JP3634189B2 - 管路気中送電線の伸縮吸収構造 - Google Patents

管路気中送電線の伸縮吸収構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電力流通設備としての管路気中送電線に関するもので、特に管路気中送電線の伸縮を吸収する構造、方法および管路気中送電線用架台に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属パイプからなるシース管の中に少なくとも1本の導体を収納し、シース管内部に絶縁ガスを圧入する構造の管路気中送電線(以下GIL(Gas Insulated Transmission Line)という)が、送電線として使用されている。
【0003】
GILは通常の電カケーブルに比べて、1本で通電できる電流、すなわち許容電流が大きいことが特徴の一つであり、大容量送電線として通常の油絶縁ケーブルやプラスチック絶縁ケーブルと並んで使用されている。
【0004】
GILは一般にアルミ合金等の金属製パイプによる導体管とシース管の2重構造をなしている。シース管の中にエポキシ樹脂等の支持体(スペーサ)を一定間隔で配して導体管を保持し、導体管とシース管との間の絶縁を管内に高圧力で充填した絶縁ガスで保つ構造である。
【0005】
GILは通常の電力ケーブルと同様の目的で主として特高圧、超高圧の送電線あるいは母線として使用され、変電所構内や洞道内等にケーブルと同様に布設される。
【0006】
しかし、GILは剛構造の金属管であるため、通電による発熱によって生じる熱伸縮を吸収する機械的構造が必要とされる点で、電力ケーブルが可撓性を有しており熱伸縮が容易に吸収できる点と異なる。
【0007】
GILは上述の通り導体管とシース管の二重管構造であり、発熱は導体管の方がシース管に比べて大きいため、導体管とシース管は別々の吸収構造を必要とする。一般に導体管は通電性能と共にスライド接点を有する接続器(プラグインコンタクト:以下PICと呼ぶ)により接続され、そのスライドにより一定間隔毎に伸縮を吸収する。また、シース管の伸縮は一般的に次のいずれかの方法で行われ、各方法は線路レイアウトに応じて使い分けられている。
【0008】
▲1▼固定架台1で固定した各区間のシース管2にベローズ10を設け(図12)、シース管2の伸縮をベローズ10の伸縮により吸収する。
▲2▼GILの布設レイアウトとして曲がり部11を有する場合(図13)、この曲がり部の変形によりシース管2の伸縮を吸収する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
▲1▼の方法は布設線形、すなわちレイアウトに依らず適用できるメリットがある。しかし、べローズに絶縁ガスの推力が生じるため、それに耐える固定架台および架台基礎を必要とし、さらにベローズおよび固定架台等のコストが大きいという欠点を有する。
【0010】
▲2▼の方法はべローズ等の特殊な部品を必要としない。しかし、数10mから100m超の区間内の伸縮を1個所あるいは2個所の曲がり部(多くは直角曲がり)の変形で吸収しようとするものであり、適用できるレイアウトが限られる。そのため、長距離洞道布設等の直線的なレイアウトでは全く利用できないという問題があった。
【0011】
従って、本発明の主目的は、特殊な部品を必要とせずに直線的な布設レイアウトでもシース管の伸縮を吸収する管路気中送電線の伸縮吸収構造および伸縮吸収方法ならびに管路気中送電線用架台を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、固定架台区間におけるシース管をたわみ変形させることで、直線状の布設レイアウトであってもシース管の伸縮を吸収し、上記の目的を達成する。ここで、「直線状」とは、直線または曲率半径20m以上の緩曲線部を含むレイアウトであって一個所に集中した45度以上の曲げ部分を含まないことをいう。また、吸収の対象となる「伸縮」には、導体の発熱に伴う熱伸縮の他、地震などの外部応力に伴う伸縮も含む。シース管をたわみ変形させるには次のような構成が挙げられる。
【0013】
(1)GILのシース管を、その軸方向の動きを規制する複数の固定架台で固定し、各固定架台区間におけるシース管は、隣接する固定架台同士を結ぶ直線上からずれた位置に配置する。
【0014】
この構成を図1に示す。固定架台1で一定間隔に固定されたGILは通電によるシース管2の伸びを固定架台区間でのたわみ変形(破線で表示)で吸収する。この際、図1(A)のように固定架台1を境(節)として交互に相反する方向にたわませると節となる架台位置でGILは直線的であり、シース管2に加わる歪みが最も小さくなる点で有利である。ただし、図1(B)に示すように、各区間とも同じ方向にたわませても、全体としては波のように交互に変形していることとなり、伸縮は吸収できる。
【0015】
シース管が周囲気温の変化により低温になって架台間隔より縮む場合、線形は変化せずに、架台間のGILに応力が加わるのみである。
【0016】
従来のべローズ方式(図12)の場合、内部のガス圧力がベローズに加わるため、固定架台およびその基礎には、固定架台の片側区間のみのガス封入(施工時または片側ガス漏れ時等)を想定して、その推力に耐える強度を要求される。しかし、本発明構成においては固定架台1には当該架台の両側区間の応力が逆方向に加わるため、打ち消し合うことになり、架台および架台基礎を特に強力にする必要もない。
【0017】
(2)隣接する固定架台同士を結ぶ直線上からずれた位置に配置する具体的な手段としては、固定架台区間に少なくとも1個所の鈍角曲がり部を設け、線路全体としてスネーク状に構成する。
【0018】
その構成を図2に示す。予め鈍角曲がり部3を構成しておくことで、シース管2の任意の変形を制限して鈍角曲がり部3に生じる応力を設計すれば良い。また、この場合は応力が曲がり部3に集中するため、通常のシース管2の許容応力が不足する場合であっても、曲がり部3のみを補強することで構成が可能である。
【0019】
(3)上記鈍角曲がり部3を、シース管の溶接接続部における角度裕度を利用して形成する。
【0020】
GILは予め工場で加工した数mから十数mのユニットを現地で接続して構成されるのが一般的である。ここで、図1のようなレイアウトを構成しようとする場合、通常は鈍角曲がりを1個所有するユニットを予め製造して現地に搬入し、接続は直線部分で行うことになる。しかし、接続方式として例えば接続する両管を差し込んで溶接する拡管接続方式を採用した場合を例にすると、接続時にはおよそ1度の角度裕度が許容される。そのため、鈍角曲がり部3の角度を前記裕度以下に設計すれば、予め直線ユニットのみを現地に持ち込み、接続時に裕度を活かして角度をつけた接続を行うことで線形を構成でき、コストダウンを図ることが可能である。また、角度調整を現地で行うことが可能であり、洞道内布設等の線形誤差管理が厳しい布設形態においても布設が容易となる。
【0021】
(4)固定架台区間のシース管をあらかじめ湾曲させ、線路全体としてスネーク状に構成する。
【0022】
直線のパイプに両側から圧縮力が加わる場合、初期状態にていずれか1方向にたわみを持たせておけば、必ずその方向にたわみを生じさせることができる。よって、シース管を予め湾曲させておくことで、GIL線路のスネーク形態をコントロールすることが可能である。湾曲を与える方法としては、GILユニットの工場出荷時に予めシース管を変形させておくことが考えられる。ただし、加工の困難さ、運搬や接続施工等の不便などを考慮すると、図3に示すように、シース管2のユニットとしては直線としておき、現地施工時にユニットにたわみ用架台4で力を加えて一方向にたわみを与える等の方法が好ましい。より具体的には、固定架台1の間に配置するたわみ用架台4を、固定架台1同士を結ぶ直線上より水平方向にずらしてシース管2を配置したり、たわみ用架台4の高さを変えて前記直線上より垂直方向にずれてシース管2を配置することが挙げられる。
【0023】
(5)シース管の各ユニットに少なくとも1個所の鈍角曲がり部を形成し、これら複数本のユニットを組み合わせることで線路全体としてスネーク状に構成する。
【0024】
線路のスネーク形態を複数のシース管ユニットによって構成する場合、同じ形状のシース管ユニットを組み合わせることによって構成できれば、ユニット形状の統一が図られ、部品や組立でのコストダウンや施工容易等の効果が生じる。前記(2)の構成には、鈍角曲げ部を有するユニットと直線ユニットとの組合せも含まれるが、この(5)の構成ではユニット形状の統一が可能となる。
【0025】
各ユニットの形状と組合せ例としては次のものが挙げられる。図4、図5における矢印区間は1ユニットを示している。図4→ユニットの一端側に1個所の鈍角曲がり部3を有するユニットを交互に組み合わせる。
【0026】
図5(A)→ユニットの両端部に合計2個所の鈍角曲がり部3を有するユニットを交互に組み合わせる。この場合、ユニット各端部の曲がり方向は互いに逆になっており、いわばS型に変形されている。
【0027】
図5(B)→ユニットの両端部に合計2個所の鈍角曲がり部3を有するユニットを交互に組み合わせる。図5(A)と異なる点はユニット各端部の曲がり方向を同じとしたことである。従って、各ユニットの形状はほぼ〔型となっている。
【0028】
(6)シース管を、その軸方向への移動を規制する複数の固定架台と、固定架台の間に配置される少なくとも1つの移動架台でほぼ直線状に支持する。そして、移動架台は、シース管を所定の方向にたわみ変形させるため、シース管の軸方向への移動を規制する機構と、この軸方向と直交する方向のうち一方向のみにシース管の移動を許容する機構とを具える。
【0029】
上記(1)〜(5)の構成は、線路自体をスネーク状に形成するものであったが、この構成であれば、初期状態は直線状の線路形態であっても所定の方向にシース管をたわませることが可能で、伸縮時に線路をスネーク状に変形させることができる。
【0030】
また、本発明は、上記の伸縮吸収構造に最適なGIL用架台として、次の構成をも特徴とする。
【0031】
(A)シース管の軸方向への移動を規制する機構と、この軸方向と直交する方向のうち一方向のみにシース管の移動を許容する機構とを具える管路気中送電線用架台。
【0032】
GILは一般に固定架台と移動架台の2種類の架台によって固定されている。固定架台はGILシース管に溶接された固定金具をボルト締結にて架台に固定するか、あるいは当該固定金具を溶接にて架台に固定し、シース管の挙動を全方向について固定するものである。一方、移動架台は、GILの自重を支えると共に軸方向へのスライドを可能としたものである。
【0033】
しかし、単にGILの軸方向への移動を許容する従来の移動架台ではGILのたわみ変形に十分対応することができない。すなわち、GILをスネーク状に変形、挙動させるためには、GILの軸方向と直交する方向への挙動をスムーズに行う必要がある。特に、スネーク状線路の節以外の個所を支持する架台にはたわみ変形に伴うシース管の移動を許容できなければならない。それには、たわみ変形の方向を一方向に制限し、かつ軸方向には固定することが必要となる。
【0034】
自重のみを支える受け台構造のみであれば、いずれの方向にGILがたわむかわからない。例えば、固定架台間に2個所のたわみ変形個所を設定した場合に軸方向のスライドも許容したのでは、2個所のたわみ部分の機械的な強度の強弱によって弱い方のみに応力が集中してしまうことが起こりうる。そこで、固定架台区間の途中の架台には、軸方向への移動を制限しつつ、たわみ変形方向には移動を許容する架台が必要となり、これによりスムーズかつ均等なたわみ変形が可能となるのである。
【0035】
(B)シース管の軸方向への移動および軸方向と直交する方向への移動を規制する機構と、シース管の中心軸と直交する軸を回転軸とする回転機構とを具える管路気中送電線用架台。
【0036】
固定架台をスネーク変形の節に当たる部分におく場合、シース管を固定する点ではシース管の軸を回転させるトルクが加わり、シース管や固定金具および架台をそれに耐える強度とすることが必要となる。そこで、架台を回転可能とすれば、かかるトルクは加わらず、スムーズな挙動を実現できる。図6(A)に示すように、固定架台1に回転機構がなければ、シース管2のたわみ変形により固定架台1には歪が生じる。これに対して、図6(B)に示すように、シース管2の中心軸と直交する軸を回転軸とし、シース管2のたわみ変形に対応して回転するように構成すれば、固定架台1における歪の発生を抑制することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1)
図7は本発明伸縮構造をもつGIL線路の説明図である。ここでは1つのユニットにおける両端部に同じ角度で曲がり方向が180度異なる2個所の鈍角曲がり部3を設けたシース管2のユニットを用いた。このユニットを接続部6を介して複数連結し、線路全体をスネーク形状とした。このような線路は、同方向の2個所の鈍角曲がり部3を持つユニットや一個所の鈍角曲がり部のみを有するユニットであっても同様に構成できる。また、鈍角曲がり部3の角度は全体のレイアウトに応じて個々に調整すればよい。
【0038】
GIL材料としては通常用いられているGILと何ら変わるところはなく、シース管2はアルミ合金が一般的である。鈍角曲がり部3は溶接により構成するものと、シース管2を曲げて構成するものがあるが、いずれを用いてもよい。GILユニットの長さは本例では18mとしたが、長さの制約は無い。なお一般的に実用あるいは検討されているGILユニットは最長でも18m程度である。もちろん、シース管内には絶縁体として高圧ガスが封入され、ガス中に導体管がスペーサで支持されていることも従来のGILと同様である。
【0039】
GIL線路は上記ユニットを順次向きを変えて接続することにより構成される。接続は一般のGILと同じく、ボルトによるフランジ接続、溶接フランジ接続、差込溶接接続などの方法が用いられる。
【0040】
GILは架台によって地面に固定されるが、架台には一般に固定架台1A,1B,1Cと移動架台5A,5Bが用いられる。固定架台1A,1B,1Cはシース管2を全方向にわたって固定するものであり、ボルトあるいは溶接等の方法でシース管を固定する。移動架台5A,5Bはシース管2の自重を支えると共に水平方向あるいは垂直方向のシース管2の移動を許容するもので、極簡単な受け台構造のほか、シース管2をバンド金物で把持した上でその金物が架台上を滑りやすくしたものなどがある。一般的には移動架台5A,5BはGILの軸方向の滑りを許容し、シース管2の直交する方向への動きおよび垂直上方への跳ね上がりを制限するものが多い。ここでは固定架台1A,1B,1Cと移動架台5A,5Bとを交互に用いた。
【0041】
本例では9m毎に架台を設けてGILを支え、1つおき、すなわち18m毎に1つの固定架台1A,1B,1Cをおいている。本発明の実施形態としては、隣接する固定架台同士1A,1B,1Cの間に少なくとも1つの鈍角曲がり部3あるいはたわみ許容部を有しており、それが繰り返された線路構成であればよい。その条件下で、できるだけ短い間隔にシース管を固定することがたわみ量を少なくする点で効果的である。ただし、固定架台数を減らす意味で、例えば図の固定架台1Bの代わりに移動架台を用いて、架台1Aと1Cの間で伸縮吸収構造を構成してもよい。
【0042】
本例のGILのたわみについて固定架台1A−1B間の動きを代表して説明する。この動作については架台1B−1C間も同様である。
【0043】
GILに通電するとGIL自体の温度が上昇してシース管が伸びる。ここで、移動架台5A,5Bは受け台上をGILが自由にスライドできる構造であるため、1A−1B 間の伸びにより接続部6を含む鈍角曲がり部が変形して伸びを吸収することができる。この場合、固定架台1B には1A−1B 間の伸びによる力と1B−1C 間の伸びによる力が逆方向に加わり打ち消すことにより大きな力は加わらない。
【0044】
例えば、ユニット長18mで鈍角曲がりの角度を15度とし、通電によるシース管の温度上昇を10℃とすれば、架台1A−1B 間のシース管の伸びは、アルミの線膨張係数23×10−6から求めると約4mmとなる。簡単のために鈍角曲がり部3を18mの中間地点における角度30度の1点の曲がりと見なすと、このとき変形による軸直角方向への張り出し変形量は、約7mmとなる。このときパイプに加わる応力は,解析によると約270kg/cmとなり、パイプとして耐え得る値である。
【0045】
なお、このような張り出し変形量は、GILの固定架台間隔やその間に含む曲がり部の数および曲げ角度により任意に設計可能であり、布設場所の空間的余裕等を考慮して、使用するシース管に許容される応力の範囲で設計すればよい。
【0046】
(実施例2)
図8は鈍角曲げ部を持たない直線ユニットで線路を構成し、シース管自体のたわみで伸びを吸収するようにした本発明吸収構造の説明図である。この線路は初期状態では直線状(固定架台1Aと1Bを結ぶ直線)であるが、熱膨張に伴ってスネーク状にたわむことで伸縮の吸収を行う。本例では固定架台1A,1Bを1つおきの現地接続部に設け、固定架台間には3つの移動架台5A〜5Cを設けた場合を示している。
【0047】
移動架台5A〜5C はGILを軸方向へはスライドさせず、軸直角方向の一方向のみにスライド可能とする構造とする。これにより、GILの自由な変形を制限して設計した所要方向のみにたわませることが可能である。例えば、移動架台5A〜5C は、図8の下方にのみシース管をスライドさせる機構を持たせている。このスライド機構は、地面上に固定される架構の上面にレールを設け、このレール上をスライドするベースにGILを固定することなどにより構成すれば良い。
【0048】
さらにGIL設置時に全体が直線状態である場合に、移動架台5Bを図8の下方にわずかにGILをたわませるように力を加えて固定しておくことが好ましい。すなわち、図8の上方へはストッパーを設けて下方へのみ自由にスライド可能とすることにより、通電時にGILが伸び始めた際に、初期的なわずかなたわみの方向へスムーズにたわみが増加する。
【0049】
図9は図8と同様にGIL全体をたわませる場合であるが、固定架台1A〜1Dの位置を1つおきとして、GILを交互に逆の方向にたわませるようにした例である。各固定架台の間には移動架台5A〜5Cが配置されている。
【0050】
この場合を例にGILの固定架台1A〜1Dによる支持部分について検討する。例えば、GILシース管に架台1A〜1Dの一部である固定金具を溶接した個所には、架台1A〜1Dの固定金具両側で逆方向の局所的な歪みが加わることになる。この歪みはシース管全体の自然なたわみに比べて局所的であるため、当該個所のみのシース管の補強を行うなどの対策が必要に応じて可能である。しかし、図10に示すように、固定架台1A〜1Dをシース管2の中心軸をと直交する軸6を回転軸として回転できる構造とすれば、GILのたわみに応じて固定金具1A〜1Dが回転し、GILには無理な力が一切かからない。
【0051】
この回転式固定架台の具体的構成を図11に示す。GIL20には脚部21が溶接され、この脚部21の下方にはベース22が一体化されている。このようなベース22は地面に固定される架構23上に設置される。架構23の上面には回転軸24が突設され、ベース22の下面には回転軸24がはめ込まれる軸孔が形成されている。従って、架構23に対してGIL20は回転自在に取り付けられることになる。また、ベース22は両端部が円弧状に形成された板状体である。架構23の上面にはベース22の両端部を部分的に覆う押え金具25が固定されており、GIL20の跳ね上がりに伴ってベース22が回転軸24から抜けることを防止する。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、管路気中送電線を固定架台間でたわませることにより、シース管の伸縮を吸収できる。その際、ベローズなどの特別な機構を用いる必要がなく、線路のレイアウトにも左右されないため、極めて安価にシース管の伸縮吸収構造を構成できる。
【0053】
また、本発明管路気中送電線用架台は、シース管をたわませることで伸縮吸収を行うGILの支持に最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明吸収構造のGIL線路を示す概略図で、(A)はスネーク状にたわんだ場合、(B)は波型にたわんだ場合を示している。
【図2】シース管に鈍角曲がり部を有する本発明吸収構造のGIL線路を示す概略図である。
【図3】固定架台の間にたわみ用架台を設けた本発明吸収構造のGIL線路を示す概略図である。
【図4】各ユニットに1個所の鈍角曲がり部を有する本発明吸収構造のGIL線路を示す概略図である。
【図5】各シース管ユニットに2個所の鈍角曲がり部を有する本発明吸収構造のGIL線路を示す概略図で、(A)は曲がり部の曲げ方向が異なるユニットを用いた場合、(B)は曲がり部の曲げ方向が同一のユニットを用いた場合を示す。
【図6】本発明吸収構造のGILの固定架台における歪の発生の仕方と歪を抑制する手段の説明図である。
【図7】本発明吸収構造を有するGILの概略図である。
【図8】初期状態の配置形状が直線状である本発明吸収構造を有するGILの概略図である。
【図9】図8のGILにおいて固定架台と移動架台を交互に配置した線路を示す概略図である。
【図10】移動架台の回転機構を示す説明図である。
【図11】本発明の回転式固定架台を示し、(A)は側面図、(B)は平面図である。
【図12】ベローズを具えた従来のGIL線路の概略図で、(A)はベローズ収縮時、(B)はベローズ伸長時を示す。
【図13】線路の曲げ部の変形により伸縮を吸収する直角状のGIL線路を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1A〜1D 固定架台
2 シース管
3 鈍角曲げ部
4 たわみ用架台
5A〜5C 移動架台
6 接続部
7 回転軸
10 ベローズ
11 曲がり部
20 GIL
21 脚部
22 ベース
23 架構
24 回転軸
25 押え金具

Claims (11)

  1. シース管の中に絶縁体として高圧のガスを封入し、ガス中に導体管を設けた管路気中送電線の伸縮吸収方法において、
    シース管を、その軸方向の移動を規制する複数の固定架台で固定し、
    各固定架台区間におけるシース管を、隣接する固定架台同士を結ぶ直線上からずれた位置に配置することで、各固定架台区間におけるシース管をたわみ変形させて管路気中送電線の伸縮を吸収することを特徴とする管路気中送電線の伸縮吸収方法。
  2. シース管の中に絶縁体として高圧のガスを封入し、ガス中に導体管を設けた管路気中送電線の伸縮吸収方法において、
    シース管は、その軸方向への移動を規制する複数の固定架台と、固定架台の間に配置される少なくとも 1 つの移動架台でほぼ直線状に支持し、
    移動架台は、シース管の軸方向への移動を規制するが、この軸方向と直交する方向のうち一方向のみにシース管の移動を許容して、
    各固定架台区間におけるシース管をたわみ変形させることで管路気中送電線の伸縮を吸収することを特徴とする管路気中送電線の伸縮吸収方法。
  3. シース管の中に絶縁体として高圧のガスを封入し、ガス中に導体管を設けた管路気中送電線の伸縮吸収構造において、シース管は、その軸方向の動きを規制する複数の固定架台で固定され、各固定架台区間におけるシース管は、たわみ変形することで伸縮を吸収できるよう、隣接する固定架台同士を結ぶ直線上からずれた位置に配置されたことを特徴とする管路気中送電線の伸縮吸収構造。
  4. 各固定架台区間におけるシース管は、連続した複数の固定架台区間において交互に異なる方向にずれて配置され、管路気中送電線路全体としてスネーク状に構成されていることを特徴とする請求項3記載の管路気中送電線の伸縮吸収構造。
  5. 各固定架台区間のシース管に少なくとも1個所の鈍角曲がり部を設け、管路気中送電線路全体としてスネーク状に構成したことを特徴とする請求項3記載の管路気中送電線の伸縮吸収構造。
  6. シース管は溶接により接続され、鈍角曲がり部は、この溶接接続部における角度裕度を利用して形成されたことを特徴とする請求項5記載の管路気中送電線の伸縮吸収構造。
  7. シース管の各ユニットに少なくとも1個所の鈍角曲がり部を設け、これら複数本のユニットを組み合わせて管路気中送電線路を構成したことを特徴とする請求項5記載の管路気中送電線の伸縮吸収構造。
  8. 各固定架台区間のシース管をあらかじめ湾曲させ、管路気中送電線路全体としてスネーク状に構成したことを特徴とする請求項3記載の管路気中送電線の伸縮吸収構造。
  9. シース管の中に絶縁体として高圧のガスを封入し、ガス中に導体管を設けた管路気中送電線の伸縮吸収構造において、シース管は、その軸方向への移動を規制する複数の固定架台と、固定架台の間に配置される少なくとも1つの移動架台でほぼ直線状に支持され、前記移動架台は、シース管を所定の方向にたわみ変形させるため、シース管の軸方向への移動を規制する機構と、この軸方向と直交する方向のうち一方向のみにシース管の移動を許容する機構とを具えることを特徴とする管路気中送電線の伸縮吸収構造。
  10. シース管の軸方向への移動を規制する機構と、この軸方向と直交する方向のうち一方向のみにシース管の移動を許容する機構とを具えることを特徴とする管路気中送電線用架台。
  11. シース管の軸方向への移動および軸方向と直交する方向への移動を規制する機構と、シース管の中心軸と直交する軸を回転軸とする回転機構とを具えることを特徴とする管路気中送電線用架台。
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