JP3633989B2 - 絶縁性セラミックスの放電加工方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、絶縁性セラミックスに対して、穴や複雑立体形状を加工するための放電加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
絶縁性セラミックスの放電加工方法については、その一例が特開昭63−150109 号公報に開示されている。この特開昭63−150109 号公報開示の方法は、導電性物質を事前に被加工物たる絶縁性セラミックス表面に形成する事によって被加工物である絶縁性セラミックスを放電加工する方法である。絶縁性セラミックスの加工は、被加工物である絶縁性セラミックスの表面に形成された導電性物質と加工電極との放電による熱によって生じた加工油中の炭素及び導電性物質の導電体粉が絶縁性セラミックスに付着乃至含浸せしめられて形成された導電層と加工電極の間で放電を繰り返し行うことにより、電気絶縁体としてのセラミックの放電加工を実施するものである。
【0003】
しかしながら、この放電加工方法では、使用する絶縁性セラミックス及びその表面に形成させる導電層の種類によっては放電加工が進行しないことを認めた。例えばAl2O3 よりなる絶縁性セラミックスの表面にCu よりなる導電層を形成させて放電加工すると、Cu を主体とする導電層が溶出し、Al2O3 の表面に付着乃至含浸することなくAl2O3 が露出するため放電が生じなくなり、放電加工が進行しない。従って、従来の方法では、絶縁性セラミックス及びその表面に形成させる導電層の種類が重要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
絶縁性セラミックスの放電加工方法には、上記のような欠点があった。本発明は、従来方法の欠点を改良し、絶縁性セラミックスの種類に関係なく高速・高精度で絶縁性セラミックスを放電加工する方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者は、絶縁性セラミックスの放電加工方法において、各種絶縁性セラミックスと各種導電性物質との組み合わせに着目し実験を重ねた結果、絶縁性セラミックスが放電加工される理由を解明し、本発明に至った。即ち、絶縁油中で絶縁性セラミックスが放電加工されるのは、加工油が熱分解して生成した炭素と絶縁性セラミックスまたは導電性物質に含有される導電性炭化物を形成できる元素とが反応して、導電性の炭化物層を形成し、これが絶縁性セラミックスの表面に付着または含浸することによりその効果を向上させることを見いだした。
【0006】
従って、導電性炭化物を形成する元素を含有する絶縁性セラミックスにおいては、被加工物表面に形成する導電性物質は導電性がある物質ならば何でもよい。なぜなら、導電性物質は放電を開始させるトリガーの役目をはたすにすぎず、後の放電を維持し放電加工を可能としているのは、導電性炭化物であるから、絶縁性セラミックス中に含まれる導電性炭化物を形成する元素が加工油が分解して生成した炭素と結合して導電性炭化物を形成するからである。
【0007】
しかしながら、導電性炭化物を形成する元素を含有しない絶縁性セラミックスの放電加工では放電は維持されず放電加工は不可能となる。そこで、該絶縁性セラミックスの加工表面に導電性炭化物を形成する金属の単体または2種以上の金属が積層された層を形成したのち放電加工することとした。
【0008】
この場合、放電により加工油が熱分解して生成した炭素と表面に形成した金属元素が反応し、導電性炭化物を形成し、それが絶縁性セラミックスの加工表面に付着または含浸されるため放電が維持され、導電性炭化物を形成する元素を含まない絶縁性セラミックスの放電加工も可能とすることができる。
【0009】
尚、導電性炭化物が形成できる金属元素のみを、絶縁性セラミックス表面に形成しても放電加工は可能であるが、これら金属元素は比電気抵抗が高く、そのため、電気伝導度が低くなるので、電気伝導度を感知して行う放電加工では、加工電極と被加工物が接触(短絡)する場合がある。
【0010】
そこで、被加工物の加工面に形成する金属層を多層とし、最外層を比電気抵抗の低いAl 、Cu 、Ag など金属層とし、内部の少なくとも1層を導電性炭化物を形成できる金属元素とすることによって、導電性炭化物を形成する金属元素を含まない絶縁性セラミックスの放電加工を確実に且つ容易に行うことができる。
【0011】
また、最下層に絶縁性セラミックスとの密着性に優れた金属元素の層を形成することによって高精度な放電加工をも可能にすることができる。
【0013】
本発明の方法は、絶縁性セラミックスの表面に形成する金属層を多層とし、最外層を比電気抵抗率の低い金属元素層、望ましくは、Al 、Cu 、Ag の1種または2種以上の金属層とし、多層の少なくとも1層を導電性炭化物を形成できる金属層、望ましくはW、Ti 、Zr 、Nb 、Mo 、Ta 、Hf の1種または2種以上の金属層としたセラミックスを使用する絶縁性セラミックスの放電加工方法を提供するものである。
【0014】
以下実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
【実施例】
本発明と従来の方法の違いを明らかにするため、導電性炭化物を形成する元素を含有しない絶縁性セラミックスを両者の方法で放電加工を実施した。各々の加工方法の構成図を図1〜図3に示す。導電性炭化物を形成する元素を含有しない絶縁性セラミックス1に、アルミナ(Al2O3)を用いた。従来技術では、アルミナの上に、銅(Cu) の層3を1層形成した(図1)。また、本願第1の方法では、アルミナ1の上に、ニオブ(Nb)の層2を1層形成した(図2)。本願第2の方法では、アクミナ1の上にニオブ(Nb)の層2を、更にその上に銅(Cu) の層3を形成し、導電層を2層とした(図3)。図中、4は加工電極を示している。これら方法の放電加工結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
従来技術では、アルミナを放電加工することができない。単発放電が導電層との間で生じたが、それ以後放電は生じず、加工電極が被加工物と接触し、導電層が削り取られた状態を示した。得られた結果を図8に示したが、導電層3と導電層3の溶出した加工部アルミナ1が認められる。
【0017】
本願第1の方法(図2)により放電加工したとき、加工電極が導電層と一時的に接触したが、一度放電が生じてからは放電が維持され加工が進行した。得られた結果を図9に示したが、導電層3と放電加工された部分9が認められた。
【0018】
次に、アルミナ(Al2O3)を本願第2の方法(図3)により、放電加工したときの加工面のX線回折結果を図4に示す。図4から、導電性炭化物NbC の存在が確認された。
【0019】
また、加工断面のエネルギー分散型X線面分析結果概要を図5に示す。加工穴側面は、表層5(絶縁油から分離凝固したカーボン層)、中間層6(導電性炭化物NbC 層)及び母層1(絶縁性セラミックスAl2O3 層)の3つの層に分かれている。即ち、導電性炭化物層が放電により連続的に形成されるために、放電加工が可能になったと考えられる。
【0020】
図6には、導電性炭化物を形成する元素を含有する絶縁性セラミックス(ここではYSZ(イットリウム安定化ジルコニア) )を本発明により放電穴加工したときの加工穴側面のX線回折結果を示す。放電加工していないものと比較すると、放電加工したものはZrCが形成されていることが分かる。
【0021】
また、放電加工したままの状態における貫通穴側面のエネルギー分散型X線面分析結果概要を図7に示す。加工穴側面は、表層5(絶縁油から分離凝固したカーボン層)、中間層7(導電性炭化物ZrC 層)及び母層8(絶縁性セラミックスYSZ 層)の3つの層に分かれている。即ち、導電性炭化物層が放電により連続的に形成されるために、放電加工が可能になったと考えられる。
【0022】
【発明の効果】
従って、絶縁性セラミックスの表面に導電性炭化物を形成できる金属層、望ましくはW、Ti 、Zr 、Nb 、Mo 、Ta 、Hf の1種または2種以上の金属層を形成させたセラミックスを使用することによって、絶縁性セラミックスの種類に関係なく、高精度な放電加工方法を提供することができる。
【0023】
また、絶縁性セラミックスの表面に形成する金属層を多層とし、最外層を比電気抵抗率の低い金属元素層、望ましくは、Al 、Cu 、及びAg の1種または2種以上とし、その多層内部の少なくとも1層を導電性炭化物が形成できる金属層、望ましくはW、Ti 、Zr 、Nb 、Mo 、Ta 、Hf の1種または2種以上の金属層としたセラミックスを使用することによって、高精度な放電加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の絶縁性セラミックスの放電加工方法の構成図である。
【図2】第1の方法による絶縁性セラミックスの放電加工方法の構成図である。
【図3】第2の方法による絶縁性セラミックスの放電加工方法の構成図である。
【図4】導電性炭化物を形成する元素を含まないセラミックスを放電加工した後の加工面のX線回折結果を示すグラフ図である。
【図5】導電性炭化物を形成する元素を含まないセラミックスを放電加工した後の加工断面のエネルギー分散型X線面分析結果を示す断面図である。
【図6】導電性炭化物を形成する元素を含むセラミックスを放電加工した後の加工面のX線回折結果を示すグラフ図である。
【図7】導電性炭化物を形成する元素を含むセラミックスを放電加工した後の加工断面のエネルギー分散型X線面分析結果を示す断面図である。
【図8】図1の方法により得られた絶縁性セラミックス加工後のパターンを示す図である。
【図9】本願発明の図2の方法により得られた絶縁性セラミックス加工後のパターンを示す図である。
【符号の説明】
1 導電性炭化物を形成する元素を含有しない絶縁性セラミックス
2 導電性炭化物を形成できる導電性物質
3 導電性物質
4 加工電極
5 加工油から熱分解して生成した炭素の層
6 セラミックスの表面に形成した導電性炭化物を形成できる元素と加工油から熱分解して生成した炭素が結合して生成した導電性炭化物の層
7 セラミックスに含有する導電性炭化物を形成できる元素と加工油から熱分解して生成した炭素が結合して生成した導電性炭化物の層
8 導電性炭化物を形成できる元素を含有するセラミックス
9 放電加工された部分
Claims (3)
- 絶縁油中において行われる絶縁性セラミックスの放電加工方法において、絶縁性セラミックスの表面に多層の金属層を形成させ、該多層の金属層の少なくとも1層を導電性炭化物を形成できる金属層とし、かつ最外層を比電気抵抗率が低い金属元素層としたセラミックスを使用することを特徴とする絶縁性セラミックスの放電加工方法。
- 導電性炭化物を形成できる金属層が、Ti、Nb、W、Hf、Zr、Mo、又はTaである請求項1に記載の絶縁性セラミックスの放電加工方法。
- 最外層がAl、Cu、又はAgである請求項1に記載の絶縁性セラミックスの放電加工方法。
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