JP3625676B2 - 複数の電池ユニットの充電方法 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電池ユニットを順番に切り換えて充電する充電方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
パック電池等の電池ユニットを、順番に充電する充電方法は、充電器の電源容量を小さくして複数の電池ユニットを充電できる特長がある。たとえば、４組の電池ユニットを装着して順番に充電する方法は、１組の電池ユニットを充電できる電源容量で４組の電池ユニットを充電できる。
【０００３】
複数の電池ユニットを順番に切り換えて充電する方法は、充電している電池ユニットが満充電になると、次々と別の電池ユニットに切り換えて充電する。このことを実現する充電方法として、電池ユニットから充電器に、充電要求信号と充電停止信号を入力する方法がある。この充電方法は、電池ユニットから充電器に入力される充電要求信号と充電停止信号でもって、充電器が充電する電池ユニットを切り換える。
【０００４】
たとえば、電池ユニットＡ〜Ｄから充電器に充電要求信号が入力されると、充電器は、充電要求信号を出力している電池ユニットＡをひとつ選択して充電を開始する。充電される電池ユニットＡが満充電になると、この電池ユニットＡは充電器に充電停止信号を出力する。充電器は電池ユニットＡの充電停止信号によって、電池ユニットＡの充電を停止して、次に充電要求信号を出力している電池ユニットＢの充電を開始する。このようにして、順番に電池ユニットＡ、Ｂ、Ｃ、Ｄを満充電する。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
充電器が、電池ユニットから入力される充電要求信号と充電停止信号から、充電する電池ユニットを順番に切り換えて充電する方法は、電池ユニットを理想的な状態で充電できる。しかしながら、この充電方法は、いずれかの電池ユニットが正常に動作せず、あるいは、電池ユニットと充電器との接点が接触不良を起こして、充電している電池ユニットが充電停止信号を充電器に入力できなくなると、充電器は次の電池ユニットに切り換えて充電できなくなる。このため、充電器に装着している残りの電池ユニットを充電できなくなることがある。
【０００６】
残りの電池ユニットを充電できなくなる弊害は、たとえば、タイマー等で電池ユニットの最大充電時間を制限して防止できる。しかしながら、タイマーで充電時間を制限する方法では、たとえば、接触不良を起こした電池ユニットが過充電されることがある。複数の電池ユニットは残存容量が異なるので、タイマーの設定時間を、完全に放電された電池ユニットを満充電できる時間に設定するからである。さらに、完全に放電されない電池ユニットは、正常には短時間で満充電されて、次の電池ユニットに切り換えられるが、タイマーは最長時間に設定しているので、次の電池ユニットに切り換えるのに時間がかかる欠点もある。
【０００７】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、いずれかの電池ユニットが正常な動作をしない状態においても、電池ユニットの過充電を防止して、次々と残りの電池ユニットを満充電できる複数の電池ユニットの充電方法を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明の複数の電池ユニットの充電方法は、充電器１に装着された複数の電池ユニット２を、ひとつの電池ユニット２の充電停止を検出した後、充電要求がある他の電池ユニット２を充電することで、順番に切り換えて充電する。各電池ユニット２は、充電要求信号と充電停止信号とを充電器１に入力し、充電器１は、電池ユニット２から入力される充電要求信号と充電停止信号を検出して各々の電池ユニット２を順番に充電する。さらに、各電池ユニット２は、充電する必要があるときに複数の充電要求信号と、充電を停止するときに複数の充電停止信号を充電器１に入力している。充電器１は、一電池ユニット (2) からの全ての充電要求信号を検出して充電を開始し、該電池ユニット (2) からのいずれかひとつの充電停止信号を検出して充電を停止している。
【０００９】
本発明の請求項２の複数の電池ユニットの充電方法は、電池ユニット２が、複数の伝送路１０で複数の充電要求信号と充電停止信号を充電器１に入力している。
【００１０】
本発明の請求項３の複数の電池ユニットの充電方法は、電池ユニット２を、二次電池３を内蔵する電子機器またはパック電池としている。
【００１１】
本発明の請求項４の複数の電池ユニットの充電方法は、充電要求信号と充電停止信号を、ハイとローのデジタル信号としている。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための複数の電池ユニット２の充電方法を例示するものであって、本発明は充電方法を以下のものに特定しない。
【００１３】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【００１４】
図１に示す充電器１は複数の電池ユニット２を脱着自できるように装着して、次々と内蔵している二次電池３を充電する。この図の充電器１は、４組の電池ユニット２を次々と充電する。
【００１５】
充電器１は、電池ユニット２の二次電池３を充電する電圧と電流を出力する電源回路４と、この電源回路４の出力側に接続されて、次々と切り換えられて電池ユニット２の二次電池３を充電する充電制御スイッチ５と、この充電制御スイッチ５を制御して電池ユニット２の充電状態を制御する充電順番制御回路６とを備えている。
【００１６】
電源回路４は、電池ユニット２に内蔵される二次電池３のタイプによって、出力電圧と電流が異なる。電池ユニットに内蔵されるリチウムイオン二次電池を充電する電源回路は、出力を定電圧定電流制御して、最初に定電流充電し、電池電圧が設定電圧、たとえば４．１〜４．２Ｖ／セルまで上昇すると、定電圧充電する。ニッケル−水素電池やニッケル−カドミウム電池を充電する電源回路は、出力を定電流特性として、二次電池を、たとえば、１Ｃ〜１０Ｃの充電電流で充電する。
【００１７】
充電制御スイッチ５は、電源回路４の出力側の分岐路と、各々の電池ユニット２の充電端子７に接続される充電接点８との間に接続している。充電制御スイッチ５は、順番にいずれかひとつをオンとして、電池ユニット２の二次電池３を充電する。充電制御スイッチ５は、トランジスターやＦＥＴで、オンの状態で電池ユニット２を充電し、オフになって充電を停止する。トランジスターである充電制御スイッチ５はベースに入力される信号で、ＦＥＴである充電制御スイッチはゲートに入力される信号でオンオフに制御される。この図の充電制御スイッチ５は、オンオフに切り換えられて、次々と電池ユニット２を充電し、満充電された状態で充電を停止する。充電制御スイッチ５をトランジスターやＦＥＴとする充電器１は、充電制御スイッチ５を定電圧定電流特性を実現するスイッチング素子に併用することもできる。
【００１８】
充電順番制御回路６は、電池ユニット２から入力される充電要求信号と充電停止信号とで充電制御スイッチ５を制御して、次々と電池ユニット２の二次電池３を充電する。
【００１９】
充電器１に脱着できるように連結される電池ユニット２は、二次電池３と充電信号回路９とを備える。電池ユニット２の二次電池３は、リチウムイオン二次電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池等の充電できる電池である。
【００２０】
充電信号回路９は、二次電池３の充電状態を検出して、充電要求信号と充電停止信号を充電器１に出力する。充電信号回路９は、二次電池３を充電する必要があるときに、充電要求信号を出力し、満充電され、あるいは決められた容量まで充電されたときに、充電停止信号を出力する。充電信号回路９は、通常は二次電池３が満充電されたときに、充電停止信号を出力する。ただ、使用状態によっては、二次電池３が満充電されない状態、たとえば、満充電の８０％の状態で充電停止信号を出力するようにして、二次電池３の寿命を長くすることもできる。
【００２１】
充電信号回路９は、複数の充電要求信号と充電停止信号とを出力する。図の電池ユニット２は、第１伝送路１０Ａと第２伝送路１０Ｂからなるふたつの独立した伝送路１０を介して、第１充電要求信号及び第２充電要求信号と、第１充電停止信号および第２充電停止信号を出力する。第１伝送路１０Ａは、第１充電要求信号と第１充電停止信号を電池ユニット２から充電器１に伝送し、第２伝送路１０Ｂは、第２充電要求信号と第２充電停止信号を充電器１に伝送する。このように、複数の出力端子１１から、複数の充電要求信号と充電停止信号とを充電器１に出力する構造、いいかえると、複数の伝送路１０を使用して、複数の充電要求信号と充電停止信号とを充電器１に伝送する方式は、最も信頼性を高くできる。いずれかの出力端子１１が接触不良を起こしても、いずれかの伝送路１０で充電要求信号と充電停止信号とを充電器１に伝送できるからである。
【００２２】
ただ、本発明の充電方法は、単一の伝送路で時間をずらせて複数の充電要求信号と充電停止信号を、充電信号回路から充電器に出力することもできる。この方式は、たとえば、充電信号回路が故障して、決められた数の充電要求信号と充電停止信号を出力できない場合、１回の充電停止信号で充電を停止する。
【００２３】
充電信号回路９が出力する充電要求信号と充電停止信号を、図２のタイミングチャートに示している。この図において、第１充電要求信号はＬ→Ｈであり、第２充電要求信号はＨ→Ｌである。第１充電停止信号はＨ→Ｌであって、第２充電停止信号はＬ→Ｈである。このように、充電要求信号と充電停止信号を、Ｈ→ＬまたはＬ→Ｈ信号であるデジタル信号とする方式は、簡単な回路で電池ユニットを順番に切り換えて充電できる。ただ、本発明の充電方法は、充電要求信号と充電停止信号とを必ずしもデジタル信号とせず、たとえば、特定の周波数のトーン信号とすることもできる。
【００２４】
充電信号回路９は、充電器１から充電信号回路９にスキャニング信号が入力されたときに、充電要求信号または充電停止信号を出力し、あるいは、電池ユニット２を充電器１に装着した状態で、充電要求信号または充電停止信号を出力する。スキャニング信号で充電要求信号または充電停止信号を出力する方式は、充電器１側でスキャニングする電池ユニット２の順番を特定することによって、電池ユニット２を充電する順番を決めることができる。電池ユニット２を充電器１に装着した状態で、常に充電要求信号または充電停止信号を出力する方式は、充電器１の内部であらかじめ記憶している順番で、電池ユニット２を充電し、あるいは、装着した順番で電池ユニット２を充電する。
【００２５】
図１の充電器１が４組の電池ユニット２を充電する状態を図２のタイミングチャートで説明する。
［充電しない期間］
充電器が、各電池ユニットにスキャニング信号を出力しても、電池ユニットから充電要求信号が入力されないとき、充電器の充電順番制御回路は全ての充電制御スイッチをオフにして、電池ユニットを充電しない状態とする。また、スキャニング信号を出力しない充電器にあっては、何れの電池ユニットからも充電要求信号が入力されないので、充電順番制御回路が全ての充電制御スイッチをオフにする。
【００２６】
［電池ユニットＡ充電許可］
電池ユニットＡが充電器に装着されて、電池ユニットＡの充電信号回路は、第１充電要求信号であるＬ→Ｈ信号と、第２充電要求信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に出力する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電要求信号と第２充電要求信号を検出し、両方の充電要求信号が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＡをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＡが充電される。電池ユニットＡの二次電池が満充電され、あるいは設定容量まで充電されると、電池ユニットＡの充電信号回路は、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号と、第２充電停止信号であるＬ→Ｈ信号とを充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電停止信号と第２充電停止信号の少なくともいずれか一方が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＡをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＡの充電を停止する。
【００２７】
［電池ユニットＣ充電許可］
充電器に装着されている電池ユニットＣの充電信号回路は、第１充電要求信号であるＬ→Ｈ信号と、第２充電要求信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に出力する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電要求信号と第２充電要求信号を検出し、両方の充電要求信号が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＣをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＣが充電される。電池ユニットＣの二次電池が満充電され、あるいは設定容量まで充電されると、電池ユニットＣの充電信号回路は、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号と、第２充電停止信号であるＬ→Ｈ信号とを充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電停止信号と第２充電停止信号の少なくともいずれか一方が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＣをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＣの充電を停止する。
【００２８】
この充電工程において、電池ユニットＢ、Ｄの充電信号回路が第１充電要求信号と第２充電要求信号とを充電器に出力するが、充電器の充電順番制御回路は、電池ユニットＣを充電しているために、この信号を無視して、電池ユニットＣの充電を継続する。
【００２９】
［電池ユニットＤ充電許可］
電池ユニットＣの充電を完了したとき、電池ユニットＢ、Ｄの充電信号回路は、第１充電要求信号であるＬ→Ｈ信号と、第２充電要求信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に出力している。充電器の充電順番制御回路は、電池ユニットＤから入力される第１充電要求信号と第２充電要求信号を優先して、充電制御スイッチＤをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＤが充電される。電池ユニットＤの二次電池が満充電され、あるいは設定容量まで充電されると、電池ユニットＤの充電信号回路は、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号と、第２充電停止信号であるＬ→Ｈ信号とを充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電停止信号と第２充電停止信号の少なくともいずれか一方が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＤをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＤの充電を停止する。
【００３０】
［電池ユニットＢ充電許可］
電池ユニットＤの充電を完了したとき、電池ユニットＢの充電信号回路は、第１充電要求信号であるＬ→Ｈ信号と、第２充電要求信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に出力している。充電器の充電順番制御回路は、電池ユニットＢから入力される第１充電要求信号と第２充電要求信号を優先して、充電制御スイッチＢをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＢが充電される。電池ユニットＢの二次電池が満充電され、あるいは設定容量まで充電されると、電池ユニットＢの充電信号回路は、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号と、第２充電停止信号であるＬ→Ｈ信号とを充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電停止信号と第２充電停止信号の少なくともいずれか一方が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＢをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＢの充電を停止する。
【００３１】
図２は、全ての回路が正常に動作して、電池ユニットＡ〜Ｄを順番に充電できる状態を示してる。図３は、電池ユニットＤが正常に動作しない状態で、電池ユニットＡ〜Ｄを順番に充電するタイミングチャートを示す。
【００３２】
［電池ユニットＤ充電許可］
電池ユニットＣの充電を完了したとき、電池ユニットＢ、Ｄの充電信号回路は、第１充電要求信号であるＬ→Ｈ信号と、第２充電要求信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に出力している。充電器の充電順番制御回路は、電池ユニットＤから入力される第１充電要求信号と第２充電要求信号を優先して、充電制御スイッチＤをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＤが充電される。
【００３３】
この充電状態において、電池ユニットＤの二次電池が満充電され、あるいは設定容量まで充電されると、正常な電池ユニットの充電信号回路は、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号と、第２充電停止信号であるＬ→Ｈ信号を充電器に伝送するが、図の電池ユニットＤは正常に動作しないので、第２充電停止信号としてＬ→Ｈ信号を出力するが、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号を出力しなくなる。このとき、充電器の充電順番制御回路は、第２充電停止信号のみを確認して、充電制御スイッチＤをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＤの充電を停止する。すなわち、充電順番制御回路は、電池ユニットＤから出力されるいずれか一方の充電停止信号で、電池ユニットＤの充電を停止する。
【００３４】
［電池ユニットＢ充電許可］
その後、第１充電要求信号と第２充電要求信号を出力している電池ユニットＢの充電を開始して、電池ユニットＢの充電信号回路が充電停止信号を出力するまで充電する。
【００３５】
本発明の充電方法は、以上のように電池ユニットが複数の充電停止信号を出力して、この充電停止信号のいずれかを検出して、充電器が充電を停止できるので、電池ユニットが故障して、正常に動作しない状態にあっても、次々と順番に全ての電池ユニットを充電できる。ただ、本発明の充電方法においても、電池ユニットの充電信号回路が全く充電停止信号を出力しない状態では、電池ユニットの充電を停止できない。このことから、複数の充電停止信号を出力する電池ユニットが、より多くの充電停止信号を出力するようにして、より確実に充電できる。
【００３６】
参考に、電池ユニットの充電信号回路が単一の充電停止信号を出力して、電池ユニットを順番に出力するタイミングチャートを図４に示している。
【００３７】
［充電しない期間］
充電器が、各電池ユニットにスキャニング信号を出力しても、電池ユニットから充電要求信号が入力されないとき、充電器の充電順番制御回路は全ての充電制御スイッチをオフにして、電池ユニットを充電しない状態とする。
【００３８】
［電池ユニットＡ充電許可］
電池ユニットＡが充電器に装着されて、電池ユニットＡの充電信号回路は、充電要求信号であるＬ→Ｈ信号を充電器に出力する。充電器の充電順番制御回路は、充電要求信号を検出して、充電制御スイッチＡをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＡが充電される。電池ユニットＡの二次電池が満充電されると、電池ユニットの充電信号回路は、充電停止信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、充電停止信号を確認して、充電制御スイッチＡをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＡの充電を停止する。
【００３９】
［電池ユニットＣ充電許可］
充電器に装着されている電池ユニットＣの充電信号回路は、充電要求信号であるＬ→Ｈ信号を充電器に出力する。充電器の充電順番制御回路は、充電要求信号を確認して、充電制御スイッチＣをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＣが充電される。電池ユニットＣの二次電池が満充電されると、電池ユニットＣの充電信号回路は、充電停止信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、充電停止信号を確認して、充電制御スイッチＣをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＣの充電を停止する。
【００４０】
［電池ユニットＤ充電許可］
電池ユニットＣの充電を完了したとき、電池ユニットＤ、Ｂの充電信号回路は、充電要求信号であるＬ→Ｈ信号を充電器に出力している。充電器の充電順番制御回路は、電池ユニットＤから入力される充電要求信号を優先して、充電制御スイッチＤをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＤが充電される。
【００４１】
電池ユニットＤの二次電池が満充電されると、電池ユニットの充電信号回路は、充電停止信号であるＨ→Ｌ信号を出力するが、正常に動作しない充電信号回路は、Ｈ信号を保持した状態となる。このため、充電器の充電順番制御回路は、充電制御スイッチＤをオフに切り換えることなく、電池ユニットＤを継続して充電する。このため、電池ユニットＤが過充電されると共に、次に充電する電池ユニットＢが充電されなくなる。
【００４２】
【発明の効果】
本発明の複数の電池ユニットの充電方法は、いずれかの電池ユニットが正常な動作をしない状態においても、電池ユニットの過充電を防止して、次々と残りの電池ユニットを充電できる特長がある。それは、本発明の複数の電池ユニットの充電方法が、各電池ユニットから、複数の充電要求信号と充電停止信号を充電器に入力しており、充電器は、全ての充電要求信号を検出して充電を開始すると共に、いずれかひとつの充電停止信号を検出して充電を停止して、充電器に装着された複数の電池ユニットを、順番に切り換えて充電しているからである。この充電方法は、図３に示すように、正常に動作しない電池ユニットが存在しても、いずれかひとつの充電停止信号を検出して充電を停止するので、電池ユニットの過充電を防止して、しかも残りの電池ユニットを次々とできる。図４に示す従来の充電方法のように、正常に動作しない電池ユニットによって、電池ユニットが過充電されたり、残りの電池ユニットを充電できなくすることがない。したがって、本発明の充電方法は、正常な動作をしない電池ユニットがあっても、過充電を防止して、複数の電池ユニットを安全に次々と充電できる特長がある。
【００４３】
とくに、本発明の充電方法は、充電器が、各電池ユニットから入力される複数の充電要求信号のうち、全ての充電要求信号を検出して充電を開始するので、正常に動作しない電池ユニットが装着されたときには、充電を開始することなく危険な状態となるのを未然に防止できる。さらに、充電器は、各電池ユニットから入力される複数の充電停止信号のうち、いずれかひとつの充電停止信号を検出して充電を停止するので、正常に動作しない電池ユニットであっても、速やかに充電を停止して過充電を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例の充電方法に使用する充電器の回路図
【図２】本発明の実施例の充電方法で全ての回路が正常に動作する複数の電池ユニットを充電する状態を示すタイミングチャート図
【図３】本発明の実施例の充電方法で正常に動作しない電池ユニットを充電する状態を示すタイミングチャート図
【図４】従来の充電方法で正常に動作しない電池ユニットを充電する状態を示すタイミングチャート図
【符号の説明】
１…充電器
２…電池ユニット
３…二次電池
４…電源回路
５…充電制御スイッチ
６…充電順番制御回路
７…充電端子
８…充電接点
９…充電信号回路
１０…伝送路 １０Ａ…第１伝送路 １０Ｂ…第２伝送路
１１…出力端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電池ユニットを順番に切り換えて充電する充電方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
パック電池等の電池ユニットを、順番に充電する充電方法は、充電器の電源容量を小さくして複数の電池ユニットを充電できる特長がある。たとえば、４組の電池ユニットを装着して順番に充電する方法は、１組の電池ユニットを充電できる電源容量で４組の電池ユニットを充電できる。
【０００３】
複数の電池ユニットを順番に切り換えて充電する方法は、充電している電池ユニットが満充電になると、次々と別の電池ユニットに切り換えて充電する。このことを実現する充電方法として、電池ユニットから充電器に、充電要求信号と充電停止信号を入力する方法がある。この充電方法は、電池ユニットから充電器に入力される充電要求信号と充電停止信号でもって、充電器が充電する電池ユニットを切り換える。
【０００４】
たとえば、電池ユニットＡ〜Ｄから充電器に充電要求信号が入力されると、充電器は、充電要求信号を出力している電池ユニットＡをひとつ選択して充電を開始する。充電される電池ユニットＡが満充電になると、この電池ユニットＡは充電器に充電停止信号を出力する。充電器は電池ユニットＡの充電停止信号によって、電池ユニットＡの充電を停止して、次に充電要求信号を出力している電池ユニットＢの充電を開始する。このようにして、順番に電池ユニットＡ、Ｂ、Ｃ、Ｄを満充電する。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
充電器が、電池ユニットから入力される充電要求信号と充電停止信号から、充電する電池ユニットを順番に切り換えて充電する方法は、電池ユニットを理想的な状態で充電できる。しかしながら、この充電方法は、いずれかの電池ユニットが正常に動作せず、あるいは、電池ユニットと充電器との接点が接触不良を起こして、充電している電池ユニットが充電停止信号を充電器に入力できなくなると、充電器は次の電池ユニットに切り換えて充電できなくなる。このため、充電器に装着している残りの電池ユニットを充電できなくなることがある。
【０００６】
残りの電池ユニットを充電できなくなる弊害は、たとえば、タイマー等で電池ユニットの最大充電時間を制限して防止できる。しかしながら、タイマーで充電時間を制限する方法では、たとえば、接触不良を起こした電池ユニットが過充電されることがある。複数の電池ユニットは残存容量が異なるので、タイマーの設定時間を、完全に放電された電池ユニットを満充電できる時間に設定するからである。さらに、完全に放電されない電池ユニットは、正常には短時間で満充電されて、次の電池ユニットに切り換えられるが、タイマーは最長時間に設定しているので、次の電池ユニットに切り換えるのに時間がかかる欠点もある。
【０００７】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、いずれかの電池ユニットが正常な動作をしない状態においても、電池ユニットの過充電を防止して、次々と残りの電池ユニットを満充電できる複数の電池ユニットの充電方法を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明の複数の電池ユニットの充電方法は、充電器１に装着された複数の電池ユニット２を、ひとつの電池ユニット２の充電停止を検出した後、充電要求がある他の電池ユニット２を充電することで、順番に切り換えて充電する。各電池ユニット２は、充電要求信号と充電停止信号とを充電器１に入力し、充電器１は、電池ユニット２から入力される充電要求信号と充電停止信号を検出して各々の電池ユニット２を順番に充電する。さらに、各電池ユニット２は、充電する必要があるときに複数の充電要求信号と、充電を停止するときに複数の充電停止信号を充電器１に入力している。充電器１は、一電池ユニット (2) からの全ての充電要求信号を検出して充電を開始し、該電池ユニット (2) からのいずれかひとつの充電停止信号を検出して充電を停止している。
【０００９】
本発明の請求項２の複数の電池ユニットの充電方法は、電池ユニット２が、複数の伝送路１０で複数の充電要求信号と充電停止信号を充電器１に入力している。
【００１０】
本発明の請求項３の複数の電池ユニットの充電方法は、電池ユニット２を、二次電池３を内蔵する電子機器またはパック電池としている。
【００１１】
本発明の請求項４の複数の電池ユニットの充電方法は、充電要求信号と充電停止信号を、ハイとローのデジタル信号としている。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための複数の電池ユニット２の充電方法を例示するものであって、本発明は充電方法を以下のものに特定しない。
【００１３】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【００１４】
図１に示す充電器１は複数の電池ユニット２を脱着自できるように装着して、次々と内蔵している二次電池３を充電する。この図の充電器１は、４組の電池ユニット２を次々と充電する。
【００１５】
充電器１は、電池ユニット２の二次電池３を充電する電圧と電流を出力する電源回路４と、この電源回路４の出力側に接続されて、次々と切り換えられて電池ユニット２の二次電池３を充電する充電制御スイッチ５と、この充電制御スイッチ５を制御して電池ユニット２の充電状態を制御する充電順番制御回路６とを備えている。
【００１６】
電源回路４は、電池ユニット２に内蔵される二次電池３のタイプによって、出力電圧と電流が異なる。電池ユニットに内蔵されるリチウムイオン二次電池を充電する電源回路は、出力を定電圧定電流制御して、最初に定電流充電し、電池電圧が設定電圧、たとえば４．１〜４．２Ｖ／セルまで上昇すると、定電圧充電する。ニッケル−水素電池やニッケル−カドミウム電池を充電する電源回路は、出力を定電流特性として、二次電池を、たとえば、１Ｃ〜１０Ｃの充電電流で充電する。
【００１７】
充電制御スイッチ５は、電源回路４の出力側の分岐路と、各々の電池ユニット２の充電端子７に接続される充電接点８との間に接続している。充電制御スイッチ５は、順番にいずれかひとつをオンとして、電池ユニット２の二次電池３を充電する。充電制御スイッチ５は、トランジスターやＦＥＴで、オンの状態で電池ユニット２を充電し、オフになって充電を停止する。トランジスターである充電制御スイッチ５はベースに入力される信号で、ＦＥＴである充電制御スイッチはゲートに入力される信号でオンオフに制御される。この図の充電制御スイッチ５は、オンオフに切り換えられて、次々と電池ユニット２を充電し、満充電された状態で充電を停止する。充電制御スイッチ５をトランジスターやＦＥＴとする充電器１は、充電制御スイッチ５を定電圧定電流特性を実現するスイッチング素子に併用することもできる。
【００１８】
充電順番制御回路６は、電池ユニット２から入力される充電要求信号と充電停止信号とで充電制御スイッチ５を制御して、次々と電池ユニット２の二次電池３を充電する。
【００１９】
充電器１に脱着できるように連結される電池ユニット２は、二次電池３と充電信号回路９とを備える。電池ユニット２の二次電池３は、リチウムイオン二次電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池等の充電できる電池である。
【００２０】
充電信号回路９は、二次電池３の充電状態を検出して、充電要求信号と充電停止信号を充電器１に出力する。充電信号回路９は、二次電池３を充電する必要があるときに、充電要求信号を出力し、満充電され、あるいは決められた容量まで充電されたときに、充電停止信号を出力する。充電信号回路９は、通常は二次電池３が満充電されたときに、充電停止信号を出力する。ただ、使用状態によっては、二次電池３が満充電されない状態、たとえば、満充電の８０％の状態で充電停止信号を出力するようにして、二次電池３の寿命を長くすることもできる。
【００２１】
充電信号回路９は、複数の充電要求信号と充電停止信号とを出力する。図の電池ユニット２は、第１伝送路１０Ａと第２伝送路１０Ｂからなるふたつの独立した伝送路１０を介して、第１充電要求信号及び第２充電要求信号と、第１充電停止信号および第２充電停止信号を出力する。第１伝送路１０Ａは、第１充電要求信号と第１充電停止信号を電池ユニット２から充電器１に伝送し、第２伝送路１０Ｂは、第２充電要求信号と第２充電停止信号を充電器１に伝送する。このように、複数の出力端子１１から、複数の充電要求信号と充電停止信号とを充電器１に出力する構造、いいかえると、複数の伝送路１０を使用して、複数の充電要求信号と充電停止信号とを充電器１に伝送する方式は、最も信頼性を高くできる。いずれかの出力端子１１が接触不良を起こしても、いずれかの伝送路１０で充電要求信号と充電停止信号とを充電器１に伝送できるからである。
【００２２】
ただ、本発明の充電方法は、単一の伝送路で時間をずらせて複数の充電要求信号と充電停止信号を、充電信号回路から充電器に出力することもできる。この方式は、たとえば、充電信号回路が故障して、決められた数の充電要求信号と充電停止信号を出力できない場合、１回の充電停止信号で充電を停止する。
【００２３】
充電信号回路９が出力する充電要求信号と充電停止信号を、図２のタイミングチャートに示している。この図において、第１充電要求信号はＬ→Ｈであり、第２充電要求信号はＨ→Ｌである。第１充電停止信号はＨ→Ｌであって、第２充電停止信号はＬ→Ｈである。このように、充電要求信号と充電停止信号を、Ｈ→ＬまたはＬ→Ｈ信号であるデジタル信号とする方式は、簡単な回路で電池ユニットを順番に切り換えて充電できる。ただ、本発明の充電方法は、充電要求信号と充電停止信号とを必ずしもデジタル信号とせず、たとえば、特定の周波数のトーン信号とすることもできる。
【００２４】
充電信号回路９は、充電器１から充電信号回路９にスキャニング信号が入力されたときに、充電要求信号または充電停止信号を出力し、あるいは、電池ユニット２を充電器１に装着した状態で、充電要求信号または充電停止信号を出力する。スキャニング信号で充電要求信号または充電停止信号を出力する方式は、充電器１側でスキャニングする電池ユニット２の順番を特定することによって、電池ユニット２を充電する順番を決めることができる。電池ユニット２を充電器１に装着した状態で、常に充電要求信号または充電停止信号を出力する方式は、充電器１の内部であらかじめ記憶している順番で、電池ユニット２を充電し、あるいは、装着した順番で電池ユニット２を充電する。
【００２５】
図１の充電器１が４組の電池ユニット２を充電する状態を図２のタイミングチャートで説明する。
［充電しない期間］
充電器が、各電池ユニットにスキャニング信号を出力しても、電池ユニットから充電要求信号が入力されないとき、充電器の充電順番制御回路は全ての充電制御スイッチをオフにして、電池ユニットを充電しない状態とする。また、スキャニング信号を出力しない充電器にあっては、何れの電池ユニットからも充電要求信号が入力されないので、充電順番制御回路が全ての充電制御スイッチをオフにする。
【００２６】
［電池ユニットＡ充電許可］
電池ユニットＡが充電器に装着されて、電池ユニットＡの充電信号回路は、第１充電要求信号であるＬ→Ｈ信号と、第２充電要求信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に出力する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電要求信号と第２充電要求信号を検出し、両方の充電要求信号が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＡをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＡが充電される。電池ユニットＡの二次電池が満充電され、あるいは設定容量まで充電されると、電池ユニットＡの充電信号回路は、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号と、第２充電停止信号であるＬ→Ｈ信号とを充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電停止信号と第２充電停止信号の少なくともいずれか一方が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＡをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＡの充電を停止する。
【００２７】
［電池ユニットＣ充電許可］
充電器に装着されている電池ユニットＣの充電信号回路は、第１充電要求信号であるＬ→Ｈ信号と、第２充電要求信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に出力する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電要求信号と第２充電要求信号を検出し、両方の充電要求信号が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＣをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＣが充電される。電池ユニットＣの二次電池が満充電され、あるいは設定容量まで充電されると、電池ユニットＣの充電信号回路は、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号と、第２充電停止信号であるＬ→Ｈ信号とを充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電停止信号と第２充電停止信号の少なくともいずれか一方が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＣをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＣの充電を停止する。
【００２８】
この充電工程において、電池ユニットＢ、Ｄの充電信号回路が第１充電要求信号と第２充電要求信号とを充電器に出力するが、充電器の充電順番制御回路は、電池ユニットＣを充電しているために、この信号を無視して、電池ユニットＣの充電を継続する。
【００２９】
［電池ユニットＤ充電許可］
電池ユニットＣの充電を完了したとき、電池ユニットＢ、Ｄの充電信号回路は、第１充電要求信号であるＬ→Ｈ信号と、第２充電要求信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に出力している。充電器の充電順番制御回路は、電池ユニットＤから入力される第１充電要求信号と第２充電要求信号を優先して、充電制御スイッチＤをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＤが充電される。電池ユニットＤの二次電池が満充電され、あるいは設定容量まで充電されると、電池ユニットＤの充電信号回路は、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号と、第２充電停止信号であるＬ→Ｈ信号とを充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電停止信号と第２充電停止信号の少なくともいずれか一方が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＤをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＤの充電を停止する。
【００３０】
［電池ユニットＢ充電許可］
電池ユニットＤの充電を完了したとき、電池ユニットＢの充電信号回路は、第１充電要求信号であるＬ→Ｈ信号と、第２充電要求信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に出力している。充電器の充電順番制御回路は、電池ユニットＢから入力される第１充電要求信号と第２充電要求信号を優先して、充電制御スイッチＢをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＢが充電される。電池ユニットＢの二次電池が満充電され、あるいは設定容量まで充電されると、電池ユニットＢの充電信号回路は、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号と、第２充電停止信号であるＬ→Ｈ信号とを充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、第１充電停止信号と第２充電停止信号の少なくともいずれか一方が入力されたことを確認して、充電制御スイッチＢをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＢの充電を停止する。
【００３１】
図２は、全ての回路が正常に動作して、電池ユニットＡ〜Ｄを順番に充電できる状態を示してる。図３は、電池ユニットＤが正常に動作しない状態で、電池ユニットＡ〜Ｄを順番に充電するタイミングチャートを示す。
【００３２】
［電池ユニットＤ充電許可］
電池ユニットＣの充電を完了したとき、電池ユニットＢ、Ｄの充電信号回路は、第１充電要求信号であるＬ→Ｈ信号と、第２充電要求信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に出力している。充電器の充電順番制御回路は、電池ユニットＤから入力される第１充電要求信号と第２充電要求信号を優先して、充電制御スイッチＤをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＤが充電される。
【００３３】
この充電状態において、電池ユニットＤの二次電池が満充電され、あるいは設定容量まで充電されると、正常な電池ユニットの充電信号回路は、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号と、第２充電停止信号であるＬ→Ｈ信号を充電器に伝送するが、図の電池ユニットＤは正常に動作しないので、第２充電停止信号としてＬ→Ｈ信号を出力するが、第１充電停止信号であるＨ→Ｌ信号を出力しなくなる。このとき、充電器の充電順番制御回路は、第２充電停止信号のみを確認して、充電制御スイッチＤをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＤの充電を停止する。すなわち、充電順番制御回路は、電池ユニットＤから出力されるいずれか一方の充電停止信号で、電池ユニットＤの充電を停止する。
【００３４】
［電池ユニットＢ充電許可］
その後、第１充電要求信号と第２充電要求信号を出力している電池ユニットＢの充電を開始して、電池ユニットＢの充電信号回路が充電停止信号を出力するまで充電する。
【００３５】
本発明の充電方法は、以上のように電池ユニットが複数の充電停止信号を出力して、この充電停止信号のいずれかを検出して、充電器が充電を停止できるので、電池ユニットが故障して、正常に動作しない状態にあっても、次々と順番に全ての電池ユニットを充電できる。ただ、本発明の充電方法においても、電池ユニットの充電信号回路が全く充電停止信号を出力しない状態では、電池ユニットの充電を停止できない。このことから、複数の充電停止信号を出力する電池ユニットが、より多くの充電停止信号を出力するようにして、より確実に充電できる。
【００３６】
参考に、電池ユニットの充電信号回路が単一の充電停止信号を出力して、電池ユニットを順番に出力するタイミングチャートを図４に示している。
【００３７】
［充電しない期間］
充電器が、各電池ユニットにスキャニング信号を出力しても、電池ユニットから充電要求信号が入力されないとき、充電器の充電順番制御回路は全ての充電制御スイッチをオフにして、電池ユニットを充電しない状態とする。
【００３８】
［電池ユニットＡ充電許可］
電池ユニットＡが充電器に装着されて、電池ユニットＡの充電信号回路は、充電要求信号であるＬ→Ｈ信号を充電器に出力する。充電器の充電順番制御回路は、充電要求信号を検出して、充電制御スイッチＡをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＡが充電される。電池ユニットＡの二次電池が満充電されると、電池ユニットの充電信号回路は、充電停止信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、充電停止信号を確認して、充電制御スイッチＡをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＡの充電を停止する。
【００３９】
［電池ユニットＣ充電許可］
充電器に装着されている電池ユニットＣの充電信号回路は、充電要求信号であるＬ→Ｈ信号を充電器に出力する。充電器の充電順番制御回路は、充電要求信号を確認して、充電制御スイッチＣをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＣが充電される。電池ユニットＣの二次電池が満充電されると、電池ユニットＣの充電信号回路は、充電停止信号であるＨ→Ｌ信号を充電器に伝送する。充電器の充電順番制御回路は、充電停止信号を確認して、充電制御スイッチＣをオンからオフに切り換えて、電池ユニットＣの充電を停止する。
【００４０】
［電池ユニットＤ充電許可］
電池ユニットＣの充電を完了したとき、電池ユニットＤ、Ｂの充電信号回路は、充電要求信号であるＬ→Ｈ信号を充電器に出力している。充電器の充電順番制御回路は、電池ユニットＤから入力される充電要求信号を優先して、充電制御スイッチＤをオフからオンに切り換え、その他の充電制御スイッチをオフに保持する。この状態で、電池ユニットＤが充電される。
【００４１】
電池ユニットＤの二次電池が満充電されると、電池ユニットの充電信号回路は、充電停止信号であるＨ→Ｌ信号を出力するが、正常に動作しない充電信号回路は、Ｈ信号を保持した状態となる。このため、充電器の充電順番制御回路は、充電制御スイッチＤをオフに切り換えることなく、電池ユニットＤを継続して充電する。このため、電池ユニットＤが過充電されると共に、次に充電する電池ユニットＢが充電されなくなる。
【００４２】
【発明の効果】
本発明の複数の電池ユニットの充電方法は、いずれかの電池ユニットが正常な動作をしない状態においても、電池ユニットの過充電を防止して、次々と残りの電池ユニットを充電できる特長がある。それは、本発明の複数の電池ユニットの充電方法が、各電池ユニットから、複数の充電要求信号と充電停止信号を充電器に入力しており、充電器は、全ての充電要求信号を検出して充電を開始すると共に、いずれかひとつの充電停止信号を検出して充電を停止して、充電器に装着された複数の電池ユニットを、順番に切り換えて充電しているからである。この充電方法は、図３に示すように、正常に動作しない電池ユニットが存在しても、いずれかひとつの充電停止信号を検出して充電を停止するので、電池ユニットの過充電を防止して、しかも残りの電池ユニットを次々とできる。図４に示す従来の充電方法のように、正常に動作しない電池ユニットによって、電池ユニットが過充電されたり、残りの電池ユニットを充電できなくすることがない。したがって、本発明の充電方法は、正常な動作をしない電池ユニットがあっても、過充電を防止して、複数の電池ユニットを安全に次々と充電できる特長がある。
【００４３】
とくに、本発明の充電方法は、充電器が、各電池ユニットから入力される複数の充電要求信号のうち、全ての充電要求信号を検出して充電を開始するので、正常に動作しない電池ユニットが装着されたときには、充電を開始することなく危険な状態となるのを未然に防止できる。さらに、充電器は、各電池ユニットから入力される複数の充電停止信号のうち、いずれかひとつの充電停止信号を検出して充電を停止するので、正常に動作しない電池ユニットであっても、速やかに充電を停止して過充電を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例の充電方法に使用する充電器の回路図
【図２】本発明の実施例の充電方法で全ての回路が正常に動作する複数の電池ユニットを充電する状態を示すタイミングチャート図
【図３】本発明の実施例の充電方法で正常に動作しない電池ユニットを充電する状態を示すタイミングチャート図
【図４】従来の充電方法で正常に動作しない電池ユニットを充電する状態を示すタイミングチャート図
【符号の説明】
１…充電器
２…電池ユニット
３…二次電池
４…電源回路
５…充電制御スイッチ
６…充電順番制御回路
７…充電端子
８…充電接点
９…充電信号回路
１０…伝送路 １０Ａ…第１伝送路 １０Ｂ…第２伝送路
１１…出力端子
Claims (4)
- 充電器(1)に装着された複数の電池ユニット(2)を、ひとつの電池ユニット (2) の充電停止を検出した後、充電要求がある他の電池ユニット (2) を充電することで、順番に切り換えて充電する充電方法であって、各電池ユニット(2)は充電要求信号と充電停止信号とを充電器(1)に入力し、充電器(1)は、電池ユニット(2)から入力される充電要求信号と充電停止信号を検出して各々の電池ユニット(2)を順番に充電する充電方法において、
各電池ユニット(2)が、充電する必要があるときに複数の充電要求信号と、充電を停止するときに複数の充電停止信号を充電器(1)に入力し、充電器(1)は、一電池ユニット (2) からの全ての充電要求信号を検出して充電を開始し、該電池ユニット (2) からのいずれかひとつの充電停止信号を検出して充電を停止することを特徴とする複数の電池ユニットの充電方法。 - 電池ユニット(2)が、複数の伝送路(10)で複数の充電要求信号と充電停止信号を充電器(1)に入力する請求項１に記載される複数の電池ユニットの充電方法。
- 電池ユニット(2)が、二次電池(3)を内蔵する電子機器またはパック電池である請求項１に記載される複数の電池ユニットの充電方法。
- 充電要求信号と充電停止信号がハイとローのデジタル信号である請求項１に記載される複数の電池ユニットの充電方法。
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