JP3632080B2 - プローブ型光ファイバセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファイバ自身を先鋭化したプローブ型センサに関する。プローブ形センサは、マイクロマニピュレーション分野、たとえば微細組立、微細手術、細胞操作といった微小対象物を扱う指先として利用し、先端における変位、圧力、荷重、加速度といった局所的な物理量を計測する。
【0002】
【従来の技術】
従来の力センサはある形状をもった剛体に歪みゲージを張り付けることで、剛体に加わった力による歪みを計測し力を測定する。そのため多方向の力の計測には複雑な剛体形状が必要であり、複数個の歪みゲージを付加する必要がある。また電気信号による計測のためノイズに弱いといった欠点を持つ。
また従来のファイバを使ったセンサは、通常ファイバ先端に反射するための光回路が必要である。これはファイバ内を通るレーザー光を反射させるためで、これにより、光干渉を使ってファイバの歪みを計測する。そのためその光回路の分、先端のプローブ化は困難である。また多方向の力計測も、その分だけ光回路が必要となり、困難である。
【0003】
光回路を必要とせずファイバ内を通るレーザー光を反射させる方法としてファイバーグレーティング(FBG)を使うことができる。FBGは、コアとクラッドから構成されるファイバのコアの一部を紫外線処理し、光ファイバコアの光伝搬方向に屈折率変調を与えることで、特定の波長を反射することができる。またグレーティング処理された部分に歪みが加わると、その歪み分だけ反射される波長がシフトするため、その反射光の波長シフト分を計測することで、ファイバに加わる歪みを計測することができる。ただし、その歪み方向はファイバの伸縮方向のみであり、これをセンサとして使用する場合、歪みを計測したい部材表面に固定することで、その部材に加わる力を計測する。これより、プローブ型のファイバセンサとしてファイバ単体で使用したい場合は、伸縮方向のみの歪みしか計測できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、ファイバグレーティング(FBG)という特殊なファイバは、ファイバのコア内で、ある特定の波長の光を反射し、その反射光の波長はファイバの歪みに応じてシフトするため、特別なデバイスを必要とせずにファイバの歪み計測ができるが、ファイバの圧縮、引っ張りの歪み方向のみの計測である。そのためファイバの曲げに対する歪みは何らかの部材にファイバを固定しなければ計測できず、プローブ型が困難である。
【0005】
図5に示すように、通常のFBGに光軸に対して垂直に力を加えると、曲げの中心がコア部の中心になるために、ファイバを曲げても計測光の行路差は生まれない。よって力の計測ができない。
そこで、本発明は、係る問題点を解決して、グレーティング処理されたファイバを用いて、ファイバの曲げに対する歪みを計測することのできるプローブ型光ファイバセンサを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、グレーティング処理した場所のファイバ表面に対し、何らかの剛性の偏りを施す。ファイバ単体で曲げ方向に対する力が計測できない理由は、曲げ中心がコアの中心と一致してしまうためである。そこで、ファイバに対し剛性の偏りを作れば曲げ中心がコアからずれるため、コア部に圧縮または引っ張りの歪みが発生し、曲げ方向の力計測が可能となる。そこでグレーティング処理されているファイバの片面に対し、薄膜、接着剤、といった剛性の偏りを与える物を張り付け形状を変える、あるいはファイバのクラッド部分を研磨、エッチング処理し形状を変化させる方法を利用し、グレーティング処理部の剛性に偏りを持たせることで曲げ方向の力の計測を可能とする。
【0007】
また、一本のファイバに波長の異なるグレーティング処理を複数箇所おこない、それぞれ異なる方向の面に対し同様の加工をし、そのそれぞれの波長シフトを計測することで、多軸の歪みを1本のファイバでおこなうことができる。よって容易に多軸型プローブセンサが製作可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を例示に基づき説明する。図6は、本発明に用いるファイバグレーティング(FBG)の原理を示す図である。FBGとはファイバコア上に周期的な屈折率変化を形成したもので,その周期に対応した特定の波長のみを反射するファイバである。このファイバの製造方法は,側面から照射された紫外線による干渉縞をファイバ上において形成し,そのパターンが光誘起屈折率変化によりファイバ中に書き込まれ、周期的な屈折率変化を形成する。この屈折率変化パターンにより、ある波長を持った光だけ反射される。通信分野ではこれを希望とする波長のバンドパスフィルタとして使用している。図7は、本発明に用いるファイバグレーティング(FBG)の歪みの計測原理を示す図である。グレーティング処理された部分に歪みが加わると、その歪み分だけ干渉縞パターンの間隔が変化するため、反射される波長がシフトする。その反射光の波長シフト分を計測することで、ファイバに加わる歪みを計測することができる。ただし、その歪み方向はファイバの伸縮方向のみであり、これをセンサとして使用する場合、歪みを計測したい部材表面に固定することで、その部材に加わる力を計測する。すなわち、プローブ型のファイバセンサとしてファイバ単体で使用したい場合は、伸縮方向のみの歪みしか計測できない。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施例を示す図である。グレーティング処理した場所近辺のファイバクラッド表面に対し、何らかの剛性の偏りを施す。たとえば、図示したように、付加物質として接着剤を塗布、スパッタリングなどで金属膜を形成、または表面を削るといった方法が考えられる。表面に何らかの物質を付着させる場合は、剛性の偏りを持たせるだけの理由のため、どのような物質でもかまわない。これにより、ファイバ表面に剛性の違いが現れ、曲げの中心がコア中心とずれることで、ファイバコアに曲げによる伸縮方向の歪みが加わり、曲げ方向の歪みが計測できる。このため、表面を削り、或いは物質を付着させる大きさ或いは範囲は、曲げの中心がコア中心とずれるのに十分なものにする必要がある。図中、一点鎖線により、曲げ中心を表している。
【0010】
このように、グレーティング処理されたファイバ表面半面を削る、もしくは何らかの部材を張り付けることでファイバと鉛直方向からの変位、圧力、荷重、加速度の物理量を計測することができる。また、ファイバの先端を先鋭化することで、極局所的な先端の物理量を計測可能となる。
【0011】
図2は、本発明の第2の実施例を示す図である。ファイバの曲げ方向は剛性の偏りの向きに一致するため、一本のファイバに波長の異なるグレーティング処理を複数箇所おこない、それぞれ異なる方向の面に対し同様の加工をし、そのそれぞれの波長シフトを計測することで、多軸の歪みを1本のファイバでおこなうことができる。よって容易に多軸型プローブセンサが製作可能となる。またファイバのクラッド部をエッチングなどで細くし、同様の加工をすることでより高感度なセンサが可能である。また光による計測であるためノイズに強く、微小な歪みも計測可能である。図示の例では、3カ所にグレーティング処理をし、2カ所に目的となる加工をすることで、3方向の物理量による歪みが計測できる。
このように、ファイバのグレーティング処理を複数箇所おこない、それぞれ第1の実施例と同様な加工をする面を、異なる向きに施すことで1本のファイバによる変位、圧力、荷重、加速度に対する多軸センサが可能となる。
【0012】
図3は、本発明の第3の実施例を示す図である。ファイバのグレーティング処理を含めた部分のクラッドの部分をエッチングもしくは研磨によりコア径に届かない程度まで細くする。その分、ファイバ自身の剛性が低くなり、同じ変位、圧力、荷重、加速度の物理量変化であっても、太いファイバより歪み量が増加する。そのためより微小な物理量変化も測定可能となり高感度が実現できる。上記第2の実施例と合わせることで高感度多軸センサも可能となる。
【0013】
図4は、本発明の第4の実施例を示す図である。ファイバのグレーティング処理以降のファイバ先端をエッチングもしくは研磨により先鋭化させる。これにより極局所的な先端部における変位、圧力、荷重、加速度の物理量変化を計測できる。上記第3の実施例と合わせることで高感度センサも可能であり、第2の実施例と合わせることで多軸センサとしても可能である。
【0014】
【発明の効果】
先端に特別なデバイスが必要ないためファイバ自身を針状に加工することで非常に先鋭化したプローブ型センサが作成可能である。そのため極局所的な変位、圧力、荷重、加速度といった物理量の計測が可能となる。
目的とする加工は、ファイバの表面を削る、もしくは部材を張り付けるだけであるため、一本のファイバに波長の異なるグレーティング処理を複数箇所おこない、それぞれ異なる方向の面に対し加工をすることで、プローブ型の多軸センサが容易に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施例を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施例を示す図である。
【図5】従来技術の問題点を説明するための図である。
【図6】本発明に用いるファイバグレーティング(FBG)の原理を示す図である。
【図7】本発明に用いるファイバグレーティング(FBG)の歪みの計測原理を示す図である。

Claims (4)

  1. コアとクラッドから構成されて該コアの一部がグレーティング処理されたファイバを備え、このファイバに対する鉛直方向からの物理量に応じてファイバコアが曲がることによる曲げ方向の歪みを計測するプローブ型光ファイバセンサにおいて、
    このグレーティング処理されたコア部分の外周に位置するクラッド表面の一部を、研磨又はエッチング処理等により形状を変化させて、もしくは該クラッド表面の一部に部材を張り付けて、
    ファイバ表面に剛性の偏りを施して、曲げの中心をコア中心とずらすことを特徴とするプローブ型光ファイバセンサ。
  2. 前記ファイバのグレーティング処理を複数箇所おこない、それぞれ加工面を異なる向きに施すことで1本のファイバにより多軸センサを可能にした請求項1に記載のプローブ型光ファイバセンサ。
  3. 前記ファイバのグレーティング処理を含めた部分のクラッドの部分をコア径に届かない程度まで細くした請求項1又は2に記載のプローブ型光ファイバセンサ。
  4. 前記ファイバのグレーティング処理以降のファイバ先端を先鋭化させた請求項1〜3のいずれかに記載のプローブ型光ファイバセンサ
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