JP3626007B2 - 赤外線検出回路および赤外線2次元イメージセンサ - Google Patents

赤外線検出回路および赤外線2次元イメージセンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、対象物体から放出される赤外線を検出する赤外線検出回路およびその赤外線強度の2次元的分布を測定可能な赤外線2次元イメージセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
室温の物体や人体からは、波長10μm付近の赤外線(熱線)が輻射されており、これを計測することにより、それらの存在や温度の情報が非接触で得られ、自動扉、侵入警戒器、電子レンジの調理モニタ、科学計測等のさまざまな応用がなされている。
【0003】
こういった計測において、一番のキーデバイスは赤外センサであり、量子型赤外センサと熱型赤外センサの2種類に大きく分けられる。
【0004】
量子型赤外センサは、感度が大きく検知能力に優れているが、冷却が必要なため装置が大型になるといった点で実用性に問題があるが、熱型赤外センサは、感度が量子型赤外センサよりは少し劣るものの室温動作が可能であるというメリットがあり、実用性に富んでいる。
【0005】
このため、熱型赤外センサとして、焦電効果を用いるもの、抵抗ボロメータ、誘電ボロメータ、サーモパイル、ゴーレイセル等、数多くのものが提案されている。
【0006】
なかでも、電界を印加して誘電率の温度変化を検知する誘電ボロメータは、他のセンサより感度が高く、チョッパが必要ない等の優れた特徴を有しており実用的見地から期待されている。
【0007】
さらに、より高度な赤外線センシングとして、物体や風景の温度分布を非接触で得られる赤外線イメージセンサ(サーモグラフィー)への応用が期待される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
赤外イメージングのためには、焦電セラミックとシリコンFET(電界効果型トランジスタ)とのアレイをバンプで結合したり、薄膜微小抵抗ボロメータをマイクロブリッジ構造上に形成し、シリコンFETアレイと結合した室温動作赤外線撮像素子が試作されている。
【0009】
これらの素子においてはさらに、感度や画素数の増加による高分解能化等の高機能化が期待されている。しかし、従来の焦電型赤外センサや抵抗ボロメータ型赤外センサの検出では感度が限られており、あるいは、画素数も十分とはいえない。 さらに、FETアレイを用いる場合、高分解能を実現しつつ、ノイズを低減し得る構造とすることが必要であるものの実用化には至っていない。
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、集積化が容易で検出感度の向上と高分解能とを両立可能な赤外線2次元イメージセンサを提供することである。
【0011】
この発明のさらに他の目的は、簡易な構成でノイズを抑制した赤外線検出回路を提供することである。
【0012】
【課題を解決すための手段】
請求項1記載の赤外線検出回路は、基板上に形成される赤外線検出回路であって、赤外線を吸収することによる温度変化に応じて静電容量値が変化する赤外線検出容量手段とを備え、赤外線検出容量手段は、互いに対向する対向電極と、対向電極に挟まれる強誘電体薄膜とを含み、赤外線検出容量手段に対応して、基板上に赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段と、赤外線検出容量手段および参照容量手段の一方電極に第1のパルス電圧を印加し、赤外線検出容量手段および参照容量手段の他方電極に第1のパルス電圧とは逆相の第2のパルス電圧を印加するためのパルス印加手段と、第1および第2のパルス電圧の印加に応じて、赤外線検出容量手段の静電容量値と参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とを備える
【0013】
請求項2記の赤外線検出回路は、請求項1記載の赤外線検出回路の構成に加えて、第1および第2のパルス電圧のオフ期間中に、赤外線検出容量手段および参照容量手段に蓄積された電荷をリセットするためのリセット手段をさらに備える。
【0014】
請求項3記載の赤外線検出回路は、半導体基板の主表面上に形成される赤外線検知手段を備え、赤外線検知手段は、赤外線検出容量手段と、赤外線検出容量手段に対応して、基板上に赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段とを含み、赤外線検出容量手段は、半導体主表面上に形成される下部電極と、下部電極上に堆積された強誘電体薄膜と、強誘電体薄膜上に堆積された上部電極とを有し、半導基板体の裏面側から下部電極の形成される主表面直下に至る溝部をさらに含み、赤外線検出容量手段および参照容量手段の一方電極に第1のパルス電圧を印加し、赤外線検出容量手段および参照容量手段の他方電極に第1のパルス電圧とは逆相の第2のパルス電圧を印加するためのパルス印加手段と、第1および第2のパルス電圧の印加に応じて、赤外線検出容量手段の静電容量値と参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とをさらに備える
【0015】
請求項4の赤外線検出回路は、請求項3記載の赤外線検出回路の構成に加えて第1および第2のパルス電圧のオフ期間中に、赤外線検出容量手段および参照容量手段に蓄積された電荷をリセットするためのリセット手段をさらに備える。
【0016】
請求項5記載の赤外線2次元イメージセンサは、マトリックス状に配置された複数の画素セルを備え、各画素セルは、赤外線を吸収することによる温度変化に応じて静電容量値が変化する赤外線検出容量手段と、赤外線検出容量手段に対応して、基板上に赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段と、選択信号に応じて赤外線検出容量手段を選択する第1のスイッチ手段と、選択信号に応じて参照容量手段を選択する第2のスイッチ手段とを含み、赤外線検出容量手段および参照容量手段の一方電極に第1のパルス電圧を印加し、赤外線検出容量手段および参照容量手段の他方電極に第1のパルス電圧とは逆相の第2のパルス電圧を印加するためのパルス印加手段と、第1および第2のパルス電圧の印加に応じて、選択信号に応じて選択された、赤外線検出容量手段の静電容量値と参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とをさらに備える。
【0017】
請求項6記載の赤外線2次元イメージセンサは、請求項5記載の赤外線2次元イメージセンサにおいて、赤外線検出容量手段は、互いに対向する対向電極と、対向電極に挟まれる強誘電体薄膜とを含む。
【0018】
請求項5記載の赤外線2次元イメージセンサは、半導体基板の主表面上にマトリックス状に形成された複数の画素セルを備え、各画素セルは赤外線検出容量手段と、赤外線検出容量手段に対応して、基板上に赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段とを含み、赤外線検出容量手段は、半導体主表面上に形成される下部電極と、下部電極上に堆積された強誘電体薄膜と、強誘電体薄膜上に堆積された上部電極とを有し、半導基板の裏面側から下部電極の形成される主表面直下に至る溝部と、選択信号に応じて赤外線検出容量手段を選択する第1のスイッチ手段と、選択信号に応じて参照容量手段を選択する第2のスイッチ手段とをさらに含み、赤外線検出容量手段および参照容量手段の一方電極に第1のパルス電圧を印加し、赤外線検出容量手段および参照容量手段の他方電極に第1のパルス電圧とは逆相の第2のパルス電圧を印加するためのパルス印加手段と、第1および第2のパルス電圧の印加に応じて、選択信号に応じて選択された、赤外線検出容量手段の静電容量値と参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とを備える。
請求項8記載の赤外線検出回路は、請求項5または7記載の赤外線検出回路の構成に加えて第1および第2のパルス電圧のオフ期間中に、赤外線検出容量手段および参照容量手段に蓄積された電荷をリセットするためのリセット手段をさらに備える。
請求項9記載の赤外線検出回路は、基板上に形成された赤外線検出回路であって、半導体基板の主表面上に形成される赤外線検知手段を備え、赤外線検知手段は、赤外線を吸収することによる温度変化に応じて静電容量値が変化する赤外線検出容量手段と、赤外線検出容量手段に対応して、基板上に赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段とを含み、赤外線検出容量手段は、半導体主表面上に形成される下部電極と、下部電極上に堆積された強誘電体薄膜と、強誘電体薄膜上に堆積された上部電極とを有し、半導基板体の裏面側から下部電極の形成される主表面直下に至る溝部をさらに含み、赤外線検出容量手段の静電容量値と参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とを備える。
請求項10記載の赤外線検出回路は、赤外線2次元イメージセンサであって、半導体基板の主表面上にマトリックス状に形成された複数の画素セルを備え、各画素セルは、赤外線を吸収することによる温度変化に応じて静電容量値が変化する赤外線検出容量手段と、赤外線検出容量手段に対応して、基板上に赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段とを含み、赤外線検出容量手段は、半導体主表面上に形成される下部電極と、下部電極上に堆積された強誘電体薄膜と、強誘電体薄膜上に堆積された上部電極とを有し、半導基板の裏面側から下部電極の形成される主表面直下に至る溝部と、選択信号に応じて赤外線検出容量手段を選択する第1のスイッチ手段と、選択信号に応じて参照容量手段を選択する第2のスイッチ手段とをさらに含み、選択信号に応じて選択された、赤外線検出容量手段の静電容量値と参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とを備える。
【0019】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1の赤外線2次元イメージセンサ1000の構成を示す概略ブロック図である。
【0020】
赤外線2次元イメージセンサ1000は、外部からの制御信号(タイミング信号、アドレス信号等を含む)を受ける制御信号入力端子2と、外部制御信号に応じて赤外線2次元イメージセンサ1000の動作を制御する信号を出力する制御回路10と、画素セル20がマトリックス状に配列されたセンサアレイ16と、制御回路10に制御されて、センサアレイ16中の行の選択を行う行セレクタ12と、制御回路10により制御されてセンサアレイ16中の列の選択を行う列セレクタ14と、センサアレイ16の列に対応して設けられ、選択された画素セルからの信号を増幅するオペアンプ22と、センサアレイの列に対応して設けられオペアンプ22からの信号の高周波ノイズの除去を行う帯域透過フィルタ24と、制御回路10により制御されて、帯域透過フィルタ24からの信号を選択的に出力端子4に与えるマルチプレクサ26とを含む。
【0021】
制御回路10は、外部からの制御信号に応じて、行セレクタ12の動作を制御する信号CLK1と、列セレクタ14の動作を制御する信号CLK2と、マルチプレクサ26の動作を制御する信号SCとを出力する。
【0022】
図2は、図1の画素セル20の構成を示す回路図である。
画素セル20は、第1の駆動信号SD1が与えられるノード202と、第2の駆動信号SD2が与えられるノード204と、ノード202と204との間に直列に接続される抵抗体R1および参照容量CRと、ノード202と204との間に直列に接続される抵抗体R2および赤外線検出容量CFと、抵抗体R1と参照容量CRとの接続ノードn1と画素セル20の第1の出力ノードnt1との間に直列に接続されるトランジスタTr1およびTr2と、抵抗体R2と赤外線検出容量CFとの接続ノードn2と画素セル20の第2の出力ノードnt2との間に直列に接続されるトランジスタTr3およびTr4とを含む。
【0023】
トランジスタTr1およびTr3は、行セレクタ12からの信号Sxに応じて導通または非導通状態となり、トランジスタTr2およびTr4は、列セレクタ14からの信号Syに応じて導通または非導通状態となる。
【0024】
後に説明するように、出力ノードnt1およnt2からは、それぞれ互いに相補な信号OUTおよび/OUTが出力される。
【0025】
また、抵抗体R1およびR2としては、特に限定されないが、たとえば、注入抵抗やポリシリコン薄膜を用いることが可能である。もちろん、他の金属材料等の薄膜を抵抗体R1およびR1として用いることが可能である。
【0026】
また、参照容量としては、特に限定されないが、赤外線が入射しないように遮蔽した赤外線検出容量と同様の強誘電体薄膜を用いたキャパシタとしたり、シリコン酸化膜を金属電極で挟んだ構造を用いることが可能である。
【0027】
さらに、後に説明するように、赤外線検出容量としては、好ましくは、強誘電体材料、たとえば、(Ba1−x Sr)TiO(以下、BSTと呼ぶ)の薄膜を用いることが可能である。ただし、後の説明でも明らかなように赤外線を吸収したことによる温度変化にともなって誘電率の変化する材料であれば、BSTに限定されるものではない。
【0028】
図3は、図2に示した回路をシリコン(Si)などの半導体基板上に集積回路として形成する際の平面パターンを示す平面図であり、図4は、図3に示した平面図のP−P’断面を示す断面図である。
【0029】
図3および図4を参照して、画素セル20は、Si基板300上に堆積されたシリコン酸化膜304と、シリコン酸化膜304の開口部に形成されたMOSトランジスタTr1と、MOSトランジスタTr1に隣接して形成され、下部電極308(Pt/Ti積層膜)、強誘電体膜310(BST膜)および上部電極312(Al膜)とからなる赤外線検出容量CFと、Si基板300の裏面側から赤外線検出容量CFの直下部分の所定深さまで開口する溝部330とを含む。
【0030】
MOSトランジスタTr1は、シリコン酸化膜304の開口部のSi基板主表面に形成され、基板の導伝型とは逆極性の不純物領域であるソース/ドレイン領域320および324と、ソース/ドレイン領域320および324に挟まれるSi基板主表面に形成されたチャネル層322と、チャネル層直上のSi基板主表面に堆積されたゲート酸化膜302およびゲート酸化膜302上に形成されたポリシリコンゲート電極314とを含む。
【0031】
下部電極308は、シリコン酸化膜304の上部に堆積され層間絶縁膜となるシリコン酸化膜306上に堆積される。下部電極308は、ソース/ドレイン領域320とコンタクトしている。
【0032】
ゲート電極314上には、下部電極308と同一の配線層により形成された引出し配線316が設けられ、下部電極308と同一の配線層により形成された引出し配線318とソース/ドレイン領域324とがコンタクトしている。
【0033】
溝部330を設けるのは、画素セル20が熱型赤外センサであって、その温度上昇が出力信号強度に直接影響することから、熱伝導の大きいSi基板300への熱のロスをできるだけ減少させるためである。
【0034】
なお、図3中で領域GVは、溝部330をエッチング形成する際の平面パターンであり、領域GVを囲む領域GESは、溝部330を裏面側からエッチングする際のエッチングストッパ層を形成する領域を意味する。たとえば、基板表面側からホウ素(B)等のイオン(たとえば、濃度3×1016cm−3以上)を注入しておくことで、Siのエッチングレートが減少することを利用する。
【0035】
図5は、図4に示した赤外線検出容量CFを構成する強誘電体薄膜の誘電率の温度依存性を示す図である。
【0036】
この強誘電体膜は、BST[(Ba1−x Sr)TiO]であり、レーザーアブレーション法により(100)面のSi基板上に堆積されたPt/Ti/SiO積層構造上に約1μmの厚さ形成したものである。
【0037】
BSTの組成xとしては、x=0.17、0.33、0.50の3種類についての測定結果を示している。Ba/Srの組成比によりキューリー温度Tcはかなり変動するが、組成比〜2(x=0.33)付近で、キューリー温度Tcは25℃〜30℃となり、その付近で誘電率は大きく変化する。最大変動部の付近では、変化率は約100/K(K:ケルビン)に達し、相対変化量に換算すると約10%変動している。
【0038】
次に、図4に示した画素セル20の製造方法を、その第1〜第12工程のフローを断面図に従って説明する。
【0039】
図6〜図17は、上記第1〜第12工程をそれぞれ示す断面図である。
図6を参照して、第1工程においては、Si基板300表面に熱酸化によりシリコン酸化膜304を形成する。また、基板裏面にアラインメントマーク301をドライエッチング等の異方性エッチングにより形成する。
【0040】
図7を参照して、第2工程ではシリコン酸化膜304の所定領域303をエッチングにより開口する。後に説明するようにこの領域303にMOSトランジスタTR1が形成される。
【0041】
図8を参照して、レジストパターン305をマスクとしてMOSトランジスタTR1のチャネル部322へ、その導伝型に対応したイオン種のイオン注入を行った後、活性化のためのアニールを行う。
【0042】
図9を参照して、Si基板に対して熱酸化により、ゲート酸化膜302を堆積した後、CVD(Chemical Vaper Deposition )法等によりゲート電極となるポリシリコン307を堆積する。
【0043】
図10を参照して、RIE(Reactive Ion Eyching)等の異方性エッチングによりポリシリコン307をパターニングして、エッチングすることによりゲート電極314が形成される。
【0044】
図11を参照して、ゲートパターンをマスクとして開口部303上およびシリコン酸化膜304上に堆積しているゲート酸化膜302をエッチング除去した後、ゲート電極314およびシリコン酸化膜304をマスクとしてソース/ドレイン領域320および324の不純物拡散を行う。
【0045】
図12を参照して、CVD法等によりシリコン酸化膜306を堆積する。
図13を参照して、基板裏面側からRIE等の異方性エッチングによりSi基板300の赤外線検出容量CF直下に溝部330を形成する。この溝部の開口寸法は、たとえば、数十μm×数十μmの大きさである。
【0046】
また、赤外線検出容量CFの直下のSi基板厚は、たとえば、0〜50μmの範囲であり、機械的強度の許す限り薄ければ薄いほどよい。
【0047】
つまり、好ましくは、赤外線検出容量CFの直下にはSi基板が存在しなくなるまでエッチング除去することが望ましい。
【0048】
図14を参照して、MOSトランジスタTR1のソース/ドレイン領域320および324ならびにゲート電極314上に開口するコンタクトホール(接続孔)をRIE等により形成する。
【0049】
図15を参照して、スパッタリング法あるいは、真空蒸着法およびリフトオフ法等により下部電極308ならびに引出し配線316および318となるPt/Ti積層膜を形成する。
【0050】
続いて、図16を参照して、レーザーアブレーション法等により強誘電率膜310のBST膜等を堆積する。レーザーアブレーションにより強誘電体膜を堆積することで、低基板温度での成膜が可能であり、FETアレイが形成されている基板へのダメージを低く押さえることができる。
【0051】
図17を参照して、上部電極となるAl膜312をスパッタリング法あるいは真空蒸着法等により所定パターンに形成する。
【0052】
以上の工程により、図4に示したような断面構造を有する画素セル20が形成される。
【0053】
図4に示したような画素セル20は、電界誘起焦電効果による誘電ボロメータであって、誘電率の温度変化を利用することにより、赤外線センサとして動作する。
【0054】
この赤外線検知感度は、従来の電界印加なしの純粋の焦電効果を用いた場合に比べて、数十倍であり、抵抗型ボロメータに比べても約5倍と大きなものとなる。
【0055】
さらに、誘電率を電界を加えて測定するためチョッパが必要なくなる。
さらに、後に説明するように、参照容量との差動をとることにより格段に感度を向上させることが可能な構成を比較的簡単な構造で実現できるため、二次元アレイとした場合にも高解像度を実現しやすいとの特徴を有する。
【0056】
図18は、図2に示した回路において、R1=R2=50kΩ、CR=1nFとした場合に、赤外線検出容量CFは1nFを出発値として、0.002nFずつCF=1.01nFまで変化させた場合の画素セル20の出力のSPICEによるシミュレーション結果である。
【0057】
第1および第2の駆動信号SD1およびSD2のパルス電圧は、オフ状態ではともに0Vであり、オン状態ではそれぞれ5V、−5Vであって、パルス周期は200μsecである。パルス周期200μsec期間中、第1および第2の駆動信号SD1およびSD2のオン期間は100μsecであり、オフ期間は100μsecである。
【0058】
X−Yアドレススイッチとして動作する、NチャネルMOSトランジスタTr1〜Tr4のサイズは、すべて同一で、ゲート幅(W)/ゲート長(L)の比で、W/L=10μm/10μmである。XアドレススイッチのトランジスタTr1およびTr3ならびにYアドレススイッチのトランジスタTr2およびTr4の両者がオン状態となる時間は、上記パルス周期200μsec中の最初の30μsecである。
【0059】
図18を参照して、出力波形は、きれいな周期波形となっおり、DCオフセットの発生も見られない。
【0060】
図18中、点PA1においてトランジスタTr1〜Tr4は、オフ状態となっている。また、たとえば0.2%と表示した波形は、赤外線検出容量CFの容量値が基準値の1nFから0.2%ずれた1.0002nFとなったときの波形であることを示す。
【0061】
図19に、図18に示した出力波形の単一波形の拡大図を示す。赤外線検出容量の相対変動値1%では、約20mVの出力が得られることがわかる。
【0062】
図20は、図18に示したのと同一のバイアス条件等において、トランジスタTr1〜Tr4をオフ状態としなかった場合の出力波形を示す。
【0063】
図20からわかるように、トランジスタTr1〜Tr4をオフ状態とする時間を遅らせることによりさらに出力電圧値を増加させることが可能である。
【0064】
図18〜図20のシミュレーション結果も示すとおり、図2に示した画素セル20の回路は、ダイナミック回路であり、出力電位は時間が経てば抵抗R1、R2を通して放電され電源電位0Vに戻る。よって出力電位は自然にリセットがかかるためDCオフセットは発生しないことになる。また、赤外線検出容量の相対変動値と出力電圧変動値とは線形な関係があることがわかる。
【0065】
出力電圧の変動量としては、通常のオペアンプ入力感度に対して十分であり、このような画素セル20が赤外線検出素子として十分機能することが分かる。
【0066】
以上のように構成された画素セルにより、室温で高感度かつ簡易な構成の赤外線検出回路を実現することができ、それを2次元に配列した2次元センサアレイにより、高感度かつ高密度画素の室温動作赤外線2次元イメージセンサを実現することができる。
【0067】
[実施の形態2]
図21は、本発明の実施の形態2の画素セル120の構成を示す回路図である。図22は、図21に示した回路をシリコン(Si)などの半導体基板上に集積回路として形成する際の平面パターンを示す平面図である。
【0068】
図21に示した画素セル120が、図2に示した実施の形態1の画素セル20と異なる点は、抵抗R1および抵抗R2が、それぞれ容量C1およびC2となっている点であり、その他の点は同一であるので、同一部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0069】
赤外線検出容量CFの直下には、実施の形態1と同様にしてSi基板に溝部が形成されている。
【0070】
したがって、画素セル120を2次元に配列することで、実施の形態1と同様に赤外線2次元イメージセンサを構成することが可能である。
【0071】
図23は、図21に示した回路において、C1=C2=CR=0.01nFとした場合に、赤外線検出容量CFは0.01nFを出発値として、0.00002nFずつCF=0.0101nFまで変化させた場合の画素セル120の出力のSPICEによるシミュレーション結果である。
【0072】
第1および第2の駆動信号SD1およびSD2のパルス電圧は、オフ状態ではともに0Vであり、オン状態ではそれぞれ5V、−5Vであって、パルス周期は200μsecである。パルス周期200μsec期間中、第1および第2の駆動信号SD1およびSD2のオン期間は100μsecであり、オフ期間は100μsecである。
【0073】
NチャネルMOSトランジスタTr1〜Tr4のサイズは、すべて同一で、ゲート幅(W)/ゲート長(L)の比で、W/L=10μm/10μmである。XアドレススイッチのトランジスタTr1およびTr3ならびにYアドレススイッチのトランジスタTr2およびTr4の両者がオン状態となる時間は、上記パルス周期200μsec中の最初の15μsecである。
【0074】
なお、実際の回路動作時にはパルス電圧印加時のキャパシタ破壊の懸念があるために、保護抵抗として、ノード202とキャパシタC1またはC2の間にそれぞれ、1kΩの抵抗を挿入している
図23を参照して、出力波形は、周期波形となっているが、経時的なDCオフセットの発生と増大が見られる。
【0075】
図23中、点PA1においてトランジスタTr1〜Tr4は、オン状態からオフ状態となっている。
【0076】
図24に、図23に示した出力波形の単一波形の拡大図を示す。図中、たとえば0.2%と表示した波形は、赤外線検出容量CFの容量値が基準値の0.01nFから0.2%ずれた0.01002nFとなったときの波形であることを示す。赤外線検出容量の相対変動値1%では、0%時に比べ約25mVの出力変動が得られることがわかる。
【0077】
トランジスタTr1〜Tr4がオン状態である期間中は、出力電位は一定値を示し、赤外線検出容量の相対変動値と出力電圧の変動値は線形な関係であることがわかる。
【0078】
図21に示した画素セル120では、出力電位が容量分割により決定されるので、出力電位の保持時間は、図2に示した画素セル20に比べて非常に長くなる。たとえば、容量のリーク電流を完全に無視できれば、その保持時間は無限大となる。つまり、出力電位の検出はしやすい回路であるといえるが、図23に示したとおり、DCオフセットが発生してしまう。
【0079】
このため、容量に蓄積された電荷をリセットする必要があり、パルス駆動信号SD1およびSD2がオフ状態である期間中に蓄積電荷を引き抜かなければならない。たとえば、図1に示した制御回路10の制御により、トランジスタTr1〜Tr4(W/L=10μm/10μm)でパルス駆動信号のオフ状態中に、出力ノードの電位を引き抜いた場合の出力波形を図25に示す。
【0080】
このように、パルス駆動信号のオフ状態中に、出力ノードの蓄積電荷を引き抜くことで、図25に示すようにDCオフセットは発生しない。
【0081】
以上のシミュレーション結果から、出力電圧の変動量としては、通常のオペアンプ入力感度に対して十分であり、このような画素セル120が赤外線検出素子として十分機能することが分かる。
【0082】
以上のように構成された画素セルにより、室温で高感度かつ簡易な構成の赤外線検出回路を実現することができ、それを2次元に配列した2次元センサアレイにより、高感度かつ高密度画素の室温動作赤外線2次元イメージセンサを実現することができる。
【0083】
[実施の形態3]
図26は、本発明の実施の形態3の画素セル220の構成を示す回路図である。図27は、図26に示した回路をシリコン(Si)などの半導体基板上に集積回路として形成する際の平面パターンを示す平面図である。
【0084】
図26に示した画素セル220が、図21に示した実施の形態2の画素セル120と異なる点は、容量C1およびCRを省いた構成となっている点であり、これに対応してトランジスタTr1およびTr2も省かれている。その他の点は同一であるので、同一部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0085】
つまり、実施の形態3の画素セル220は、その出力の構成が差動出力ではないものの検出原理は、実施の形態2の画素セル120と同様である。
【0086】
赤外線検出容量CFの直下には、実施の形態1と同様にしてSi基板に溝部が形成されている。
【0087】
したがって、画素セル220を2次元に配列することで、実施の形態1と同様に赤外線2次元イメージセンサを構成することが可能である。
【0088】
画素セル220でも、画素セル120と同様に、赤外線検出容量の相対変動が無い場合を基準とすると、赤外線検出容量の相対変動値1%に対して、出力電圧の変動値は約25mVである。
【0089】
図26および図27に示した回路は、容量C1およびCRを省いた分、より簡易な構成の回路となり、画素セルの大きさを縮小できるので高画素密度化に有効である。
【0090】
図28は、図26に示した回路において、C2=0.01nFとした場合に、赤外線検出容量CFは0.01nFを出発値として、0.00002nFずつCF=0.0101nFまで変化させた場合の画素セル220の出力のSPICEによるシミュレーション結果である。
【0091】
第1および第2の駆動信号SD1およびSD2のパルス電圧も、実施の形態2と同様に、オフ状態ではともに0Vであり、オン状態ではそれぞれ5V、−5Vであって、パルス周期は200μsecである。パルス周期200μsec期間中、第1および第2の駆動信号SD1およびSD2のオン期間は100μsecであり、オフ期間は100μsecである。
【0092】
NチャネルMOSトランジスタTr3およびTr4のサイズは、ゲート幅(W)/ゲート長(L)の比で、W/L=10μm/10μmである。XアドレススイッチのトランジスタTr3ならびにYアドレススイッチのトランジスタTr4の両者がオン状態となる時間は、上記パルス周期200μsec中の最初の15μsecである。
【0093】
なお、実際の回路動作時にはパルス電圧印加時のキャパシタ破壊の懸念があるために、保護抵抗として、ノード202とキャパシタC2の間に、1kΩの抵抗を挿入している。
【0094】
図28中、点PA1においてトランジスタTr3およびTr4は、オン状態からオフ状態となっている。
【0095】
出力ノードの電位を、トランジスタTr3およびTr4がオフである期間中にリセットしない場合は、実施の形態2の場合と同様に、出力波形は、周期波形となるが、経時的なDCオフセットの発生と増大が見られることになる。
【0096】
図28では、このような出力ノードのリセットを行っているので、出力波形にはDCオフセットは見られない。図中、たとえば0.2%と表示した波形は、赤外線検出容量CFの容量値が基準値の0.01nFから0.2%ずれた0.010002nFとなったときの波形であることを示す。赤外線検出容量の相対変動値1%では、約25mVの出力が得られることがわかる。
【0097】
トランジスタTr3およびTr4がオン状態である期間中は、出力電位は一定値を示し、赤外線検出容量の相対変動値と出力電圧の変動値は線形な関係であることがわかる。
【0098】
図26に示した画素セル220でも、出力電位が容量分割により決定されるので、出力電位の保持時間は、図2に示した画素セル20に比べて非常に長くなる。たとえば、容量のリーク電流を完全に無視できれば、その保持時間は無限大となる。
【0099】
以上のシミュレーション結果から、出力電圧の変動量としては、通常のオペアンプ入力感度に対して十分であり、このような画素セル220が赤外線検出素子として十分機能することが分かる。
【0100】
以上のように構成された画素セルにより、室温で高感度かつ簡易な構成の赤外線検出回路を実現することができ、それを2次元に配列した2次元センサアレイにより、高感度かつ高密度画素の室温動作赤外線2次元イメージセンサを実現することができる。
【0101】
[実施の形態4]
図29は、本発明の実施の形態4の画素セル320の構成を示す回路図であり、図30は、その変形例の画素セル420の構成を示す回路図である。
【0102】
すなわち、画素セル320は赤外線検出容量CFの容量変動を直接検知する構成であるのに対し、画素セル420は、画素セル320に参照容量をCRを付加して、容量CFおよびCRの差動をとる構成となっている。
【0103】
したがって、図29に示した画素セル320が、図26に示した実施の形態3の画素セル220と異なる点は、容量C2を省いた構成となっている点である。その他の点は同一であるので、同一部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0104】
また、図30に示した画素セル420が、図21に示した実施の形態2の画素セル120と異なる点は、容量C1およびC2を省いた構成となっている点である。その他の点は同一であるので、同一部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0105】
つまり、画素セル320と画素セル420とは、その出力の構成が差動出力であるかいなかという相違はあるものの、検出原理は互いに同様である。
【0106】
画素セル320と420とをSi基板上に形成する場合、赤外線検出容量CFの直下には、実施の形態1と同様にしてSi基板に溝部が形成されている。
【0107】
したがって、画素セル320または420を2次元に配列することで、実施の形態1と同様に赤外線2次元イメージセンサを構成することが可能である。
【0108】
図29および図30に示した回路は、回路を構成する素子を省いた分、より簡易な構成の回路となり、画素セルの大きさを縮小できるので高画素密度化に有効である。
【0109】
ただし、出力ノードの電位を、トランジスタTr1およびTr2またはTr1〜Tr4がオフである期間中にリセットしない場合は、実施の形態2の場合と同様に、出力波形は、周期波形となるが、経時的なDCオフセットの発生と増大が見られることになる。
【0110】
なお、現実に図29または図30に示した回路から出力変動を検出する場合、図29に示した回路においては、出力ノードtn1に所定数の画素セルについて共通に参照容量C1を付加し、図30に示した回路においては、出力ノードtn1およびtn2に対して、所定数の画素セルについて共通となるようにそれぞれ参照容量C1およびC2を付加して、容量分割された電位を検出する構成とする。
【0111】
図31は、図29に示した回路において、C2=0.01nFとした場合に、赤外線検出容量CFは0.01nFを出発値として、0.0002nFずつCF=0.0101nFまで変化させた場合の画素セル320の出力のSPICEによるシミュレーション結果である。
【0112】
第1および第2の駆動信号SD1およびSD2のパルス電圧も、実施の形態2と同様に、オフ状態ではともに0Vであり、オン状態ではそれぞれ5V、−5Vであって、パルス周期は200μsecである。パルス周期200μsec期間中、第1および第2の駆動信号SD1およびSD2のオン期間は100μsecであり、オフ期間は100μsecである。
【0113】
NチャネルMOSトランジスタTr1〜Tr4のサイズは、ゲート幅(W)/ゲート長(L)の比で、W/L=10μm/10μmである。XアドレススイッチのトランジスタTr1およびTr3ならびにYアドレススイッチのトランジスタTr2およびTr4の両者がオン状態となる時間は、上記パルス周期200μsec中の最初の15μsecである。
【0114】
図31では、出力ノードのリセットを行っているので、出力波形にはDCオフセットは見られない。図中、たとえば0.2%と表示した波形は、赤外線検出容量CFの容量値が基準値の0.01nFから0.2%ずれた0.01002nFとなったときの波形であることを示す。
【0115】
図32は、図31の単一波形の拡大図である。赤外線検出容量の相対変動値1%では、約15mVの出力が得られることがわかる。また、赤外線検出容量CFの容量変動に伴なう出力電位の変動はキャパシタにリークが無い限り、一定値を示す。また、赤外線検出容量CFの相対変動値と出力電圧の変動値は、ほぼ線形な関係を示す。
【0116】
以上のシミュレーションから、出力電圧の変動量としては、通常のオペアンプ入力感度に対して十分であり、このような画素セル320または420が赤外線検出素子として十分機能することが分かる。
【0117】
以上のように構成された画素セルにより、室温で高感度かつ簡易な構成の赤外線検出回路を実現することができ、それを2次元に配列した2次元センサアレイにより、高感度かつ高密度画素の室温動作赤外線2次元イメージセンサを実現することができる。
【0118】
以上説明してきたような本発明にかかる赤外線検出回路および赤外線2次元イメージセンサにより、室温動作可能で小型の赤外線イメージセンサが実現されることで、簡便な構成でサーモグラフィーを得ることができる。
【0119】
これは、病気の早期発見、機器の故障診断、ガス漏れ検知などの屋内での応用にとどまらず、都市や自然環境監視、火災監視、自動車用暗視野下での運転補助、構造物の非破壊診断、侵入警戒、資源探査、気象観測等の屋外での応用を含めて幅広く適用することが可能である。
【0120】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
【0121】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の画素セルにより、室温で高感度かつ簡易な構成の赤外線検出回路を実現することができ、それを2次元に配列した2次元センサアレイにより、高感度かつ高密度画素の室温動作赤外線2次元イメージセンサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の赤外線2次元イメージセンサ1000の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図画素セル20の構成を示す回路図である。
【図3】図2に示した回路を半導体基板上に集積回路として形成する際の平面パターンを示す平面図である。
【図4】図3に示した平面図のP−P’断面を示す断面図である。
【図5】赤外線検出容量CFを構成する強誘電体薄膜の誘電率の温度依存性を示す図である。
【図6】画素セル20の製造フロー中の第1工程を示す断面図である。
【図7】画素セル20の製造フロー中の第2工程を示す断面図である。
【図8】画素セル20の製造フロー中の第3工程を示す断面図である。
【図9】画素セル20の製造フロー中の第4工程を示す断面図である。
【図10】画素セル20の製造フロー中の第5工程を示す断面図である。
【図11】画素セル20の製造フロー中の第6工程を示す断面図である。
【図12】画素セル20の製造フロー中の第7工程を示す断面図である。
【図13】画素セル20の製造フロー中の第8工程を示す断面図である。
【図14】画素セル20の製造フロー中の第9工程を示す断面図である。
【図15】画素セル20の製造フロー中の第10工程を示す断面図である。
【図16】画素セル20の製造フロー中の第11工程を示す断面図である。
【図17】画素セル20の製造フロー中の第12工程を示す断面図である。
【図18】画素セル20の出力のSPICEによるシミュレーション結果を示す図である。
【図19】図18に示した出力波形の単一波形を示す拡大図である。
【図20】画素セル20出力のSPICEによる他のシミュレーション結果を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態2の画素セル120の構成を示す回路図である。
【図22】図21に示した回路を半導体基板上に集積回路として形成する際の平面パターンを示す平面図である。
【図23】画素セル120の出力のSPICEによるシミュレーション結果を示す図である。
【図24】図23に示した出力波形の単一波形を示す拡大図である。
【図25】画素セル120出力のSPICEによる他のシミュレーション結果を示す図である。
【図26】本発明の実施の形態3の画素セル220の構成を示す回路図である。
【図27】図26に示した回路を半導体基板上に集積回路として形成する際の平面パターンを示す平面図である。
【図28】画素セル220の出力のSPICEによるシミュレーション結果を示す図である。
【図29】本発明の実施の形態4の画素セル320の構成を示す回路図である。
【図30】実施の形態4の変形例の画素セル420の構成を示す回路図である。
【図31】画素セル320および420の出力のSPICEによるシミュレーション結果を示す図である。
【図32】図31に示した出力波形の単一波形を示す拡大図である。
【符号の説明】
2 制御信号入力端子
4 出力端子
10 制御回路
12 行セレクタ
14 列セレクタ
16 センサアレイ
20 画素セル
22 オペアンプ
24 帯域透過フィルタ
26 マルチプレクサ
120、220、320、420 画素セル
300 シリコン基板
302 ゲート酸化膜
304、306 シリコン酸化膜
308 下部電極
310 強誘電体薄膜
312 上部電極
314 ゲート電極
316、318 引出し配線
330 溝部
1000 赤外線2次元イメージセンサ

Claims (10)

  1. 基板上に形成される赤外線検出回路であって、
    赤外線を吸収することによる温度変化に応じて静電容量値が変化する赤外線検出容量手段とを備え、
    前記赤外線検出容量手段は、
    互いに対向する対向電極と、
    前記対向電極に挟まれる強誘電体薄膜とを含み、
    前記赤外線検出容量手段に対応して、前記基板上に前記赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段と、
    前記赤外線検出容量手段および前記参照容量手段の一方電極に第1のパルス電圧を印加し、前記赤外線検出容量手段および前記参照容量手段の他方電極に前記第1のパルス電圧とは逆相の第2のパルス電圧を印加するためのパルス印加手段と、
    前記第1および第2のパルス電圧の印加に応じて、前記赤外線検出容量手段の静電容量値と前記参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とを備える、赤外線検出回路。
  2. 前記第1および第2のパルス電圧のオフ期間中に、前記赤外線検出容量手段および前記参照容量手段に蓄積された電荷をリセットするためのリセット手段をさらに備える、請求項1記載の赤外線検出回路。
  3. 赤外線検出回路であって、
    半導体基板の主表面上に形成される赤外線検知手段を備え、
    前記赤外線検知手段は、
    赤外線検出容量手段と、
    前記赤外線検出容量手段に対応して、前記基板上に前記赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段とを含み、
    前記赤外線検出容量手段は、
    前記半導体主表面上に形成される下部電極と、
    前記下部電極上に堆積された強誘電体薄膜と、
    前記強誘電体薄膜上に堆積された上部電極とを有し、
    前記半導基板体の裏面側から前記下部電極の形成される主表面直下に至る溝部をさらに含み、
    前記赤外線検出容量手段および前記参照容量手段の一方電極に第1のパルス電圧を印加し、前記赤外線検出容量手段および前記参照容量手段の他方電極に前記第1のパルス電圧とは逆相の第2のパルス電圧を印加するためのパルス印加手段と、
    前記第1および第2のパルス電圧の印加に応じて、前記赤外線検出容量手段の静電容量値と前記参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とをさらに備える、赤外線検出回路。
  4. 前記第1および第2のパルス電圧のオフ期間中に、前記赤外線検出容量手段および前記参照容量手段に蓄積された電荷をリセットするためのリセット手段をさらに備える、請求項3記載の赤外線検出回路。
  5. 赤外線2次元イメージセンサであって、
    マトリックス状に配置された複数の画素セルを備え、
    各前記画素セルは、
    赤外線を吸収することによる温度変化に応じて静電容量値が変化する赤外線検出容量手段と、
    前記赤外線検出容量手段に対応して、前記基板上に前記赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段と、
    選択信号に応じて前記赤外線検出容量手段を選択する第1のスイッチ手段と、
    前記選択信号に応じて前記参照容量手段を選択する第2のスイッチ手段とを含み、
    前記赤外線検出容量手段および前記参照容量手段の一方電極に第1のパルス電圧を印加し、前記赤外線検出容量手段および前記参照容量手段の他方電極に前記第1のパルス電圧とは逆相の第2のパルス電圧を印加するためのパルス印加手段と、
    前記第1および第2のパルス電圧の印加に応じて、前記選択信号に応じて選択された、前記赤外線検出容量手段の静電容量値と前記参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とをさらに備える、赤外線2次元イメージセンサ。
  6. 前記赤外線検出容量手段は、
    互いに対向する対向電極と、
    前記対向電極に挟まれる強誘電体薄膜とを含む、請求項5記載の赤外線2次元イメージセンサ。
  7. 赤外線2次元イメージセンサであって、
    半導体基板の主表面上にマトリックス状に形成された複数の画素セルを備え、
    各前記画素セルは、
    赤外線検出容量手段と、
    前記赤外線検出容量手段に対応して、前記基板上に前記赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段とを含み、
    前記赤外線検出容量手段は、
    半導体主表面上に形成される下部電極と、
    前記下部電極上に堆積された強誘電体薄膜と、
    前記強誘電体薄膜上に堆積された上部電極とを有し、
    前記半導基板の裏面側から前記下部電極の形成される主表面直下に至る溝部と、
    選択信号に応じて前記赤外線検出容量手段を選択する第1のスイッチ手段と、
    前記選択信号に応じて前記参照容量手段を選択する第2のスイッチ手段とをさらに含み、
    前記赤外線検出容量手段および前記参照容量手段の一方電極に第1のパルス電圧を印加し、前記赤外線検出容量手段および前記参照容量手段の他方電極に前記第1のパルス電圧とは逆相の第2のパルス電圧を印加するためのパルス印加手段と、
    前記第1および第2のパルス電圧の印加に応じて、前記選択信号に応じて選択された、前記赤外線検出容量手段の静電容量値と前記参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とを備える、赤外線2次元イメージセンサ。
  8. 前記第1および第2のパルス電圧のオフ期間中に、前記赤外線検出容量手段および前記参照容量手段に蓄積された電荷をリセットするためのリセット手段をさらに備える、請求項5または7記載の赤外線検出回路。
  9. 半導体基板上に形成された赤外線検出回路であって、
    前記半導体基板の主表面上に形成される赤外線検知手段を備え、
    前記赤外線検知手段は、
    赤外線を吸収することによる温度変化に応じて静電容量値が変化する赤外線検出容量手段と、
    前記赤外線検出容量手段に対応して、前記基板上に前記赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段とを含み、
    前記赤外線検出容量手段は、
    前記半導体主表面上に形成される下部電極と、
    前記下部電極上に堆積された強誘電体薄膜と、
    前記強誘電体薄膜上に堆積された上部電極とを有し、
    前記半導基板体の裏面側から前記下部電極の形成される主表面直下に至る溝部をさらに含み、
    前記赤外線検出容量手段の静電容量値と前記参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とを備える、赤外線検出回路。
  10. 半導体基板上に形成される赤外線2次元イメージセンサであって、
    前記半導体基板の主表面上にマトリックス状に形成された複数の画素セルを備え、
    各前記画素セルは、
    赤外線を吸収することによる温度変化に応じて静電容量値が変化する赤外線検出容量手段と、
    前記赤外線検出容量手段に対応して、前記基板上に前記赤外線検出容量手段と並置して設けられ、参照静電容量値を有する参照容量手段とを含み、
    前記赤外線検出容量手段は、
    半導体主表面上に形成される下部電極と、
    前記下部電極上に堆積された強誘電体薄膜と、
    前記強誘電体薄膜上に堆積された上部電極とを有し、
    前記半導基板の裏面側から前記下部電極の形成される主表面直下に至る溝部と、
    選択信号に応じて前記赤外線検出容量手段を選択する第1のスイッチ手段と、
    前記選択信号に応じて前記参照容量手段を選択する第2のスイッチ手段とをさらに含み、
    前記選択信号に応じて選択された、前記赤外線検出容量手段の静電容量値と前記参照容量値との差動を増幅する検知増幅手段とを備える、赤外線2次元イメージセンサ。
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