JP3634203B2 - 表面パネル及び遮光構造 - Google Patents

表面パネル及び遮光構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カーオーディオ等の車両用電子機器に使用される表面パネル及びその遮光構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーオーディオ等の車両用電子機器は、操作性や視認性の向上を図るため、その表面パネルに、発光部を有する操作ボタン(操作つまみ)、文字等が発光するイルミネーション、及び、蛍光表示管等からなる表示部等を備えている。これら操作ボタン等の発光部が発光するため、利用者は、夜間でも室内灯を点灯させることなく、表面パネルに配置された操作ボタン等を適切に操作することができ、また、その電子機器の作動状況を確認することができる。
【0003】
この表面パネルには、上記の操作ボタンやイルミネーションが小さな間隔で配置されており、更に、蛍光表示管等の表示部が隣接して配置されている。このため、イルミネーションの光が表示部に漏れたり、またその逆が生じないように、例えば、配置される蛍光表示管の側面に位置するように、遮光リブ等が設けられ、相互の漏光を防止していた。
【0004】
図10は、遮光リブが形成された従来の表面パネルの一例を示す図であり、表面パネルを裏側から描いた斜視図である。この表面パネルは、遮光リブ101と、リフレクタ102と、シールド板103と、ケース104と、P板105及び蛍光表示管106からなるP板ASSY(アセンブリ)等を備えて構成される。図10に示すように、遮光リブ101は、配置される蛍光表示管106の側面に位置するようにケース104の中間にコ型に形成され、リフレクタ102等と蛍光表示管106とにおける相互の漏光を防止している。
【0005】
最近の車両用電子機器では、従来に比べて、より大きな表示部が求められるようになってきている。このため、全体の大きさを変えることなく、表面パネルにサイズの大きな蛍光表示管等を配置する場合、他のスペース全体の見直しが必要となり、遮光リブの肉厚についてもできる限り薄くすることが求められる。
【0006】
しかしながら、樹脂形成品であるケースの最小肉厚が0.6mm程度と薄くなっており、この厚さでは、遮光リブを立てることが困難である。そこで、遮光リブの代わりに、遮光性を有する0.1mm程度の厚さのPET(ポリエチレンテレフタラート)を遮光部材として用いる試みがなされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このPETは、材料自体の張りが強く、ある程度薄くしても、所定の剛性により成形された形状を維持できるが、ある程度の大きさになると、たわみを生じ易くなる。たわみが生ずるとその分、厚みが増すこととなり、図11に示すように、PET201は、実質上の肉厚が、厚さdまで増大する。
そして、図12に示すように、このPET201を遮光部材として表面パネルに使用すると、たわみのため、蛍光表示管106等の取り付けが困難となる場合が多かった。
そのため、遮光部材には、たわみが生じないある程度の厚みを持たせる必要があり、遮光に必要なスペース(厚さ)が遮光リブを使用した場合と大差なく、更なる改善が求められていた。
【0008】
この発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、肉厚の薄い遮光部材を使用して、適切に漏光を防止することのできる表面パネル及びその遮光構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る表面パネルは、
発光電子部品を含むパーツが所定のケース内に設置されて構成される表面パネルであって、
前記ケースの内底面に接する平板状のベース部と、該ベース部の長手方向に沿って曲げ成形された立ち上げ部とからなる略L字状の断面を有する遮光部材が、前記発光電子部品の漏光を防止する境界部に配置されており、
前記遮光部材は、前記立ち上げ部が、前記ベース部と前記立ち上げ部とのなす角を広げる方向に生ずる復元力により、周辺に設置された他のパーツを加圧する、
ことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る表面パネルは、
発光電子部品を含むパーツが所定のケース内に設置されて構成される表面パネルであって、
前記ケースの内底面に接する平板状のベース部と、該ベース部の長手方向に沿って曲げ成形された立ち上げ部とからなる略L字状の断面を有する遮光部材が、前記発光電子部品の漏光を防止する境界部に配置されており、
前記ケースは、前記ベース部が設置される内底面に、前記ベース部の長手方向に沿って所定の深さの段差が設けられ、
前記遮光部材は、前記立ち上げ部に接する他のパーツにより前記ベース部に向けて加圧されると、内底面に設けられた段差に沿って前記ベース部が湾曲し、湾曲することにより生ずる弾性により、前記立ち上げ部に接する他のパーツを加圧する、
ことを特徴とする。
【0012】
前記遮光部材は、曲げ加工により、前記ベース部と前記立ち上げ部とのなす角が90度より大きくなるように調整されて成形されていてもよい。
【0013】
前記遮光部材は、所定の遮光性を有する薄肉平板状のポリエステル樹脂組成物から構成されてもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る遮光構造は、
所定のケース内に設置された発光電子部品から所定方向に向けて発せられる光を遮光する遮光構造であって、
前記ケースの内底面に接する平板状のベース部と、該ベース部の長手方向に沿って曲げ成形された立ち上げ部とからなる略L字状の断面を有する遮光部材が、前記発光電子部品の漏光を防止する境界部に配置されており、
前記遮光部材は、前記立ち上げ部が、前記ベース部と前記立ち上げ部とのなす角を広げる方向に生ずる復元力により、周辺に設置された他のパーツを加圧する、
ことを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第の観点に係る遮光構造は、
所定のケース内に設置された発光電子部品から所定方向に向けて発せられる光を遮光する遮光構造であって、
前記ケースの内底面に接する平板状のベース部と、該ベース部の長手方向に沿って曲げ成形された立ち上げ部とからなる略L字状の断面を有する遮光部材が、前記発光電子部品の漏光を防止する境界部に配置されており、
前記ケースは、前記ベース部が設置される内底面に、前記ベース部の長手方向に沿って所定の深さの段差が設けられ、
前記遮光部材は、前記立ち上げ部に接する他のパーツにより前記ベース部に向けて加圧されると、内底面に設けられた段差に沿って前記ベース部が湾曲し、湾曲することにより生ずる弾性により、前記立ち上げ部に接する他のパーツを加圧する、
ことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態にかかる表面パネルについて、以下図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、この発明の第1の実施の形態に適用される表面パネルの一例を示す図であり、表面パネルを裏側から描いた斜視図である。この表面パネルは、遮光部材1と、リフレクタ2と、シールド板3と、ケース4と、P板6と、蛍光表示管7とから構成される。
ここで、リフレクタ2は、図示せぬ所定の発光体(電子部品)から発せられる光を反射する。また、P板6は、蛍光表示管7を保持する。なお、図1に示していないが、この表面パネルは、操作つまみ等の他のパーツも含む。すなわち、表面パネルは、ケース4内に、これらのパーツが設置されて構成される。
【0019】
遮光部材1は、遮光性を有する例えば、厚さ0.1mm程度(0.1mm〜0.5mm等)の極めて薄い平板状のPET(ポリエチレンテレフタラート)からなり、図2に示すように、ベース部10と立ち上げ部11とから構成される。
【0020】
ベース部10は、コ型状の平板からなり、遮光部材1がケース4内に取り付けられる際に、ケース4の内底面に接して遮光部材1を支持する。
立ち上げ部11は、曲げ加工により成形され、図3に示すようにベース部10に対する垂直方向を基準として、0度〜40度の範囲内の曲げ角となるように加工されている。すなわち、遮光部材1は、断面が略L字状になるように、立ち上げ部11が曲げ加工により成形されている。
【0021】
なお、PET等の薄い樹脂は、曲げ加工した場合、一般に、目標とする曲げ角の−20度〜+20度の範囲内にばらつく場合が多い。例えば、ベース部10からちょうど垂直となるように立ち上げ部11を曲げ加工した場合、図4に示すように、垂直方向を基準として、−20度〜+20度の範囲内にばらつくこととなる。
【0022】
この際、立ち上げ部11が、図4の+20度の方向(内側)に曲げ加工されてしまうと、遮光部材1をケース4の内底面に取り付け、更に、P板6と蛍光表示管7とからなるP板ASSY(アセンブリ)を取り付ける際に、立ち上げ部11の先端部と蛍光表示管7の底面とが接触することとなる。このような場合、取り付けに手間が掛かり、表面パネルの生産性を低下させてしまう。
【0023】
そこで、立ち上げ部11は、図3に示すように、垂直方向を基準として、0度〜40度の範囲内の曲げ角、すなわち、ベース部10と立ち上げ部11とのなす角が、90度より小さくならないように調整して加工されている。
このように加工された遮光部材1は、ケース4の内底面に取り付けられる際に、図5に示すように、立ち上げ部11がリフレクタ2及びシールド板3等の方向(外側)に傾いており、更に、PETの有する復元力(ベース部10と立ち上げ部11とのなす角が広がる方向に働く力)により、リフレクタ2等に張り付くように固着する。
【0024】
立ち上げ部11がリフレクタ2等に張り付くように固着するため、PET等の薄い部材に生じやすいたわみを適切に抑制することができ、更に、P板ASSYを取り付ける際に、立ち上げ部11と蛍光表示管7とが接触することがない。
【0025】
そして、各パーツが取り付けられると、図6に示すように、蛍光表示管7とリフレクタ2等との間に、遮光部材1が適切に配置され、これら相互の漏光を防止することができる。この結果、肉厚の薄い遮光部材を使用して、適切に漏光を防止することができる。
【0026】
上記の第1の実施の形態では、遮光部材1のベース部10と接するケース4の内底面の形状が平坦であったが、遮光部材1の弾性を利用するため、内底面の形状を変化させたケースを用いてもよい。以下、ベース部10と接する内底面の箇所に段差を設けたケースを使用する本発明の第2の実施の形態に係る表示パネルについて説明する。
【0027】
図7は、この発明の第2の実施の形態に適用される表示パネルの一例を示す断面図である。この表示パネルは、遮光部材1と、リフレクタ2と、シールド板3と、ケース41と、操作つまみ5と、P板6と、蛍光表示管7とから構成される。なお、図7に示していないが、この表面パネルは、P板押さえボス及び裏蓋等も含む。
【0028】
この表示パネルは、リフレクタ2、シールド板3、操作つまみ5、P板6、蛍光表示管7が上記の第1の実施の形態と同一であり、一方、ケース41における遮光部材1のベース部10と接する内底面の形状が、第1の実施の形態と異なる。すなわち、図8に示すように、ケース41の内底面には、遮光部材1が取り付けられた状態でベース部10と接する箇所に、ベース部10の長手方向に沿って所定の深さの段差が設けられている。
【0029】
また、遮光部材1は、立ち上げ部11の長さ(高さ)が、この段差を考慮して少し大きめに成形されている。この遮光部材1は、ケース41に取り付けられ、更にP板6と蛍光表示管7とからなるP板ASSYが取り付けられると、立ち上げ部11の先端がP板6と十分に接触する。
【0030】
更に、P板押さえボス8及び、裏蓋9が取り付けられると、図9(a)に示すように、遮光部材1は、立ち上げ部11の先端がP板6に押され、ベース部10の一部がケース41に設けられた段差に沈み込むように湾曲する。この際、遮光部材1の有する弾性により、立ち上げ部11は、P板6を押し戻そうとする矢印方向の力が生じる。
このため、P板6等に微少なゆがみが生じているような場合でも、遮光部材1の弾性によりP板6等を加圧するため、組み立ての際のがたつきを吸収できる。
【0031】
そして、各パーツが取り付けられると、図9(b)に示すように、蛍光表示管7とリフレクタ2等との間に、遮光部材1が適切に配置され、漏光を防止することができる。この結果、厚さの薄い遮光部材を使用して、適切に漏光を防止することができる。
【0032】
なお、上記の実施の形態では、遮光部材1にPETを用いたが、遮光性を有する他のポリエステル樹脂組成物等を用いてもよく、また、ある程度の薄さにしても所定の剛性等を有する金属等であってもよい。
【0033】
また、上記の実施の形態では、遮光部材1のベース部10がコ型の形状であったが、このベース部10の形状は、漏光を防止する発光体の形状やケースの内底面の形状等に応じて定まるため任意である。
【0034】
また、上記の実施の形態では、表面パネルにおける遮光構造について説明したが、遮光が必要となる他の電子製品等に適宜応用可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、肉厚の薄い遮光部材を使用して、適切に漏光を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表面パネルの一例を示す斜視図である。
【図2】遮光部材の外観の一例を示す図である。
【図3】遮光部材に対する曲げ加工の際に調整される曲げ角を説明するための図である。
【図4】遮光部材に対する曲げ加工の際に生ずる一般的な曲げ角のばらつきを説明するための図である。
【図5】遮光部材がケース内に配置された際の様子を説明するための断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る表面パネルの一例を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る表面パネルの一例を示す断面図である。
【図8】遮光部材が内底面部に段差を有するケース内に配置された際の様子を説明するための断面図である。
【図9】遮光部材がケース内に配置された断面図であって、(a)が遮光部材の弾性により他のパーツを押し戻す様子を説明する図であり、(b)が遮光部材により漏光を防止する様子を説明する図である。
【図10】従来の表面パネルの一例を示す図である。
【図11】薄肉平板状の遮光部材のたわみを説明するための模式図である。
【図12】たわみが生じた遮光部材を使用した表面パネルの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 遮光部材
2 リフレクタ
3 シールド板
4 ケース
5 操作つまみ
6 P板
7 蛍光表示管
8 P板押さえボス
9 裏蓋
10 ベース部
11 立ち上げ部
41 ケース

Claims (6)

  1. 発光電子部品を含むパーツが所定のケース内に設置されて構成される表面パネルであって、
    前記ケースの内底面に接する平板状のベース部と、該ベース部の長手方向に沿って曲げ成形された立ち上げ部とからなる略L字状の断面を有する遮光部材が、前記発光電子部品の漏光を防止する境界部に配置されており、
    前記遮光部材は、前記立ち上げ部が、前記ベース部と前記立ち上げ部とのなす角を広げる方向に生ずる復元力により、周辺に設置された他のパーツを加圧する、
    ことを特徴とする表面パネル。
  2. 発光電子部品を含むパーツが所定のケース内に設置されて構成される表面パネルであって、
    前記ケースの内底面に接する平板状のベース部と、該ベース部の長手方向に沿って曲げ成形された立ち上げ部とからなる略L字状の断面を有する遮光部材が、前記発光電子部品の漏光を防止する境界部に配置されており、
    前記ケースは、前記ベース部が設置される内底面に、前記ベース部の長手方向に沿って所定の深さの段差が設けられ、
    前記遮光部材は、前記立ち上げ部に接する他のパーツにより前記ベース部に向けて加圧されると、内底面に設けられた段差に沿って前記ベース部が湾曲し、湾曲することにより生ずる弾性により、前記立ち上げ部に接する他のパーツを加圧する、
    ことを特徴とする表面パネル。
  3. 前記遮光部材は、曲げ加工により、前記ベース部と前記立ち上げ部とのなす角が90度より大きくなるように調整されて成形されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表面パネル。
  4. 前記遮光部材は、所定の遮光性を有する薄肉平板状のポリエステル樹脂組成物からなる、
    ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の表面パネル。
  5. 所定のケース内に設置された発光電子部品から所定方向に向けて発せられる光を遮光する遮光構造であって、
    前記ケースの内底面に接する平板状のベース部と、該ベース部の長手方向に沿って曲げ成形された立ち上げ部とからなる略L字状の断面を有する遮光部材が、前記発光電子部品の漏光を防止する境界部に配置されており、
    前記遮光部材は、前記立ち上げ部が、前記ベース部と前記立ち上げ部とのなす角を広げる方向に生ずる復元力により、周辺に設置された他のパーツを加圧する、
    ことを特徴とする遮光構造。
  6. 所定のケース内に設置された発光電子部品から所定方向に向けて発せられる光を遮光する遮光構造であって、
    前記ケースの内底面に接する平板状のベース部と、該ベース部の長手方向に沿って曲げ成形された立ち上げ部とからなる略L字状の断面を有する遮光部材が、前記発光電子部品の漏光を防止する境界部に配置されており、
    前記ケースは、前記ベース部が設置される内底面に、前記ベース部の長手方向に沿って所定の深さの段差が設けられ、
    前記遮光部材は、前記立ち上げ部に接する他のパーツにより前記ベース部に向けて加圧されると、内底面に設けられた段差に沿って前記ベース部が湾曲し、湾曲することにより生ずる弾性により、前記立ち上げ部に接する他のパーツを加圧する、
    ことを特徴とする遮光構造。
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