JP3634349B2 - 圧延作業の自動収集方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板材などを圧延する圧延機の稼動率を詳細且つ正確に自動収集する方法において、被圧延材毎の圧延作業の開始及び終了と圧延パス回数を自動判定する方法に関するものある。
【0002】
【従来の技術】
設備の稼動状態を把握する方法としては、従来から種々の方法が採用されている。例えば、パーソナルコンピュータあるいはマイクロコンピュータから構成される稼動実績収集装置に対し、作業者が稼動や停止の状況を入力端末装置から直接入力する方法がある。ところがこの方法では、所定の作業時間内における作業実績を当該作業の終了時に纏めて入力するなどの理由により、時間的誤差が発生し易い。また、これらの実績入力を被圧延材毎に入力しようとすれば作業者への負担が大きい。そこで設備の動作信号を実績収集装置に取り込み、作業全般の稼動状況や合計時間値を求める方法が既に実用化されているものの、本発明が対象とするような、被圧延材毎の稼動状態を正確に収集する場合、選択する制御信号の適合性と、これらデータを判断する論理が重要となる。
また、圧延機は、極めて高額な装置であり、且つ複雑な制御方法のもとで動作しているため圧延機本体の制御系へ直接影響を与える事なく、前述の機能を実現することが重要となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、圧延機の圧延作業において、被圧延材毎に、かつ圧延パス毎に圧延時間値等を自動集計し、圧延機の稼動率向上のために有効なデータを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも一対の巻取りリールの間に装着された板材を圧延する圧延機の制御装置から各種の制御及び計測データを所定の時間間隔で稼動実績収集装置に入力することにより、前記圧延機の稼動状況を自動収集する方法において、前記各種の制御及び計測データのうち、1)被圧延材を積載したコイルカーがペイオフリール側へ向かう前進信号、2)被圧延材をペイオフリールへ把持する信号、3)被圧延材を一端を一方の巻き取りリールにクランプし巻き締めを行ったときの張力信号の条件が各々成立したとき、それらの信号の論理積によって、前記稼動実績収集装置は、被圧延材の圧延作業が開始されたことを自動判定することを特徴とする圧延作業の自動収集方法である。
また、本発明は、少なくとも一対の巻取りリールの間に装着された板材を圧延する圧延機の制御装置から各種の制御及び計測データを所定の時間間隔で稼動実績収集装置に入力することにより、前記圧延機の稼動状況を自動収集する方法において、前記各種の制御及び計測データのうち、1)被圧延材の圧延速度、2)被圧延材に作用する張力信号、3)圧延ロールの被圧延材への圧下圧力信号、4)一方の巻取りリールから他方の巻取りリールへの圧延方向を順方向、その反対を逆方向とする被圧延材の圧延方向のレベル信号、5)被圧延材を後端部まで巻き取り終えた上記レベル信号で示される圧延方向にある巻取りリールのクランプが閉から開へ作用した信号の論理積によって、前記稼動実績収集装置は、被圧延材の圧延作業の終了を自動判定することを特徴とする圧延作業の自動収集方法である。
さらにまた、本発明は、少なくとも一対の巻取りリールの間に装着された板材を圧延する圧延機の制御装置から各種の制御及び計測データを所定の時間間隔で稼動実績収集装置に入力することにより、前記圧延機の稼動状況を自動収集する方法において、前記各種の制御及び計測データのうち、1)圧延速度aが予め設定した所定の値以上になったという信号、2)巻き取り側の被圧延材に張力が作用したことを示す張力信号b、3)圧延ロールの被圧延材への圧下圧力cが作用したことを示す圧下圧力信号、4)一方の巻取りリールから他方の巻取りリールへの圧延方向を順方向、その反対を逆方向とする被圧延材の圧延方向のレベル信号の論理積によって、圧延作業における最終パス以外のパスの圧延作業の区切りを自動判別し、更にそれらの信号と併せて、5)被圧延材を後端部まで巻き取り終えた上記レベル信号で示される圧延方向にある巻取りリールのクランプが閉から開へ作用した信号の論理積によって最終パスの圧延作業の区切りを自動判別することを特徴とする圧延作業の自動収集方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。図1は本発明を実施するためのシステム構成図の一例を示す。図1において、1は圧延機のワークロール、2は中間ロール、3はバックアップロールである。また、15は、被圧延材4を圧延機に最初に取り付けるペイオフリール15である。5はロードセルであり、油圧圧下シリンダー6または油圧ジャッキ6により被圧延材4を圧延するための圧下圧力を計測するセンサーである。7は、被圧延材4であるコイルを装着する送り側のテンションリール、8は巻き取り側のテンションリールである。9はテンションロールで、被圧延材4を圧延するときに正常に圧延できるように被圧延材4に張力を与えるロールである。テンションロール9には、被圧延材4に作用している張力を検出するロードセル等のセンサー10が埋め込まれている。11は駆動用ロールである中間ロール2に回転を与えるミルモータであり、ピニオンスタンド12を介して中間ロール2に回転力が与えられる。
圧延は、ペイオフリール15から被圧延材4の先端部を巻きだし、スリーロールフィーダー16を経て、ワークロール1の間を通過して巻き取りリール8にて先端部がクランプされ、圧延作業の準備が完了する。また、当該圧延作業の1パスめの圧延は、ペイオフリール15と巻き取りテンションリール8との間で行われ、2パス目の圧延の開始前に被圧延材の後端部を送り側テンションリール7にクランプし直して以降の圧延作業が行われる。
13は圧延機の各装置の動作を制御する制御装置でシーケンサーなどから構成される。図1では、制御装置13がミルモータ11の駆動を制御するための信号線のみを示している。また、ロードセル5及び10の測定データも制御装置13に入力される。14はパーソナルコンピュータから構成される稼動実績収集装置である。稼動実績収集装置14は、圧延機に対する制御装置13からの各種の圧延制御信号のデータ、及びセンサーからの計測データを所定の時間間隔、例えば、2秒ごとに取り込み、記憶装置に時系列的に記憶する。
なお、被圧延材4の圧延速度aは、制御装置13により駆動ロールである中間ロール2の回転数から算出するようになっている。また、図1には示していないが、被圧延材4の圧延方向は、ペイオフリール15ないし送り出しテンションリール7から巻き取りテンションリール8への方向を順方向、その反対を逆方向としてそのレベル信号が制御装置13に入力、記憶されるようになっている。
【0006】
次に本発明の動作について説明する。初めに、圧延機の作業者はこれから圧延する被圧延材4の品名を入力端末(バーコードリーダ、またはキーボード)等を使用して稼動実績収集装置14に入力する。続いて、作業者は、この被圧延材4をコイルカー(図示せず)によりペイオフリール15に装着する。次に、被圧延材4の先端をスリーロールフィーダー16によってガイドし、ワークロール1の間を通して巻き取り側のテンションリール8にクランプし、ペイオフリール15を巻き出しとは逆の方向に、若干回転させて被圧延材4の巻き締めを行って、被圧延材4に適切な張力を与える。するとテンションロール9に装着したロードセル10は張力を検出する。この作業が、図3に示すタイムチャートの「圧延材取付」に相当し、この作業の開始時点を圧延作業の開始と判断する。
【0007】
次に、被圧延材4を所定の厚さに圧延するためにワークロール1間のギャップを所定の値に設定した後、ミルモータ11を駆動して、圧延速度を徐動に設定し、試圧延を行う。
試圧延とは、被圧延材4を圧延速度aを徐動、例えば、図3において破線で示すようにその最大値が20m/分にて圧延し、被圧延材4の表面にキズが発生していないか等のチェックを行う調整作業のことで、図3に示す「調整」に相当する。この調整作業において、稼動実績収集装置14に、図2に示すように、時系列的に2秒間隔で、圧延速度aとロードセル5および10による圧力と張力が入力される。このとき、圧延速度が、停止の状態から徐動になる変化点を調整開始と判断する。また圧延速度aの最大値は20m/分以下で、被圧延材の巻き取り側の張力信号bは作用(ON)している状態、圧延ロールの被圧延材への圧下圧力cは作用(ON)している状態の論理積によって、稼動実績収集装置14は、調整作業中であると判断する。また、図3に示すように圧延速度aが圧延速度(例えば40m/分)に達していないため、圧延中と調整中とは明確に区別する事ができる。
【0008】
調整作業が終わると、作業者は本圧延を行うために圧延速度を加速し、所定の圧延速度(例えば40m/分)に保持する。本圧延作業が始まっても、稼動実績収集装置14には、2秒ごとに圧延速度a(40m/分)、被圧延材4に作用している張力信号b、圧下圧力信号cが入力される。ここで、図3の下方において実線で示される圧延速度aは、除動の後に加速され徐々に立上り徐動の最大値(破線)を横切ってその最大値より大きく且つ所定の圧延速度(40m/分)に達する。したがって、それら信号の論理積から稼動実績収集装置14は、圧延速度(実線)の立上りが除動の最大値(破線)を横切った時に圧延中であると判断し圧延信号が立ち上がる。また、図3に示す圧延方向は、ペイオフリール15ないし送り側テンションリール7から巻き取りテンションリール8への方向を順方向、その反対を逆方向として圧延中も稼動実績収集装置14に時系列的に入力している。この圧延方向のレベル信号は、圧延信号に連動してその方向が切り替わるように設定してあり、例えばパス間の折り返し時等において、ミルモータ11が直前のパスの圧延方向に対し逆転したり、調整の為に圧延速度を徐動にするなどの状態が発生したとしても、それらは圧延中の条件成立に対し排他されて、方向の切り替わりが発生しないようなインターロック処置が、稼動実績収集装置14になされている。
次に図3のレベル信号において、時系列的に入力された圧延信号および圧延方向信号から、圧延中の信号と圧延方向の切り替わり点の論理積によって、圧延作業中の全ての圧延パスの圧延作業の区切りの区別を行うことができる。
【0009】
1パス目の終了が近づくと、圧延速度aを減速した後、ミルモータを停止し当該パスの作業を終了する。このとき、被圧延材の張力信号bおよび圧下圧力信号cは、通常は解放(OFF)されることはないが、稼動実績収集装置14には、圧延速度aが所定の圧延速度、上記除動の最大値(図3における破線)、例えば40m/分より低い速度または0m/分(停止)が入力される。図3の場合には、圧延速度を示す実線の立下りが除動の最大値である破線を横切った時に圧延中を判定する条件の一つが不成立となり、当該圧延パスの圧延機の動作の終了を断定することができる。
【0010】
続いて、2パスめ以降の圧延を行う場合には、圧延方向を直前作業の圧延パスと逆向きにして同様の圧延作業を行う。そして、所定の圧延パス回数の圧延作業が終了すると、被圧延材は、送り側テンションリール7または、巻き取りテンションリール8の何れか一方から外される。この時点で、当該被圧延材の圧延作業(全パス)は、通常は終了と見なされる。ところが、被圧延材の後端部は、品質的な理由から数m程度が切除され、これもまた前述の何れか、もう一方のリールから外される。また、この切除作業のタイミングは、最終パスの1パス手前で行われる事が多く、当該切除材が外れた時点を圧延作業終了と見なすと、残る最終圧延パスの作業が次の独立した圧延作業として誤って認識される。この状態を回避するため、稼動実績収集装置14は、圧延方向と各パスの区分、パス回数および送り側テンションリール7ないし、巻き取りテンションリール8から被圧延材が外れた状態を論理積で判定を行う事によって、圧延作業の終了を断定している。すなわち、圧延方向と併せて、被圧延材の後端部を全て巻き取った側のリールから、被圧延材が外れた状態を当該の圧延作業の終了と断定し、送り出す側の被圧延材が外れた状態を排他する事によって、圧延作業終了の断定の確実性を保証している。
このようにして、稼動実績収集装置14は圧延のパスごとに、所定の時間間隔で、圧延速度a、圧延時に被圧延材にかかる張力信号b、被圧延材4の圧下圧力信号c、圧延方向信号等を取り込み、記憶装置に記憶し、所定のパス回数の圧延作業が終了すると、圧延実績収集装置14は、図2に示すように、収集したデータごとに調整中であるか、圧延中であるかを判断し、図2に示すようなデータテーブルを作成する。このデータテーブルから、圧延及び調整作業の時間値を積算して、正確な圧延及び調整作業時間を被圧延材毎、かつ圧延パス毎に算出することができる。
なお以上説明した本発明の実施例において、制御装置13から稼動実績収集装置14に入力する被圧延材4の張力信号(b)、被圧延材の圧下圧力(c)は、オン、オフ信号としたが、絶対値を入力することも可能である。
また、上記本発明の実施例では、各種の制御信号及び計測データから圧延中であるかどうかの論理的判断は稼動実績収集装置14で行う例で説明したが、制御装置13で行うことも可能である。この場合には、制御装置13から圧延中であるかどうかの信号を稼動実績収集装置14に転送するようにする。
【0011】
【発明の効果】
以上に説明した本発明は次の効果を有している。
1)圧延機の制御信号及び計測データを直接稼動実績収集装置に取り込むことで作業者の入力に掛かる負担がない。
2)稼動実績収集装置を、圧延機本体と切り離し外部に設置する事により、簡単かつ安価な装置で、より正確な圧延作業時間をリアルタイムに自動収集することができる。
3)被圧延材および圧延パス毎に正確な圧延時間を収集することができ、圧延作業の生産性向上のための有効なデータを自動収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す図
【図2】本発明により収集した稼動実績データの一例を示す図
【図3】圧延時の作業項目と圧延速度との関係を示すタイムチャート図
【符号の説明】
1 ワークロール
2 中間ロール
3 バックアップロール
4 被圧延材
5 ロードセル
6 油圧圧下シリンダー
7 送り側テンションリール
8 巻き取り側テンションリール
9 テンションロール
10 ロードセル
11 ミルモータ
12 ピニオンスタンド
13 圧延機の制御装置
14 稼動実績収集装置
15 ペイオフリール
16 スリーロールフィーダー
Claims (3)
- 少なくとも一対の巻取りリールの間に装着された板材を圧延する圧延機の制御装置から各種の制御及び計測データを所定の時間間隔で稼動実績収集装置に入力することにより、前記圧延機の稼動状況を自動収集する方法において、前記各種の制御及び計測データのうち、
1)被圧延材を積載したコイルカーがペイオフリール側へ向かう前進信号
2)被圧延材をペイオフリールへ把持する信号
3)被圧延材を一端を一方の巻き取りリールにクランプし巻き締めを行ったときの張力信号
の条件が各々成立したとき、それらの信号の論理積によって、前記稼動実績収集装置は、被圧延材の圧延作業が開始されたことを自動判定することを特徴とする圧延作業の自動収集方法。 - 少なくとも一対の巻取りリールの間に装着された板材を圧延する圧延機の制御装置から各種の制御及び計測データを所定の時間間隔で稼動実績収集装置に入力することにより、前記圧延機の稼動状況を自動収集する方法において、前記各種の制御及び計測データのうち、
1)被圧延材の圧延速度
2)被圧延材に作用する張力信号
3)圧延ロールの被圧延材への圧下圧力信号
4)一方の巻取りリールから他方の巻取りリールへの圧延方向を順方向、その反対を逆方向とする被圧延材の圧延方向のレベル信号
5)被圧延材を後端部まで巻き取り終えた上記レベル信号で示される圧延方向にある巻取りリールのクランプが閉から開へ作用した信号
の論理積によって、前記稼動実績収集装置は、被圧延材の圧延作業の終了を自動判定することを特徴とする圧延作業の自動収集方法。 - 少なくとも一対の巻取りリールの間に装着された板材を圧延する圧延機の制御装置から各種の制御及び計測データを所定の時間間隔で稼動実績収集装置に入力することにより、前記圧延機の稼動状況を自動収集する方法において、前記各種の制御及び計測データのうち、
1)圧延速度aが予め設定した所定の値以上になったという信号
2)巻き取り側の被圧延材に張力が作用したことを示す張力信号b
3)圧延ロールの被圧延材への圧下圧力cが作用したことを示す圧下圧力信号
4)一方の巻取りリールから他方の巻取りリールへの圧延方向を順方向、その反対を逆方向とする被圧延材の圧延方向のレベル信号
の論理積によって、圧延作業における最終パス以外のパスの圧延作業の区切りを自動判別し、更にそれらの信号と併せて
5)被圧延材を後端部まで巻き取り終えた上記レベル信号で示される圧延方向にある巻取りリールのクランプが閉から開へ作用した信号
の論理積によって最終パスの圧延作業の区切りを自動判別することを特徴とする圧延作業の自動収集方法。
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- 1997-02-25 JP JP04071697A patent/JP3634349B2/ja not_active Expired - Fee Related
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