JP3626639B2 - 光学素子および該光学素子を用いた表示装置とその駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大面積表示装置などに適用可能な光学素子および該光学素子の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
導光板と液晶とを用いた表示装置が従来から知られている。その一例として、導光板と強誘電性液晶を用い、この強誘電性液晶にゴールドストーンモードの緩和周波数近傍の交流電界を印加することにより当該光制御層に散乱性を生じさせる表示装置(特開平6−30543号公報)と、導光板と高分子分散液晶を用いた表示装置(特開平6−347790号公報)が提案されている。
【0003】
しかし、上記特開平6−308543号公報に開示される従来技術では、交流電圧の印加が必須であるため、単純マトリクス駆動、アクティブマトリクス(TFT)駆動によるビットマップ表示を行えないという問題点があった。また、上記特開平6−347790号公報に開示では、電圧を印加しない状態で散乱性を示し、電圧を印加すると透過性を示す高分子分散液晶を使用している。この場合、マトリクス駆動を行うと、電極の間隙は常時散乱性を示すため、黒色の表示が困難となり、表示画像はきわめてコントラストが低い画像となってしまうという問題点があった。
【0004】
上記の従来技術では、散乱、透過により表示を制御しているため、表示装置を見る人がいる側の照明により表示面が照らされ、その散乱光が表示画像と重なり、光源の色だけではなく周囲の照明光が表示画像に影響し画像が劣化するとともに、カラー表示が困難であった。
【0005】
そこで、上記従来の問題点を解決するために、導光板とリバースモード高分子分散液晶を用いた表示装置(特願平10−212780号)が提案されている。この特願平10−212780号に記載されている表示装置の概略構成を図12に示す。この表示装置は、光学素子として、透明電極11をつけた導光板10と、分割された鏡面反射可能な電極14a、14b設けられた基板13との間に光制御層12となる薄膜を挟んだ構造を有する。この光制御層12は、例えば、電界を印加しないときに透過状態、電界を印加したときに散乱状態となるリバースモード高分子分散液晶(秋田大、佐藤等、テレビジョン学会技術方向IDY96−50、p.137−142)からなる。上記リバースモード高分子液晶は、例えばUCL−002(大日本インキ(株))のような紫外線重合性液晶と、E−7(メルクジャパン(株))のようなネマティック液晶の混合液に、紫外線を照射することによって容易に作成できる。
【0006】
上述の高分子分散液晶からなる光制御層12は、電界を印加しないときは全面透明であり、入射した光17は透明電極11をつけた導光板10と光制御層12の導光領域内で反射を繰り返して外部へ出射しないため非発光状態となる。また、電源16から例えば電極15bに電圧をかけて電界を印加すると、電極15bと透明電極11との間にある高分子分散液晶の電界を印加した部分19は、散乱または回折状態となり、導波光は電圧を印加した電極15b上では散乱または回折される。散乱または回折された光は、導波する光とは異なる角度で導光板10と素子外部との界面に入射するので、界面での全反射条件は満たされず素子外部に出射(図中、矢印18)される。そのため、電圧を印加した電極15bに対応する部分だけが発光状態となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の表示装置に適用される光学素子は、透明電極11と基板14上の電極15aおよび15bとの両方に電源16の配線を必要としていた。そのため、複数の光学素子をタイル状にならべて大面積表示装置を実現する際に、透明電極11からの配線を確保するための光学素子間の隙間を確保することの必要性や配線の複雑化をもたらし、高品位な画像を表示可能な大画面表示装置を普及させる上で、解像度等の特性のみならず、重量、生産コスト、生産性等の解決すべき課題がある。
【0008】
したがって、本発明の課題は、電極への配線を簡素化して複数の光学素子の密集配列を容易にし、高品位な画像を表示可能な大画面表示装置を実現するための光学素子およびその駆動方法、さらに該光学素子を用いた表示装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1記載の発明は、透光性の材料からなる第1の電極が形成された、透光性の材料からなる第1の基板と、前記第1の電極と互いに対向するように配置された第2の電極が形成された第2の基板と、前記第1の電極および前記第2の電極との間に形成される光制御層とを有し、前記第1の基板を介して出射する光を前記光制御層で特性変化させることによって制御する光学素子であって、前記光制御層は、前記第1の電極と前記第2の電極とによって印加される電界により前記出射する光の特性を変化させる材料から構成され、前記第1の電極および前記第2の電極は、各々複数の電極から構成され、前記第1の電極の1つに対して前記第2の電極の複数個が電界形成上の対を構成し、かつ該電界形成上の対は、前記第2の電極の隣接する電極間で前記第1の電極の少なくとも1つを共用して構成され、前記第1の電極は、駆動回路に接続されずにその電位は浮遊し、かつ前記第2の電極のみが駆動回路と接続されて、前記第1の電極の電位が、該第1の電極と電界形成上の対を構成する前記第2の電極に印加する電圧によって定まることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第1の電極は、前記第1の基板上に該基板面内の第1の方向および該第1の方向と垂直な第2の方向に配列して設けられた、複数の電極から構成され、前記第2の電極は、前記第2の基板上に該基板面内の前記第1の方向および前記第2の方向に配列して設けられた、複数の電極から構成され、前記第1の電極の各々と前記第2の電極の各々とが、該電極が形成される基板面内の前記第1の方向および前記第2の方向にそれぞれ所定の割合だけ互いにずれた位置関係で対応する基板に配置され、前記第1の電極の1つに対して前記第2の電極の4つが電界形成上の対を構成し、かつ該電界形成上の対は、前記第2の電極の隣接する電極間で前記第1の電極の1つまたは2つを共用して構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記第1の基板に光を伝播させ、伝播光の特性を前記光制御層によって変化させることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記第2の電極を構成する前記複数の電極は、前記第2の基板を貫通し、該第2の基板の上面に露出した第1の端部と前記第2の基板の下面に露出した第2の端部とをそれぞれ有し、該第2の端部のそれぞれを別個に電気的に接続することが可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、記光制御層は、液晶または該液晶と高分子樹脂とからなる高分子分散液晶のいずれかで構成することを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記高分子分散液晶は、リバースモード高分子分散液晶であることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、出射光の特性を変化させて出射する光学素子を有してなる表示装置であって、前記光学素子が、透光性の材料からなる第1の電極が形成された、透光性の材料からなる第1の基板と、前記第1の電極と互いに対向するように配置された第2の電極が形成された第2の基板と、前記第1の電極および前記第2の電極との間に形成され、前記第1の電極と前記第2の電極とによって印加される電界により光の特性を変化させる光制御層とを有し、前記第1の基板を介して出射する光を前記光制御層で特性変化させることによって制御する光学素子であり、前記第1の電極および前記第2の電極は、各々複数の電極から構成され、前記第1の電極の1つに対して前記第2の電極の複数個が電界形成上の対を構成し、かつ該電界形成上の対は、前記第2の電極の隣接する電極間で前記第1の電極の少なくとも1つを共用して構成され、前記第1の電極は、駆動回路に接続されずにその電位は浮遊し、かつ前記第2の電極のみが駆動回路と接続されて、前記第1の電極の電位が、該第1の電極と電界形成上の対を構成する前記第2の電極に印加する電圧によって定まることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、透光性の材料からなる第1の電極が形成された、透光性の材料からなる第1の基板と、前記第1の電極と互いに対向するように配置された第2の電極が形成された第2の基板と、前記第1の電極および前記第2の電極との間に形成され、前記第1の電極と前記第2の電極とによって印加される電界により光の特性を変化させる光制御層とを有してなり、前記第1の電極および前記第2の電極は、各々複数の電極から構成され、前記第1の電極の1つに対して前記第2の電極の複数個が電界形成上の対を構成し、かつ該電界形成上の対は、前記第2の電極の隣接する電極間で前記第1の電極の少なくとも1つを共用して構成され、前記第1の電極は、駆動回路に接続されずにその電位は浮遊し、かつ前記第2の電極のみが駆動回路と接続されて、前記第1の電極の電位が、該第1の電極と電界形成上の対を構成する前記第2の電極に印加する電圧によって定まる光学素子の駆動方法であって、前記第1の電極の1つと電界形成上の対を構成する、前記第2の電極の複数個に印加する電位を各々選択し、前記複数個の電極に印加する電位の平均値と前記複数個の電極の各電位との差によって生じる電界で前記光制御層を所望の光学状態とし、前記第1の基板を介して出射する光を前記光制御層で特性変化させることによって制御することを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記駆動回路によって前記第2の電極を駆動させる際に、多相交流を切り替えることを特徴とする。
【0016】
なお、「所望の光学状態」とは、光制御層を狭持する電極に印加された電界により光制御層に入射した光に対する散乱度、回折効率、屈折率、複屈折率または透過率が変化することにより透過状態、散乱状態または回折状態のいずれかにすることを意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明にもとづく光学素子の第1の態様を説明するための模式的断面図である。光学素子は、導光板として機能する透光性の第1の基板1と、該第1の基板の下面に設けられた透光性の第1の電極2と、該第1の電極2の下面に設けられた光制御層3と、該光制御層3の下面に設けられた反射面4と、該反射面4の下面に設けられた複数の電極群からなる第2の電極5と、該第2の電極5の下面に設けられ、かつ前記第2の電極5が貫通した第2の基板6とから構成される。前記第2の電極5は、前記第2の基板6の上面に露出した第1の端部5’と前記第2の基板6の下面に露出した第2の端部5’’とをそれぞれ有し、該第2の端部5’’のそれぞれを別個に電気的に接続することが可能である。
【0018】
前記光制御層3は、前記第1の電極2と前記複数の電極群からなる第2の電極5とによって印加される電界により入射した光の特性を変化させることができる。また、図1に示すように前記第2の電極5は、前記第2の基板6を貫通し、該第2の基板6の上面に露出した第1の端部5’と前記第2の基板6の下面に露出した第2の端部5’’をそれぞれ有し、該第2の端部5’’のそれぞれを別個に電気的に接続することができる。
【0019】
本実施例の光学素子において、前記第1の電極2は、前記光制御層3の上面全体に設けられ、かつ駆動回路に接続されていない電極となる。したがって、第1の電極2と電界形成上の対を構成する各々の第2の電極5との電位のみを制御することによって光学素子の駆動制御を行うことができる。
【0020】
このような構成からなる光学素子は、例えば以下のようにして作製される。まず、7059(corning社(米国))等のガラス基板上にスパッタ等でITO(Indium tin oxide)膜を形成し、上面が第1の基板1で下面が第1の電極(透明電極)2からなる第1の積層体とする。また、ガラスエポキシ樹脂からなる基板(第2の基板)6に複数のスルーホール加工を施し、各スルーホールの上下を貫通するようにして電極(第2の電極)5を設けることによって第2の積層体とし、さらに第1の積層体と第2の積層体とによって高分子分散液晶3を挟持させる。ここで、光制御層3は、直径が約50ミクロンの微小球を含有したE−7(メルクジャパン(株))のような液晶とNOA−65(Norland Products,Inc(米国))等の光硬化樹脂とからなる高分子分散液晶から構成される。このような高分子分散液晶に紫外線を露光することにより硬化し、微小球の直径と等しい厚さの光制御層3が得られる。
【0021】
上述したように光制御層3を構成する高分子分散液晶は、第1の電極2と第2の電極5とによって電界を印加することにより散乱状態または透過状態のいずれかになる。すなわち、高分子分散液晶から構成される光制御層3は、一定の閾値以下の電圧が印加されると散乱状態となる。一方、閾値を上回る電圧が印加されると透明となり光が透過可能な状態となる。
【0022】
図2は本実施例の構成からなる光学素子に適用される第1の電極(光制御層3の上面全体にひろがる電極)と第2の電極(複数の分割されたの電極)との関係を説明するための模式的平面図である。ここでは、説明を容易にするために第2の電極の数を12個とする。
【0023】
一般に、第2の電極の電位をそれぞれv1,v2・・・vnとすると、電界形成上の対となる一様な電極(第1の電極)の電位vtは、容量性結合により電極電位の平均となり、下記の式(1)で示される。
【0024】
【数1】
【0025】
例えば、図2に示すように、各々の第2の電極に対して、電位aV、0V、および−aV(aは任意の整数)を印加する場合、散乱状態の領域に対応する電極の電位を0Vとし、透明状態にする領域に対応する電極の電位をaVまたは−aVとする。電位がaVである電極数と電位が−aVである電極数とをほぼ等しくした場合、第1の電極の電位vtは、ほぼ0Vとなるので透過状態とさせたい光制御層3の一部分に対応する第2の電極と第1の電極との間に電界が生じる。
【0026】
(実施例2)
図3は、本発明にもとづく光学素子の第2の態様を説明するための模式的断面図である。また、図4は本実施例の光学素子に適用される第1の電極と第2の電極との配置を説明するための模式的平面図である。
【0027】
本実施例の光学素子は、導光板として機能する透光性の第1の基板の一面に設けられた第1の電極を複数に分割された電極21としたこと以外は、実施例1の光学素子と同じ構成である。また、本実施例の光学素子の駆動原理も実施例1と同様であるが、第1の電極が分割されているため、各々の分割電極21に対応する複数の第2の電極5からなるブロックごとに電圧を決定すればよい。
【0028】
図4では、1枚の第1の電極21に対して4枚の第2の電極5が対応して1つのブロックを形成している場合について例示した。本実施例から構成される光学素子は、駆動時の電圧をブロックごとに決定できるので、実施例と比較して駆動電圧の計算方法および駆動回路の構成を簡略化することが可能となる。
【0029】
(実施例3)
図5は、本発明にもとづく光学素子の第3の態様を説明するための模式的断面図である。また、図6は、本実施例の光学素子を上面から見た模式的平面図である。さらに図7は、本実施例の光学素子に適用される第1の電極と第2の電極との配置を説明するための模式的平面図である。
【0030】
本実施例の光学素子は、実施例1および2と同様の材料等を用いて、また同様の積層順序で各層が設けることにより構成されるが、以下に説明する点が実施例1および2と異なる。すなわち、本実施例の光学素子は、複数の分割された電極(第1の電極)22を一面に設けたガラス等からなる透明な第1の基板1と、複数の電極(第2の電極)5が貫通した第2の基板6と、高分子分散液晶からなる光制御層3とを有し、さらに第1の電極2が光制御層3に対向するような向きで第1の基板1と第2の基板6とによって光制御層3が挟持された構造を有する。
【0031】
また、図6に示すようにこの光学素子では、複数の第1の電極22と複数の電極(第2の電極)5とが同一平面上に規則正しく配列されている。しかし、複数の第1の電極22は駆動回路には接続されていない。一方、複数の第2の電極5は、第1の電極22の配列パターンとxおよびy軸方向にそれぞれ半周期ずれるようなかたちで配列し、かつ駆動回路に接続可能である。したがって、第1の電極22と電界形成上の対を構成する各々の第2の電極5との電位のみを制御することによって光学素子の駆動制御を行うことができる。
【0032】
つぎに、このような構成からなる本実施例の光学素子の駆動について説明する。説明を容易にするために、6相交流を使用した場合の電圧印加による駆動例について図7、図8および図9を参照しながら説明する。また、図7の説明に用いる第1の電極および第2の電極は、図7に示す電極5A、5B、5C、および5Dとこれらの電極がなす領域の中心に位置する電界形成上の対となる第1の電極(対向電極)22Aである。
【0033】
図8は、電極5A、5B、5C、および5Dに各々印加される電圧波形と、それらの電極に印加された電圧の平均値であるところの対向電極22Aの電位波形を示す。これらの波形が示すように、電極5A、5B、5C、およびDに印加される電圧波形間では位相が30度ずつ、また電極5Cと電極5Dとの間では60度ずれている。この場合、高分子分散液晶3に印加される電圧は、電極5A、5B、5C、および5Dの各々と対向電極22Aとの電位差になり、図9で示した波形となる。
【0034】
一般に高分子分散液晶や光制御層はある特定の電圧(閾値電圧)以下では、電界に対して応答しない性質があるので、図9に示したような位置に閾値が来るように駆動すれば、電極5A、5B、および5Cによって印加される電圧の大きさは高分子分散液晶からなる光制御層1の状態を変化させるほどのものではなく、非動作状態となる。一方、電極5Dによって印加される電圧のみが閾値を上回ることから、電極5Dのみが動作状態となる。電極5A、5B、および5Cについては、互いに位相が異なるにも係らず、同一の非動作状態となっている。すなわち、複数の対向電極を含んで駆動する場合でも独立に駆動可能なことを示している。
【0035】
例えば、図10に示すように、2つの対向電極22A、22Bについて考える。対向電極22Aが電極5A、5B、5Cおよび5Dと重なっており、対向電極22Bが電極5C、5D、5Eおよび5Fと重なっている場合、対向電極22Aの電位は、5A、5B、5Cおよび5Dの平均で決定されるが、対向電極22Bについては5Eおよび5Fの電位に依存し、対向電極22Aの電位とは独立に制御できるので、電極5Cあるいは電極5Dの対向電極22Aおよび22Bと重なった部分の動作状態は独立に制御できる。つまり、駆動電極の数以上の画素を駆動することが実現できることになる。
【0036】
このようにして、位相差を変えることにより、自由に駆動領域を制御することが可能となる。ここでは駆動波形の一例を示したにすぎず、駆動波形は一般に正弦波ではなく矩形波等であっても良い。また、周期関数に限らない。
【0037】
(実施例4)
図11は、本発明にもとづく表示装置の一例を説明するための模式的断面図である。
【0038】
この表示装置は、実施例3と同様の光学素子と、該光学素子へ光を送る照明手段100と、光学素子を駆動するための電源200とを備える。
【0039】
照明手段100は、照明101と該照明101からの光を導光板として機能する第1の基板1の一端に集光させるレンズ102とを有する。
【0040】
電源200は各々の電極5に接続され、かつ各々の電極5の駆動は制御手段(不図示)によって制御される。
【0041】
前述した実施例1から4では、導光板として機能する第1の基板1としてガラスを用いた例を説明したが、アクリル等の樹脂板であってもよい。アクリルのような軽量安価な材料を導光板として用いることで、軽量安価薄型の大面積表示装置を実現することが可能となる。
【0042】
また、前述した実施例1から4では、反射面を誘電体多層膜から構成したが、例えばアルミニウムのような金属からなる膜から構成するか、または電極を鏡面反射する材料から作製し電極自体を反射面としてもよい。
【0043】
さらに、光制御層3を構成する材料は、限定されるものでなく一般的な液晶または液晶と高分子樹脂とからなる高分子分散液晶を使用することができる。本発明にもとづき電極を構成すれば、リバースモード高分子分散液晶、ネマティック液晶、スメクティック液晶、コレステリック液晶、エレクトロクロミック材料、ゲストホスト液晶、電歪素子等電界により特性が変化する薄膜の駆動全てに適用が可能である。
【0044】
ところで、光制御層にリバースモード高分子分散液晶を使用した場合は特定の効果が得られるので以下に説明する。最初に一般的な高分子分散液晶とリバースモード高分子分散液晶との違いについて説明する。
【0045】
リバースモード高分子分散液晶は、液晶性高分子樹脂中に低分子液晶を分散することにより構成される。このリバースモード高分子分散液晶から光制御層を構成すると、電界を印加しない時、光制御層は液晶性高分子樹脂と低分子液晶とが複屈折率を有する一様な膜となり、透過状態となる。また、電界を印加した時、光制御層は低分子液晶が電界によって配向して液晶性高分子樹脂と屈折率差が生じ、散乱状態となる。
【0046】
このようなリバースモード高分子分散液晶を用いて光学素子を構成すると、透過状態では、どの方向の光に対しても一様な屈折率分布となる。したがって、このような液晶を表示装置に適用した場合、透過状態において散乱が生じないために、斜め方向からでもコントラストの高い表示が可能となる。さらに、リバースモード高分子分散液晶を用いた発光学素子の散乱状態では、光学軸方向の散乱が小さく、光学軸方向と垂直な方向の散乱が大きくなるという特徴がある。そのため、このような光学素子を表示画面に適用する場合、使用者の視線と光学軸方向とが垂直にあるように作製することにより、使用者の方向に指向性を持たせた効率の良い表示装置が実現可能となる。
【0047】
以上、本発明で示した実施例では、第1の基板に設けた透明電極への兵船は不要であり、かつ全面にわたって電気的に導通している必要がない。つまり図12に示したように従来技術では透明な基板に設けられた透明電極の電位を制御するための配線が必要であり、透明電極を複数に分割すると、それぞれの電極への配線のため隙間が生じてしまった。しかし本発明では第1の基板が分割可能であり、かつ周囲に配線のための空隙が不要であるため、分割された第1の基板と第2の基板とによって狭持された光制御層を1ブロックとして、該ブロックをタイル状に隙間なく並べることにより、100インチまたはそれ以上の大画面のディスプレイを容易かつ安価に実現することが可能である。
【0048】
以上、本発明を実施例により具体的に示したが、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能あることは言うまでもない。例えば、本発明の実施例では、導光板を伝播する光を出射させる光学素子および表示装置について述べたが、照明の手段はこれに限らず、周囲の光を照明として用いこれを反射する反射型液晶表示装置などにも適用可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にもとづく光学素子および該光学素子の駆動方法、さらに該光学素子を用いた表示装置を構成することにより以下のような効果が得られる。
【0050】
(1)光制御層に電界を印加するための電極のうちの一部の電極(第1の電極)を駆動回路に接続する必要がないので、一枚の電極を複数に分割した電極構造とすることができ、また電極への配線を簡素化して複数の光学素子の密集配列を容易にし、高品位な画像を表示可能な大画面表示装置を提供することが可能となる。
【0051】
(2)電界形成上の対を構成する第1の電極と第2の電極とを互いにずれた位置に配置することで、1電極内であっても領域によって印加電位を変えることができる。
【0052】
(3)高分子分散液晶あるいはリバースモード高分子分散液晶を用いることで、高品位な画像の表示が可能となる。
【0053】
(4)駆動回路に接続されていない電極の電位を、該電極と電界形成上の対となる電極とに印加する電圧を制御することにより、光学素子の駆動を実現するとともに、大画面表示装置を構成する際に隙間なく複数の光学素子を並べることが可能となる。
【0054】
(5)駆動可能とした第2の電極を駆動する際に多相交流を切り替えて使用することが可能な駆動手段を適用することで、駆動電源および回路の構成を簡略化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にもとづく光学素子の第1の態様を説明するための模式的断面図である。
【図2】図1に示す光学素子に適用される第1の電極と第2の電極との関係を説明するための模式的平面図である。
【図3】本発明にもとづく光学素子の第2の態様を説明するための模式的断面図である。
【図4】図3に示す光学素子に適用される第1の電極と第2の電極との配置を説明するための模式的平面図である。
【図5】本発明にもとづく光学素子の第3の態様を説明するための模式的断面図である。
【図6】本発明にもとづく光学素子の平面図である。
【図7】図5に示す光学素子に適用される第1の電極と第2の電極との配置を説明するための模式的平面図である。
【図8】本発明にもとづく光学素子の駆動方法の一例を説明するための波形図である。
【図9】本発明にもとづく光学素子の駆動方法の一例を説明するための波形図である。
【図10】本発明にもとづく光学素子に適用される第1の電極と第2の電極との配置を説明するための模式的平面図である。
【図11】本発明にもとづく表示装置の一例を説明するための模式的断面図である。
【図12】従来の表示装置の一例を説明するための模式的断面図である。
【符号の説明】
1 第1の基板
2 第1の電極
3 光制御層
4 反射面
5 第2の電極
5’ 第1の端部
5’’ 第2の端部
6 第2の基板
21 第1の電極
22 第1の電極
100 照明手段
101 照明
102 レンズ
200 電源
Claims (9)
- 透光性の材料からなる第1の電極が形成された、透光性の材料からなる第1の基板と、前記第1の電極と互いに対向するように配置された第2の電極が形成された第2の基板と、前記第1の電極および前記第2の電極との間に形成される光制御層とを有し、前記第1の基板を介して出射する光を前記光制御層で特性変化させることによって制御する光学素子であって、
前記光制御層は、前記第1の電極と前記第2の電極とによって印加される電界により前記出射する光の特性を変化させる材料から構成され、
前記第1の電極および前記第2の電極は、各々複数の電極から構成され、
前記第1の電極の1つに対して前記第2の電極の複数個が電界形成上の対を構成し、かつ該電界形成上の対は、前記第2の電極の隣接する電極間で前記第1の電極の少なくとも1つを共用して構成され、
前記第1の電極は、駆動回路に接続されずにその電位は浮遊し、かつ前記第2の電極のみが駆動回路と接続されて、前記第1の電極の電位が、該第1の電極と電界形成上の対を構成する前記第2の電極に印加する電圧によって定まることを特徴とする光学素子。 - 前記第1の電極は、前記第1の基板上に該基板面内の第1の方向および該第1の方向と垂直な第2の方向に配列して設けられた、複数の電極から構成され、前記第2の電極は、前記第2の基板上に該基板面内の前記第1の方向および前記第2の方向に配列して設けられた、複数の電極から構成され、前記第1の電極の各々と前記第2の電極の各々とが、該電極が形成される基板面内の前記第1の方向および前記第2の方向にそれぞれ所定の割合だけ互いにずれた位置関係で対応する基板に配置され、前記第1の電極の1つに対して前記第2の電極の4つが電界形成上の対を構成し、かつ該電界形成上の対は、前記第2の電極の隣接する電極間で前記第1の電極の1つまたは2つを共用して構成されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
- 前記第1の基板に光を伝播させ、伝播光の特性を前記光制御層によって変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
- 前記第2の電極を構成する前記複数の電極は、前記第2の基板を貫通し、該第2の基板の上面に露出した第1の端部と前記第2の基板の下面に露出した第2の端部とをそれぞれ有し、該第2の端部のそれぞれを別個に電気的に接続することが可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学素子。
- 前記光制御層は、液晶または該液晶と高分子樹脂とからなる高分子分散液晶のいずれかで構成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子。
- 前記高分子分散液晶は、リバースモード高分子分散液晶であることを特徴とする請求項5に記載の光学素子。
- 出射光の特性を変化させて出射する光学素子を有してなる表示装置であって、
前記光学素子が、
透光性の材料からなる第1の電極が形成された、透光性の材料からなる第1の基板と、
前記第1の電極と互いに対向するように配置された第2の電極が形成された第2の基板と、
前記第1の電極および前記第2の電極との間に形成され、前記第1の電極と前記第2の電極とによって印加される電界により光の特性を変化させる光制御層とを有し、
前記第1の基板を介して出射する光を前記光制御層で特性変化させることによって制御する光学素子であり、
前記第1の電極および前記第2の電極は、各々複数の電極から構成され、
前記第1の電極の1つに対して前記第2の電極の複数個が電界形成上の対を構成し、かつ該電界形成上の対は、前記第2の電極の隣接する電極間で前記第1の電極の少なくとも1つを共用して構成され、
前記第1の電極は、駆動回路に接続されずにその電位は浮遊し、かつ前記第2の電極のみが駆動回路と接続されて、前記第1の電極の電位が、該第1の電極と電界形成上の対を構成する前記第2の電極に印加する電圧によって定まることを特徴とする表示装置。 - 透光性の材料からなる第1の電極が形成された、透光性の材料からなる第1の基板と、前記第1の電極と互いに対向するように配置された第2の電極が形成された第2の基板と、前記第1の電極および前記第2の電極との間に形成され、前記第1の電極と前記第2の電極とによって印加される電界により光の特性を変化させる光制御層とを有してなり、前記第1の電極および前記第2の電極は、各々複数の電極から構成され、前記第1の電極の1つに対して前記第2の電極の複数個が電界形成上の対を構成し、かつ該電界形成上の対は、前記第2の電極の隣接する電極間で前記第1の電極の少なくとも1つを共用して構成され、
前記第1の電極は、駆動回路に接続されずにその電位は浮遊し、かつ前記第2の電極のみが駆動回路と接続されて、前記第1の電極の電位が、該第1の電極と電界形成上の対を構成する前記第2の電極に印加する電圧によって定まる光学素子の駆動方法であって、
前記第1の電極の1つと電界形成上の対を構成する、前記第2の電極の複数個に印加する電位を各々選択し、
前記複数個の電極に印加する電位の平均値と前記複数個の電極の各電位との差によって生じる電界で前記光制御層を所望の光学状態とし、
前記第1の基板を介して出射する光を前記光制御層で特性変化させることによって制御することを特徴とする光学素子の駆動方法。 - 前記駆動回路によって前記第2の電極を駆動させる際に、多相交流を切り替えることを特徴とする請求項8に記載の駆動方法。
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