JP3631987B2 - 抄紙機の汚れ防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄紙機の紙層形成装置(フォーマ)や脱水装置(プレスパート)からなるウェットエンド部のワイヤ又はプレスベルトの走行路の周辺に配設された各種機器が周辺のミスト雰囲気により汚染されることを防止する、抄紙機の汚れ防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
抄紙機のフォーマ及びプレスパートからなるウェットエンド部では、特に紙匹や湿紙を搬送するワイヤやプレスベルトの走行路周辺は、この紙匹などから発生したミストによって覆われている。このミストには紙原料液中の紙料粕などの固形成分(汚れ成分)が含まれているため、フォーマのワイヤやプレスパートのプレスベルトの走行路周辺に配置される各種機器にミスト中の固形成分が付着してしまう。
【0003】
このような固形成分は、運転時間の経過に応じて堆積量が増加し、且つ濃縮された状態になる。そして、堆積量の増加に応じて、濃縮した固形成分がこの周辺機器の下面や側面からワイヤに落下したり、或いはプレスベルト上の湿紙に直接落下したりして、紙欠陥や断紙の原因となる。このため、従来より、抄紙機の汚れ防止装置が開発されている。
【0004】
ここで、従来の抄紙機汚れ防止装置を説明するにあたり、汚れ防止装置が適用されるツインワイヤフォーマの構成の一例を図6を参照して説明する。
図6に示すように、紙原料液2がヘッドボックス1から噴射され、フォーミングロール16とブレストロール17とによってガイドされたトップワイヤ3とボトムワイヤ4との2枚のワイヤによって形成されるギャップに挟み込まれる。そして、フォーミングロール16のワイヤラップ範囲16aでの真空吸引とワイヤ3,4のワイヤ張力による挟み込み圧力とによって初期脱水が行なわれるとともに、真空吸引が解けてフォーミングロール16及びブレストロール17の周方向に飛び散ったスプラッシュがデフレクタ20bに誘導されてそれぞれセーブオール20,20内に回収される。さらに、2枚のワイヤ3,4に挟まれた紙原料液2は、下流に設置された第1脱水機器5におけるパルス状の脱水圧力の作用によりワイヤ3,4の両側への脱水が同時に行なわれ、更に、下流の第2脱水機器6における真空の作用により脱水が促進される。このように紙原料液2から水分が除去されていくことにより紙匹が形成される。そして、ボトムワイヤ4のループ内に設けられた第3脱水機器7によって脱水が行なわれる。
【0005】
紙匹は、更に、サクションクーチロール8によって更に高い真空度によって脱水され、最終的な紙層が形成される。その後、紙匹は、その幅方向両側の所定位置(ノズルカット位置)に配置されたトリムノズル(図示略)から噴射された高圧水で所定の抄幅に切断される。このように湿紙からノズルカットされた両側部は図示しないクーチピットに落下し、所定の抄幅となった残部の湿紙だけが図示しないピックアップロールの吸引作用によって後続のプレスパートへと移送される。
【0006】
なお、トップワイヤ3及びボトムワイヤ4は、それぞれエンドレスになっており、リターンロール18,ワイヤターニングロール19で方向転換され連続的に使用される。
また、これらの工程の中で、各脱水機器5,6,7をワイヤ3,4が通過するときに紙原料液2に含まれる繊維・填料などの紙料がワイヤ3,4の網目に絡みつく。このため、高圧水ジェット式ワイヤ洗浄装置14,15がそれぞれのワイヤ3,4近傍に設置されている。そして、ワイヤ洗浄装置14,15から走行中のワイヤ3,4に高圧水が噴射され、ワイヤ3,4から上記紙料が洗い流される。
【0007】
そして、上述したように、特にワイヤ3,4周辺では、紙料粕(固形成分)を含んだミストが漂うミスト雰囲気となっているため、このミスト中の固形成分がワイヤ3,4周辺に配置された周辺機器(例えばセーブオールやトリムノズルや装置フレームなど)に特に付着しやすくなっている。そして、この固形成分が付着/成長して上記周辺機器からワイヤ3,4や紙匹上に落下すると紙欠陥や断紙を引き起こすおそれがある。
【0008】
このような周辺機器の中でも、ワイヤループ内に設けられワイヤ3,4の上方でこれと接近する位置に配設されるセーブオール20は、一般に平面状の広い底部を有しているためこの底部に固形成分が特に付着/成長しやすくなっている。そして、図7に示すように、このセーブオール20の底部20aに付着/成長したミスト中の固形成分Cがワイヤ3,4に落下すると紙欠陥や断紙を誘発するため操業上問題となっている。そこで、例えば図8に示すように、汚れ防止装置としての吸引装置21をワイヤのループ内に設置してセーブオール20下方のミストを吸引除去することが提案されている。
【0009】
また、ミスト中の固形成分がトリムノズルに付着することを防止するための技術としては、特開昭64−11799号公報の技術がある。この技術では、紙層形成後、トリムノズルから高圧水を噴射し紙匹が所定の抄幅となるようにノズルカットする際に、トリムノズル近傍から高圧水の周囲に沿ってエアを噴出させて高圧水を囲むエアカーテンを形成することで、切断箇所から紙料粕が飛散することを防止してトリムノズルや周辺機器に付着することを未然に防止するようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の図8に示すセーブオールに対する従来の汚れ防止装置21では、ワイヤループ内では特にミストが濃く、このようなループ内で吸引を行なうと吸引装置21自体にミストが引き寄せられ、図8に示すように、吸引装置21の吸引口付近に固形成分Cが堆積し固着するおそれがある。
【0011】
また、セーブオール20の外周面にテフロンなどによるコーティングを施して汚れを付着しにくくする方法が考えられるが、ミスト雰囲気下では、このようなコーティングを施した場合でも、持続期間は3ヶ月程度と短く耐久性に問題があるため、コーティング(メンテナンス作業)を頻繁に行なわなければならないという課題がある。
【0012】
また、上述した特開昭64−11799号公報のトリムノズルに関する汚れ防止装置では、エア噴射によって紙料粕の飛散を防止できる範囲(即ち、汚れを防止する範囲)が狭いため、セーブオールなどのように広い底面を有する装置にこの技術を適用すると、汚れ防止のための装置構成が大掛かりなものになるという課題がある。
【0013】
この他、抄紙機のウェットエンド部の周辺機器の汚れを防止する技術としては、例えば、実開平6−73194号公報に、ダンディロール耳部の下流側網目部分を覆うように防水カバー部材を配設しこのカバー部材の上部に網目部分へ指向されたスプレイを設けてダンディロールを水洗するとともに、カバー部材の底部に樋を設け水洗による汚れをこの樋に流すようにした技術が開示されている。しかし、この場合は、カバー部材の外周部に紙料粕が付着し成長するおそれがある。
【0014】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、頻繁にメンテナンス作業を行なうことなく、簡素な構成で、抄紙機のウェットエンド部のワイヤやプレスベルトの走行経路周辺に配置された周辺機器がミストに含まれる紙料粕(固形成分)により汚染されることを確実に防止して、濃縮した付着物(固形成分)が該周辺機器から落下して紙欠陥や断紙を引き起こすことを確実に防止できるようにした、抄紙機の汚れ防止装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の抄紙機械の汚れ防止装置は、抄紙機のウェットエンド部のワイヤ又はプレスベルトの走行路の周辺に配設された周辺機器が、該周辺のミスト雰囲気により汚染されてしまうことを防止する抄紙機の汚れ防止装置であって、該周辺機器の下方及び/又は側方に該走行路に沿って流体を噴射する流体噴射手段をそなえて構成されているとともに、該流体噴射手段から噴射される流体が霧状の液体であることを特徴としている(請求項1)。
【0016】
このとき、該流体噴射手段が該流体を該走行方向に沿って噴射するように構成してもよい(請求項2)。
また、該流体噴射手段が該流体を該走行路に対して略直交方向に噴射するように構成してもよい(請求項3)。
該流体噴射手段が、鉛直上方に向けて流体を噴射する補助流体噴射手段がそなえるように構成してもよい(請求項4)。
【0017】
なお、該流体噴射手段から噴射される流体が空気と水とからなることが好ましい(請求項5)。
該周辺機器がワイヤループ内に設けられている場合(請求項)や、又、該周辺機器がセーブオールである場合(請求項)には特に効果が大きい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する
【0019】
まず、図1,図2(a)及び図2(b)に示す汚れ防止装置について説明する図1はその構成を示す模式的な斜視図であり、図2(a)はその作用を示す模式的な側面図であり、図2(b)は図2(a)のA方向矢視図である。なお、図6〜図8を用いて説明した従来の技術と同様の部位については同じ符号を付し、その説明を一部省略する。
【0020】
図1,図2(a)及び図2(b)に示す汚れ防止装置30は、セーブオール(周辺機器)20の下方にワイヤ3の走行路に略沿って(ここでは特にワイヤ3の走行方向に向けて)清浄なエアを噴射するエアノズル(流体噴射手段)31として構成されている。エアノズル31は、図1に示すように、その内部に空気通路31bがワイヤ幅方向に沿って設けられるとともに、この空気通路31bと連通するスリット部31aが上記幅方向に沿って設けられている。空気通路31bには、図示しない外部配管より高圧のエアが供給されるようになっている。
【0021】
図1,図2(a)及び図2(b)に示す汚れ防止装置30は上述のように構成されているので、従来の汚れ防止装置としての吸引装置21のようにミストを吸引することがなく、ミスト中の固形成分が付着/成長することが大幅に抑えられる。
また、図2(a)に示すように、エアノズル31からワイヤ3の走行方向に沿って高圧エアを噴射することによりセーブオール20の底面全体にわたって安定してエア層が形成され、このエア層によりミスト中の固形成分がセーブオール20の底面20aに付着することを防ぐことができる。つまり、ワイヤ3からセーブオール20の底部20aに向けて立ち上るミストはこのエア層によってはじかれてワイヤ3の近傍を漂うとともに、ワイヤ3の走行によってワイヤ3に伴って下流へ流されていく。このため、セーブオール20底面にミスト中の固形成分が付着することがなく、常にセーブオール20の底部20aを清浄に保つことができる。
【0022】
したがって、セーブオール20などに付着した固形成分が成長し濃縮した状態でワイヤ上に落下することが未然に防止されるため、この濃縮した密度の高い固形成分のワイヤ上への落下に起因する紙欠陥や断紙の発生を未然に防ぐことができるという利点がある。
また、ワイヤ3の走行方向に沿ってエアを噴射するように構成されているため、ワイヤ3周辺を漂いワイヤ3の走行に伴って移動する伴流エアに沿ってエアを噴射することができるため、伴流エアから受ける圧損が低く、セーブオール20底面の全奥行きに対して安定してエア層を形成することができる。
【0023】
そして、単にエアノズル31を設けるだけの構成で上記利点が得られるため、装置を簡素化することができる。さらに、従来技術として説明したように、セーブオール20の底部20aにミスト中の固形成分が付着しないようにセーブオール20の外周面にコーティング剤を塗工することが考えられ、この場合、コーティング剤を塗工するメンテナンス作業を頻繁に行なう必要があるのに対して、図1,図2(a)及び図2(b)に示す汚れ防止装置30では、このようなメンテナンス作業が不要となる利点がある。
【0024】
また、運行終了後に周辺機器の汚れを除去するメンテナンス作業が不要にできる。
なお、エア噴射はフォーマ運行中に常時又は間欠的に行なうようすることができる。エア噴射を間欠的に行なう場合、ワイヤ3近傍に漂うミストがセーブオール20の底面に付着する前に噴射を行なう必要があり、エア噴射の間隔はセーブオール20底面とワイヤ3との距離などによって決めることができる。
【0025】
次に、本発明の実施形態について説明する図3,4は、本発明の実施形態としての汚れ防止装置を示す模式図であり、図3はその構成を示す図、図4はその作用を説明するための側面図である。なお、本実施形態における汚れ防止装置についても、図6〜図8を用いて説明した従来の技術と同様の部位については同じ符号を付し、その説明を一部省略する。
【0026】
本実施形態における汚れ防止装置40は、図4に示すように、セーブオール(周辺機器)20の下方に常時又は間欠的にワイヤ3の走行路に沿って(ここでは特にワイヤ3の走行方向に沿って)清浄な霧状の水を噴射するウォータノズル(流体噴射手段)41と、ウォータノズル41と一体に設けられた補助ノズル(補助流体噴射手段)42とをそなえている。ウォータノズル41は、図3に示すように、ワイヤ幅方向に沿って設けられた配管41aとこの配管41aに所定間隔をあけて配置された噴射部41bとにより構成されている。また、このウォータノズル41には、配管41aに所定間隔をあけて配置され上方に向けて凸状に形成された噴射部としての補助ノズル42が設けられている。上記配管41aには例えば空気と水とが同時に供給されるようになっており、噴射部41b及び補助ノズル42からは霧状の流体が噴射されるようになっている。そして、この補助ノズル42から清浄な水を略鉛直上方に向けて(ここでは霧状に)噴射させることにより、この噴射された水が重力により落下してウォータノズル41及び補助ノズル42を包み、ウォータノズル41及び補助ノズル42に付着した汚れを洗い流せるようになっている。
【0027】
本発明の実施形態としての汚れ防止装置40は、上述のように構成されているので、従来の汚れ防止装置21のようにミストを吸引することがなく、ミスト中の固形成分が付着/成長することが大幅に抑えられる。
また、複数のウォータノズル41から霧状の水を噴射することによりセーブオール20の底部20a全体に清浄な霧の層が形成され、この霧の層によりミスト中の固形成分がセーブオール20の底部20aに付着/成長することを防止できる。つまり、ワイヤ3からセーブオール20へ向けて立ち上るミストはこの霧の層によって拡散が抑制されるとともに、セーブオール20底面まで拡散したミスト中の固形成分はこの清浄な霧状の水によって濃縮する前に洗い流される。このため、濃縮された固形成分がワイヤに落下して、断紙などを引き起こすことを未然に防止できるという利点がある。
【0028】
そして、単にウォータノズル41を設けるだけの構成で上記利点が得られるため、装置を簡素化することができる。
また、運行終了後に周辺機器の汚れを除去するなどのメンテナンス作業を不要にできるという利点がある。
次に、図5に示す汚れ防止装置について説明する図5は抄紙機の汚れ防止装置の構成及び作用を示す図である。なお、図6〜図8を用いて説明した従来の技術と同様の部位については説明を一部省略する。
【0029】
図5に示す汚れ防止装置は、ワイヤ幅方向外側に配置されワイヤ幅方向に(即ち、ワイヤの走行方向に対して直交する方向に)清浄なエアを噴射するエアノズル(流体噴射手段)50として構成されている。このエアノズル50は、図1,図2(a)及び図2(b)を用いて説明したエアノズル31と同様の構造を有し、湿紙70の幅をそろえる耳切りノズル(トリムノズル)60と湿紙70との間にワイヤ幅方向に流体(エア)を噴射させるようになっている。
【0030】
図5に示す汚れ防止装置50は上述のように構成されているので、エアノズル50により噴射されたエアによって耳切りノズル60下方にエア層が形成され、ワイヤ上の湿紙70をノズルカットする際に発生するミストが耳切りノズル60に付着してしまうことを防止できる。つまり、ミストがこのエア層によりはじかれるため、耳きりノズル60にミスト中の固形成分が付着することがない。このため、耳きりノズル60に付着した固形成分が凝縮して湿紙70上に落下することによって引き起こされる断紙や損紙の発生を未然に防ぐことができるとともに、走行路上方に配置された他の周辺機器を汚染するおそれがない。
【0031】
また、エアノズル50がワイヤ幅方向外側に配置されているため、エアノズル50自身に付着/成長したミスト中の固形成分がワイヤ或いは湿紙70上に落下するおそれがない。このため、エアノズル50自身を洗浄する補助ノズルを設ける必要がなく、装置を簡素化できる。
そして、ワイヤ幅方向外側にエアノズル50を設けるだけの簡単な構成で上述の効果が得られるため、装置を簡素化することができる。
【0032】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
図1,図2(a)及び図2(b)に示す汚れ防止装置30にエアノズル31を洗浄するための補助ノズルを更にそなえてもよい。このことにより、エアノズル31自身にミスト中の固形成分が付着/成長することが防止され、この付着/成長した固形成分がワイヤ上に落下することに起因する断紙や損紙の発生をより確実に防止することができる。
【0033】
また、上述した実施形態では、汚れ防止装置40に補助ノズル42を設けているが、本発明の汚れ防止装置では従来の汚れ防止装置としての吸引装置のようにミストを吸引することがないため、汚れ防止装置自身に固形成分が付着/成長することが大幅に抑制されており、従って、補助ノズル42を設けない構成も可能である。
【0034】
また、上述では、流体噴射手段により流体をワイヤ3の走行方向或いは走行方向に対して直交する方向に噴射するようにしているが、流体の噴射によって周辺機器下方に流体の層が形成されればよく、例えば、流体をワイヤ3の走行方向に対して斜め方向に噴射してもよく、又、走行路に向けてやや下方に噴射してもよい。
【0035】
述で、汚れ防止装置をフォーマのワイヤループ内に設置されたセーブオール20や耳切りノズル60に適用した例について説明したが、本発明の汚れ防止装置は、セーブオール20や耳切りノズル60に限らず種々の周辺機器に対して用いることができる。また、用いられる場所もフォーマに限らずプレスパートに配置される周辺機器にも使用可能である。
【0036】
また、上述では、周辺機器の下方に流体を噴射する構成を示したが、代わりに又は追加して、周辺機器の側方に沿ってウェブ走行路に沿うように流体を噴射する流体噴射手段を設け、周辺機器の側面に汚れが付着/成長することを防ぐように構成してもよい。このとき、周辺機器の下方及び側方に沿って流体を噴射する流体噴射手段の一方及び/又は双方に流体噴射手段自体を洗浄する補助流体噴射手段を設けてもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明の汚れ防止装置によれば、ウェットエンド部のワイヤ又はプレスベルトの走行路周辺に配設された周辺機器の下方及び/又は側方に該走行路に沿って流体を噴射する流体噴射手段をそなえて構成されているため、走行路周辺のミスト中の固形成分が周辺機器に付着するのを防ぐことができる。そして、たとえこの固形成分が噴射された流体中を拡散して周辺機器表面に付着してしまうようなことがあっても、固形成分は濃縮する前にこの流体により洗い流される。したがって、濃縮した固形成分が周辺機器表面から落下して断紙や損紙を引き起こすことを確実に防止できるという効果がある。
【0038】
そして、単に流体噴射手段を設けるだけの構成によって上記の効果が得られるため、装置を簡素化することができる。
また、汚れ防止装置を作動させながらウェットエンド部を運行することで、運行終了後に周辺機器の汚れを除去するメンテナンス作業を不要にできる。
さらに、周辺機器を常に清浄な状態に保つことができるため、汚れ防止のためのコーティングなどのメンテナンス作業を不要にできる利点がある
また、流体噴射手段から噴射される流体が霧状の液体であるため、周辺機器の下部もしくは側面付近に霧の層が形成され、この霧の層により、周辺機器に付着したミスト中の固形成分が成長して濃縮することを防ぐことができる。つまり、周辺機器表面まで拡散したミスト中の固形成分はこの霧状の液体によって洗い流されるため、周辺機器表面に付着したミスト中の固形成分が成長/濃縮してワイヤやプレスベルト上に落下して断紙や損紙を引き起こすことを防止できる(請求項1)。
【0039】
該流体噴射手段が該流体を該走行方向に沿って噴射するように構成することで、流体噴射手段からエアをワイヤ周辺の伴流エアの流れに沿って噴射することができるため、伴流エアから受ける圧損が低く、広い範囲でワイヤ或いはプレスベルトと周辺機器との間に流体層を形成してこの周辺機器がミストにより汚染されてしまうことを防止できる(請求項2)。
【0040】
また、該流体噴射手段が該流体を該走行路の走行方向に対して略直交方向に噴射するように構成することで、ワイヤ又はプレスベルトの幅方向外側に該流体噴射手段を取付けることが可能となり、該流体噴射手段がミストにより汚染されてしまうことを防止できるという利点がある(請求項3)。
そして、該流体噴射手段に、略鉛直上方に向けて洗浄用の霧状の液体を噴射する補助流体噴射手段がそなえられることで、この補助流体噴射手段から噴射された霧状の液体が流体噴射手段及び補助流体噴射手段自身を包み、付着したミスト中の固形成分を洗い流すため、流体噴射手段自身を常に清浄に保つことができる(請求項4)。
【0041】
流体噴射手段から噴射される流体が空気と水とからなるので、霧状の水によって固形成分を洗い流すことができる(請求項5)。
【0043】
ワイヤのループ内には特にミストが充満しており、このワイヤループ内に設けられた周辺機器には固形成分が付着し易くなっているため、このような場所に設置された周辺機器に汚れ防止装置を配設することは紙欠陥や断紙の予防に大きな効力を発揮する(請求項)。
また、セーブオールは底部が広くワイヤに近接して配置されることが一般的であるため、固形成分が付着し易く、このセーブオールの下方に汚れ防止装置を配設することは紙欠陥や断紙の予防に大きな効力を発揮する(請求項)。
【図面の簡単な説明】
【図1】れ防止装置の構成を示す模式的な斜視図である。
【図2】れ防止装置の作用を示す模式図であり、(a)はその側面図であり、(b)は(a)のA矢視図である。
【図3】本発明の実施形態としての汚れ防止装置の構成を示す模式的な斜視図である。
【図4】本発明の実施形態としての汚れ防止装置の作用を説明するための模式的な側面図である。
【図5】れ防止装置の構成と作用を説明するための模式図である。
【図6】一般的な抄紙機のフォーマの構成を示す模式的な側面図である。
【図7】周辺機器表面に固形成分が付着する様子を示す模式図である。
【図8】従来の汚れ防止装置としての吸引装置を示す模式図である。

Claims (7)

  1. 抄紙機のウェットエンド部のワイヤ又はプレスベルトの走行路の周辺に配設された周辺機器が、該周辺のミスト雰囲気により汚染されてしまうことを防止する抄紙機の汚れ防止装置であって、
    該周辺機器の下方及び/又は側方に該走行路に沿って流体を噴射する流体噴射手段をそなえて構成されているとともに、
    該流体噴射手段から噴射される流体が霧状の液体である
    ことを特徴とする、抄紙機の汚れ防止装置。
  2. 該流体噴射手段が該流体を該走行方向に沿って噴射する
    ことを特徴とする、請求項1記載の抄紙機の汚れ防止装置。
  3. 該流体噴射手段が該流体を該走行路の走行方向に対して略直交方向に噴射する
    ことを特徴とする、請求項1記載の抄紙機の汚れ防止装置。
  4. 該流体噴射手段に、鉛直上方に向けて霧状の液体を噴射する補助流体噴射手段がそなえられている
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の抄紙機の汚れ防止装置。
  5. 該流体噴射手段から噴射される流体が空気と水とからなる
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の抄紙機の汚れ防止装置。
  6. 該周辺機器が該ワイヤのループ内に設けられている
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれかの項に記載の抄紙機の汚れ防止装置。
  7. 該周辺機器がセーブオールである
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項に記載の抄紙機の汚れ防止装置。
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