は、排熱回収ボイラ１６へ導かれて、排熱回収ボイラ１６で蒸気１５を発生させるのに利用される。
【００１５】
発生された蒸気１５は、蒸気タービン２５を駆動して発電機２６による発電に利用され、復水器２７で熱放出し、復水になる。
【００１６】
起動から一定時間が経過して、石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８が安定したら、起動用燃料２４の供給を停止し、可燃ガス４及び高温燃焼ガス７をトッピング燃焼器９側へ供給して運転を継続する。
【００１７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のアドバンスト加圧流動床発電装置には、以下のような問題があった。
【００１８】
即ち、起動時は、石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８が安定しないため、発生された可燃ガス４及び高温燃焼ガス７をトッピング燃焼器９へ供給すると、ガスタービン１３に外乱を生じ、石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８の安定が遅れることとなるので、可燃ガス４をフレアスタック１８で単に燃やしたり高温燃焼ガス７をベントスタック１９から放出したりすることが考えられているが、アドバンスト加圧流動床発電装置は起動時間が数１０時間と長く掛かるので、多量の可燃ガス４が無駄に燃焼され、且つ、多量の高温燃焼ガス７が無駄に放出されてしまうことになる。
【００１９】
本発明は、上述の実情に鑑み、起動時に石炭部分ガス化炉や加圧流動床式チャー燃焼炉で発生する可燃ガス及び高温燃焼ガスを有効利用し得るようにしたアドバンスト加圧流動床発電装置を提供することを目的とするものである。
【００２０】
【課題を解決するための手段】
本発明は、石炭を可燃ガスとチャーに分解する石炭部分ガス化炉と、石炭部分ガス化炉で発生されたチャーから高温燃焼ガスを発生させる加圧流動床式チャー燃焼炉と、石炭部分ガス化炉で発生された可燃ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生された高温燃焼ガスを一緒に燃焼させてコンプレッサや発電機を駆動するガスタービンと、ガスタービンを出た排ガスにより蒸気を発生させる排熱回収ボイラとを備え、更に、起動時に石炭部分ガス化炉で発生された可燃ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生された高温燃焼ガスを一緒に燃焼させて発生した燃焼ガスを排熱回収ボイラへ送る起動用燃焼器を備えたことを特徴とするアドバンスト加圧流動床発電装置にかかるものである。
【００２１】
【作用】
本発明の作用は以下の通りである。
【００２２】
石炭部分ガス化炉は、石炭を分解して可燃ガスとチャーを発生させる。
【００２３】
加圧流動床式チャー燃焼炉は、石炭部分ガス化炉で発生されたチャーから高温燃焼ガスを発生させる。
【００２４】
ガスタービンは、石炭部分ガス化炉で発生された可燃ガス及び加圧流動床式チャー燃焼炉で発生した高温燃焼ガスを一緒に燃焼させてコンプレッサや発電機を駆動し、石炭部分ガス化炉や加圧流動床式チャー燃焼炉に必要な空気を供給すると共に、電気を発生させる。
【００２５】
排熱回収ボイラは、ガスタービンを出た排ガスを利用して蒸気を発生させる。
【００２６】
そして、起動時には、石炭部分ガス化炉で発生された可燃ガス及び加圧流動床式チャー燃焼炉で発生した高温燃焼ガスを一緒にガスタービンで燃焼させると、ガスタービンに外乱が生じて石炭部分ガス化炉や加圧流動床式チャー燃焼炉が安定しなくなるので、石炭部分ガス化炉で発生した可燃性ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生された高温燃焼ガスを一緒に起動用燃焼器へ送り、起動用燃焼器で燃焼させて、発生した燃焼ガスを排熱回収ボイラへ送って蒸気の発生に利用させるようにする。
【００２７】
これにより、起動時に石炭部分ガス化炉で発生された可燃性ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生された高温燃焼ガスの有効利用を図ることが可能となる。
【００２８】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【００２９】
図１は、本発明の一実施例である。
【００３０】
後述するコンプレッサ１からの高温高圧の空気２を利用して石炭３を可燃ガス４とチャー５（炭素分）に分解する石炭部分ガス化炉６を設ける。
【００３１】
又、前記コンプレッサ１からの高温高圧の空気２を利用して石炭部分ガス化炉６で発生されたチャー５を酸化させて高温燃焼ガス７を発生させる加圧流動床式チャー燃焼炉８を設ける。
【００３２】
更に、空気２を圧縮してその一部を前記石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８へ送る前記コンプレッサ１、及び、石炭部分ガス化炉６で発生された可燃ガス４や加圧流動床式チャー燃焼炉８で発生された高温燃焼ガス７にコンプレッサ１で圧縮された空気２を加えて燃焼させるトッピング燃焼器９、及び、トッピング燃焼器９で発生された燃焼ガス１０によってコンプレッサ１や発電機１１を駆動するタービン１２から成るガスタービン１３を設ける。
【００３３】
更に又、タービンを出た排ガス１４の熱を利用して蒸気１５を発生させる排熱回収ボイラ１６を設ける。
【００３４】
尚、図中、１７は可燃ガス４や高温燃焼ガス７から灰分及びチャーを除去するセラミックフィルタ、２０〜２３は開閉式ダンパ、２４はトッピング燃焼器９へ供給される起動用燃料、２５は排熱回収ボイラ１６で発生された蒸気１５によって発電機２６を駆動する蒸気タービン、２７は蒸気タービン２５を出た蒸気１５の熱を放出し、水に戻す復水器である。
【００３５】
そして、本発明では、更に、可燃ガス４を高温燃焼ガス７と一緒に燃焼すると共に、燃焼により発生した燃焼ガス２８を排熱回収ボイラ１６へ送る起動用燃焼器２９を設ける。
【００３６】
次に、作動について説明する。
【００３７】
アドバンスト加圧流動床発電装置の起動時には、先ず、図示しない電動機などを用いてガスタービン１３を駆動すると共に、トッピング燃焼器９に起動用燃料２４を供給して起動用燃料２４を燃焼させ、燃焼により発生した燃焼ガス１０によりタービン１２に駆動力を発生させ、コンプレッサ１を回転させて空気２の圧縮を行わせる。
【００３８】
すると、コンプレッサ１で圧縮された高温高圧の空気２は、一部が石炭部分ガス化炉６へ送られて、石炭部分ガス化炉６で石炭３の分解に利用され、石炭部分ガス化炉６からは可燃ガス４とチャー５が発生される。
【００３９】
こうして発生された可燃ガス４は、セラミックフィルタ１７で灰分及びチャーを除去された後、石炭部分ガス化炉６が安定するまでの間、起動用燃焼器２９へ導かれて、起動用燃焼器２９で燃焼される。
【００４０】
又、石炭部分ガス化炉６で発生されたチャー５は、加圧流動床式チャー燃焼炉８へ送られ、加圧流動床式チャー燃焼炉８でコンプレッサ１からの高温高圧の空気２により酸化されて高温燃焼ガス７が発生される。
【００４１】
こうして発生された高温燃焼ガス７は、セラミックフィルタ１７で灰分及びチャーを除去され、加圧流動床式チャー燃焼炉８が安定するまでの間は起動用燃焼器２９へ導かれて、起動用燃焼器２９で可燃ガス４と一緒に燃焼される。
【００４２】
起動用燃焼器２９で可燃ガス４と高温燃焼ガス７の燃焼により発生した燃焼ガス２８は、タービン１２を駆動した後の排ガス１４と共に、排熱回収ボイラ１６へ導かれて、排熱回収ボイラ１６で蒸気１５を発生させるのに利用される。
【００４３】
発生された蒸気１５は、蒸気タービン２５を駆動して発電機２６による発電に利用された後、復水器２７で再び復水に戻される。
【００４４】
起動から一定時間が経過して、石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８が安定したら、起動用燃料２４の供給を停止し、可燃ガス４及び高温燃焼ガス７をトッピング燃焼器９側へ供給して運転を継続する。
【００４５】
このように、本発明では、起動時に発生する可燃ガス４及び高温燃焼ガス７を起動用燃焼器２９へ導いて燃焼させ、発生した燃焼ガス２８を利用して排熱回収ボイラ１６で蒸気１５を発生させるようにしているので、可燃ガス４及び高温燃焼ガス７を有効利用することが可能となる。
【００４６】
尚、本発明は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、起動用燃焼器２９で発生された燃焼ガス２８は排熱回収ボイラ１６とは別に設けられた補助排熱回収ボイラ３０などへ導くようにしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【００４７】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のアドバンスト加圧流動床発電装置によれば、起動時に石炭部分ガス化炉で発生する可燃ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生する高温燃焼ガスを有効利用することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例の概略系統図である。
【図２】現在開発中のアドバンスト加圧流動床発電装置の概略系統図である。
【符号の説明】
１ コンプレッサ
３ 石炭
７ 高温燃焼ガス
５ チャー
６ 石炭部分ガス化炉
８ 加圧流動床式チャー燃焼炉
１１ 発電機
１３ ガスタービン
１４ 排ガス
１５ 蒸気
１６ 排熱回収ボイラ
２８ 燃焼ガス
２９ 起動用燃焼器
３０ 補助排熱回収ボイラ
【産業上の利用分野】
本発明は、アドバンスト加圧流動床発電装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、通常の発電設備に比べて設備効率の高いアドバンスト加圧流動床発電装置の開発が進められている。
【０００３】
上記アドバンスト加圧流動床発電装置は、図２に示すような構成を備えている。
【０００４】
即ち、後述するコンプレッサ１からの高温高圧の空気２を利用して石炭３を可燃ガス４とチャー５（炭素分）に分解する石炭部分ガス化炉６を設ける。
【０００５】
又、前記コンプレッサ１からの高温高圧の空気２を利用して石炭部分ガス化炉６で発生されたチャー５を酸化させて高温燃焼ガス７を発生させる加圧流動床式チャー燃焼炉８を設ける。
【０００６】
更に、空気２を圧縮してその一部を前記石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８へ送る前記コンプレッサ１、及び、石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８で発生された可燃ガス４や高温燃焼ガス７にコンプレッサ１で圧縮された空気２を加えて一緒に燃焼させるトッピング燃焼器９、及び、トッピング燃焼器９で発生された燃焼ガス１０によってコンプレッサ１や発電機１１を駆動するタービン１２から成るガスタービン１３を設ける。
【０００７】
更に又、タービンを出た排ガス１４の熱を利用して蒸気１５を発生させる排熱回収ボイラ１６を設ける。
【０００８】
尚、図中、１７は可燃ガス４や高温燃焼ガス７から灰分及びチャーを除去するセラミックフィルタ、１８は石炭部分ガス化炉６で発生された可燃ガス４を燃焼させるフレアスタック、１９は加圧流動床式チャー燃焼炉８で発生された高温燃焼ガス７を排出させるベントスタック、２０〜２３はトッピング燃焼器９とベントスタック１８やフレアスタック１９とを切換える開閉式ダンパ、２４はトッピング燃焼器９へ供給される起動用燃料、２５は排熱回収ボイラ１６で発生された蒸気１５によって発電機２６を駆動する蒸気タービン、２７は蒸気タービン２５を出た蒸気１５を水に戻す復水器である。
【０００９】
そして、アドバンスト加圧流動床発電装置では、起動時に、図示しない電動機などを用いてガスタービン１３を駆動すると共に、トッピング燃焼器９に起動用燃料２４を供給して起動用燃料２４を燃焼させ、燃焼により発生した燃焼ガス１０によりタービン１２に駆動力を発生させ、コンプレッサ１を回転させて空気２の圧縮を行わせる。
【００１０】
すると、コンプレッサ１で圧縮された高温高圧の空気２は、一部が石炭部分ガス化炉６へ送られて、石炭部分ガス化炉６で石炭３の分解に利用され、石炭部分ガス化炉６からは可燃ガス４とチャー５が発生される。
【００１１】
こうして発生された可燃ガス４は、セラミックフィルタ１７で灰分及びチャーを除去された後、石炭部分ガス化炉６が安定するまでの間はフレアスタック１８へ導かれて、フレアスタック１８で燃焼され、大気へ放出される。
【００１２】
又、石炭部分ガス化炉６で発生されたチャー５は、加圧流動床式チャー燃焼炉８へ送られ、加圧流動床式チャー燃焼炉８でコンプレッサ１からの高温高圧の空気２により酸化されて高温燃焼ガス７が発生される。
【００１３】
こうして発生された高温燃焼ガス７は、セラミックフィルタ１７で灰分及びチャーを除去され、加圧流動床式チャー燃焼炉８が安定するまでの間はベントスタック１９へ導かれて、ベントスタック１９から大気へ放出される。
【００１４】
一方、タービン１２を駆動した後の排ガス１４は、排熱回収ボイラ１６へ導かれて、排熱回収ボイラ１６で蒸気１５を発生させるのに利用される。
【００１５】
発生された蒸気１５は、蒸気タービン２５を駆動して発電機２６による発電に利用され、復水器２７で熱放出し、復水になる。
【００１６】
起動から一定時間が経過して、石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８が安定したら、起動用燃料２４の供給を停止し、可燃ガス４及び高温燃焼ガス７をトッピング燃焼器９側へ供給して運転を継続する。
【００１７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のアドバンスト加圧流動床発電装置には、以下のような問題があった。
【００１８】
即ち、起動時は、石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８が安定しないため、発生された可燃ガス４及び高温燃焼ガス７をトッピング燃焼器９へ供給すると、ガスタービン１３に外乱を生じ、石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８の安定が遅れることとなるので、可燃ガス４をフレアスタック１８で単に燃やしたり高温燃焼ガス７をベントスタック１９から放出したりすることが考えられているが、アドバンスト加圧流動床発電装置は起動時間が数１０時間と長く掛かるので、多量の可燃ガス４が無駄に燃焼され、且つ、多量の高温燃焼ガス７が無駄に放出されてしまうことになる。
【００１９】
本発明は、上述の実情に鑑み、起動時に石炭部分ガス化炉や加圧流動床式チャー燃焼炉で発生する可燃ガス及び高温燃焼ガスを有効利用し得るようにしたアドバンスト加圧流動床発電装置を提供することを目的とするものである。
【００２０】
【課題を解決するための手段】
本発明は、石炭を可燃ガスとチャーに分解する石炭部分ガス化炉と、石炭部分ガス化炉で発生されたチャーから高温燃焼ガスを発生させる加圧流動床式チャー燃焼炉と、石炭部分ガス化炉で発生された可燃ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生された高温燃焼ガスを一緒に燃焼させてコンプレッサや発電機を駆動するガスタービンと、ガスタービンを出た排ガスにより蒸気を発生させる排熱回収ボイラとを備え、更に、起動時に石炭部分ガス化炉で発生された可燃ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生された高温燃焼ガスを一緒に燃焼させて発生した燃焼ガスを排熱回収ボイラへ送る起動用燃焼器を備えたことを特徴とするアドバンスト加圧流動床発電装置にかかるものである。
【００２１】
【作用】
本発明の作用は以下の通りである。
【００２２】
石炭部分ガス化炉は、石炭を分解して可燃ガスとチャーを発生させる。
【００２３】
加圧流動床式チャー燃焼炉は、石炭部分ガス化炉で発生されたチャーから高温燃焼ガスを発生させる。
【００２４】
ガスタービンは、石炭部分ガス化炉で発生された可燃ガス及び加圧流動床式チャー燃焼炉で発生した高温燃焼ガスを一緒に燃焼させてコンプレッサや発電機を駆動し、石炭部分ガス化炉や加圧流動床式チャー燃焼炉に必要な空気を供給すると共に、電気を発生させる。
【００２５】
排熱回収ボイラは、ガスタービンを出た排ガスを利用して蒸気を発生させる。
【００２６】
そして、起動時には、石炭部分ガス化炉で発生された可燃ガス及び加圧流動床式チャー燃焼炉で発生した高温燃焼ガスを一緒にガスタービンで燃焼させると、ガスタービンに外乱が生じて石炭部分ガス化炉や加圧流動床式チャー燃焼炉が安定しなくなるので、石炭部分ガス化炉で発生した可燃性ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生された高温燃焼ガスを一緒に起動用燃焼器へ送り、起動用燃焼器で燃焼させて、発生した燃焼ガスを排熱回収ボイラへ送って蒸気の発生に利用させるようにする。
【００２７】
これにより、起動時に石炭部分ガス化炉で発生された可燃性ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生された高温燃焼ガスの有効利用を図ることが可能となる。
【００２８】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【００２９】
図１は、本発明の一実施例である。
【００３０】
後述するコンプレッサ１からの高温高圧の空気２を利用して石炭３を可燃ガス４とチャー５（炭素分）に分解する石炭部分ガス化炉６を設ける。
【００３１】
又、前記コンプレッサ１からの高温高圧の空気２を利用して石炭部分ガス化炉６で発生されたチャー５を酸化させて高温燃焼ガス７を発生させる加圧流動床式チャー燃焼炉８を設ける。
【００３２】
更に、空気２を圧縮してその一部を前記石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８へ送る前記コンプレッサ１、及び、石炭部分ガス化炉６で発生された可燃ガス４や加圧流動床式チャー燃焼炉８で発生された高温燃焼ガス７にコンプレッサ１で圧縮された空気２を加えて燃焼させるトッピング燃焼器９、及び、トッピング燃焼器９で発生された燃焼ガス１０によってコンプレッサ１や発電機１１を駆動するタービン１２から成るガスタービン１３を設ける。
【００３３】
更に又、タービンを出た排ガス１４の熱を利用して蒸気１５を発生させる排熱回収ボイラ１６を設ける。
【００３４】
尚、図中、１７は可燃ガス４や高温燃焼ガス７から灰分及びチャーを除去するセラミックフィルタ、２０〜２３は開閉式ダンパ、２４はトッピング燃焼器９へ供給される起動用燃料、２５は排熱回収ボイラ１６で発生された蒸気１５によって発電機２６を駆動する蒸気タービン、２７は蒸気タービン２５を出た蒸気１５の熱を放出し、水に戻す復水器である。
【００３５】
そして、本発明では、更に、可燃ガス４を高温燃焼ガス７と一緒に燃焼すると共に、燃焼により発生した燃焼ガス２８を排熱回収ボイラ１６へ送る起動用燃焼器２９を設ける。
【００３６】
次に、作動について説明する。
【００３７】
アドバンスト加圧流動床発電装置の起動時には、先ず、図示しない電動機などを用いてガスタービン１３を駆動すると共に、トッピング燃焼器９に起動用燃料２４を供給して起動用燃料２４を燃焼させ、燃焼により発生した燃焼ガス１０によりタービン１２に駆動力を発生させ、コンプレッサ１を回転させて空気２の圧縮を行わせる。
【００３８】
すると、コンプレッサ１で圧縮された高温高圧の空気２は、一部が石炭部分ガス化炉６へ送られて、石炭部分ガス化炉６で石炭３の分解に利用され、石炭部分ガス化炉６からは可燃ガス４とチャー５が発生される。
【００３９】
こうして発生された可燃ガス４は、セラミックフィルタ１７で灰分及びチャーを除去された後、石炭部分ガス化炉６が安定するまでの間、起動用燃焼器２９へ導かれて、起動用燃焼器２９で燃焼される。
【００４０】
又、石炭部分ガス化炉６で発生されたチャー５は、加圧流動床式チャー燃焼炉８へ送られ、加圧流動床式チャー燃焼炉８でコンプレッサ１からの高温高圧の空気２により酸化されて高温燃焼ガス７が発生される。
【００４１】
こうして発生された高温燃焼ガス７は、セラミックフィルタ１７で灰分及びチャーを除去され、加圧流動床式チャー燃焼炉８が安定するまでの間は起動用燃焼器２９へ導かれて、起動用燃焼器２９で可燃ガス４と一緒に燃焼される。
【００４２】
起動用燃焼器２９で可燃ガス４と高温燃焼ガス７の燃焼により発生した燃焼ガス２８は、タービン１２を駆動した後の排ガス１４と共に、排熱回収ボイラ１６へ導かれて、排熱回収ボイラ１６で蒸気１５を発生させるのに利用される。
【００４３】
発生された蒸気１５は、蒸気タービン２５を駆動して発電機２６による発電に利用された後、復水器２７で再び復水に戻される。
【００４４】
起動から一定時間が経過して、石炭部分ガス化炉６や加圧流動床式チャー燃焼炉８が安定したら、起動用燃料２４の供給を停止し、可燃ガス４及び高温燃焼ガス７をトッピング燃焼器９側へ供給して運転を継続する。
【００４５】
このように、本発明では、起動時に発生する可燃ガス４及び高温燃焼ガス７を起動用燃焼器２９へ導いて燃焼させ、発生した燃焼ガス２８を利用して排熱回収ボイラ１６で蒸気１５を発生させるようにしているので、可燃ガス４及び高温燃焼ガス７を有効利用することが可能となる。
【００４６】
尚、本発明は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、起動用燃焼器２９で発生された燃焼ガス２８は排熱回収ボイラ１６とは別に設けられた補助排熱回収ボイラ３０などへ導くようにしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【００４７】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のアドバンスト加圧流動床発電装置によれば、起動時に石炭部分ガス化炉で発生する可燃ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生する高温燃焼ガスを有効利用することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例の概略系統図である。
【図２】現在開発中のアドバンスト加圧流動床発電装置の概略系統図である。
【符号の説明】
１ コンプレッサ
３ 石炭
７ 高温燃焼ガス
５ チャー
６ 石炭部分ガス化炉
８ 加圧流動床式チャー燃焼炉
１１ 発電機
１３ ガスタービン
１４ 排ガス
１５ 蒸気
１６ 排熱回収ボイラ
２８ 燃焼ガス
２９ 起動用燃焼器
３０ 補助排熱回収ボイラ
Claims (1)
- 石炭を可燃ガスとチャーに分解する石炭部分ガス化炉と、石炭部分ガス化炉で発生されたチャーから高温燃焼ガスを発生させる加圧流動床式チャー燃焼炉と、石炭部分ガス化炉で発生された可燃ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生された高温燃焼ガスを一緒に燃焼させてコンプレッサや発電機を駆動するガスタービンと、ガスタービンを出た排ガスにより蒸気を発生させる排熱回収ボイラとを備え、更に、起動時に石炭部分ガス化炉で発生された可燃ガスや加圧流動床式チャー燃焼炉で発生された高温燃焼ガスを一緒に燃焼させて発生した燃焼ガスを排熱回収ボイラへ送る起動用燃焼器を備えたことを特徴とするアドバンスト加圧流動床発電装置。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP10102294A JP3635676B2 (ja) | 1994-05-16 | 1994-05-16 | アドバンスト加圧流動床発電装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP10102294A JP3635676B2 (ja) | 1994-05-16 | 1994-05-16 | アドバンスト加圧流動床発電装置 |
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| Publication Number | Publication Date |
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| JPH07310506A JPH07310506A (ja) | 1995-11-28 |
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
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-
1994
- 1994-05-16 JP JP10102294A patent/JP3635676B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|
| JPH07310506A (ja) | 1995-11-28 |
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