JP3626348B2 - 砲身 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動バンドをもつ回転が安定した弾丸を発射する砲身に関するものであって、この砲身は、その内壁に全周にわたって螺旋状に切られた溝の形で旋条がつけられており、それにより旋条溝側面(フランク)が、旋条溝の底部に向って両側に形成され、それぞれの旋条溝側面の角度を有しており、砲身の旋条輪郭を決めるために、旋条溝間にランド部が存在している。この方法で旋条された砲身用の砲弾は、1度又は数度、回転を与えるために続けて配置されたいくつかの駆動(ドライビング)バンド(旋転バンド)を有しており、その駆動バンドは、砲身内の加速発射の間、高い応力を受け、多かれ少なかれ高い摩耗を受ける。
【0002】
【従来の技術】
砲口速度を上げ、砲兵器の範囲を広げるために、砲身は、しばしば長くされ、例えば39口径長〜52口径長にされる。結果として、砲弾の駆動バンドは、その限界まで応力を受け、より早く摩耗する。駆動バンドの摩耗は、旋条溝の側面での表面圧力を減少することによって少なくでき、これは、旋条角度(回転角度)を減少するか、又は旋条溝又は駆動バンド幅の数/幅を増加するか、又はこれらの選択の組み合せによってできる。表面圧力は、加速回転中の旋条力Rによって起きる。従って、最大の旋条力が、旋条溝と駆動バンドの寸法を決めるための出発点として用いられる。
【0003】
独で公開された特許出願第4001130号(DE−4001130A1)には、この砲身から発射される砲弾の砲内及び砲外の弾道学を改善するため、及び駆動バンドの摩耗を減少するために、最適化された旋条をもつ砲身が記載されている。回転が、旋条力R(x)を考慮することによって最適化され、ここでは旋条角度が、フーリエ級数で解析されている。
【0004】
独で公開された特許出願第4200171号(DE−4200171A1)には、旋条力R(x)の標準化について更に開示されており、これは、旋条角度を決めるため及び駆動バンドの摩耗を減少するために、これを用いることを示唆している。この標準化された旋条力と予め決められた最終の旋条角度のおかげで、全ての関連のある砲身の変数が、その製造中に既に指定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
旋条角度は、僅かにだけ変えられるか、又は少しも変えられないかのどちらかである。そのような変更は、いくつかの挿入される砲弾の適合性を危険にさらしている。砲身の内側壁に切り込まれた螺旋溝の深さを意味している旋条深さの変更は、全ての挿入される砲弾の適合性を危険にさらしている。駆動バンド幅を変えることは、挿入された砲弾に対してはできない。確かに、駆動バンドのためにより高抵抗の材料(例えば真ちゅうの代りに軟鉄)を使用すれば、摩耗の減少となるが、特に挿入された装填砲弾(戦闘弾薬)にとって非常に問題であり、むしろやっかいな問題である。加えて、砲身の耐用年数がマイナスに影響することが予想される。
【0006】
本発明の目的は、砲口域での砲弾の速度を落とすことなく、砲弾の駆動バンドの摩耗が減少する砲身を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、駆動バンドをもつ安定した回転の砲弾を発射するための砲身であって、この砲身が、その内壁の全周にわたって切り込まれた多数の螺旋状溝の形で旋条されていて、この溝が、旋条溝の底部に向って両側面上でそれぞれの旋条溝側面(フランク)を形成して、それぞれの旋条溝の側面(フランク)角度αを有しておりかつランド部がそれぞれの旋条溝の間に存在しているようにされていて、溝とランド部とで旋条輪郭を決めており、かつ旋条溝とランド部とは、増加した数の旋条溝をもつ旋条溝の全体積が、より少ない数の旋条溝の全体積と同じであり、旋条溝の深さと回転角度(δ)が、増加した数の旋条溝に対してとより少ない数の旋条溝に対してとで同じであるような構造とされている砲身によって達成される。
【0008】
この解決策は、旋条溝の数の増加が、砲身の内部の砲弾の駆動バンド上の旋条側面当りの摩擦力(摩擦仕事)を減らすという認識に基づいている。砲弾胴部上の旋条溝の数の増加及びこれによる旋条溝間のランド部面の減少とにより生じた影響を避けるために、本発明による旋条輪郭は、全旋条溝の体積又は圧縮された駆動バンドの体積が、より少ない数の旋条溝より生じる体積と等しいような構造とされている。旋条深さと旋条角度は、より少ない数の旋条溝の輪郭と比べて変わらない。より多い数の旋条溝に対する砲内及び砲外の弾道学は、より少ない数の旋条溝のそれと同じである。もし急な旋条側面(フランク)が形成されるならば、大きな全ランド部面積が生じて、砲弾の胴部とランド部面積との間の表面圧力及びこれによる摩擦仕事とが、より少ない数の旋条溝の旋条輪郭に比較して、より悪化するのを防止できる。
本発明の更なる有利な特徴が開示されている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、52口径砲身長を有する155mm口径の砲身の好ましい実施の形態により、以下に詳細に説明され、記載される。
【0010】
図1は、砲身の内壁2の全周に螺旋状溝として切り込まれた多数の旋条溝3をもつ砲身1の詳細な断面を示している。旋条溝3の間にある隆起部4は、ランド部4とも呼ばれている。旋条溝3とランド部4とは、砲身1の内側の旋条輪郭の構造を決めている。旋条溝3は溝幅bと2つの溝側面(フランク)5とを有している。旋条溝3の旋条溝深さ6は、溝がどのぐらい深く切り込まれているかで決められ、旋条溝3のランド部4と溝底部7との高さの差で表わす。砲弾8の発射中、旋条溝3の間にあるランド部4は、砲弾8(図2)に取り付けられている駆動バンド9に螺旋状溝を食い込ます。発射の圧縮中、この駆動バンド9は、砲身1の旋条輪郭のひっ込んだ部分によって与えられ、それにより砲身1の凹部である旋条溝3は、駆動(ドライビング)バンド9上に隆起した部分として現われる。これらの隆起した部分はウェブ10と呼ばれ、ウェブ幅bと2つのウェブ側面(フランク)11を有している。
【0011】
加速発射の出発点では、駆動バンド9のウェブ幅bは、旋条溝の旋条溝幅bに等しい(図3(a))。砲弾が砲身1を通過する間に、ウェブ側面11は、駆動バンドの摩耗を意味している摩耗を受け、空間又は隙間12を形成する。砲弾8が砲身1を離れると、駆動バンド9は残余のウェブ13を有するようになり、その幅brsは旋条溝幅bよりかなり狭くなる(図3(b))。
【0012】
最大のガス圧力を増加することなく、砲弾の砲口速度を増加するために、砲弾8の加速通路が延ばされ、及び/又は発射火薬量が増加される。
【0013】
全駆動バンドの摩耗は、側面(フランク)圧力の積分、つまり砲弾8の加速通路にわたっての旋条側面(フランク)5での表面圧力に比例している駆動バンド9での摩擦仕事に比例していることは、公知である。側面圧力は、砲弾8の回転加速とガス圧力とによって引き起こされる摩耗による侵食の結果として大きくなった隙間12の負担を加えることにより得られる。隙間12が大きくなればなるほど、ガス圧力及びこれによる摩耗による侵食はより大きくなる。最大のガス圧力は、砲弾の基部14でのガス圧力に等しい。接線力を形成するに加えて、大きな隙間12は砲弾の加速にマイナスの影響がある半径方向の力をも形成する。
【0014】
砲身1の砲口に向けての砲弾の動作中の砲弾8の回転加速の結果である駆動バンド9の材料への全侵食は、砲口速度の2乗に比例している。
【0015】
旋条溝Zの数の増加のおかげで、全摩耗量は、形成している隙間12の数の増加をもたらすより大きな面積に分配される。隙間12のガス圧力及びその結果である付加の駆動バンドの摩耗が減少する。
【0016】
駆動バンド9の密封効果は、隙間12内の減少により更に増加され、それは、砲弾8上の旋条溝とランド部、及び砲身1の砲口領域のランド表面上の関連した摩耗とによって起こされる影響を減少又は回避させている。
【0017】
827m/sの砲口速度が、39口径長を有する砲身1で達成される。この場合では、48個の旋条溝はほとんど駆動バンドの摩耗を起こさず、そのため隙間12はほとんど0に等しいことが知られている。52口径長では、砲口速度は945m/sに増加する。48個の旋条溝に対しては、強い駆動バンド摩耗が観察された。隙間12内のガス圧力による駆動バンドの摩耗を、827m/sと945m/sとの場合で同じにするために、旋条溝の数が48個から60個に増やされ、それにより各々の旋条溝の駆動バンドの摩耗が、砲弾の回転加速の結果、変わらない。以下の式が提供されている。
60/48≒(945/827)
【0018】
旋条溝3に押し付けられたときの駆動バンド9の変形は、48個と60個の旋条溝に対して同じであらねばない。これが同じ全旋条溝の体積(旋条溝の数Z×旋条溝の幅b×旋条溝の深さ6)が、60個の旋条溝に対してと48個の旋条溝に対しても同じ方法で実現できる理由である。48個の溝に対してと60個の溝に対しても、旋条溝深さ6が同じであるので、60の溝をもつ旋条溝の輪郭のための旋条溝深さbは、
z60 =(48/60)・bz48
である。
【0019】
各々の旋条溝3の摩耗量は、旋条溝側面5の表面に、側面圧力に比例している旋条溝側表面の垂直の侵食を掛けたものに等しい。
【0020】
隙間12を理想的に小さく保つために、本発明においては、駆動バンド9の同体積が、60個の旋条溝に旋条溝の数Z60を増加の間に、より少ない旋条溝の数Z48に対して圧搾されたように、圧縮されている。このために、約9°のより急勾配の旋条溝の側面角度αが、旋条溝側面5と溝底部7との間に形成され、砲身1内に望ましくない半径方向の力が起きるのを避けている。旋条溝の深さ6と回転角度δは、48個の旋条溝をもつ砲身1と比べて、変えられていない。
【0021】
より低い溝底部7において、旋条溝の輪郭それ自身は、好ましくはそれぞれの溝側面5に対し内部の半径γが0.5mmの丸みが付けられ、ランド部4は旋条溝側面5に対し上部ランド部の半径γが好ましくは0.3mmの丸みが付けられており、それにより旋条表面上の鋭い縁の面取り部を避けることができ、圧縮中に駆動バンド9に刻まれる。旋条側表面は、旋条側面5とこれと関連した旋条溝底部7上の垂直線との間の旋条側面角度αを変えることによって、変えられ、それによりより急勾配の旋条側面5、例えばより小さい側面角度(α)の形成の結果として、ランド部4の表面が構造上拡げられ、旋条側面5の表面が減少し、これらの旋条溝側面5での表面圧力に変化が起きない。
【0022】
旋条溝側面の角度を公知の30°から約9°に、及び部分的にクロムのメッキを行って約0°まで減少することによって、各々の旋条溝に対してより摩耗量を少なくできる。側面圧力及び側面に垂直な侵食より生じる隙間12の幅は、同じである。
いくつかの駆動バンドが、1つの駆動バンド9の代りに公知の方法で用いられる。
【0023】
この新しい旋条側面の構造は、60個の旋条溝の輪郭に対しても、48個の旋条溝の輪郭に対するのと同じ圧縮及び駆動バンド9の全摩耗の減少を実現できる。加えて、旋条力R(x)によって生じる表面圧力の20%の減少が達成される。
【0024】
本発明は十分に説明されていが、ここで説明されている本発明の精神又は範囲から外れることなく、多くの変更及び修正が可能であることは、当業者であれば明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、砲身の旋条の断面図である。
【図2】図2は、関連した砲弾と一緒の駆動バンドの一部分又は一断片の斜視図である。
【図3】図3において、(a)は、発射加速の開始点で駆動バンドが摩耗することのない、旋条された砲身と砲弾の駆動バンドとの結合協力の断面図であり、(b)は、駆動バンドの摩耗を示している砲弾の駆動バンドと、旋条された砲身との結合協力の断面図である。
【符号の説明】
1…砲身
2…砲身の内壁
3…旋条溝
4…ランド部
5…旋条溝側面
6…旋条溝の深さ
7…旋条溝の底部
8…砲弾
9…駆動バンド
10…ウェブ
11…ウェブ側面
12…隙間
13…残余のウェブ
14…砲弾基部

Claims (10)

  1. 駆動バンドをもつ回転が安定した砲弾を発射するための砲身において、
    砲身が、その内壁の全周にわたって切り込まれた多数の螺旋状溝の形をした旋条が設けられていて、その溝が、それぞれの旋条溝側面が、旋条溝底部に向けて両側に形成されて、それぞれの旋条溝側面の角度αを有するようにされ、かつランド部がそれぞれの旋条溝間にあるようにされていて、旋条溝とランド部が一緒になって旋条輪郭を決めており、そして、この旋条溝とランド部とが、旋条溝の数が48個よりも多く設けられていて、そのときの旋条溝の全体積が、48個の数の旋条溝の全体積と同じであり、かつ旋条溝の深さと回転角度(δ)とが、増加した数の旋条溝に対しても48個の数の旋条溝に対してと同じであるところの砲身。
  2. 各々の旋条側面が、旋条溝の数が増加した場合に、駆動バンドの全摩耗を減少するために、旋条溝底部に対しほとんど垂直であるところの請求項1に記載の砲身。
  3. 旋条側面の角度(α)が、クロムメッキが施されていない砲身に対しては、9.5°より小さいところの請求項2に記載の砲身。
  4. 旋条側面の角度(α)が、部分的又は完全にクロムメッキがされた砲身に対しては、ほぼ0°であるところの請求項2に記載の砲身。
  5. 0.5mmより小さい内面半径(γ)が、旋条溝底部と各々関連した旋条溝側面との間で設けられ、かつ0.3mmより小さいランド部の半径(γ)が、各々のランド部と各々関連したそれぞれの旋条側面の上部部分との間で設けられているところの請求項2に記載の砲身。
  6. 駆動バンドをもつ回転が安定した砲弾を発射するための改善された砲身を形成する方法であって、
    砲身が、その内壁の全周にわたって切り込まれた与えられた数の螺旋状溝の形をした旋条が設けられていて、それぞれの旋条溝側面が旋条溝底部に向けて両側に形成されて、それぞれの旋条溝側面の角度を有するように、かつランド部がそれぞれの旋条溝間にあって、旋条溝とランド部とが一緒になって旋条輪郭を決めるようにされており、かつ旋条溝が一定の溝深さと回転角度を有する砲身を形成する方法において、この方法が、
    砲身内面に48個の数よりも増加した数の溝をもつ旋条溝とランド部とを形成する一方で、旋条溝の全体積を、48個の数の旋条溝の体積と同じであり、かつ旋条溝の深さと回転角度(δ)とを、48個の数の旋条溝のそれらと同じに保つように形成されることを備えている砲身の形成方法。
  7. 旋条溝の数が増加した場合に駆動バンドの全摩耗を減少するために、それぞれの旋条側面を、旋条溝底部に対しほとんど垂直に形成することを更に備えている請求項6の砲身の形成方法。
  8. クロムメッキが施されていない砲身に対しては、各々のそれぞれの旋条側面の角度(δ)を9.5°より小さく形成することを含んでいる請求項7に記載の砲身の形成方法。
  9. 一部に又は全部にクロムメッキがされた砲身に対しては、各々のそれぞれの旋条側面の角度(δ)をほぼ0°に形成することを含んでいる請求項7に記載の砲身の形成方法。
  10. 各々の旋条溝側面が、旋条溝底部とそれぞれの旋条溝側面との間で、0.5mmより小さい内面半径(γ)を有し、かつ各々のランド部と各々関連したそれぞれの旋条側面の上部部分との間で、0.3mmより小さいランド部の半径(γ)を有するように形成することを含んでいる請求項7に記載の砲身の形成方法。
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