JP3634478B2 - 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法および成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、その製造方法および成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、艶消し性に優れ、艶ムラがなく、良好な耐衝撃性を有し、かつ成形条件の影響を受けにくい熱可塑性樹脂組成物、その製造方法およびそれからの成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性樹脂の艶消し方法としては各種の方法が知られている。例えば、無機充填剤の添加、ゴム質重合体の添加、エチレン系不飽和カルボン酸共重合体の添加、エポキシ基含有オレフィン共重合体の添加等である。しかしながら、無機充填剤の添加は十分な艶消し外観にするためには多量に添加する必要があり、その為耐衝撃性が著しく低下し、また、ゴム質重合体の添加やエチレン系不飽和カルボン酸共重合体の添加は艶ムラが大きいという欠点を有している。また、エポキシ基含有オレフィン共重合体の添加は前述の艶消し方法に比べ、艶消し性に優れ、また均一な艶消し表面が得られるものの、熱安定性に劣るためにその艶消し度が成形条件の影響を受けやすいという欠点を有している。
また、特開平6−306272号公報には、熱可塑性樹脂に熱硬化性樹脂を配合分散した石目調外観を有する樹脂組成物が記載されている。しかしながら、これは配合分散する熱硬化性樹脂の粒子径が0.01〜10mm程度の大きな粒子を好ましく用いることにより石目調外観を呈するものであり、本発明でいう艶消しとは区別されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、艶消し性に優れ、均一な艶消し外観であり、良好な耐衝撃性を有し、さらには成形条件の影響を受けにくい熱可塑性樹脂組成物、その製造方法およびそれからの成形品を提供することにある。
【0004】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の熱可塑性樹脂成分に特定粒子径の硬化エポキシ樹脂粒子を配合することにより、目的とする艶消し性に優れ、均一な艶消し外観であり、良好な耐衝撃性を有し、かつ成形時の金型温度の影響を受けにくい熱可塑性樹脂組成物およびそれからの成形品が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば(A)芳香族ポリカーボネート樹脂10〜100重量%および(B)(B−1)熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂および(B−2)ジエンゴム成分に芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性ポリマー90〜0重量%からなる熱可塑性樹脂成分およびその樹脂成分100重量部に対して、(C)平均粒子径が0.01〜9μmの硬化エポキシ樹脂粒子0.1〜60重量部、並びに該熱可塑性樹脂成分100重量部に対して、15重量部以下の(D)弾性重合体、10重量部以下の(E)充填剤またはこれらの双方を含有してなる熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0006】
本発明において(A)成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は通常エンジニアリング樹脂として使用される樹脂であり、二価フェノールとカーボネート前駆体を反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂である。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称 ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドおよびビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等があげられる。好ましい二価フェノールはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
【0007】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等があげられる。
【0008】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当たり、二価フェノールは単独または2種以上を使用することができ、また芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。また、必要に応じて触媒、分子量調節剤、酸化防止剤を使用してもよい。
【0009】
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量については任意のものを用いることができ、例えば二価フェノールとしてビスフェノールA、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いて芳香族ポリカーボネート樹脂を得た場合、濃度0.7g/dl塩化メチレン溶液により温度20℃で測定した比粘度(ηSP)が0.15〜1.5のものが好ましい。
【0010】
本発明において所望により使用される(B)成分の1種である(B−1)熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分と、グリコール成分との重縮合反応により得られる樹脂で、ジカルボン酸成分またはグリコール成分のいずれかが芳香族基を有するものである。ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、これらを単独、あるいは2種以上混合して用いることができる。これらのジカルボン酸成分の中では、テレフタル酸、イソフタル酸の単独あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0011】
グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−またはシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなどが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上混合して用いることができる。これらのグリコール成分の中でエチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましく用いられる。
【0012】
本発明において使用される熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂の具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリ(エチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(ブチレンテレフタレート/ブチレンドデカジオエート)ポリエステルエーテル共重合体およびポリアリレートなどが挙げられ、これらの熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂を単独あるいは2種以上混合して使用してもよい。これらの熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂の中で、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましく用いられる。
【0013】
本発明において所望により使用される(B)成分の1種である(B−2)熱可塑性グラフト共重合体は、ジエンゴム成分を幹とし、それにグラフト共重合可能な芳香族ビニル化合物成分およびシアン化ビニル化合物成分をグラフト重合させた共重合体である。ジエンゴム成分としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびスチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられ、なかでもポリブタジエンが好ましく使用される。これらのジエンゴム成分にグラフトされる芳香族ビニル化合物成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレンおよびハロゲン化スチレンなどが挙げられ、なかでもスチレンが好ましく用いられる。また、シアン化ビニル化合物成分としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびクロロアクリロニトリルなどが挙げられ、なかでもアクリロニトリルが好ましく用いられる。さらに、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸オクチルなどを使用することができる。これらの熱可塑性グラフト共重合体の中で、ABS樹脂が好ましく用いられる。
これらの熱可塑性グラフト共重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれかの重合法で製造してもよく、また、グラフトの方式としては一段グラフトでも多段グラフトでもよい。さらに熱可塑性グラフト共重合体は1種のみならず2種以上を混合して使用することができる。
【0014】
本発明の熱可塑性樹脂成分の好ましい態様の1つは(B)成分を含まない実質的に芳香族ポリカーボネート樹脂単独のものである。また、他の好ましい態様は、(A)成分と(B)成分とのポリマーアロイであり、その配合割合は(A)成分20〜80重量%に対して(B)成分80〜20重量%が好ましい。
【0015】
本発明において使用される(C)成分は平均粒子径が0.01〜9μmの硬化エポキシ樹脂粒子であり、好ましくは平均粒子径が0.1〜5μmの硬化エポキシ樹脂粒子である。ここでいう平均粒子径は、電子顕微鏡により該硬化エポキシ樹脂粒子のFeret径を測定し、その平均値で表される。平均粒子径が上述の範囲を外れると良好な艶消し外観が得られなくなり好ましくない。また該硬化エポキシ樹脂は熱安定性に優れ、該熱可塑性樹脂組成物は金型温度の影響を受けにくい利点を有する。
この硬化エポキシ樹脂粒子の配合量は、該熱可塑性樹脂成分100重量部に対して0.1〜60重量部であり、1〜30重量部の範囲が好ましい。0.1重量部未満では充分な艶消し性が得られず、60重量部を越えると衝撃強度が低下するため好ましくない。
【0016】
また、本発明によれば、該熱可塑性樹脂成分100重量部に対して、(C−1)エポキシ当量が900〜6000g/eqの未硬化のエポキシ樹脂0.1〜50重量部および(C−2)エポキシ樹脂硬化剤0.01〜10重量部を配合し、これを溶融混練することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0017】
本発明において使用される(C−1)成分はエポキシ当量が900〜6000g/eqの未硬化のエポキシ樹脂であり、好ましくはエポキシ当量が3000〜5000g/eqの未硬化のエポキシ樹脂である。この未硬化のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、なかでもビスフェノール型、ノボラック型等のフェノール系のグリシジルエーテルが好ましく、特にビスフェノール型のものが好ましい。この未硬化のビスフェノール型エポキシ樹脂は、通常二価フェノールとエピクロルヒドリンをアルカリの存在下で反応させて製造される。ここで使用される二価フェノールとしては、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンおよびビス(4−ビトロキシフェニル)スルホンなどが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上混合して用いることができる。これらの二価フェノールの中で、ビスフェノールAが特に好ましく用いられる。またエポキシ当量が900g/eqより小さくなると得られる成形品の艶消し性が充分でなく、6000g/eqより大きくなると、外観が著しく損なわれるため好ましくない。
この未硬化のエポキシ樹脂の配合量は、該熱可塑性樹脂成分100重量部に対して0.1〜50重量部であり、1〜20重量部の範囲が好ましい。0.1重量部未満では得られる成形品の艶消し性が充分でなく、50重量部を越えると衝撃強度が低下するため好ましくない。
【0018】
本発明において(C−2)成分として使用されるエポキシ樹脂硬化剤は、通常使用されているエポキシ樹脂を硬化させる化合物であれば限定されるものではない。エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、アミングリシジルエーテル付加物、アミンエチレンオキシド付加物、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、トリメチルアミノメチルフェノール、ピペリジン、ピリジン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、三フッ化ホウ素エタノールアミン、ビスシアノエチルアミン、ダイマー酸ポリアミドおよびアジピン酸ジヒドラジドなどのアミン類、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ポリアジピン酸無水物およびポリセバシン酸無水物などの酸無水物、またそれらを置換基として有する単量体や重合体等が挙げられる。さらには、メラミン、アミノシラン化合物、ポリアミド、ポリサルファイド、フェノール樹脂、あるいはそれらの誘導体等を用いることも可能である。これらの硬化剤の中で、酸無水物は、硬化剤としての作用の他に、前述した本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、特に好ましく使用されるビスフェノール型エポキシ樹脂の水酸基と反応し、芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量低下を防ぐため好ましく使用され、また、アミノシラン化合物は、硬化剤としての作用の他に、本発明の熱可塑性樹脂組成物に、後述する無機充填剤特にタルクまたはマイカを添加した場合において、カップリング剤として作用し、芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量低下を防ぐため好ましく使用される。特に、酸無水物が好ましく、中でも無水コハク酸が好ましく使用される。
このエポキシ樹脂硬化剤の配合量は、該熱可塑性樹脂成分100重量部に対して0.01〜10重量部であり、0.05〜5重量部の範囲が好ましい。0.01重量部未満では得られる成形品の艶消し性が充分でなく、10重量部を越えると衝撃強度が低下するため好ましくない。
【0019】
本発明において、該熱可塑性樹脂組成物の製造方法として、上述の熱可塑性樹脂成分に(C−1)未硬化のエポキシ樹脂および(C−2)エポキシ樹脂硬化剤を配合し、これを溶融混練することが好ましく採用される。
【0020】
この溶融混練により、未硬化のエポキシ樹脂が粉砕され均一に分散し、そしてこの未硬化のエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とが反応し、架橋が進行して特定の平均粒子径の硬化エポキシ樹脂粒子を有する熱可塑性樹脂組成物を容易に得ることができる。この未硬化のエポキシ樹脂が、均一に分散しなければ艶ムラが起こり、架橋が十分に進行しなければ艶消し性が発現せず、所望の成形品が得られない。溶融混練には一軸または二軸押出機が使用されるが、溶融混練効果の高い二軸押出機が好ましく使用される。また、溶融混練の前に各成分を混合機例えばV型ブレンダー、リボンミキサーまたはタンブラー等に投入し予め均一に混合させておくことが好ましい。また、成分の一部を予め混合、混練後、さらに残りの成分を添加し混練、溶融押出してもよい。
【0021】
また押出機内で該熱可塑性樹脂成分の存在下、未硬化のエポキシ樹脂を硬化させることにより、該熱可塑性樹脂成分と硬化エポキシ樹脂粒子との相溶性が向上し、成形品の機械的強度が優れることとなり、この点においても好ましく採用される。
【0022】
また、本発明によれば、該熱可塑性樹脂組成物を射出成形、圧縮成形または回転成形等通常使用される方法により成形して得られた艶消し成形品が提供される。
ここでいう艶消しとは、成形品の表面に微細な凹凸を生じさせることにより、光沢を消すことであり前述した石目調とは区別されるものである。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂組成物に、該熱可塑性樹脂成分100重量部に対して、(D)弾性重合体を15重量部以下、好ましくは1〜10重量部さらに配合した熱可塑性樹脂組成物が提供される。弾性重合体を加えることにより、さらに衝撃強度が向上され好ましく用いられる。弾性重合体としては、例えば、ブタジエン−アルキルメタクリレート−スチレン共重合体、ブタジエン−アルキルメタクリレート−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体およびブタジエン−アルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体等のアクリル系弾性重合体、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが相互に絡み合った構造を有している複合弾性重合体などが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上混合して用いることができる。弾性重合体が15重量部を越えると耐熱性や剛性が低下し好ましくない。
【0024】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に該熱可塑性樹脂成分100重量部に対して、(E)充填剤を10重量部以下、好ましくは1〜8重量部さらに配合した熱可塑性樹脂組成物が提供される。充填剤としては無機充填剤および有機充填剤があり、無機充填剤としては、例えばタルク、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、マイカおよびワラストナイトなどが挙げられ、有機充填剤としては、例えばシリコンビーズおよび架橋アクリルなどが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上混合して用いることができる。充填剤が10重量部を越えると衝撃強度が低下し好ましくない。
【0025】
さらに、本発明の目的および効果を損なわない範囲で、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、着色剤、発泡剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等を配合してもよく、また他の熱可塑性樹脂を配合してもよい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、評価は下記(1)〜(4)の方法によった。
(1)光沢度:JIS K 7105に従い、60゜鏡面光沢度を測定した。
(2)艶ムラ:目視により艶ムラを評価した。なお、評価基準は下記の方法により行った。
○:艶ムラがなく、均一な艶消し表面である。
×:艶ムラが目立つ。
(3)衝撃強度:ASTM D648に従い、[1/8’’]試験片にてノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
(4)平均粒子径:試験片の表面をヒドラジンでエッチング処理した後、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM−6100)で処理表面上の硬化エポキシ樹脂粒子のFeret径をn=100で測定し、その平均値を求め平均粒子径とした。
【0027】
[実施例1〜29、および比較例1〜69
ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、未硬化のビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、弾性重合体および充填剤を表1〜表8に示す割合で混合し、実施例1〜および比較例1〜19は、径30mmのベント式二軸押し出し機によりシリンダー温度280℃でペレット化し、このペレットを120℃で5時間乾燥した後、射出成形機(ファナック(株)製 T−150D)によりシリンダー温度280℃、金型温度60℃または90℃で試験片を作成し、実施例および比較例2042は、径30mmのベント式二軸押し出し機によりシリンダー温度260℃でペレット化し、このペレットを110℃で5時間乾燥した後、射出成形機によりシリンダー温度260℃、金型温度60℃または90℃で試験片を作成し、実施例16および比較例4355は、径30mmのベント式二軸押し出し機によりシリンダー温度270℃でペレット化し、このペレットを120℃で5時間乾燥した後、射出成形機によりシリンダー温度270℃、金型温度60℃または90℃で試験片を作成し、実施例1729および比較例5669は、径30mmのベント式二軸押し出し機によりシリンダー温度265℃でペレット化し、このペレットを110℃で5時間乾燥した後、射出成形機によりシリンダー温度260℃、金型温度60℃または90℃で試験片を作成し、これらの評価結果を表1〜表8に示した。
【0028】
なお、表1〜表8の実施例において無機充填剤(タルク)を添加した実施例については硬化エポキシ樹脂の平均粒子径は示されていない。その理由は、このタルクの粒子径と硬化エポキシ樹脂の粒子径が近似しており両者を簡単な実験で区別して測定することが困難であったからである。しかしながら、実施例比較例12と、実施例は実施例と、実施例16は実施例と、実施例29は実施例23と、それぞれタルクを除いては、同じ組成、配合割合、成形条件であるため、これらの硬化エポキシ樹脂は、同程度の粒子径を有するものと推定できる。
また、表1〜表8記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
PC:ポリカーボネート樹脂[帝人化成(株)製 パンライト L−1225、ηSP=0.41]
ABS:ABS樹脂[三井東圧化学(株)製 サンタック UT−61]
PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂[帝人(株)製 TR−8580]
PBT:ポリブチレンテレフタレート樹脂[帝人(株)製 TRB−H]
エポキシ樹脂−1:エポキシ当量が3800〜5000g/eqの未硬化のビスフェノールA型エポキシ樹脂
エポキシ樹脂−2:エポキシ当量が940〜960g/eqの未硬化のビスフェノールA型エポキシ樹脂
エポキシ樹脂−3:エポキシ当量が460〜490g/eqの未硬化のビスフェノールA型エポキシ樹脂
エポキシ樹脂硬化剤−1:アミノシラン化合物
【0029】
NCNHCSi(OCH
【0030】
エポキシ樹脂硬化剤−2:無水コハク酸
【0031】
【化1】
Figure 0003634478
【0032】
弾性重合体:ブタジエン−アルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体[呉羽化学工業(株)製 EXL−2602]
無機充填剤:タルク[日本タルク(株)製 P−3]
【0033】
【表1】
Figure 0003634478
【0034】
【表2】
Figure 0003634478
【0035】
【表3】
Figure 0003634478
【0036】
【表4】
Figure 0003634478
【0037】
【表5】
Figure 0003634478
【0038】
【表6】
Figure 0003634478
【0039】
【表7】
Figure 0003634478
【0040】
【表8】
Figure 0003634478
【0041】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性が良好で、艶消し性に優れ、かつ均一な艶消し外観を有しているので、自動車内装用部品、内装材等として好適に用いられる。

Claims (3)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂10〜100重量%および(B)(B−1)熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂および(B−2)ジエンゴム成分に芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性ポリマー90〜0重量%からなる熱可塑性樹脂成分およびその樹脂成分100重量部に対して、(C)平均粒子径が0.01〜9μmの硬化エポキシ樹脂粒子0.1〜60重量部、並びに該熱可塑性樹脂成分100重量部に対して、15重量部以下の(D)弾性重合体、10重量部以下の(E)充填剤またはこれらの双方を含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. 該熱可塑性樹脂成分100重量部に対して、(C−1)エポキシ当量が900〜6000g/eqの未硬化のエポキシ樹脂0.1〜50重量部および(C−2)エポキシ樹脂硬化剤0.01〜10重量部を配合し、これを溶融混練することを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られた艶消し成形品。
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